○
山内委員 言語の問題はそんなにシンプルではないと思うんですね。仏語圏だからフランス語ができればいいということではなくて、恐らく庶民はみんな仏語はそんなに流暢じゃないと思います。
それから、アルジェリア政府の職員で、フランスで教育を受けたようなキャリア組はいいかもしれませんが、末端の職員とか末端の警官、末端の兵隊のレベルは、恐らくそんなに洗練されたフランス語をしゃべるとは思えませんから、やはりアラビア語なんだろうなと。それも、いわゆるアラビア語というよりは、もしかしたらアルジェリアなまりのアラビア語ができる人がいた方が、現場の生の情報というのは得やすいんじゃないかなと思うんですね。
例えば、
外務省は、フィリピンの大使館は英語圏だから英語ができればいいんだという発想で、余りタガログ語の職員がいないんですね。ところが、フィリピンみたいな公用語が英語の英語圏と言われても、庶民はタガログ語の新聞を読んでいるんですね。多分、アルジェリア人は、日常会話は別にフランス語でしゃべっていないと思うんですよ。
そういった意味では、フランス語ができればいいというんじゃなくて、やはりアラビア語、それも、もしかしてテロ組織の無線を傍受しようと思ったら、
現地語なまりのアラビア語がわからないと意味がないわけなんですね。ですから、フランス語が五十人行ったからそれでいいんだという
外務省の
説明をうのみになさらない方が、あべ政務官におかれましては、いいんじゃないかなと思います。
だからこそ、私は、
外務省はもっと言語、それも英語、仏語、
中国語みたいなメジャー言語だけじゃなくて、アラビア語、それもいろいろなアラビア語を覚えた方がいいと思うんですよ、レバノンなまりのアラビア語、サウジアラビアなまりのアラビア語。そうじゃないと、恐らく、
日本の場合を
考えてみると、ジャパン・タイムズとデーリー・ヨミウリしか読んでいないアメリカ人の政治学者が本当に
日本の政治をちゃんと分析できるか。できないと思いますね。やはり、朝日、読売、週刊文春、新潮まで読んで初めて
日本の政治というのは分析できるんだと思います。
そういった意味では、ちゃんと
現地語、フランス語だけではだめなんじゃないかなという問題意識をぜひ持っていただきたいと思います。そういった意味では、
外務省の特殊言語の研修、教育というのをもっと力を入れるとともに、そういう人材を大事にする人事のローテーションなんかも
考えられてはいかがかなと。
今回、アルジェリアの大使館にアラビア語の人が
もともと一人もいなかったということも報告書の中で書かれておりました。そういった意味では、せっかく金をかけてアラビア語ができる人を百五十人も、正確には百四十九人ですね、養成しているわけですから、そういう人をもっと活用すべきではないかというふうに個人的な意見を申し上げまして、
質問を終わりたいと思います。
以上です。