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2013-04-04 第183回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年四月四日(木曜日)     午前九時三十三分開議  出席委員    委員長 保岡 興治君    理事 石原 宏高君 理事 奥野 信亮君    理事 原田 義昭君 理事 平沢 勝栄君    理事 ふくだ峰之君 理事 泉  健太君    理事 佐藤 茂樹君       青山 周平君    安藤  裕君       井野 俊郎君    石川 昭政君       大串 正樹君    大塚  拓君       今野 智博君    白須賀貴樹君       助田 重義君    田所 嘉徳君       高橋ひなこ君    中村 裕之君       鳩山 邦夫君    藤井比早之君       宮内 秀樹君    宮川 典子君       務台 俊介君    村井 英樹君       山田 賢司君    吉川  赳君       大西 健介君    岡田 克也君       奥野総一郎君    後藤 祐一君       中根 康浩君    井上 英孝君       坂元 大輔君    中丸  啓君       丸山 穂高君    村上 政俊君       國重  徹君    遠山 清彦君       井出 庸生君    佐々木憲昭君       玉城デニー君     …………………………………    参考人    (選挙プランナー一般社団法人日本選挙キャンペーン協会専務理事)     三浦 博史君    参考人    (慶應義塾大学大学院政策メディア研究科客員教授)            夏野  剛君    衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君     ————————————— 委員の異動 四月四日  辞任         補欠選任   井野 俊郎君     山田 賢司君   長坂 康正君     青山 周平君   務台 俊介君     村井 英樹君   岡田 克也君     大西 健介君   村上 政俊君     中丸  啓君   井上 義久君     遠山 清彦君 同日  辞任         補欠選任   青山 周平君     長坂 康正君   村井 英樹君     務台 俊介君   山田 賢司君     井野 俊郎君   大西 健介君     中根 康浩君   中丸  啓君     村上 政俊君   遠山 清彦君     井上 義久君 同日  辞任         補欠選任   中根 康浩君     岡田 克也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案逢沢一郎君外五名提出衆法第三号)  公職選挙法の一部を改正する法律案田嶋要君外五名提出衆法第一号)      ————◇—————
  2. 保岡興治

    保岡委員長 これより会議を開きます。  逢沢一郎君外五名提出公職選挙法の一部を改正する法律案及び田嶋要君外五名提出公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人として選挙プランナー一般社団法人日本選挙キャンペーン協会専務理事三浦博史君及び慶應義塾大学大学院政策メディア研究科客員教授夏野剛君に御出席をいただいております。  この際、両参考人に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、三浦参考人夏野参考人順序で、お一人十分程度意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  念のため申し上げますが、発言する際には委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人委員に対し質疑することはできませんので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。  それでは、まず三浦参考人にお願いいたします。
  3. 三浦博史

    三浦参考人 ただいま御紹介賜りました選挙プランナー三浦博史でございます。  大変僣越ではございますけれども、多少のお時間をいただきまして、選挙の現場に携わっている者の一人として、このたびのネット解禁について、与党案がよしとされている論点について、私なりの意見を述べたいと思います。  冒頭に、まだ決まっていないようでありますが、あすのこの委員会で、与野党間の合意がなされ、本法案が成立するかもしれないというマスコミ報道を聞き、ここにおられる全ての議員先生方の御尽力に、心からの敬意と謝意を表したいと思います。  選挙戦におきまして、日本常識世界非常識と言われるものの代表的な例の一つネット規制であります。同時に、今回は関係ございませんけれども、世界選挙常識であるドア・ツー・ドア、すなわち戸別訪問禁止につきましても、これは世界非常識に該当しますので、ぜひ近未来、御検討を賜りたいと存じます。  さて、本来、私は、ネット上での規制はできない、また、すべきではないという完全自由化論者であります。しかし、問題は、第三者というふうに位置づけられておりますが、主役たる、主権者たる有権者立場に立った法改正でなければならないということであります。  不測の事態により、有権者に対し、想定外の迷惑をかけたり、日常コミュニケーション事情支障を来したり、社会的な混乱や秩序を乱すことが絶対にあってはならない。仮にあるとしましても、それを最小限にとどめるということが、私は、政治の責任の一つではないかというふうに考えております。  有権者が、今回の法改正によりまして、できる限り混乱することなく、コンプライアンスを守りつつ、また、悪質かつ巧みな投票誘導などの事態が起こらないよう十分配慮をいただいた上で、段階を踏んで完全自由化をしていくことがセカンドベストというふうに考えている次第でもございます。  それでは、論点に移りたいと思います。  まず、有料バナー広告政党のみに限定することについてでありますが、これは第一に、テレビラジオでのCMなど、他の有料広告との整合性の問題があると思います。  現行の公職選挙法におきましては、テレビラジオでの政党による広告政策宣伝は認められておりますが、候補者個人による選挙広告は認められておりません。政治活動については禁止されていないという御指摘もあるようですが、御承知のように、民放連等による自主規制も相まって、立候補表明以降、特定期間に当たりましては、売名行為選挙運動にわたる表現出演等、厳しく規制されているのが実情と言えます。  有料バナー広告政党のみならず候補者個人まで広げて認めるのであれば、テレビラジオでの候補者個人有料選挙広告も認めなければ整合性はとれないと考える次第でございます。  第二に、選挙運動費用法定制限額があるので、問題はないのではないかという御指摘、御意見もありますが、裏を返せば、法定制限額以内であれば幾らでも有料広告ができるという解釈ともなります。  大体、先日行われた総選挙も、参議院選挙におきましても、法定制限額ぎりぎりの収支報告を出している候補者は皆無に近いのが実情であります。  一例を挙げてみますと、総務省平成二十二年七月十一日執行の参議院比例代表選出議員選挙における公職候補者選挙運動に関する収支報告書の概要によれば、百八十七名の立候補者平均支出総額は一千十万二千八百八十八円となっています。法定選挙運動費用額は五千二百万円であるため、平均値とはいえ、あえて無理に推測をすれば、残りの四千万円程度有料バナー広告に投入することも可能となるわけであります。これを候補者が実行した場合、ネット上ではかなりの露出が予想されます。  ちなみに、同年の最高額候補者の方は、約三千三百万円でありました。それでも二千万円弱の余裕があると言えます。これでも十二分に有料広告が可能なわけであります。  そしてもう一つは、公職選挙法精神から逸脱するのではないかということであります。  我が国公職選挙法は、昭和二十五年施行の古い法律とはいえ、徹底して機会均等精神が貫かれていると言えます。法定制限額の設定もその一つでありますが、米国にはそうした制限がなく、例えばテレビコマーシャルの予算も、スーパーPAC外部団体を含めれば、青天井が実情であります。  しかし、我が国では、確かに時代おくれの面は否めないものの、大半の印刷物等におきましても、量的制限を課すことにより、当落が資金力の大小になるべく左右されにくくなるように配慮されていると思います。  論点となっている候補者個人有料バナー広告を可とすることは、前述のような法定制限額以内におさまるにしましても、資金力のある候補者にとっては、少なくともサイト上に限っては、投票誘導が多少なりとも優位に働くであろうことは容易に想像がつきます。  次に、第三者によるメール配信を不可とすることが妥当と思われる論点についてですが、まず一つ目は、善意の有権者への十分な配慮がなされなければならないというふうに考えております。  完全自由化して、罰則規定、これは禁錮刑罰金刑公民権停止などがございますが、これが周知徹底されないうちに選挙戦に突入すれば、一般有権者がみずからの熱い思いメール送信した結果、思いがけず刑事告発をされることもあり得ます。取り締まり当局の手間も、恐らく膨大なものになるに違いありません。  ネット解禁によって、投票率の向上や選挙コストの軽減、有権者政党候補者比較が容易になるなどのメリットが期待される反面、罰則規定ルールが十分に周知されていない第三者、特に選挙主役である有権者が少なからず選挙違反に問われることも想定され、そうした事態は避けるべきというふうに考えております。  こうしたことを避けるためにも、まずはメール配信政党及び候補者個人のみにとどめ、ルール周知徹底状況など、しばらく様子を見た上で第三者までその範囲を広げていくなど、段階的な措置で混乱最小限にとどめる配慮が必要と考えている次第でございます。  二つ目は、過度の落選運動を回避しなければならないと思っております。  昨年の韓国における国政選挙、特に大統領選挙におきましては、ネット上で多くの悪質かつ行き過ぎた落選運動が展開されました。企業法人個人特定候補への落選運動のためのメールを一斉に配信することも可能となった場合、海外のサーバーを使えば、少なくとも公示期間中、刑事告訴はもとより、削除を求める行為や事実認定は事実上不可能と思われます。  韓国では、不正な選挙運動監視規制するための委員会監視団が設置されましたが、それでも大きな混乱が後半戦では生じております。  私が一番大切な論点と思っているのは、情報信憑性信頼性という問題であります。  テレビラジオ、新聞などの媒体については、有権者はその情報発信源から発信される情報に対し、自己評価とはいえ、一定信頼性信憑性のランクづけや判断が可能であります。政党候補者個人から発信された情報についても、先入観に基づくかもしれませんが、個人差はあるといっても、一定信頼性信憑性は得られると思われます。  しかし、その範囲第三者にまで広げた場合、特に、第三者には企業法人等も含まれるため、恐らく企業法人特定候補者支援の一環として、選挙運動に関するメール配信する対象者を獲得するための運動が組織的に繰り広げられ、仮にそれを断った場合の社会的問題や、それを承諾した場合でも、大量の選挙運動に関するメール対象者に届くという事態も予測され、政党候補者からのメールが開きにくくなったり、日常メールのやりとりにも支障を来すことにもなりかねません。大量の選挙運動メールが短期間に集中して届くことで、メールが見られなくなる、信用しなくなるといった、一時的な負の社会現象を生むおそれも懸念されます。  まだまだ申し上げたいことはございますが、大切なことは、主権者たる有権者立場に立った法改正でなければならないということであります。  我が国では、東日本大震災時に世界から称賛された秩序ある治安維持状況を見てもわかりますように、さまざまな予防策を講じておくことにより、大きな混乱や弊害を生まないものと確信しております。  御清聴ありがとうございました。(拍手
  4. 保岡興治

