○富田
委員 公明党の富田茂之でございます。
羽田
大臣の所信に対する質疑をさせていただきます。
大臣は所信でこのように述べられておりました。「
発生が懸念される首都直下地震や
南海トラフが引き起こす
巨大地震などの大
災害に対しては、
災害に強い国土づくりを進めることが不可欠です。このため、
東日本大震災の
教訓を踏まえ、
住宅・
建築物や公共
施設、交通
施設の
耐震性向上、
津波対策の
強化、
ミッシングリンクの
解消、初動体制の
強化等に取り組む」というふうに言われておりました。
実はこの
委員会で、十月の四日、五日、高知県と愛媛県、山本公一筆頭
理事がいろいろ配慮していただいて、視察をしてきました。
特に高知県の黒潮町の視察は本当に印象的でした。
大西町長さんからいろいろお話を伺ったんですが、政府の方で八月末に発表した
南海トラフを震源とする地震があった場合の被災マップ、被災状況の報告がありましたけれども、その報告で、地震があった場合に最大三十四・四メートルの
津波が襲うだろうというふうに言われている町ですので、どういうふうな
取り組みをされているのかということで大変興味もありましたし、また、本当に大変なお話を伺ったなというふうに思います。
国交省の方であらかじめいろいろ資料を用意してくれたりしていましたが、町長が、最初に私たちが行きましたら、町の方には三月末ぐらいに一回中間報告ということで、その三十四・四メートルの
津波が押し寄せるだろうという報告があったと。これを一万二千七百人の町民の皆さんに伝えたところ、どんな反応があったと思いますかというふうに我々に町長は問いかけられたんですね。私たちとしては、
避難道路をどうするんだとか、
避難場所、どこへ行ったらいいんだとか、あるいは引っ越しが必要なのかとか、そういったいろいろな動きが出るのかなというふうに思っていましたら、町長は、そうではなくて、ほぼ町民の全員が諦める、そんな三十四メートルの
津波なんか、どんなことをやったって逃げられっこない、もうほとんどの人がだめだというふうに思ったと。
ただ、それでは町長としての役目が果たせないんで、ではどうしたんだというところで、高知新聞の記事をいただいたんですが、二百人いる職員を、それぞれの生まれた場所あるいは今住んでいる場所に
防災担当職員としてきちんと張りつける。それで、
地域の皆さんと一緒に、自分たちはどういうふうに逃げるのか、高齢者の方もいらっしゃるし、障害を持った方もいらっしゃる、その人たちが逃げるときに、その
地域でどんな困難があるんだ、そういったものを
一つずつ地図に落として、解決に向けてやっていこうということに取り組んだ。
町には十四の消防団があるようですが、その消防分団ごとにまず職員を張りつけて、それではまだ広過ぎるので、六十一の地区に分けて担当者を決めた。こういうふうに、
地域の人たちと一緒にいろいろ取り組んでいるんですというような写真も見せていただきました。
もともとこれは、東北に応援に行った職員の皆さんが気仙沼で見聞きしてきたことから発想した。気仙沼に応援に行ったら、気仙沼の職員が一生懸命やっているのに、
避難した
住民の皆さんからかなり怒られることが多かった。こういう非常時には、やはりふだんのときから
地域の
住民の皆さんと役場の職員がきちんとつながっていないと、なかなか適切な行動はできないんだという職員の発想から、
地域に根差した
防災担当職員ということで、町長がそういう配慮をされたというふうに伺いました。
そういう活動をずっとやってきて、九月の二日に全町で
避難訓練をやったら、四千人を超えられる方が出てきた。最初は全員が諦めているのに、三分の一の方が逃げられるんじゃないかというふうに思ってきたというわけですね。
これは、もともと政府の方の出した報告書でも、地震がおさまって
避難を迅速にする、すぐ逃げる、そして
津波避難タワーの有効活用、あるいは
堤防、水門の
耐震性強化、こういう
ハード、
ソフトを組み合わせれば
被害を四分の一から五分の一に
減災できる、そういう
想定も出ていたんですね。町長もやはりそれを御存じで、こういうふうにやっていくと、町民の皆さんも逃げられるというふうに思ってもらえる、そういうところで国交
委員会のメンバーがみんな来たので、いろいろ要望したいというようなお話でした。
気仙沼の
教訓を生かした、
防災担当職員を
地域に張りつけるというすばらしい発想だと思うんですが、これはやはり、同じように太平洋に面したいろいろな市町村に活用できると思うんですね。こういったことを
国交省として今後どういうふうにバックアップしていこうと思っているか、
大臣の感想をちょっとお聞かせ願いたいと思います。