○上西
参考人 税理士の上西でございます。
本日は、経済産業
委員会にお招きいただきまして、どうもありがとうございます。
お手元の資料、二点ございます。一点が、きょう
説明で使わせていただきます
説明用の資料でございます。もう一点が、「平成二十五年度・税制改正に関する建議書」でございます。現在、平成二十六年度版を取りまとめているところでございます。
消費税の円滑かつ適正な
転嫁の
確保のための
消費税の
転嫁を阻害する
行為の
是正等に関する
特別措置法案につきまして、
参考人として
意見を申し述べたいと思います。
まず、大前提としまして、税理士について少し御
説明を申し上げたいと思います。税理士の使命であります。
税理士法第一条に、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な
立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の
信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」とあります。
この税理士の使命をもとに、毎年、税制改正建議書を作成、公表いたしております。この税制改正建議書は、税理士法の規定に基づくものでありまして、五つの視点に基づいて作成しております。公平な税負担、理解と納得のできる税制、必要最小限の事務負担、時代に適合する税制、透明な税務
行政、この五点でございます。
そして、税理士が社会的にどのように期待そしてまた評価されているかでございますが、税理士は、決して中小企業の代弁者ではございませんが、日常、中小企業と多く接しており、中小企業も含め法人
事業者の八六・八%に関与させていただいております。また、中小企業庁の資料でございますけれども、六八・一%の中小企業が顧問税理士、会計士を相談相手としております。
そして、今回の
特別措置法案についてでございますが、四つの特別措置が予定されております。
一つ目であります。
消費税の
転嫁拒否等の
行為の是正に関する特別措置であります。対象となります、保護されるべき特定供給
事業者が妥当であるかについてであります。
まず、法人税法における中小企業者、これは幾つもの定義がございますけれども、代表的なものといたしまして、資本金の額または出資金の額が一億円以下の法人、資本または出資を有しない法人のうち従業員数が千人以下の法人があります。これ以外にも中小法人等の定義はございますが、代表的なものがこれでございます。
次に、中小企業
基本法でございます。こちらも、同法二条におきまして中小企業者が定義されております。例えば製造業でありましたら、資本金の額または出資の総額が三億円以下の会社または常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人となっております。以下は少し省略をさせていただきます。
そして、この恒常的な施策を踏まえまして、特定供給
事業者がどのようなものであるかでございますが、今回の
特別措置法案の二条二項で、大規模小売
事業者に
継続して商品または役務を供給する
事業者、資本金等の額が三億円以下である
事業者、個人
事業者が掲記されております。上記一、二をほぼカバーしておりますので、妥当であると考えております。
二つ目の特別措置でございます。
消費税の
転嫁を阻害する
表示の是正に関する特別措置です。
まず、
消費税の負担と納付でございますが、
消費税の納付、納税する義務者は
事業者でございます。そして、
転嫁を通じて最終的には消費者が負担するとなっております。
そして、
消費税法の
目的でございますが、
消費税法が改正されまして、第一条の二項に
趣旨が追加されております。重要でございますので、少し読み上げさせていただきますと、「
消費税の収入については、地方交付税法に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の
社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。」とあります。
すなわち、
消費税の
引き上げによる増収分は全額が
社会保障四経費に充てられ、そして
転嫁を通じて消費者が負担した
消費税の増収分は全て
国民に
還元されるというプロセス、仕組みとなっております。
これらを踏まえまして、税理士として申し述べたいのが次の三番でございます。知識と情報の適正化です。
まず、正しい知識をもって
転嫁は行われるべきであります。次に、誤った情報、セールストーク等は規制されるべきである。この二点であります。
一番目の、正しい知識をもって