    保岡委員長 ありがとうございました。  次に、夏野参考人にお願いいたします。
  5. 夏野剛

    夏野参考人 御紹介にあずかりました慶應大学夏野でございます。  私は、皆さんもう御存じかもしれませんが、ずっとネット業界におりまして、また、今回大きな話題になっているメールについても、さんざんひどい目に遭ってきたといいますか、いろいろな対処をしてきた、そういう経験もございますので、そういうバックグラウンドをもとに、きょうはメーンに、インターネットにおける電子メール第三者への解禁について、与党案野党案の一番の違いはこのメールの扱いというふうに伺っておりますので、こちらについての意見を述べさせていただきたいと思います。  その前に、ここにいらっしゃる皆さんは、ネット選挙運動解禁に向けてポジティブなスタンスを持っていらっしゃる方が多いと思うんですけれども、その方々には釈迦に説法ですが、ぜひ一言申し上げたいのは、この十五年間に日本社会あるいは世界がどれだけIT技術によって進化したかということに思いをはせていただきたいんです。  例えば航空券は、今や国内線の航空券の七〇%以上が、個人ウエブで決済する時代になっている。これは、航空会社ビジネスモデルが根本から実は変わっているんですね。あるいは証券会社証券取引は、ほぼ全部ウエブ上で行われるようになりました。  十五年前の常識は、個別に営業マン電話をしてやっている世界、もう今はなくなってしまいました。今、例えばショッピングモールなんというところに行きますと、地方の酒屋さんが高級なワインを日本全国に向けて売っている時代です。これは、商圏というものがもうなくなってしまったんですね。全ての事業形態、全てのビジネスが、ITによって、この十五年間で激変しているんです。  しかしながら、今回話題になっている公職選挙法も含めて、社会制度、あるいは日本企業も、年功序列、終身雇用新卒一括採用を初めとして、二十年前、三十年前と同じことをやっていることが、私は、この二十年間の日本が元気がない最大の理由だと思っているんです。  これは、ほかの国を見ていただければ、御存じのように、例えばアメリカ、別にほかの国が全ていいわけではありませんけれども、ほかの国はそれなりに、社会制度にどんどんITとか状況の変化というのを反映させているのに対して、日本社会システム、あるいは会社の仕組み、民間もかなりおくれています。民間の仕組み、あるいは大学教育制度も含めて、余りにこのITというもの、あるいは新しいものを受け入れるのをゆっくりやってきた、余りやってこなかった。これが日本未来にどれだけの影響を与えるかということをぜひ念頭に置きながら、きょうのお話をお聞きいただければというふうに思っております。  電子メール第三者への解禁に絞ってお話をさせていただきますけれども、御存じのように、インターネットはもう既に生活基盤になっています。お手元の資料を見ていただければおわかりのように、二ページ目です、インターネット上のアプリケーションで一番使われているのがメールという状況です。ただ、もちろん、ここには世代間の格差がございまして、極端な話を言ってしまいますと、五十代以上と四十代以下では全然使用形態が違うのも事実です。  ただ、先ほどのお話にもありましたような、これからお話しする迷惑メール等に関しても、実は、使っていない方にはほとんど迷惑はかからないという現実もあるのが今回の迷惑メールです。ですから、そういう意味でいうと、電話等に比べれば全然ましかもしれません。街宣車に比べれば全然ましかもしれません。そういうようなこともあります。  個人間のインターネットコミュニケーションは本当に変貌しています。メールに関して言いますと、これだけ広く使われておりますけれども、最近は商業用のいわゆるメールというのもかなりふえてきましたので、個人ベースでいいますと、皆さんが常に検討されていらっしゃるSNS等も含めて、そういった代替物も使いながら、いわゆる五十以下のユーザーというのは、メールだけではない、複合的な方法個人間のコミュニケーションをしているというのが現在の現実でございます。  ここの中で、公職選挙法改正に向けた与党案における、選挙運動用電子メール解禁主体候補者政党等に限るということは、実は、これだけ個人がたくさんのコミュニケーションをしている中では、かなり複雑な、あるいは有権者にとって非常にわかりにくい内容になる可能性があるということをぜひ今回御指摘させていただきたいと思っているんです。  例えば、誰々さんが当選した方がいいんじゃないかなと、ツイッターでつぶやいてもいいのに、メールで送ったらだめというのは、これは非常にわかりにくいですね。あるいは、みんなで投票しようよ、誰々さんに投票しようよなんということを、口頭で言ってもいいし、ツイッターで言ってもいいし、フェイスブックで言ってもいいけれども、メールはだめ、これはよくわからないですね。そういうことが起こり得るということでございます。  この与党案第三者への解禁を見送った理由は三点あるとお伺いしています。  一点目は、成り済ましや誹謗中傷取り締まりが困難であるということなのでございますけれども、これは、実は電子メールに限った話ではございません。SNSツイッターフェイスブックでも成り済ましの問題はたくさんありますし、皆さん、恐らく、同じ名前のツイッターアカウントで全然知らない人がやっているというのを発見された方はいらっしゃると思うんですけれども、これは電子メールに特別な話ではないということですね。にせアカウントというのは常に存在し得る話なので、これがいいとはもちろん申しませんけれども、メールに限った話ではないということは御理解いただきたいと思います。  それから、先ほど三浦さんもおっしゃっていました迷惑メール被害拡大ですけれども、実は、日本は、携帯に対する迷惑メールが物すごく多く発生したのが二〇〇一年ごろでございまして、このころから、各ISP、特にメールサーバーを管理している人たちというのは、かなり迷惑メール対策をやってきています。これは業者によってやり方が全部異なっていますし、そのロジックは公開されておりません。公開すると、それをくぐりますので。ただ、大量送信メールと言われるものに対しては、ユーザー保護の観点から、かなりいろいろな対策が進んでいるというふうに認識していただいて結構だと思います。  これは実際に、今、商業用迷惑メールというのがたくさん存在する現実対処するためになっております。ですから、これが全て選挙用メールにそのまま適用できるとは考えておりませんけれども、大量送信一般消費者国民生活影響が出るようなことが一時的に起こったとしても、これに対する技術的な対処方法というのは存在しているということは事実としてあると思います。  ただ、それでも、悪意を持ってやろうと思う人間がかいくぐってくるのは現実としてございます。ですから、完全にこれを排除することはできません。できませんが、それよりも、一般国民が簡単にコミュニケーションツールを使って政治に対して議論するというメリットとの比較で考えると、私は、一般国民が自由にITツールを使って議論することの方が国民的なメリットが大きいんじゃないかというふうに思っております。  そして、最後の論点は、事前承諾がないメール配信による逮捕者続出懸念というのが三点目にあるというふうにお伺いしています。  これは、事前承諾を得るということが前提になっているメール送信なので、第三者事前承諾を得ずに、たまたま友達にこういうメールを送ってしまって、最悪公民権停止を含むようなことになるのではないかという懸念でございますけれども、これについては、私は、事前承諾というものを個人に求める時点でかなり無理があるんじゃないかなというふうに思っています。  議論の中心が、政党及び候補者あるいは組織としてメールを送る人たちに対してどういう規制をするかという議論で行われたということは重々認識しておりますけれども、第三者という概念の中には、一般国民の普通の個人が自分の友人あるいは関係者に何かコミュニケーションするということが入ってしまいますので、そこで、誰々さんがいいんじゃないかなというメールを私信として送ったものが、最悪刑事罰になるということになりますと、これはとても一般国民としては理解がしがたく、なおかつ、その規制に誰もがひっかかる可能性があるわけですね。そのような規制は、私は、合理的かつやむを得ない最低限のものとは言いがたいと思いますので、最悪の場合、憲法第二十一条の通信の自由とか表現の自由というものと抵触する可能性があるんじゃないかとまで私は思っております。  そういう面でいいますと、このような理由から、第三者への選挙運動メール解禁というものを私は強く希望したいと思っています。第三者メールには、事前承諾も不要と考えております。候補者政党等第三者に成り済ますことで文書図画の頒布を免れるような行為には、現状の罰則規定でも十分に対応できると考えておりますので、解禁を希望している次第です。  ただ、それでも第三者への選挙運動メール解禁しないということであれば、逆に、具体的な選挙運動メールというものの規定、一体どこまでが許されてどこまでが許されないのかというのを明示していただかないと、例えば、私自身判断がつかないグレーゾーンというのが広がってしまう可能性があります。  より複雑な規制や仕組みというものを設けることは国民の利益につながりませんので、ぜひこの点は御留意いただいて、今後の議論につなげていただければなというふうに思っております。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手
  6. 保岡興治

    保岡委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  7. 保岡興治

    保岡委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄君。
  8. 平沢勝栄

    平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。  三浦参考人、そして夏野参考人には、大変に貴重な御意見、ありがとうございました。お二人の意見は、共通点は、ネット選挙は絶対に必要だ、日本が早くこれを導入して今の選挙やり方を変えるべきだ、この点については、お二人の考えは全く共通だろうと思います。  そして、お二人の書かれた本をいろいろ読ませていただきましたけれども、そしてまた今もお話ありましたけれども、ネット選挙には、いろいろなメリットもありますけれども、同時にデメリットがあって、それで、先ほどお話がありましたように、デメリット最小限に食いとめなきゃならないということだろうと思います。  そこでお聞きしたいと思うんですけれども、誹謗中傷、成り済ましとか、こういったいろいろな問題が心配されているわけです。私個人も、二〇〇九年の八月三十日、あの民主党さんが大勝された選挙のとき、その直前に全くでたらめのことをネットに書かれまして、これがどんどん拡大していくわけですね。  中身は、タレント女性と一緒にいて、そしてその女性が亡くなったときにタレントは何もしなかったということで、なぜすぐ警察は捕まえないんだと。その後捕まるんですけれども、なぜすぐ捕まえないんだ、警察が捕まえないのはおかしいんじゃないかと。私が働きかけたんじゃないかとかなんとかネットに書かれて、どんどん拡散していくんです。私自身は、それはもう全く、タレントの名前も知らない、聞いたこともない。なぜわかったかというと、駅で立っていたら、通行人の方が、こういうのがネットに出ていますよということで教えていただいたということなんです。  ですから、こういうことは別にネット選挙解禁しようが解禁しまいが起こることでしょうけれども、ネット選挙解禁すれば、当然のことながら、ネット選挙に対してある程度のオーソライズを与えたということになりますし、当然のことながら、ネットを見る人が物すごくふえますから、影響も、こういったでたらめを書かれたとき、被害が出ても被害回復が選挙中は極めて難しい。私の場合も、選挙が終わってから弁護士で対応したんですけれども、選挙中というのは限られた時間ですから、その間の被害回復というのは極めて難しいということになるわけです。  誹謗中傷、成り済まし等のいわば事実無根の、要するに相手に対する嫌がらせ、こういったものに対する対策については、三浦参考人夏野参考人はどうお考えになられるか、ちょっと教えていただけますか。
  9. 三浦博史

    三浦参考人 私なりの意見を申し上げさせていただきますと、アメリカは、御承知のように大変なネガティブキャンペーンで、ただ、日本と違うのは、日本では、昔から怪文書というのがあって、差出人不詳で、書いてあることは、今、平沢先生がおっしゃったように事実無根ということがありますが、アメリカは、ほとんど事実に基づいたネガティブキャンペーンであります。  大事なことは、向こうはネガティブキャンペーンがすごいんですが、十のことを例えば民主党のA候補がやれば、共和党のB候補は十か二十やり返すという、お互いに、体力、予算、人員、そういったものがほぼ互角に、二大政党で大体そろっているんですね。  日本では、やられ損というか、選挙中にやられますと対応のしようがない。もっと言うと、じっくり今から、ちょっと無礼な言い方をすると、夏野さんみたいなプロの方が一生懸命私のネガティブキャンペーンを周到に用意されて、公示日にそれをばらまかれたら、十七日間で、私のサイトで幾らそれに反論しても、なかなか徹底しない。そういうふうに、やられ損というか、そういった時代背景があると思います。  ですので、誹謗中傷、成り済ましにつきましては、これは今回のネット解禁関係なく出てくると思いますので、ここら辺につきましては、関係当局とか、あるいは、韓国のように監視委員会を強化するとか、各政党でそういったものを徹底して監視するとか削除させるとか、あるいは、公的とは言いませんけれども、一般有権者が、ああ、これは作為的にやっているひどいメールだな、あるいは掲示だなとわかるような、そういったサイトの立ち上げとかいったことも、官民ともに監視していかなければいけないと思います。
  10. 夏野剛

    夏野参考人 私自身も、いろいろとネットに書かれることが多うございまして、特に前職の通信会社の役員をやっていたときは、事実無根なことをいろいろ書かれたりした経験がございます。  今おっしゃった成り済ましや誹謗中傷というのは、本当に社会を反映した、暗黒の部分といいますか、非常に悪意を持ったところなんですけれども、これはもう、先生も御指摘のように、ネット選挙そのものと実は関係ないところに存在して、例えば、いわゆる発行部数の非常に少ないようなメディアと言われる中にも、そういうことをやっているところもある。  ただ、ネット選挙解禁の一番いいところは、ネットで反論ができるようになるということですね。つまり、今までは、そういううわさをばらまかれたときに、選挙期間中であると、ホームページで反論一つできない。ですから、それがまことしやかに語られるなんということがありました。あるいは、先ほど先生がおっしゃられたように、自分は気づいていなかったということ、これがネット選挙運動解禁によって、きちんと自分で反論できる、それは事実無根ですよと。  しかも、立場のある候補者の方々が反論するということは、そこにうそをついているということはもっと大きなリスクを背負っているわけですから、これはもちろん、それを信じる信じないというのは国民の側にありますけれども、少なくとも、きちんと反論できて、しかも、その影響度合いというのは候補者の方の方が大きいというのは、むしろ健全な方向に行くのではないかと私は思っております。  それから、やはり、ネット選挙解禁することで、可視化されるということは大きな意味があります。つまり、可視化というのは、今までは、そういうことを言われていても、知らない間にそういううわさが広まっているとか、先ほど三浦さんがおっしゃった怪文書なんというのは、本当に、信憑性がなければないほど信じられるみたいなところがありますから、これに対して、これから毎日、御自分の名前をグーグルで検索することになると思います。検索すると出てきます。出てきたことに対して、きちんと、異論があるのであれば反論する。しかも、グーグルあるいはサーチエンジンで出てこなければ影響度合いは少ないですから、そういう意味で、可視化されるということで健全な議論が促進される面もあるのではないかな、このように思っております。
  11. 平沢勝栄

    平沢委員 ありがとうございました。  国民皆さんも含めて一番心配しているのはこの点だろうと思うんですけれども、例えば、この候補者を何とか落としたい、気に食わないということで、国内でやった場合には、日本警察は、それでもある程度はできると思いますけれども、私は、国外からもし集中的にやられた場合には、日本警察は、捜査協力をやっても、なかなかこれは難しいだろうと思うんです。  そこでお聞きしたいんですけれども、例えば、特定の国が、この政治家は自分の国にとっては気に食わないということで、国家的に、集中的に特定候補者にいろいろな形でサイバー攻撃をかけた場合、被害回復というのは極めて難しいし、捜査当局も、選挙中はもとより、選挙が終わっても検挙というのはなかなか難しいだろうと思いますけれども、こういったことについてはどうお考えになられるか。三浦参考人、ちょっと済みません。
  12. 三浦博史

    三浦参考人 私の立場ではちょっと分を越えていると思いますけれども、それは日本の、日本国に対するセキュリティーの問題だと思います。したがいまして、選挙に限らず、ありとあらゆる場でそういったサイバー攻撃はあり得ると思いますので、今回の法改正によって、そうしたことがないように、関係当局というか、先生方のお力で、そういったものを政党候補者関係なく防いでいただく努力をしていただきたいと思います。
  13. 平沢勝栄

