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鈴木(克)
委員 もちろん、
金融審の答申が不適当だから変えたということではないと私も思いますが、
大臣は、今、
与党のいろいろな
議論の中でというふうにおっしゃったんですが、私は、これは、
銀行のある
意味の要請を受けてこういうような形で変更されたのかなというふうに、私、非常に性格が悪いものですから、そのように理解をして、ちょっとお尋ねをした、こういうことであります。
さて、次に、
中小企業の再生とメガバンクの役割について、私の
考え方を少しお示しさせていただきたいというふうに思います。これは、
麻生徳政令をお願いしたい、
最後はこういうことになりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思うんです。
銀行が、
事業再生に取り組む
中小企業に対して、責任を持って資金の出し手となる、それが
担保される
改正であれば、今回の
改正はよかったなというふうに思っておるわけですが、それはそれとして、まず、この
中小企業の
事業再生という根本のところについて少しお話をしたいと思うんですね。
おととい、私は全銀協の会長に
質問をいたしました。
銀行が本当に五パー
ルールの
見直しを活用するんですか、新しい
制度の利用がふえるんですか、こういうことを伺ったんですが、非常に前向きな
答弁はありました。しかし、具体的なところになると、何か歯切れの悪いようなところもあったわけですね。その辺が今後問題だというふうに思うんです。
会長さんは三井住友
銀行の頭取であったわけですから、いわゆるメガバンクにとって、中小零細
企業の再生というのは余り関心がないんじゃないのかなというような気が実はいたしたところであります。これは大変失礼なことになるかもしれませんけれども、私はそのように一部とったところがあるわけですね。
我々もそうなんですけれども、
地域経済の
活性化というと、どうしても、その
地域に密着した
金融機関である地銀とか信用金庫とか信用組合とか、そういったところに目が行くわけでありますけれども、私は、メガバンクにこそ大きな役割を果たしてもらう時期じゃないのかなというふうに思っております。
どのような役割かということなんですけれども、かつてメガバンクは、不良債権処理が一段落した平成十七年から十八年ぐらいに、収益向上の打開策ということだと思うんですが、
中小企業向けの無
担保融資をやたらふやしたんですね。地元の
銀行と違って、いわゆる
土地カンも長いつき合いもないものだから、スコアリングローンというんですか、数字で機械的に審査をしてどんどん貸し出しを行った。そして、結果的には、もう今はほとんど撤退をしているんですね。
そのことは、〇五年から〇六年には、メガバンクが倒産確率などをもとに審査を簡略化したスコアリング融資と呼ばれる無
担保ローンを導入した、だが、融資の焦げつきが相次ぎ、一時はメガ三行だけで六兆円もあった残高が今では一兆円足らず、住友
銀行の新規融資額は、ピーク時の年四兆円近くから、一〇年四月から九月期は五百億円まで縮小、三菱東京UFJも一〇年の四月から十二月の実行額が百五十億円にとどまった、みずほは撤退した。
こういうことで、軒並みメガバンクは中小から撤退をした、こういうことなんですね。
そこで、ある民間の信用調査
会社の話を聞いたんですが、そのときのメガバンクの融資が
中小企業にまだ残っているんですね。それが
経営再建の足かせになっているケースがある、こういうことのようであります。
言い方はおかし
いかもしれませんけれども、メガバンクにしてみれば、お金にあれはな
いかもしれませんけれども、ある
意味では微々たる額なんですね。それで、とっくに引き当てを積んでいるわけですね。したがって、メガバンクにとってみれば、無理に回収しなくても
経営本体に差しさわりはないというぐらいの額なんですね。
ところが、中小零細
企業にとっては、これは生殺与奪の権、まさに命綱になるわけですね。もしメガバンクがこの分の債権を放棄してくれたなら一気に再生に向けてかじを切れる
中小企業も多いんじゃな
いか、このように思うわけです。
中には、先ほど言ったように、メガが無理やり貸し込んだものも実はあるわけですし、それから、地銀や信金、信組にしてみれば、いわゆる
経営基盤を荒らされて顧客を奪い合うということで、メガは、
中小企業に乗り込んできたんだけれども、業況が悪化してもうけにならないと思ったらさっと引き揚げてしまった、こういうことで、このまま引き当てを積んでほっておくというのは本当に機械的で情けないやり方だ、このように信用調査
会社は実は言っておるわけですね。
そこで、長くなってはいけませんが、回収不能が発生しても、
銀行は保証協会から全額回収が約束されておる、
銀行員が手間暇かけて貸し出し状況をチェックしなくても、それは必要ない、しなくてもいいんだ、こういうことになるわけです。結果、不良債権は先送りをされて、保証協会へツケが回されることになる。そのツケの一部はもちろん国民の税金によって負担をされるということではありますけれども、こういった事態に至ったのは、貸した
金融機関にも責任があるというふうに思いますし、ある
意味では、円滑化法の最終負担責任を黙殺した国にも責任があるんじゃな
いかというふうに私は思います。
自己資本に余裕があり、また、国内の
中小企業向け融資を縮小するメガバンクは、積極的に引当金を積む動きが加速している。そうした中で、中小
金融機関は、メガバンクの償却済みの債権、引き当て済み債権を有効利用すべきだ、このような
指摘が出始めたわけであります。すなわち、メガバンクの償却部分を債権放棄させて、借り手である
中小企業の債務超過解消に利用して、抜本的なバランスシートの改善を図るということであります。
中小企業の再生といっても、本当に難しいことなんです。だから、
大臣としても、また国としても、債権を放棄しろということは強く言えな
いかもしれませんけれども、いわゆる
中小企業の
金融円滑化法終了後の総合的な対応の中で、
中小企業再生支援協議会などが中心になって、今、
事業再生
ファンド等の
取り組みが進められておるわけですから、このときに、メガバンクのかつてのスコアリングローンの残滓といいますか残りの放棄を促すということをやれば、私は、一挙に中小零細
企業の
経営は改善をしてくると。
麻生徳政令と言ったのはそういうところでありまして、難しいことはわかっております。それは本当にそれでいいのかということかもしれませんけれども、今るる申し上げたような経緯の中でできてきた
中小企業の借金でありますので、そこのところは、やはり中小零細
企業支援、そういう立場で
大臣の
決断をできないものかなということをお話しさせていただいたところであります。