○村松
参考人 衆議院議員選挙区
画定審議会会長村松でございます。本日は、機会をいただきまして、御説明を申し上げたいと存じます。
当審議会は、
衆議院議員選挙区
画定審議会設置法及び
衆議院小
選挙区
選出議員の
選挙区間における人口較差を緊急に是正するための
公職選挙法及び
衆議院議員選挙区
画定審議会設置法の一部を
改正する
法律、いわゆる緊急是正法でございますが、この
規定に基づきまして、去る三月二十八日に内閣総理大臣に対し、
衆議院小
選挙区
選出議員の
選挙区の
改定案についての勧告を行ったところでございます。
本日は、審議の経過と勧告の概要について、御説明申し上げます。
まず、当審議会における審議の経過について御説明いたします。
当審議会は、
衆議院議員選挙区
画定審議会設置法の定めるところにより、平成二十三年二月二十五日に平成二十二年国勢調査の結果による人口が官報で
公示されたことから、
衆議院小
選挙区の
改定案の作成作業に着手しましたが、同年三月二十三日の最高裁判所大法廷判決を受けまして、作業を中断しておりました。
その後、昨年十一月十六日に先ほどのいわゆる緊急是正法が成立いたしまして、違憲状態とされた各
選挙区間の格差を速やかに是正するために、その公布、施行と同時に、当審議会は、昨年十一月二十六日に審議を再開いたしました。
緊急是正法では、改定
対象としている
選挙区を限定しておられます。また、人口最小県である鳥取県内の人口最小
選挙区を基準として、各
選挙区間の人口格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づき二倍未満とすることが定められております。
当審議会の審議は、まず、基準となる鳥取県の審議を他の都道府県よりも先行して行うことといたしまして、区割り基準素案を審議、作成し、区割り基準素案と鳥取県の具体的な区割りについて、鳥取県知事に意見
照会をいたしました。その後、鳥取県知事からの回答を受け、鳥取県の区割りの審議、改定原案を作成いたしました。
次の
段階として、改定
対象選挙区の範囲の
確認を行い、改定
対象選挙区を有する鳥取県以外の十六
関係都県についての審議に入ることといたしました。
まず、
関係都県知事への区割り基準素案と具体的な区割りについての意見
照会をいたしまして、回答を得ました。同時に、審議会は、
関係都県の改定
対象選挙区の地勢、交通等のレビュー等を行い、本年二月二十六日に緊急是正法に基づく区割りの
改定案の作成方針、いわゆる区割り基準でございますが、これを取りまとめ、公表いたしました。
さらに、その次の
段階として、この区割り基準に基づいて、具体的な区割りの改定作業に入り、審議を進めたところでございます。
緊急是正法では、各
選挙区間の人口格差を緊急に是正するため、施行から六カ月以内にできるだけ速やかに勧告を行うことが
規定されております。当審議会といたしましては、精力的に
改定案の作成作業に取り組み、十五回にわたる審議を経まして、区割りの
改定案を取りまとめ、三月二十八日に内閣総理大臣に対して勧告を行ったところでございます。
続きまして、当審議会が具体的な区割り
改定案を作成する上での指針となる緊急是正法に基づく区割りの
改定案の作成方針、いわゆる区割り基準について御説明申し上げます。
まず、緊急是正法でございますが、改定
対象となる
選挙区を限定されておられます。また、人口最小県である鳥取県内の人口最小
選挙区を基準として、各
選挙区間の人口格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づいて二倍未満とすることを
規定し、さらに、
法律上、区割りの改定基準もかなり具体的に書き込んであります。これらのことによりまして、前回の平成十二年国勢調査に基づく区割り改定とは条件が異なりますので、平成十三年九月に作成した前回の区割り基準をそのまま
適用するということはできないところでありました。
したがいまして、緊急是正法で定められた内容と前回の区割り基準を踏襲する内容等を中心といたしまして、昨年十二月二十七日に、まず、区割り基準素案を作成し、十七の
関係都県の知事への意見
照会を行い、その意見も参考にして、当審議会において慎重に検討を行い、二月二十六日に区割り基準を取りまとめたところでございます。
さて、今回の区割り基準の全体像でございますが、改定
対象選挙区、改定
対象選挙区の区割り基準、
改定案作成の作業手順の
三つから構成されております。
初めに、改定
対象選挙区についてでございますが、緊急是正法においては、改定
対象選挙区を限定して定めております。
まず、人口の最も少ない県、すなわち鳥取県の
選挙区がございます。次に、〇増五減によりまして、
選挙区の数が三から二に減少する福井県、山梨県、徳島県、高知県、佐賀県の五県の
選挙区がございます。そして、鳥取県内の人口最小
選挙区を基準として、平成二十二年国勢調査人口で格差二倍未満の人口基準に適合しない
選挙区が出てまいります。また、そのような
選挙区を格差二倍未満におさめるために必要最小限の範囲で行う改定に伴って生じる隣接
選挙区がございます。これが改定
対象選挙区でございます。
次に、改定
対象選挙区の区割り基準についてでございます。
先ほど申し上げましたとおり、緊急是正法と前回までの区割り基準が基本となります。
まず、緊急是正法で定められた内容といたしましては、人口最小県である鳥取県内の人口最小
選挙区を基準として、
選挙区間の人口格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づき二倍未満とすること、鳥取県内の
選挙区の改定に当たっては、各
選挙区の人口の均衡を図るものとすること、人口格差を二倍未満とするための