    平沢委員 では、夏野参考人にも、簡単に。
  14. 夏野剛

    夏野参考人 ありがとうございます。  サイバーテロあるいはサイバー攻撃に関しては、非常に大きな問題であると認識しております。  ただ、政治家の方個人をターゲットにして、ある国家がということは、あり得ないことではありませんけれども、そのメリットデメリットを考えたときに、それがどれだけの意味があるのかということでいうと、発生可能性というのはそんなに大きくないのではないかな、個人の方を狙ったのは。あるいは、政党単位ではあり得る話ではありますけれども、ある特定の国というのは本当に特定の国だと思いますので、一般の国ということでいうと、国家単位のというのはかなり例外的なことになるのではないかなというふうに思っています。  一方で、組織的な攻撃、あるいはサーバーがダウンするようなことというのはあり得ないことではないんですけれども、これは、実はインターネット世界では、日常茶飯事とは言いませんが、よく起こっていることで、多くの場合は、これは経済的なメリットあるいは政治的なメリットの重さを考えながらやっています。  これは本当にイタチごっこですけれども、最近は非常にトラッキングの技術が進んでおりますので、これは下手にやってしまうと、本当にトラックされて、アイデンティファイされる可能性が高くなりますので、やる側も相当な覚悟がますます必要になってきているという現実だけ申し上げます。
  15. 平沢勝栄

    平沢委員 世界にはいろいろな国があるわけで、なかなかこれは難しい問題だろうと思いますけれども、これは一つの大きな課題だろうと思います。  そこで、費用についてお聞きしたいんですけれども、今回のお二人のいろいろな著作物を読んでみますと、費用がかからなくなる、ビラをつくったり、あるいは切手代とか、そういったものが随分かからなくなるというメリットがあると同時に、今度、ネットというのを、御自分が、あるいはスタッフがやればいいんですけれども、当然のことながら、専門家に委託する、そして、誹謗中傷対策であるとかウエブサイト対策とかいろいろなことについて委託するということは起こり得るわけでございまして、そして、もう既に私たちのところにいろいろなそういったダイレクトメールが送られてきているわけです。  要するに、費用が一方でかからない、今までのような形ではかからないけれども、別な形で、請負をお願いするというか、委託することによる費用というのが新たに起こってくるんじゃないかなと。これは、いいところに頼めば、効率的、効果的なネット対策をやろうとすれば、逆に費用もかかるということも言われていますけれども、これについては三浦参考人はどうお考えでしょうか。
  16. 三浦博史

    三浦参考人 今の御指摘は、私は、当初は、ネット選挙解禁になれば、産地直売の通信販売みたいなもので、間を抜けば安く買えるというふうに思って、コストがかからなくなると思っておりましたが、このネット解禁に従いまして、いろいろな業者が私どものところにもたくさん来ます。それが、安くなるんじゃなくて、これを防止するためにはこれだけの金額が必要とか、知事選なんかでも、こういうことをするんだったらこの金額を下さいとか、いろいろ来るんですね。正直言って、それをやって本当にできるかどうかもわかりませんけれども、コストが必ずしも安くなるということではないと思います。  アメリカも、選挙費用の中で、オンライン関係、随分経費がふえております。オバマ陣営でも、多分七倍ぐらいかな、前々回よりもふえていると思いますけれども、それは、やはり経費をかければかけるだけいいものができるとか、今回は、ビッグデータを含めていろいろな使い方があったと思いますので、そういう点では、必ずしも、ネット選挙解禁になるとコストが安くなるというばかりではないので、私どもも含めて、先生方も十分に検証していただいて、いろいろお使いになっていただきたいと思います。
  17. 平沢勝栄

    平沢委員 時間もありませんので、今度は夏野参考人にちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、夏野参考人の書かれた中に、ネットを使えないというのはもうリーダーに全くふさわしくない、こういうことが書かれてあります。そうかなとも思うと同時に、全てがそうかなという気もしないでもないわけで、ある意味では、例えばネットを極めてすぐれた会社に委託してやった人が逆にいいということにもなってしまいかねない問題も出てくるわけでございます。  そもそも、ネットがわからなかったら政治家として全く資質がないということが言えるのかどうか。私はそういうふうにもちょっと読めるんですけれども、その辺について、夏野参考人、ちょっと教えていただけますか。
  18. 夏野剛

    夏野参考人 私が、常日ごろから日本のリーダーはもうちょっとネットに対して積極的になるべきだと申し上げている理由は、一点でございます。  一点は何かというと、リーダーというのは、政治家の皆さんだけではなくて、経済界のリーダーも含めてなんですが、より多くの人たち、つまり自分がリードする人たちと、自分の目的あるいは意思を共有して、そして組織の力としてパワーを出していくということが目的ですよね。それをするために、インターネットというツールは非常に効率的なツールなんです。  例えば、二万人の社員がいても、全社員にメール一つ送れば、自分と意思共有ができるんですね。今までの日本社会ですと、社長、副社長、専務、常務、取締役、執行役員に担当部長に部長、次長、こんな段階が全部あって、伝言ゲームするたびに社長の意思なんというのは下まで伝わらないというのが当たり前でしたが、今は、社長が動画で全社員に向けて意思表明すればいける。  つまり、リーダーとして組織の力を最大限に生かそうとしたときに、ネットを使わないという選択肢は今ないだろうと。  もちろん、リーダーの中でも、五人のチームのリーダーだったら、ネットを使わなくてもいいんです。ただ、少なくとも、何千人、何万人、何十万人、特に、ここにいらっしゃるような、何十万人、何万人の票を、サポートを受けて出てきていらっしゃる方は、より多くの、密度の濃いコミュニケーションを、ネットを通じれば、有権者の方、御自分に投票いただいた方とできる、このツールを使わない手はないのではないか。  アメリカの新聞記事に出ていましたけれども、欧米のリーダー、政治経済のリーダーの七五%がツイッターアカウントを持っているという数字が先日報道されました。日本のリーダーはどれぐらいのパーセンテージかわかりませんが、一桁以下であることは事実だと思います。この現状を私は非常に憂えるものなので、そういう表現をさせていただきました。  また、政治家そのものの資質かどうかは、私は存じ上げません。申しわけありません。
  19. 平沢勝栄

    平沢委員 時間が来たから終わります。ありがとうございました。
  20. 保岡興治

    保岡委員長 次に、遠山清彦君。
  21. 遠山清彦

    遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。  まず、きょうおいでいただきました両参考人三浦さんと夏野さんに感謝を申し上げたいと思います。お忙しいところ、ありがとうございました。  私は、今回この倫選特に出されております、自民党、公明党、維新の会共同提案の法案の提出者でございまして、法案の中身について、各党協議会を経て、私どもで起草させていただいた一人でございます。そういった立場から、夏野参考人の書類を読みますと、私どもの案にかなり厳しい批判をされているわけでございますが、私ばかりしゃべってもあれなんですけれども、若干反論させていただいて、質問をさせていただきたいと思います。  先ほど来、夏野参考人のおっしゃっていることは、私はほとんど、九割同意なんですね。例えば、私自身ネットを多用している政治家の一人でございまして、ほぼ毎日、ツイッターフェイスブックで発信をしております。それから、自分のホームページの更新も、自分自身のスマートフォンからやっております。  そういう意味では、ネットの有用性というものを十分に私なりに理解して使っているわけですが、しかし、その立場からいっても、今回、第三者、いわゆる一般有権者の方々にメール解禁することについては、慎重にならざるを得ないという結論に至りました。  一点、まず夏野さんにお伺いしたいんですが、先ほど、ネットを使えば反論ができるとおっしゃいました。それはそのとおりです。ですから、私たちの案でも、ツイッターフェイスブック、ブログその他のウエブサイト全般で、第三者も含めて自由に解禁していますから、そこで反論すればいいんですね。  ところが、メールの場合は可視化できないんですね。できませんね。先ほど夏野参考人自身が、政治家が自分に対して非難中傷されたとしても、キーワードで検索すれば出てくるから反論できるとおっしゃいましたが、例えば、悪意のある、ある第三者の方が十万人の方にメールを送る、これは今可能なんですね。なぜなら、携帯電話の番号の組み合わせだけで、メール十万人分、勝手につくれますから。ですから、そこにメールをばあっと送る。ある政党特定政党あるいは特定候補者に対する非難中傷をばあっと書く、それで十万人ぐらいの人にメールで送る。でも、メールで送った場合は、メールで送ったことイコール、ネット上で検索しても出てきませんね。つまり、そこが密室性が高いんですよ。  メールだと可視化されないという問題がありますけれども、この点についてどうお考えになりますか。
  22. 夏野剛

    夏野参考人 まず、遠山先生が先ほどおっしゃられた、携帯電話に対してアドレスの組み合わせで十万件送れるということに対しては、これはできた時期はございましたけれども、今かなり厳しい状態になっています。これは、御存じのように、携帯キャリアの方でかなりの迷惑メールの防止をやっておりますので、単純な組み合わせは、今でも続いておりますが、かなりできなくなっている。十万というのはかなり難しくなってきているのが現状だと思います。  ただ、もしそういったことが行われたとして、間違いなく誰かがウエブにアップするでしょう、こういうメールが来たと。逆に言うと、それがされなければ限定的な影響しか出ないので、選挙活動に影響は出ないでしょう。  こういう密室性の問題はジレンマを抱えておりまして、ネットというのは、広く明らかにすればするほど影響力は増しますけれども、密室性を高めれば高めるほど、単に私信の世界に近づいていきます。  ある特定の組織の中でのメールを回していて、候補者の中傷をしたとします。これは外に出てこない。しかも、ある特定の組織の中だけでやっている以上は、恐らく影響力も限定的でしょう。あるいは、メールを使わなくても同じようなことができるでしょう。つまり、メールを使ったから効果が倍増したということにはならないと思うんですね。  そういうふうに考えてみますと、メールの密室性というのは、本当に第三者がさらに第三者影響を与える規模になったときには、間違いなく発見されるというのがネット常識だと思います。  一方で、ネットの自浄作用というのがございまして、本人じゃない人が反論することというのがネット上ではよくあります。例えば、私が動画サービスに出て、何かいろいろこういうことをしゃべっていますと、物すごい誹謗中傷的なことを書かれるんですが、そんなことを書くやつはここに来るなという、今度はクリーンな方向に行く意見が出てきたりして、つまり、これはやじの世界と一緒なんですね。  ですから、今回、第三者のものを禁止するということは、メールにおいてもそうなんですが、恐らく、誹謗中傷的なメールが出ると、それが大きな影響力を持つと、そんなのはうそだよというメール第三者から出てくると思うんです、本当でなければ。  そういうものがありますので、そういう意味でいうと、現実世界にむしろ近いのではないかなというふうに考えてございます。
  23. 遠山清彦

    遠山委員 参考人、大変貴重な御意見だと思いますが、今、最後の方で、言われている本人じゃない、ほかからやじのように反論が出てくるのがネット世界とおっしゃったんですが、それはまさに、ソーシャル・ネットワーク・サービスとかブログ上は、衆人環視の中で行われますから、誰かが書いた投稿を不特定多数の人が見て、それについて、名誉を侵害された人以外の方々も書けると思いますが、メールの場合は、先ほど夏野さんがおっしゃったように、それがそういう場所に投稿されない限りわからないという可能性があるわけでございますから、そういう意味では、完全に可視化されていないという問題があるということは指摘をしておきたいと思います。  それからもう一つ、実は、総務省の資料によりますと、これは夏野さんも三浦さんもよく御存じだと思いますが、日本で流通するメールというのは一日当たり二十億通でございます。その一日二十億通流通している日本メールの七割が迷惑メール。ですから、数でいうと十四億通の迷惑メールが毎日飛び交っているというのが現状でございます。さらに、この十四億通のメールのうち、九割以上が外国発の迷惑メールということになっております。  実は、ここから問題点は、私どもの案でも、民主党、みんなの党さんの案でも、外国のサーバー経由のこういった迷惑メール的手法による成り済ましや誹謗中傷選挙運動メールは、全く取り締まれないという現実がございます。ですから、問題は、これは我々の案でもそうなんです。  選挙運動期間というのは短いわけでございますので、この短い期間中に、外国のサーバー経由で日本有権者に対して、メールという、先ほど来議論しておりますけれども、やはり普通のソーシャルネットのプラットホームに比べると、メールの場合は密室性が高いのは間違いないわけですね、もともと私信ですから。誰かがオープンにしなければ、ずっと私信なわけですから。そういう手段を使って、例えば投票日二日前にそういったメールが大量に出回った場合は、投票日までの二日間の間にそこで侵害された名誉を回復する措置というのは、特に外国サーバー経由のメールの場合、極めて難しいと思いますけれども、そこは技術的に乗り越えられるんでしょうか。
  24. 夏野剛

    夏野参考人 まさに遠山先生が今御指摘いただいた、現状でも十四億通の迷惑メールが流通しており、しかし、皆さんはそれで大変な混乱に陥っているかということと同じお話だと思っております。  つまり、技術的にかなり対応が進んでいる。冒頭に私申し上げましたように、迷惑メールの歴史というのは、この十年間、十二年ぐらいですね、かなりいろいろな対応がとられていますし、毎日が実は戦いなんです。  例えば、ISPのメールサーバーを持っている主体者は、毎日、手をかえ品をかえやってくる迷惑メールに対して、それがお客さん、皆さんに届かないように処理しています。これは、ロジックとしては、大量送信の、つまり同じIPアドレスからかなりの通数が出てきたときには遮断するとか、いろいろな方法をとっておるんですが、逆に、遠山先生御指摘のように、投票日の二日前にかなりの影響力のあるような大量のメールをきちんと届けようとすると、恐らくこれにひっかかります。例えばGメール迷惑メールフォルダを見ていただければ、ほとんどが外国から来る迷惑メールがフィルタリングされていると思うんですけれども、技術的にはかなり対応が進んでいるということは申し上げておきたいと思います。  ただし、これで一〇〇%安全かということは、一〇〇%安全ということはインターネット技術の世界ではございませんので、これは一〇〇%の保証はできません。そういうリスクがあることは事実だと確かに思っております。  ただ、これよりも、だからといって第三者が送れない、どこまで書いたら自分は捕まるかもしれないというような曖昧性を国民に提供してしまうのは、どちらがメリットデメリットなんだろうかという点で、私は、むしろそういう第三者を許容した方がいいんじゃないかというスタンスでおります。  以上です。
  25. 遠山清彦

