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山本(有)
委員 午前中、特例公債の発行について複数年度にわたるということの危険性は、実は、この
全国防災のフレームから私は感じたことなんです。複数年度、赤字公債を発行する、
お金がある、先に全部使ってしまった、あとない、また借金、この繰り返しをしてはならぬという
思いなんです。
ですから、複数年度の赤字公債、絶対必要な
お金ってありますよね。ですから、これが避けられないという、それはわかります。しかし、財政規律も守ろうというときに、減額の
努力を
国民に見せるということ、そして、
与野党で、まるで離れに行ってすき焼きするというような、そんなイメージじゃなくて、つましくやっているけれ
ども要るんだったなということが御理解いただけるようにする特例公債の複数年度、私は、相当厳しく要件をつくってやるということに対しては否定するものではありません。
その
意味で、どうかひとつ、
岡田副
総理も言われていましたけれ
ども、
全国防災、こういうことも必要だと思っているところがいっぱいありますので、このニーズに応えるように、かつ、財政規律を守るようにやっていただきたいというように
思います。
そこで、
全国防災に関連して、ちょっと具体的な例を挙げさせてもらいます。
私も驚きました。中央防災
会議で、ことし三月三十一日、津波の予想被害想定、こういったものが発表されました。黒潮町という町の役場に一本の電話がかかってきて、三十四・四メートル。三十四・四メートル、想像しただけで、そんな津波が来るのかとパニックになりました。誘致した企業は出ていきました。新築する予定の方々はやめました。そして、さっさと引っ越ししようという人まであらわれました。私は、当然の影響だというように把握します。
しかし、この間、衆議院の国土交通
委員会、視察にそこを訪れて、私もそこについていきましたが、町長によると、高齢者が多い、その海辺の集落の四割は高齢者だと。この方々を、防災の点から見ると避難困難者というんです。この避難困難者が実は変容しているというんです。どう変容しているかというと、三十四・四メートルと聞いただけで避難放棄者になった。もう避難しない。足の悪いおじいちゃん、病気がちのおばあちゃん、もうここにいていいじゃないか、津波が来るんだったら死のう、こういう放棄者が続出しているんです。
町長は、二百人の職員を使って、全戸に職員を割り当ててアンケートを全部とりました。そして、百八十回の地域の協
議会を、回数、延べでやりました。その結果、何がわかったかというと、大体、健常者だと十五分で三十四・四メートル以上のところへ行けるんです。しかし、おじいちゃん、おばあちゃんたちは、元気な方でも三十分かかる。そうすると、途中で津波に遭ってしまう。もう、歩いて逃げてください、そういう避難訓練はやめましょうということにしたそうです。何をするか。これは車に乗せていくしかない。車だったらわずか二分ですよ。もうこれしかない。
そこで、国の防災の
担当大臣やそのほかのアドバイスで、拠点の施設は高台移転することになりました。学校、病院、役場、消防署は高台移転することになりました。しかし、海辺のこの町からその高台までは道がありません。道をつくろうと考えたんです。ところが、津波が来て、液状化でも耐えられる道路というのは、そうないんですよ。高いところに上がるわけですから、高架か盛り土をしなければなりません。費用はかさみます。
それで、十三億円のその道路をつくるのにどうしようかと。さんざん東京へ出てきて各省庁を回って、いっぱい
意見を聞いて、結論は、
社会資本総合交付金が一番いい
事業だ、こうなったわけです。これを使って、もし満額箇所づけしていただいて、この町がその道路をつくれるかというと、実はつくれない。六五%の補助しかやっていただけない。残りはないんですよ、残りが。
そこで、先ほど言いました、
岡田副
総理の言った
全国防災の防災・減災対策債、この地方債を使えば何とかできる。しかし、これはもうことしで、ぱちんとシャッターが閉まって終わり。もう本当にがっくりきて、田舎に帰っているんですよ。
おじいさん、おばあさんは、目で見える、ああ、これがあるなら私も逃げても助かるかもしれない、町長のいわく、目で見える何か助けになることをやってあげないと、避難民、これは中央防災
会議が、
政府が勝手に発表した三十四・四という数字に対して余りにも無責任過ぎる。こういうことなんですが、この残りのいわゆる裏負担というもの、これを何とかしようとしてもできなかった。
それは、勝手にと言ったらなんですが、いわゆる
補助金を全部やめた、そして国が出せるものは一切ない。この
全国防災の必要なところに限って、私は野方図につくれと言いません、市町村の防災計画がある、県の計画にそれがのる、そして
大臣がそのことを認可するというような手続を踏んでいるものは
全国防災でやってあげるというようなことが必要じゃないでしょうか。
岡田副
総理、どうですか。