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岩田参考人 まず、
最初に
デフレがどうして起こったかということですが、一番
最初は、一九九二年ごろに、ちょっとその前ぐらいから、
日本銀行が非常に
金融引き締め
政策を急激に実施しました。これによって資産価格の暴落が生じました。
資産価格が暴落する前に、
企業も非常に大きな借金をしておりましたので、資産価格が暴落すると
企業のバランスシートは非常に悪化します。それで、返済もできないということになると今度は銀行のバランスシートも悪化するということで、バランスシートの調整をするためには、バランスシートというのは要するに
自分の資産がなくなることですので、資産を回復しないとリスクが非常にとれなくなりますので、みんな貯蓄に励み、借金を返済するということを
企業もするわけです。
そうすると、貯蓄に励むということは、
内部留保をして、
金融資産か何かで運用して物には支出しないということになって、
需要が落ち込んで
デフレになる。
デフレになると、
企業は収益が上がらないので、どうしても
賃金に下方圧力が働くんですが、正社員は何とか初めはなかなか下げないようにしますが、非正社員とかそういった人を下げていく、あるいは失業者がふえるということで、格差も拡大してくるということです。
最初にそういうふうに
デフレになってくると格差も拡大するという、それはございます。
そこで、議員がおっしゃるように、そのようにして
需要は落ちるので、そうすると、その
需要が落ちている中で、
金融政策が、もっと
インフレを上げてやって、
企業にとっても収益が上がるようにしてあげないといけないわけですが、それをしない中で増税すればますます
デフレ圧力が働くということは、おっしゃるとおり。それによって可処分所得が減るということも、
メカニズムは同じです。
物価を二%ぐらいというのは、これは世界の標準です。別に高い
インフレでも何でもないんですね。そういうふうにすると、
企業活動はよくなってきて、そんな超
円高も進まなくなるというので、
需要が回復してきて、
雇用が回復してくる。それによって
賃金もやがて上がってくる。そういう
メカニズムをこれからつくっていく。
インフレターゲットの国というのは、一九九〇年ぐらいから二十年その
メカニズムを使っているわけで、
日本経済よりもずっといいパフォーマンスを上げているということです。
まず、
インフレを二%ぐらいにして、実質が一%ですと、三%名目
成長になります。これをやると税収を上げる
効果が非常に大きくなりますので、まずそれを使って税収を上げてみて、それでも
財政再建がなかなかできないというところを見きわめてから
消費税増税で遅くはないというふうに私は思います。
まず、
インフレターゲットと
政府の
成長戦略によって名目
成長率を三%ぐらいに少なくとも上げる、それによって税収を上げるということを先にやっていけば、
財政再建の道も出てくるし、
雇用も安定し、
賃金もやがて上がってくるという
メカニズムが作用するんだというふうに
期待しています。