    遠山委員 私も夏野参考人お話を伺って、大分また勉強になった点がございます。  私も、個人的には、別に第三者皆さん電子メール解禁することに将来的に反対ではないんです。ただ、今インターネット上で起こっているいろいろなサイバー犯罪、この間、遠隔操作で誤認逮捕が四名も起こってしまったという事件もありましたけれども、問題は、全ての国民夏野さんのようなIT技術のレベルではないということが一つあるかと思うんですね。迷惑メール対策も、メールは使っているけれども、迷惑メール対策を全くやっていない田舎のおじちゃん、おばちゃんというのはたくさんいらっしゃると思うんですね。それから、都会のそういう対策をしっかりやっている方もいらっしゃるし、そこは平準化されていないだろうと思うんです。その辺が少しまだやはりちゅうちょせざるを得ないところ。  あとは、実際に電子メールの手法を解禁したときに、実は、解禁してみたら、悪意を持って選挙運動メール誹謗中傷する人はそんなにいないということが明らかになってくればいいと思うんですが、ただ、第一段階としては、政治家や候補者送信主体を限って、あるいは政党に限って実施をしてみて、そこでの実施状況というのを検証した上で一般の方々に解禁をした方が、より慎重な対応ではないかというふうに思っております。  ちょっと時間の関係で、三浦参考人にも一問伺いたいんですが、三浦参考人は、候補者有料広告、バナー広告解禁した場合の問題点について御指摘がございました。私もそういう認識を持っているわけでございますが、今、例えば、政治個人も、お金をかけてテレビに自分だけのCMを出すということは、別に法律で禁じられていないんですね。ところが、テレビの民放連を初め、そういう政治個人のCMは出さないと自粛をしている、決めているから出ないということなんです。ですから、私は、そこから類推するに、インターネット候補者個人のCMを解禁したとしても、恐らく多くのネットを使っている会社の方が、個人はやめてくださいと言うのではないかなと思っております。  そこの整合性三浦さんは指摘をされているわけですが、仮に、インターネット政治個人のCMは有料でいいですよというふうになった場合、例えば、全国に三百の小選挙区が今あって、インターネットというのは地理的境界線がないメディア媒体ですので、自分が住んでいない地域の政治家の、小選挙区の候補者のCMがやたらネット上にあふれると、これは一言で言うと非常に迷惑なんじゃないかなと。東京に住んでいる人が大阪六区の候補者のCMをネットでたくさん見せられても困るわけでございまして、こういった問題というのは予想されますか。この点を三浦さんにお聞きしたいと思います。
  26. 三浦博史

    三浦参考人 答えになるかどうかわかりませんけれども、今のテレビCMができないのは、選挙広告は禁止されているわけですよね。政治及び政策については、それは判断ということだと思います。  しかし、今回の場合には、ネットにおきましては、選挙広告有料広告をもし個人にオーケーとするのであれば、それは民放連関係なく、多分、恐らくほとんどの業者の方も何の支障もなく有料広告を出稿させると思います。したがいまして、多くのものが氾濫すると思います。  以上でございます。
  27. 遠山清彦

    遠山委員 三浦さん、政治個人ネット広告的なものが氾濫をした場合に、それは有権者にとって選挙判断材料として適切なものなのかそうでないのか。  つまり、政党広告が出て、そこから選挙運動用のウエブサイトにリンクするということは私どもの案でも容認をしているわけでございまして、そこから個別の候補者に、政党ウインドーに入っていくということは私たちも想定しているわけですけれども、そうではなくて、政治家あるいは候補者個々人が、選挙によっては千人以上の方々が出てきてネット広告を打つということが、果たして選挙の公正という点からいって望ましいのかどうか。  夏野さんも含めてお二人にお答えいただいて、終わりたいと思います。
  28. 夏野剛

    夏野参考人 インターネット広告は、非常に効果が検証しやすうございます。つまり、インターネット広告と今までの広告の一番の違いは、クリックレートが全部出ます。クリックレートが悪いものに回す予算は恐らく皆さんないと思いますので、最初のころに遠山先生がおっしゃるような懸念が起こる可能性はあります。しかし、各候補者が、今、ジオIPといいまして、例えばロケーションを限って広告を出すとかいう技術もございますので、知恵を働かせて、当然、限られた選挙資金の中でどうやるかというお話をやられると思いますので、最初からそうだとは申し上げませんが、きちんとそういう形になっていくのが、経済合理性としてあると思います。  それから、先ほどお話しになった、要は、田舎と都会ということでいいますと、これは携帯のメールのデータしかございませんけれども、携帯のメールでいいますと、都会と田舎でメールの発信通数はほとんど変わらないんですね。ですから、地方と都会の格差というのは、実はインターネットでいうと、日本はそんなに大きくないと推測されるんですが、ただ、年代によってはもちろんそういうことはあります。  実は、迷惑メール防止法ができた経緯の中で、ISPに対する責任規定がかなり厳しくなりましたので、今、デフォルトで迷惑メール対策がオンになっています。特に携帯はそうですね。普通のISPも、Gメールは、御存じのようにグーグルがやっているサービスなんかを見ますとデフォルトでオンになっていて、時々大事なメールがその迷惑メールフォルダに入っていたりしますけれども。なので、デジタルデバイドがこれに影響するかどうかというのはそんなに大きい問題ではないかなというふうに私は思っていますし、そもそも、使わない方にはほとんど迷惑がかからないという点もございますので、それだけ添えさせていただきます。  ありがとうございます。
  29. 三浦博史

    三浦参考人 こういう場でふさわしくない発言かもしれませんけれども、候補者を認めると、中には泡沫候補とか、愉快犯的に、非常に楽しいバナーを張っているけれども当選には関係ない、こういう方々も出てくると思われます。そして、全くそれは無視されるのではなくて、やはり一定の効果というか、投票誘導もあり得ると思いますので、私は、今回につきましては、候補者有料広告は認めない方がいいというふうに思っている次第であります。
  30. 遠山清彦

    遠山委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  31. 保岡興治

    保岡委員長 次に、後藤祐一君。
  32. 後藤祐一

    ○後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。  まず、三浦博史参考人夏野参考人のこれまでのインターネット選挙解禁に向けたさまざまな活動、そしてきょうの御質疑に、改めて感謝を申し上げたいと思います。  きょうは、候補者政党以外の、第三者と言っていいのかわかりませんが、これらの方によるメール送信話題になっていますので、主にそこに絞って議論をしたいと思います。  先ほどの三浦参考人の、これはペーパーで配られておりますけれども、三つほど、この第三者メールを認めるべきでないという理由を拝見させていただきましたので、それぞれについてお二人にお聞きしたいと思うんです。  まず、配られている紙の二ページ目の一番下のところに、これがまず一つ目理由ということなんでしょうが、一番下から四行目に、「罰則規定ルールが十分に周知されていない第三者が、少なからず選挙違反に問われることも想定され、そうした事態は避けなければならない」というふうにあります。これは、さりげなく友達に第三者メールを送ってしまって、この人、いいと思わないですか、入れませんかというようなメール、今でもやっちゃっている人はいると思うんです。そういった方が罰せられるようになるという意味においては、むしろ自民、公明、維新案の方がこの懸念は大きいように私には思えるんですが、この点について、両参考人の御意見を伺いたいと思います。
  33. 三浦博史

    三浦参考人 私の場合、ちょっと、メールだけというかインターネットだけがほかの選挙ツールとは全く違う、異質なものというふうには考えておりません。あくまでも、いろいろな選挙キャンペーングッズあるいは選挙ツールのうちの一つの手段がインターネットメールであると考えております。  したがいまして、普通にやっている、文書図画と言われておりますけれども、そういったものにおいても、これは選挙運動でやっていいもの、これはまずいものということについては、ほとんどの政党候補者、ボランティア、スタッフの方々に、コンプライアンスを含めて、先生方、事務所を含めて徹底されていることと存じます。  ですから、その範囲であれば周知徹底されていると思いますけれども、企業、団体、個人等がメールは全てオーケーとなれば、そこは、何ら規制されていないというふうなことが多分先行して、何をやってもいいんだろうということで、私は、何もわかっていないというか、何をやってもいいと思っている人たちが違反に問われるということを懸念しているわけであります。  以上です。
  34. 夏野剛

    夏野参考人 私も同様に、同様といいますのは、危ないのではないかと本当に思っております。  これは何かといいますと、やはり第三者という定義と、それから選挙運動メールの定義というのが非常に国民にはわかりづらい、今の法案では。特に、今先生がおっしゃったような何げないコミュニケーション個人個人コミュニケーションは、恐らく現時点でも行われていると思います。これを完全に、第三者はだめなんだから皆さんはやらないでくださいねと幾ら宣伝したところで、実際には存在していると思うんですね。  この存在しているものの中から恣意的に、この人はこういうことを言ったというのを、個人的に恨みがある人が例えば警察に訴えるとか、そういう形で恣意的にある特定の人だけが、自分としては普通にやっていたことを理由にもし例えば逮捕されるようなことがあれば、これは非常に大きなリスクになって、もしそういう例が何個か出てくると、私は、国民が萎縮してしまうんじゃないかというふうに思っています。  ツイッターと同じことをメールでやったらだめというのは、これは非常にわかりにくい話です。実際には、ツイッターでつぶやいたことがメールで転送されることもあるわけですね。フェイスブックでつぶやいたことがメールで転送されることもあるわけです。では、このケースはどうなるんだというふうになると、それは本人が送っていないからいいのか、あるいは最終形がメールという形になっているのでだめなのか、この辺も非常に運用上困ると思いますので、先生の御懸念は私も同意いたします。
  35. 後藤祐一

    ○後藤(祐)委員 ありがとうございます。  三浦参考人二つ目の点、その次のページの、過度の落選運動を回避しなければならないという点に関してですけれども、これについては、選挙期間より前は今でも同じですし、二つの法案で差はないと思います。そして、選挙期間中についても、虚偽事項を公表するような形については、これは別途、虚偽事項公表罪、二百三十五条二項ということで罰せられますから、これも二つの案において差はないと思います。ですから、この虚偽事項公表罪に当たらない形で、かつ選挙運動に当たらないようなものは今でも可能なわけですから、これはやれちゃうわけですよね。  ですから、結局、悪意を持って行う誹謗中傷メールは、どういう規制をしても行われてしまうでしょうし、海外のサーバーを使って外からやったらというようなお話が先ほどありましたけれども、これは今でも、違法ですが、やろうと思えばできてしまいますし、しかも、それを捕捉することは大変難しいわけです。また、メール以外の、SNSを使えば、こういった落選運動というのは、両方の案、どちらでも可能にしようということになっているわけです。もちろん虚偽はだめですよ。  そう考えますと、悪意を持った人の行為についてはどうやっても防ぎようがないし、そして、事実であれば、事実を介して行うことについては、SNSでやることは両方の案において可能なわけですから、やはりメールのところだけをだめにするという理由は、余り、この二つ目の先生の説明されている理由でも納得がいかないような気がするんですけれども、これについてお二人の御見解をいただきたいと思います。
  36. 三浦博史

    三浦参考人 今の後藤先生の御指摘ですけれども、選挙は戦争、戦いでありますので、何でも起こり得ると思います。後藤先生を落選せしめようと思った場合に、例えば後藤先生の支援者を装ったとは言いませんが、企業、団体、法人等が、たくさんの、先生への通知をしたメールを集めまして、そして公示期間の、投票日の二日前か三日前に、実は後藤さんというのはTPP問題について、こういう席では賛成と言っている、こういう席では反対と言っている、これは事実ですね、そういったことについて私は後藤先生を応援するのはやめることにいたしましたと、そういったようなこともできるわけですね。  ですから、私が申し上げたいのは、メールに限らず、選挙運動は何でもありでありますから、今回はまずは様子を見て、そして、本当に秩序がなるべく乱れない、そういったことの様子を見て完全自由化に踏み切った方がいいと主張しているわけであります。
  37. 夏野剛

