○木下
委員 一論であると私は思っております。
ただ、先ほどの私の経験から言いますと、おもちゃはあれですが、特に
コンテンツ事業に関しては相当苦労しました。なぜ苦労したかというと、やはりどうしても、
クリエーターであったり、例えばマーケティング手法であったり、そういったところがブラックボックス化しているんですね。中で、いやいや、この業界ではこうだからこれが常識なんです、この値段なんですというふうに言うんですよ。それを私が持って帰ってきて、社内で説得するんです。でも、
ビジネスライクな目線がちゃんと働かないんですね。どうしても、そのときは話をしても全く通じないという状態で。
これは何でかというと、私はこれが一番の問題だと思っていて、こういった産業も、しっかりと
ビジネスの標準、常識と言っていいんですかね、そういったものの土俵の上にのせてこないといけないと思っているんです。
これは、もう十五年以上そういうふうな仕事がありましたけれども、何度も挫折しています、何度も挫折して、一番の大きな問題は何かというと、
収益を上げるときに、そのブラックボックスになっているところが全く見えず、そこに湯水のようにお金を使ってしまう、どうしてもそうなって、十本やって一本当たれば十本分の
利益を回収できるんだという形で、何とか細々とやっていくんですけれども、こけてしまうと次へつながらない。
そういう状態にあったので、ここにお金を入れるといったときには、やはり産業自体を育成するために、ちゃんとした
ビジネスを彼らにしっかりと根づかせるような
取り組みというのが私は一番重要なんじゃないかと思っております。
時間がないので、どんどんお話しさせていただきます。
次に、もう
一つ、今井
委員の方から
質問があった件なんですけれども、
民間金融機関が将来性を感じる
分野であれば、なぜ官に頼らずみずからリスクマネーを提供しないのかというふうなことを聞いております。その理由として、これらの
分野の将来性に疑問を持っているからではないかということで、これは
民間金融機関というふうに区切って言っておりますが、これは
企業という捉え方をしてもいいのかなと思っております。
そこに対して、
大臣は、アジアなどの新興市場を獲得していくことは我が国の有望成長
分野であるが、多くの
民間企業にとっては、短期的に
収益を上げることに注力しがちで、ターゲットがどうしても国内市場
中心になっているのが
現状だというふうにおっしゃられていました。
多くがそうだということは否定しませんが、そうでもないんじゃないかなと。というのは、私がいた
会社を見ていたら、
もともとは右から物を買って左に売る、素材産業、鉄鋼であるとか化学品であるとかいったものを仕入れて、それを例えばトヨタさんであるとか、そういったところに売るというふうにして、その売買差益でもうけていた。この
事業が、やはり
ビジネスモデルがもう成り立たない、そうなったときに、ちゃんと投資して
事業をつくっていくんだ、そこから生まれる
利益をとっていくんだというふうな形に変わっていったんです。
それでやったのが何かというと、今最高益をどんどん更新しているような状態になっていますが、一番
収益源になっているのがブラジルなんですね。ブラジルに、投融資それから保証などの残高を全部合わせると五千七百億、一社で、グループ
会社も全部合わせて投資しています。
会社としても、二千二百人ぐらいブラジルに従業員がいる。
これをつくっていくのは、短期的な視野ではなくて、長期でやはり物事を考えているんだと思うんです。それを源泉にしながら、もうけをどんどん出してきている。
これを考えたときに、どうしてそういうふうなことをしておきながら、彼らが
コンテンツビジネスをそういう国でやっていかないのかというと、やはりリスクが高いという
判断だと思うんですね。それだけお金を入れて、それだけ長期的な視野でやっていったとしても、そこに手を出すのは相当厳しいんだという考え方を彼らは持っているんです。
全然やっていないわけではないんです。例えば
インドネシアとか香港であるとか、そういったところに、テレビ
放送の
プラットホームを買ってやっています。ただ、これはやはり芳しくないんですね、私が言うと怒られてしまうかもしれないですけれども。
例えば、皆さん、
日本国内ですけれども、BSで、十二チャンネル、BSトゥエルビというんですけれども、これを見たことがある方はいらっしゃらないんじゃないかと思うんですね。何をやっているかも、ああ、何となく知っているなということだと思うんですけれども、あれも一〇〇%出資で、その
会社が出資しております。そこで
放送を流して、そこの
コンテンツで
収益を上げていこうとしている。
これは、一社で十五億円、まず最初に、
設立するときにお金を入れています。ただ、その後ろにあるのは何かというと、その中の
コンテンツでどんなことをしているかというと、QVCというショッピングチャンネルがありまして、それは別でケーブル
放送なんかでやっているんですけれども、そこでは数百億円入れているんですね。それだけの
プラットホームを持ってBSチャンネルをやっていても、全くと言っていいほど、単体で見るとペイしていないんです。
それを考えたときに、この五百億円、
民間から百億円、それから先も入ってくると思うんですけれども、これだけで、私は本当に、
生活文化がちゃんと
海外に入っていくのかというと、ちょっと疑問を感じざるを得ない。
しかも、もう
一つ言わせていただくと、一カ国じゃないんですね、いろいろな国にそういうふうな
プラットホームをつくって、番組を買って、やっていくんだとおっしゃられているんですけれども、そこまでの波及効果が本当に期待できるのか、その辺をしっかり考えているのかどうかということについて、
質問させていただきたいんです。