選挙区の改定に当たっては、
選挙区の区域の異動は必要最小限とすること等でございます。
次に、前回の区割り基準を踏襲した内容といたしましては、
選挙区は飛び地にしないこと、市区町村や郡の区域は原則として分割しないこととし、市区の人口が人口基準の上限人口を超える場合等やむを得ない一定の場合に限り分割することができること、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮すること等でございます。
なお、今回の区割り基準の作成に当たりましては、区割り基準素案に対する
関係都県知事からの意見も参考にして、当審議会において慎重に検討いたしました。その後、具体的な区割りの改定作業を行っていく上で必要であるということで、結果として、次の
二つの基準を追加したところであります。ともに、市区町を分割する基準でございます。
一つ目は、現在分割されている市区町の区域を分割しないこととすると、当該市区町以外の各
選挙区の区域の異動を拡大していかざるを得なくなる場合でございます。
この基準に基づいて、宮城県大崎市を引き続き分割しております。
もう
一つは、県内の
選挙区数が三から二となる五県について、当該県の人口最大の市が単独の
選挙区とすることができる規模の人口、すなわち鳥取県内の人口最小
選挙区の人口以上を有する場合であり、さらに、県内の二
選挙区の位置、形状、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮すると、分割する方がより合理的に改定を行うことができる場合であります。
この基準に基づいて、高知市を引き続き分割しております。
最後に、
改定案作成の作業手順についてでございます。
これにつきましては、具体的な区割りの改定作業を行っていく際の作業の流れを示すものでございます。
具体的には、鳥取県については、全国の人口格差二倍未満の基準となるため、他の都道府県よりも先行して審議を行い、区割り改定原案の作成の出発点となったわけでございます。そのことは申し上げました。次に、
選挙区の数が三から二に減少することとなる五県については、県内の
選挙区のうち、人口が最も少ないもの、すなわち、一票の価値が最も重いものを手がかりとし、これを減少する方向に持っていくという形で区割りを行っていくこと等を定めております。
以上が、緊急是正法に基づく区割りの
改定案の作成方針の概要でございます。
次に、勧告いたしました区割りの
改定案の概要について、御説明いたします。
最初に、都道府県別定数の異動ですが、これは緊急是正法で定められているものであり、〇増五減によりまして、福井県、山梨県、徳島県、高知県、佐賀県の五県で、いずれも定数が三から二に一減となっております。
今回の
改定案で変更される
選挙区の数は、十七都県で四十二
選挙区となります。なお、定数が五減となりますので、改定後の
選挙区数は三十七
選挙区となります。
四十二の
選挙区の内訳を申し上げますと、まず、人口の最も少ない鳥取県内の
選挙区として二
選挙区、
選挙区の数が減少することとなる県の区域内の
選挙区として、先ほど申し上げました五県の十五
選挙区、格差二倍未満という人口基準に適合しない
選挙区の改定に伴うものとして、その
一つは、人口最小
選挙区である鳥取新二区の人口二十九万一千百三人を下回る
選挙区とその隣接
選挙区で八県十七
選挙区、鳥取新二区の人口の二倍、五十八万二千二百六人以上となる
選挙区とその隣接
選挙区で三都県八
選挙区、これで四十二
選挙区となります。
以上の結果を全体として要約的に申し上げますと、人口最小
選挙区との格差が二倍以上となる
選挙区の数については、前回の区割りの
改定案では九
選挙区、勧告前は九十七
選挙区となっておりますが、
公職選挙法制定以来、格差是正としては、今回初めて、国勢調査人口での人口格差二倍以上の
選挙区は解消されるということになります。
最大人口格差は、今回の
改定案では、初めて二倍を切り、一・九九八倍となります。最大
選挙区は東京十六区で五十八万一千六百七十七人、最小
選挙区は鳥取二区で二十九万一千百三人となります。勧告前の最大格差は二・五二四倍ですので、大幅に縮減されたところでございます。
都道府県間の
議員一人当たり人口の格差は、緊急是正法で定められた各都道府県別定数により
議員一人当たり人口を算出して比較した結果で、最大格差は、東京都と鳥取県の間で一・七八八倍となっております。
最後に、御参考として、今回の
改定案における分割市区町について申し上げます。
緊急是正法では、改定
対象となる
選挙区を限定しており、その要件に該当しない場合には、市町村合併の影響を調整するための
選挙区の改定は行われないところであります。
今回の改定
対象となる四十二
選挙区における分割市区町の状況につきましては、分割が解消される市区町の数が十二市町、新たに分割される市区の数が三市区、船橋市、川崎市中原区、佐世保市でございます。分割の区域が変更される市区の数が四市区、大崎市、世田谷区、江戸川区、高知市となっておりまして、分割市区町の数は九減少するということになりました。
私からの審議の経過と勧告の概要説明を以上で終わらせていただきますが、今回の
改定案の作成に当たりまして、緊急是正法を踏まえ、各
選挙区間の人口格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づき二倍未満とする努力をいたしました。同時に、
選挙区の異動を最小限とするなど、
選挙区の安定性も考慮いたしました。
最大限の努力を行い、当審議会としては最善と
考える
改定案を取りまとめたと
考えている次第でございます。
何とぞ、御
理解のほどよろしく
お願い申し上げます。