    夏野参考人 電子メールは二つの大きな違った側面を持っていると私は思っています。  一つは私信の部分ですね。これは電話のかわりにメールとしてやるということが一般個人間でも行われておりますので、ここにおいては、電話をかけるのは自由なのにメール規制されるというのは非常にわかりにくい。  一方で、電子メール規制理由になっている多くのものが、悪意のある第三者の団体、個人ではそんな大量送信メールを余りやらないでしょうから、団体ということになりますね。つまり、メールの側面として大量送信ができるという側面があって、これを悪用して大きな打撃を与えるんじゃないかということが御懸念の一番大きいところとして、私、きょうお話を伺っていて感じておるんですが、であれば、そういう側面の規制とかそういう側面のルールというものの検討をした方がいいのではないかというふうに思っています。  つまり、大量送信メールということと個人間の私信としてのメールというのを分けた議論というのがどこかで必ず必要になると思うんですね。これは今後いろいろな形で議論される中で、ぜひその側面を検討していただかないと、後藤先生がおっしゃったような混乱が起こる可能性が極めて高いのではないかというふうに思っております。
  38. 後藤祐一

    ○後藤(祐)委員 ありがとうございます。  三つ目に、情報信憑性信頼性というところを三浦参考人は挙げておられますけれども、これもやはりSNSでも同じことではないのかなという気がするんですね。この理由であるとするならば、SNSも禁止しなきゃいけないような気がするんですが、これについて、お二人の御見解をいただきたいと思います。
  39. 三浦博史

    三浦参考人 ここは実際にやってみないと難しい問題だと思います。  ただ、アメリカなんかの場合は、夏野さんに聞かないとわかりませんけれども、私どものレベルで聞いているところでは、一般に、テレビが言っていることも有権者は余り信用しない。そして、メールネット上のことも、うわさ話も余り信用しない。そういったものになれているというか、判断しながら有権者は投票するというふうに伺っております。  日本の場合は、まだそういったことになれていませんので、選挙に関しましては、したがって、そういうなれていないところに、いろいろなところからメールが来た場合に、自分が関係していた同窓会であったり企業であったり団体であったり、来た場合に、それぞれを判断する、ここから来ているから、この書いてあることが本当とかうそとか、いいとか悪いとかということは、なかなか難しいのではないかな。  実際に、韓国でもそうした例があると思いますので、私は、先生がおっしゃる懸念はあると思います。お願いしたいことは、懸念されることについては、一応、政治の責任をもってそれを最小限に食いとめていただきたいのと、あと一点、ちょっと申し上げたいのは、先ほど、十万通のアトランダムなことは難しいというふうにおっしゃいましたが、それを聞いていて思ったのは、多分、私が関係すれば、一万通を十回すれば大丈夫かなというふうにもなるわけであります。選挙は何でもありですので、そうしたことに対しても対応を、ぜひ事前に防いでいただくということをお願いしたいと思います。
  40. 夏野剛

    夏野参考人 SNSメールで、今先生が御指摘になった点で違いがあるかということに関しては、違いはないと思います。全く同じだと思います。  以上でございます。
  41. 後藤祐一

    ○後藤(祐)委員 ありがとうございました。  いずれにしろ、余り完璧性を求めたりとか無謬性を求めたりというのは役所の悪い癖でありまして、これは本当に、議員立法でもありますし、議会にかかわる話ですから、もしかしたらこういうことが起こるのではないかということを気にし過ぎて萎縮させるということはできるだけ避けた方がいいという意味で、できれば、民主党、みんなの党案の方が望ましいのではないかということを改めて申し上げたいというのと、残り時間が少しで、ちょっと、全く別の提案を二つほどさせていただきたいと思うんです。  一つは、このネット選挙が盛んになってきますと、政治家の品定めというか評価、こういったものがいろいろできるようになると思うんですね。  例えば、ここでこういう審議をしているということは、世の中の人は知りません。テレビ入りの予算委員会なんかは、確かに国民は見るかもしれません。大臣なんかはテレビに出たり新聞に出たりはあるかもしれませんが、その他の、こういったところでみんな真面目にやっているわけですね。そこでの発言というのが、結構、それを見ただけで、この政治家はちゃんと仕事をしているなというのと、何言っているんだ、この人は、この大臣は答弁が全然なっていないなと結構わかるんです、先生方はよくわかると思いますけれども。  それをぜひネット世界できちんと評価するような運動というのがいろいろな形で起きてくると、政治家というものがもう少しきちんとやらなきゃやばいなという危機感を持って仕事をすると、日本政治のレベルが上がっていくんじゃないのかなという気がいたします。  それともう一つは、このネット選挙解禁によって、投票率の向上というのが一つ大きな効果としてあると思うんですけれども、投票義務づけ法についてどう思いますか。これはネット選挙関係ありません。  オーストラリアは、投票に行かないと二十ドルの罰金です、約二千円の罰金です。これについてはいろいろな議論があると思います。罰金までやるのかどうかはいろいろ議論があると思います。例えば、ちゃんと投票へ行っていた人は、次、住民税が千円安くなりますよとか、やり方はいろいろあると思いますけれども、私は、これは物すごくきくんじゃないかなというふうに思っている一人なんですけれども、この二つの提案について、ちょっともう時間がそろそろありませんが、お二人の御見解をいただきたいと思います。短目で。済みません。
  42. 夏野剛

    夏野参考人 私も、後藤先生のおっしゃるとおりだと思っていまして、やはり政治家の皆さん、国のリーダーとしての政治家の皆さんというのは、確固たる信念とか意見を持っている方が多くいらっしゃいますので、それがより多くの方に伝わるということは、これはネット選挙の一番大きなメリットだというふうに思っております。  ちなみに、現在は、この会議はニコニコ動画で生放送されておりますので、今現在でいいますと一万八千人の方がごらんいただいていますので、大丈夫でございます。NHKよりは負けるかもしれませんけれども、大丈夫でございます。  もう一つの点で、投票の義務づけなんですけれども、私個人意見としては、この投票の義務づけをやる前にやることがたくさんあるのではないかというふうに思っています。つまり、投票のしやすい環境を完全につくっているかという点です。  例えばどういうことかといいますと、なぜ日曜日にやるのかということについて、これは高度成長期に日曜日しか休みがなくて、平日はサービス残業で忙しい時代はこれでよかったのかもしれませんが、今のような時代になると、日曜に出勤している方も多いですし、それから、むしろ平日の夜十二時まで投票にした場合は、恐らく投票率は上がると思うんですね。  つまり、日曜日は、私のように子供がいると忙しいんです。ディズニーランドも行かなきゃいけないし、いろいろなところに行かなきゃいけない。そういう家族サービスとかいろいろなことをやらなくていい人は日曜日の朝から投票所に行ってもいいんですが、それはどちらかというと高齢者の方になっていくわけですね。あるいは、投票所も、近隣の小学校というのは基本的に駅から遠いところです。これは何で駅にしないのかといった、特に都会の場合ですね、ほかにもやるべきこと、あるいは少なくとも検討すべきことがたくさんある中で、いきなり国民に投票義務づけというのはまだちょっと早いのかなというのが私の個人的感想でございます。
  43. 三浦博史

    三浦参考人 一番目につきましては、私ども、いろいろな方々に、候補者比較ドットコム、そういったサイトの立ち上げを今お願いしているところでありますし、二番目の問題につきましては、モチベーションアップはすばらしいと思います。投票に行った方に対しては商店街が割引するとか云々もありますけれども、ただ、罰則は個人的には反対であります。  以上です。
  44. 後藤祐一

    ○後藤(祐)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  45. 保岡興治

    保岡委員長 次に、中丸啓君。
  46. 中丸啓

    中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。  三浦夏野参考人には、大変お忙しい中、本日は貴重なお話を頂戴しまして、改めてお礼を申し上げます。  それでは、質問に入らせていただきます。  先ほどの質問からいろいろとネガティブな御意見も多くて、新しいことにチャレンジするときというのは、人間、不安が先行するものというのは仕方ないと思うんですが、ちょっと私の意見を述べさせていただきますと、私のところで大体一日二百通ぐらい迷惑メールが来ます。夏野参考人もおっしゃっていらっしゃいましたが、大体それは迷惑メールフォルダに振り分けられていまして、ほとんど読まずにぽいというのが実情でございます。  私は、その辺に関しては、例えば、成り済まし、誹謗中傷メール皆さんお気になさっているようですが、もともと、選挙ポスターの下に怪文書を張られたりとか、選挙区内にポスティングされたりとか、そういったことは今までもあったことで、ゼロになるのは不可能かなというふうには思います。ただ、今回、我々日本維新の会は、今回の法案にもちろん賛成をして一緒に提案させていただいているわけではありますけれども、いきなり全面解禁はちょっと様子を見た方がいいかなというような視点もあるのかなと私は個人的には思っております。  そういった中で、特に夏野参考人とは、そもそも携帯電話日本でEメールが飛ぶようになったのをつくられた方だというふうに思っていまして、そのころから同じところで、私は地方ではありましたけれども、そういった仕事をずっとさせていただいていまして、いろいろなパーティーとかも参加させていただいたりしている中で、その移り行く過程をずっと見てきた者として思うのは、今後、韓国それからアメリカのそういうインターネットでの選挙活動解禁になって、ARだとか、そういった新しいスマホ向けアプリだったりとか、それでいろいろ例えば街頭演説会場がGPSで追っかけてこられる。そういういろいろなものがある中で、今の現状では、まだそこまで日本の対応というのはできていない、私が調べる限りでは。そういった中で今後どのようになっていくのかという御所見をお伺いしたいと思います。お二人にお願いします。
  47. 三浦博史

    三浦参考人 お隣韓国では、人口五千万のうち三千二百万人がスマホを使っている。もっとびっくりするのは、二十代、三十代は文候補が圧倒的に強いにもかかわらず、六十代、七十代も、半数以上がスマホを使って朴候補を応援していたという報道も東亜日報等でございました。  これからどうなるかということでありますけれども、今現在のスマホを含めたネットの利用状況が、三年、五年、十年たてば、もう当たり前というふうになると思います。ただ、中丸先生おっしゃったように、私は、インターネット選挙解禁になるということは悲願でありましたけれども、しかし、だからといって、これで選挙が一変して、これまでの選挙ががらっと変わったり、当選される先生方の顔ぶれががらっと変わるということはないと思っております。あくまでも一つの手段でありますから、それを粛々と、主権者たる有権者皆さんの視点に立ってやっていただければいいと思っております。  以上です。
  48. 夏野剛

    夏野参考人 私も三浦さんと同じような意見でございまして、インターネットがどんなに出てきても、これは、いわば、選挙活動を昔は歩いてやっていたのが車で回れるようになった程度の違いとしか僕は思えないんですね。つまり、皆さん候補者の方あるいは選挙で当選される方の資質というのをより広く知らしめる手段としてインターネットがあるだけで、候補者の資質がない方がどんなにインターネットで宣伝しても、インターネットで宣伝したから当選するということは極めて難しいと思うんです。  むしろ、個々人の意見の相違がクリアになって誤解が減るというメリットがたくさんある中で、負のところをいかにうまくコントロールしていくかということが社会的課題で、新しいテクノロジーが出てくると、これは社会的に適応するのにちょっとだけ時間がかかりますから、ここに困難が生じるのは仕方がないことではありますけれども、これをうまく利用して、より公明正大で議論闊達な選挙活動につながるのではないかというふうに予測しております。
  49. 中丸啓

    中丸委員 ありがとうございます。  私、ちょっと今回の法案の中で、こういう場合はどうなるのかなというところで気になったところが一つございますので、お二方のまた御意見を頂戴したいと思うんですが。  ネット上にマニフェストや記事やビラ、こういうものを掲載するのはオーケーということで、それを当然メール等に添付することもいいという中で、それを紙媒体に印刷した時点で頒布することが公職選挙法の百四十二条の規定にひっかかるというふうになっていると思うんですが、これを、自分のところが意図的にやれば問題ですけれども、例えば、自分の対立候補が、相手の候補にあるビラを印刷して駅前で成り済まし、まさにリアルな成り済ましで配った場合、どういうふうになるとお考えになりますか。
  50. 三浦博史

    三浦参考人 今現在でも、選挙によってはそうした嫌がらせ的な、本来、内部文書や内部事務連絡のものを大量に駅等でばらまくといったことも一部にはあるやに聞いております。大事なことは、そういった不正を働く者は、徹底的に、監視団をつくって、現場を押さえて、そして当局に引き渡す、こうしたことが一番得策だと思います。
  51. 夏野剛

    夏野参考人 私も同意見で、やる方も相当なリスクがあると思いますので、現場を押さえられると確実にアウトですから、相当勇気が要るんじゃないかと。現実には、件数はそんなに多くないんじゃないかと思っております。
  52. 中丸啓

    中丸委員 私も、リスクが多過ぎて多分誰もやらないだろうとは思いつつも、ここで発表しておけば牽制球にはなるのかなという意味で質問をさせていただきました。  それから、次の質問なんですけれども、ネット上の動画も解禁になると。動画は解禁になるけれども、制作会社にお金を払うとこれは買収行為に当たる、そういう難しいところがあって、手弁当でつくればいいというお話なんですが、例えばそれを、通常に、インターネット上は誰でもアクセスできるんですけれども、これを、では、いろいろなところの大型街頭ビジョンとかで、同時中継で、ネットで接続して出ているからいいじゃないかということで、ばあんと流した場合というのはどういうふうになるとお考えですか。
  53. 三浦博史

