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2012-07-10 第180回国会 参議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年七月十日(火曜日)    午前九時四分開会     ─────────────    委員の異動  六月十三日     辞任         補欠選任      梅村  聡君     大塚 耕平君      吉川 沙織君     櫻井  充君      林  芳正君     山田 俊男君      牧野たかお君     川口 順子君      魚住裕一郎君     草川 昭三君      山下 芳生君     大門実紀史君  六月十四日     辞任         補欠選任      金子 恵美君     牧山ひろえ君     はた ともこ君     大久保 勉君  七月三日     辞任         補欠選任      外山  斎君     田城  郁君      友近 聡朗君     難波 奨二君      姫井由美子君     田中 直紀君  七月五日     辞任         補欠選任      谷  亮子君     森 ゆうこ君  七月九日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     中谷 智司君      赤石 清美君     森 まさこ君     三原じゅん子君     佐藤 正久君      草川 昭三君     渡辺 孝男君      大門実紀史君     井上 哲士君      荒井 広幸君     舛添 要一君  七月十日     辞任         補欠選任      田城  郁君     徳永 エリ君      竹谷とし子君     秋野 公造君      渡辺 孝男君     山本 香苗君      中西 健治君     水野 賢一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柳田  稔君     理 事                 植松恵美子君                 川上 義博君                 武内 則男君                 徳永 久志君                 有村 治子君                 礒崎 陽輔君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 小野 次郎君     委 員                 石橋 通宏君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 金子 洋一君                 小西 洋之君                 田城  郁君                 田中 直紀君                 谷岡 郁子君                 徳永 エリ君                 中谷 智司君                 難波 奨二君                 林 久美子君                 広田  一君                 牧山ひろえ君                 蓮   舫君                 猪口 邦子君                 片山さつき君                 片山虎之助君                 川口 順子君                 佐藤 正久君                 佐藤ゆかり君                 末松 信介君                 西田 昌司君                 丸山 和也君                 森 まさこ君                 山崎  力君                 山田 俊男君                 山谷えり子君                 秋野 公造君                 竹谷とし子君                 山本 香苗君                 山本 博司君                 渡辺 孝男君                 森 ゆうこ君                 中西 健治君                 水野 賢一君                 井上 哲士君                 福島みずほ君                 舛添 要一君    国務大臣        内閣総理大臣   野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣行政刷        新))      岡田 克也君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、地        域主権推進))  川端 達夫君        法務大臣     滝   実君        外務大臣     玄葉光一郎君        財務大臣     安住  淳君        文部科学大臣   平野 博文君        厚生労働大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策))     小宮山洋子君        農林水産大臣   郡司  彰君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償支援機        構))      枝野 幸男君        国土交通大臣        国務大臣     羽田雄一郎君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        行政))     細野 豪志君        防衛大臣     森本  敏君        国務大臣        (内閣官房長官) 藤村  修君        国務大臣        (復興大臣)   平野 達男君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全)        )        松原  仁君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策科学技        術政策))    古川 元久君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(「新し        い公共」、防災        、男女共同参画        ))       中川 正春君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        松下 忠洋君    内閣官房長官        内閣官房長官  長浜 博行君    副大臣        財務大臣    藤田 幸久君    大臣政務官        財務大臣政務官  三谷 光男君        財務大臣政務官        復興大臣政務官  若泉 征三君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  山本 庸幸君    事務局側        常任委員会専門        員        藤川 哲史君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      杵淵 智行君        原子力委員会委        員        尾本  彰君        原子力安全委員        会委員長     班目 春樹君        復興庁統括官   岡本 全勝君        復興庁審議官   佐川 宣寿君        復興庁審議官   大森 泰人君        法務省刑事局長  稲田 伸夫君        外務省国際協力        局長       越川 和彦君        国税庁次長    岡本 榮一君        文部科学省科学        技術・学術政策        局長       土屋 定之君        中小企業庁長官  鈴木 正徳君        気象庁長官    羽鳥 光彦君    参考人        浪江町議会議長  吉田 数博君        双葉町長     井戸川克隆君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査     ─────────────
  2. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから予算委員会開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、本日の委員会浪江町議会議長吉田数博君及び双葉町長井戸川克隆君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 予算執行状況に関する調査についての理事会決定事項について御報告いたします。  本日の質疑総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は百六十八分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会五十二分、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会六十二分、公明党二十分、国民の生活が第一六分、みんなの党十分、日本共産党六分、社会民主党護憲連合六分、新党改革六分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 予算執行状況に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。川口順子君。
  6. 川口順子

    川口順子君 おはようございます。用意をいたしました質問に入る前に、一つ、昨日報道がございましたので、それについて外務大臣にお伺いをいたします。  報道韓国紙報道でございまして、クリントン長官が旧日本軍従軍慰安婦について強制的な性奴隷と言うべきだというふうに指摘をしたという報道でございました。これについて質問をするということは、外務省にのみは通告をさせていただきました。外務省はこの報道に接してどのような行動を取られましたでしょうか。大臣はどのような指示をなさったでしょうか。
  7. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 報道について承知しておりますけれども、率直に申し上げて、当然のことながら、私との間で、あるいは、言わば国務省と外務省の間でそういったやり取りはございません、現実のところ。  ですから、そういう意味で今コメントするというのはいかがかと思うんですけれども、ただ、仮にそういうことであれば、最も効果的な方法で、これまで日本政府が取り組んできたこと、例えば、繰り返し繰り返し総理おわびの気持ちを表明をし、アジア女性基金アジア女性基金アジア女性基金等々について……(発言する者あり)アジア女性基金等々について取り組んできたこと等を説明して、したがって、そういった言葉については違いますよということを当然ながら私としては申し上げるということになろうかと思います。
  8. 川口順子

    川口順子君 今事実確認中でありますとおっしゃったんだったら私はさっと次の質問に行こうと思っておりました。ただ、何もしていらっしゃらないということは、これはやっぱり看過できないことだと思うんですね。いかなる報道であれ、これはやはり先見性を持ってリスクマネジメントをしないといけないというのが外務大臣及び外務省立場じゃないでしょうか。直ちに事実確認をするという指示をなさいますか。(発言する者あり)
  9. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御静粛にお願いします。指名が聞こえませんので、御静粛にお願いします。
  10. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 私自身は、率直に申し上げて、いや、それは事実確認指示というかそういうものはもうとっくにしているんですけれども、ただ、どういう形で、どういう方法でやり取りするかということについてしっかりと考えて対応しなきゃいけないということだと思います。
  11. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 川口君。(発言する者あり)いえいえ、手を挙げていますので、川口君。(発言する者あり)  玄葉外務大臣
  12. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、そういう報道承知をしていますけれども、本件は、その報道でもあくまで内部での非公式な発言であるというふうに報じられているということで、事実確認指示はしていますけれども、我が国政府としてコメントすると、この場で、そういう立場にはないというふうに思っています。
  13. 川口順子

    川口順子君 誰もその件についてコメントしてくれという質問は私はしていないんです。どういう行動を取りましたかというのが私の最初の質問でございます。  これは、外務大臣、よくお分かりのことだと思いますけれども、この問題は、もし事実であれば、そして、もし事実関係の進展がコントロールの外に行ってしまうと、非常に大きな影響を各般に及ぼし得ます。日米信頼関係を傷つけかねない、そういう重大なことでございます。そういうことを踏まえて、即事実確認をするというのが第一の行動だと私は思っておりますが、なさっているということなので、またこれは後にしたいというふうに思います。  じゃ、もう一回確認。事実関係確認中ですね。
  14. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) それはそのとおりです。
  15. 川口順子

    川口順子君 またこれは後でフォローをしていきたいというふうに思います。  それでは、用意をした質問に移らせていただきたいと思います。  社会保障と税の一体改革、この三党合意が六月十五日にできました。そして、世間はこれを決められない政治がようやく前進をしたというふうに評価をいたしました。三党合意が評価されるというのは、政治が動かないということは、これはねじれ原因だというふうに世の中が考えているということでございますけれども、現在、決められない政治に嫌気が差した国民が決断できる政治に傾いているということであれば、いま一度ここで、決められない政治正体、これが何かということをもう一回洗い直す必要があるのではないかというふうに思っておりますので、その観点で、決められない政治正体は何かということを質問させていただきたいというふうに思います。  法案衆議院通過をしたときに造反がございました。その後、離党もございました。あしたにも新党立ち上げということになっています。民主党内では、反党、その反対グループが公然と今も反対運動を続けています。これは三党合意への造反ということなんですね。ですから、我々は当事者でございますから、それを看過することはできません。  総理には、党内の反党行動党内の三党合意への反対行動、これを止める意思をお持ちでいらっしゃいますか。
  16. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 六月二十六日の一体改革関連法案採決において、残念ながら反対者それから欠席棄権者が出たこと、大変、誠に残念に思っておりますし、その責任は民主党代表の私にあるというふうに思っております。これは党内の問題だけではなくて、三党合意をしっかり遵守し、この参議院においてしっかり審議をし、そして成立を期すという意味から、この木曜日に両院議員総会、そして金曜日に、地方組織も含めての一致結束が必要でございますので、全国幹事長会議等々をやりながら、一致結束して、今回、この法案がしっかり参議院で成立できるように全力を尽くしていきたいと考えております。
  17. 川口順子

    川口順子君 これから参議院での議論が始まっていくわけですけれども、それでは、参議院の中で総理は何をしていらっしゃいますか。そういう潜在的な造反者新聞報道ですと約二十名ぐらいはいるとされています。その方々に対して総理は何をしていらっしゃいますか。
  18. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先ほど申し上げたとおり、木曜日に両院総会等々、そういう議論をやりながらしっかりとコンセンサスをつくって、一致結束して参議院採決できるように、その環境整備に努めていきたいというふうに思います。
  19. 川口順子

    川口順子君 そういうことでしたら、参議院採決に際して造反はないというふうにおっしゃれますね。
  20. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 政府与党として一致結束して対応できるように全力を尽くさせていただきたいと思います。
  21. 川口順子

    川口順子君 参議院でございます、ここは。もし、その質疑をやっている過程で、審議をやっている過程で、そういった造反反対というような動きが見えたらば、参議院では審議ができないことになります。それを十分に承知をなさって、そして取り組んでいただきたいというふうに思います。我々とても、賛成をしておりますので、そういうような状況にはなりたくないというふうに考えております。  そこで、次の質問ですが、今回、七十二名の造反者民主党にはいたということでございます。この数字は、仮に野党反対に回っていたら成立しないということなんですね。過半数にはならないという数字でございます。  本来、民主党衆議院でもう大変な数を持っています。十分に一党で法律を通せる数を持っているわけです。だからこそ民主党与党をやっていらっしゃるわけです。与党単独で数を持ちながら単独では通せない、これは与党の資格がないということでございます。与党力がないというふうに言わざるを得ません。与党の体を成していない、これは新聞に随分書かれていますけれども、私もそういうことだというふうに思います。  そういったような、政権運営をする力、与党力のない政党というのは、さっさと与党の座から降りていただくということが大事だと私は思います。そのおつもりはございませんか、解散あるいは総辞職どちらでもですが。
  22. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今回のその採決において、今お話があったように、七十二名が残念ながら党の方針とは異なる対応を取りましたことは、国民皆様にも御心配をお掛けしていること、おわび申し上げなければいけませんし、修正合意で一緒に協力をしていただいた党の皆様、あるいは賛成をしていただいた各会派皆様にも大変御迷惑をお掛けをし、また国会審議にも影響したこと、深くおわびを申し上げたいというふうに思います。  その上で、参議院において一致結束して対応するように、先ほど申し上げたように全力を尽くさせていただきたいというふうに思いますが、この一体改革等々含めまして、やるべきことをしっかりやり抜いた上で国民に信を問いたいと考えております。
  23. 川口順子

    川口順子君 それならばお伺いをします。一生懸命にまとめる努力をしていらっしゃるとおっしゃいますので伺いますが、衆議院通って参議院に行くまで相当の時間が掛かっています。三党合意が六月十五日、衆議院通ったのが、本来六月二十一日に投票と言われていたのが六月二十六日になった。で、ようやくあしたぐらいから始まるということになるわけでして、どうしてこんなに時間が掛かったんですか、政治生命を懸けていらっしゃる法案でしょう。
  24. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 反対をした議員あるいは欠席棄権をした議員に対する対応等々のいわゆる党内の手続を取っている間、時間が掛かりました。加えて、それが院の構成にかかわる事態にもなりました。そういうことによって国会運営に支障を来したことを、先ほど申し上げましたとおり、深くおわびを申し上げたいというふうに思います。
  25. 川口順子

    川口順子君 謝っても、二十日以上の日数が過ぎたということは、もう過ぎてしまったんですよ、貴重な日数です。我々はやるつもりがある、与党の中の事情で二十日以上も参議院議論が始まらなかった、これを与党力がないと申し上げているんです。  ちなみに申し上げますと、自民党衆議院での採決のときに、我々野党ですが、欠席一名ありましたけれども、誰も反対はしませんでした。我々の方が与党力があるというふうに私は感じます。いかがですか。
  26. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 御批判は甘んじて受けなければいけないと思います。それぞれ党議、党の方針があって、それに基づいてどれだけ対応できるかという点においては、御批判は甘んじて受けなければいけないと思っております。
  27. 川口順子

    川口順子君 いろいろ謝っていらっしゃいますが、それが本当にそうなっていくか、衆議院が終わった後、参議院与党力が発揮されるかどうかということについて、我々はじっくりと見させていただきたいと思います。  それで、これまでの議論で見ていらっしゃる方お分かりいただいたと思うんですが、ねじれ、これも政治が前に進まない原因一つであるということは確かです。しかし、それよりも、ねじれよりも前に、民主党政権与党与党力がないということが政治が前に進まないということである。これはねじれ以前の問題でございます、民主党与党力の問題。これをちょっと数字で見てみたいというふうに思います。  官房長官にお伺いをいたしますが、閣法について、衆議院先議のものの衆議院通過率は三代の民主党政権になって何%でしょうか、三代の民主党平均でおっしゃってください。
  28. 長浜博行

    内閣官房長官長浜博行君) 三代のという御質問がありましたが、第百七十四回国会鳩山内閣でありますが、八〇%。第百七十七国会、これ菅内閣でありますが、七八%でございます。そして、衆議院先議政府提出法案という御質問でありますので、現在国会開会中でありまして、他の院のことでありますので、なかなか表現が難しいわけでありますが、現時点においては、衆議院先議の、この百八十国会では四六%となっておるところでございます。
  29. 川口順子

    川口順子君 三代の平均
  30. 長浜博行

    内閣官房長官長浜博行君) 三代の平均は六八%でございます。
  31. 川口順子

    川口順子君 それでは、自民党の同じような数字、三代分言ってください。安倍福田麻生
  32. 長浜博行

    内閣官房長官長浜博行君) 自民党内閣時代の第百六十六回、安倍内閣でありますが九一%、第百六十九回、福田内閣でありますが八〇%、そして第百七十一回国会麻生内閣でありますが九一%、平均八七%でございます。
  33. 川口順子

    川口順子君 テレビを御覧になっていらっしゃる方はよくお聞きになったと思うんですが、民主党の三代平均して六八%、これがまず衆議院に入った、衆議院先議の、閣法というのは政府が通したいと思って出している法律です、それのその三代の平均が六八、自民党三代は八七%、二割も違うんですね。これがまさに与党力の差であるというふうに思います。  野田内閣はまだ中間でございますけれども、既に日数からいえば相当な日数になっています。それから、これは率でいっておりますので、まだ終わっていないということで、私のまた個人的な見通しではそれほど差が出てこないというふうに思います。  この二割の差、衆議院、数を多く持っている、ねじれ関係ない、数を持っている衆議院法律をどこまで通すことができるか、これは与党力そのものであるというふうに私は思っております。  もう一つ、何で民主党党内まとまって通すことができないのだろうか。これいろいろ考えてみましたけれども、一つ綱領がないということが言えるのではないかというふうに思います。輿石さんが綱領を作るということをやりたいというふうにおっしゃってテレビでいらっしゃいました。  総理綱領がないことの影響、あるいは綱領を今後作ろうということについてはどうお考えでしょうか。
  34. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 綱領がないというのは事実ではございません。九八年に民主党を結党したときに基本理念という形で、綱領という名称は使っていませんけれども、政党の届出としてはやっぱり綱領が必要でございますので、基本理念提出をしております。ということで、事実としてはあるということであります。  ただし、その後時代の変化もありますので、幹事長もお話しされたと思いますが、しっかりとした綱領を作るべく今検討作業を行っているところでございます。
  35. 川口順子

    川口順子君 綱領の代わりに基本理念のことをおっしゃる。私、基本理念読ませていただきました。これをもって綱領に代えられるような、そういう性格の明確なものではないというのが私の判断でございます。今、作るべく検討をしているとおっしゃいましたので、それができ上がるのを楽しみにしています。  ただし、綱領がないということの意味政党のまとまりについての意味というのは総理はどうお感じでいらっしゃいますか。
  36. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) そういうことも勘案をしながら、しっかりとした考え方を共有をしながら物事を進めていくという意味からも、今、綱領の見直しの検討作業を行っているということでございます。
  37. 川口順子

    川口順子君 必ずしも十分なお答えではないと思いますけれども、一つの理念の下にその理念を共有する人たちが集まる、そういった役割を果たすのが綱領です。それがないから党内ばらばらというふうに私は思っております。  少し質問を先に急がせていただきます。  綱領がないということと同じように、もう一つ問題なのは憲法についての考え方がまとまっていないということであると私は思います。民主党の憲法についての考え方は一体どこに、何に表明していらっしゃいますか。
  38. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 二〇〇五年の十月に、党の憲法調査会によって民主党の憲法提言という考え方をまとめさせていただいております。これが基本形になっております。
  39. 川口順子

    川口順子君 これは、党の現時点での憲法についての考え方を表したものというふうに総理はおっしゃったわけですが、どのようなことが書いてありますか。
  40. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 例えば、憲法九条問題については四原則・二条件を提示をしている。それから、緊急事態への対処については、国家緊急権を憲法上に明記し、非常事態においても国民主権や基本的人権の尊重などが侵されることなくその憲法秩序が確保されるようその仕組みを明確にしておく等々、様々な提言をさせていただいております。
  41. 川口順子

    川口順子君 私もこの憲法提言というのは読ませていただきました。もう随所に何々を検討することが必要だということが書いてあります。  緊急権と総理おっしゃいました。憲法審査会、私が筆頭をやらせて参議院ではいただいておりますけれども、ここで震災と緊急権の議論をいたしましたときに、御党の某議員、これは一人ならず複数の議員ですけれども、震災に乗じて緊急権を持ち込もうなどとする、問題だという発言がありました。これで、この憲法、おっしゃる提言が党のまとまった考え方と言えるんですか。必要だ、これを検討をしなきゃいけないと考えているのが、どこが党の憲法についての考え方を表しているんでしょうか。
  42. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 政策調査会内の党の憲法調査会においても、まずは国会における憲法調査会で議員間の議論を行う中で論点等をまとめる意向ということになっておりますので、二〇〇五年の憲法提言もあります、それを踏まえながら、あるいはもっと自由に議員がその調査会の場で意見交換をする中で党としての論点を整理をしていく、そういうプロセスにあるということでございます。
  43. 川口順子

    川口順子君 緊急権のことについて伺ったんですが、緊急権については一言もおっしゃられませんでした。お答えください。
  44. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 党の憲法調査会でまとめた憲法のその提言については、さっき申し上げた緊急権のお話がございますけれども、そういうことなども踏まえて、憲法のその提言はありますが、調査会の中でそういう提言の話もしますし、もっと個人としての自由な議論も行いながら党としての憲法についての論点を整理をしていくと、そういうプロセスにあるということでございます。
  45. 川口順子

    川口順子君 おっしゃっていることは、党で紙はあるけれども、ちっとも徹底していないし、考え方はばらばらでまだ議論をしている過程だということであると思います。  それではもう一つ、天皇陛下、天皇についてどのような記述がありますか。
  46. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) この二〇〇五年の提言の中には特に記述はございません。
  47. 川口順子

    川口順子君 もう信じ難いんですね。天皇陛下、第一章です。何にもそれについて書いていなくて、それが民主党の憲法についての考え方だと。  民主党が、あるいは政党政権与党が憲法についての考え方を国民に提示するということの意味合いは何だと総理はお考えですか。
  48. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) この二〇〇五年にまとめた提言というのは、逐条で何か憲法の条文として提言をしているわけではございません。多くの議員の問題意識の共有できている部分を定性的に書いているということでございますので、天皇制について言及がないということは、これは基本的には象徴天皇制を支持をしているというふうに解釈をしていただければと思います。
  49. 川口順子

    川口順子君 代表といえども、提言に一言も書いていないことをこれはこういう意味であるというふうにおっしゃって、ほかの党の方がどういうことをお感じになるか分かりませんけれども、では、天皇を元首として考えることは反対総理はおっしゃっていらっしゃるわけですね。
  50. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先ほど申し上げたのは、書いてはいないということの中の解釈を私なりに今申し上げましたけれども、そういうことも踏まえまして、二〇〇五年時点の多くの共通認識の集大成がそのときの提言でございますが、その後時間もたっておりますし、しっかりとまたこれから党内における、あるいは国民議論もしていかなければいけないと思います。
  51. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 川口君。(発言する者あり)  野田総理大臣
  52. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) あの提言は二〇〇五年当時に党でまとめた文書でございまして、憲法改正の是非にもかかわる問題でもありますので、私の判断として、もちろん今、党の代表とはいえ国会においては総理大臣として立っているわけでございますので、具体的に一つ一つ述べることはできません。
  53. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 川口君。(発言する者あり)今総理としての立場の答弁をされましたので、どうぞ。(発言する者あり)  野田総理大臣
  54. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今、私は現行憲法を守る立場での総理大臣でございますので、憲法での解釈の中で天皇が元首かどうかについては、これいろいろ学説がございます。ただし、象徴として位置付けられているということを私は重く見ているということでございます。
  55. 川口順子

    川口順子君 党の代表として総理は、民主党は天皇について象徴天皇で、今のでいいというふうに先ほど、今の答弁の前に答弁をなさいました。党の代表としての答弁をなさった後で、突然に今になって総理だから現行憲法の解釈は政府のやるその解釈と同じだというのは矛盾していませんか、答弁が。
  56. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 〇五年のときに作ったときに、そこにあえて天皇について触れていないという意味の解釈論を私なりにはそういうことではないかと申し上げましたけれども、今一つ一つ憲法についてどう考えるかというお話をここで具体でお話をするということは控えたいということを申し上げたということに矛盾はないと思っております。
  57. 川口順子

    川口順子君 政権に就いたから憲法の解釈は政府の解釈で、今まである政府の解釈をそれを使っていらっしゃる、それが正しいと思っていらっしゃるということでいいですね。
  58. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 個人の思いとかそういうものは別として、内閣総理大臣としての立場国会の中ではしっかり答弁しなければいけないと思っております。
  59. 川口順子

    川口順子君 ここは議院内閣制の制度を持っている国でございます。今、政府がやっている憲法解釈というのは、自民党がずっと長い間の歴史を通じてつくってきた憲法解釈でございます。民主党自民党と同じ考え方になったというふうに理解してよろしいですね、政権与党になった途端に。
  60. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 自民党の解釈が云々じゃなくて、政府としての解釈だったと思います。政府としての立場を持続をしているということであります。
  61. 川口順子

    川口順子君 自民党が政権時代につくった解釈をそのまま、政府になった途端に民主党政権与党としてそれを追随するというふうに認められたということですね。(発言する者あり)
  62. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 西田君、お静かにお願いします。
  63. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 追随というより、これはやっぱり政府としてその継続性の中で判断をするということであります。
  64. 川口順子

    川口順子君 民主党は政権取ったんでしょう。いろんなマニフェストを掲げ、あるいはいろいろな政権構想を掲げて取ったわけですよね。憲法については自民党と全く同じ解釈をしますということでおっしゃっているわけですね。それ以外には解釈できません。(発言する者あり)
  65. 柳田稔

    委員長柳田稔君) じゃ、まず岡田副総理
  66. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今の委員の御指摘ですけれども、やはり内閣というのは継続性、安定性というものが求められます。したがって、政権交代したから従来の政府の憲法解釈を全て変えるということはできません。基本的にはそれを引き継いだ上で、必要があればまた政府の新しい解釈を御提案するというのが内閣の安定性からいえば当然のことだと私は思っております。
  67. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 本当に必要なときに、国民的な議論が熟してくれば改正とかそういうこともあると思います。そういう議論はあってしかるべきだと思います。ただし、やっぱり内閣としての継続性ということを考えたときに、政権が替わるたびにころころ憲法の解釈を変えるということは私は自然ではないと思っております。
  68. 川口順子

    川口順子君 民主党は、政権を取られてから変えられたことたくさんあるわけですよね。その中で、法律だって、自民党が作り守ってきた法律を無視をしているというようなことは山ほどあります。憲法だけ変更をしない、踏襲する。矛盾をしていると思います。  いずれにしても、ここで分かったのは、民主党はそもそも憲法についての自分の党としての考え方を持っていないし、今これから、いつになったらできるのかも分からないのに、政権与党だといって、自民党が今まで苦労して積み重ねてきた憲法解釈をこれはそのまま自分のものだと言っている。党内に諮りもせずに、政府になった途端にそれを言っている。議院内閣制の現状からいっておかしいというふうに私は思います。  憲法についての考えを持たない党が政権与党になっている、このことの意味というのは、総理、お分かりでしょうか、何でしょうか。
  69. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 憲法はそれぞれの党の立場があると思います。例えば御党の場合は憲法改正は党是だと思います、自主憲法制定。だけど、それができているかというと、できていません。  憲法については我々にもいろんな考えがあります、考え方があります。だからといって、ころころ解釈を変えることがいいかどうか、国民にとってそれがいいかどうか。社会保障とか安全保障は政権が替わってころころ大きく変えてはいけないと同じように、憲法についてはもっと私は重たい大きな存在だと思っております。
  70. 川口順子

    川口順子君 憲法というのは国の形、いわゆる国の形、これの法的な表現でございます。したがって、その党が政権を取ろうというからには、天皇、先ほどの話も含め、どのような国の形をここに描いているかということを国民に知らせる義務がある、義務です。これをなさっていないということは、政権与党としては私は欠陥があるというふうに思っています。政権を担う力がある、与党力があるとは全く思えないというふうに申し上げまして、時間押してきましたので次の質問に入りたいと思います。  もう一つ政権与党力がないということを申し上げたいというふうに思います。  地球温暖化対策基本法、これについては大分前から、もう二〇一〇年から国会にかかっておりまして、これは衆議院において、民主党が数を持っている衆議院においてずうっとたなざらし、前に動かそうという努力すらしていない。何で動かさないんですか、細野大臣
  71. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 御質問の地球温暖化対策の基本法でありますけれども、内閣として国会提出をさせていただいているのは事実でございますので、御審議はお願いしたいということでこれまでやってまいりました。  その中で、この後御質問があるかもしれませんけれども、エネルギー・環境に対する環境が昨年の三月十一日以降大きく変わっておりますので、新たな様々な検討もしていかなければならないというふうに考えているところでございます。
  72. 川口順子

    川口順子君 震災は大変なことでしたけれども、あれは昨年。この法案は、それを遡ること更に一年前から出ております。ちなみに、鳩山さんは二〇〇九年に国連でマイナス二五%を公約をしている。にもかかわらず、それを担保する法律を全然動かそうとしない。多数を持っている衆議院で動かしていない。これが民主党政権与党力ということであるということで、非常に、こういう与党を持っていなければ、もっと早く動いていたと私は思わざるを得ません。  シナリオ、エネルギーと環境のシナリオが出ました。三つありますが、この選択肢について御説明をください、国家戦略大臣
  73. 古川元久

    国務大臣(古川元久君) お答えいたします。  エネルギー・環境会議では、原発の依存度を下げ、そして化石依存度を下げ、さらにCO2を削減するという考え方の下、そこに経済性という要素も加味して、二〇三〇年時点での原発依存度を基準といたしまして、ゼロシナリオ、一五シナリオ、そして二〇から二五シナリオの三つの選択肢を提案をさせていただいております。  簡単に三つのシナリオを御説明させていただきますと、ゼロシナリオは二〇三〇年までのなるべく早期に原発比率をゼロとするものであります。より踏み込んだ制度改革等によりまして、再生可能エネルギー導入割合として約三五%を目指すとともに、これを実現するためには厳しい規制等を広範に課して、経済的負担が重くなってでも省エネやCO2対策を行っていくと。その場合に温室効果ガスの排出量は九〇年度比二三%削減になると。こうしたシナリオでございます。  次に、一五シナリオにつきましては、原発依存度を着実に下げ、二〇三〇年に一五%程度としつつ、化石燃料依存度の低減、CO2削減の要請を円滑に実現をするものであります。原子力、再生可能エネルギー、化石燃料を組み合わせて活用し、エネルギー情勢や地球環境をめぐる国際情勢など様々な環境の変化に対し柔軟に対応をしていくものであります。温室効果ガス排出量は、ゼロシナリオと同程度の二三%削減というふうに考えております。  最後に、二〇から二五シナリオは、緩やかに原発依存度を低減しながら一定程度維持し、二〇三〇年の原発比率を二〇から二五%程度とするものであります。化石燃料依存度の低減とCO2排出量の削減とをより経済的に進めるものでありますが、原子力及び原子力行政に対する国民の強固な信任が大前提となってまいります。この場合に温室効果ガスの排出量は約二五%削減になると。  こうした三つのシナリオをお示しをさせていただいているところでございます。
  74. 川口順子

    川口順子君 一五シナリオ、二〇から二五シナリオ、それぞれ原発の新増設はどれぐらいになりますか、稼働率どれぐらいになりますか。
  75. 古川元久

    国務大臣(古川元久君) 今回お示しした選択肢については、いずれも原発の新増設や設備利用率について特定の想定を置いているものではなく、新たな安全規制の動向や、国民や立地地域の方の御意見などを踏まえて今後議論する必要があるというふうに考えております。
  76. 川口順子

    川口順子君 二つ質問がありますが、一つは、この一番削減をするという二〇—二五シナリオを取ったとしても、温室効果ガスの排出は真水で一〇から一一%にしかならない、到底二五%にはならないわけです。これで二五%削減は、基本法にも書いてありますし公約もしていますが、国際公約下ろされますね。そして、基本法もそこについては見直しをなさいますね。
  77. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 先ほど古川大臣の方からは二〇三〇年についての数字の御紹介がございました。ただ、特に温暖化の問題は二〇二〇年というのが大きなターゲットの年になっておりますので、それに向けても明確な方針を持って臨まなければならないというふうに思っております。  三つのシナリオ、いずれもこれまでの計画と比べましても省エネや再生可能エネルギーの導入について非常に力を入れていくという、そういうシナリオになっております。しかし、足下ということを考えますと、原発が現状のような状況の中で化石燃料にどうしても頼らざるを得ない状況にございます。そういったことも考えますと、今、川口委員が御指摘のとおり、九〇年比で二〇二〇年の時点で〇%から一一%削減にとどまるということであります。  国際公約としておりますのは、そういった国内の真水の削減量に加えまして森林吸収源対策が入ります。さらには、海外における排出削減分を、これをCDMという形で我が国のようなところに取り入れるというそういう措置も入れますので、単純に二五%と比較することは難しいわけでありますが、率直に言いまして、現実問題として国内対策で最大一一%ということを考えると、二〇二〇年の二五%削減というこの達成自体は非常に困難になったと言わざるを得ないと考えております。
  78. 川口順子

    川口順子君 非常に困難などころか不可能であると私は思います。下ろしますね、これは。
  79. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) もう一つ国際公約の前提といたしまして、二〇二〇年に前提条件として主要排出国がしっかりとコミットするというのがございます。これもCOP17の会議で現実的には難しい状況になりました。そうしたことを考えますと、二五%という目標につきましても改めて検討しなければならない時期に来ているというふうに認識しております。
  80. 川口順子

    川口順子君 国内の真水で一一%削減、ほかの京メカとかそれから森林源等々でそれ以上の一四%最低削減できなければ間に合わないということで、再検討とか今ごろのんびり言っている時期ではないというふうに思います。  総理、今のやり取り聞いて、どうお考えですか。
  81. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今の御指摘あった真水の問題も含めて、あるいは大臣から答弁がありました主要国の参加を前提にしていること等々を勘案をしながら、加えて、八月までにエネルギー・環境会議において今お示しをしている選択肢、国民的な議論を通じてエネルギーの中長期計画をまとめていくという、その中で全体として判断をさせていただきたいというふうに思います。
  82. 川口順子

    川口順子君 基本法を見直されますね、細野大臣
  83. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 様々な検討はしていかなければならないというふうに思っております。  来年度いっぱいで地球温暖化対策推進法に定める京都議定書の目標達成計画が計画期間を終えます。その一方で、各国に対策の強化が国際的にも求められる中で長期目標に向かって対策を計画的に進めていくということを考えますと、法的根拠というのは、これは何らかの形で我々としては追求をしていかなければならないというふうに考えております。したがいまして、様々な検討をしていかなければならないというふうに考えておりますが、国際社会において我が国の姿勢が後退したとは受け取れられないような、そういう対応はしていかねばならないというふうに考えております。  したがいまして、こうした様々な条件を見極めながら、どのような法整備が必要なのか、できましたら各党各会派でも様々御議論をいただいて、当然、政府与党として最大の責任がございますが、そういった中で対応をしてまいりたいと考えているところでございます。
  84. 川口順子

