○小池(政)
委員 みんなの党の小池政就です。
みんなの党は、昨年四月に発表いたしました
憲法に対する基本的考え方において、
憲法第五章
内閣に関し、二点を含めた
方針を提示しております。
第一点目は、
総理大臣及び
内閣の
権限を拡大することです。
まず、予算の編成
権限を財務省から分離し、
内閣が掌握することで、政治主導を確立することを目指します。財務省から予算編成部門の主計局を分離し、
総理官邸に
内閣予算局を設置します。これにより、政治主導による予算編成を実施し、当初予算だけで、
一般会計と特別会計を合わせて約二百三十兆円にもなる国家予算を抜本的に組み替えます。全ての予算をゼロベースで見直します。
次に、人事権の拡大を通じて、
総理大臣、
内閣の
権限の
強化を行います。
内閣が幹部官僚の人事を掌握し、総合職を一括採用することにより、真の政治主導の枠組みを確立します。
人事権を掌握した
内閣の長たる
総理大臣を司令塔とし、国家戦略スタッフとして政治任用された政治家、民間人、学者等とともに国家戦略を策定し、遂行する、
責任を持った
行政のあり方を目指します。そこで、各省局長以上も
内閣交代ごとに
総理大臣が任用することとします。
また、道州制との
関係では、
内閣に担当専任
大臣を置くと同時に、中央官庁の役割を縮小もしくは再編、削減することや、中央に残った
機能を
強化することなど、新たな国の
行政の形を示します。
担当
大臣のもとで、地域主権型道州制の理念、実現までの工程表、地方の代表も参加した遂行
機関の設置等を明記した道州制基本法を早急に
制定していきます。
総理大臣及び
内閣の
権限の拡大により真の政治主導が行われることを目指す一方、その暴走を
国民が適切に
監督できるよう、
内閣の
権限を
国民が
監督する仕組みも考慮しています。
具体的には、
行政情報の記録化を徹底し、公文書の管理を厳格化するとともに、国の会計に複式簿記等の企業会計手法を
導入し、会計
制度改革を推進、法令適用の可能性を事前に確認する
手続であるノーアクションレター
制度の適用範囲拡大や利用促進を通じて、官僚による裁量
行政を徹底的に排除する等であります。
以上が第一点目であり、これらは現状の
憲法においても実行可能な項目と考えます。
第二点目は、
首相公選制の
導入です。
現在の
国会議員の互選による
首相の選択は、必ずしも
民意を反映したものとはなっていません。
小選挙区比例代表並立制が採用されて以来、政党はマニフェストを掲げるようになり、衆院選は、地域代表の選択を通し、マニフェストの選択、ひいては政権政党及び
首相の選択という認識が高まってきました。
しかし、その
民意をよそに、政党内での党首の任期
終了に伴って
首相が交代していきます。しかも、
手続が不明瞭であり、密室で新党首が決められることも少なくありませんでした。政党内で党首選挙が行われる場合もありますが、
国民へ選挙時に示したマニフェストと全く逆の公約を掲げる候補者も登場する例も散見されます。結果として、
国民の
意思とは無
関係もしくは
反対の
立場の
首相が誕生していきます。
このような
民意と
首相選択の乖離は、有権者に無力感を与え、政治への信頼を喪失させていきます。
真の政治主導を目指す上での実行力についても課題が見受けられます。
国会議員の内輪の論理で選ばれた
首相には継続的で強力な
リーダーシップが期待できず、
我が国が直面する重要な課題に対する改革の推進力も乏しいものとなってしまいます。
かつて、戦前の日本では、元老が短期間のうちに次々に
首相を交代させ、国内外の対応に大きな混乱をもたらしました。現在では、一部、党員を含めた党首選が行われるも、与党内の派閥の論理に基づく
国会議員の選択により、結果として、内向きで改革実行力に乏しい
首相が短期間で何人もかわっていきました。内政のみならず、リーダー間の信頼
関係が大きな意義を持つ外交における損失ははかり知れません。
そこで、主権者たる
国民が
首相を選ぶ選挙権を持つことが、日本を変えるのに一番わかりやすい手段であると考えます。
みんなの党はまず、
憲法改正を必要としない日本型
首相公選制の
導入を目指します。
国民投票によって
国民が
総理大臣にふさわしいとする候補者を選んだ後、
国会議員は、その投票結果に示された世論を尊重して
総理大臣の指名に関する投票を行うものとします。
また、将来的には、真の政治主導を実現する権力の裏づけたる
国民の支持を明確にさせていく上で、
憲法改正による
首相公選制の
導入を進めていきます。その際、
首相は、議員、民間を問わない文民とし、また、
責任は
国民に対して負うこととなります。
なお、
天皇との
関係においては、第一章での討議でも示したように、国家の元首は
天皇と明記し、象徴的元首としての権威と
国事行為を、基本的には従来どおり、かつ、明確にいたします。
そのほか、党内での
議論として、
国会の
解散権及び
国会からの不
信任決議のあり方をどうするか、
国民に直接
責任を負う中で、不
信任投票の発議と実施の
権限を
国民に委ねるべきではないか等の
意見もあり、
憲法改正を伴う
首相公選制の実施に向け、幅広い
観点から検討していきます。
国民から直接選出される
首相が
国民に対して直接
責任を負い、
国民自身も、これまでその
意思と乖離して選ばれたリーダーに対する傍観者的視点から、みずからが
責任をともに有するという意識に変革することにもつながるものと考えております。
以上、大きく分けまして二点がみんなの党の
憲法第五章に関する基本的考え方です。