    三浦参考人 ビジョン広告で流すこと自体が、候補者個人は今禁止されておりますので、できないと思います。
  54. 夏野剛

    夏野参考人 大型ビジョンで流すときには相当なお金がかかりますので、多分、候補者単位でやられるのは相当難しいんじゃないかと思いますが、一方で、例えばネット選挙番組とかあるいはテレビ局の番組がビジョンで流されることはあると思うんですけれども、それは、大型ビジョンに流れるようなコンテンツをつくっているところは、ある一定の公平性を期したメディア的な役割を果たさなければ逆に視聴者がついてこないので、その辺は均衡が保たれるのかなというふうに考えております。
  55. 中丸啓

    中丸委員 ありがとうございます。  今の御意見も総合して、やはり、特に動画というものは非常に重要である。私も党の広報委員をやらせていただきまして、ネット戦略の担当もやらせていただいている関係もありますが、コンテンツをどうつくっていくかというクリエーティブな部分が非常に影響するというふうには考えております。  そうした中で、今度は、意図的なというよりも、各陣営が、今後、メール配信を行ったりツイッターSNS等で発信する場合に、逆に注意しなければいけない点というのがあると思うんですけれども、その辺の御教示をいただければと思います。
  56. 夏野剛

    夏野参考人 ネットの場合は、先ほどから皆さんから御指摘もあるように、例えば名前連呼型とか、これは一向に機能いたしません。完全に迷惑メールとみなされますし、SNS等でも、内容がないことを書いているところは全く読まれないという傾向がございますので、そういう意味では、選挙期間中にきちんとした政策論争をしやすくなる環境があると思うので、ぜひそれを生かして、相違点を明確にするようなメールあるいはSNS等の発信をしていただいた方がいいのかなというふうに思っております。
  57. 三浦博史

    三浦参考人 私自身候補者だったらそうすると思いますので申し上げると、候補者が個々の細かい点にまで注意をしたりすることはできないと思いますので、陣営の中にちゃんとネットメールに詳しい方を置いて、そして、そういう方々の目線で発信をされていくということが必要だと思います。
  58. 中丸啓

    中丸委員 あと、今の場合はウエブ上に載せる場合、逆に、今、きょう非常に議題にも上がっていますけれども、メール配信メール発信に際して、ヒューマンエラーというものもあると思うんです。  実は、先日、うちの事務所でもありまして、きょう、地元の新聞でちょっと取り上げていただいて、お叱りを受けたところなんですけれども、そういったヒューマンエラーというものが存在すると思うんですが、そういった注意点と、どういう事象が発生するか、それに対しての対応策等あれば、アドバイスをいただければと思います。
  59. 夏野剛

    夏野参考人 これは、ヒューマンエラーというのはいかなるときにも起こりますので、これを最小化するのは、やはり発信名義である人が最終確認をするというのに尽きると思うんですね。  候補者の方々は皆さんお忙しいので、代理で文章を書いたりとかそういうことがあると思うんですが、メールでもウエブでもそうなんですけれども、インターネットだと割と、後で修正できるから気軽にという気分になることはあるんですけれども、やはりこれは、例えば雑誌に寄稿するとかあるいは新聞に寄稿するということに比べると、どうしても本人チェックというのがちょっと甘くなる傾向があるんです。  短い文章をチェックするのに本当に時間もかかりませんので、そこは、候補者本人の名義で出すものについては候補者本人がきちんと最後にチェックをする、自分の言葉となっているかどうかをチェックするというのがやはり必須なのかなというふうに思っております。
  60. 三浦博史

    三浦参考人 今夏野さんがおっしゃったように、私は、メールに限らず、あるいはサイトに限らず、候補者が発信する全てのキャンペーングッズについては、細心の注意を払い、そして一つ一つ心を込めて発信をしていく、そうしたことを怠らないということが勝利への秘訣だと思っております。
  61. 中丸啓

    中丸委員 ありがとうございます。  私が申し上げたのは、そういう文章、中身のことももちろんなんですけれども、中身を幾らチェックしても、それを例えば添付ファイル等で自分の発言として秘書等に発信してもらうときに、自身の反省も踏まえて申し上げれば、要は、TOとBCCの使い間違いみたいなことも起こったりすることがあるわけです。  まさしくヒューマンエラーではあるんですけれども、そういったものに対して何か、そういうのを起こさないようにするためのツールとか、これは逆に夏野先生にお伺いしたいんですけれども、そういったものというのは今ありますか。
  62. 夏野剛

    夏野参考人 恐らく簡単につくれますね。つまり、今、中丸先生がおっしゃっているリスクが可視化されれば、例えば、BCCに十件以上入っているとか、BCCに入るべきメールアドレスはこうだということがわかっていて、そのほかのメールアドレスが入っていたら送信しないというようなモジュールあるいはプログラムをつくること自身は非常に簡単なので。  むしろ、アイデンティファイすること、こういうケースがまずいんだということができるかどうかにかかっていると思います。それができれば、それを排除することはプログラム的には非常に簡単でございます。
  63. 中丸啓

    中丸委員 そういうところをぜひ、簡単にできるとおっしゃったので、また後日御紹介いただければと思いまして。  そういう中で、ネット選挙解禁に向けて、最後に、時間もありませんので、お二人から一言ずつ、今回のネット選挙運動解禁によって、有権者の意識の変化というのが、どういうものが一番期待できるかという、有権者側に立った視点で一言ずつコメントをいただければと思います。
  64. 三浦博史

    三浦参考人 一番の有権者メリットのうちの一つは、候補者の陣営に行かなくても、ビラを街頭でもらわなくても、公示期間中に各候補者、各政党比較が容易にできる、これがすばらしい進歩だと思います。
  65. 夏野剛

    夏野参考人 大きく二つのメリットがあると思います。  一つは、有権者立場で大変申しわけありませんが、選挙が百倍おもしろくなると思います。つまり、候補者の争点の違い等がわかり、なおかつ、それについていろいろな言論が自由に発信できるようになるということは、選挙はエンターテインメントではございませんが、しかしながら、選挙が非常に盛り上がる。しかも、政治に関する関心が非常に湧くということになります。  それから、もう一点のメリットがあるとすれば、これは、国政選挙並みの盛り上がりを地方選挙にも期待できるようになると思います。つまり、今までは、国政選挙は、メディアに取り上げられる機会が多いので、国民的意識が高まる、関心が高まる傾向がございました。対して、地方選挙は、地方紙及び地方メディアしか取り上げないので、なかなか、国政選挙に比べると盛り上がらないところがありましたが、ネットでやりますと、国政選挙と同じレベルの選挙活動、あるいは選挙の盛り上がりがネットで起こりますので、地方選挙が非常に盛り上がって国民の関心が高まる、こんな効果があると思います。
  66. 中丸啓

    中丸委員 ありがとうございました。  百倍おもしろくなる選挙を目指して、我が維新の会も、毎週木曜日、生中継の番組もネットで始めましたので、頑張っていくという決意を含めまして、私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
  67. 保岡興治

    保岡委員長 次に、井出庸生君。
  68. 井出庸生

    ○井出委員 みんなの党、信州長野県の井出庸生です。  きょうは、両参考人、お忙しいところ本当にありがとうございます。よろしくお願いをいたします。  早速ですが、まず、議論の一番最初に確認をしたいのは、今回、二つの案が出ておりますが、この二つの案をもってしても、成り済ましや誹謗中傷といった類いのものが避けられないと。夏野さんの方からはっきりそういうお話もありましたし、三浦さんからもお話がありました。先ほど遠山委員の方からもそういうお話がありましたが、そこは、両案でもそういったものは避けられないというところだけ端的に確認しておきたいんですが、お二方よろしいですか、それぞれ。
  69. 三浦博史

    三浦参考人 そのとおりでございます。
  70. 夏野剛

    夏野参考人 現実に今でも起こっていることがネットでも起こっているという意味で、そのとおりだと思います。
  71. 井出庸生

    ○井出委員 それともう一つ三浦参考人にお伺いをしたいんですが、実際、今の段階でも、選挙期間中にメールはもう相当のやりとりがある、中には、選挙運動政治活動一般メールとその区別がつかない、そういった実態がある、そういうお話をされた委員もいらっしゃいましたし、夏野さんの最初のお話の中で、それをうかがわせるといいますか、そういう実態があるんじゃないかというお話もあったかと思いますが、その辺、三浦参考人はどのようにお考えですか。
  72. 三浦博史

    三浦参考人 今の井出先生のお話ですけれども、私は昨年の県知事選、これは山口県の知事選でありますけれども、それから総選挙を見ていて、ほとんどそういったことは実質ないというか、メール選挙運動期間中に飛び交って、その結果、誰が当選した、誰が落選したというような、影響力があったという話は余り聞いておりません。
  73. 井出庸生

    ○井出委員 私も、選挙の結果を左右するようなことは一切ないとは思っておりますが、ただ、メールのやりとりというものは恐らくあるんではないか、そういう懸念をしておるんですが、そこのところはどうでしょう。改めてお願いいたします。
  74. 三浦博史

    三浦参考人 あるかないかにつきましては、あるかもしれません。ただし、私の場合には、済みません、性格上というか、いろいろな選対会議その他で、選挙運動に、ああ、こういうメールがあった、当陣営ではこんなことが飛び交っているというようなことは余り聞いたことがございません。  以上でございます。
  75. 井出庸生

    ○井出委員 ありがとうございます。  私も三浦参考人と同じように、きょう冒頭でお話のありました完全自由化論者、私もそうあるべきだと思っております。ただ、そこに至るアプローチの仕方、そこについてちょっと質問をさせていただきたいのです。  三浦参考人は、まず様子を見て、そして自由化に向けてステップを踏んでいったらいいと。ただ、今回一番は、第三者選挙運動メールをどうするかという話なんですが、第三者選挙運動メールを禁止してしまえば、メールがそこに出た時点で、やはり取り締まりの対象になると。一方で、第三者選挙運動メール解禁すれば、メールを出すことは取り締まりの対象にならず、その中身の議論になってくると。そうであるならば、解禁した方が、中身の議論、慎重な捜査になって、三浦参考人がおっしゃいました思いも寄らないような刑事告訴、そういったものが逆に抑えられるんじゃないかと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。
  76. 三浦博史

    三浦参考人 これも、昨年の総選挙、いや、本当に日本人というのは物すごく従順だと思うんですが、やっちゃいけないと言われていますので、さっきも申し上げたように、私はメールによる選挙運動はほとんど承知をしておりません。  したがって、総選挙でかなりのそういったメールのやりとりがあったのであれば、これは今回の参議院の選挙におきましてもそういったことは懸念されると思いますけれども、メール選挙運動をやっちゃいけないんだというふうに多くの国民が今思っていると私は思います。ですから、政党候補者に限っては解除されたけれども、一般企業、団体やあるいは個人については、主権者たる有権者については解禁されていないというのであれば、総選挙と同じように、ほとんどそういったことは見られないというふうに私は理解しております。
  77. 井出庸生

    ○井出委員 ありがとうございます。  あともう一点、お伺いしたいのですが、三浦参考人は、昨年十二月二十二日の毎日新聞の夕刊、記事は、「安倍氏「来夏ネット選挙解禁」」「「偽物」どう防ぐ?」というタイトル、見出しなんですが、そこに寄せられたコメントとして、「公選法を改正してネット利用を解禁するのは当然だ。なりすましや改ざんの危険があるが、改正後に被害を防ぐ方法を考えればいい。候補者ネット議論を自陣に都合が良いように誘導してはいけない。自由にすることでさまざまな意見が出るものだ。」というお話があって、私は、これを読んだときに、全くそのとおりだ、選挙のプロである三浦参考人がおっしゃるんだからもう間違いないと思っておったんですが、何か、今回、メールについては様子を見ようというお考えということは、そこをまたるるお考え、検討を深められた結果、やはり新たに思い当たるところがあったということでしょうか。
  78. 三浦博史

    三浦参考人 記事を読んでいただいて、ありがとうございます。  間違いなくそういうふうに申し上げましたし、ずっと主張してまいりました。一刻も早くネット解禁してほしいと、私はもう三年前から「ネット選挙革命」という本も出しておりますし、そのとおりでございます。  ただ、去年の十二月に韓国大統領選挙がありまして、そこから少しこれでいいのかなというふうに考え出しまして、ことしの一月、二月以降は、完全自由化という前に、主権者たる有権者混乱を防ぐということも大事ではないかなと。やはり行き過ぎたものというものがないとは言えませんので、考えが多少変わりました。  以上でございます。
  79. 井出庸生

    ○井出委員 ありがとうございます。  次に、夏野参考人の方にお伺いをしたいのですが、きょうのお話の冒頭に、まずどれだけの技術革新というものがネットの分野であったかということを頭に置いてほしいというお話がありました。参考人がかつて手がけられたiモード、当時、私もかなり画期的なものだと思いましたが、参考人のプロフィールなどを見させていただいて、また、iモードという言葉を見たときに、私はそれを見たときに、今はもう、大変失礼ですが、懐かしいなという言葉になるぐらい、時の流れと技術革新はすごいものがあると思っております。  そういった中で、今回、フェイスブックツイッターメールを分ける、もっと言ってしまうと、ウエブメールを分けるということにどれだけの意味があるとお考えか、教えてください。
  80. 夏野剛