    川口順子君 政権与党ですから、まず政権与党が中をまとめて、そして三党に話を持ってくるべきだということを強く申し上げます。これぞ与党力の問題でございます。  それから、原発について、新増設、数を明らかにしていないというのがさっきお話でございましたけれども、こんなことで国民に提示をして国民の意見をもらう、こんなことできるわけないじゃないですか。国民対話をするというのは掛け声だけ、それだけの情報を提起していない。そんなことで国民対話できますか、古川大臣
  85. 古川元久

    国務大臣(古川元久君) これまでも議論は、総合エネ調であるとか、あるいは原子力委員会であるとか、様々なところで議論をされている、それを国民皆様方にも御提示をさせていただいているわけでございます。今回はこのような形で、シナリオという形で選択肢を示させていただいた、そこに基づいて御議論をいただくということでございます。  ちなみに、原子力の発電比率というのは、御指摘があったように、新増設の数とか設備利用率等によって決まるものでございますけれども、今回の選択肢を示すに当たっては、例えば一五シナリオでは、これまでの総合資源エネルギー調査会等での議論を踏まえて七割から八割の設備利用率を想定しておりますし、また、一五シナリオにおけます二〇三〇年時点で一五%という原発比率は、既存の原発を四十年、運転制限制度を自然体で運用した場合の数字にほぼ匹敵する数字でありまして、この選択肢は原子力発電所の新増設が極めて難しい状況にあるという実情を踏まえたものであります。  また、二〇から二五シナリオは、これは先ほど申し上げましたけれども、原子力及び原子力行政に対する国民の強固な信任が前提となるものでありますけれども、この場合には、原子力発電所の新設や更新が必要となる選択肢であると、そういうことはきちんとお伝えをさせていただきたいというふうに思っております。
  86. 川口順子

    川口順子君 前回の基本計画は基数を出していました。どうして今回出せないんですか。
  87. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) エネルギー基本計画そのものは所管は私でございますが、今回のエネルギー・環境会議での三つのシナリオを基にした国民議論、これを踏まえて大きな方向性が示されましたら、それを受けてエネルギー基本計画を改定するということになっております。その場合に、どういった具体的な内容にするかは、総合エネルギー調査会の御議論も踏まえたいというふうに思っておりますが、まずは大きな方向性について国民的な議論を踏まえてしっかりと選択をした上で、より詳細なことについてまた国民の皆さんの意見を踏まえながら決めていきたいと思っております。
  88. 川口順子

    川口順子君 国民の最大の関心事は、どれぐらいの原発を造らなければ、このシナリオが達成できるかどうかということなんですね。それを出さない。これは欺瞞以外の何物でもない、国民対話に真摯に向き合っていないと言わざるを得ません。  時間ですからこれでやめますが、森本大臣には質問をすると申し上げて、準備していただいて申し訳ありませんでした。  与党力のなさを中心に質問をさせていただきました。ありがとうございました。
  89. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で川口順子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  90. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 次に、佐藤正久君の質疑を行います。佐藤正久君。
  91. 佐藤正久

    佐藤正久君 元自衛官、福島県出身の佐藤正久です。  自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会を代表いたしまして、まず原発の危機管理について質問をいたします。  総理、先月の二十六日、保安院の次長が浪江町を訪れ、謝罪いたしました。経産大臣、これは何のための謝罪でしょうか。
  92. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 米国エネルギー省の航空機モニタリングの結果が適切に公表されず、また、政府内においても十分に共有、活用がされなかったことに関して、原子力災害対策本部の事務局を担う原子力安全・保安院を中心に文部科学省とともに、浪江町長を始めとして、被害に遭われた、特に被害の大きかった地域の皆さんに対して事実関係の説明を行うとともに、迅速に公表、活用できなかったことへの反省とおわびを申し上げたところでございます。  改めまして、政府、今保安院を所管する者として、今回の公表とそれから活用が十分でなかったことについておわびを申し上げる次第でございます。
  93. 佐藤正久

    佐藤正久君 このパネル、これが米国のモニタリングデータです。(資料提示)二十キロ圏外の浪江町津島の地区も赤い表示、これを政府は隠蔽。結果、浴びなくてもよい放射能を浴びた方がいます。これは明らかに人災。  経産大臣、本事案の経緯、公表しなかった理由を述べてください。
  94. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) エネルギー省のモニタリングの結果については、外務省から原子力災害対策本部の事務局を担う原子力安全・保安院に対して、昨年三月十七日の結果が翌十八日に、十九日の結果が二十日に、二十日の結果が二十三日にそれぞれ送付をされました。また、文部科学省に対しては、十七日及び十九日の結果が二十日に送付をされ、二十日の結果は二十三日に送付をされているところでございます。  これらのモニタリング結果については、政府が受領した当初は、これはアメリカ側が対外公表を前提として提供をされたものではなかったことから、これを公表するよう米国にも要請し、三月二十三日に米国より公表をされているところであります。  現在、原子力災害対策本部事務局が活用、公表しなかった事情、状況について調べているところでございますし、また、政府事故調においても調査をされているものと思いますが、現時点では、はっきりしておりますことは、原子力災害対策本部事務局又は原子力安全・保安院が官邸や当時の経済産業省政務三役に報告したという事実は確認されていないこと、そして、結果的に適切に公表、活用されていなかったということでございまして、その間の具体的な詳細については残念ながら明らかではございません。  しかし、結果的に公表、活用していなかったことは、特に被害を受けられた皆さんに対しては大変申し訳ないことであるというふうに思っております。モニタリングの分析、評価に関する関係機関の連携及び共有が不十分であったこと、また、住民の安全を重視する立場に立って情報を公表すべきであるという意識が希薄であったこと等を反省をしなければならないというふうに思っているところでございます。
  95. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回の問題の一つは、官邸に情報が届いていなかったと。外務大臣、文科大臣、経産大臣、なぜ各役所は当該データを官邸に上げなかったんでしょうか。それぞれお答えください。
  96. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 当時の直接このデータを受けた人に尋ねましたけれども、そのときに自分で重要性を判断することが専門的な知見がなくてなかなか難しかったので、当時、原災対策本部の事務局を担っていた原子力安全・保安院に速やかに伝達をするとともに、また、モニタリングを担うこととなった文科省にも伝達したというふうに聞きました。政務三役には上げていなかったということでございました。  これを踏まえて、やはり外務省としても当然ながら反省すべきことがあって、おっしゃるように、官邸に上げることもそうだし、その重要性の判断について、むしろ外務省から強く要請をするということをしなければならなかったということを私からも言いましたし、今ですよ、教訓という意味でですよ、今その担当者も含めて、外務省全体としてこのことを共有したいというふうに考えております。
  97. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 議員の御質問でございますが、文科省としては、先ほど御説明ありましたように、三月の二十日に外務省を通じてDOEの航空機のモニタリングの結果を受領をいたしました。原災本部の事務局である原子力安全・保安院については、三月十八日から外務省から情報提供がなされていると、こういうことから、そういう今指摘の部分については行っておりません。  ただ、文科省としては、外に公表すべきだと、こういうことで、翌二十一日に外務省に対しまして、DOEに航空機モニタリングの結果の公表、公開するよう要請をいたしたと、こういうことでございます。
  98. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 現時点の経産大臣として、逆に当時の報告をいただけなかった官邸の立場でも二重にありますのでなかなか答弁が複雑なんですけれども、私は、そういった立場から、私個人的にも、なぜ官邸に報告が上がらなかったのかということについては厳しく省内、保安院について問いただしているところでございますが、残念ながら、具体的にどういうところでどういうこと、止まったのかということについては現時点で明らかになっておりません。  引き続き、国会は事故調の報告は出ておりますが、政府事故調においてもしっかりとできるだけ具体的な検証をしていただきたいと。それについては全面的に保安院に協力をさせたいというふうに思っておりますが、全体として言えることは、このモニタリングのことを含めて、情報を集約をして整理をして公表する、あるいは活用するというためのシステムが組み立てられていない中で、それが組み立てられていないという認識を十分持ちながら、そうした情報の共有について万全を期すことができなかったということが大変大きな反省、教訓だというふうに受け止めております。
  99. 佐藤正久

    佐藤正久君 国民の皆さん、これが民主党政権の実態ですよ。鈍感、感度が鈍い。役所の誰一人としてもこれが命にかかわるデータだということで官邸に上げようと言わなかった。まさに民主党政権が行ってきた政治主導で役人を萎縮させてしまったんですよ。その弊害がここに出ている。その中でも文科省の政務三役の責任は極めて重い。アメリカの方に公開を要求しておきながら官邸には上げなかった、とんでもないですよ。いいですか、結果、浴びなくてもいい放射能を浴びた方がいるんですよ。今日の参考人の浪江町の吉田議長もその一人です。  吉田議長、本データを住民避難に使用しなかったことへの評価、どのように感じていますか。
  100. 吉田数博

    参考人吉田数博君) 浪江町議会議長吉田でございます。  アメリカのエネルギー省が平成二十三年三月十七日から二十日までの空中モニタリングを実施したことが未公表であったために、当時、屋内避難指示区域であった津島地区の住民及び避難をしていた町民が無用な被曝をいたしました。SPEEDIの未公開を含めて、これらの公開があれば早急な避難が可能であったと思います。その後、四月の二十二日に計画的避難区域指定まで百七十四名の方が普通の生活をして無用の被曝をいたしました。  このことは、国の根幹である国民の命と尊厳を守る、その責任を果たせなかったものと、非常に悲しいことであり、遺憾だと思っております。
  101. 佐藤正久

    佐藤正久君 議長、事故から一年四か月後に当該事実を説明、謝罪に来た、このことについての感想をお願いします。
  102. 吉田数博

    参考人吉田数博君) 事故発生から一年四か月後、六月の二十六日に、政府の保安院、文科省から担当者が浪江町を訪れて報告並びに謝罪をしたと報告を受けております。  私どもはマスコミ報道から未公表の事実を知ったわけでありますが、発災当時、我々がどれほどの放射能、そして原発の事故状況、その情報が必要であったかお分かりいただけますか。避難に当たって情報伝達が皆無に近い状況の中で必死に対応しておりました。  原発事故についても、国、東電を始めどこからも通報もなく、テレビ等の情報のみで自主判断として避難を決断いたしました。原発事故の発生通報が早ければ、それなりに準備ができて、浪江町民二万一千人がこれほどばらばらになる必要はなかったのではないかと大変残念に思っております。この放射線量の情報が速やかに公表されていれば、津島地区の住民を始め多くの町民を放射能から守れたのではないかと思っております。無念さと同時に憤りを感じております。
  103. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、責任を感じませんか。
  104. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今までのそのお話を含めまして、関係機関の連携、情報の共有が不十分であったこと、そして住民の皆様の命を守るために適切に情報を公開をしていくという姿勢が希薄だったことが、これは大きな教訓だというふうに思います。  大変浪江の皆様に御迷惑をお掛けしたことを私からもおわびを申し上げたいというふうに思います。
  105. 佐藤正久

    佐藤正久君 民主党は、隠す、ごまかす、責任転嫁、この繰り返しなんですよ。謝罪だけで済みますか。政府のこの隠蔽で浴びなくてもいい放射能を浴びた、この重さ、全然感じていないですよ、今の答弁聞いても。SPEEDIの推測値とは違い、これ実測値なんです、総理。これは誰も政府で責任を取っていない。これで済みますか、総理
  106. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) なぜそうなったかについてのまだ原因が定かではないという状況でございましたけれども、そうしたものを踏まえて対応していかなければいけないと思います。
  107. 佐藤正久

    佐藤正久君 誰も納得しませんよ、そんなことでは。調べた結果、責任取らなくてどうするんですか。総理、本当に冷たいですね。民主党は本当に責任を取らない政党ですよ。もうごまかすばかり。そこに県民の怒りがあるんですよ。浴びなくてもいい放射能を浴びた、今の議長の話聞かれたでしょう。誰も責任取らない。  吉田議長、責任取らない政府、これに憤りを感じませんか。
  108. 吉田数博

    参考人吉田数博君) 国会の事故調で人災と結論付けたわけでございますが、これまで浪江町議会として東京電力に対しては再三、今回の事故は人災であると認めた上で誠意を持って対応するように求めてきましたので、当然のことと受け止めておりますが、米国のモニタリングデータの未公開については、避難に当たって何の対策もデータも持たない我々にとって得難い情報であったはずです。その情報すら公開しなかったことは人災そのものであって、どなたの責任かは存じませんが、非常に残念であります。  以上です。
  109. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、これは人災だと思いませんか。
  110. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) そのことも含めて、きちっと、何が起こったのか、その検証をしながら原因を特定しなければいけないというふうに思います。
  111. 佐藤正久

    佐藤正久君 いつまでやっているんですか。もう人災であることは明らかですよ。その調査した結果、責任を取る、そのぐらい言ってくださいよ、総理
  112. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 国会事故調の報告書あるいは政府事故調における検証なども踏まえて、その原因を特定をするとともに改善をしていきたいというふうに思います。
  113. 佐藤正久

    佐藤正久君 国民の皆さん、これが民主党政権の実態なんですよ。この九月の末までに今度は原子力規制庁ができます。数々のデータ隠蔽、これを繰り返していた役所が誰も責任を取らずにそのまま移行する。こんなことで国民がごまかせると思いますか。誰も責任取っていないまま移行するんですよ。いつまでこの調査やっているんですか。謝罪、反省では絶対済まないと思います。  総理国民に向かって、この九月の規制庁ができるまでにしっかりと責任を取らせる、明言してくださいよ。
  114. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) さっき申し上げたとおり、国会事故調の報告書であるとか政府事故調の検証などを踏まえまして、それを確認しながら今後の原子力災害対応の改善に努めてまいりたいと思いますし、先ほどの浪江の皆様のことも含めましてでありますけれども、今回の原発事故により被害を受けた全ての皆様が、その損害額全てについて迅速かつ適切に賠償が受けられることが重要であり、東京電力にもそうした適切な賠償を行うように、国としても万全を期していきたいというふうに思います。
  115. 佐藤正久

    佐藤正久君 もうあきれますよ。全然政治家含めて責任を取る覚悟のかけらもない。  総理、実は文科省の職員などが三月十二日からひそかに浪江町の津島地区で放射能を地上計測しています。中には、防護服、タイベックスを着て、一部住民に放射性物質が拡散しているから逃げるよう言っているとの情報もあります。  文科大臣、津島地区での測定結果、これをなぜ浪江町長などに伝えなかったんでしょうか。
  116. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今、佐藤議員言われました浪江町の津島地区というところでモニタリングの実測は、文科省としてはしてございません。
  117. 佐藤正久

    佐藤正久君 今の虚偽答弁です。もうしているというふうに明言していますよ。実際に、課長が浪江町長に説明に行ったときに認めていますから。今回、自民党のPTでも、遅くても十三日からはやっていると明言していますよ。何ですか、それは。
  118. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 私には、実施をしていない、十一日から十六日の間については浪江町では実施をしていないというふうに私の方には報告は上がっております。(発言する者あり)
  119. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 佐藤君、もう一回。佐藤君の得た情報をしっかりと質問の中に入れてください。もう一回やってください。(発言する者あり)  平野文部科学大臣
  120. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先ほど先生からそういう、やっているということで、今確認をいたしましたが、津島地区につきましてはやってございません。
  121. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、浪江町でやっていますよね。
  122. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今の点はすぐ確認いたします。私の方にございますのは、少なくとも、津島地区と先生おっしゃられましたし、これについてはやっておりません。(発言する者あり)いや、浪江についてはすぐ調べます。
  123. 佐藤正久

    佐藤正久君 実際に、六月二十六日、浪江町長に明言しているんですよ、やっていますと。PTでも、三月十三日から、原子力安全課長ですよ、みんなの前で言っているんですよ、十三日からは入っていますと。それを町長は報告受けていないんですよ。  議長、三月十三日とか十五日のその文科省の地上モニタリングデータ、原子力開発機構も使ってやっているんですよ。それを得ていたら、避難の仕方変わったと思いませんか。
  124. 吉田数博

    参考人吉田数博君) その件に関しましては、私ども情報をいただいておりませんので分かりませんでしたが、もし十三日にそのデータがあるとすれば避難の方法等が変わったと思います。
  125. 佐藤正久

    佐藤正久君 これ、委員長、早急に確認させてください。みんなに明言しているんですよ。
  126. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 前後のそのモニタリングの状況については承知していませんが、改めて詳細は調べてあれしますが、浪江町(チョウ)には伺っていると、モニタリングしていると、こういうことでございます。浪江町(チョウ)ではやっていると、こういうことでございます。津島地区については……(発言する者あり)ごめんなさい、浪江町ではやっていると、津島地区についてはやっていないと、こういうことでございます。
  127. 佐藤正久

    佐藤正久君 もう少し調べてくださいよ。原子力開発機構も使っているんですからね。  だから、これが実態なんですよ、総理。全然、一年たってもまともに検証していないんですよ。いっぱいあるんですよ、まだまだ。まだまだ隠蔽しているかもしれない、これが実態ですよ。これが本当だったら、浪江町は地上モニタリング情報をもらっていないんですから、これが本当だったら、総理、人災だと思いませんか。
  128. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まずは、文科大臣から、しっかり調査をして、その報告を受けたいと思います。(発言する者あり)
  129. 柳田稔

    委員長柳田稔君) したって言ったじゃない。何を確認するの。浪江町はしましたと言っているじゃない。佐藤君。(発言する者あり)  質問の中に入っていなかったじゃない、それは。それを浪江町に通告したのかという質問はなかったので、それを佐藤君、やってください。それをやったら答弁をさせます。(発言する者あり)だから、それは質問の中に入っていなかったでしょう。  平野文部科学大臣
  130. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 大変失礼をいたしました。改めて申し上げます。  モニタリングについては、浪江町(チョウ)の海側……(発言する者あり)町、失礼しました、浪江町の海側及び浪江町の山側をモニタリングカーで走りながら測定する走行サーベイをやりました。こういうことでございます。
  131. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、それは、浪江町の二十キロ圏外はサーベイしているということでいいですね。
  132. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 大変申し訳ありません。二十キロの外も一部は入っているようでございますが、もう少しきちっとしたことを調べて報告します。(発言する者あり)
  133. 柳田稔

    委員長柳田稔君) それで、一回整理をしてください。少し、佐藤さん、整理をするために質問し直してください。理事の皆さん、御着席ください。  平野文部科学大臣、答弁を整理してお願いいたします。
  134. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 改めて私申し上げますが、このエリア、どの地域で測っているかということは私手元に今ございませんが、測った部分については十五日に公表をしていると、こういうことで今事務局から聞きました。  したがいまして、もう少し体系立ったことをしっかり調べて公表したいと思います。
  135. 佐藤正久

    佐藤正久君 その二十キロの外の山側で測ったデータ、これは浪江町に伝えましたか。
  136. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 大変申し訳ありません。浪江町に報告しているかどうかも含めて、しっかり調べて報告をいたしたいと思います。(発言する者あり)
  137. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 静粛に。御静粛にお願いします。御静粛にお願いします。  平野文部科学大臣に申し上げます。答弁はしっかり整理をして、正確に答弁してください。よろしくお願いします。
  138. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 委員長からの御指示でもございますが、私自身も今、時系列的にどういう状態でどうなっているかということについてはまだ掌握はいたしておりません。具体的通告はちょうだいしていると思っておりませんが、今議員からの個別のところについての御指摘でございますし、二十キロ以外のどこなのかと、特に津島地区というのは非常に広うございます。そういう中で、浪江町等々につきましては海側、山側についてはモニタリングをいたしているということでもございますし、そのことについて町長さんに報告をしているかどうか、このことについては調べます。加えて……(発言する者あり)ええ、調べます。  加えて、十五日までは現地対策本部でモニタリングをしておったと、こういう状況でもございますので、その相関を含めてしっかりと調べて報告をいたします。(発言する者あり)
  139. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 大臣に答弁させます。挙手してください。
  140. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今、その担当課長に確認を取らせていますが、私の今知り得た状況では、浪江町でそのモニタリングを、海側、山側をいたしましたと。そのことについては、十五日までは現地対策本部に報告をいたしております。その対策本部から町長さんの方に行っているかどうかは私の手元では今は分かりませんから、もう一度確認を今取らせていただいていると、こういうことでございます。すぐ結論は出ると思いますので、よろしくお願いします。
  141. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 佐藤君、どうぞ質問をお続けください。佐藤君。(発言する者あり)  平野文部科学大臣
  142. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今、確認をいたしました。そういうことの結果を御報告いたします。  直接、浪江町の町長さんには報告はいたしておりません。
  143. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、先ほどの答弁を訂正してください。
  144. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先ほどの答弁という意味でいきますと、先ほど、十五日まで原災現地対策本部に測定結果については報告をしておりまして、ただ、地区についてはしておりません。浪江町(チョウ)の海側、山側……(発言する者あり)浪江町です、失礼しました。海側、山側については先ほどしておりますということを報告していますということでございます。
  145. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、現地対策本部にしろ文科省にしろ、やっているんですよ。その結果を肝心の双葉の町長さんにも浪江町長さんにも言っていないんですよ。全部隠しているんですよ。空中モニタリングも隠している、地上モニタリングも隠している。どうやって避難するんですか。  議長、今のやり取り聞いてどういう感想をお持ちですか。
  146. 吉田数博

    参考人吉田数博君) せっかく調査をされているにもかかわらず、我々、その情報が、言い方は悪いんですが、喉から手が出るほど欲しい情報であります、それが示されなかったということは非常に残念で、もっとそのことがスムーズに公表されれば被曝をしないで済んだ方が大勢いたと思います。非常に残念です。
  147. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、今の話を聞いて責任感じませんか。
  148. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 住民の皆様に適切にきちっと情報を、アメリカのエネルギー省の空中モニタリング、そして今の文科省のデータ含めて、なぜきちっと報告、情報提供ができなかったのかということをよく原因を調べてみたいというふうに思いますが、いずれにしましても、住民の皆様には大変御迷惑をお掛けをしたということは深くおわびを申し上げたいというふうに思います。
  149. 佐藤正久

    佐藤正久君 これ人災ですよ、総理。責任取らせてください。
  150. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 責任を取る取らないという以前にその原因を、なぜそういうことになったのか等を含めまして、含めまして対応を決めさせていただきたいと思います。
  151. 佐藤正久

    佐藤正久君 何かもうため息しか出ません、悲しくて。国民の皆さん、これが実態なんですよ。いまだにまだこの状態。情けない。もう本当悲しくなってしまいますよ。この隠蔽、ごまかし、責任転嫁、この繰り返し、繰り返し、繰り返しなんです、あなたたちのやってきていることは。これは民主党の体質あるいは組織文化とも思えてしまいます、ここまで来てしまうと。ひどい、余りにも。  この大飯原発の再稼働もそうだと思っています。私は、再稼働の必要性、これは十分認識しておりますけれども、そのやり方が余りにもずさん。福島の住民避難の教訓や対策がまだ出ていない中、大飯の再稼働、これにはなかなか理解できないという国民もやっぱり大勢います。総理、大飯原発の周辺三十キロの住民避難、例えば京都の舞鶴や綾部市民の避難計画、これはでき上がっているのでしょうか。総理、再稼働決めたんでしょう。
  152. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 福島の事故の教訓を踏まえて、周辺地域の皆さんの万が一の場合の避難の体制については、昨年の三月十一日以来、順次強化をしてきているところでございます。また、今回規制委員会を設置をしていただくということ、国会でお決めいただいたことを含めて、これでまた法制上しっかりとした裏付けのある避難計画等について組み立てていただく体制もできました。  ただ、今回、現時点で三十キロを超える地域について具体的な、二十キロから三十キロですか、従来のエリアから三十キロまでの範囲について、具体的にそれぞれ全てについて避難計画を作っているわけではございません。
  153. 佐藤正久

    佐藤正久君 舞鶴から綾部ができているか聞いているんです。舞鶴から綾部の計画ができているか。PTで答えているのと全然違うじゃないですか。
  154. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 福井県内については、県がイニシアチブを取られて十分な配慮をされて様々な計画立てられていると承知をしていますが、県以外については承知をしておりません。
  155. 佐藤正久

    佐藤正久君 我々のPTでは、まだできていないと答弁していますよ。どっちなんですか。
  156. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 具体的な御通告ありませんでしたので確認をしておりません。その舞鶴市についてというような具体的な少なくとも通告はいただいておりませんので確認をしていませんので、今申し上げましたが、直接そうお聞きになっているならそれが正しいんだと思います。
  157. 佐藤正久

    佐藤正久君 三十キロ圏内って広いんですよ。(発言する者あり)
  158. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 枝野経済産業大臣、簡潔に分かりやすい答弁をお願いいたします。
  159. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) ですから、三十キロ圏内の全てについて避難計画等が全て作られているということを確認をしておりません。福井県内については、県が大変御尽力をされているので、そういったことを対応されていると聞いているところであります。
  160. 佐藤正久

    佐藤正久君 ふざけるなと言いたいですよ。都道府県単位じゃないんですよ。原発から何キロ圏内でやるんでしょう。若狭の隣は、もう京都も滋賀県だってあるんですよ。三十キロ圏内、それができていないんですよ、いまだに。  じゃ、総理、大飯原発、再稼働しましたよね、いつまでに住民の避難計画、政府が言う三十キロ圏内、これ作るんですか。
  161. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) これまで、そうした避難のベースとなっております原子力災害対策指針というのは法定化をされておりませんでした。したがって、原子力安全委員会の方で基本的な考え方を示され、そしてそれを受けて各自治体がある種それぞれの状況に応じてやるという、そういう対応になっておったんです。  これではいかぬということで、皆さんにも御賛同いただいた法律の中で原子力災害対策指針を法定化をいたしまして、真っ先に新しい組織でやらなければならないのがこの指針の策定だと考えております。そして、この指針の策定をした後にすぐにやらなければならないのが地域の防災計画の改定であり、そして防災訓練であるというふうに考えております。それが最優先の課題でございます。
  162. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、いつまでに住民避難計画作るんですか。
  163. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) これは、法律の立て付けといたしまして原子力規制委員会が指針を作るという形になっておりまして、そこは政務が直接関与できる立て付けにはなっておりません。  ただし、ただし、立法者の意思として、これが極めて重要であるということは私は国会の総意だというふうに思いますので、新しく誕生いたします原子力規制委員会で可及的速やかに指針を作り、そして地方で計画を作っていただけるものというふうに確信をしております。
  164. 佐藤正久

    佐藤正久君 今作ればいいじゃないですか。九月末までですよ、規制委員会できるのが。何で今作らずに再稼働やっているんですか。それまで住民の避難はゼロでいいんですか、総理
  165. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) あくまで最終的な判断は新しくできる原子力規制委員皆様でございますが、準備はしております。現実に今作っております。事務方で作らせて、できれば、誕生したらすぐにそこで正式なものとしていただけるような準備はしております。ですから、その作業をすることは、準備段階も含めて極めて重要な課題であるというふうに認識しております。
  166. 佐藤正久

    佐藤正久君 国民の皆さん、これが実態なんですよ。福島の教訓もゼロ。住民避難計画いつまでに作れるかどうかも分からない、規制委員会の方がまだ先ですから。で、再稼働。これ、本当に命守れるんですか、総理
  167. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 大飯の三号機、四号機の再稼働についての判断は、これは一年以上の様々な対策や知見のその積み重ねを集大成をして、安全性を確認をさせていただいた上に、必要性も勘案をしながら再稼働することを政治決断をさせていただきました。そして、立地自治体の御理解もいただいたところでございます。  その上で、これから取り組むべき課題はもちろんありますけれども、そういうものをしっかりやり抜いていきたいというふうに考えております。
  168. 佐藤正久

    佐藤正久君 もう信じられません。  じゃ、総理、大飯の再稼働に当たり住民避難のシミュレーションされましたか。
  169. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 福井県において、万が一のことに備えた、関西電力ともちろん保安院とも協力した上での避難訓練を行っているところであります。
  170. 佐藤正久

    佐藤正久君 違う、答えていない。
  171. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 佐藤君、質疑をしてください。(発言する者あり)  枝野経済産業大臣
  172. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) シミュレーションをやったということは報告受けておりません。
  173. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、再稼働をやっている、でも政府が言っている三十キロ圏内、住民避難のシミュレーションもやっていないんですよ。それで再稼働。これで国民の命本当に守れると思っていますか、総理総理に聞いているんです。逃げてばっかり。
  174. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 国民の命を守るために万全をこれまでも期してまいりましたし、これからもやっていきたいというふうに思います。  シミュレーションの問題は、今やっていないという報告でありましたけれども、避難訓練等々の必要な訓練等はやっております。
  175. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 先ほど枝野大臣からも御答弁ありましたが、福井県では、計画自体は改定をしておりませんけれども、どこの町の方がどこに避難をするということについては既に決めていただいております。さらには、福井県内での訓練というのもやっていただいておりますので、その対応はしているんです。  今、佐藤委員からシミュレーションという話でありますが、シミュレーションということになりますと、どうしてもSPEEDIをどう活用するかという、このことが重要になってまいります。正直申し上げまして、今回の対応においてはSPEEDIの活用の仕方については非常に問題がございました。したがいまして、そこは、大変恐縮なんですけれども、できる限りしっかりとシミュレーションをさせていただきたいというふうに思いますので、少し時間をいただいて、何に利用できるのか、どのようにそれを活用して地元に伝えることができるのか、そこについてはもう少し時間を掛けてしっかりとやらせていただきたいと考えております。
  176. 佐藤正久

    佐藤正久君 シミュレーションの意味が全く分かっていないですよ。三十キロ圏内には滋賀県の高島も京都の綾部も舞鶴も入っているんですよ。福井だけじゃないんですよ。  総理、六月二十日に浪江町の方で議決をしたこの大飯の再稼働に関する総理への意見書、これ御覧になりましたか。
  177. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 様々な議会からの意見書等々ちょうだいをしております。個別に全部見ているわけではございませんが、趣旨は大体共通しているものだというふうに思っております。
  178. 佐藤正久

    佐藤正久君 吉田議長、届いていないみたいですけれども、どういう意見書だったか、御説明願います。
  179. 吉田数博

    参考人吉田数博君) 私ども、一年四か月避難をしているわけですが、私どもの議会の思いというものを若干述べさせていただきたいと思います。  まず、原発事故による避難というのは自然災害に伴う避難とは全く異質であるということを御認識いただきたいと思います。と同時に、原発は多重防御に守られているので事故は起こらないという安全神話の下ではなかなか思った避難は当然できませんし、避難がうまくいくはずがありません。  今回の避難に当たって、我々は、冬期間は西に逃げるということで対応してまいりましたが、その中でも、特に阿武隈の山並みを越えれば一安心という思いがございました。また、感覚的に長期の避難はないだろうという思いでございましたが、ましてや、三十キロ地点の津島支所に対策本部を移したわけですが、その対応は非常に困難を極めたものであります。まず、想定を超える避難者の数、それに伴って、その避難者の場所の確保、あるいは食料、燃料の不足、すぐに風評被害がありまして、救援物資が届かない、あるいは救援に向かうバスが全てキャンセルされるという陸の孤島化の状況でございました。その中でも、何とか十五日には二本松市に移動し、温かく迎えていただきましたが、まずこれほど多くの町民がばらばらに避難をするとは思っておりませんでした。  その中で、少しずつ避難生活が落ち着いた中に大飯原発の再稼働の話があったわけでございますが、私ども浪江町議会は、六月の二十日に本会議で原発の再稼働決定の撤回を求める意見書を採択をいたしまして、直ちに関係大臣に送付をさせていただきました。政府は、再稼働決定に当たっては、事故防止の対策と体制は整っており、安全基準を確認したとされております。しかし、我々被災町民、被災県民から見れば、これを認めるわけにはいかないというスタンスであります。  今、我々被災者はふるさとを追われて、今もって童謡の「故郷」の歌が歌えません。また、このようなあしたが見えない過酷な状況の中にあって、事故の検証のない今、なぜ福島の悲劇を二度と繰り返すようなことになるのかということで撤回を求めたものであります。  私どもの自治体、浪江町が浪江町として残っていけるのかどうかが問われている事柄でもあります。また、全国の、先ほどから議論をされております原発立地自治体あるいは周辺自治体の方々においては、経済優先あるいは雇用の確保等を考えれば、ある程度その容認やむなしの立場も一部理解をいたしますが、一方、人の命の重さ、特に何の責任も持たない子供たちにその将来を奪っていいのかということが大人の責任として問われていると思っております。安全の担保を国だけに委ねていいのかということであります。  また、最終的には、それを地元自治体に、自分自身の背中に返ってくるということだと考えておりますので、私は再稼働を認める立場にはありませんけれども、再稼働を考える、あるいは判断をされる場合、その一助として被災地の現状をそれぞれの目で確認をしていただきたい、そんな思いでございます。  また、先ほど佐藤先生から言われたように、原発の対策に当たって覚悟が必要だとおっしゃられました。まず、原発事故の対策、原発再稼働対策、あるいは新しいエネルギー対策のもろもろの課題について、国、国会の覚悟が問われていると思います。この国の十年後、五十年後、百年後を見据えたあるべき姿を国の責任において明示していただいて、覚悟を持って取り組んでいただきたい、そんな思いでございます。
  180. 佐藤正久

