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穴見委員 本日も、
質問の
機会を与えていただきましてありがとうございます。
穴見陽一でございます。
きょうは、三点、
質問をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
先日、十四日、
日本再興戦略が閣議決定されました。これは第三本目の矢。まず
安倍内閣が第一の矢である
金融政策を打たれて、これが的に当たって、今、
円安、また株価が上昇する等々の
効果が出ております。第二本目の矢は、先日、二十五
年度予算が決まりまして、それによってようやく矢が放たれた
状態であって、まだ中空を飛んでいる
状態でありまして、これが実際に的に当たって
効果が出てくるまでには、数カ月の時を待たなければならないんだろうなというふうに見ております。
私も、
経営をやっておりまして、これまで二度ほど、厳しくなった
会社を立て直したことがございました。その一回目は父の
事業を受け継いだときでありまして、二度目は、私が
経営者から突然この政界に出まして、前々回の
衆議院選挙前後の三年間、
会社を離れた後に戻ったときであります。
まず、立て直しをするときに大切なことは、短期的に目の前の
業績を回復させるための対策、これが
アベノミクスにおいては一本目の矢と二本目の矢であったと思っております。そして次に、短期的な
業績が落ちついてきたところで、中期的また長期的な見通しをもとに、十年、二十年というような
計画を立てていく段階に進んでいくんだろうと思います。私も今、二十年
計画というのを
会社で持って
経営を進めていくわけなんですけれども、この第三の矢、
日本再興戦略は、中長期的な方針というものを明らかにした、これからの
日本の進むべき道を指し示したものであるというふうに思っております。
ただ、私
ども民間企業が中長期の
計画を考えていくときには、ある
程度将来の姿を見通した数字というものを組み立てていって、財務諸表なり、そういうものをつくって、その組み立てによって見通していこうとするわけでございます。
日本の
政府も、国家の
経営を担当していらっしゃるわけですから、中長期的な見通しというのは、可能な限り変動要素の少ない、かたい数字を使って想像ができる未来予想というものも組み立てていかなくてはならないのではないかなと思います。
私が特に気にしておりますのは、人口推計や従属人口指標推計等々もありますけれども、この中から、労働力の見通しや社会保障料の見通しもありましょうし、また
産業の分野別の盛衰の見通しもあろうかと思いますが、それぞれのテーマ別の将来見通し等も示されてございます。しかし、そのような個々の将来推計や見通しはございますけれども、それらを横串で刺して、
日本社会全体の姿がこれからどうなっていくのかということを長期的に予測した研究というのがなかなか見当たらないような気がしております。
そのような中で、とりわけ労働力と社会保障のつながりというところの連関が見えてこないのが大きな不安でございます。
雇用は
産業社会の盛衰に左右されます。また、
産業経済は、内需は少子高齢化に伴う影響を大きく受けますでしょうし、外需は
世界の趨勢の変化に大きく影響を受けると思います。また、労働力は、納税や社会保障の負担をする力でございますし、年金や社会保障料も経済の影響を受けてまいります。社会のあらゆる分野はお互いに連関しながら動いていくわけでございますので、テーマごとの
議論だけでは、全体像が本当にどうなっていくのか、なかなか見えてこないような気がしております。
慎重な
企業は、将来予測もかたく見ていくわけでございます。ワーストシナリオとは言いませんけれども、楽観的ではない予測をベースに、新たな行動と、またその
効果についてもかたい見通しを積み上げていって、大きな
目標への到達を目指していくのではないかと思っております。
そういう意味では、国の
経営も、楽観的でない、しっかりした、全体像を見通した見通しに立脚して、
効果的な具体策を打っていくことができるのではないかと思っております。また、国がそのような見通しを示していただくことで
民間企業も将来を見通した対策が打てるようになりますし、見通しがあるからこそ
投資も活発化するのではないかと思っております。また、
国民も、正しい見通しを知ることで、扇情的な情報に惑わされずに、
政府の政策に対する理解も進むのではないかというふうに思います。
日本再興戦略を成功させるためにも、
日本社会の将来の見通しを可能な限り定量的に、また横断的に研究、
議論する場が必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。