    夏野参考人 御指摘のとおりでございまして、例えばGメールというのはウエブなんですね、インターフェースは。しかしながら、そのメール送信のプロトコルそのものは、今回も規定されているSMTP方式を使っている場合もある。しかし、これは、メールもSMTPを使わない方式もございます。なので、そういう意味でいうと、テクノロジーが進化するに従って、既存の概念とか、既存の垣根とか分け方というのがどんどん曖昧になっている。  それは、先ほども、例えばフェイスブックのメッセージがメールに転送されるということは日常起こっておることでございますし、その境がどんどん、垣根が低くなっていることは事実だと思っております。
  81. 井出庸生

    ○井出委員 ありがとうございます。  私は、このネット選挙法案の審議、先日の審議で申し上げたのですが、そもそもネットの分野を公正中立に取り締まるとか、また、先ほどちょっとお話に出ましたけれども、遠隔操作事件のように、技術の進歩で捜査がどんどん難しくなっているという実態がある中で、そうであるならば、できるだけ禁止や罰則というものはなくしてしまって、その中で、まず様子を見て、問題があれば規制を、禁止項目、罰則を設けていく、そういうプロセスがいいんじゃないか、そういう思いを持っているんです。これはお二方にお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。
  82. 三浦博史

    三浦参考人 本当にこういう問題は、正直言って、ふたをあけてみないとわからないことが多々あると思います。  ただ、私が先生方に申し上げたいのは、アメリカの大統領選挙や去年の韓国大統領選挙を見て思ったことは、主権者たる有権者の方々にとって便宜を図ると同時に、混乱をできる限り生じさせないということに政治が責任を持っていただきたいなということであります。
  83. 夏野剛

    夏野参考人 社会の進化にどのように法体系あるいは社会システムを適応させていくかというのは、先生がおっしゃられたように大きく二つのやり方があって、これは、自由度を高めて状況に追いつくようにしていくか、先に危なそうなことは規制しながらいくかなんですが、日本の場合は、過去二十年間、先に規制をつくることによってむしろ進化のスピードをうまくコントロールしてきたら、コントロールし過ぎて、なかなか世界の動きについてこられなかったようなところがたくさんあると私は思っておりますし、今の公職選挙法というのは、まさにそういう状況にあったからこそ皆さんが改正を議論されていると思っておりますので、もう少し今までのやり方を変えて、自由度を高める方向で考えてもいいのかなというふうに、個人的には思っております。
  84. 井出庸生

    ○井出委員 ありがとうございます。  今、夏野参考人がおっしゃったこと、私も同じことを考えておりまして、やはりどうしても、さまざまな分野でこれまで、まず規制をかけることを優先するのがいろいろなところで見られてきた。  今回、議員立法ということで、できるだけよいものをつくりたい。ただ、議員立法であるがゆえに、各党の議論もありますし、法律家や捜査機関からするとここはどうなんだろうなという、詰め切れないところもある。だからこそ、最初、できるだけ規制をかけないようにという思いがあるんですが、そのあたり、もう一度、いかがでしょうか。
  85. 三浦博史

    三浦参考人 先ほども申しましたように、こうした問題につきましては、ふたをあけてみないとわからないことが多々あると思います。誰もそれを本当に予測はできないと思います。  申し上げたいことは、先生がおっしゃるとおりになるかもしれませんけれども、私としては、ここで一般有権者に対して、主権者たる有権者に対して全て解禁すれば混乱が生じるだろう、それを防いでいただきたいというふうに思っている次第でございます。
  86. 夏野剛

    夏野参考人 今後もテクノロジーの進化はますますあると思いますし、それによって起こることというのは、実は私は、テクノロジーが難しくなるという御指摘がございましたけれども、逆だと思うんですね。テクノロジーがもっと身近になって、簡単になってくる、一般国民の生活の中に入ってくる。例えば、スマホといわゆるガラ携と言われるiモードの一番の違いは、やはりコンピューター能力、処理能力を持った端末が一般人にも使えるようになった、インターフェースの問題だと思うんです。  これは、技術革新で、それこそ先ほど韓国の例でありました、年をとった方でも使っているよというのは実は日本も同じでございまして、そういう状況が出てくるということは、どんどん新しいテクノロジーが身近になっていく。実は、身近になっていくと、規制の体系というのは、そのテクノロジーに焦点を当てた規制ではなくて、そもそも人間社会ルールとしてどうなんだというところから掘っていった方が、私は、的を得ているんじゃないかと。  つまり、今回も公職選挙法で言われているのは、文書の頒布と電話、この違いが原点にあって、インターネットは印刷ができるから文書の頒布になっている、これはいつの時代の話かと。電話で攻勢をかけるのはフリーに許されているのにメールはだめという理屈は、もはや印刷物と、音声データの書き起こしで、別に自動プログラムで幾らでも文書化できるんですね。こういう時代には実は当てはまっていないかもしれない。  こういったことをきちんと、社会としてどういうルールなんだ、悪意がある人間がこういうことをしてはだめだ、そのフォーマットは問わないというような規制の形を議論してもいいんじゃないかというふうに個人的に思っております。
  87. 井出庸生

    ○井出委員 ありがとうございます。  私も、ネット解禁は、紙媒体や旧来の手法ももちろん維持することは大切なんですが、ここを早く解禁しなければ、逆に、ネットを本当によく使っている人たちにとって選挙情報の格差も生みかねないと思っておりますので、そこは早く、よりよいものが今回できればいいなと思っております。  貴重な御意見を、きょうはありがとうございました。
  88. 保岡興治

    保岡委員長 次に、佐々木憲昭君。
  89. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  お二人の参考人には、三月に行われたシンポジウムで御一緒させていただきまして、大変有意義な議論をさせていただきました。本当にありがとうございます。  きょうは、私、有権者に対してネット選挙運動解禁というのは非常に大事なことであるという立場で質問させていただきたいと思います。  選挙権と選挙の自由というのは、主権者国民の基本的権利であるというふうに思っております。本来、自由な選挙運動というのは有権者に保障されて当たり前だというふうに思います。したがって、今回、有権者個人ウエブサイトあるいは電子メールを使った選挙運動ができる、これは非常に画期的な前進だと思っております。  今の現状をもう言うまでもなく、選挙運動に入りますと、ホームページの更新がぱたっととまるとか、ウエブサイトだけではなく、論戦が非常に制約されてしまう、こういう問題があります。そういう意味で、まずは、少なくともネット上の選挙運動を自由にというのは、非常に大事なことだというふうに思います。  そこで、これが解禁されていきますと、例えばウエブサイトの上で、有権者みずから、誰々候補に一票を、こういうことを呼びかけることができますし、候補者を集めて公開討論会、こういうこともネット上でできるようになるわけですね。有権者同士で選挙の争点について情報交換をするイベントもできる。大変可能性が広がるわけであります。それから、大事なことは、政党候補者国民から寄せられる意見に対して個別に答えることができる、そういう双方向性というのがあると思うんです。  そこで、この解禁によってどういう世界が広がるか、百倍おもしろくなるというふうにおっしゃいましたけれども、私もそういうことを期待したいんですが、ネットの場合の解禁の特性といいますか、そういうものを踏まえて、どういう可能性が広がるか、有権者政治参加がどういうふうに広がっていくか、お二人の御意見をまず最初にお聞かせいただきたいと思います。
  90. 三浦博史

    三浦参考人 前の発言と少し矛盾するかもしれませんが、大きく変わる可能性があると思います。  一番大事なことは、有権者から見て、政党に対しても候補者に対しても比較ができる。そして、恐らく今後は、候補者の方々は二枚舌ができなくなる。ある会合で何々について賛成、ある会合では私は実は反対です、こういったことはもう即ネット上で検証されてしまう。そういう意味で、有権者からすると、そういったことも比較しやすくなりますし、そして、百倍かどうかわかりませんけれども、楽しく、おもしろくなるというようなことについても、非常に有意義であると考えております。
  91. 夏野剛

    夏野参考人 先ほど申し上げたように、一つは、国民政治意識が高まっておもしろくなるというお話と、地方議会、地方選挙が盛り上がるというお話がありますが、もう一つの側面として、やはり、若者の投票率が低いというのは、先ほども申しましたようにいろいろな理由はあるんですけれども、この若者の政治への無関心というものの解決にはかなり貢献するだろうということと、それからもう一つは、割と高年齢世代のネットリテラシーの改善にも実は役に立つんじゃないか。やはり、高年代層の政治に関する関心というのは非常に高いものがあるので、しかも、先ほど来申し上げているように、タブレットあるいはスマートフォンによって簡単にインターネットに接続できるようになっていますから、ここの使用率も上がるということが期待されると思っています。
  92. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それで、問題は、実際に国民から審判を受ける政党候補者、これがさまざまな発信ができる。もちろん二つの案には対象が、メール解禁するかしないか、これが大きな違いだと思うんです。  そこで、メールの問題ですけれども、先ほどの議論の中で、メールの特性として、大量に送るということが可能になる、場合によっては何万とか何十万とか。こういうことができるのは、これは個人はなかなか難しいわけでありまして、個人として名簿を持って送る相手というのは私信の類になるわけですけれども、非常に限られておりますね。  そういたしますと、例えば第三者が、その中に企業もあれば団体もあれば個人もある、そういうくくりで、そこに解禁ということになりますと、当然、大量に名簿を持っていて送ることができる者とそうでない者の違いというものが生まれると思うのですね。  先ほど三浦参考人からお話をお伺いいたしました。その中で、第三者にまで広げた場合、特に、第三者には企業法人等も含まれるため、恐らく企業法人特定候補者支援の一環として、選挙運動に関するメール配信する対象者を獲得するための運動が組織的に繰り広げられ、仮にそれを断った場合の社会的問題、それを承諾した場合でも、大量の選挙運動に関するメール対象者に届くという事態も予想され、政党候補者からのメールが開きにくくなり、日常メールのやりとりにも支障を来すことにもなりかねません、こういう御指摘がありました。もうちょっとこの点を、わかりやすく我々にお示しいただきたいということ。  それから、夏野参考人に対して、メールの場合の、個人のやりとりの場合と企業が持っている名簿を使った送信という場合は、やはりかなり力量が違うといいますか格差が出てくると思うんですが、その辺は、選挙運動に与える影響をどうお考えなのか。  お二人、どうぞよろしくお願いします。
  93. 三浦博史

    三浦参考人 今の佐々木先生の御質問でございますけれども、第三者というふうに、その中に主権者たる有権者企業も団体その他も入っておりますけれども、私が懸念するのは、特に企業法人等でございます。  私のような立場の人間であっても、これがオーケーになれば、先生方の、候補者を支援いただいている企業法人、組合、団体その他に対して、例えばA候補の、ちゃんとしたメール登録をする、通知をする、申し込みをしなさい、おたくは百件、おたくは五百件、おたくは千件ということは間違いなく起きると思います。  ですから、そうしたことが一般有権者に対してどういう影響があるかということを懸念した場合に、第三者でくくられた企業や団体やその他組合、法人等、そこについても今回は見送っていただいて、様子を見て、そしてしかるべき時期に自由化していただきたいというふうに考えている次第でございます。
  94. 夏野剛

    夏野参考人 佐々木先生がおっしゃるように、私も、個人メールと組織が送るメールというのは実は全然違うものだというふうに思っております。  個人メールは、前回のときにも申し上げましたが、やはりより私信に近い形で、いわば、選挙運動というよりは、世の中に起こっていることのいわゆる関心事項を単にやりとりしているという性格が強いですし、組織が利用する場合には、それは、組織的な活動、組織のメリットに属した活動の一環としてやられるケースが多いと思うんです。  やはり、特定電子メール法等ができてきて、そもそも、メールアドレスを集めるときに、要は、ユーザーメールアドレスを登録するときに、そこで期待していたことと全く関係ないことについてメールを送るというのは実は制限されておりまして、ここは選挙関係なく、例えば、ショッピングサイトで登録しているにもかかわらず、全く違うものが宣伝されるということは、もし起こった場合には、それは規制の対象になっているわけですね。  ということで考えると、そちらの方のルールを強化していく方がむしろ大事で、選挙ということにフォーカスして組織と個人というふうにやるよりは、組織が、もともと期待していない内容のメールを自分の持っている電子メールアドレスのリストに対して送るということを、いかに罰則を強化、あるいは運用をきちんと強化していくかという文脈の中でむしろやっていった方が、社会のためには利益になると思うんです。  選挙という文脈で考えたときには、先ほども私が申し上げましたけれども、やはり個人が自由にきちんとコミュニケーションできることを制限するというのは非常に問題があるというふうに思っていまして、これは利害とは関係ないところで行われるケースも多いので、ですから、ここは分けて考えていただきたいなというのが私の意見でございます。
  95. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それと、もう一点は、現在の選挙法では、いろいろなことが規制され過ぎておりまして、戸別訪問はできない、それから特定の承認された範囲内でのビラしかまけない、あるいは音の宣伝もいろいろな規制がある、こうなっておりまして、我々は、べからず集というふうに言っているんですけれども。今回は、その中のネット選挙運動に限っては自由化する、こういう方向ですね。  そういたしますと、現実世界との関係で、非常にアンバランスが起こってくるわけですね。立会演説会は、ある場所を借りてやろうとしたら、それはできませんよ、しかし、ネットの上では、立会演説会はどうぞ御自由に、こんなふうになるわけです。  そういう意味で、今の日本公職選挙法が持っている、自由に選挙運動ができないという、その点もやはりこれを機会に見直して自由化していく、これが非常に大事な方向だと私は思っておりますので、お二人の参考人からも、どういうふうに考えておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  96. 三浦博史