転嫁は行われるべきであるにつきましては、全ての消費者に
消費税制の仕組みについて理解を求めることが理想ではございますが、一定の限度があることは否めません。そこで、周知広報活動についてはしっかりと行っていただきたいと考えております。税理士会としても、できる限り協力する所存でございます。
次の、誤った情報の規制についてでございますが、具体例をガイドライン等で明らかにする必要があると思います。ぜひとも、これはわかりやすいものをつくっていただきたい。そして、希望でございますけれども、このガイドラインの冒頭のところに、
消費税が
社会保障給付に充てられるんだということをきっちりと御明記していただきたいと希望しております。
三つ目の特別措置であります。価格の
表示に関する特別措置であります。
消費者保護の観点、消費者の利便性をまず第一に考えるべき、こうした観点から、従前、税抜き価格、税込み価格等が混在している中で、消費者の最終負担額がわかりにくかったという
指摘を踏まえ、平成十六年四月から総額
表示が義務化されました。
対消費者の取引、いわゆるBツーC取引のうち、不特定かつ多数の者に対してあらかじめ価格を
表示するものについては、この総額
表示が日常の消費活動の中で定着しております。この定着しているということは、事実として非常に重いものであると認識しております。
ところで、
事業者からの要請が最近行われております。
消費税の
転嫁の
確保、値札の張りかえ、レジのプログラムの変更等の事務を
担当する部署から、事実上これが
事業者の声となっているわけでありますが、税抜き価格の
表示の要請がございます。
そこで、
意見でございますが、
表示の原則と経過措置についてであります。
今後とも総額
表示義務を維持すべきであると考えます。ただし、
事業者からの要請がございますので、これを例外措置として認めることも経過措置として妥当である。ただし、消費者保護等のために何らかの担保措置は必要であると考えます。
レジのところに行って初めて別途
消費税ということに気づくことがないように、店の入り口であるとか、店内、棚等に、税抜き価格である旨、本体価格である旨、あるいは別途
消費税がかかりますよという旨が示されるような措置は当然のことながら必要であると思います。
次に、例外措置でありますけれども、三年間で、二十九年三月末までの予定とあります。この
部分について、実務家の視点から
意見を申し述べさせていただきたいと思います。
二十六年四月から八%、二十七年十月から一〇%でありますが、この時期をカバーすることは当然必要であります。二十七年十月一日から一年間、多くの
事業者は一年間を
事業年度、課税期間としております、そうすると、二十八年の九月末までは当然のことながらカバーしておいた方が妥当であろうと考えます。
次に、個人
事業者は暦年でございます。そうすると、二十八年、丸一年間をカバーしておくことも妥当ではないか。となりますと、二十八年十二月までは最低必要となります。
そして、中小企業者、法人でございますけれども、三月決算法人が多いことを考えますと、二十九年三月までが
一つの時期であるとして、多くの
事業者から納得できるものとされるのではないかと思います。
ただし、延長というものが適切ではございませんので、二十九年三月でエンド、終わっていただきたいと考えているところでございます。
四つ目の特別措置でございます。
消費税の
転嫁及び
表示の方法の決定に係る共同
行為に関する特別措置でありますが、
転嫁カルテル、
表示カルテルの二つが示されております。
実務家の視点から申し述べますと、
転嫁カルテルにつきましては、例として、
消費税額分を本体価格に上乗せした結果、端数処理ですが、円未満の端数について切り上げ、切り捨て、四捨五入等がございますが、これは現在でもございます、ですから、この
部分について
転嫁カルテルがあっても、実際に現行と同じように適正な申告をするに際しては何ら支障はないものでございます。
もう一点、
表示カルテルでございますが、例えば商店街の各店が共同して税込み価格
表示をしますというようなことをしても、これについても適正な
消費税申告については何ら支障はないと考えております。
したがいまして、今回の
特別措置法案につきましては賛成の
立場を表明したいと思います。
なお、重要なものは執行ではないかなと思います。
今後作成されますガイドラインにつきましては、利便性の高いものにしていただきたいということと、監視、取り締まり等の措置を適切かつ迅速に行っていただきたいということを考えております。
以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)