    佐藤正久君 住民避難計画がない浪江町二十キロ圏外の方々の避難、結局、二万一千名がばらばらになっちゃったんですよ。こういうことを二度とやっぱり起こしてはいけないというふうに強く思います。だから、非常に住民避難計画作らないといけないと言っているんですよ。  原発大臣、大飯高浜から舞鶴に向かう主要国道二十七号線、片側何車線か御存じですか。
  181. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 私、生まれが綾部でございまして、綾部、舞鶴は田舎でございますので土地カンがございます。車線は、済みません、何車線かとお答えできませんけれども、極めて細い山道だというふうに認識しております。
  182. 佐藤正久

    佐藤正久君 主要国道の二十七号線、これも片側一車線なんですよ。おおい、小浜から京都綾部に向かう小浜綾部線も、高島市の方に向かっている鯖街道、三百六十七号線もみんな一車線なんですよ。  防衛大臣、片側一車線の道路における住民避難、どのような状況になると思われますか。
  183. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 一般論として言えば、片側一車線の防衛というのは、いろいろな救難救助のための車両も入りにくく、また外に避難するということも難しく、一車線をかなり交通規制をきちっとしなければ多くの人を効率的に救助することができないというのが一般的な常識だと、このように思います。
  184. 佐藤正久

    佐藤正久君 大渋滞が発生するんですよ。今回もそうでした。避難経路と自衛隊とかの進出経路、これを分ける、あるいは車線を拡幅しなければ命が救えないんですよ。  国交大臣、道路が足りません。避難経路と進出経路を分けるための道路整備とか車線の拡幅、これが命を守るために必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  185. 羽田雄一郎

    国務大臣羽田雄一郎君) お答えをさせていただきます。  原子力発電所周辺における避難道路等の整備は、住民生活の安全の確保を図るため、また広域的な緊急活動の経路として大変重要だというふうに認識をさせていただいております。  国土交通省としても、関係省庁と連携を図りつつ、地方公共団体における原子力防災計画の見直しの状況も踏まえながら、必要な道路整備について引き続き推進してまいります。
  186. 佐藤正久

    佐藤正久君 口だけでは駄目ですよ。若狭地区四か所に十五基の原発があるんですよ。でも、道路というのは非常に悪い。  国交大臣、この若狭原発周辺の道路整備、いつまでに造るか、お答えください。
  187. 羽田雄一郎

    国務大臣羽田雄一郎君) お答えさせていただきます。  今鋭意努力をさせていただいているところでありますが、今お話を伺っておりまして、これは早急に一日も早くつなげなければならない、また拡幅工事しなければならないという認識を持たせていただきました。
  188. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、これは道路がないと大変なことになるんですよ、原発地域。福島の教訓を見てもらったら分かると思います。本当に一キロ行くのに何時間も掛かってしまう。真剣に考えていただきたいと思います。  防衛大臣、海上自衛隊の舞鶴基地も三十キロ圏内です。だけど、防衛警備上、避難できません。放射線環境下で活動できる施設整備、できていますか。
  189. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) いかなる防衛省・自衛隊の施設、駐屯地といえども、防衛力が集中して配備されている極めて重要な施設であります。その施設を守るためには、その施設の本来の目的、その中にいる隊員と部隊の特性並びに周辺環境に基づいて必要な防護策を取るというのが通常の防衛策、防護策だと思います。  先生の御指摘のように、周りに原発があるということですから、放射線防護対策というのはきちっとしないといけないということなので、完全ではありませんけれども、昨年の原発の事故に鑑み、自衛隊としてはいろいろな放射線防護措置というものをとっており、まだその途上にあると、このように理解しております。
  190. 佐藤正久

    佐藤正久君 私、聞いているのは、舞鶴の施設整備について聞いています。どういう状況でしょうか。
  191. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 舞鶴基地、つまり海上自衛隊舞鶴基地における施設整備そのものについては、この施設そのものが、護衛艦あるいは多用途の支援艦あるいは搭載用のヘリコプターなどいろいろな部隊がここに集中しておりますので、従来からの計画でこの施設が最も指揮、運用の効率性を発揮できるように施設整備を進めているところでございます。
  192. 佐藤正久

    佐藤正久君 放射線防護の施設がありますか。
  193. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 先ほど申し上げたように、放射線防護施設というのはまだ完全な状態になっておらず整備の途上にあると、このように理解しております。
  194. 佐藤正久

    佐藤正久君 ほとんどできていないんですよ。だけれども、この原発の近く、逃げるわけにいかないし、舞鶴基地は日本海の方では唯一の総監部がある基地ですが、これが使えなくなってしまうと大変なことになる。早急に強靱化、これが必要です。  要は、この大飯原発についても対策がほとんど、まだ手落ちがあるんです、住民避難についても、道路整備についても、この海上自衛隊の基地整備についても。  資料六を出してください。  六月十九日の外交防衛委員会で、大飯原発はゲリラ対処に課題があるというふうに防衛大臣は言われました。それはどのような課題でしょうか。
  195. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) いわゆる基地に対するゲリラ等の対策でございますけれども、一般論としては、こういった施設に対する対策というのは、自衛隊並びに……
  196. 佐藤正久

    佐藤正久君 ゲリラですよ。
  197. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) ゲリラです。失礼しました。  ゲリラに対する対策というのは、一般論としては、自衛隊が施設の中で行うもの、施設の周辺で警戒監視を行うもの、いろいろと種類がございますが、施設そのものの機能を警備するために、ゲリラ対策というのは通常からいろいろな計画を作り、これの訓練を行い、いわゆる広い意味でのゲリラ対策に努めていると、このように理解しております。
  198. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛大臣、今、大飯原発について聞いているんですよ。六月十九日の委員会でゲリラ対策上課題があると言われましたよね。じゃ、それを説明してください。
  199. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) いわゆるゲリラの侵入に備えた原子力発電所の警備については、第一義的には公共の安全と秩序を維持する警察において実施しているところですけれども、一般の警察力によって治安を維持することができない場合には、そのような緊急事態発生の時期に、自衛隊法に規定する治安出動によって自衛隊と警察が緊密に連携して対応するということと理解しております。  今までも警察と自衛隊がこのようないわゆるテロ、今先生のおっしゃったようなゲリラに対して原発を警備するに必要ないろいろな訓練を行っており、現に今年の六月、四国では、実際の原子力発電所施設を想定をして自衛隊と警察の共同訓練をやり、相互のいわゆる連携を強化しているということで、そういう自衛隊と警察の連携を強めることによってこの種の原発警備に努めているということでございます。
  200. 佐藤正久

    佐藤正久君 大飯原発を聞いているんですよ。答えてない、答えていません。大飯原発を聞いているんです。一般論なんか聞いていませんよ。
  201. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 申し訳ございません。今のは自衛隊の施設の一般的な警備について御説明したわけですが、大飯原発というのも、大飯原発の周辺には重要な施設、基地がありますので、いわゆる自衛隊の付近に位置する自衛隊の警備を、特にテロあるいはゲリラからこのような施設及び周辺にある大飯原発そのものを警備するために必要な訓練を行っているということでございます。
  202. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然この前と違うじゃないですか。この資料六、見てくださいよ。大飯原発は大島半島の先っぽにあって、そこにトンネルが何か所かあるんですよ。この前、委員会大臣言われたじゃないですか。  トンネル、ゲリラに破壊されたらどうします。
  203. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) この関西電力大飯原発というのは、先生御指摘のように、こういう海岸の外に位置する特殊な場所にありますので、今御指摘のように、トンネル等がゲリラに破壊をされるということになると、周りの道路、交通路というのがほとんど遮断されることになりますので、この重要な道路あるいはトンネル等を警備するために特殊な警備計画を作らなければならないんだろうと思います。  大飯原発の周辺の警備そのものについては、周辺の部隊がこの大飯原発の警備について直接警備計画を作って訓練をしているというふうに前回説明したつもりです。
  204. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、テロは警察ですけれども、ゲリラは防衛省なんですよ。  これ、分かりますように、トンネルがあるから、トンネル破壊されたら大島地区が、約八百名が孤立してしまうんですよ。どういうふうに対応されますか。
  205. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) この特殊な場所にある大飯原発そのものが外側から攻撃をされて、例えばトンネル等が破壊をされ、周りの周辺が孤立するというのを防ぐための警備計画というのを作って訓練をするということに努める必要があるんだろうと思います。
  206. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、その大島地区の救助計画、ありますか。
  207. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 部隊の個々の施設計画については大臣としては承知しません。部隊そのものの単位ごとに警備計画というものを持っていることは先生の方がよく御承知のとおりだと思います。
  208. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、これは、大飯原発再稼働のときに地元の首長たちが心配しているのはゲリラとかテロ対策なんですよ。再稼働に当たって大臣承知していない、こういう答弁をしてもらっては困るんですよ。しっかりと責任を持ってもらわないといけない。  福島原発もそうです。ゲリラが福島空港から航空機を使って第一原発の四号機に向かっている、総理、航空自衛隊はスクランブル発進してこれを阻止することができるでしょうか。
  209. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 我が国の周辺、防空識別圏の中に近寄ってくる航空機に対して、最も近隣の戦闘機の部隊から領空侵犯措置をして、戦闘機がこれに対応することによって広域の防衛を行うということになっておりまして、個々の施設を、いわゆる入ってくる航空機によって守れるのかという御質問に対しては、担当の防空域の中で、防空識別圏で対領侵措置をとるということによって防空の任務を果たすと、このように理解しております。
  210. 佐藤正久

    佐藤正久君 国内の空港から飛び立った航空機が四号機に向かっている、航空自衛隊は対処できますか。
  211. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 国内から飛び立った航空機は通常フライトプランを出しているので国土交通省へ、航空機は識別できますが、にもかかわらずこれがハイジャックされるとかといった場合に、緊急的な警報が出てこれに航空自衛隊が対応するということはできるんだろうと思います。  ただし、全くそういうことができずに、気が付かずに航空機が目標に接近するという場合には、これに対応することは現実問題としては非常に難しい。つまり、アメリカで起こった九・一一のような事態が起こるということはあり得るのではないかと思います。
  212. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣があり得ると考えたら、対応しないといけないんですよ。国内テロに対しては今ないんですよ。  総理、その国内の航空機等で四号機のプールが破壊されて放射性物質が地上に落ちてしまった、どういうことになると思われますか。
  213. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 昨年の事故は多くの教訓を残しました。自然災害に対する対応ということで教訓を残したわけでありますが、それは結果として、ゲリラであるとかテロに対する対策としても課題を残したと思っております。すなわち、原子炉建屋そのものに対する攻撃でなくても、重要な施設を攻撃をして水を止めたり電気を止めれば原発が麻痺をするということが明らかになりましたので、その意味において対策は打っております。  例えば、建屋の外にある重要な施設について破壊を防止をするための障壁を造るであるとか、さらには、重要な施設に立ち入る場合には二人で入って、一人が万が一あらぬことを考えた場合もそれを通報できる仕組みであるとか、そういったことはやっております。したがって、自然災害に対する対応ということでは、これは昨年から前進をしたと言えるかと思います。  今、佐藤委員が御質問は航空機という話でありますが、そのレベルの、例えば航空機であるとかトンネルが破壊をされるとか、そういうレベルの攻撃というものに関しては、これは去年の三・一一とかかわりなく元々あった課題と言えようかと思います。これは、もう率直に申し上げて、自民党の皆さんが政権を取っておられた時代も含めてこの対応がどうだったのかということについては厳しく検証した上でやらなければならないというふうに思っております。その面で、まだ様々な課題があることは率直に認めた上でやっていくということになろうかと思います。
  214. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理自民党はもう提言しているんですよ、今回、こういう航空機テロ含めて治安出動を今掛けるべきだということを。でも、それをさんざん無視しているのが民主党政権ですよ。  国家公安委員長、第一原発の一号機から三号機のポンプ、トラック一台に無防備での状態でぽんと載っている。これでテロ対策、大丈夫ですか。
  215. 松原仁

    国務大臣(松原仁君) 福島第一、第二原子力発電所の設備については、ライフル、サブマシンガン、爆弾、銃弾に耐え得る特殊車両等を配備した銃器対策部隊を常駐させ、二十四時間体制でこれらに対する警戒警備を実施しております。さらに、今回の事故を踏まえ、警戒要領の見直し、必要な人的体制の充実、装備資機材の整備拡充等、原子力発電所に対するテロ対策の強化を図っております。これに加え、警戒区域周辺の主要道路で二十四時間体制の検問を実施しているほか、警戒区域内のパトカー等による警戒をしております。  いずれにしても、原子力関連施設に対する警戒警備にすき間が生じないよう、事業者、関係機関と連携して対処してまいりたいと思っております。
  216. 佐藤正久

    佐藤正久君 国家公安委員長、すき間だらけなんですよ。行ったらびっくりしますよ。何でこのポンプがトラックの一台の上に載っているんだ。無防備のままですよ。予備のポンプ、隣のトラックに載っている。全然無防備です。実際見てください。これが実態なんですよ。ポンプが破壊されたら冷却できないんですよ。  国交大臣、今の福島の第一や第二原発の応急堤防、蛇かごや一トン土のうですよね、これで三月十一日規模の津波に耐えられますか。
  217. 羽田雄一郎

    国務大臣羽田雄一郎君) 今のものは応急措置だと、こういうふうに思っております。
  218. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理対応できないんですよ。一年たってもこの状態なんですよ。消防体制もしかり、全部国は東電任せなんですよ。そういうゲリラやテロ対策、消防あるいはその応急堤防、こういうものは国が前面に立ってやるべきなのに全然やっていないんです。全部東京電力任せ。福島の再生なくして日本の再生なしと言うなら、まさに福島の原発の安全化、そういうものをしっかりやらないと駄目だと思います。総理、いかがですか。
  219. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 東京電力の福島第一原発の様々な設備について脆弱性をまだ残していることは事実でございます。ただ、その設備の強化、外部も含めて、これは国として東電任せにしているわけではございません。これは、我々も一緒に会議をやって必要性について議論をし、そして取り組んでいるということでございます。  テロ対策につきましても、さっき国家公安委員長の方からございましたが、見えている部分でやっている部分と見えないけれども準備をしている部分、これもございますので、そこは私は、治安当局としては全力を尽くしていただいているというふうに承知しております。
  220. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然そうは思えませんよ。行ったら分かります。自民党の提言もいろいろありますから、もう一度見て万全を期していただきたいと思います。  要は、総理、現場を、実務を意識しないと駄目なんです。全体の絵をかいて潰していかないと危機管理ってできないんです。もうあのような住民避難、もう二度とああいう現場は見たくないし、起こしてもいけない。  これはオスプレイの岩国配備もそうなんです。全体の絵がない。総理、岩国におけるオスプレイの配備によって観光への風評被害、これはどのように考えられていますか。
  221. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) オスプレイについては、これはしっかりとアメリカ側から四月、六月のそれぞれの事故についての報告を受け、そして安全性の再確認をした上で飛行をさせるということで調整、合意をさせていただいておりますが、そのことがちょっと観光にどういう被害が出ているか、影響が出ているかについては、詳細については分かりません。
  222. 佐藤正久

    佐藤正久君 だから、それ、実務が分かっていないんですよ。岩国のこの飛行場の目の前、どこか分かりますか。宮島ですよ、広島の。錦帯橋もあるんですよ。オスプレイが岩国に揚がる、間違いなく風評被害出ますよ。そういう実務をみんな潰していって説明するんですよ。  じゃ、総理、この漁業補償への対応を考えていますか。
  223. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 先生の今の御指摘のとおり、岩国に今月の末オスプレイを陸揚げするということは当初の予定どおりであるという接受国通報を受けております。  その後、飛行場の中でエンジンランナップあるいは所要の整備を行うということになりますが、アメリカ側からフロリダあるいはモロッコの二つの事故の事故調査結果が日本側に提供され、飛行の安全が確認されるまで一切飛行運用は行わないということであり、さらに、その二つの要件が満たされた後、沖縄に飛行するに際して必要な整備、飛行整備を行うと思いますが、もう岩国においでになったらよく御存じのとおり、沖合に造ったいわゆる第二滑走路を使って離陸をしていくということになりますが、既にこの滑走路を整備するに当たり、漁業補償の問題は今回のオスプレイの配備とは関係なく済んでいるものというふうに理解しております。
  224. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、オスプレイを岩国に配備したときに地元でどういうことが起きるかということを考えて、想定し、対策打たないといけないんですよ。今回、試験飛行を行うわけですよ。海の上で飛行をする、そこには漁民がいるんですから。施設整備とは違うんですよ。今回、オスプレイを岩国に配備したことでどういうことが起きるかということを考えておかなければ、間違いなく出てきますよ。  また、オスプレイのオーバーホールは日本で行うはずですよ。これは民間企業が行います。オスプレイのオーバーホール、これは普天間の中に新しい施設を造って、防衛大臣、やるんでしょうか。
  225. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) オスプレイの整備は、沖縄、普天間飛行場に移って部隊の編成が行われた後、普天間の飛行場の中で行われるということで、岩国は、まさにトランジットといいますか、まず陸揚げして、そこで沖縄に安定的に飛行するための準備を行うために岩国に行くということであって、岩国で航空機そのものの、今先生の御指摘のような整備をやるということではないと思います。そのために必要な要員は普天間飛行場に移ってくるということと承知しております。
  226. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、オスプレイの前のCH46も日本の民間企業が整備しています。それじゃ、今の話だと、普天間に新しい施設を造って、そこで民間企業がオスプレイを整備をする、普天間に新しい施設を造ることもあり得るということですね。
  227. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 普天間飛行場の中にオスプレイの部隊が十月の初め編成されるまでに必要なパイロットや整備の要員が普天間飛行場に移動してくると承知していますが、オスプレイが入ることによって新しい施設ができるというのではなく、既存の施設の中に恐らくオスプレイに必要な機材を装備をしてそこで行うということなので、オスプレイ用に新しい整備用の施設ができるというふうには理解しておりません。
  228. 佐藤正久

    佐藤正久君 オーバーホール聞いているんです。部隊整備じゃない。
  229. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) オーバーホールは、恐らくその飛行場の中といいますか、部隊の中でオーバーホールを行うというふうには考えておりません。(発言する者あり)
  230. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 佐藤君、質問してください。
  231. 佐藤正久

    佐藤正久君 オーバーホールは、じゃ、どこでやるんですか。
  232. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 個々の施設、部隊装備のオーバーホールをどこで行うのかということについて、アメリカからまだ通報を受けていません。  大体、オーバーホールというシステムが採用されるかどうかということも私は承知していません。オーバーホールというのは、言わばセンチュリーシリーズの戦闘機のIRANのようなもので、例えば新しいF35Aはそのようなシステムを採用していません。したがって、オスプレイがどういう整備のシステムを持っているかということについて、先生の御指摘のようなオーバーホールという名前の整備が部隊で行われるかどうかということについては、まだアメリカ側から通報を受けておりません。
  233. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、それが非常に大きな話なんですよ。そういう部分も説明しないと誰も納得しないんですよ。今、民間企業がやっているんですから、CH46含めて、F18含めて。  総理、オスプレイの岩国配備、これは山口県の知事選挙の投票日の前に行われることはないと明言できますか。
  234. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 今、配備というお話でしたが、繰り返し申し上げますけれども、配備するのではありません。今月の末、岩国に陸揚げをして、それから必要な整備を行い、日本側に対して、アメリカ側から二つの事故の調査結果が日本側に通報され、飛行の安全が確認されるまでの間、一切の飛行運用は行わないということになっております。その準備の全体のスケジュールがどのような時期になるのか、正確な日にちは分かりませんが、いずれにせよ、アメリカはそれが八月であるということを日本側に約束しているわけです。  したがって、先生の御指摘のように、陸揚げするのが山口県知事選挙の前になるのか後になるのかということについては必ずしも分かりませんが、私たちの予測は、現在、山口県の選挙の前に陸揚げされるというスケジュールになるのではないかと考えております。
  235. 佐藤正久

    佐藤正久君 山口県知事選挙が二十九日です。その前に陸揚げをされると。  じゃ、その岩国への揚陸、その日時を山口県や広島県に事前に周知せずに行うことはないと、これは総理、明言できますか。
  236. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 現在、オスプレイは西海岸を船会社に委託したローロー船で動いていて、どこに立ち寄るのかということについて我々は正確に知りませんが、米国は船会社そのものに全体の輸送計画を任せているので、ハワイに寄ったということだけは分かるんですが、その後どこの箇所を寄って日本に来るか必ずしも分かりませんし、今のところは、その最終日についてこちらが分かったら、我が方がその日時を通報を受けたら、それは事前に岩国市並びに山口県にお知らせする、こういうつもりでおります。
  237. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは、こっそり持ち込むことは絶対やめてくださいよ。もう環境影響評価書のあの二の舞は絶対駄目ですから。それは段ボールにもう入らないんですから、オスプレイは。だから、外から見えるわけだから。しっかりと揚陸される前に広島県やあるいは山口県にこれを通報する、総理、いいですね。
  238. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) オスプレイが岩国に配備される日にちが分かれば必ず、船が到着をして陸揚げされるという日にちが分かれば必ず山口県並びに岩国市に通報する、お約束できると思います。
  239. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理総理です。
  240. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今大臣の答弁のとおり、日程が分かれば岩国、山口県にはしっかりとお伝えをしたいというふうに思います。
  241. 佐藤正久

    佐藤正久君 山口県だけじゃなくて広島県もあると思うんですけれども、いかがですか。
  242. 森本敏

    国務大臣(森本敏君) 失礼いたしました。広島県にも行います。  なお、広島県からは県知事が事前においでになるとも聞いておりまして、県知事にはきちっと前後の事情を御説明しようと考えております。
  243. 佐藤正久

    佐藤正久君 やっぱり全体の絵を見せないと誰も納得できないんです。原発の危機管理もそう、オスプレイの配備もそう、全体の絵を見せて潰していかないといけないと。やっぱりそういう面でやらないと誰も責任取らないんですよ、さっきから話しているように。  責任を取らないというと、この前の丹羽中国大使の尖閣諸島に関する発言、これも全く無責任。これは日本政府の見解とは異なる、立場をわきまえない、だから口頭注意。同じようなことが前ありました。田母神空幕長、政府の見解とは違う、空幕長の立場をわきまえないということで即更迭になりました。でも、日本の国益を考えたら丹羽大使の発言の方が非常にはるかに大きな損失を与えている。これは総理、すぐ更迭すべきだと思います。いかがですか。
  244. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 以前も申し上げましたけれども、丹羽大使、深い反省の意を表しているということでそのような対応をさせていただいているというふうに御理解ください。
  245. 佐藤正久

    佐藤正久君 丹羽大使の参考人としてのこの委員会への招致を求めます。
  246. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 後刻理事会で協議いたします。
  247. 佐藤正久

    佐藤正久君 尖閣問題、今出ましたけれども、総理、これ国有化は目的ではなくて手段です。目的は何ですか。
  248. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 尖閣諸島が歴史的に見ても国際法に照らしても日本固有の領土であることは間違いございませんし、現に有効に支配をしております。  その中で、この尖閣諸島を平穏かつ安定的に維持管理をするにはどうしたらいいかという観点で今様々なレベルで様々な接触を行っているということであって、今国有化の目的とか手段とかというお話がございましたが、今の観点で、今様々なレベル、様々な段階での接触をしているということでございます。
  249. 佐藤正久

    佐藤正久君 もう官房長官の発言と違いますね。  官房長官、目的は何ですか。
  250. 藤村修

    国務大臣(藤村修君) まず、今総理答えましたように、国有化の方針を今決定したということではございませんが、その方向で検討していることは事実であると。  政府としては、いわゆる尖閣の諸島ないし近海について平穏かつ安定的な維持管理をしていくということが政府の責任である、そういうことからも今総合的に判断していこうとしております。
  251. 佐藤正久

    佐藤正久君 管理を強化しないと国有化の意味がないんですよ。  例えば、尖閣で遭難した方々の慰霊祭、昔は魚釣島でやっていました。今、国が認めないから石垣島でやっています。こういう慰霊祭ぐらいは国有化したら魚釣島でやらせる。総理、いいですか。
  252. 藤村修

    国務大臣(藤村修君) 今、ですから、国有化を前提としたお話をされているので、方向としてそういうことを考えておりますが、その上で様々検討をしていくと、こういうことになろうと思います。
  253. 佐藤正久

    佐藤正久君 しっかりと、国有化した場合の、どういうふうに管理をしていくか、それをしっかりお願いします。  以上で質問を終わります。
  254. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で佐藤正久君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  255. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 次に、森まさこ君の質疑を行います。森まさこ君。
  256. 森まさこ

    ○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。本日はよろしくお願いします。  私、福島県選出でございますが、明日は十一日、震災から一年四か月がたちます。総理、私は今日、福島の復興政策について質問させていただきます。  先ほどの質疑を見ておりますと、指名されていない大臣が答えることが多いように見受けられました。私も、前回質問をしたとき、三十回質問して最初と最後しか総理に答弁していただけませんでした。今日は、福島県民、ふだん総理に会えないんです、私も八か月ぶりです、是非総理に声を届けてきてほしいと言われています。どうか真正面から答弁していただきますようにお願いをいたします。  総理、三日前、私たちの福島県へいらっしゃいましたね。何か月ぶりですか。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕
  257. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) たしか一月にお伺いして以来だと承知しています。
  258. 森まさこ

    ○森まさこ君 半年ぶりでございます。半年間、福島県にいらしてくださらなくて、そして大飯原発を再稼働させた直後に何で来るのか、そういう県民の声がございました。  福島県議会から意見書が出ています。目を通されましたか。
  259. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 済みません、見ておりません。
  260. 森まさこ

    ○森まさこ君 総理が福島県に来る七月七日、その三日前の七月四日に出されております。複数項目にわたりますが、その一番最初に、一番上に、大飯原発の再稼働は、避難計画も作られておらず、被災県として遺憾であると書いてあるんですよ。先ほど、避難計画があるとかないとかいう質疑がございましたが、避難計画はございません。そういう中でいらっしゃった。  半年間、総理、福島県について復興政策、何をやられたんですか。
  261. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 実際に先般、福島をお訪ねさせていただいた際に、いわき、そして川内村、そして最後には知事にもお会いをしました。実際に現場に行って、着実に復興に向かいつつあるものと、残念ながらまだ遅れているものと両方あるというふうに承知をしました。  それを踏まえて、これからしっかりまた対策講じていきたいと思いますけれども、一月に行って以来でありますが、その後復興庁も立ち上がって、復興に向けての取組は私は加速されてきていると思いますし、福島に関連して言うならば、これまで、直接行ったのは半年ぶりでございますが、福島県からの例えば市町村長からのお訪ねや議会から陳情があるときは、直接お会いをしながらコミュニケーションを取ってきたつもりでございます。  その中で、復興で特に賠償、除染、住民の健康管理等々を中心にしっかりと取組を自分たちなりには全力を尽くしてきているつもりでございます。まだ行き届いていない点はあるとは承知していますが、そういう課題を一つ一つ乗り越えていきたいと思います。
  262. 森まさこ

    ○森まさこ君 野田総理、教えてさしあげます。  野田総理が一月に来てから七月七日に福島県に来るまでにやったことは、年末に来て、原発事故の収束宣言をして、福島県の子供たちの、十八歳以下の医療費を免除することは国がしないと断り、そして、あとは年が明けてから増税の仕事をして、そして大飯原発を再稼働させた、それだけですよ。今着実に進んでいる、福島県民は誰も思っていません。  今から私が数字を出して、表を出して説明しますけれども、その前に、今、野田総理がおっしゃいましたから、今日来ていらしている参考人にその感想を聞きたいと思います。参考人双葉町長、井戸川町長に今の御感想、双葉町と意見交換をずっとしてきたということについて伺いたいと思います。
  263. 井戸川克隆

    参考人井戸川克隆君) 本日は、このような場所にお呼びをいただきましてありがとうございます。  今、森議員からお尋ねありました。あしたは一年四か月目の十一日であります。私たちは黙祷をして亡くなられた方を悔やむ日であります。無念の涙も出る日であります。自分たちに非があれば考え方も感情も違うでしょうが、住む家やふるさとを奪われた者にしか分からない、悲しい日であります。是非、全国の皆さんにはこのような経験をしないでいただきたいと、本当につらい日を迎えるわけでございます。  今お尋ねのように、つらい日を延々と、昨年の三月十二日、双葉町を去ってから今も続いております。時々、東電あるいは政府関係者に、一体いつまでここにいればいいんですかってお尋ねいたします。私が事故の責任者であれば、こんなふうにはしません。率先して、苦しんでいる住民の方の生活支援をまずいたします。住居を設けます。そして、生活ができなくて弁当代さえ払えないこの人たちの生活を支えをして、その後にまた相談できることについて積極的に相談できるような体制をつくってしっかりとケアをするものと思いますが、私どもは、今なお多くの住民が避難生活をして、さらには放射能の環境の中で悶々とした、解き放たれた、窓を開けることができるような環境でないところで悔しく生活をしております。  総理は、私に対して、双葉郡民は大事な国民ですとお答えをいただきました。しかし、今なお、早くそのようなことが来ればいいなと思っております。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  あってはならない今回の事故は、人類が迎えてはならない大きな事故であります。双葉地方あるいは福島県の事故ではありません。是非、人類として共有を、悩みの共有をしていただきたい。悔しい思いの共有は決してしていただきたくありません。  そんな中で、誰が一体私たちにその一番早く明るい道筋を付けてくれるのか。その相手さえ見付けていただければ、私も住民とともに頑張ってまいる所存でございます。是非そのような方向性を示していただきたいと思います。  よろしくお願いします。
  264. 森まさこ

    ○森まさこ君 井戸川町長、ありがとうございました。  総理、井戸川町長に最後に会われたのはいつですか。
  265. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 井戸川町長には何回か官邸にも来ていただいておりますので、最新の日付まではちょっと分かりませんが、何回かコミュニケーションは取らせていただいております。
  266. 森まさこ

    ○森まさこ君 今回の大飯原発の避難計画は作られていませんが、避難計画を作るために、井戸川町長に当時の避難のありよう、これについて伺ったことはありますか。
  267. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 私は、井戸川町長とは何回もお会いをしまして、加須市にお邪魔したり、あるいは町長が復興庁に来ていただいたり、様々な局面で意見交換をさせていただいております。また、電話でもしょっちゅうやり取りをさせていただいております。  その中で、今委員から御指摘の避難の状況についてどういう状況であったか、これは私自身は聞いております。聞いておりますが、政府全体としてそのことに対しての取組が不十分でなかったかということ、きちっと聞いたかどうかということについての問題意識、聞いていないという指摘というのは井戸川町長から随分指摘を受けておりまして、この旨、政府部内では、私も意見共有をさせていただいたつもりでありますけれども、必ずしも十分でなかった点はあるかと思います。
  268. 森まさこ

    ○森まさこ君 指名されていない大臣は答弁しないでください。とにかく今、総理は答えられなかった。会っていないし、避難の状況について聞いていないからじゃないですか。それを平野大臣が出てきて、結局聞いていないということを答弁する。  双葉町長、井戸川町長、どうですか。避難について政府から意見を聞かれたことがありますか。
  269. 井戸川克隆

    参考人井戸川克隆君) 大変私も忙しい日を毎日送っております。総理も大変忙しい日を送られていると思います。したがって、身近にお話しする時間はございません。  今、森先生から聞かれました避難についての思いでございますが、私どもは以前から、事故が起こる以前から避難用道路の整備を国、県にお願いをしてきております。(発言する者あり)いろんな形で、核燃料税とかいろんな税を使って早急に造っていただきたい、高速道路も整備していただきたい、いろいろお願いしてまいりましたが、間に合わず、双葉町民は朝八時に双葉町を出て、川俣町に着いたのは夕方でした。通常であれば一時間ぐらいで済むところでございますが、残念ながらその過程で放射能被曝にも遭いました。このように、私どもは命からがら避難をしたわけでございます。  したがいまして、原子力発電所周辺における避難のための整備施設、道路等におきましては、一刻も早くされることを望んでおります。
  270. 森まさこ