    三浦参考人 今の佐々木先生の御指摘でありますけれども、ネットだけどんどん自由化していって、ほかの量的制限等が制限されたままだと、まして戸別訪問を含めて、それは確かにおかしいと思いますが、自由化すればいいとも思っておりません。  それは、米国の例を含めてですけれども、アメリカの場合には、二大政党制ですから、民主党のA候補が大量に物を出したりネット選挙を繰り広げると、共和党のB候補は、それに対してほとんど反撃できる同じような資金力、人力を持っております。  残念ながら、日本ではそうでありませんから、全ての政党、候補は均等ではありませんので、余りにも自由にできるとなると、やはり資金力がある政党候補者が有利になりやすいといったこともありますので、ある程度制限は必要かと考えております。
  97. 夏野剛

    夏野参考人 私も、現在の公職選挙法が、いわゆる金権選挙をいかになくしていくかということを主眼にあらゆる規制を盛り込んできた歴史というのは非常に評価するものではあるんですけれども、しかしながら、時代に合っているかということでいうと、用語を含めて、もう少し時代に合った形にしていくべきではないかというふうに個人的に思っております。  特に、今回はネットということで公職選挙法がありましたが、ほかにも、例えば、ジュースを出すのに、コーヒーを出したらだめで、ペットボトルの口をあけて出すとか、こういったことが、本当に有効性があるのかという観点から一つずつやるべきであると思いますし、もっといいますと、では、取り締まりそのもの、違反を誰が摘発するのかに関しても、選挙になりますとかなりこれは専門性が高くなってきますので、そうすると、例えばですけれども、証券取引委員会のような形で、そういう専門の機関を置いた方がいいのかもしれないというようなことも含めて議論していただく方がいい時期にもう来ているんじゃないか、そういうふうに個人的には思っております。
  98. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間が参りました。  以上で終わります。ありがとうございました。
  99. 保岡興治

    保岡委員長 次に、玉城デニー君。
  100. 玉城デニー

    ○玉城委員 生活の党の玉城デニーと申します。  きょうは、貴重な御意見をお二方からお伺いいたしまして、本当に、私たち、改めて、この法律をつくるということについて、しっかり審議をして、議論をして、まだまだ不明瞭、不明確な部分があれば、それを国民皆さんからまた意見を聞きつつ、専門家のお二方のような方々とも、また胸襟を開いて、いろいろな勉強をさせていただきたいという、本当に真摯にそういう思いでございます。  さて、最後の質問ですので、これまでにお話しなさったこととまた重複するかもしれませんが、そこは御容赦いただきまして、御答弁を、御意見をいただきたいと思います。  まず、専門のお二方ですので、もう既にその分析はなされているかと思うんですが、昨年十二月の衆議院総選挙、これについてちょっとお伺いをしたいと思います。  この衆議院総選挙でいわゆるインターネット関係のメディアが与えた影響あるいは効果、それをお二方それぞれどのように判断していらっしゃるか、その御意見を聞かせていただきたいと思います。
  101. 三浦博史

    三浦参考人 正直申し上げまして、金沢の市長選というのは、私どもも、非常に、ああ、これはいくかなというわくわくどきどき感がございましたが、それ以降の選挙につきましては、昨年の総選挙を含めて、ネット選挙によって大きく戦況が変わるというか、当落に影響する、したというようなことは余りなかったと私は認識しております。
  102. 夏野剛

    夏野参考人 昨年の衆議院選挙は、その直前に、特にネットメディアを中心として、非常に議論が活発化されたと思っています。特に十一月の中旬から後半、その当時の与党の民主党と野党の党首会談、これがネットで中継されたことから始まり、全党の党首が集まった党首会談が十一月の末に行われ、こういったことで非常に盛り上がったんですが、選挙期間中に入った瞬間に、ネット上から選挙の言葉が全て消えたというので、一般有権者から見ると、あの続きはどうなったんだろうと。それは、何かちょっと、特に若者世代を中心として、終わっちゃったのかなというような、むしろギャップが目立った選挙だったんじゃないかなというふうに感じております。
  103. 玉城デニー

    ○玉城委員 選挙期間に入った途端に、そういうネットメディアが動かなくなってしまうというか、みんなで自粛をする、法律を守るという方向で、当然、候補者や事務所、政党、いろいろなところでその態勢に入るわけですから、そういう議論もあるかなというふうに思います。  さて、夏野さんの持ってきていただいたきょうの資料、「電子メール等の利用率」という資料があって、それを少し、各委員の質問に答える御意見を伺いながら見ていたんですが、この資料で、図表四—三—一—六、「家庭内・家庭外からのインターネット利用の機能・サービス」の、利用しているパーセンテージが家庭内、家庭外で描いてあるんですが、その幅はあるものの、赤い丸でくくっていらっしゃるのが「ソーシャルメディアの利用(全体)」、これが数字でいうと、大体四〇から四五%の利用率だと思います。それから、「電子メールの受発信(メールマガジンは除く)」というところが、ここが一番山が高いですね、五五%から七〇%。五五から七〇というのは、これは、個人で使っている方が七〇%、社用あるいは企業用で使っている方が五五%というこの開きだと思うんですが、いずれにしても、数字が最も高い。一方、「メールマガジンの受信(有料・無料を問わない)」、これが一五%から二〇%。「電子掲示板(BBS)・チャットの閲覧」、これが一〇%以下。「ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)への参加」が一〇%以下。そして、「個人のホームページ(ウェブ)・ブログの閲覧」が二〇%から四〇。  我々が期待しようとしているものは、やはりオープンな場で候補者政党の政策に触れる、そのパーソナリティーに触れる機会を広げるということと、これは三浦さんの資料にあるとおり、善意の有権者への十分な配慮をしていこうという、いわゆる、本当に選挙するための信頼性信憑性を高めていこうということの法改正。  その一方で、若い人たちが、あと十年、二十年たったときに、ネットメディア世代が世の中を動かしていくわけですから、今のうちにしっかりとした対応をとって、我々も法的にそれを整備していこうということの議論になっているわけですね。  そこで、信憑性信頼性を確保するという点から、今回は、メール政党個人に限るということと、第三者、つまりフルオープンということになっているわけですね。  もう一度そのことについて、この法案とメールの、政党候補者に限るという点と、そして、第三者にもオープンにする、このことを話していただきたいと思います。どちらでも構いませんので、よろしくお願いいたします。
  104. 夏野剛

    夏野参考人 私は、従前から申し上げているとおり、メールだけを特別に第三者はだめという理由が難しいかなと。  もちろん、先ほどから御指摘あるように、密室性等の問題はありますが、密室性が高いものほど影響力は少なくなりますので、そういった意味では、ソーシャルメディア等も含めて、影響力が大きいものは密室性が低いというのは同じ状況でございます。ソーシャルメディアも、ツイッターでいいますとフォロワーにしか伝わらない関係でございます。  そういう意味では、もちろん程度の差はありますけれども、本質的には同じであるというふうに思っていますので、メールだけを取り上げて、第三者というふうな枠組みについては、今後のことを考えても、ひとつぜひ御考慮いただきたいなというふうに思っております。
  105. 三浦博史

    三浦参考人 別に反論ではないんですが、先ほど夏野さんが、電話が自由にできてメール規制されるのはおかしいと言われたんですが、私に言わせていただければ、今は、電話作戦をすることがどんどん減っております。選挙事務所をつくられる際に、先生方自身であっても、市長選であっても、知事選であっても、電話作戦グループというか、一昔前までは、それはもう大変な人数を動員したわけでありますが、今はどんどん減っております。  なぜ減っているか。それは、固定電話にかかってくる電話は、ほとんど営業であります。私も、毛生え薬とかお墓の営業とか言ってきますけれども、選挙運動で、どんなにすばらしい声で、三浦でございます、このたびはと言っても、ああ、選挙、ガチャン。営業、ガチャン。こういう状況で、私どもも、有権者のことを考えると、御年配者の方々を含めて、固定電話での電話作戦は必ずしもプラスにならないということで、今、減らしている方向でございます。  したがって、メール電話と同じという意味じゃなくて、電話選挙運動については控え目にしていっている状況でありますので、メールもどんどんやってもいいということではないんじゃないかと考えている次第でございます。
  106. 玉城デニー

    ○玉城委員 私は沖縄ですので、三浦さん、夏野さん、沖縄の選挙状況を大変よく、詳しく存じていらっしゃると思いますが、沖縄では、やはりいまだに電話は大切なんですね。  といいますのは、事務所からかかってきた電話でさえも、本人はいないのかと言われるんですね。何で本人がかけてこないのかと。有権者が求めていることは、そのリアルな訴えなんですよ。だからこそ我々は、できるだけ多くの人に会うために街頭に出て、いろいろな方々に声をかけて、握手をする。まさに、選挙信頼性候補者信頼性は、その醸成される人間関係の延長線上で選挙に入っていくということが最も理想的だと思います。  しかし、一人ではできません。それが限られた人数だけではできないので、公選はがきを送ったり、当然ですけども、証紙を張ったチラシで政策を紹介したりする。そういうふうにして、できるだけ、この候補者をぜひ皆さんの生活のために当選させてくださいということをするわけなんです。  その一方で、このネット選挙解禁の大きな落とし穴の一つになっているのは、つまり、話題で左右される候補者がたくさん出てくるということです。  十二月の衆議院総選挙でも、当然ですが、あの人知らないよ、名前を聞いたことないよ、こういう人も沖縄県内の候補者にいらっしゃいました。しかし、ある一定、やはり票を集めるんです、ほとんど運動しないにもかかわらず。  それはなぜかというと、既成の政党候補者に対して、いや、やはり新しい人にかえた方がいいんじゃないかということによる期待感と、そして、もう誰でもいいから、例えは悪いんですけれども、若そうな人に投票しよう、あるいは、いいことを言っている人に投票しようと。  今までのおつき合い、肌と肌とのおつき合いも面と向かったおつき合いもないけれども、ネット選挙解禁になった途端に、その情報量によって選挙する選択肢が広がるという利点と、拡散してしまう、つまり、本当に選挙という信頼性国民に対して、選んでいただく側に対して私たちは提供できるのかということの、やってもやっても追いつかない、そういう信頼性の確立が物すごく希薄になってしまうと思うんですね。  その点の憂慮を思うんですが、その点に関して御意見を伺いたいと思います。
  107. 三浦博史

    三浦参考人 今の御指摘でありますけれども、実は、韓国であれだけネットが過熱した理由は何かというと、テレビラジオ、新聞等に対する国民の信頼度が非常に低いんですね。特に、選挙に関しては余り信用されていない。したがって、ネットというものが非常に過熱化をしておりました。日本では、テレビ、新聞、そうしたマスコミに対する信頼度が非常に高いところにあります。  今先生がおっしゃったように、これまで街頭とか、ちょっともう古い言葉でありますけれども、どぶ板というか地上戦というか、そういったことで一票一票を重ねて頑張っている候補者と、インターネット上で非常に評判がいい、人気投票的にいい、そうした人たちが、そうした運動を、地上戦をそんなにしなくても有利に当選しやすくなってくる、そうした事態も予測はされると思います。  したがって、インターネット向きとは言いませんけれども、そうしたサイトを上手につくっていく、あるいは、メールを含めて、フェイスブックを含めて対応していく、そうした陣営と、そうしたものを、無視とは言いませんけれども、手を抜いていくといった陣営とでは、ネット層の、インターネットを見て判断をされる方々の得票については、差が出るということは当然生じると思います。
  108. 夏野剛

    夏野参考人 私は、インターネット選挙活動が解禁されることによって、その候補者の人となり、そして、人となりよりも私は重要だと思うのは政策ですね、政策がむしろ浮き彫りになるというふうに思います。  確かに、私の祖母の時代も、やはり握手したからあの人がいいんだというおばあちゃんでした、うちの祖母は。でも、それが正しいかというと、国の政治を任せる人が、握手をしただけで投票するというのはむしろおかしいだろう。地域の評判、これも大事です。しかしながら、地域の評判だけというのは、実は問題があるだろう。  例えばTPPに対してどういう考え方を持っているんだ、例えば教育制度改革に対してどういう考えを持っているんだ、そういったものが一切情報なく、あるいは、あっても余りそこが重視されず、あの人が知っているから、あの人と一緒だからという形の選挙が行われたんだとしたら、むしろネット選挙活動が解禁されることによって、その人が本当にどちらの立場なのか、国の右左を決定するのにどちらの側なのかというのが浮き彫りになることで、より有権者の民意が反映される方向に行く可能性が非常に高いと思いますので、御懸念はむしろ裏返しで、力のある、あるいはきちんと民意を反映する形によりなっていくのがネット選挙解禁だというふうに解釈をしております。
  109. 玉城デニー

    ○玉城委員 ありがとうございます。  本当に、このネット選挙をいい方向で進めていきたいということが我々の共通思いではありますし、また国民に対しても、参加できる意思と申しますか、その気持ちをしっかり高めていただきたいというふうに思います。  時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  110. 保岡興治

    保岡委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。(拍手)  次回は、明五日金曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十分散会