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福田(昭)
委員 先日の新聞報道によりますと、EUが財政再建目標を断念したというんですよ。緊縮緩和、
成長重視に転換というんです。
欧州連合の欧州
委員会は五月の二十九日、加盟国の
経済、財政に関する勧告を発表した、欧州債務危機対策として各国に課していた財政再建の目標達成を断念して、期限を先送りするなど緊縮策を緩和し、
経済成長を重視する政策への転換を表明したというんですよ。財政緊縮が景気を一層悪化させ、失業増を招くという負の連鎖からの脱出を目指すんだというんですよ。私に言わせていただければ、まさに
日本も、どうもこういうことを繰り返している。
それで、EU加盟国は、これから緊縮緩和のかわりに、労働市場や年金
制度の
改革を進めて競争力を強化し、雇用と
成長の拡大に向けた具体的な
成長戦略策定を義務づけられるというんです。
ですから……(発言する者あり)アベノミクスとは全く違う。アベノミクスは、実は大きな欠点が
四つあるんです。
三本の矢を一体的に進めるというのは私も大賛成でありますが、大きな欠点の
一つは、まず中長期的な視点がないということ。それから、順序が逆だということ。金融緩和から始まっちゃった。これは本当に金融
バブルで終わってしまう可能性が高い。そして
三つ目は、
内閣府が使っているモデルが十年間も当たらないモデルを依然として使っている。そして
四つ目が、具体策が支離滅裂だということ。デフレなのにインフレの政策が入っている。この四点が実はアベノミクスの欠点です。
ここをしっかり修正してやっていくということが、
日本の
経済をよくして、
経済の
成長なくして財政再建なしですから、増税でなんか財政再建はできませんから、そこをしっかり
考えた策をやはりとっていく必要があると思っております。
だんだん時間がなくなってきましたが、そこで、きょうは資料を一、二、三と用意させてもらいました。
新藤大臣には、一は見てもらっているかと思いますけれ
ども、これは、
平成三年から二十三年までの実質GDPや名目GDPあるいは
成長率などをあらわした表でございます。
これを見ていただければわかるように、実質GDPはそれなりに大きくなっておりますが、名目GDPは二十年間
一つも大きくなっておりません。そしてさらに、実質
成長率はそれなりに伸びておりまして、マイナスなのはたった四年間だけであります。しかし、名目
成長率が余り伸びておりません。したがって、名目GDPが全く大きくならないというのが
日本の
経済と財政の問題であります。
次に、資料の二でありますけれ
ども、資料の二は、国家ビジョン
研究会がつくった、大型な財政出動を積極的に展開したときの
成長のシナリオをシミュレーションしたものであります。
これを見ていただくとわかりますように、実質GDPと名目GDPが二〇一七年に逆転をして、それからずっと二〇二〇年まで逆転をし、名目GDPは八百兆円を超える。そしてさらに、賃金も四百七十一万五千円から六百三十四万六千円まで伸びる。雇用者数も伸び、そして税収も伸び、さらに、
政府の純債務も減っていく、人口もふえていく、こういうシミュレーションを国家ビジョン
研究会がやっております。
そして、さらにその次、資料の三でありますが、「アベノミクスは砂上の楼閣」という、先ほど話をした小野先生がまとめた文章でございますけれ
ども、まさに主要民間シンクタンクの
経済予測は、
消費税を上げたらだめだよということをしっかり示しております。そして、その後ろの方を見ていただきますと、
日本の名目GDPが世界各国に比べていかに大きくならないか、むしろ小さくなっているという表であります。ここをいかに大きくしていくかということが実は
経済と財政をよくする方法なんですね。
ですから、
日本の英知を集めて、
経済財政諮問
会議のメンバーじゃなくて、本当に
日本の英知を集めて、デフレからどうやったら脱却していくかという処方箋をやはり描いていくということが一番大事だ、それを
提案して、時間が来ましたので、終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。