    ○森まさこ君 要するに、今回、福島県に視察に行かれたときにも双葉町長にはお会いになっていない。これまでも避難のことについて聞いていない。事故が起きたんですから、原発が爆発したんですから、それで先ほどのアメリカの実測値のこともありましたけれども、一番大変なところにいて、被曝をしたかもしれないというところの首長に話を聞くのが当然だと思います。さきの原発事故を収束させて、除染のめどを付けて、賠償のめどを付けて、そして避難民の意見を聞いて、そして大飯原発の避難計画を、それを参考にしてきちっと作ってから再稼働させるのが筋ではないかと申し上げているんです。  今そこにお座りの大臣たちからいろんなやじが飛んで、嫌ですよ、本当に。玄葉大臣も安住大臣も、自民党からだろう、自民党時代からだろうって、そんなことは言っている場合ではないんです。政党同士のことを押し付け合っていたら政権与党としての資格はないですよ。いいですか、原発が爆発した後、その避難民の意見を聞くのはどこの政権与党ですか。野田総理、お答えください。どこの政権与党が、爆発した後、避難民の意見を聞く、そして政権を執行するんですか。
  271. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先般、福島をお訪ねした際も、仮設住宅にお住まいの皆様の、避難をされている皆様の様々な御意見もちょうだいをいたしました。  それから、双葉町長とも何回かお会いをしておりますけれども、まずは、どういう御意見を持っているか、御要請をお伺いするのが前提でございます。その上で、先般、町長と町議会の皆さんが来られたときは賠償についてのお話を中心に議論させていただきました。真摯に耳を傾ける姿勢、被災者に寄り添う気持ちに変わりはございませんし、しっかりやっていきたいというふうに思います。
  272. 森まさこ

    ○森まさこ君 私、国会質問のとき毎回申し上げていますが、自民党政権も非常に重い責任があると思います。その十字架を背負っていかなければならないといつも申し上げています。だからこそ、あのときの事故で被災した原因対策をきちっとして、今、首長が話聞いてもらっていないと言っているじゃないですか、きちっと聞いてくださいと政権与党である民主党さんにお願いしているんですよ。  賠償の話を聞きましたと総理が言いました。賠償問題は進展していますか、井戸川町長、お答えください。
  273. 井戸川克隆

    参考人井戸川克隆君) いつも町民と接すると、町長頑張れという声をいただきます。この陰には、頑張って仕事をしろと、我々の代表として声を届けろということだと思います。  賠償については、誠に進んでおりません。今、我々の事務方と県と国とで協議中でございますが、まだ詰まるところがあるものですから協議中で詰められません。できれば中間払いでもしていただければ町民の方はきっと安心するんではないだろうかと思います。多くの双葉郡民も同じ気持ちであります。自分の人生設計、今後の再建の、再生の、再出発のやはり大事な賠償が一番先に来ますので、それらの訴えを毎日聞いております。  先ほども申し上げましたように、本当にお金がないんだよと町民からも言われております。双葉町としては、融資制度を設けて何とかしのいでもらいたいということで町民にはお願いをしている現状でございます。  生活支援班という担当がありますが、政府には、私どものこのような悩みを聞いてくれたり、あるいは避難所の問題、住民の問題を直接聞いていただいたことも一度もございません。  また、災害対策本部の中で従前の避難計画の中では、私どももその組織の一員でしたが、事故以来、その会議にも招致されたことはありません。できればいろいろの情報をいただいて、そしてまた、我々からの情報を伝達できる手段があれば、もっと町民の悩みを解決できるんではないかなと、避難民の悩みを解決できるんではないかなと考えております。
  274. 森まさこ

    ○森まさこ君 井戸川町長、ありがとうございました。  今、政府の機関には何も話を聞いていただいていない、賠償が進んでいない現状をお話しいただきました。  ここで、復興予算について見てみたいと思います。  パネルの四、そして資料の四を御覧ください。(資料提示)二重ローン、グループ補助金、復旧事業の公共事業、復興交付金と並べてあります。  省庁にお答えいただきたいと思います。二重ローンについて経産省、岩手、宮城、福島の被災三県の中で一番件数が少ないのはどこですか。
  275. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) 先生から御指摘ございました二重ローンでございますけれども、岩手県では十二件、また宮城県では九件、福島県では一件の買取りということで、件数で福島県が一番少なくなっている状況でございます。
  276. 森まさこ

    ○森まさこ君 では次に、グループ補助金については、経産省、被災三県の中で一番事業費が少ないのは何県ですか。
  277. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) グループ補助金についてでございますけれども、福島県におきましては、本年一月にも他県に比べまして追加いたしまして特別の公募を行いましたけれども、現在までのところ、補助金額で、国費、県費合わせまして三百八十九億円ということで、三県の中で一番少なくなっております。なお、採択のグループ数では八十件ということで、三県の中で一番多くなっております。
  278. 森まさこ

    ○森まさこ君 採択の件数が多くても、それはグループの中に何件でも入れるから比較の対象にならないんですよ。金額だけ答えてくださいって言ったでしょう。ちゃんと事実を答えてください。福島県が最低の金額ということが分かりました。  それでは、国土交通省、復旧事業の件数、公共事業、平成二十三年度、一番件数が少ないのはどこの県ですか。
  279. 羽田雄一郎

    国務大臣羽田雄一郎君) これを見ますと、福島県になります。
  280. 森まさこ

    ○森まさこ君 福島県の件数が百九十七件で一番少ない。宮城県は四百四十六件となっております。  それでは、復興交付金を復興庁に聞きましょう。一番少ないのは何県ですか。
  281. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  岩手、宮城、福島、被災三県のうち、福島県への交付可能額が一回、二回合わせて九百七十五億円で、三県では一番少ないところでございます。
  282. 森まさこ

    ○森まさこ君 福島県が最低なんですよ。宮城県が三千億円あるのに福島県は九百七十四億円しかないんです。今お分かりのように、二重ローンの買取り決定も福島県が最低、グループ補助金の金額も福島県が最低、復旧事業の公共事業の件数も福島県が最低、復興交付金の金額も福島県が最低なんです、総理。  総理、これはどういうことですか。福島県は、地震、津波、それに加えて原発被害という大変な重荷を背負っています。風評被害もあります。その中で復興予算、復興政策、重点的に投入してもらわなければはい上がれないんですよ。総理の御見解をお聞かせください。総理の御見解を聞いています。
  283. 柳田稔

    委員長柳田稔君) まず、平野復興大臣
  284. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まず、グループ補助金、復旧事業件数、復興交付金、その額だけ見ますと福島県が少ないというのはそのとおりであります。ただ、他方、いわゆる津波、地震の被害ということに関して言いますと、三県の中では福島県が一番少ないというのもまた事実であります。  それから一方で、産業立地補助金というのがございます。福島県だけに特別につくった基金であります。これは一千七百億。こういった基金は岩手、宮城ではありますけれども、こんな規模にはなっておりません。  その他様々な基金ということにつきましても、福島県には特別の配慮は、一定程度の配慮はさせていただいているということでございます。
  285. 森まさこ

    ○森まさこ君 結果が数字に表れているんです。今の立地補助金については後からまたお話ししますけどね。三県の、調べていますよ、それを足してもこの中で福島県は最低です。  福島県の地元では誰も復旧復興の実感がないんですよ。それが今、この数字を見て、表れているんですよ。どんなに担当大臣が言い訳をしても、これは説得力がありません。  昨年度の復興庁の予算、資料五に付けてありますけれども、執行率がゼロですね。一兆三千億の予算で、そして一兆三千億余らせている。執行率がゼロなんです。どういうことですか。立地補助金でたくさんの手が挙がって、それに対して知事が増額を希望しても拒否しているじゃないですか。先ほど一千六百億とおっしゃった。だけど、一兆三千億も執行率ゼロなんです。  じゃ、平野大臣、お聞きしましょうか。復興予算、昨年度の復興予算で不用額は幾つ出ているんですか。
  286. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 約一兆円ということになります。  ただ、この一兆円につきましては、またこれからの復旧復興の財源になるということも併せて申し上げておきたいと思います。
  287. 森まさこ

    ○森まさこ君 後回しにしても遅いんですよ。人が亡くなった後に予算を付けたって、企業が倒産した後に予算を付けたって遅いんです。復興はスピードが命なんですよ。  今どんな状況にあるのか。復興庁、震災関連死、自殺者の数を答えてください。
  288. 岡本全勝

    政府参考人岡本全勝君) 東日本大震災におけますいわゆる災害関連死につきましては、全国の市区町村の協力を得て調査いたしました結果、今年三月末現在、全国で千六百三十二名、そのうち福島県の方は七百六十一人でございました。
  289. 森まさこ

    ○森まさこ君 今言ったように、人が亡くなってから、企業が潰れてから、そこに一兆円余らせた復興予算を付けたって意味ないんです。何で立地補助金で、今福島県に立地しましょうというふうに手を挙げてきた企業さんを断るようなことをするんですか。  総理総理は七月七日に福島県に行きましたね。その翌日の福島県の新聞を読みましたか。
  290. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) いえ、見ておりません。
  291. 森まさこ

    ○森まさこ君 私、九月に総理が就任したときも、福島の再生なくして日本の再生なしと言ったから、一面記事ぐらい見てくださいねと、そのときも見ていないとおっしゃった。少なくとも福島県に入ったんですから、次の日、自分がどのような反応を受けたかぐらいは見てくださいよ。駆け足で行って、パフォーマンスなんじゃないかと書かれているんですよ。本当にそれが、福島の再生なくして日本の再生なしという言葉が実行に現れているかどうか、私たちが全く信頼できない理由の一つなんですよ。その中に立地補助金のことについても書いてありますよ。  総理、立地補助金について、福島県に入って知事と話して、そして何と答えたんですか。
  292. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 立地補助金については、二十三年度の第三次補正予算で千七百億円をつくらさせていただきました。その中で、今福島県において、大変申請が多かったと承知をしておりますので、それを踏まえての補助金の精査をされている、補助金の効率化に向けての精査をされているという途中だと聞いておりますので、その精査の結果を踏まえて相談をしたいと、こういうようなお話をさせていただきました。
  293. 森まさこ

    ○森まさこ君 午後に質問を回したいと思います。
  294. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  295. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。森君。
  296. 森まさこ

    ○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。  パネルにありますとおり、午前中の質疑で、復興予算割当てはどれも被災三県のうち福島県が最低であるということを指摘させていただきました。地震、津波に加え原発被害があるのに、総理、これでは余りにも福島県をないがしろにしてはいませんか。
  297. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) たまたま今四つの項目においての数字の比較をされておりますけれども、午前中もお話ございましたとおり、立地補助金で千七百億円であるとか、そのほか健康管理のための基金であるとか、様々な県からの御要請についてはできる限り誠実におこたえをしているつもりでございますし、これからもそうしたいと考えております。
  298. 森まさこ

    ○森まさこ君 その立地補助金ですけれども、一千億円が不足しているんです。総理、立地補助金を増額してください。
  299. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 千七百億円の範囲において申請をされたけれどもまだ保留というような企業があるということは承知をしておりますが、今、その中で補助金の効率化に向けての精査を福島県でされているというふうに承知をしています。そういうことを踏まえて相談をさせていただきたいと思います。
  300. 森まさこ

    ○森まさこ君 補助金の効率化とおっしゃいました。総理が福島県に来た七月七日の翌日の七月八日の新聞の一面トップに書いてある、あの補助率の減額のことですか。  総理に答えていただきたいと思います。
  301. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 所管大臣でございますので私から答弁をさせていただきたいと思いますが、ふくしま産業振興企業立地補助金については、まさに福島の産業振興のために必要となる予算を措置しているものでございますが、お申出をいただいた内容については、その趣旨については、まさに福島の産業復興のために必要な事業を行うという目的のために提起されているものでございますが、その中で必要な金額として求められている項目の中には、この立地補助金の趣旨、それによって福島の産業を振興するという趣旨に鑑みたときには必ずしもそれにかなっていない部分があるのではないかというような点、あるいは、いずれにしても福島において企業立地を行う、なおかつそれが大きな外部からの企業の立地であって、それぞれの企業の実態を鑑みれば自らの資金によって十分でき得る部分などもございますので、こうした点については、国民の皆さんの限られた税金でございます、もちろん福島の産業振興のために十分に生かされるという観点が重要でございますので、そうした点で福島県と経済産業省の方も協力をして精査をさせていただいているということでございます。
  302. 森まさこ

    ○森まさこ君 総理です。
  303. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 精査をしているところでございますので、それを踏まえて相談に乗りたいと思います。
  304. 森まさこ

    ○森まさこ君 総理、答えていません。新聞の一面に載ったことですかと聞いているんです。質問に答えていません。地元紙の一面トップに載ったことですかと聞いているんです。
  305. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 何か政府が一律に計画について半額に圧縮することを求めていると、かと取れるような記事でございますが、そうしたことはございません。個別個別に一件一件、この補助金の趣旨を踏まえた中で福島の産業立地のために必要かつ効果的なものであるかということについて精査をお願いしているものでございます。
  306. 森まさこ

    ○森まさこ君 地元紙の一面トップに、三分の二の補助率を三分の一にするとか、三分の二の補助率を土地とそれから福利厚生施設については六分の一、大企業については今度は半分と、その二か所を私読み上げましたけど、両方書いてあるんですよ。  これについて、経産省、答えてください。昨日、私の部屋に来て、これが事実かどうか答えましたね。事実ですか。
  307. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 枝野経済産業大臣
  308. 森まさこ

    ○森まさこ君 経産省に、経産省の事務方に聞いています。昨日、レクに……
  309. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 先ほど来申し上げておりますとおり、この福島の産業振興という趣旨に鑑みたときに、個別の一件一件申請されている補助金の中身、どういった項目に充てられるのかということの中身について精査をさせていただいております。  そうしたことの中では、御指摘のような福利厚生部分については産業振興という観点から必ずしも適切でない部分があるのではないか、あるいは大企業については、自らの資金でいずれにしろ立地をしていただける部分と、それについてこの補助金があることで福島に立地がされる部分の事実と、こうしたことの観点から半分に補助率を下げることについても視野に入れて精査をお願いをしているところでございます。
  310. 森まさこ

    ○森まさこ君 質問権の侵害です。昨日、私の部屋にレクに来た人に聞いています。
  311. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 事務方、誰かいるんですか。中小企業庁鈴木長官
  312. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) 誠に申し訳ございませんが、担当部局、今、今日は来ておりませんもので、昨日の先生のお部屋でのやり取りにつきましてはちょっと私ども詳細を存じておりません。
  313. 森まさこ

    ○森まさこ君 きちんと通告をしまして、昨日、レクで私は、これが事実ですかと言ったら、経産省の人が、補助率の減額については事実です、私たちが言いましたと言うから、あなた、予算委員会に来て答えなさいねと言ってあるんですよ。  どうして、これ、出さないんですか、事務方を。
  314. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) ですから、補助率を下げることをお願いをしている部分もあるということを、事務方ではなくて最高責任者である私が答弁をさせていただいているものでございます。
  315. 森まさこ

    ○森まさこ君 昨日、立地補助金の経産省の担当の方が私の部屋に来て、この補助率の減額については数字まで示して福島県に提案したということでございました。私は、その方に、ここに来て、それをテレビの前で、福島県民が見ている前で、国民の前で答弁をしていただきたいと言ったんです。そうしたら、その後、枝野大臣も答弁者に加えたいというのが来たんです。枝野大臣を加えることには私は了承しましたけれども、その事務方のことを削除することまでは了承していませんよ。どうして福島県に……(発言する者あり)正式に要求していますよ。最初に出した紙に要求してあるんですよ。おかしいことですよ、これは。  とにかく、補助率の減額について福島県に数字まで示して提案をしたのか、提案していないのか、これをきちっと答弁していただきたいと思います。
  316. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 経済産業省としては、理事会で確認をされた政府参考人についてはしっかりと出席をさせていただいているところでございます。  それから、今のお尋ねについては、事務方ではなくて省の責任者として、確かに、先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、この産業立地の法の趣旨に鑑みて、ある部分については補助率を下げていただくことについても提起をしていることはお認めをしているところ、申し上げているとおりでございます。(発言する者あり)
  317. 柳田稔

    委員長柳田稔君) じゃ、もう一回質問してください。
  318. 森まさこ

    ○森まさこ君 それでは、中小企業庁の長官に答弁していただきたいと思います。
  319. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) 誠に申し訳ございませんが、私の担当外でございますので答弁は控えさせていただきます。
  320. 森まさこ

    ○森まさこ君 この予算委員会の場で事実が明らかにされないことは大変遺憾でございますが、今、枝野大臣がお答えになったとおり、補助率の減額について一定の提案をしているというところまではお認めになりました。これは断じて許されないことです。  立地補助金は、この福島県に、風評被害がある福島県にわざわざ立地をして頑張ろうという企業が手を挙げて来てくれました。三分の二という補助率が魅力で、それでしたら、ほかのところに行くよりも、海外に行くよりも、福島県で頑張ろう、そういう企業が一生懸命準備をして手を挙げて来たんです。それを今になって補助率を引き下げるなんてこと、餌をちらつかせて崖を登ってきた人に目の前で取り上げる、失意のうちに谷底に落ちてしまいますよ。復興マインドが冷えますよ。  総理、補助率の削減などしないとお答えください。
  321. 柳田稔

    委員長柳田稔君) まず、枝野経済産業大臣
  322. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 先ほど来申し上げておりますとおり、この立地補助金の趣旨は福島の産業復興の目的の立地補助金でございます。そうした観点から、もちろん福島に立地をしていただくというその趣旨、目的そのものは、いずれの企業においても大変大事な目的のために御尽力をいただいているということで大変歓迎をするところでございますが、今回補助を申請されている項目の中には、この福島での産業振興という観点から投資の波及効果が大きくない建屋は、福利厚生施設等への部分についての補助金の申請、それから警戒区域等の外に立地する負担能力の高い大企業向けの補助等も含まれておりまして、これらはいずれも、この産業振興という趣旨に鑑みたときには、税金の使い道として必ずしも適切ではないのではないか。  一方で、こうしたことについて、しっかりと県とお申出いただいた企業との話の中で、立地はきちっとしていただくということの中で、税金を使って補助をするべき対象としてどの程度の比率が適切なのかということについて十分精査をいただきたいということでございまして、福島に立地をしていただくという目的を損なうことにはならない一方で、これも国民皆様の税金でございますので、使い道については適切に対応させていただきたいと思っております。
  323. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今の大臣の答弁で尽きていると思います。補助金の趣旨に照らして精査をしているということでございます。
  324. 森まさこ

    ○森まさこ君 立地をしてもらうという目的を損なうものではないという答弁がございました。そう思いますか、総理
  325. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) そういう考え方の中での精査をしているということでございます。
  326. 森まさこ

    ○森まさこ君 最初三分の二と言って、後から削られて、やめてしまうじゃないですか。今、残り、手を挙げている、一千億の、待っている、保留の人たちももうやめてしまいますよ。自己資金が手当てできなくて、これ、予定していた事業を休止せざるを得ないケースだって続出するでしょう。そのように県が言っているんですよ。それでも福島県に、この福島県に立地をさせるという目的を損なわないと思うんですか。総理、答えてください。総理です。総理、答えてください。
  327. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 例えば、三分の二の補助率を三分の一に減らさせていただきたいということで提案をし、県においていろいろ調整していただいているのは負担能力の高い大企業向けの補助についてでございまして、補助金がなくても立地をしていただける負担能力がある一方で、あえてこうした状況の中で福島に立地をしていただくということですから、決して補助をしないということではない。ただ、負担能力がある大企業についてまで全体の三分の二、半分を超えるということは、全体においての予算規模が限られている中においては少し減らさせていただきたいということをお願いをしている。あくまでも負担能力の高い大企業向けでございまして、そうしたことを前提に交渉、折衝、調整をしていただいておりますので、少なくとも、だからやめるという企業が続出するということは考えておりませんし、続出するような対象にまでこのことをお願いをするということを求めているものではありません。
  328. 森まさこ

    ○森まさこ君 総理を指名しています。総理、お願いします。(発言する者あり)
  329. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) もう大臣の御説明に尽きていると思いますが、補助金の趣旨に照らして精査をしているということであって、負担能力のあるところについては、その分、御理解をいただくということでございますので、私は妥当な精査だと思います。
  330. 森まさこ

    ○森まさこ君 いかにも冷たい御判断でございます。福島県は怒っています。立地補助金の増額どころか補助率の削減ですか。  今度の基本方針に何を書くおつもりですか。立地補助金について記載するんですか、お答えください。
  331. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先般、福島の知事とお会いしたときに基本方針議論もいたしました。六月二十日に政府としての考え方をお示しをし、七月三日に福島から御回答をいただきました。その御回答を踏まえて、できるだけ福島の御要望に沿った基本方針をまとめ、近々閣議決定をしたいと思っております。
  332. 森まさこ

    ○森まさこ君 うわさは本当でした。復興予算は見せ金である、新聞にいいことが載る、大きな予算額が載る、被災地以外の国民は、ああ、被災地では復興が進んでいると思わせる。ところが、いざとなると財務省が召し上げる。  復興予算も執行率がゼロ、復興予算の残ったお金も一兆円あるのに、どうして残り一千億円の立地補助金が増額できないで補助率の減額なんかするんですか。全く信じられませんが、総理、次の質問に行きましょう。  先ほど言った、アメリカの実測値で、これから検証すると総理はおっしゃった。ところが、総理が就任した、九月二十八日に私が質問しているんです、総理。これ以上、福島県民に情報を隠さないでください。正しい情報を調べてください。総理は検証しますと答弁しましたね。
  333. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) ちょっと答弁内容までは正確に覚えておりません。
  334. 森まさこ

    ○森まさこ君 昨日、私、総理のお部屋の方にレクに来ていただいて、こういうことを言われると思ったからツイッターにもすぐ写真を載せて出しましたよ。覚えていませんとか、そんなことを総理に言わせないでください。九月二十八日の予算委員会総理にこの被曝の汚染情報のことについて質問して、総理が検証しますと言っているんです。  総理、覚えていないぐらいだから検証していないんですね。検証しましたか、していませんか、答えてください。
  335. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 予算委員会での議事録はちょっと確認できておりませんけれども、文科省が実施しているモニタリングについて、基本的に実施したものは速やかに公開をするように指示をさせていただいております。
  336. 森まさこ

    ○森まさこ君 文科省のモニタリングだけではございません。私は、SPEEDIのことがあったから、これ以上何も隠していませんねという質問主意書も出しています。それに対しては無回答。そして、総理予算委員会で九月と十一月に二回も質問をしているんです。総理は、一回目に、いずれにしても、あらゆる形の検証をしなければならないということを思いましたと述べています。そして、二回目に、それを受けてどんな検証をしたんですかということについては無回答で、枝野さんが出てきて違う答弁をしていると、こういうことなんですよ。  総理、検証していないんですね。それで、先ほど、今から検証していく。何をやっていたんですか、九月から七月まで十か月間。この間に検証していれば、今日資料に出しておりますように、鈴木寛当時の文科副大臣のところにまでアメリカの実測値の情報が上がっていた、八時間いれば年間の被曝量を受ける場所に飯舘村も双葉町も浪江町も置かせられていたんです。  このことは、当時のことですが、私が九月に総理質問して、検証すると言ったときにすぐ検証できていれば、このときに被曝した子供たちは、ここに人形があります、二百五十人の子供たち、大人も合わせて七百人、すぐに健康診断ができたじゃないですか。いまだに健康診断が遅れている、ホール・ボディー・カウンターさえ福島県民全部受けておりません、甲状腺検査も遅々として進まない。  どうしてその検証をしなかったんですか。野田総理、あなたの責任じゃないですか。
  337. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先ほどの答弁でも申し上げたと思います、質疑者は替わりましたけれども。残念ながら、なぜそうなったのかということの特定はまだできていないということでございます。
  338. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 森君。(発言する者あり)いやいや、手を挙げているじゃない。もう一回、いいですか。  野田総理大臣
  339. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 検証については、現在、政府事故調の中でも御検討いただいておりますので、それを踏まえて対応したいというふうに思います。
  340. 森まさこ

    ○森まさこ君 双葉町長、今の総理の答弁を聞いてどう思われますか。
  341. 井戸川克隆

    参考人井戸川克隆君) 大変厳しい御質問だと思っています。  私は、事故前から東京電力あるいは原子力安全・保安院の方には事故は起こしてくれるなというお願いをしてまいりました。なぜならば、放射能まみれに町民をしたくなかったからであります。しかし、実際にさせてしまいました。  三月十二日のあの一号炉の爆発のときに大勢の町民がまだおりました。本当に空から爆発物が、あのごみが降ってくる瞬間にこれで終わりかなと思いました。警察官も自衛隊員も病院職員も、私どもの職員も大勢おりました。みんな一瞬声が止まりました。あれほど言っていたのになぜ起こしたんだという思いで、憤りでいっぱいであります。  被曝については、私は非常に厳しいことを世論で言わせていただいております。広島、長崎の規模と比べて安全だ、安心だと言われますが、決してそういう思いを私は持っていません。受けなくてもいい被曝をしたこの気持ちが受けない方にどうして分かっていただけるだろう、そういう思いで、あの十二日は、ほぼ町民が避難終わったなというときに私も一緒に避難をしました。あとまだ残っていたのも知らずに避難しました。この方の中には、髪の毛が抜けたよと涙ながらに訴えられました。ああ、申し訳なかったなと、本当に今でもそういう気持ちであります。  したがいまして、私どもは、原発を誘致したのは事故を約束したものではありません。いろいろ最近の情報で事故を予防できる時間もあったのにという思いがこの被曝の問題と一緒になって、眠れない日もあります。  二十ミリシーベルトがいいとか百ミリシーベルトがいいとかという話を受けると、それは受けたことのない、被曝をしたことのない人からそういう言葉が出ます。なぜこの方たちはこのような惨めな思いを知ることもなく勝手に数字を言うんだろうと、そういう思いでずっと来ました。  朝日新聞に米国版のSPEEDIの公表がされていなかった事実が出て、なお憤りを感じました。本当に、我々を本当に思ってくれているんだろうかという思いであります。  二十八日、平岡次長さんが謝罪に来られましたけれども、そのまなざしは大変厳しいものがあって、深く反省はしているようには、本人は申されておりましたけれども、私はまだ足らないなと、謝罪というのはもっと違うんじゃないかという思いで彼の言動を聞いておりました。  したがいまして、こういう情報がもしスムーズに出ていれば逃げる方向を変えていました。私は、住民の生命を守らなければならない立場なんです。誰よりも住民を守らなければならない立場なんです。この思いがあって、何ミリだからいいとかなんとかって今言われると本当に腹が立ちます。この情報隠しは、私は本当に納得しません、できません。  以上です。
  342. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございました。  野田総理の先ほどの立地補助金のことにしても、今の放射能の実測値隠しの検証していなかったことについても、福島の再生なくして日本の再生なしという言葉は、今や空証文だったと断ぜざるを得ません。  私たちは、野田総理はあの福島の再生なしで福島県を、県民を喜ばせておいて、一番罪つくりです。福島県を見殺しにしたと断ぜざるを得ない。もう復興なんてできっこないと思います。今すぐ辞めてほしい、そのことを申し上げて、質問を終わります。
  343. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で森まさこ君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  344. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 次に、渡辺孝男君の質疑を行います。渡辺孝男君。
  345. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  本日は、社会保障と税の一体改革、そしてまた東日本大震災からの復興再生に関連いたしまして質問をさせていただきたいと思います。  初めに、民主、自民、公明の社会保障と税の一体改革関連の修正協議を踏まえた三党合意に関しまして、民主党内で意見集約がスムーズになされず、離党騒動で会期延長された国会が空転していることに対して、民主党代表、そして総理としての責任をどう感じているのか、野田総理にお伺いいたします。
  346. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 一体改革関連法案の六月二十六日の衆議院における採決の際に、残念ながら我が党から反対者、そして棄権欠席者が相当数出たということ、国民皆様に深くおわびを申し上げたいと思いますし、そのことの責任は党の代表として重く感じております。また、その結果、国会審議が遅れる等々の支障を生じさせてしまったこと、御協力をいただいた各党の皆様に深くおわびを申し上げたいというふうに思います。  その上で、いよいよこれから参議院で御審議をいただくことになりますけれども、政権与党としてしっかり一致結束をして対応できるように全力を尽くさせていただきたいというふうに思います。
  347. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 御党内のいろいろな出来事でありますので余り口を挟みたくはないんですが、民主党内で総理のリーダーシップが発揮できない、そういうことであれば、国の政治についても総理のリーダーシップが発揮できないんじゃないか、そのような政治不信を招かないようにしていただきたい。  次に、三党合意に基づき衆議院で修正議決された法案の内容は、国民にどのようなメリットをもたらし、また消費税増税のデメリットを軽減するものになっているのか、総理の見解をお伺いをしたいと思います。
  348. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まず、この五%消費税引上げを含む社会保障・税一体改革でありますが、こういったことをやらなければ社会保障制度はやがて持続可能ではなくなる、あるいは更に借金をどんどん増やすことになりかねない、そういう事態を食い止めたということが一つあると思います。  その上で、五%の消費税の引上げのうち一%は新しいこと、充実のために使うということでございます。待機児童の解消などを図るための保育の量と質の充実、それから年金の受給期間の短縮、現在の二十五年を十年にすること、厚生年金、健康保険のパート労働者、短時間労働者への適用拡大などが盛り込まれているところでございます。  また、逆進性の問題も踏まえまして、給付付き税額控除、それから複数税率などについて検討するということにしているところでございます。  こういった様々な社会保障を持続可能にし、かつ所得の少ない方に十分な配慮をするということが今回の社会保障・税一体改革によって可能になったというふうに考えております。
  349. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 消費税増税のときの低所得者対策、これもいろいろ案が出ておりますので、これはしっかりやっていただきたい、そのように思います。  次に、今回の社会保障と税の一体改革では具体的な内容が、法案がありませんでしたので、まだ明らかになっていない医療や介護の消費税増税分の活用、これについて小宮山厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
  350. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 高齢化がこれからも進む中で医療、介護のニーズが増大をする、そうした中で、消費税増税分を医療、介護の改革にも充てることでどこに住んでいてもその人に適切な医療・介護サービスが受けられる、そういう社会をつくっていきたいというふうに考えています。  具体的には、病院、病床の機能分化、連携によりまして入院医療の強化を図るということ、また、在宅医療、在宅介護を充実をすること、これによりまして、状態に応じて切れ目のない医療、介護が、住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスが継続的、一体的に受けられる地域包括ケア、この体制を構築していきたいと考えています。  また、医療・介護サービスを支えるために医療保険、介護保険制度の機能強化、安定化が必要ですので、市町村国保の財政基盤の強化、また市町村国保や介護の一号保険料の低所得者への軽減、この強化を図るとともに、今、総合合算制度の具体的な制度設計にも取り組んでおりまして、その創設を図っていきたいと考えています。
  351. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党としましては、やはり国民のメリットということが大事でございますので、高額療養費制度の改善あるいは難病対策の充実等々、そういうものにしっかり取り組んでいただきたいと思います。  次に、民主党内に残留した鳩山由紀夫元民主党代表ら二十三名の衆参議員が消費税増税に反対する消費税研究会を発足させたということでありますが、このことに関しまして総理の御見解を伺いたいと思います。
  352. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 政治家、議員が政策の個人的な勉強会、あるいは有志を募っての集まりを持っての勉強会を、これを制限をしたり禁止したりすることはできないというふうに思いますけれども、投票行動において党議に反した議員については、昨日の段階でいずれも処分をさせていただいております。  今後のことについては、党執行部が説明を尽くしまして、また木曜日には両院議員懇談会、金曜日にはこれは全国幹事長会議がございますが、党議を再確認し、一致結束して参議院審議に臨んでいきたいと考えております。
  353. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 三党合意政党間での約束でありますので、これを誠実に実行していただきたいと思います。  万が一、今国会で関連法案が通らなかった場合は、総理はどのような責任を取るつもりですか、お伺いしたいと思います。
  354. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 公党間の信義にかかわる問題でございますので、それは三党の合意を踏まえて参議院審議採決に臨んでいきたいというふうに思いますが、万が一これが成立しなかった場合ということでございますが、これはもう待ったなしの状況でございますので、何としても成立をさせることに責任を果たしていきたいというふうに思います。
  355. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 しっかり責任を果たしてもらいたいと、そのように思いますけれども、次に、法案成立した場合、社会保障制度改革推進法案に盛り込まれました社会保障制度改革国民会議の設置の時期あるいは委員の任命の基準等々、これにつきまして総理のお考えを聞いておきたいと思います。
  356. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員御指摘の社会保障制度改革国民会議、これは公布の日に施行するということになっております。そして、期限は一年以内ということでございますので、やはり時間を置かずに法律成立後速やかに立ち上げなければいけないというふうに考えております。  法律上は、委員二十名以内、優れた識見を有する者のうちから総理が任命する、国会議員を兼ねることを妨げないというふうになっておりますので、こういう基準に基づいて、この参議院での法案審議、あるいは提案された三党の御意見も踏まえて人選をしていく必要があるというふうに考えております。
  357. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 総理が任命するということでありますので、総理もどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。
  358. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まず、法案成立した暁には速やかに設置をする、国民会議を設置するということと、委員の人選については、今副総理からもお話ございましたけれども、法律の規定や参議院での法案審議、あるいは三党の御意見なども踏まえて、会議の運営方法等と併せてしっかり検討していきたいと考えております。
  359. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、東日本大震災からの復興再生に関しまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、東日本大震災による大津波被災地での高台移転など防災集団移転の計画作りや事業実施の状況について、平野復興大臣にお伺いをしたいと思います。
  360. 平野達男

