○宮沢(隆)
委員 日本維新の会、宮沢
隆仁であります。
精神科のプロフェッショナルの濃厚な質疑の後で、もう
委員会が終わったんじゃないかと思うぐらいのムードかもしれませんが、引き続きよろしくお願いいたします。
私も
医者なんですけれども、脳外科という仕事をやっていまして、同じ脳を扱う
医者ではあるんですが、そのキャラクターとかビヘービアというのは、
精神科の
医者やほかの
医者とも大分違います。だから、イントロダクションとして、脳外科医が精神疾患とかかわる
状況というのをちょっとお話しいたしますと、例えば、私が若いころ、大学
病院にいたころの話ですけれども、脳腫瘍とかあるいは慢性硬膜下血腫とか、我々はいわゆる器質的疾患と言うんですけれども、要するに手術すれば治るような病気、そういうのがあるのに
精神科に
入院させられている
患者さんが結構、まあ、結構はいないんですけれども、たまにいるんですね。昔の話ですけれども、なぜかCTとかMRIとかという検査もやっていないということがありまして、
精神科の病棟へ呼ばれてそこで
診断して、脳外科病棟へ連れてきて手術して治って帰るというのがしばしばありました。
だから、それはまた別の問題なんですけれども、それは
精神科の業界でちょっと改善していただければなというのも
一つの感想です。
それから、脳に作用する薬は脳外科医ももちろん使います。使うんですが、基本的に、トランキライザーという、いわゆる向精神薬というのは脳外科医は嫌いです。なぜかといいますと、そういう薬が入っていると、本来の精神状態というのはどういう状態かというのがわからなくなっちゃうんですね。ですから、もし、例えば脳腫瘍があって脳外科病棟に
入院してきて、もともと、うつとかいろいろな病気でそういうトランキライザー系統の薬を飲んでいる人は、もう片っ端から切ります。その中でおもしろい現象があるんですけれども、切っていくと何かよくなっていく
患者さんがいるんですね。よくなって、ありがとうございますと変なお礼を言われたりすることがあるわけです。
実は外来でも同じ現象がありまして、脳外科というのはやはり脳とつくだけに、何か頭の問題、精神状態が不安定とかいろいろあると、皆さんなぜか来るんですね。そうすると、僕らも
精神科の
患者さんをしばしば診ざるを得ない
状況になるんです。その中でも、やはり、どこかの何とかクリニックとか、あるいはちゃんとした
精神科病院でもあるんですけれども、何か山ほど薬を出されている
患者さんがいるんですね。トランキライザーは我々嫌いですので、本当にこれが必要なのかなという、まず疑いの目から入るんです。
それで、いきなり切ると危険というのはわかっていますので、外来へ通いながら、
精神科の
患者さんはもちろん
精神科に戻しますけれども、脳外科で診る必要があって診ている
患者さんは少しずつ薬を切っていったりするんですね。そうすると、やはりよくなって、頭がすっきりしたとかという
患者さんが結構います。
後でメンタルクリニックの
問題点についてはちょっと触れますけれども、日常、脳外科医というのはそんな経験をしているわけです。
それで、きょうは、私は、
障害者の
雇用促進に関する
法律、こちらの方を主に扱わせていただきます。
私ごとですけれども、いい年して、ちょっと経営大学院に行っていたことがありまして、そこでメンタルヘルスという講義があったんです。それは、
精神科の先生ではなくて、いわゆるPhDで、そういうメンタルヘルスの研究をしてストレス
障害とかそういうのをやっているどこかの教授が来て、講義するわけですね。
その中で、私、
医者をやっていて、目からうろこが出た図がこの一なんですよ。世の中にある、いわゆる精神的な
問題点のある人たちを全体像で見るとどうなるかという絵なんですけれども、これは、特に企業なんかでうつ病が発症したりする
患者さんがいますね、そういう人たちをどう見るかということです。
一番左に、ちょっと心の不健康な状態かなという方は、どこの組織でも、もちろん官僚の中でも政治家の中でも
医者の中でもどこらでもあるわけですよ、そういう人たちをどう扱っていくかという、その
一つのプロセスをここに書いてあるんです。真ん中で、点々で上と下に分かれていますね。それで、上の段が本当の病気、いわゆるメンタル
障害です。ここが主に、
精神科の
医者、あるいは脳外科の
医者、神経内科の
医者が扱う分野なんですね。実は、
医者というのは、基本的にこの上のところの発想しか余りしていない。
ところが、一般の企業の中で働いていて、ちょっと過労になって、ノイローゼっぽくなったとか会社に出てこなくなったとかという人たちは、ほとんどがこの下の段なんです。それを適応モデルというそうです。僕はこの言葉は余り知らなかったんですけれども、要するに、適応がちょっとしにくくなった、できなくなったという
方々のことですね。
その中を、適応モデルを右の方へ行くと、心因性、その他、健康に問題がある、あるいはノイローゼと称して、真ん中辺で点々で上とつながっているところがありますけれども、抑うつ状態という言葉が書いてありますね。それで、それが二週間以上継続していると、上のいわゆる病的な状態に入っちゃうかもしれないということなんですね。
上の疾病モデルの真ん中辺、上から、統合失調症、気分
障害、抑うつ状態、さらに、真ん中から下の、抑うつ、神経衰弱、不安神経症、こうやって分かれていますけれども。結局、ここで非常に重要な問題は、誰がどこでその病気を精神
障害と認定するかということなんですね。
それで、ここから少しずつ本題へ入っていくんですけれども、メンタルクリニックというのが世の中にはいっぱいありますね。今、特に急増しています。もちろん、先ほど
河野先生がおっしゃったような
精神科のちゃんとした
病院もあるんですけれども。ただ、
患者さんは必ずしも最初からそういうちゃんとした精神
病院等に行かないですね。
それで、その実態を、
資料二でちょっと見ていただきたいんですが、左下、「うつ病
患者の初診受診科」。基本的にうつ病にフォーカスして、これから話を進めていきます。
ここに、円グラフの中で色のついた、心療内科、
精神科というのがあります。これを両方合わせると、約一割ですね。これはあくまで初診です。つまり、一番最初は、
精神科、心療内科以外を受診しているということなんですね。だから、本当はもうここからボタンのかけ違いが起こり始めている、これを、精神疾患を扱っている
医者も、もちろん
患者さんも、我々行政にかかわる
人間も認識していないといけないと思います。
ここにある心療内科という科が、私は全部が悪いとは思っていないんですが、ただ、実際、ちょっと怪しいなというメンタルクリニックは私自身も経験しています。正直申しますと、脳外科医、要するに、手術をリタイアした脳外科医がやたらにトランキライザー、向精神薬を出しているケースがあるんですね。私の仲間にも実はいるんです。けんかしたこともありますし、注意したこともあるんですが。
そこで、ここでちょっと、一人でしゃべっていてもしようがないので、
厚生労働省にお聞きしたいんですけれども、そういうメンタルクリニックのいわゆる質とか、あるいは、そこのクリニックにいるお
医者さんがどういうタイプの
医者でどういう経験をしてきたかとかというのを把握できるようなデータというのはありますでしょうか。どなたかよろしくお願いします。
〔
委員長退席、上川
委員長代理着席〕