○
柿沢委員 私の父親も官僚でしたので、そして、しかもヨーロッパのベルギーというところに派遣をされている間に私は生まれた子供ですので、霞が関の役所の方々が在外公館に派遣をされる、そういうときというのはどういう
状況なのか。少し幅広く物を見て勉強して帰ってこいということで、現場で戦って、そういう趣旨では必ずしもない場合も多いというのがこれまでの
状況だったのではないかと思うんですね。
ただ、ここは国家戦略を担う、現地にディスパッチされる、そうした
企業戦士ならぬ、本当に国家戦士でありますから、そういう
意味では、経験を積み、そして現地の事情がわかり、また交渉力を持つ。本当のことを言えば、先ほど申し上げた、二十年間現地に根っこを張って、どこかのゼネコンの
海外社員として頑張ってこられた方を途中から採用して、そしてさらに相手国政府との交渉役として活用する。公務員制度の
あり方について、私たちもいろいろ活発な
提言をさせていただいていますけれども、こうしたことをやはり考えていく必要があるのではないかと思うんです。
この問題に、いろいろとるる申し上げさせていただいてきたのは、やはりこれは国家戦略として、成長戦略として掲げられているわけですから、ややもすると、いればそれでいいということにこういうものはなりがちですから、実質の伴った、しかも、これから
日本の本当に浮沈にかかわる分野、ぜひ中身の伴った
施策を、省を挙げて、また政府を挙げて展開していただきたい、こういう期待を持って御質問をさせていただいたわけであります。
さて、続きまして、鉄道
事業の
海外展開についてお伺いをします。
日本の鉄道
事業ほど、正確な運行、そして新幹線初め、高速性、大量
輸送、またサービスに比して安価な運賃、これだけ質の高い旅客鉄道を走らせている国はほかにはないと言っていいと私は思うんです。国交省のインフラ
海外展開推進のための有識者懇談会のペーパーでも、個別分野の
取り組みの
方向性が書かれたパート、個別分野のイの一番に置かれているのは、
道路でもなく港湾でもなく、鉄道なんです。
にもかかわらず、
海外の鉄道運行を受注しているのは、圧倒的に多いのは欧州勢です。水
事業でも有名なフランスのヴェオリアは、公共
交通運行会社ヴェオリア・トランスポート、こういう
企業をつくって、EUや北米、
アジア、オーストラリア、二十八カ国で公共
交通サービスを受注しています。特に、ヨーロッパ市場において、ドイツ勢、イタリア勢と激しい競争を展開しています。
こういうヨーロッパ勢の先行をもたらしたのは、EUの政策として鉄道
事業の自由化が進められてきたためだと思います。二〇〇七年には貨物、二〇一〇年には旅客の自由化が実現をしています。
それを可能としたのが一九九一年のEU指令であって、線路等の鉄道インフラのオープンアクセスを前提にして、インフラ保有と鉄道運行サービスのいわゆる上下分離を推進してきた。この結果、他国の鉄道運行
事業を受注できるような、鉄道運行に特化をした鉄道オペレーター、TOCが成長してきたわけです。そして、新興国においても鉄道
事業の上下分離が進められていて、そこに今ヨーロッパ系のTOCが鉄道運行サービスの長期のコンセッション契約を次々とりにいっている、こういう
状況です。
翻って
日本はどうか。JRを見ても、上下一体運営が前提となっている。そのため
日本には、鉄道運行サービスに特化した純粋な鉄道オペレーターの
事業者というのは存在をしていないという現状です。だからこそ、この市場競争に、これだけ質の高い鉄道を運行している
日本勢は
企業として参入できていないわけであります。
ようやく
日本でも、鉄道
事業法二条に基づく第二種鉄道
事業者として、例えば信楽高原鉄道とか出てきましたけれども、これは、赤字経営の鉄
道路線を維持するために、路線を自治体が抱えて、そして運営を、運行を
民間にやってもらって、何とか
事業継続をするために編み出された、いわば方便にすぎない、こういう活用のされ方しかされていないのが現状です。
発送電一体、
地域独占の電力自由化が今
議論をされていますけれども、それと全く同じ話で、
日本も、本格的な鉄道
事業の上下分離、こういうものを進めて、
世界の市場をとれるような鉄道オペレーターをつくっていくべきだと思います。
世界的に見て比較優位の技術水準があるのだから、これは、今の
状況はいわば宝の持ち腐れみたいになってしまっているのではないかと思います。この点について、ぜひ御見解をお伺い申し上げたいというふうに思います。