    国務大臣平野達男君) あの大津波で流された地域の住宅の復興、多くの地域が高いところに移転をして再生をしたいと、復興したいと、そういう地区が非常に多うございます。  これまで二百四十五地区で事業が計画をされておりまして、これまで二回の復興交付金の交付額通知において、その全ての地区で調査費を計上しております。その中で、早期事業着手が見込まれるものとして二十市町村百三十二地区、約一万三千戸分について一千六百九十二億円の事業費を計上し、事業の進捗を図っているところでございます。  いずれ最終的には数万戸単位での移転になると思います。膨大な労力、土地利用調整、それから計画策定、まだまだマンパワーが不足していると言われております。こういったことに対して引き続き強化を図っていきたいと思っておりますし、あるいはUR等の活用、あるいは退職公務員の活用等々、あらゆる方策を活用してこの高台移転、推進していきたいというふうに考えております。
  361. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 高台移転等々、計画が徐々に進んできているわけでありますが、そうなりますと、やはり個人でも家を建てる、あるいは事業所を造る等々のお話が当然ながら出てくると思います。しかし、平成二十六年四月から消費税が増税をされる、そういう大きな消費税が掛かるわけでありまして、やはり被災地の方々に対する特別な特例措置というものが必要であると、そのように考えますけれども、これに対しての総理並びに財務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  362. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 先生御指摘のように、ちょうど被災地では消費税の引上げ時期が住宅再建に重なるというふうな可能性が高うございますので、今御指摘ございましたが、特段の配慮というものは私どももこれから検討していかなければならないと思っております。  三月三十日の閣議決定でも、このことにつきましては、検討課題に対する法案提出後の対応の方向性ということで、住宅を失った被災者の方々の恒久的な住まいを確保する際にはということで、地域全体の町づくりを進める中で支援を行うなど、被災者の方々の負担緩和への配慮というものを明記しておりますので、先生御指摘のありましたことについては十分配慮しながら、また三党の関係者の皆さんに御相談させていただきながら対応したいと思っております。
  363. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 被災地の生活再建、そして事業再建に関して、二十三年度の補正予算であるとか、二十四年度は当初予算でも特例措置は設けさせていただいておりますが、その上で、今財務大臣から御説明がありましたとおり、三月三十日に閣議決定したその方向性にのっとって具体的な措置をこれからしっかり講じていきたいと考えております。
  364. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 これからやっと自分の家を建てるような計画を立てている、あるいは事業を展開しようと考えている、そういう方々が希望どおり、計画どおり進まないというふうなことがないように、是非とも総理、しっかりやっていただきたいと思います。  次に、防災、減災の着実な推進に関しまして質問をさせていただきたいと思います。  三陸沿岸等々、私も回っておりますけれども、湾口防波堤、そして海岸堤防等破損をしているところがあるわけでありますが、やはりこれから町づくり、商工の関係の方々のお店等ができ上がるとなると、やはりいつまた大地震、大津波が来るか分からない状況では非常に心配があるわけであります。  そういう意味で、例えば湾口防波堤あるいは海岸堤防の復旧がどのようになされていく計画なのか、この点について国土交通大臣にお伺いをしたいと思います。
  365. 羽田雄一郎

    国務大臣羽田雄一郎君) お答えをさせていただきます。  東日本大震災においては、釜石港また大船渡港等の湾口防波堤は、津波による被害、この軽減に一定の効果を発揮したものの、施設自体は大きな被災を受けてしまいました。このため、町づくりや産業活動に極力支障が生じないよう計画的に復旧を進め、おおむね五年での完了を目指しております。既に釜石港では本年二月に着工をしておりますし、また大船渡港では今月着工予定となっております。  一方、海岸堤防については、水位低減などで一定の効果が見られたものの、岩手、宮城、福島各県の延長計約三百キロメートルのうち約百九十キロメートルが被災をしてしまいました。このために、各市町村の復興計画との整合性を図った上で順次工事着工を着手しており、復旧復興に不可欠な仙台空港や下水処理場などの施設が背後にある国施工区間についてはおおむね平成二十四年度末目途に完了を、そしてその他の区間についてもおおむね五年での完了を目指させていただいております。
  366. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 おおむね五年でそういう湾口防波堤あるいは海岸防波堤等々を造るということでありますが、これがきちんと計画どおり完了するということがやはり大事だと思うんですね。そういう意味では、そういう防災・減災対策の早期実施、着実な実施というものが必要と思いますけれども、総理の所見を伺いたいと思います。
  367. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 東日本大震災からの復旧復興とともに、首都直下地震、東海・東南海・南海地震などに対する防災・減災対策については、これは御党が提案している防災・減災ニューディールも参考にしながら政府としてしっかり取り組んでいきたいと思いますし、先ほど国交大臣から御説明がありましたとおり、東日本大震災の被災地の湾口防波堤や防潮堤の復旧については、地元の御意見をお伺いしながら、震災後おおむね五年での完了を目指すこととしております。  そのほかの直下型、首都直下地震や東海・東南海・南海地震などに対する防災・減災対策についても、中央防災会議の検討結果を踏まえまして、できるだけ早期に御指摘のように対応したいと考えております。
  368. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 三党合意にも経済対策等が盛り込まれているわけでありますけれども、その中で必ずやらなきゃいけないわけですね、防災・減災対策。今の、東日本大震災で壊れたところは一刻も早く復旧をしなければならない、そういう必ずやらなきゃならない事業をしっかり早期から始めて、これが経済対策、景気の浮揚あるいは雇用の確保につながっていくような、そういう政策を実現をしてもらいたいと思います。  次に、平成二十三年度の復興予算、約十五兆円でありますが、その四割、五・九兆円が未執行であったと、そういうことが大きく取り上げられておりますけれども、この理由につきまして平野復興大臣にお伺いをしたいと思います。
  369. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今委員御指摘のように、平成二十三年度補正予算、これ三次にわたって補正予算を編成いたしましたけれども、その予算の合計額十四・九兆円に対しまして、残念ながら、三月末現在における執行率は約六割、九・一兆円にとどまっているということでございます。  その背景としましては、まず繰り越したものとして四・八兆円ございまして、これは今年度の執行につながってまいります。その理由としては、復興計画の具体化のための調整や地元住民との合意形成に時間を要したことで、どうしても二十三年度の実施が見込めなかったと。これは、先ほど委員から御質問がありました高台移転等々はこれに該当するものが多いということでございます。  それから、今回の不用で一・一を出しておりまして、その約六割が一次補正予算でございます。このときは、復旧復興を急がなくちゃならないということで、まずは全体の精査をしない形で、つかみの形でまず予算を計上せざるを得なかったというような背景もございまして、その後の例えば災害査定の結果としての全体の事業費の中で違いが生じてきたということで不用に回したということでございます。  ちなみに、この一・一兆円は、不用になったからといってお金はほかに回るわけではございません。復興予算としての財源としてしっかり使わせていただく予定でございます。
  370. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 復興にいろいろ国民の支援もいただいて取り組んでいるわけでありますけれども、このように四割が未執行だったというような話が出てまいりますと、国民は、政府は何をやっているんだと、そのような声も当然出てくるわけでありまして、これはしっかりそういうことがないようにしていただきたいと思います。  平成二十三年度並びに二十四年度の復興予算の適切な執行に関しまして、野田総理大臣平野復興大臣の答弁を求めます。
  371. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 二年目に入りまして、復興元年ということで我々は位置付けております。復興のつち音がはっきり聞こえる年にする、そういう覚悟でやっております。ここから様々な事業が進むと思います。その過程の中で資材費の高騰とか様々な問題が出てきますが、そういったことを克服しながら、この予算をしっかり使って一日も早い復興復旧を実現させたいというふうに思います。
  372. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) しっかりと予算執行していくという上で、さっき平野大臣の御説明にもありましたとおり、例えば高台の移転とかというと時間がちょっとやっぱり掛かっている。それは権利の調整であるとか用地買収とかマンパワーが必要なんですね。被災自治体のマンパワーには限界がある分、全国の自治体の職員の皆様の後押しをしてもらっていますけれども、国も含めてそういうマンパワーを確保することが、まさにしっかりと着実に復興が進み、予算執行ができる鍵を握っていると思いますので、特にその辺を念頭に入れながら対応していきたいと考えております。
  373. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 平野復興大臣が国庫返納分一・一兆円については復興の方に使うんだというお話がございました。そのようにしていただきたいと思います。これから質問する項目はそういう予算を必要としている、そういう項目でございますので、こういうところに活用いただければと思います。  次に、被災地から要望が多い中小企業等グループ補助金について質問をさせていただきたいと思います。  まず、中小企業等グループ補助金の内容と平成二十三年度、二十四年度の国の予算額について枝野経済産業大臣にお伺いをしたいと思います。資料一を御覧いただきたいと思います。(資料提示)
  374. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 複数の中小企業などから構成されるグループで復興事業計画を作成していただきまして、その中で地域経済や雇用維持に重要な役割を果たすものとして県が認定をしたものについて、施設設備の復旧に対して国が二分の一、県が四分の一の補助をするものでございます。  予算については、平成二十三年度の一次、二次の補正予算といわゆる復旧・復興予備費を合わせまして一千五百四億円が予算計上をされているところでございますが、このうち、これまでに三千二百八十九の方々が百九十八のグループを構成されまして、国費で一千四百六十八億円、県費と合わせると二千二百二億円の支援を行っているところでございます。
  375. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 パネルでも、また資料一でも示しましたが、本年六月までの時点で、被災地六県で百九十八グループ、国費千四百六十八億円、県費と合わせまして二千二百二億円の支援が行われており、被災地では大変要望が多い、そういう補助金であります。  現在、第五次公募の計画認定作業中ということでありますが、これまで復興事業計画が県で認定されなかった場合など、そういう申請者への、なぜそれが認定されなかったのか、あるいはどういうところが問題点があるのか、そこを克服すれば認定されるというようなところまでアドバイス等をしていただきたいと思うんですが、この点、平野復興大臣、いかがでしょうか。
  376. 平野達男

    国務大臣平野達男君) このグループ補助金の採択に当たりましては、枝野大臣の指導の下で中小企業庁が丁寧に丁寧に、何回も何回も現地に行って一件一件の調整をやっているというふうに承知しております。その中で、今回採択できるものは採択しますし、あと計画としてもうちょっと工夫が必要なものということについては、更に中小企業庁の職員と、あるいは県の職員と地元の方々といろいろ協議しながらいい計画に持っていって、この中小企業グループ補助金になじめるような形にする、そういう努力をしております。  これは、引き続きこういう努力をする中で、いずれ働く場の復興と住宅の再建をすることが自立にとって一番重要な手段でございますので、しっかりと対応していくよう復興庁としても後押しをしてまいりたいと考えております。
  377. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ところが、政府の方は今回の第五次募集で終了を検討しているというようなお話でございます。要望が多い中小企業等グループ補助金ですので、被災地の再生、復興や地域コミュニティーの維持には大変重要な補助金と私は理解をしておりまして、何としても継続した募集をしていただきたい。  この点に関しまして、枝野経済産業大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
  378. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 現在、今年の予算で計上いただきました補助金について五次公募いたしましたものの審査を県で行っていただいているところでございます。これが七月中には何とか交付決定に持っていきたいというふうに思っているところでございます。  この精査のプロセスにおいて採用にならなかったところが、まあちょっと幾らブラッシュアップしてもとても採択に届かないものがほとんどなのか、それとももうちょっと工夫していただければ採択されるようなものが多数あってなのかとか、そうした状況をしっかりと把握をいたした上で被災各県の御要望を踏まえて検討してまいりたいというふうに思っております。
  379. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 私が被災地を回ったときに、やはりこういうグループ補助金、申請をしている方とお会いしたときには、私たちは今回の大震災でもう町の住民を守るために本当に一生懸命働いたと、今回はこういうグループ補助金でそういう町の商店街を復興しようと、そういう気持ちで申請をしたけれども、残念ながら認定されなかったと、こういう方もいらっしゃるわけでありまして、そういう方々に、どこをどう直せば認定されるのか、そういう補助金が受けられるのか、そういうことを指導してもらいたいんですが、もう五次で打ち切ってしまったらそういうことも何にもならなくなってしまうわけですね。  そういう意味では、これは非常に現場では使い勝手がいいし、本当に復興に役立つということでありますので、この財源を、追加の募集の財源をしっかり確保してもらいたいんですが、この点、安住大臣、いかがでしょうか。
  380. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 五百億円ほど本年度予算で付けさせていただきまして、今、枝野大臣からお話のありましたように、これについての七月の内示があると。その後のことでございますので、財源の伴う話ですからよくよく検討しなければいけませんが、私も先生と同じように、これが企業再生の切り札になっているということは十分理解をしております。  他方で、このグループ化補助金の趣旨とちょっと誤解をなさって申請を出しているケースについては、今復興大臣や経産大臣からもお話ありました。そうしたものをよく精査をして、やはり地域にとって必要かどうかということを十分勘案しながら、様々な選択肢を私も考えながら対応したいと思っております。
  381. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 本当に被災地ではこれを頼りに町の復興をしたいと、地域を、コミュニティーを守っていきたいと、そういう強い希望を持っていらっしゃる方がこれに申請し、挑戦をしているわけでありまして、こういう方々をきちんと復興させる、再生させるということが大事だと思いますので、もう必ずこれは次のチャンスを与えていただきたいと思います。  次に、先ほども議論がございましたけれども、福島県の被災地から要望の多いふくしま産業復興企業立地補助金について質問をさせていただきたいと思います。  まず、この補助金の創設の意義、そしてまたその内容及び国の支援について枝野産業大臣にお伺いをしたいと思います。資料二で、パネル、よろしくお願いします。
  382. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) この補助金は、福島県が原子力災害によって大変甚大な被害を受けられている、そこから速やかな産業復興と雇用の確保を図る必要があるということで、総額一千七百億円の補助制度を創設したものでございます。  これから警戒区域等の解除とか、それから進行が、特に原発の被災地域はほかの地域と比べて復興の進行が遅れているというようなスケジュールも見据えて、五年間で使っていこうということでこの一千七百億円の補助金を積んだところでございます。  具体的には、警戒区域が解除された地域への立地の補助率を最大四分の三、その他の地域の福島県内を三分の二という、一般的に自治体の奨励補助金制度は十分の一程度でございますが、非常に大変大きな補助率で製造業全般及び対事業所サービス業を対象としています。また、設備の新増設に係る設備投資費用のみならず、用地取得費や建屋建設費用等、初期の工場立地に係る経費を幅広く支援をするものといたしております。
  383. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 パネルの方に示しましたけれども、このふくしま産業復興企業立地補助金は被災地から大変要望が多くありまして、これまで二百九十九件の申請があり、一次採択件数が百六十七件、しかし保留件数が百二十三件と非常に多いわけでありますね。現時点で残念ながら約一千億円の予算の不足があり、先ほどの保留案件、百二十三件でありますけれども、そういうことを考えてみると、また今後の申請の相談の見込み等を考えますと、国の追加補助による基金積み増しが是非とも必要だと、そのように考えておるところでございます。  野田総理及び枝野経済産業大臣の英断を是非とも求めたいと思います。この点に関しまして答弁を求めたいと思います。
  384. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 先ほど申しましたし、そのパネルにもございますとおり、この補助金については、平成二十六年度までの申請で事業期間として二十八年度までという、復興に向けての中期的なプロセスを踏まえて計画的に使っていただくということで創設した制度でございます。  大変多くの皆さんがこの制度に手を挙げていただいているということは大変有り難い、歓迎すべきことだというふうに思っておりますし、そうした事情もしっかりと今後検討していかなければならないと思っておりますが、まずはこの趣旨踏まえて、先ほど若干議論ございましたが、限られた予算で最大限の立地あるいは雇用につながる効果を上げていただくよう、まずは今、県においてそのための精査、調整等をお願いをしているところでございます。  こうした取組を踏まえて、福島県ともよく御相談をしてまいりたいというふうに思っております。
  385. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 御指摘の補助金につきましては、東日本大震災からの復旧復興の進捗や警戒区域等の設定の解除状況を見据えて、福島県が五年間管理運営することを前提として措置をしております。福島県においてその趣旨に沿って計画的に有効な活用を図るものと基本的には理解をしておりますし、現在、福島県において補助金の金額の精査を行っていると承知をしており、こうした精査を踏まえて福島県とよく話し合っていきたいと考えております。
  386. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 福島県は避難者が約十六万人、そのうち今県外に避難している方が六万二千人と、今でも県外に行く人が増加をしているということでありまして、そしてまた、雇用の喪失も三万人にも及んでいると。これからの更なる人口流出、あってはならないんですが、そういうことを防ぐためには、やはり地元で働く場、仕事をする場、そういうのをつくっていかなければいけない。  そういう意味では、企業が被災地に来ていただくということが大変重要でありまして、そういう意味で、七月七日、総理は福島県を訪れたわけでありますが、佐藤知事と懇談をされたということでありますが、そのときにこの問題も指摘をされている、そのように思います。私も、佐藤知事がおっしゃるように、予算増額、こういうものをきちんとして、今定めようとしております福島復興再生基本方針にもそのことをしっかり明記して、これからも福島で企業立地しようという、そういう企業の方々が安心して企業立地して雇用も創出していただけるように、やはりしっかりその点を考えていただきたい、そのように思うわけであります。  それから、先ほど、採択された企業の補助率を引き下げるというようなお話もありましたけど、これはとんでもないことで、せっかくやろうとして、企業立地して頑張ろう、福島県の方々のために雇用も創出しようと、そういう意欲を持って挑戦をして来ていただいている、そういう企業の方々でありますので、そういう方々が復興意欲なくさないようにしっかりここは予算を確保していただきたい、補助金を確保していただきたいと思います。  もう一度、総理、この点に関しましてお伺いをしたいと思います。
  387. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 基本的には、この復興のために立地をしようとする企業がたくさんいるということは有り難いことだと思います。有り難いことでございますけれども、先ほど来の答弁の中に、負担能力のある大きな企業があったりとかということもあるんですね。  そういうことを踏まえて、よくこの補助金の趣旨を踏まえながらの精査をしていただいた上で対応をさせていただきたいというふうに考えております。
  388. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 本当にこれは是非とも実現をしていただきたい、福島、佐藤知事の要望をしっかり受け止めた形にしてもらいたいと思います。  次に、東日本大震災の中小企業者の事業再生支援について質問をさせていただきたいと思います。  まず、東日本大震災で二重債務を抱えることになり困っておられる事業者の再生支援を行っている産業復興相談センターと産業復興機構連携による再生支援の実績について、枝野経済産業大臣にお伺いをしたいと思います。
  389. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) お答えいたします。  ちょっと集計が前になりますが、六月二十九日時点の集計でございます。被災六県の産業復興相談センターにおいて千二百四十四件の事業者から相談に対応をしてきております。そのうち対応を終了したものは八百五十八件、引き続き対応継続中のものが三百八十六件となっております。一番多いのは、実は各種の制度の説明など、あるいは助言などを差し上げることで対応が終了したというものが六百七十八件ございます。それから、東日本大震災事業者支援機構に引き継いだものが八十五件ございます。具体的に金融機関と条件変更について合意にまで至ったものが七十二件、産業復興機構において債権買取りの決定をしたものが二十二件で、この七十二件と二十二件を合わせた九十四件ということになっております。
  390. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 事業者の方々の再生、事業再生、これ様々な困難があると思うんですが、まだまだこれから事業再生に取り組むという方々も多いと思うんですね。この場合、やはり二重債務というのは大きな重荷になりますので、これをしっかり軽減してあげるということは非常に大事だと思います。  今後の相談件数の予測と支援強化につきまして、枝野産業大臣にお伺いをしたいと思います。まだまだこの支援されている件数は少ないというふうに考えておりますので、この点をお伺いをしたいと思います。
  391. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 率直に言ってもっと多いのかなというふうに当初思っておりましたが、一つには金融機関による柔軟な条件変更、それから仮設店舗などの整備によっての対応、それから一番多いのが、被災地の復興計画の進展を待っておられて、その間は古い方の債務についての取立てを金融機関も無理をされないという、こういったことでまだ二重債務問題が表面化していないというケースが多いと思っております。  今後、復興計画の進展などに伴ってこの二重債務問題は具体化をする、より多く具体化すると思いますし、また、そうなりますと、これまでは金融機関が柔軟な条件変更に応じていただきやすいものはかなり進んでいますので、なかなか困難な案件が増えていって、まさに本領を発揮しなければならないのではないかというふうに思っております。  このため、このセンターの職員が仮設店舗の被災事業者を個別訪問したり、センターや復興機構の支援内容について積極的に説明に出向くということで潜在的なニーズを掘り起こしていく。それから、案件処理の迅速化を図らないといけないということで、被災事業者の事業計画策定において外部の専門家を活用するというようなことをセンターに対して指導しているところでございまして、特にこれからの相談件数の増加等の様子、しっかりとウオッチして、きめ細やかな、かつ柔軟、迅速な対応を進めてまいりたいというふうに思っております。
  392. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、公明党を含めまして野党主導で成立をしました株式会社東日本大震災事業者再生機構法でつくられました株式会社東日本大震災事業者再生支援機構による事業再生の実績について、平野復興大臣にお伺いをしたいと思います。
  393. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 支援機構では三月五日に業務開始をしておりまして、これまで四百三十件の相談を受け付けております。そのうち五件の事業者に対して債権買取り等の再生支援を行う旨を決定したところでございます。これは七月六日現在でございます。このほか、五十件程度の案件について関係金融機関や事業者などとの支援決定に向けた最終調整を行っていると承知しております。  支援機構の職員も社長を筆頭に随分被災地を歩いておりまして、一件一件の掘り起こしを丁寧に丁寧にやっております。そのほか、片山さつき議員も現地を歩いてこの趣旨の徹底等々、あるいは地区の発掘等々にも御協力をいただいております。  今、確かに地区が少ないということでありますが、これは枝野大臣の先ほどの答弁にも重複しますけれども、一つは中小企業グループ補助金が積極的に活用されているということ。それから、仮設店舗の活用が非常に多いです。この仮設店舗はいずれ本店舗になります。仮設工場も本工場になります。それは、その仮設店舗の経営者は今何を待っているかといいますと、これも枝野大臣の御答弁にありましたけれども、市街地再生の土地利用計画です。これにちょっと時間が掛かっています。もうちょっと時間が掛かるかもしれません。今私どもは、そういったものについては、その地区を除外して、そこから先に本店舗あるいは工場の復活ができないか、こういったことのアドバイスというか調整もやっておりますが、いずれこれが、土地利用計画が決まりまして市街地再生が始まりますと仮設から本店舗への移行が始まりますので、この段階でかなりの案件が出てくるのではないかというふうに思っております。  そして、そのために、ちょっと次の質問のところの答弁に入っておりますけれども、相談から支援決定までの期間を大幅に短縮するなど手続の簡素化等々にも今努めておるということでございます。済みません。
  394. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 先取りして御答弁をいただいたわけでありますけれども、二つの支援の機関が二重債務で苦しんでおられるそういう事業者の再生に取り組んでいるんですが、復興の計画の流れがやはりいろんな事情で遅れているということで、これからますます活躍をいただきたいという、そういう時期に入ってくると思います。そういう意味で、この二つの支援機関、連携して頑張っていただきたいと思うんですが、総理、これからの二重債務を持って苦しんでおられる方の何としても事業再生を果たしていただきたいわけでございますけれども、総理の所見を伺いたいと思います。
  395. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 被災地の鉱工業生産指数を見ますと、被災三県の数値は相当程度回復しつつあります。ただし、一方で津波震災地域の生産額は依然として震災前を下回っておりまして、特に、例えば被災三県の水産加工施設は四五%が業務再開を行っていないという状況でございます。  これら津波災害を受けた地域や原子力災害を受けた地域ではこれから早急に復興を本格化させていかなければならないと考えておりますが、政府としても、インフラの本格復旧を加速させるとともに、先ほど来御議論がございました産業復興機構や事業再生支援機構を中心とした二重ローン問題への対応、グループ補助金による設備や施設の復旧、中小企業者の資金繰り対策、復興特区制度による民間投資の促進など、被災地の事業者の再生に向けた支援をきめ細やかに行っていきたいと考えております。  被災地の産業や事業者の再生は被災地の雇用確保の観点から復興の鍵を握るものと考えておりますので、復興庁を中心に政府一丸となって取り組んでまいりたいと思います。
  396. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、東日本大震災の被災地における再生可能エネルギーの問題について質問をさせていただきます。  まず、東日本大震災被災地における再生可能エネルギーの事業推進の現状につきまして、枝野経済産業大臣にお伺いをしたいと思います。
  397. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 東日本大震災の被災地は、従来から再生可能エネルギーの適地が多かった地域でございます。このため、復興支援ということと再生可能エネルギーの普及ということの両面から、昨年の三次補正予算で三つの予算を手当てをしております。一つは再生可能エネルギー発電設備の導入補助、これが三百二十六億円、それから福島県における浮体式、浮いた形の洋上風力発電の実証事業百二十五億円、それから産官学による再生可能エネルギー研究開発拠点の整備に百一億円、こうした予算を手当てをしております。  このうち再生可能エネルギー発電設備の導入補助については、本年四月二十七日に第一次公募を終え、第一回の交付としては六十九件、補助金額で約四十三億円の採択を決定をしているところでございますが、七月一日に固定価格買取り制度が施行をされました。これを受けてかなり多くの皆さんが次の募集については手を挙げていただけるのではないかということを期待をしております。  この固定価格買取り制度と導入補助を併せて被災地の再生可能エネルギーの取組に対してきめ細かく対応していきたいと思っておりますし、先ほどの浮体式の洋上風力や地熱発電など、被災地復興のシンボルとなるような取組に力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  398. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 この再生可能エネルギー、やはり被災地におきまして、単なる復旧ではなくて未来先取りということでこれからの新しい日本の姿を築いていくと、そういうものの一つの事業だと、そのように思っておりますので、この点さらに、まあまだ始まったばっかりだというふうに思っておりますけれども、被災地におきまして、このような再生可能エネルギーの事業の推進に関する野田総理の決意をお伺いをしたいと思います。
  399. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 再生可能エネルギーにつきましては、先ほどの大臣の答弁にも出てまいりましたけれども、この七月一日から固定価格買取り制度が施行されたところでございます。この制度の着実な施行に加えまして、立地に関する規制の見直しや研究開発支援など、考えられる政策を総動員をして再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでいきたいと思います。  その上で、御指摘のあった東日本大震災の被災地については、平成二十三年度の第三次補正予算において再生可能エネルギー発電設備の導入補助や浮体式洋上風力発電の実証事業などの予算を手当てし、現在着実にその施行を進めているところでございます。  引き続き、再生可能エネルギーが被災地の復興の柱の一つとなるようにしっかりと支援をしてまいりたいと思います。
  400. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 我が国、福島の第一原子力発電所の、まあ東京電力でございますけれども、福島第一原子力発電所の事故を経験をしまして、大変な状況であったということは先ほどの参考人のお話でもよく分かるわけでございまして、我が国が脱原発依存を進めていくに当たってはこの再生可能エネルギー事業を推進をしていくことが必要だと、そのように思っております。  最後の質問になりますけれども、放射性物質に汚染された校庭や園庭など汚染土壌や家畜農家の堆肥など、まだまだ仮置場が見付からないということで進んでおらないということでありますけれども、この処理ですね、これをどうするのか、どうやって進めていくのか、この点に関しまして細野環境大臣並びに郡司農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。
  401. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) まず、除染によりまして生じました土壌の方でございますけれども、これの仮置場ということに関しまして市町村の皆さんに大変な御苦労をお掛けをしている状況でございます。かなりの市町村におきましては、例えば汚染状況重点調査地域におきましては百四の市町村のうちの約九割の自治体が計画を作っていただいておりますので、実際に様々な除染活動は進んでいるという状況であります。それをなかなか安定的に保管をする場所ができていないという状況でございまして、そのことについては、本当にできる限り地元の御理解をいただけるようにということで、私どもは更に踏み込んで努力をする必要があると考えております。  今年の一月に福島環境再生事務所を開設をいたしまして、四月からは五つの支所を開設するなどいたしまして五百人体制で現地に入って除染や仮置場の設置に取り組んでおります。市町村の皆さんが大変な御努力をされていますので、その皆さんの思いにこたえることができるように努力をしてまいりたいと思っております。  もう一点御質問がありました、稲わらであるとか堆肥などの問題でございますが、こちらはまたより深刻に受け止めております。現在は農家の皆さんにできるだけ安全に保管をしていただけるように農水省と協力をしながらやっておりますが、これもあくまで応急措置でございますので、これをしっかりと仮設の焼却施設を設置をするなどして焼却をする必要がございまして、その様々な御理解をいただけるように自治体の皆さんと協議をしているという状況でございます。  既存の産廃施設につきましても、これも活用ができるというふうに思っておりますので、国の職員が参りまして関係自治体であるとか産廃業者などに受入れを何とかしていただけないだろうかということで協力を要請をしているところであります。この農業関係の廃棄物というのが一番深刻でございますので、危機意識を持ちながら何とか地元で処理ができるようにということで今取り組んでいる、そんな状況でございます。
  402. 郡司彰

    国務大臣(郡司彰君) お答えをしたいと思います。  今、細野大臣からありましたように、主に環境省の仕事として行っている、その中で農林水産省の役割でございますけれども、まず、農地あるいは森林等の除染についての技術の開発でありますとか、あるいは実証実験などを行いまして、その成果をまず公表することをしております。  それから、廃棄物の処理でございますけれども、これは減容化ということの技術が大変必要になってくる、このことについても取り組んでおりまして、その一時保管用の施設でございますけれども、これは既設のものございます、それから仮設のものもございますけれども、いずれにしても、焼却等について環境省と連携をしながらやっていくということを取り組んでおります。  それから、その仮設の置場でございますけれども、これにつきましてはできるだけ国有林等の活用を図るということが好ましいのではないか。今それぞれ、県あるいは市町村の計画ももちろんでございますけれども、私ども、国有林について、それぞれの地域の必要な面積について、今相談をしながら使えるようにしたいなということで取り組んでいるところでもございます。  そしてまた、そのために、先ほど言いました再生事務所、環境省の方でつくっておりますけれども、現役の職員それから林野庁のOB、これはもう四十名ほど行っておりますけれども、そちらの方に人を派遣をして、この事業が円滑に進むようにということで連携を取らせていただいております。
  403. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 本当に畜産農家の方々、大変困っておりますので、農水大臣環境大臣、力を合わせて進めていただきたいと思います。  先日の国会事故調の報告書でも、除染を行っている地域において最も大きな課題の一つとして挙げられるのが汚染土壌の仮置場であると、そのように指摘をされておりますので、これからも地域住民とのコミュニケーションをしっかり取って推進を図っていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  404. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で渡辺孝男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  405. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 次に、森ゆうこ君の質疑を行います。森ゆうこ君。
  406. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 明日、新党を立ち上げます国民の生活が第一の森ゆうこでございます。  まず、総理にお聞きいたします。  二〇〇九年、政権交代で民主党が掲げたマニフェスト、その根幹は何でしょうか。
  407. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 理念としては、国民の生活が第一であります。その根幹は、それぞれのいろいろ解釈があるかもしれませんけれども、少なくとも申し上げていいことは、社会保障の分野については我々は力を入れてきたし、その部分についてはマニフェスト、事実、実現できたものも多いと思います。それから地域主権の確立というのも大きな柱でございますが、地方交付税、連続して増額するなど、あるいは一括交付金を創設するなど、この分野におけるマニフェストの実現も多かったと思っております。
  408. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 根幹について、その程度の認識だったというのは大変残念です。  我々が国民皆様に約束したのは、この国の仕組みを根本から変える、今までの自民党政権ではない新しい民主党政権で、ありとあらゆる仕組みを根本から変えて税金の無駄遣いを徹底的になくし、そして国民の生活が第一の政治を実現をする、それこそ命懸けでやらなければ、既得権益、それを排除することはできない、そういうお約束だったというふうに思います。  皆さん、資料をお配りしました。総理、ここに書いてあるのは、総理がその政権交代選挙のときに街頭で度々このような演説をされていた有名なシロアリ演説です。どうぞ、これを読み上げてください。
  409. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 簡潔にお願いします。
  410. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) これ全部読み上げるのも時間が掛かると思いますので、しっかりとシロアリを退治をして、そして無駄遣いをなくしていくということをお話をさせていただいております。
  411. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 綸言汗のごとしと申します。この国の民主主義、憲法前文を持ち出すまでもなく、選挙によって我々が国民の代表として選ばれる、そのときに、国民皆様とお約束をしたその根幹の部分は守らなければなりません。  公党との約束も大切でしょう。しかし、その前に国民との約束が大切なのではないですか。いかがですか。
  412. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 国民皆様にお約束したことは誠実に守っていくということは基本的に大事なことだと思いますし、我々の任期中、マニフェストでお約束したことは全力で実現できるように努力をしていきたいと思います。  この無駄遣いの削減についても、これは、例えば今は新しい児童手当という形になりましたが、子ども手当の問題でも、あるいは高校授業料無償化でも、マニフェストの主要事項についてはしっかり財源確保をしながらやってまいりました。それは、鳩山政権のころからそれぞれの政務三役が全力を挙げてやってきたことだというふうに思いますし、これからもその取組は強化をしていきたいと思います。  ワンショットのお金も、平成二十二年度は税外収入で過去最大の十・六兆円獲得したりしました。そういう努力はみんなでやってまいりました。これからも行政改革、いわゆる特別会計改革や独立行政法人改革等のメニューがあります。そういうものをしっかりやり抜いていきたいと考えております。
  413. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 代表選挙のときにも消費税のことは一度もおっしゃっておりません。書いてあることは命懸けで実行する、書いてないことはやらないんです、それがルールです、そうおっしゃいました。代表選挙のときにも何も言わなかったのをなぜ無理やりやろうとするんですか。
  414. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 代表選挙のときに何も言わないということはございません。各種の世論調査テレビ討論等々、あるいはメディア主催の討論会等では明確にお話をさせていただいております。代表選挙の投票直前の選挙の部分の挨拶では申し上げておりませんが、トータルでは、あのころの争点化で誰がどういうことを言ったのくくりでは明確に表れていると思いますし、その前の文芸春秋の「わが政権構想」にも書いてございますので、御指摘は当たらないと思います。  マニフェストに書いてあることはしっかりやり遂げなければいけません。その姿勢はこれからも堅持をしていきたいと思います。ねじれ国会の中で野党皆様にも御協力をいただきながら賛同をしていくということの中で実現をしていきたいというふうに思いますし、マニフェストに書いていないことでも国民のためにやらなければならないことが出てくることもあります。そのこともしっかりと御説明をして、御理解を得ていきたいというふうに思います。
  415. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 この問題については、今後、社保の特別委員会等で更に議論してまいります。  野田政権発足以来、諸外国及び国際機関に対して約束した資金提供の総額は幾らですか、外務省
  416. 越川和彦

