○下村国務
大臣 田沼委員が国会で熱心に教育問題の質問をしていただいていることに対して、
敬意を申し上げたいと思います。
今回は、教育再生実行
会議の第三次提言に立った御質問がございましたが、これは、これからの大学教育等のあり方についての提言をしているものでございまして、全体的な、例えば第二期教育振興基本
計画も先週閣議決定をしましたが、トータル的な部分をぜひ見ていただいて御判断をしていただきたいと思います。
もちろん、真の国際人になるためには、真の
日本人になるということが同時に求められているというふうに思います。ただ、今回は、これからの大学教育のあり方についての、主にグローバル化に対応した教育環境づくりを進めるというところに特化した第三次提言ということでありますから、別に、このことによって、
日本人としてのアイデンティティーとかあるいは
日本文化の育成をおろそかにしているとかいうことではそもそもございません。
今、国際社会において、これから真に通用する人間、これはもう国境を越えて、英語というのも、これは世界共通語だと思うんですね。これは一つの言葉、ツールですから、それを学んだからといって真の国際人になるわけではもちろんないわけですけれども、しかし、共通語がしゃべれなければ、国際社会の中でコミュニケーションもとれないわけでございます。
その辺、そもそも、
日本の大学教育そのものが象牙の塔的な部分があって、非常に国内的な視点の中で、今まで、教育においてもあるいは研究においてもややもすると満足してきた部分が多いのだ、結果的に、そのことによって
日本の大学教育そのものが地盤沈下をしている部分があるのではないかというふうに思います。
実際、
田沼委員も、例えば外資系等のいろいろな方々とお会いする中で感じられることだと思いますが、例えば外資系なんかでも、かえって外国人が、
日本語もしゃべれ、そして母国語もしゃべれ、なおかつ英語も話せるという人の方が、外資系の企業であってもはるかに有為な人材として使えるというような話がある中、これから、国際社会の中で本当に通用する人間というのを
日本の大学そのものがしっかりと見据えて対応していく必要があるというふうに思います。
この教育再生実行
会議の第三次提言では、そういう徹底した国際化を断行し、世界に伍して競う大学の教育環境づくりについてバックアップしていこう、個々にそういう大学を目指すかどうかは、それぞれの国立大学や私立大学がどんな教育方針や経営方針を持って臨むかということではありますが、そのためのバックアップとしての提言だというふうに受けとめております。
具体的に、海外大学の教育ユニットを誘致するとか、あるいは逆に
日本の大学の海外展開を拡大するとか、国際化を断行するスーパーグローバル大学を、今後十年間で世界大学ランキングトップ百に十校以上ランクインする、今二校ですけれども、そういうこととか、留学生を倍増するとか、大学入学試験でTOEFL等を活用するとか、そういう具体的な提言をすることによって、各大学が
日本の教育の方向性について
理解をしていただいて、その方向に進めるような、そういう提言であるというふうに受けとめておりますが、もちろん、それ以前の段階として、
日本人としてのアイデンティティーを高めるための教育をするということは必要なことだと思います。
これまでそういう教育がなされてきたのかということを考えると、私は十二分になされてきたとは思っておりません。ですから、今まで以上に、これは小学校段階から含めて、もっともっと
日本のすばらしい伝統、文化、芸術、それから歴史そのもの、そういうものを学ぶ必要があるのではないかと思っておりますし、私が
文部科学大臣になってから、例えば高校で
日本史を必修にすべきだという提言も随分いろいろな方々から受けております。
これは、東京都が都立高校における
日本史を必修化し、神奈川もそうし、そして千葉もそのような取り組みをするということの中で、我々が学生のころは
日本史というのは必修でしたが、今は選択科目という中で、高校生で十二分に
日本の歴史を
理解していない、そういう学生もふえているという中で、
文部科学省としても改めて、トータル的な
日本人のアイデンティティーとか視点とか、あるいは、最近では自民党からも公共という教科を新たに導入すべきではないかというような提言も受けておりますが、今までの延長線上ではなくて、真の国際人、真のグローバル人になる、一方で真の
日本人になるためのトータル的な教科のあり方、それもしっかり検討する、そういう時期に、グローバル社会であるからこそ求められ、問われているのではないかというふうに認識しております。