○馬淵
委員 ありがとうございます。
冒頭に、
福島第一
原発の地下水汚染対策に対してということで、お礼を言われるということはむしろ恐縮いたします。
国会というのは、まさに行政の監視並びに国民の生活、安全を守るための機関でありますから、
政府がしっかりと受けとめていただいたということで、私の方からも感謝を申し上げたいと思います。ただ一方で、その是々非々に関しては、またこの場でしっかりと
議論をさせていただきたいというふうに思っております。
本題の方に戻りますが、今、
大臣から、報告書の細かなこと、これについては当然ながら閣議決定に全て盛り込むことはできないが、後退はさせないんだということ、そして順次速やかに、できるものから実施していくという明確な御答弁をいただきました。民主党政権下で進めてきたということで、まさにそれを受け継いでという言葉もいただきましたが、この報告書は、私ども民主党政権でのある
意味電力システム改革の
議論の到達点でもございますので、これをしっかりと自民党政権下でも実施していただくということを明言いただけたというふうに受けとめます。
その上で、
電力の小売の全面自由化という一つの柱について、
お尋ねを進めていきたいというふうに思います。
我が国では、この自由化というのが二〇〇〇年以降、これはもう
委員の
皆さん方もよく御
理解されている、
段階的に実施をして、小売の自由化を進めてきた。工場、デパート、オフィスビル、スーパーなど大口需要について自由化され、二〇一一年度時点では、自由化部門は
電力量の六二%を占めている。お手元に配りました資料は、
皆さんよく、何度もごらんいただいている資料です。
現時点においては、
電力量の六二%が自由化。
しかしながら、その中での新規参入者のシェアというのは、自由化された部分の三・六%、全需要では二・二%と非常に低い値にとどまっている。また、東電、関電といった
一般電気事業者、ここではわかりやすく申し上げたいので既存大手
電力会社と言いかえますが、ここがエリアを越えて供給するようなことも可能ですが、現実にはこれらの実績というのはごく一部に限られております。
お手元の資料にも、2で示しましたが、九電が広島の大手スーパーに、これは中国
電力から切りかわって、域外の供給を行ったということが一件あるということであります。
こうした
状況の中で、なぜこの小売自由化が広がらないのかということについて、また、自由化されているにもかかわらず新規参入、競争
促進が生じないのかという問題について、少し
議論を深めてまいりたいというふうに思います。
まず、三・六%、全体でも二・二%、この広がらない理由、進まない理由ということについて、その理由の一つは、既存大手
電力会社と新
電力、あえてわかりやすくするために新規参入
事業者、このように言いかえますが、ここでは、
電力の供給能力、この確保のための能力に差が余りにもあるということではないかと思っております。
新規参入
事業者は、顧客の要望に合わせて変動する
電力需要に応じて、発電
事業者との相対取引、あるいは卸
電力取引所における取引、これによって
電力を調達する必要があるんですが、取引に応じる発電
事業者、あるいは卸
電力の取引所での取引量は限られておりまして、顧客の需要があっても、供給する側が、時期に応じて
電力を自由に供給する、調達することが困難な
状況である、このような
状況が
現時点も続いております。
そういう
状況の中でどのように
電力供給を高めるために調達を確保するかということなんですが、こうした新規参入
事業者、この確保のためには、一つ
考えられることが、地方公共団体が経営する発電事業からの仕入れであります。これは新規参入
事業者にとっては、調達先としては非常に期待されるものでありまして、地方公共団体が行っている水力発電、これは県などがよくダムを持っております、あるいは廃棄物発電、これはごみ焼却場などの熱によるもの、また風力発電、こういったものもございます。
都道府県が主な経営
主体となっている公営電気事業、今三つほど例を挙げましたが、この中での中心はやはり水力です。この水力発電、全国では二百三十八・七万キロワット、
原発の二、三基分に相当いたしますが、これは非常に発電が安定しています。そして、その
稼働率が高いということで、いわゆる安定的なベース電源となっていく。
原発と同様に、水力は安定したベース電源。特に新規参入
事業者にとっては、
原発によるベース電源なんというのは到底無理ですから、地方公共団体の
電力事業から仕入れるということは非常にメリットが大きいということになります。
また一方で、新規参入
事業者が国などに入札によって電気を売却しようとする場合には、ここではある
法律がネックとなります。
環境配慮契約法というのがございます。ここでは、入札資格要件として、CO2の排出係数や
再生可能エネルギーの導入
状況などが条件として課されます。
したがって、
再生可能エネルギーの一種である水力、電気を売る側にとっては非常に魅力的な仕入れ先ではありますが、この
環境配慮契約法、こうした縛りの中でも、地方公共団体から仕入れる水力というのは、何としてでも調達したいという
電力の一つである、このように
考えられます。
こうした中で、資料3をごらんいただきたいと思いますが、報道によりますと、現状はどうかというと、実は、入札による新規参入
事業者との売電契約は東京都だけだということが報道でも上がっております。具体的には、報道だけではなく、経産省からの資料もいただきました。
現状、東京都だけが入札によって、この資料の新聞の記事でございますが、エフパワーという
会社、新規参入
事業者と入札で契約を結んだということでありますが、その他の
自治体は随意契約になっております。すなわち、その他の
自治体は、随意契約によって、東電を初めとする大手の既存の
電力会社と契約を結んでいるということになります。
ちなみに、東京都は、ことしの三月に入札を行ってこのエフパワーになったわけでありますが、その新規参入
事業者エフパワーの落札価格は、資料4をごらんいただきますと、キロワットアワーで十四円五十銭、これが新しい落札価格であります。それまでの東電との随意契約における単価は、資料5にありますように八円七十四銭ということで、入札を課すことによって高く売れたというわけです。これによって、東京都は、売電収入が年間で約九億六千万円から十七億円にふえる見込みとなっています。
このように、入札ということによって、
当たり前ですが、地方公共団体の事業としてもより収益が上がる形になっているわけでありますが、なぜこれが進まないのかということであります。
そこで、一般競争入札ということについての整理をしていきたいんです。
地方
自治体が行う売買契約に関しまして、地方自治法の二百三十四条一項及び二項の規定で、これは一般競争入札により締結することが原則とされています。随意契約は、地方自治法施行令または地方公営企業法施行令で定められた事由に該当する場合にのみ締結されることになります。
このような
状況で、民主党政権では、行政刷新
会議でこの
検討を行いました。そして、二〇一二年の四月、エネルギー分野における
規制・
制度改革に係る方針ということで閣議決定をいたしております。
資料6をごらんください。
これは閣議決定ですから、
政府としてこのことを認識しているということであります。「公営の発電事業における新
電力の買取参入の実現」として、「地方公共団体に対して、地方公共団体が行う売電契約について、一般競争入札が原則である旨を改めて周知する。また、各地方公共団体における売電契約の
状況について実態調査を行う。」としています。ここの抜粋にありますように、
規制・
制度改革事項としては、これらに関して、実施時期は平成二十四年度
早期措置となっております。
これを受けて総務省は、平成二十四年四月二十五日、四月三日の閣議決定を経て三週間後に通知を発出しております。「地方公共団体が行う売電契約について」という通知でございます。これは資料7をごらんください。内容については、ただ単にお知らせという形であります。
この通知を出された。問題意識は
政府として持っている。総務省も、所管する立場として通知を出した。
そこで、総務省の事務方に
お尋ねいたします。
総務省として、この通知を出されて、その後、地方公共団体の売電契約の実態把握やさらなる周知を行ったでしょうか。端的にお答えください。