    政府参考人(越川和彦君) お答え申し上げます。  野田政権発足以降、我が国が表明いたしました公的資金を含む支援としましては、外務省所掌のものといたしましては、アフガニスタン、太平洋島嶼国、ミャンマーを含むメコン地域諸国、インド、ASEANといいます途上国・地域を対象としたもの、あるいは世界防災閣僚会議、あるいはリオ・プラス20といいまして、国際会議における防災・気候変動分野における支援といったものがございます。  これらの国際公約は相互に重なる部分がございます。かつ、公的資金のみならず民間資金も含まれており、公的資金の拠出額が現時点では未定のものもございます。公的資金による総額を算出することは極めて難しゅうございますが、このような前提の下で当省所掌のODAに限定しまして合計額を算出しますと、大まかな数字でございますが約二百三十四億ドル、一兆九千億程度となります。  以上でございます。
  417. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 資料には私の方でまとめさせていただいたものをお付けしております。  外務省、そこには何て書いてありますか、合計額。
  418. 越川和彦

    政府参考人(越川和彦君) 配付いただきました資料では、合計十四兆三千三百三十三億円と記載してございます。
  419. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 桁が違うと思いますけれども、なぜきちんとした数字国民の前に示さないのですか。
  420. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今のお話はODAに限定して申し上げた、また十四兆という数字は、これはいわゆる融資枠の設定で、実際に財政負担が生じるというものではございません。なお、ODAも、一・九兆という先ほどお話がありましたが、恐らく約一・五兆弱くらいはこれは円借ですから中長期的には戻ってくると、そういうことになります。
  421. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私はペーパーで質問通告しております。野田政権発足以来、諸外国及び国際機関に対して約束した資金提供の総額いかん、そのとおりなんですけれども、きちんと答弁してください。
  422. 越川和彦

    政府参考人(越川和彦君) この表にありますものでIMFに対する増資ですと、この辺は外務省の所掌ではございませんので、私の方からは控えさせていただきます。
  423. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そういうやり取りは昨日もやりました。じゃ、どこが答えるんですか。
  424. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) IMFについては、融資枠でございますので……(発言する者あり)あっ、指名受けました、融資枠でございますので、これは拠出という言い方もありますけれども、あくまで出資のできる枠というふうな位置付けでございます。
  425. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、だから、国際機関に対して約束した資金提供の総額と言っているんですよ。勝手に自分たちで理屈を付けないでください。  じゃ、総理、お答えください。総額幾らですか。外務省外務省財務省は財務省と言って総額をお答えいただかないので、御自分がお約束をした、野田内閣として資金提供をお約束した総額は幾らですか。私の資料を見ていただければ答えられると思いますよ。
  426. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) これも委員の資料で全部、いわゆる資金協力の枠、融資枠も含めて全部合わせるならば、ここに書いてある数字の十四兆三千三百三十三億円ということなんだと思います。
  427. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 最初からそうお答えいただければいいんですよ。いかにも今すぐ財政破綻するかのようなデマを財務省が飛ばしていますけれども、こうやって資金提供、それはファイナンスする力は日本にはあるわけです。この点については次の委員会で更に詰めたいと思います。  そして、原発再稼働、大飯原発再稼働についてお聞きをいたします。  重大事故が起きた場合に、現場での事故対応はどこで行いますか。
  428. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 万が一の事故に至らないよう、判断基準に照らして確認をしているところでありますが、万が一シビアアクシデントが発生した場合は、換気空調系を有し、通信機器も配備された発電所内の緊急時指揮所において緊急時対応を行うこととしております。
  429. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そこで本当に可能なんですか。
  430. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) この緊急時指揮所の周辺には、同じように換気空調系を有し、つまり外から放射性物質が入ってこない、そしてこの建物自体は免震構造でございます、こうした部屋が緊急時指揮所の周辺にもございまして、必要な人員がしっかりとそこで対応できるということについては確認をしております。
  431. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 柏崎刈羽の中越沖地震の教訓を経て、福島第一原発には免震重要棟が設置された。そして、それがなければ事故の対応はほとんどできなかった。もっと悲惨なことになっていたわけです。  免震重要棟がありません。今の御答弁も曖昧です。私は、先ほどもう質問ありましたので繰り返しませんけれども、大飯原発再稼働、再考するべきだと考えますが、総理の御答弁を求めます。
  432. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 大飯原発三、四号機については、安全性とそして必要性、それらを総合判断をして、判断基準に照らして適合するということになりまして稼働をさせることとなりました。そのことについては立地自治体の御理解もいただいているところでございますので、再考するという気持ちはございません。
  433. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 避難計画もないということが午前中の質問でも分かっております。住民の安全を全然考えていない、福島の教訓が生かされていない。そして、毎週繰り返されております官邸前のデモ、これに全く耳を傾けていないのではないかと思います。  私は直ちにやめるべきであるというふうに思いますが、野田政権というのは国民の基本的人権を守るということについて非常に無頓着なのではないかというふうに思います。  検察審査会の問題についてお聞きをいたします。  法務省、検察審査会法第四十一条の六第二項には何と書いてありますか。
  434. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) 御指摘の検察審査会法第四十一条の六第二項には、「検察審査会は、起訴議決をするときは、あらかじめ、検察官に対し、検察審査会議出席して意見を述べる機会を与えなければならない。」と定められております。
  435. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それはどういう意味ですか。
  436. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) 当該条項の趣旨でございますが、起訴議決が、それに基づいて公訴提起がなされるという重大な法的効果を持つものであり、被疑者の立場に与える影響が非常に大きいことから、慎重かつ適正な判断を担保するために、その前提として、各検察審査員において審査の対象である不起訴処分の理由を十分に把握した上で判断をすることを確保するというものであると承知しております。
  437. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 事前に説明していなければ起訴議決は無効ということですか。
  438. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) お尋ねは、検察審査会議に検察官の出頭を求めなければその当該起訴議決が無効になるかという御趣旨だろうと思いますが、明らかに当該条項に違反することになるということまでは間違いないと思いますが、その場合に当該起訴議決が無効になるか否かにつきましては、最終的には裁判所において判断されるべき事柄でございますので、私どもとしてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  439. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その答弁自体おかしいというふうに思いますが、法務省が私に対して、担当検察官が出席していてという、その記録がないと言っていましたけれども、ここに情報開示請求されたものがございます。  この出張記録とは何ですか。
  440. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) 本日配付された資料は、東京地方検察庁が作っている出張管理簿の写しであろうというふうに思います。
  441. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 徒歩の出張記録はないというふうにペーパーで回答をしていましたけれども、あるじゃないですか。なぜうそをつくんですか。
  442. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) その際にも御説明を申し上げておりますように、東京地検に所属する職員が東京地裁内の検察審査会に業務で出向いた場合というのは、両庁舎間の距離が近距離であり、旅費の支給対象ともならない場合であり、出張扱いとはしておらず、出張したことの記録を作成しない取扱いとなっているというふうに回答をしたものというふうに承知しております。
  443. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 出張記録の下の注意書きを読んでください。
  444. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) 注の一だろうと思いますが、本書は交通費を要しない在勤地内、旅費請求によらない在勤地内及び路程百キロメートル未満の出張について、出張日ごとに作成の上、速やかに総務課に提出するというふうに記載されております。
  445. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 敷地内でも書くことになっているじゃないですか。なぜうそをついたんですか。
  446. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) これは東京地検が定めているものでございまして、私どもの理解といたしましては、先ほども申し上げましたように、近接するような場所で旅費の支給対象とならない場合については出張扱いとしていないということから、出張管理簿にも記載をしていないという取扱いをしているというふうに承知しております。
  447. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 東京地方裁判所、徒歩、記録があるじゃないですか。なぜここまで資料を出しているのにいまだにうそをつくんですか。おかしいじゃないですか。
  448. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、東京地検と東京地裁は極めて近接しているということは御承知のとおりだと思いますし、現実に毎日、平日には相当多数の検察官らが公判立会などのために東京地裁に赴いておりますが、これらにつきましても通常出張扱いとはせず、出張管理簿にも記載していないというふうに考えております。  ちなみに、今お示しのものは、東京地裁にも行っておりますけれども、あわせて葛飾区小菅にあります東京拘置所に官用車で出向いているということもあり、そのような記載になっているのではないかと思っておりますが、個別の案件については承知はいたしておりません。
  449. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 全く理解できません。ここまで証拠を示しているのに、いまだにうそをつく。検察審査会法起訴議決、これは、第四十一条の六第二項には、起訴議決の前に担当検察官が出頭して説明しなければなりません。  ですから、起訴議決は無効であると申し上げ、そしてこの件に関しての集中審議委員長に求めて、私の質問を終わります。
  450. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 後刻理事会で協議いたします。  以上で森ゆうこ君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  451. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 次に、水野賢一君の質疑を行います。水野賢一君。
  452. 水野賢一

    水野賢一君 みんなの党の水野賢一です。  原子力政策についてお伺いをいたします。  日本原子力政策の根本的な方針を定める原子力政策大綱というのがありますけれども、現在の大綱は七年前に策定をされていますが、今これを改定する動きになっていますよね。新しい大綱はいつごろ策定される予定ですか。
  453. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 先月、エネルギー・環境会議がエネルギー・環境に関する選択肢というのを提示をしております。その中で、八月にはエネルギー・環境戦略、これを策定をする、速やかにその後エネルギー基本計画を定めるという、そういう方針が示されております。  したがいまして、その方針がエネルギー全般でございますので、エネルギー政策大綱ということになりますと、バックエンドなども含めて幅広く検討する必要がございます。したがいまして、年内に大綱をまとめるというのがおおよそのスケジュールとなっております。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕
  454. 水野賢一

    水野賢一君 この大綱を策定するのは内閣府の原子力委員会ですけれども、この原子力委員会というのは何名で構成されているんでしょうか。
  455. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 先ほど、済みません、エネルギー政策大綱と申し上げてしまいました。原子力政策大綱でございます。失礼いたしました。  五名でございます。
  456. 水野賢一

    水野賢一君 細野大臣、この極めて重要な原子力委員会、大綱を策定する原子力委員会の五名の委員のうちに、ごく最近まで、具体的に言うと今年の三月まで東京電力から顧問料という名目で東電マネーを受けていた人がいるという、この事実は御存じですか。
  457. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 他の委員会での水野委員の指摘を受けて知りました。
  458. 水野賢一

    水野賢一君 具体的に誰ですか。
  459. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 尾本委員が受け取っていたという御指摘をいただいて、それが事実であるということであります。
  460. 水野賢一

    水野賢一君 今、電力会社との癒着とかがこれだけ問題になっている中、東電マネーを今年の三月、つまり震災以降一年間も平然と受け取っていた人がこの我が国の五人しかいない原子力政策を決めるトップの委員にいるということ、大臣、これ望ましいことだと思いますか。
  461. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 水野委員が再三、各委員会でそのことを御指摘をされていますので、その水野委員の御認識、御見解というものについては私もこれは理解ができると、そんな思いでございます。  しかし、その一方で、原子力委員というのは、これはいわゆる七条委員会国会の同意人事という形になっておりまして、今御指摘の尾本委員も、その原子力委員国会での承認の際の資料の中で、現職として東京電力の会社の顧問という形で国会にもお示しをしておるわけです。その際に、給料を受けていたかどうか、所得があったかどうかというところは恐らく定かでなかったんだというふうに思うんですが、尾本委員は非常勤でありますので、非常勤ということは何らかの仕事を持っているということになるわけでございますので、そういった意味では、その時点で推察をされる形で資料としては出していたということであります。  したがって、これからの様々な七条委員会、これは、新しい規制委員会などの人事においては様々、あっ、八条委員会ですね、失礼しました。八条委員会原子力委員会の同意人事でそういうことがあったということであります。失礼しました。これからの委員の人選においては、単なるこれはお示しをするということではなくて、欠格条項も含めてきちっと明らかにした上で、元々提出をする際により条件を厳しくするべきではないかという、そういう議論が私は当然あってしかるべきだと思いますし、これからの組織ではそういう形を是非取りたいと考えているところでございます。
  462. 水野賢一

    水野賢一君 今の大臣の発言聞いていると、まあちょっと問題あるかもしれないけれども、既に承認されてしまっているものだからいかんともし難いというようなトーンにも取れるんですがね、今後はしっかりやりますというようなトーンに取れるんだけれども、これ、大臣、望ましいと思う状況なのか。そういう人たちがこの大綱という重要なものを決定するのに参画するのに望ましいと思うのか、望ましくないと思うのか、改めて御見解を聞きたいと思います。
  463. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) いろいろ厳しい御意見があるのは理解をいたします。  しかし、その一方で、国会の同意人事で選定をされた委員であり、そして、この委員の罷免ということに関しましては、これは行政上、例えば明確な職務違反であるとか、さらには委員たるに適しない非行があると認められる場合、これは犯罪などを行った場合というようなことが該当いたします、そういったものは存在をしないということでございますので、そこは政府として取り得る判断には、措置には一定の限界があるということでございます。(発言する者あり)
  464. 川上義博

    ○理事(川上義博君) 細野担当大臣
  465. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) これは、私も幾つかの内閣府の担当大臣として委員会も所掌しておりますけれども、担当大臣といえ、これは踏み込めることと踏み込めないこと、むしろ担当大臣だからこそ踏み込みにくいというところがあるということを御理解をいただきたいと思います。それぐらい国会同意人事というのは重いわけであります。  したがって、望ましいとか望ましくないとかいうことを担当大臣であるがゆえに私自身が逆に踏み込んで言えないという事情を是非御理解をいただきたいと思います。
  466. 水野賢一

    水野賢一君 それじゃ、この原発事故から一年間も平然と東電マネーを受け取っていた原子力委員の尾本さん、今日来ていただいていますけれども、あなた、毎月幾らもらっていたんですか。
  467. 尾本彰

    政府参考人(尾本彰君) 私契約にかかわることですので、それについて言及するのを避けたいと思います。
  468. 水野賢一

    水野賢一君 ばかなことを言いなさんなよ。東京電力も、そんなところにまく金があるぐらいだったら、賠償の足しにしたり、電気料金の値上げを抑制したりすべきだと思いますけれども。尾本さんね、あなたがこれまでに言っていることは、金はもらったことは認めているんですよ。しかし、幾らなのかということは言わない、そして金は返さない、原子力委員は辞めない。こんな態度が通用すると思っているのかね、あなた。  改めて聞きます。返金はしないんですか。
  469. 尾本彰

    政府参考人(尾本彰君) 額については、先ほど言いましたとおり、申し上げません。それから、返金のつもりもございません。  それから、私は、国会の同意がありまして、内閣総理大臣からの任命を受けて任務を全うすべきところ、個人の考えで辞任を申し上げるべきものとは考えておりません。私自身は、東電からの請託に基づいて原子力委員会での活動を通じて利益の相反に関するようなことを行った記憶はありませんので、今後も委員を全うしてまいりたいというふうに思っております。
  470. 水野賢一

    水野賢一君 あなたね、この恥知らずな答弁、今言いましたけれども、じゃ、改めて聞きます。原子力委員辞任すべきだというふうに私は思いますけれども、あなたは辞任するつもりないんですか。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕
  471. 尾本彰

    政府参考人(尾本彰君) 私が原子力委員として任命された責任は、私の原子力に関する専門的な知識及び国際機関における経験を基にして貢献することが期待されているというふうに理解しております。したがって、それを継続してまいりたい、継続して任務を全うしてまいりたいと思っております。
  472. 水野賢一

    水野賢一君 原子力事故の後も、以前ならばいざ知らず、事故の後も東電マネーをもらいながら同時に原子力委員を務めていて、あなた、良心の呵責を感じないの。
  473. 尾本彰

    政府参考人(尾本彰君) 確かに原子力委員として事故後約一年ほど顧問、顧問と申しましても実際には嘱託、対外呼称、顧問という格好ですが、の立場にありました。しかしながら、おっしゃるように、東京電力からお金をもらい続けるということについてじくじたる気持ちもありましたところ、三月の末に、遅きというふうに御指摘もあるかもしれませんが、辞めたところでございます。
  474. 水野賢一

    水野賢一君 じくじたる思いがあるなら返金しなさいよ。  総理、これが原子力村の実態ですよ、この恥知らずな。これ総理、辞めないというふうに尾本さん言っていますけれども、総理は罷免できるんですよ。罷免ができるのは総理大臣だけです。原子力委員会設置法第七条で罷免をするつもりはありませんか。
  475. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) この原子力委員会設置法第七条は、職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合ということでございますので、これで直ちに罷免できるというふうには解釈できないのではないかと思います。
  476. 水野賢一

    水野賢一君 その法律解釈自体がおかしいと思いますけれども、民主党政権、これまで法律に基づかないこともいろいろやっているんです。じゃ、法律でそこで読めなくても、辞めるように勧告したり要請したりすることはできませんか。  総理ですよ、総理総理に聞いているんですよ、総理
  477. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) あくまで法の趣旨に照らしながらの判断をすることが妥当だと思います。
  478. 水野賢一

    水野賢一君 全く腰が引けていると思いますが、細野大臣大臣原子力委員会の事務局に電力会社とかプラントメーカーの人が出向が多過ぎるって問題視していますよね。これ、どのぐらいいるんですか。
  479. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 電力会社から出向している者が四名おりましたので、六月末をもって帰ってもらうことにいたしました。
  480. 水野賢一

    水野賢一君 これ、大臣は問題視して帰ってもらうことにしたんでしょうけれども、何で、どこが問題なんでしょうか。
  481. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 原子力委員会では、核燃サイクルについて方向性を出さなければならない、それが大きな役割でございます。この核燃サイクルというのは、日本原燃を始め民間の企業でやっております。日本原燃は電力会社の子会社でございまして、そういったところから情報を取らないとこの核燃サイクルについて方向性を出すことが難しいと。例えば、コストが幾ら掛かるのかとか、実際に技術的にどうなのかということも含めて、そういう宿命的な問題があるわけです。ですから、情報は取らなければならないけれども、その意向が反映をされた形でつくることがあってはならない。  そのけじめを付けるという意味では、事務局にこうした形で電力会社の人間がいることは、これは国民から疑念を持たれかねないと考えましたので帰ってもらったということでございます。
  482. 水野賢一

    水野賢一君 いや、まさにそうですよ。事務局にいても国民から疑念を持たれる。事務局でもそうなのに、トップの委員の五人の中にいるんですよ。これ、一人は明らかに判明しましたが、そうすると、残りの四人の委員も電力会社から資金提供を受けているかどうかとかということはちゃんと調べましたか。
  483. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 確認をいたしまして、ほかの委員についてはそういうことはないということでございます。
  484. 水野賢一

    水野賢一君 総理、今問題になっているのは、直接例えばお金をもらっていなくても、学者だったら研究室に寄附を受けているとか、若しくは教え子たちが就職とかで電力会社が面倒を見るとか、そういうようなことが今問題になっているときに、直接お金を、東電マネーを受け取っている人が原子力委員にいるなんということはとても理解できない。しかも、これ、顧問という形になっていますけれども、雇用関係があったことも分かっているんですよ。民主党政権になってからの人選ですよ、この人の人選。  総理、改めて聞きます。罷免すべきじゃないですか。
  485. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 例えば、原子力規制委員会委員を選ぶに当たっては、あらかじめいろんな基準といいますか方針を定めて、その上で人選しようとしております。  そういう流れの中で、委員の問題意識ということは私も気持ちとしてはよく分かるんです。ただ一方で、いわゆる法律の趣旨、国会同意人事の意義等々を踏まえて、その趣旨に沿った対応をしなければいけないのではないかという思いを私は持っております。
  486. 水野賢一

    水野賢一君 理解に苦しみますけれども、枝野大臣伺います。  東京電力は、昨年の三月十一日以降、顧問に対しては一月平均九十万円、総額一億五千六百万円だと、そのお金を払ったと公表していますが、個々人については詳しく発表していませんよね。これ、情報開示すべきじゃないですか。
  487. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まず、一般原則としては、個々人の労働の対価として支払われる顧問料等の内訳は個人情報に属し、一義的には公開することは妥当でないと思っておりますが、受取人の職務、立場等を踏まえ、個々に公開の可否が判断されるべきであり、御指摘のような原子力委員会委員の職にある者に対する顧問料については、疑念を持たれないよう積極的な説明責任が求められるものであると考えております。  引き続き、東京電力に対してはこの情報公開を求めてまいりたいと思っております。
  488. 水野賢一

    水野賢一君 いや、この問題を何で聞くかというと、同じことが繰り返されるからなんですよね。今までの保安院とか安全委員会じゃ駄目だということで、今度、九月にも原子力規制委員会が発足するわけですが、この規制委員会も五名で構成されるんですけれども、任命のガイドラインというのが先週発表されましたよね。過去三年以内に電力会社などの役員だった人は駄目というガイドラインなんですが、細野さん、何でこれたった三年なんですか。
  489. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 発表いたしましたこのガイドラインというのは、衆議院の方でお作りをいただいた決議、それを参考にしつつ、それを更に厳しくするということでいたしました。衆議院の決議の中ではこれは公開をすべきだということであったわけですが、それを欠格条項にしたわけです。  それでは、なぜ三年なのかということでありますが、一つの参考として、線引きの基準として使いました、参考にいたしましたのは、国家公務員の倫理規程におきまして、利害関係者との関係がなくなる期間を異動の日から三年間と規定をしていると、これを参考にいたしました。  もちろん、これを五年にするとか十年にするとか、そういう考え方もいろいろあり得るというふうに思うんですが、この原子力の世界にはどうしても専門家がいろんなところに行って経験を積むという面がございます。したがって、一律に定めるガイドラインとして、そこを五年、十年にするというよりは、あとは個別に、三年以内にそういったことがあった場合はそもそも出さないわけでありますけれども、ならないわけでありますが、個別にそれぞれの方がそれに適しているかという判断をしていただいた方がいい人材が集まるのではないかというふうに考えたからであります。
  490. 水野賢一

    水野賢一君 公務員の倫理規程の話を言いましたけれども、一般の公務員の話と一緒にしてどうするんですか。事は原子力の安全の話ですよ。  じゃ、四年前まで東電の役員だった人は原子力規制委員になれるんですか。
  491. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) そういったような人選は特に考えておりません。特にこの人選というのは極めて重要でありまして、電力会社との関係をしっかりと断ち切って、規制、安全の観点から専ら判断できる人材を選ばなければなりませんので、そういった意味で考えているということではございません。  ガイドラインにはそのほかにも厳しい規定がございまして、一定以上の報酬を何らかの形で得ていたとか、講演の謝礼などについても規制をしていますので、そこも含めてトータルにしっかりと断ち切るということは極めて重要であると考えております。
  492. 水野賢一

    水野賢一君 いや、大臣が考えているかどうかじゃなくて、四年前まで役員だった人はなれるんですかと、このガイドライン上、それを聞いているんです。
  493. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) ガイドライン上はその条件として出すことは可能であります。ただ、何度も申し上げますが、国会の方の決議でいただいていたのは公開なんですね。それをあえて欠格条項までしたんです。ですから、私どもは国会の意思も受けて、それを更に深掘りする形でガイドラインをお作りをしたということを是非ここは御理解をいただきたいと思います。
  494. 水野賢一

    水野賢一君 これ、全く理解できませんよ。なぜならば、国会答弁と違うんですよ。法律は、今現在電力会社の役員の人は規制委員になれないと書いてあるんですね、まあ当たり前なんだけれども。  これは法律制定するときの国会答弁、具体的には六月十九日の環境委員会ですよ。法案提出者は、現在だけじゃなくて過去も準じると言っているんじゃないですか。過去も準じると言っていて、四年前の人は何で委員になれるんですか。違うでしょう、あれと、答弁と。
  495. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) こうした提出者の皆さんの意思というのは当然できる限り尊重すべきだというふうに思っております。  ただ、その一方で、例えば条文に書かれている欠格条項の考え方であるとか、さらには決議というのは、これは議会の重い意思でございますから、そこで書かれていることであるとか、それをできるだけ厳格に更に適用していくということが、これが行政側としては立法府の意思を受け継いだ判断ということになるということでございます。
  496. 水野賢一

    水野賢一君 全然駄目ですよ。法案審議するときだけ適当にもっともらしいことを答弁しておいて、成立したらその答弁を無視するというのはどういうことですか。今の答弁は全く納得できないです。これじゃ審議続けられませんよ。
  497. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) ここは過去も準じるというふうに答弁をされているわけですね。この前の質問がどういう質問だったのかというのをちょっと私ももう一度確認をいたしますが、国会の中では決議といたしまして、三年間そういう職にあった場合は公開をするとなっているんです。ですから、そういう様々な議論の中でこういう答弁をされていますので、三年間はガイドラインでこれは委員にはなれないと、そして、その前に何らかの関係があった場合も当然そういった情報というのは皆さんの知るところになるわけですから、そういうところで、疑いを持たれるような人は提出をしないし、そして、提出をされた場合は国会で選ばれるということはないでしょうから、そういったことでこの趣旨は全うできるというふうに考えます。
  498. 水野賢一

    水野賢一君 いや、たった三週間前の答弁を平然と覆すようなガイドラインを作って理解できるわけないじゃないですか。ガイドラインを直してくださいよ。
  499. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) そこは水野委員、お言葉なんですけれども、いろんなその委員のガイドラインがある中で、考え方がある中で、最も厳しいものを作っているんです。そして、あとは、ガイドラインそのものを御議論いただくのももちろん大事だと思いますけれども、あとは個別に委員を私どもとしては提案をいたしますので、そこを御承認をいただけるかどうかというところで議論をいただいた方が私は実質的な御判断ということがしていただけるのではないかというふうに思います。
  500. 水野賢一

    水野賢一君 いや、ガイドラインを、国会のときに言っていることと違うんだから、ガイドラインを直してくださいよ。
  501. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 細野環境大臣質問に的確にお答え願いたいと思います。(発言する者あり)
  502. 水野賢一

    水野賢一君 議員立法なんだから、その議員立法の提出者の答弁を尊重するのは当然でしょう。議員立法なんだから、その答弁を尊重してくださいよ、提案者の。閣法じゃないんですよ、これは。
  503. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 今、その質疑のページを入手をいたしました。七条で様々な欠格条項が書かれているわけですね。そこで、法律上は、例えば電力会社なんかの使用人その他の従業員ということが書かれてあります。近藤委員長代理のその答弁の趣旨というのは、こういったことをできるだけ過去についても準じて判断をするようにという御趣旨の答弁だというふうに今これを拝見をしまして感じております。  したがって、ガイドラインとしては、法律上の欠格条項に加えてこういった立法者の皆さんの意思も受けてガイドラインとして三年とすると。あとは、それぞれの委員について、電力会社との関係において疑いを持たれるような方は我々も提出するつもりはありませんし、そして国会としてもそれをお認めになることはないでしょう。それでこの立法者の趣旨、提出者のこの答弁というのを趣旨としてしっかりと受け止めてやることができるのではないかと考えます。
  504. 水野賢一

    水野賢一君 全く理解できませんけれども、これ総理伺いますが、国会の事故調査委員会が先週金曜日に報告書を提言しましたよね。ところが、その二週間前にこの原子力規制のための法案というのは成立しちゃったんですよね。成立したら、提言を受けたって、それを立法に生かすことができないじゃないですか、少なくとも直接的には。これ、国会が事故調査を十人の民間有識者の方々に依頼をして、そこから出てきた報告や提言を自分たちの立法に生かさないというのは、これはその方々に対しても失礼だし、そう思いませんか。
  505. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先般、原子力規制委員会設置法が成立をしたところでありますし、これは政府としてしっかり受け止めて、新たな規制組織と制度の速やかな整備を行いたいと思います。一方で、御指摘のように、立法府において設置された国会事故調査委員会が半年余りの調査検証を経て取りまとめた今般の報告書も重く受け止めなければいけないと思います。  その中で、原子力規制委員会設置法の附則で、法律の施行後三年以内に、法律の施行状況国会事故調報告書の内容、最新の国際的な基準等を踏まえ、原子力規制組織について必要な見直しを行う旨規定をされておりますので、この条文の趣旨を踏まえた対応をしたいと思います。
  506. 水野賢一

    水野賢一君 今、総理も重く受け止めてと言いましたけれども、これ細野さんに聞きますが、ノーリターンルール、これ、ノーリターンルールってどういうものか説明してください。
  507. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 新しい組織をつくる場合に、当初は新卒で全て職員を全うすることはできませんので様々な省庁から人を出してもらわなければなりません。ノーリターンルールというのは、様々な省庁から来た場合に、もう帰らずにそこでしっかりと仕事を全うするという、そういう考え方だと承知しています。
  508. 水野賢一

    水野賢一君 そのルールはなぜ必要なんでしょうか。
  509. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 特にこの原子力規制におきましては、推進サイドから明確に独立をする形で規制をやるということが重要になります。したがいまして、これまで原子力を推進をしてきた資源エネルギー庁、経済産業省であるとか、さらには文部科学省であるとか、そういったところからの人材についてしっかりとノーリターンルールを適用していくということが重要になると考えております。
  510. 水野賢一

    水野賢一君 そうですよね。だから、独立性のために必要で、ところが法案では五年間猶予措置があるんですね。これ、国会事故調の報告書では当初より例外なくやれというふうに言っていますね。国会事故調の報告の方が当然のことだと思いますけれども、大臣、そう思いませんか。
  511. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 国会事故調というのは、歴史的にも非常に、国会調査をやるということ、国会調査をやるということですから、重い存在であるし、そこから出てきている提言というのは我々はしっかり受け止めなければならないというふうに思っております。したがいまして、ノーリターンルールについてもより厳しく求める、そういう提案がなされておりますので、そこはしっかりとその趣旨を受け止めてやっていきたいと思っております。  例外があり得るとすれば、基本的には例外がないようにしていきたいというふうに思いますけれども、例外があり得るとすれば、やはり実際に、原子力の専門家以外で組織をマネジメントするために組織管理などを担当する職員も、これも連れてこなければならないわけです。いわゆる事務系の人間ですね。そこも含めて、例えば、ある人間が例えば経済政策全般とかエネルギー政策とか中小企業政策をやりたいと思って経済産業省に入ったと。たまたまそのときにそちらに異動したからもう帰れないというのは、これはちょっと人生の選択肢で余りに酷な面があるのではないかというふうにも思うわけです。  ですから、そういう個別の事情を勘案をして、できるだけ例外はなくしていくべきだというふうに思いますけれども、そこは若干の幅を持って対応していく必要もやはりこれはどうしてもあるのではないかと、そのように考えております。
  512. 水野賢一

    水野賢一君 そうした例外から骨抜き化されていくということを指摘したいと思いますが、これ、国会事故調の報告書は、その特徴は原発事故の地震原因説を否定できないというふうにしたことですよね。これ、安全基準の前提が、総理、変わる話ですよ。  再稼働の安全基準、この地震原因説を打ち出した以上、少なくとも否定していない以上、これを、判断基準見直すべきじゃないですか。
  513. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) いつも、これまで申し上げてきておりますとおり、これまでの様々な検証を踏まえて、地震や地震直後において微少な漏えいが生じているような損傷が生じたかまでは現時点で確定的なことは言えませんが、安全機能を保持できる状態にあったものと推定をしているところでございます。  もっとも、これで絶対ということは安全についてありませんので、今回の事故調の御提言というものも、特にこれ技術的、専門的なものでございますので、その報告書に記載されている内容の趣旨等を技術的、専門的にしっかりと分析をし、取り入れるべきものがあれば取り入れてまいりたいと思っております。
  514. 水野賢一

    水野賢一君 総理はこの再稼働の反対デモに対して大きい音と表現したそうですね。私は何もデモの人たちの言うことだけが国民の声だと言うつもりはありませんが、しかし、これを音と呼ぶ感覚がなじめないんですが、これはどういう意味なんでしょうか。
  515. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 昨年の三月に発生して、まさに国民皆様には記憶に新しく、この問題については大変多くの皆様が関心を持ち、複雑な感情を持っています。そのことを踏まえて、私どもに様々な多くの声、多様な声が寄せられております。  音という表現は、私、どこでどういう形で表現したかちょっと分からないんですけれども、そういう国民の声をしっかり受け止めなければいけないというふうに考えております。
  516. 水野賢一

    水野賢一君 原発というのは、再稼働すれば、稼働すれば、安全に運転したとしても必ず高レベルの放射性廃棄物が出るんですよね。この処分の、最後は地面に埋めるんだけど、この地層処分のめどというか場所は今決まっていますか。
  517. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 最終的な最終処分建設予定地については現時点では決まっておりません。
  518. 水野賢一

    水野賢一君 いや、まだ決まっていない、つまり処分のめどは立っていないんですよ。総理は消費税議論では次世代にツケを回さないというふうによくおっしゃるけれども、この再稼働に関しては、必ず放射性廃棄物は安全に操業していたって生まれるんですよ。こちらの方のツケは後世に残してよいというふうに総理は考えるんですか。私は非常に大きい矛盾だというふうに思いますけれども。  このことを最後の質問として、私の質問を終わります。
  519. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 稼働をさせているかしないか、していないかも含めて原発の安全性は確保していかなければいけないと思いますし、そのことによって将来の世代に負荷が残らないようにするというのは我々の責任だと思っております。
  520. 水野賢一

    水野賢一君 終わります。
  521. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で水野賢一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  522. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 次に、井上哲士君の質疑を行います。井上哲士君。
  523. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党井上哲士です。  空前の規模になった官邸前での毎週金曜日の原発再稼働反対のデモについて、今総理は受け止めなければならないと答えられました。しかし、問題はどうこたえるかなんですね。総理、どうこたえるんですか、あの声に。
  524. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 官邸周辺におけるデモをされている皆様の声もあります。そのほか様々な多様な声を私どもいただいております。  そういう国民の声も踏まえながら、再稼働の問題についてはもう一定の判断をさせていただきましたけれども、これから、いわゆるエネ環において三つの選択肢、二〇三〇年までに原発の依存度をどれぐらいにするかという議論、そういうものを含めて国民的な議論というものを注視をしていきたいと思いますし、むしろ喚起をしながら方向性を導き出していきたいと考えております。
  525. 井上哲士

    井上哲士君 官邸前の再稼働をやめろという声にはこたえるという言葉はありませんでした。  総理は、福島原発事故について地震による損傷はなかったという立場で大飯の原発の再稼働を進めてこられました。ところが、国会の事故調は、具体的例を列挙して、福島で安全上重要な機器の地震による損傷がないとは確定的には言えないと、こう書いたわけですね。そうすると、まさに再稼働の根拠が崩れたんじゃないですか。総理
  526. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 先ほどもお答えをしましたが、地震による損傷がないという認識をしているものではありません。安全上重要な主要な設備について、地震及び地震直後において微少な漏えいが生じるような損傷が主要な設備に生じたかについてまでは現時点で確かなことは言えないが、安全機能を保持できる状態にあったものと推定をしているというのが政府のこれまでの見解でございますが、先ほども申しましたとおり、安全にこれで絶対という上限はありません。  今回、事故調査委員会から提言がなされております。これは技術的なことでございますので、政治家が一義的にまずどうこう判断するよりも、今回の提言を専門的にどういう具体的な提起をされているのか調査分析をさせていただき、必要があればしっかりと取り入れてまいりたいと考えております。
  527. 井上哲士

    井上哲士君 そういう津波主因論自身をこの報告書は批判しているんです。そして、なぜそういう声が出るのかと。東電に既設炉への、他の原発への影響を最小化しようという考えがあるように見えると、こう指摘しているんですね。こういう立場政府も立っているから地震対策が非常にいいかげんになっていると思うんですね。  三・一一を受けて、大飯原発で予想される最大の地震の揺れ、基準地震動というのは見直したんでしょうか。
  528. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 大飯原発についての設置当初の基準地震動は四百五ガルでございました。平成十八年九月の耐震設計審査指針の改訂を受けて、これを六百ガルに引き上げました。それから、その後、耐震バックチェックを経て、平成二十一年三月、七百ガル、これは断層の連動も考慮すべきということで七百ガルに見直しております。  そして、東日本大震災によって得られた知見を踏まえ、今年一月に全ての原子力発電所に対して、これまで連動する可能性がないと判定した全原子力発電所周辺の活断層について再評価するよう求め、これに基づき評価をしたところでございますが、これによって見直す必要はないというのが、これ公開の専門家による意見聴取会において評価を受けているところでございます。
  529. 井上哲士

    井上哲士君 つまり、福島の事故を受けても基準地震動は見直しておらぬということなんですね。福島原発並みの地震が来ても大丈夫だと言いますけれども、三・一一を踏まえたら、一体どういう地震が起き得るのかということが今求められているわけですね。  福井の県知事が大飯原発の再稼働容認に際して八項目の要求しておりますが、その中に日本海側の地震、津波の調査というのがありますが、これはいつからどのように行うんでしょうか。
  530. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 六月に福井県知事の方から御要請がございました。今日まで、特に海域断層の調査を含む日本海側における地震、津波と、こういうことでの要請を受けておりまして、文科省としても、東日本大震災を踏まえて、日本海溝や南海トラフにおける調査の観測の充実を今行っております。特に今回そういう御要請を受けましたので、二十五年度の予算から実施をしてまいりたいと、かように思っております。特に、日本海、西の領域と、こういうこともございましたので、そういう観点でそういう対応をいたしたいと思っております。
  531. 井上哲士

    井上哲士君 来年度予算から始めるということなんですね。  じゃ、これまでどんな地震が一体あったのか。二〇〇七年の中越沖地震では、柏崎刈羽原発の基準地震動の四百五十ガルの四倍近い千六百九十九ガルもの揺れを観測をいたしました。幸い、これ、炉心溶融には至りませんでしたけれども、三千七百件を超える事故や故障が発生をしました。この地震のマグニチュードは六・八でありますから、マグニチュード九・〇の三・一一の地震の数千分の一なんですね。それでも震源によるとこれだけの大きな揺れができるわけであります。  気象庁、来ていただいておりますが、マグニチュード六から七・九クラスの地震というのは、日本とその周辺ではどのぐらい発生しているんでしょうか。
  532. 羽鳥光彦

    政府参考人(羽鳥光彦君) お答えします。  日本とその周辺の地域における最近の地震の発生状況でございますが、平成十三年から平成二十二年度までの十年間について見ますと、年平均して約十九回、マグニチュード六以上の地震は発生してございます。  一方、平成二十三年におきましては、三月十一日の東日本大震災、東北地方太平洋沖地震が発生してございまして、これに伴う余震活動あるいは周辺における活動が活発化しておりまして、一年間のマグニチュード六以上の地震の回数は百十六回ということになってございます。  以上でございます。
  533. 井上哲士

    井上哲士君 平均でも約年二十回。そして、昨年は百十六回ということでありました。  では、日本では、この場所は大きな地震が絶対に起きないと言える場所はあるんでしょうか。
  534. 羽鳥光彦

    政府参考人(羽鳥光彦君) お答えをいたします。  日本は、プレート境界やその周辺で地震が発生しやすい地理的環境にございます。このため、小さな地震も含めれば、一般論としては全国どこでも地震が発生するものと考えてございます。  以上でございます。
  535. 井上哲士

    井上哲士君 この場所は大きな地震が絶対ありませんと、そういうことが言えますか。
  536. 羽鳥光彦

    政府参考人(羽鳥光彦君) そのようなことを言うことは科学技術的には難しいと考えてございます。日本の場合は、どこで発生してもというところで、日ごろから気象庁では一般の方々に注意を喚起し、常日ごろの備えをお願いしているところでございます。  以上です。
  537. 井上哲士

    井上哲士君 どこでも大きな地震が発生し得る、これが地震大国日本なんですね。そういう中で原発の安全をどう考えるのかと。  国会事故調委員を務めた石橋克彦神戸大名誉教授は、過去に原発で観測された最大加速度、つまり柏崎刈羽で発生した千六百九十九ガルを考慮すべきだと、こう言われております。  そこで、この揺れでほかの原発がどうなるのか調べてみました。(資料提示)  ストレステスト提出済みの原発で調べますと、全ての原発で炉心溶融に至る限界点を超えるんですね、千六百九十九ガル。大飯原発三、四号機でいいますと、柏崎刈羽の一号機が受けた四分の三の揺れ、千二百六十ガルで限界点を超えてしまいます。  大飯原発でこういう地震がないと断言できるんでしょうか。
  538. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まさに技術的な問題でございますので私が御答弁申し上げるのが適切かどうかはともかくとして、現時点の私どもが認識をしている見解としては、施設の耐震設計の基準となる基準地震動は、発電所ごとに敷地周辺の活断層などの地下構造の特性や過去に起きた地震の規模など、地域ごとの条件を踏まえて策定をされております。  そして、柏崎刈羽の地下構造は、発電所直下の浅い部分の堆積層が、これ褶曲というそうですが、複雑に曲がっており、周辺の地下構造が厚い堆積層、これは軟らかい岩に覆われていると。一方、大飯原発の地下構造は、発電所直下には柏崎刈羽のような褶曲、複雑に曲がっているという地層が見られない、敷地周辺の地下構造も火山岩という硬い岩に覆われていると。  こうしたことを専門家の皆さんが分析をされて、なおかつ中越沖地震の知見も踏まえて、七百ガルが基準地震動であり、これを一・八倍超える千二百六十ガルまで耐えられるということになっております。  ただ、今せっかくの御指摘でございますので、今の御指摘については保安院の専門家のところにしっかりと伝えまして、今のような見解をどのように受け止めて、対応する必要があるのかないのか、これはしっかりとチェックをさせたいと思います。
  539. 井上哲士

    井上哲士君 柏崎刈羽の場合も、中越沖地震の後で、こういう断層があったとか、これは過小評価だったとか、次々と分かったんですよ、地震が起きた後で。これはほかの、今全国の原発の周辺でも直下の活断層などが次々と明らかになっております。そして、日本海側については来年度から研究を始めるという文部科学省の答弁があったわけですね。  そういう下で、なぜそういうことが大飯では起きないと言えるのか。これは新しい、総理、安全神話じゃないですか。総理、いかがですか。
  540. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) この間、三・一一の原発事故を受けて、様々な可能性を想定しながら、それについて専門家の皆さんに検証をいただき、そしてストレステストによってそれに耐え得るのかということについての検証を進めてきたところでございます。  同時に、安全神話に陥ってはいけないということで、先ほど来申し上げておりますように、新たな知見の可能性のある御指摘を受けたことについては全てしっかりと真摯に、新しい知見として取り組む必要があるのかどうかはできるだけ公開の場でチェックをさせていただきたいというふうに思っております。
  541. 井上哲士

    井上哲士君 来年度から研究を始めると言っているのに、なぜ判断ができるのかと。それを受けて判断するべきじゃないですか、それでなければ安全神話じゃないですかと。総理、答えてください。
  542. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) これまでの安全対策や知見踏まえた中での今のレベルの中では、一番知恵を尽くした中での安全性のチェックをするということであって、新たな知見が生まれれば、それをしっかりとまた踏まえた対応をしていくということで乗り越えていきたいというふうに思います。
  543. 井上哲士

    井上哲士君 三・一一でこれまでの想定をはるかに超えた地震が起きたんです。そして、それによって日本列島の地殻が変わっていると言っているんですよ。それを全然踏まえていないじゃないですか。どこが新たな知見なんですか。  私は、そういう態度が、地震対策のいいかげんさが、今この大飯原発の敷地内にあるこの断層、F—6破砕帯の問題でも表れていると思うんですね。この断層は、重要構造物である非常用水の取水路を横切っております。もし活断層であるならば、地震で地表にずれが生じると施設に重大な影響を与える危険があって、稼働などとてもできないはずでありますが、専門家がその調査をしろと言ったのを無視して再稼働いたしました。今からでも再稼働を中止して調査すべきじゃないですか。
  544. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) これは何度も御説明申し上げてきているんですけれども、今回、これ渡辺先生とおっしゃるようですが、御指摘をされているのは、昭和六十二年にこの大飯原発を設置をするときに地質について調査をしたときの残っているスケッチを基に、破砕帯が活断層である可能性があるのではないかという指摘をされているわけでありますが、当時、昭和六十二年の時点からそのスケッチを使って、それも踏まえて活断層であるかどうかということをチェックをして、そして活断層ではないということを評価をして現在に至っているものでございまして、そうした意味では、何か新しい知見が出てきたということではなくて、かつてしっかりと確認したことについて改めて指摘を受けているということでございますが、せっかくの御指摘をいただいておりますので、次回には当時の資料、前回は残念ながら間に合いませんでしたので、関西電力からも最大限全部提出させた上で、公開の場での意見聴取会において、果たして本当に新たな知見と言えないのかどうかということについてはしっかりと確認をさせていただきたいと思っております。
  545. 井上哲士

    井上哲士君 新しい知見かどうかではなくて、活断層かどうかが問題なんですよ。当時のその評価が間違っていたんじゃないかということを専門家が具体的根拠を持って示しているのに、何で再調査しないんですか。再調査すればすぐできるじゃないですか。なぜできないんですか。
  546. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 当時のものが間違っていたということの具体的な根拠を示して指摘をされているのかどうかは、これは専門家ではないので私、評価できません。したがって、専門家による公開の場においてそれについて確認をさせていただくことは、これはしっかりとやらせていただくということを申し上げております。
  547. 井上哲士

    井上哲士君 あの敦賀原発でも二〇〇八年にこの研究者の皆さんがこの活断層の可能性を指摘しておりました。そして、結局今になってこれを保安院が調査しているんですね。ですから、私は、こういう指摘がある以上、きちっとまず再調査をするべきだと、それなしに再稼働などはあるべきでないと思うんですね。福島の事故の収束も尽くされない、そして三・一一を踏まえて大飯がどのような地震が襲うかという根本的な見直しもない、そして事故の際の避難の計画もないと、こういう下で絶対に再稼働があるべきではなかった。私は、今からでも中止をして、そしてこういう断層の再調査すべきだと思いますが、最後、総理、いかがでしょうか。
  548. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
  549. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先ほどの新たな活断層かどうかという話については、これは公開の場で専門家の議論を待つということでございまして、私はその大臣の姿勢でいいかと思います。それを踏まえての議論はあるかもしれませんが、現時点において再稼働について再考するということは考えておりません。
  550. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 井上君、時間でございますので。
  551. 井上哲士

    井上哲士君 調査が終わるまで再稼働を止めるべきだと思います。  終わります。
  552. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  553. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  554. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  滋賀県大津市の中学二年生が自殺をするという痛ましい事件が起きました。自殺の練習を強いられるなど極めてショックな事実が明らかになります。このような事件は二度と起きてはなりません。事件の徹底究明を行い、何が起こり、なぜこの生徒を守れなかったのかを明らかにすべきだと考えますが、いかがですか。
  555. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 福島先生の御指摘、ごもっともでございます。  私も、昨年の十月に滋賀県の中学二年生の生徒が自ら命を絶たれたという痛ましい事案でございまして、二度とこういうことが起こっちゃいけないし、改めて御冥福をお祈りしたいと思います。その上で、先生が今御指摘の点、徹底的に究明をして再発防止に努めたいと、かように考えております。
  556. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、大臣のときに兵庫県川西市で子どもの人権オンブズパーソン制度を視察をいたしました。学校や家庭だけではなくて、子供たちがいろいろ相談できる、そういう場が本当に必要だと思います。こういう人権オンブズマンといった制度を全国で整備することを是非やっていただきたい。いかがでしょうか。
  557. 平野博文

    国務大臣平野博文君) ここはもう福島先生と呼吸ぴったりのことだと思っておりますが、今、特にやっぱりこういう問題、子供の命、子供における環境の問題についてはしっかり守らなきゃならないと、こういうことで今、二十四時間いじめ相談ダイヤルと、こういうことで共通番号にして、ここに掛ければどなたでも対応できると、こういう仕組みを今現在つくってございます。これで不十分であれば更に具体的な対応をしていきたいと、かように思っております。
  558. 福島みずほ

    福島みずほ君 いじめ自殺死をやはりゼロにできていない現実があるので、是非、子ども人権オンブズパーソンなど、支援をよろしくお願いします。  次に、国家戦略会議フロンティア分科会、これ官邸のつくっている委員会ですが、これの報告書が七月六日に出ました。読んでびっくりしました。四十歳定年制、それから期間の、有期を基本とした雇用契約。これでいいんですか。こんな提言、報告書を出させていていいんですか。
  559. 古川元久

    国務大臣(古川元久君) まず、このフロンティア分科会の位置付けについて申し上げさせていただきますが、これは、二〇五〇年のあるべき姿とその実現に向けた政策の方向性につきまして有識者の見解や提案をビジョンとして取りまとめるために昨年十二月に国家戦略会議の下に設置されたものでございまして、今回まとめられました分科会の報告書というのは、分科会及びその下に設置された各部会における議論を基にして、分科会としてのコンセンサスを分科会としての責任で取りまとめたものでありまして、これが直ちに政府方針になるものではございません。  今、四十歳定年の話をそこのところだけ取り上げられましたけれども、ここはよく読んでいただければ分かりますけれども、そもそも分科会報告書では、場合によっては、四十歳定年制や五十歳定年制を採用する企業が現れてもいいのではないか、もちろん、それは、何歳でもその適性に応じて雇用が確保され、健康状態に応じて、七十歳を超えても活躍の場が与えられるというのが前提であると、そういうことも書いてありまして、その言葉だけをとらえて四十歳定年というのは、これは例えばということであります。  しかも、有期を基本とした雇用契約というお話は、これは部会の報告書のことを言っておられると思いますが、この部会の報告書は、フロンティア分科会の下に四つの部会が設けられまして、そこにおいて分科会報告書の素材として作られたものでございます。  そういった意味では、改めて申し上げますが、この分科会の報告書、部会の報告書はもちろんでありますが、分科会の報告書も、直ちに政府方針ではなくて、二〇五〇年の日本のあるべき姿を問題提起したものではございます。(発言する者あり)
  560. 福島みずほ

    福島みずほ君 有識者がそんなの間違っているという、そのとおりだと思います。つまり、これだけ雇用が壊れている中でこんな提言が何で出てくるんですか。見出しに皆が七十五歳まで働くための四十歳定年制、そして有期を、期間の定めのあるものをどうやって期間の定めのないものに転化するかという法案国会で出ているときに、有期、期間の定めのあるものが基本だなんていう報告書をなぜ出させるんですか。これ、野田内閣の姿勢なんですか。こんなことが出てくること自体、もうおかしいですよ。
  561. 古川元久

    国務大臣(古川元久君) 繰り返し申し上げますけれども、これは有識者の皆様方にまとめていただいたものでございまして、それを報告書として出していただいた、これを政府として受け止めたということでございまして、これが政府方針というわけではございません。
  562. 福島みずほ

    福島みずほ君 ただ、これが総理を議長にしている、ここで出てくることにびっくり仰天したんです。おかしいですよ、こんなの出させるなんて。というか、こういうことそのものが出てくることが問題だと思います。撤回をするよう強く求めていきます。人間らしい労働を保障することが今政治で求められているときに、何でこんな報告書が出るのかと思います。  次に、東京電力のテレビ会議システム、これは重要な資料ですが、三・一一後のテレビ会議システムの録画が公表されていません。経済産業大臣、インタビューでは、これは公開、記録を出さない方がどうかしていると、インタビューで答えていらっしゃいます。これ、経産省として出させてください。
  563. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 私の方から事実上の行政指導として東京電力に求めております。東京電力においては前向きに検討をしていただいていると報告を受けております。  ただ、幹部以外の皆さんも、従業員の皆さんなどが非常にたくさん映っていらっしゃるなどということを聞いておりまして、その点についての対応の検討等、若干の時間が欲しいということでございますが、公開をするという方向での報告を受けておりますので、そうした方向で結論をいずれ出していただける、遠からず出していただけると信じております。
  564. 福島みずほ

    福島みずほ君 大変前向きの答弁で、経済産業省が東電に言ってくれているということですが、いつぐらい出ますか、これ。
  565. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 今申し上げましたとおり、幹部の方は顔や名前が出て当然だと思いますが、それ以外の方もたくさん映っているそうでございますので、そうしたことへの対応をどうするのかということを始めとして、幾つか内部的に検討をしたいと。  ただ、前向きに出す方向での検討をしたいという報告でございまして、もちろんそれが三か月も四か月も掛かるようなものではないというふうに思っておりますが、そう遠からず提出をいただけるものと信じております。
  566. 福島みずほ

    福島みずほ君 そんなモザイクを掛けるなら一瞬で、数時間でできるでしょう。もう数日以内ぐらい、一週間以内ぐらいでということでよろしいですか。
  567. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) これは、法律に基づいて、権限に基づいてやっているものではなくて、行政指導として指導をしているものでございますので、期限をこちらで一方的に切ったりとか、あるいは公開の仕方をこちらから指定できるものではありません。  確かに、私は、幹部などはプライバシーの問題ではないと思っていますが、一般の従業員の方もたくさん映っている、この点についての配慮などは必要だと思っています。その点については、やはり一定の検討の時間が必要だということは私は理解せざるを得ないと思っておりますが、そんなに何か月も先になるというような話ではなく出していただけると、これは私が信じているということであります。
  568. 福島みずほ

    福島みずほ君 国民国会に対してもきちっと情報開示がされるよう強く求めていきますし、今の大臣の心強い答弁で近日中に出ると確信をしております。  次に、関西電力大飯原発におけるこの破砕帯の問題についてお聞きをします。(資料提示)  ベントもない、耐震重要棟もない、そして津波の対策もない、ないないないない尽くし、おまけに耐震指針の見直しもないんですが、六月二十七日、私も超党派と渡辺満久先生と一緒に大飯原発に行ってきました。大飯原発の敷地内にたくさん破砕帯があるんです、断層です。ですから、津波でもなく地震の揺れでもなく、ずれによって建物が倒壊する。大事なのはこのF—6でありまして、非常用取水路がSクラスのものが入っていますから、万が一地震が起きたら、がっがっと揺れて壊れてしまうというものです。  これが、断層が活断層かどうか調査をすべきだ、これは新しい知見でじゃないんです。さっき大臣は、きちっと資料を出したというのは違うんです。設置許可のときの資料が全部出ていません。北の方の斜面は、これはわざとかどうか、保安院は出していません。今回、出していないんです。不十分なんです。おまけに、地震・津波の意見聴取会の専門委員の一人である杉山雄一産総研の委員は、これについてきちっと調査をすべきだと、国の安全審査では事業者の調査データの全てを確認し切れてはいない、全データの再確認や現地調査が非常に重要だ。  七月三日、大飯原発の破砕帯の議論があるというので、私、二時間半聞きに、傍聴しに行きました。議論できなかったんですよ。関西電力が資料を出さない、出さないからできませんでした。それもけしからぬですよ、再稼働をして、なぜ資料出さない。  しかし、それ以前の問題として、経済産業省として調査してくださいよ。私も現地に行きました。A、D、F、三か所で、これはここ掘れワンワンじゃないけど、掘れば活断層かどうかが分かるんです。この調査してくださいよ。これなくして事故が起きたら大変です。お願いします。
  569. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まず、資料が全部出てないという話ですけれども、現時点で出てない話とちょっと整理をさせてください。  その昭和六十二年のときに調査をしたときの全体の資料のうちの一部を指摘をされて、これ活断層ではないかと渡辺先生がおっしゃっている。したがって、全体を見て、当時の結論部分としては全体を見れば活断層ではないと、その御指摘を受けているスケッチを含めて、全体としては活断層ではないという評価が専門家によってされているので、当然、その全体の資料をそろえて、そして当時のその評価というものが間違っていなかったか、せっかくの御指摘ですから確認をすることについてはしっかりとやりたいということで、前回は関西電力から資料が準備されなかったのは大変遺憾でございますが、次回までには必ず資料を出せと。で、出てこないものがあったら、ないことは不利に扱うということを前提に、出さない方が不利に扱うということを前提に、ある資料できちっと、本当に昭和六十二年のチェックというものが間違ってないのかという確認は公開の場で専門家を入れてやらせていただき、その上で、新たな知見であるということであれば、それは当然対応させていただきます。
  570. 福島みずほ

    福島みずほ君 枝野大臣が今答えたことは、その限りにおいては正しいんですが、今回の再稼働における審査の際に、北の側のスケッチやいろんなもの出ていないんですよ、保安院出さなかったんですよ、それで再稼働やったんですよ。そこに怒っているんですよ、おかしいじゃないかと。  今まさに専門家の皆さんが活断層じゃないかと言っています。敦賀は、御存じ、ずっと活断層じゃないかと渡辺満久先生たちが言ってきて、二〇〇八年、保安院が現地調査をして活断層だとなりました。新しい知見ではありません、審査が間違っていたんです。今回もやってくださいよ、大飯原発に関して。現地調査やってください。関西電力の資料を待っていたら、いつまでたっても、いつまでたってもできないかもしれない。枝野大臣大臣としてやってください、現地調査
  571. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 敦賀原発は、様々な御指摘を踏まえて様々な検討をした結果、活断層である可能性があるということで、現地調査指示してやらせているところでございます。当然これが、結論が出るまでは再稼働の問題には新しい規制委員会においてもならないというふうに思っているところであります。  そして、これは大飯とか敦賀に限らず、日本中の全ての原発について、その活断層が見落とされてないかどうかということについては、公開の専門家の皆さんの議論の場で全部やっていくと。そのことの中で、大飯についても、やっていくに当たっては渡辺先生の指摘というものを踏まえた、しっかりと資料を全部出させてやっていくということであります。  掘れば簡単じゃないかとおっしゃいますが、これは環境アセスメントその他、相当な時間が掛かります。まずは、本当にこれは掘る必要がある指摘であるのかどうかということ、あるいはそういった疑いがあるのかということについてはきちっとまずは公開の場で専門家によって検討をしていただくことにいたします。
  572. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 福島君、時間でございますのでお願いします。
  573. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。  これは命に関することなんですよ。これ優先すべきじゃないですか。だって、これから大飯原発の破砕帯、断層の問題について経済産業省の地震・津波に関する意見聴取会で議論するんですよ。そんなのおかしいじゃないですか。再稼働の前にやるべきで、再稼働の後にやることに怒っているんです。これ現地調査してください。枝野大臣が命じて現地調査をしてください。私たちも協力します。  以上、強く申し上げ、原発再稼働前に、原発再稼働ではなく、きちっと調査すべきだということを申し上げ、質問を終わります。
  574. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  575. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 次に、舛添要一君の質疑を行います。舛添要一君。
  576. 舛添要一

    舛添要一君 今日は総理と、総理がどういう社会を目指しているのかと、社会保障の観点から議論をしたいというふうに思っております。  消費税増税ということが今ほぼ決まりかかっていますけれども、そのことによって本当にいい社会が生まれるのかどうなのか、野田総理がどういうビジョンでこの福祉社会というのを考えているのかということをちょっとお伺いしたいんですが。  私は、戦後六十七年たって日本にやっぱり活力が失われてきている、格差が固定したり拡大してきている、私はそれは良くないと思います。貧しい家庭に生まれた子供はずっと貧しい、金持ちの家庭の子供は金持ちになる、そういうのではなくて、まさに本当に最下層からアメリカ大統領になれると、こういう流動性の高い社会というのが理想だと思いますけれども、総理の理想はどちらでしょうか。
  577. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) よく分厚い中間層をつくりたいというお話をさせていただいております。日本の底力というのは中間層の厚みがあったことだと思うんです。残念ながら、その中間層の中でも重心が下の方に今移動しているし、そこからこぼれている人たちが出てきている。  今御指摘のとおり、格差の問題、これ日本だけではなくて諸外国においてもこの格差の問題出てきていると思うんですけれども、そのときの対応の仕方として、私のこれ理念なんですが、人類が命懸けで獲得した価値というのは、私は自由と平等だと思います。この両立をどうさせるかというのは、なかなかバランス取るのは難しいんですが、あるときには、余りにも官僚主導の社会主義的な統制経済になったときには、自由という右足を踏み出して規制改革等を思い切ってやらなければいけないときがあると思います。あるときは、格差が拡大をしたり貧困層が増えてきたりするときには、平等という左足を踏み出さなければいけないときがあると思います。まさに人類の二足歩行と同じように、どうやって現状を見て、右足を出すのか、左足を出すのか。私は今はちょっと左足を出していかなければいけないとき、だからこそ、分厚い中間層をつくるためのもろもろの改革、社会保障も含めての改革が必要だと考えております。
  578. 舛添要一

    舛添要一君 いわゆる貧困の連鎖と言われている、まさに階層固定化ということになっているんですが、ただ、総理、分厚い中間層と言うだけで答えになっているのかどうなのか。つまり、要するに自由に競争すれば強い人は勝つわけです。私は、少なくとも政治というものの役割は、強い人の者のためにあるんじゃなくて、弱い人をどう救うかということが基本だと思うんですが、そしてそれが民主党の原点だったような気がするんですが、いかがでしょうか。
  579. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 極めて本質的な御指摘だと思います。  今回の社会保障の協議の中でも、衆議院における特別委員会質疑あるいは三党合意に至るまでの実務者の質疑の中でも、いわゆる自助、共助、公助の議論がありました。自助が基本であることはこれは間違いないと思います。ただし、自助を実現をする基盤が今非常に脆弱になってきている。だから、そこで共助とか公助が絡めて、その自助の環境をつくっていくということが大事。  それは、今度バランスを取るという表現になりましたけれども、私どもの社会保障の理念はそこにあると思います。自助を実現しなければなりません。でも、今その環境ではありません。その環境整備をどう公助も含めて立て直していくか。そこでいい相乗効果をつくれるような社会保障を考えていかなければいけないときではないかと思います。
  580. 舛添要一

    舛添要一君 総理、ちょっとそれは甘いと思いますよ。自助、共助、公助というのは、まさに私がいつも言うように、呪文のようにみんな言うんです。だけれども、現実どうですか、現実どうですか。例えば、戦後の日本のセーフティーネット、これ張り巡らした最大の組織は会社ですよ、企業ですよ。大企業であればそうだと。ある会社に就職する、終身雇用です、年功序列です、住むところ、寮がありますよ、夏休み、海の家まで持っていますよ、病院まで持っていますよ。私は企業城下町に生まれましたからよく分かる、八幡というところですけれども。  ですから、さあどうでしょうと。グローバル化で企業はそういうことができなくなりました、フリンジベネフィットもなくなりました。そして、要するに、いろんな問題は大都会の問題であって、田舎はまだ地域の共同体とか家族の紐帯というのはありますけれども、大都会はそうじゃない。そうすると、セーフティーネットを張り巡らす最大の役割を担っているのは中央と地方の政府であるので、そうするとやっぱり政府の機能の強化なんです。  だから、大阪で生活保護についてラストリゾートじゃなくて、大阪ではもうこれ唯一の、政府が唯一のリゾートだと、担い手だということを言っているんで、大都会はやっぱりそういうふうになっていると思いますが、私は政権交代で民主党を選んだ日本国民の気持ちはそこにあったと思いますが、いかがでしょうか。
  581. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 自助を実現しにくい状況の中で、今御指摘のような、例えばこれまで担ってきた企業、あるいは家族、相当やっぱり時代によって変わってきています。でも、だからといって、すぐ公助しか最後のセーフティーネットがないのかというと、私は、共助の余地はもうちょっとあって、NPO等含めてそれが参加できるような、そういうものを模索をしていかなければいけないと思いますが、ただ、基本的背景としては、自助、自助と精神論だけ言うだけでは、この今の社会保障はなかなか立ち行かなくなってきているということで、共助や公助の重層的な支えというものが必要だと思います。
  582. 舛添要一

    舛添要一君 自公民の三党協議は成り立ちましたけれども、野田総理民主党の方ですよね。ですから、要するに自民党とどこが違うんですかということを私は実は申し上げたいんで、だからもう少し今のことを強調しないと。例えば、最低保障年金であるとか、子ども手当であるとか、後期高齢者制度の見直しであるとか、それから、私は大変苦労しました派遣労働、派遣切りがあったからこの生活保護は一気に二百五十万まで増えたんですよ。あのときだって百六十万ありましたよ、三年前。  だから、そういうことを考えたときに、それは政治の力学だから三党合意やるためにしようがなかったかもしれないんですけれども、今私が申し上げた民主党がまさにセーフティーネットを張り巡らすためにやろうとしたことというのは、今後どうなさるんですか。
  583. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) セーフティーネットを張り巡らす努力はこれまでもやってきました。これからもやるんです。例えば、求職者支援制度、去年の十月一日からスタートしましたけれども、そういうネットを張る努力というのはこれまでもやってきました。これからもやりたいと思います。  そして、まだ実現できていないのは舛添さんから御指摘いただいた最低保障年金ですね。こういうテーマがあります。その旗は下ろしていないんです。引き下げていないんですよ。これは、それぞれ各党の固有の政策があります。固有の政策を持ち寄る場としてまた三党合意を目指すというところがあるし、国民会議もあるということでございますので、それぞれの固有政策を撤回したとかなくさせたという合意はありません。あの文書を読む限りは、それは間違いないと思います。それぞれの固有政策を持ち寄っていくということでありますので、我々はその実現を目指してこれからも頑張っていきたいと思います。
  584. 舛添要一

    舛添要一君 消費税含めて負担が必要だと国民は分かっていますけれども、負担をして、それで明るい社会になるんならいいんですよ。だけど、明るい社会のイメージが出てこないから、そこを総理がきちんと発信してくださいということを申し上げているのと、それともう一つ民主党の伝統的な政策についてセーフティーネット論との絡みで申し上げますと、要するに、介護や医療を含めて内需拡大に非常につながって、これが経済活性化すると。それが前面に出過ぎちゃうと、要するにニューマネーどこから来るんですかと。つまり、所得再配分だけで世の中良くなればこんないいことはないんで、私は今、日本が非常に元気がないのは、外に向かって飛び立っていく、つまり外から、貿易をしてお金稼いでこなければ話にならないわけですよ。  それから、民主党は地方分権をおっしゃいましたね。規制も緩和しますね。それならば、例えば東北で特区をつくってもう思い切りやらせる、大阪で特区つくって思い切りやらせる、こういうことをやっていかないといけない。  そして、私は、貿易の拡大というのは、これはただ単に発展途上国じゃなくて、先進国間の貿易の拡大、EPA、FTA含めて、こういうことをちゃんとやるかどうか。それをやっている韓国に、だから日本が負けているんですよ。だから、経済成長戦略がないということが要するに日本の活力を落としているんで、そういうところの認識はいかがでしょうか。
  585. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まさに、アジア中心に世界のその需要を取り込んでいくということを基本的な戦略に位置付けているつもりなんです。したがって、それがパッケージ型インフラ輸出等々、これは官民協力をしながらやってきました。これからもやっていきます。  加えて、高いレベルの経済連携、御指摘のように韓国から比べれば周回遅れだと思っています。日中韓のFTAは年内から交渉開始となりました。日・EUについても、今スコーピングの最終段階で、日・EUも目指していきたいと思います。TPPについては、今交渉参加に向けて協議を行っているということの取組をしているということは是非御理解をいただきたいというふうに思います。
  586. 舛添要一

    舛添要一君 私も自民党におりましたから、これは自公政権含めた反省として、やっぱり政官業の癒着、悪い意味で、そういうものがたくさんありました。こういうものを断ち切っていくというのが民主党の理想であったと思います。そのために、特区でいいんで、それをしっかりやっていただきたいんで、何か今やっていらっしゃることを見ると、悪い意味でのかつての古い自民党政権に戻っているんではないかと、そういうイメージを持たざるを得ないんで、そこはいかがでしょうか。
  587. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) どこが古く、どこが悪くという話、言及するのもちょっとどうかと思いますけれども、総合特区を推進するために今努力をしていまして、三十三特区からの今優先規制改革項目について、八割近くの項目について今一定の成果が出ております。こういうのを踏まえて、御指摘のように特区や規制緩和等、できるだけ実現をしていきたいというふうに思います。
  588. 舛添要一

    舛添要一君 質問を終わりますけれども、是非、消費税上げるならば、国民に夢と希望を与える、野田総理に付いていけば本当にすばらしい日本がやってくるんだなと、すばらしい生活がやってくるんだなと、そういうことをきちんと確信なさるリーダーになられることを期待いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  589. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で舛添要一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  590. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 次に、武内則男君の質疑を行います。武内則男君。
  591. 武内則男

    ○武内則男君 民主党・新緑風会の武内則男です。  質問に先立ちまして、与党理事ではありますが、異例ですが、委員長にお願いがございます。  今日のこの予算委員会審議を聞いていますと、本当に福島の原発事故に対する国会議員の皆さんの、本当に真剣で真摯で、そして鋭い指摘や質問がされてきたというふうに、今日の審議、一日拝見をいたしました。  残念なことに、本日、国会事故調の委員長参考人として全会派一致で呼ぶことができませんでした。改めて、国会国会の意思として設置をした国会事故調です、その事故調の調査報告をもってこの予算委員会でしっかりと、その事故調の設置を求めた多くの会派の皆さんに御協力もいただいてこの委員会でしっかりと審議をしていただけるよう、委員長にお取り計らい、よろしくお願いをいたします。
  592. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 朝の理事会でも協議をいたしました。また、後刻理事会でも引き続き協議をしたいと思います。
  593. 武内則男

    ○武内則男君 それでは、質問に入らさせていただきたいと思います。  初めに、総理の基本姿勢についてお伺いをしたいというふうに思います。  民主党政権が掲げた国民の生活が第一の理念の下に実施をしてきた政策、すなわち農業の戸別所得補償であったり、子ども手当、あるいは高校授業料の実質無償化、地方への権限と財源の移譲などなど、道半ばのものもありますが、着実にその効果が出てきていると私は思います。すなわち、我々が推し進めようとした理念、政策は間違いではなかったと確信をしています。  そこで、お伺いをいたします。  国民の生活を守るための、今、舛添委員とのやり取りもございましたが、セーフティーネットの確立は国家の責務であり、後期高齢者医療制度や最低保障年金、子ども・子育てなどの安心の社会保障制度をつくり上げるための社会保障と税の一体改革であるべきと考えますが、総理の基本姿勢をお伺いをいたします。
  594. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 政権交代以来、これは間違いなく大きく変わったのは、従来のように機械的に二千二百億円社会保障費を削るんではなくて、必要な部分についてはセーフティーネットをつくりながら、社会保障を充実させるところはさせる、安定化させるところはさせる。もうお忘れの方が多いかもしれませんが、母子加算の復活であるとか児童扶養手当の父子家庭への拡充であるとか様々なことをやってまいりました。その姿勢はこれからもやり続けなければいけないというふうに思っております。  その上で、今回の社会保障と税の一体改革においても、子ども・子育ての部分の充実であるとか年金等の安定化等々を含めた社会保障、セーフティーネットをしっかりと張っていくということを行うために安定財源は消費税として国民皆様に御負担をお願いをすると。そういう一連の改革のプロセスをたどっているんだということは是非御理解いただきたいというふうに思います。
  595. 武内則男

    ○武内則男君 今お話しになった総理の基本姿勢、意思というものがしっかり国民の中に映っていない。具体的な中身の議論は一体特に委ねたいというふうに思いますが、是非、今日、先ほど総理が御答弁なさった内容を含め、そしてその基本姿勢を持って、しっかりと一体特の中で堂々と国民に見える議論を是非していって、徹底的な参議院における特別委員会での審議を、是非御奮闘を期待をしておきたいというふうに思います。  次に、パネル一をお願いをいたします。(資料提示)  私たちは、本当に、一年四か月前に東日本大震災という大変な災害を経験をいたしました。その東日本大震災の、教訓とした、実は南海トラフ超巨大地震対策について今日は中心的にお伺いをしたいというふうに思っています。  パネルの方で御紹介のように、今回、三月三十一日にこの甚大なる被害の想定が出されました。これまでのいわゆる東海・東南海・南海地震の想定でいうと、死者総数は二万五千人、そして倒壊数は、家屋の倒壊は五十五万棟というのが現状です。同時に、この東海・東南海・南海地震が起こったときの経済的被害というのは八十一兆円というのがこれまで出されてきた被害想定でございました。  こうしたこれまでの被害想定の中で、三月三十一日、南海トラフを震源とする超巨大地震が発表をされました。これはいわゆる想定震源域が従来の約二倍で、震度分布を推計する強断層モデルがマグニチュード九・〇、そして津波を推計する津波断層モデルがマグニチュード九・一という設定の下でこの想定が出されました。  右側の図を、上の方の図を見ていただけたら分かりますが、ひゅっと矢印で上げていますその下の図面が、二〇〇三年、中央防災会議が出した被害想定、津波の状況です。今回の設定を基に出された想定は、明らかに色が変わっているように、九州から四国、そして紀伊半島、和歌山、三重、神奈川や愛知、静岡といった広範囲に及んで大変大きな津波、地震が想定をされるという状況が発表をされました。最大三十四・四メートルという津波災害が起こるということも出されております。これは高知県の黒潮町というところなんですが。これが今回、現時点における過去と現在の想定の違いでございます。  これを受けて、各自治体の皆さんは、とんでもないことになったということで地域の住民と本当に向き合いながらこの数か月間頑張ってこられました。  そうした中で、済みません、パネル二をお願いをしたいと思います、現行のこうした大災害に対する法律を御紹介をしたいというふうに思います。  左側にある、上の方にあるのが東海地震を想定をした今の法律のたてりです。下が東南海・南海地震です。実は、こうした大規模地震対策特別措置法は閣法で成立をされ、その後、多くの国会審議を経ながら、議員立法で、地震財特法だとか東海・東南海地震等、様々な法律議員立法で成立をされてまいりました。この法律は、実は三連動が同時に起こるということを想定していないものですから、これが同時に起こったときにはこの法律が実は役に立たないということが今の状況です。  そうした体制の中で、是非、これから東海・東南海・南海地震を含め巨大地震が想定をされる中で、その予知・観測体制の充実を図っていくべきだというふうに思いますが、御答弁をお願いいたします。
  596. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 防災体制等々については中川大臣がお答えいただいたらいいと思いますが、特に予知・観測体制、このことの充実ということは、いかに被害を小さくしていくかと、こういうことにつながっていく。こういう観点で、文科省では平成十八年より、地震発生メカニズムを解明することを目的として地震・津波観測監視システム、DONETを整備をしております。本システムの整備によって海域で発生した地震、津波の早期検知も可能となる、こういうことでございます。  今委員指摘のように、そういう状況が非常に迫っていると、こういうことで、整備スケジュールを五年ほど前倒しにして、平成二十七年にシステムを完成すべく、平成二十四年度においても必要な予算を計上しているところでございます。  特に、このシステムが完成をいたしますと、整備前に比べて十数秒早く地震を検知できると、こういうこと、もう一つは十数分早く津波を直接検知できると、こういうことで、いかに早くこれを完成させるかということでございますので、委員御指摘のように、いかに被害を小さくしていくための予知、これを進めてまいりたいと、かように思っております。
  597. 武内則男

    ○武内則男君 ありがとうございました。  今回の南海トラフは、東北沖地震よりも、いわゆる断層、そのずれそのものは非常に内陸に近いところにあります。ですから、その予知・観測体制がいかに早期に実現をされるかによって、その災害を、人の命をいかに救えるかということにかかわってまいりますので、お金の問題ではありませんので、是非、積極的な予算、財源というものを確保していただくよう強く求めておきたいというふうに思います。  次に、そうした中、減災・復旧・復興体制の事前整備であったり、あるいは地震・津波防災施設等の整備促進が求められているところですが、これについて御答弁をお願いいたします。
  598. 中川正春

    国務大臣(中川正春君) 先ほどどれくらいの見直しになるかというお話を丁寧にしていただきましたが、もう一度八月に、被害想定も併せて、かつ具体的な国としてのそれに対応する指針というのを併せた形で、十メーターメッシュの津波高、それから地震のレベル、これを発表をしていきたいと思います。  これを踏まえて、それぞれの自治体でハード、特に防潮堤ですね、堤防をどれぐらいの高さに見直していくのかということから始まって、都市計画の中に逃げるということを中心にした都市計画を入れるとすればどういう具体的な計画になるのかということが具体的に始まってくるということであります。それを前提にして、国の方では南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループという形で専門家を集めまして対策を考えていきます。  地域、現場については、南海トラフ巨大地震対策協議会というのを県を越えて立ち上げていきまして、南海トラフ全域を六ブロックぐらいの協議会に分けて、地方自治体、国、それから制服組ですね、自衛隊も含めた、それからまた、民間の業界と同時にボランティア等々含めたものを全部ひっくるめて協議会の中で議論をしていただく機関をつくっていきたいというふうに思っております。  その現場からの話とそれから国の政策併せて、冬ぐらいにはトータルな形で減災・復旧・復興の体制について具体的な計画を作り上げていくというふうな日程で今進めております。
  599. 武内則男

    ○武内則男君 済みません、もう一度パネル二をお願いしたいんですが、実は、東海地震が起こったときのいわゆる財政的措置としては、元利償還金の三分の二を交付税措置するといういわゆる地震財特法がございます。しかし、東海、東南海、その他については二分の一でしかありません。もう既に四連動が言われ、日向灘まで言われ、こうした状況の中で、ほぼ三連動で起こる確率が非常に高くなっているときにこうした補助率に差があるということについては、その全域を抱える東海地震以外の東南海・南海地震、日向灘の人たちというのは非常に不安感を持っています。これを改めて、その補助率のかさ上げも含めて、地方財政措置の充実と財政支援制度というものをしっかりつくるべきだと思っておりますが、いかがですか。
  600. 中川正春

    国務大臣(中川正春君) 御指摘の点については、私も同じような問題意識を持っております。法律一つにしていくということも含めて、しっかり検討していきたいというふうに思います。
  601. 武内則男

    ○武内則男君 続いて、実は、昨年度の第三次補正、そして今年度におきまして緊急防災・減災事業債が予算化をされまして、実は非常に使い勝手が良くて、各自治体の独自性を持って、そしていろんなものを、いろんな状況というものを各自治体がしっかりと勘案をして、そして優先順位を付けてやっていくということにおいては大変各自治体が高く評価をしているところですが、もう既に天井まで行ってしまう状況に今あるというふうにお伺いをしています。  この緊急防災・減災事業債の継続を強く要望すると同時に、もし単純継続ということでなければ、新たなやっぱり枠組みとしてしっかり減災、防災に向けた、地方が独自で様々な事業ができるという枠組みをつくるべきだと思いますが、御答弁をお願いいたします。
  602. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 御答弁いたします。  非常に今この東日本大震災の教訓を踏まえて、緊急に全国的に実施する必要性が高いものということで、即効性のある防災・減災事業を今やっていただいております。まずはその着実な実施を図っていただくということと同時に、今後、想定した事業規模は超える見込みになっていることは御指摘のとおりであります。地方団体において事業の実施動向、それから地方団体の意向を十分踏まえて今後の在り方については十分に意見を聞きながら検討をしてまいりたいというふうに思いますし、全体的に十九兆円を超えるという部分に関してどうするかという十二条の規定もありますので、それを踏まえながらやってまいりたいというふうに思います。  また、先ほど来御指摘の南海トラフ等の巨大地震ということもいろいろ議論されております。こういうものに対しての対策は、先ほど防災担当大臣から、南海トラフ巨大地震対策ワーキンググループにおいて検討を進められておりますので、これらの意見も聞きながら、今後の防災・減災事業についてどのような支援方策が可能であるのか、地方団体の意向も踏まえて議論を深めていくことになるものというふうに認識をしております。
  603. 武内則男

    ○武内則男君 ありがとうございました。  現行法におけるところの最後になりますが、左側の下を見ていただいたら分かりますように、先ほども指摘をいたしましたが、実は同時発生を想定をしておりませんので、いわゆる応急支援体制というものが、現行法でいうと、東海地震が起こったときには、静岡県の方に四国の高知や徳島、愛媛、大分、宮崎が応援に入り、そして神奈川県には和歌山県が入るという体制が組まれています。逆に、東南海・南海地震が発生をしたときに神奈川から和歌山に応援に入るという体制になっていますから、もう三連動を想定をすると今の現行法に限界が来ているということは応急体制一つ取ってもそうだと思いますが、その体制についてどうお考えですか。
  604. 中川正春

    国務大臣(中川正春君) 先ほども答弁させていただいたとおり、三連動という形で改めて広域枠組みを組み直していくという必要があります。そういう意味で、全て再検討していきたいというふうに思っております。
  605. 武内則男

    ○武内則男君 ありがとうございます。  現行法の下に、三月三十一日の想定を、発表を基に少しパネルを使いながら、現行法と被害の状況について御説明をさせていただきながら御答弁をいただきました。  実は、既に自民党さんと公明党さんが共同で衆議院の方に、こうした状況を踏まえてしっかりとやっぱり法整備を新たに作るべきではないかということで議員立法として衆議院提出をしております。この間の五つにわたる御質問、答弁をいただいたわけですが、そうした答弁の中で、しっかりとこうした問題点というものを包括する形で南海トラフ超巨大地震対策特別措置法というような、これは仮称ではございますが、そうした法律の制定が私は急務というふうに考えておりますが、八月には十メーターメッシュも出されて、総括的にワーキングチームだとかいろいろなところで検討をされていくという今の政府状況についてはお伺いをしたところでありますが、その法制定についての大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
  606. 中川正春

    国務大臣(中川正春君) ワーキングチームの中の議論でも、この法整備についてはもちろん基本的なものとして今考えて進行しております。冬には大体大枠が発表ができるというふうに思っておりまして、そのことを前提に全て再検討をしていきたいというふうに思っております。
  607. 武内則男

    ○武内則男君 是非、今民主党も入れて三党でいろんな協議が進んでおりますので、政府としてもしっかりとした対応を強く求めておきたいというふうに思います。  引き続きまして、関連して、大規模地震災害発生の切迫度が非常に高い地域の高規格道路整備について伺います。  四国の8の字ネットワークのみならず、南紀和歌山もそうなんですが、四国の骨格を形成する高規格幹線道路網ですが、実はミッシングリンクが数多く存在をしています。救急搬送の遅れによる救命率の低下や、南海地震時には津波により道路が寸断をされ集落や地域全体が孤立することが懸念をされます。  地震発生後、迅速かつ円滑な救援活動や物資輸送を行うためにも高規格道路の整備は必要であるというふうに強く思っているところでございますが、ミッシングリンク早期解消に向けた未事業化全区間の計画段階評価の早期実施をするべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  608. 羽田雄一郎

    国務大臣羽田雄一郎君) お答えをさせていただきます。  東日本大震災では、住民の避難場所や救援救助活動、物資の輸送、防潮堤としての副次的効果など、命の道としての役割が再確認、再認識されたところであります。高速道路のあり方検討有識者会の中間取りまとめにおいても、国土を保全するネットワーク機能の早期確保が最優先課題とされたところであり、今後は、この考え方も踏まえ、計画段階評価の実施を含めて高速道路のミッシングリンクの解消等による道路ネットワークの強化に取り組んでまいります。
  609. 武内則男

    ○武内則男君 ありがとうございました。  引き続き、防災面の役割を優先をしてしっかりと主要都市間を連絡する道路を対象とした事業評価を実施をするべきではないかというふうに思っておりまして、併せて、個別の事業区間の事業化時期にかかわらず主要都市間の連絡を前提としたBバイCの算定が必要と考えますが、大臣の御答弁をお願いいたします。
  610. 羽田雄一郎

    国務大臣羽田雄一郎君) 道路の果たす役割、今お話ししたとおりであります。そのため、昨年の東日本大震災における道路の果たした役割を踏まえて、防災面の機能の評価手法について取りまとめ、三陸沿岸道路等の新規事業評価に適用したところであります。  議員の御指摘は、事業評価を行う際の評価区間の設定についての御提案と認識をさせていただいております。御指摘を踏まえて、道路事業の多様な目的、効果に見合った評価手法の充実と併せ、事業化時期にかかわらない評価区間の設定の考え方等についても引き続き検討をさせていただきたいと思います。
  611. 武内則男

    ○武内則男君 ありがとうございました。是非よろしくお願いをしたいと思います。  次に、パネル三をお願いをしたいというふうに思います。  鉄道施設の耐震対策に対する支援の強化についてお伺いをしたいというふうに思います。  東日本大震災でも多くの、三陸鉄道を始め鉄道が被災を受けました。そして、現在、近く発生すると言われている大規模地震による震動や津波により、地域の足としての役割や大量輸送など重要な社会インフラである鉄道にも、今後、そうした大規模災害で被害が及ぶものと推測をされているところです。  このように鉄道施設の耐震化が急がれる中、本年度、鉄道施設緊急耐震対策事業が創設をされました。しかし、実はこの補助制度、現在のところ、一年限りの制度となっているというふうにお伺いをしています。しかしながら、鉄道事業者の厳しい経営環境や限られた地方自治体の予算では、単年度では必要な施設の改修や対策というものが、実施がなかなか難しい状況にあります。  平成二十五年度以降の鉄道施設緊急耐震対策事業の継続とともに、鉄道は住民生活に必要不可欠な公共インフラであることから、地方自治体の厳しい財政状況や鉄道事業者の経営状況に配慮の上、道路や河川等の橋梁の耐震補強事業とできれば同程度の補助率、二分の一への引上げを是非御検討をいただきたいというふうに考えますが、御答弁をお願いいたします。
  612. 羽田雄一郎

    国務大臣羽田雄一郎君) 平成七年の阪神・淡路大震災により山陽新幹線の高架橋が倒壊したこと等を踏まえて、鉄道事業者への指導により高架橋が倒壊しないようコンクリート柱の補強等を実施してまいりました。  現在、乗降客数が一日一万人以上かつ複数路線が接続する等の駅を対象とした補助制度のほか、平成二十四年度予算では、三連動地震等で緊急輸送道路に影響を及ぼす高架橋の耐震化について新たな補助制度により支援をしてまいります。  今後も、三連動地震や首都直下地震の発生に備え、鉄道利用者の安全性向上や早期復旧等の観点から、鉄道施設の耐震化をより一層推進するため、必要な対策について十分検討をしてまいります。
  613. 武内則男

    ○武内則男君 地方の鉄道、第三セクターを始め大変厳しい財政状況の中で、しかしやっぱり、そこに住民が通学や病院、買物、いろんなことでそういう公共インフラを使用しなければならない。そうした交通弱者の人たち、しっかりとその輸送をしていくための手段として、第三セクターで各地方自治体が一生懸命負担もしながら、何とかそれを維持していかなきゃならないというところで、ぎりぎりのところで踏ん張っているのが各地方のそうした鉄道だというふうに思っておりますので、是非、国家としても最大限のできる支援を御検討いただけたらというふうに思いますので、そのことを強く御要望しておきたいというふうに思います。  次に、パネル四をお願いをいたします。  過疎対策にも資する、実は森林吸収源対策についての推進するための税財源についてお伺いをしたいというふうに思います。  この間、民主党税調の事務局次長として二年間、私も議論に携わらさせていただきました。せんだって総理からも御答弁少しいただきましたが、また違う視点から、是非とも二十五年度税制に向けて政府としてしっかりとした意思を持って対応していただきたい、そんな思いを込めて御質問をさせていただきたいというふうに思います。  森林整備による吸収源対策は、化石燃料由来のCO2の吸収、固定に資する取組であり、地球温暖化対策のための税の趣旨にまさに合致をしているというふうに思います。平成二十四年度税制改正において化石燃料を課税ベースとする石油石炭税への税率の上乗せにより制度化がされましたが、実はその使途がエネルギー起源CO2の排出抑制対策に限定をされています。森林吸収源対策は化石燃料が排出したCO2を削減するための最も有効な取組であり、我が国が離脱した京都議定書の第二約束期間においても、国際的に合意をされたルールに沿って森林吸収量の算入上限値三・五%の確保を目指すこととされています。  適切な整備により成長力が旺盛な森林を育成することは、CO2の吸収量を増加させるとともに、木質バイオマス資源の充実につながり、将来的には再生可能エネルギーとしての利用により化石燃料の排出抑制にも資するものです。税の使途に是非、森林吸収源対策を新たに盛り込んでいただき、間伐の推進であったり、作業道や林業機械等、基盤整備を推進するための財源が安定的に確保されるようにするべきと考えますが、総理の御所見をお伺いをいたします。
  614. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 地球温暖化対策のための税は、税制による地球温暖化対策を強化するとともに、エネルギー起源CO2排出抑制のための諸施策を実施していくためのものでございます。  森林吸収源対策については、平成二十四年度税制改正大綱を踏まえ、平成二十五年以降の地球温暖化対策の国内対策の策定に向けて検討する中で、国全体としての財源確保を引き続き検討することとしておりますので、こういう過程の中で判断をしていきたいと思います。
  615. 武内則男

    ○武内則男君 ありがとうございました。  是非、この間、森林整備加速化基金の三年間の継続も、増額をして継続をしていただきました。今農水大臣でお座りになっている郡司大臣も農水の座長として大変御努力をいただきまして、地方にとっては本当に、三年間の基金の増額によって、自分たちが自ら、高知県なんかは特に八四%が森林なんですが、そうした多くの森林を抱えるところが、森を守り山を守り、そして河口を守っていく、川を守っていく。まさに日本の国土の形成、維持発展に最も資するすばらしい事業だというふうに思っておりまして、そうした三年間の増額した上での継続については改めて御礼を申し上げながら、しかし、そうした措置のみならず、しっかりとしたやっぱり財源としてのこの森林吸収源対策というものは、最も今、日本全国で求められている、地方都市が求めていることだというふうに思っておりますので、是非十分な御検討と英断をお願いをしておきたいというふうに思います。  質問の最後になります。少し時間を余しますが、時間の関係上、質問を最後にしたいというふうに思います。  最後に、実は野生鳥獣による農林業被害についてお伺いをしたいというふうに思います。  中山間対策、まさに過疎を抱える多くの中山間対策では、高齢化も進んでいます。そうした中山間対策の大変重要課題である鳥獣被害対策について、その鳥獣被害を軽減するためには、今の捕獲のみならず、防護柵の設置やあるいは防除活動などの総合的な取組が不可欠であるというふうに考えます。  幾つかの県ではこうした取組が前進をしているというふうにお伺いをいたしておりますが、しかし、多くのところでこの鳥獣被害防止総合対策事業の交付額が実は毎年度要望額に満たないという状況にあります。そうした中で、しかし、そうした鳥獣被害というものは大変、毎年毎年発生して拡大をしている状況にある。少しずつ少しずつやってもまたそこから被害が広がっていくという状況ですから、ある意味、例えば二年、三年、あるいはもう本当に数年掛けて一気にそうした対策というものが講じられていくことが最も望まれるわけですが、しかし、非常にやっぱり全国でその取組に大変苦慮しているというのが現状だというふうに認識しています。  こうした中、鳥獣被害防止総合対策事業予算額の拡充や、あるいは高齢化の進んだ過疎地域に配慮した予算配分など、鳥獣被害防止総合対策事業を更に拡大をして力強く推進をしていかなければならないというふうに考えますが、大臣の御答弁をお願いいたします。
  616. 郡司彰

    国務大臣(郡司彰君) 鳥獣被害でございますけれども、いろんなところに伺いますと本当にこの話をされることが多いというふうに思っております。  予算関係がございましたけれども、二十年度から始まっているこの予算は大体二十億円台で推移をしてまいりました。そして、二十三年度でございますけれども、百十三億円まで伸ばすことができました。二十四年度も同程度の事業規模ができるような措置をしているところでございます。  今ございました侵入防止柵等のハード事業についても、予算額を上回る要望がある中でございますけれども、各県への予算配分について、ございましたように過疎地域に配慮をするような配分等を行っているところでございます。  今国会におきましても、鳥獣被害防止特措法の一部の改正が行われました。今後、実施隊の設置を含めるなど、一層の推進を図っていきたいなというふうに思っております。  若干、その過疎地域に配分をした配慮が足らないのではないかというような御指摘もあったのではないかというふうに思っております。県によって違いますけれども、これから実施隊というものをつくっていこうというようなことで、加点主義も取らせていただいております。  若干、地元の高知県のことで申し上げますと、実施隊がまだ市町村の中で一自治体の設置というようなことにもなっておりますし、広域の取組ということもこれからの課題として残っているんだというふうに思っております。そうしたことを配慮しながら予算の執行について当たっていきたいというふうに思っております。
  617. 武内則男

    ○武内則男君 ありがとうございました。  準備をした質問は以上なんですが、財務大臣通告しておりません。質問をしていても、実は大変な予算を要するいろんな事業が様々ございます。しかし、そうしたことを、そうした国のやっぱりあるべき支援の在り方だとか、そういったことをしっかりやっぱり求められている。そういった、地方自治体に行けば、地方に行けば行くほどそういうニーズが高いというのが現状です。  過去の政権のことを僕とやかく言うつもりは全くありません。しかし、多くの借金を抱えたこの日本で、やっぱりこの日本の国が破綻をするだとか、個人でいえば破産をしてしまうような事態ということは避けるべきではありますが、財政の出動については厳に慎重な審議が必要だということは十分承知をいたしておりますが、しかしながら、東京に住んでいる人と、例えば東京や神奈川や都市部で十分な、銀行だとか様々なサービスが必然的に受けられる地域と、そうでないやっぱり地方に住んでいる、一人で、独居で住んでいる地方の自治体、そうした人に、住んでいる人たちも、命ということにおいては都市で住もうが地方で住もうが、それには全く差はありません。そうした人たちをしっかりサポートしていくということは、まずは前線の自治体がしっかりやることが大重要ですが、それを補完する国としての役割というものは大変財政上必要だというふうに思っています。  多くの予算を要する質問もさせていただきましたが、最後、財務大臣の御所見をお伺いをできればというふうに思います。
  618. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 過疎地を中心に、やはり基礎自治体の中にも財政力の弱い地域がありまして、都会にはない、例えば森林の問題にしても野生の様々な動物の被害等も、これは余り東京の人ややっぱり大都会に住んでおられる方の中にはない問題点だと思いますから、そういうことに困っている方に対して思いやりを持って対応していきたいと思っております。
  619. 武内則男

    ○武内則男君 終わります。ありがとうございました。
  620. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 関連質疑を許します。中谷智司君。
  621. 中谷智司

    中谷智司君 皆さん、こんにちは。民主党中谷智司です。  今日は、この委員会で本当に様々な課題について議論がされました。  今、私たちの住む日本というのは本当に大きな厳しい課題をたくさん抱えています。言うまでもありませんけれども、多額の公債を抱えて、人口減少、少子高齢化の中で、円高、デフレがあり、本当に様々な厳しい状況の中で年金や医療や介護、そして子育て、様々な課題を解決をしていかなければなりません。  そうした中で、野田総理がこれからの日本をどういうふうな方向に持っていこうとしているか、そのことを是非ともお伺いをいたしたいと思います。野田総理からは希望と誇りというお言葉をよくいただきますけれども、具体的にどういうふうな国をつくろうとしているか、その件についてお聞かせください。
  622. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 希望と誇りのある国をつくりたいといつも申し上げておりますが、希望のある国というのは、今日よりあしたが良くなるという実感と確信を持てる、それが前提だというふうに思います。そして、誇りの持てる国というのは、この国に生まれてよかったと思える国であります。  残念ながら、失われた二十年等々、この間停滞の中で、今日よりあしたが良くなると思える確信も実感も持てないし、下手をすると、自殺者の数とかを考えますと、この国に生まれてよかったと思えない人も増えているのかもしれません。その流れを変えていきたいというのが私の問題意識であります。  御指摘のとおり、少子高齢化であるとか財政の制約であるとか、ボトルネックはいっぱいあります。でも、そのボトルネックをしっかり一つ一つみんなの力で乗り越えたときに今日よりあしたは良くなるという実感が持てると思いますし、特に、今回参議院でも御議論をいただく社会保障国民生活に直結するものでございますので、その持続可能性をしっかり確保するということも今日よりあしたは良くなるという意味の実感に向けての第一歩だと考えております。
  623. 中谷智司

    中谷智司君 そういった強いメッセージを国民の皆さんにずっとずっと伝え続けることが大切だと思っています。  野田総理は、東日本大震災の復旧復興や、あるいは福島原発事故の収束、そして日本経済の再生、こういったことに取り組まなければならないとおっしゃっていますし、先ほど社会保障のお話が出ましたが、社会保障と税の一体改革は何としても成し遂げなければならない、そういうふうにおっしゃられています。  この社会保障と税の一体改革については今まで何度も何度も各委員会議論をされましたが、まだまだ国民皆様方にその内容が伝わっていない。そして、なぜこの社会保障・税の一体改革をしなければならないのか、そういうことも含めて伝わっていないと思います。  是非とも、もう一度野田総理のお言葉で、社会保障・税の一体改革をなぜしなければならないのか、そしてこの一体改革を成し遂げたときに日本がどうなり、そして社会保障制度がどのように良くなるのか、お答えいただけますでしょうか。
  624. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今回行おうとしている社会保障の改革は、一言で言うと全世代対応型のものにしていこうというのが大きな私は理念になっていると思います。  これまでは社会保障は、給付、これについては高齢者中心でありました。負担は現役世代中心でありました。給付の面においても、人生前半の社会保障に力を入れて、子育ての世代、働き盛りの世代、現役世代も社会保障の恩恵を受けられるようにするということ。今回〇・七兆円、子ども・子育ての部分に安定財源を入れるという措置もその大きな第一歩だと考えております。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕  そして、負担の面においても、これは現役世代の所得税であるとか保険料中心、それでは足りなくて、将来世代のポケットに手を突っ込んで将来にツケ回すというやり方をやってまいりました。  そうではなくて、みんなで助け合っていくという、支え合っていくという観点から消費税でみんなで負担をし合うと。給付と負担の世代間の公平化、全世代対応型にしていく、これが今回の改革の大きな意義だと考えております。
  625. 中谷智司

    中谷智司君 今、野田総理からお話をいただきましたが、この社会保障・税の一体改革については、残念ながら、多くの国民皆様方に増税の部分は伝わってはいますけれども、社会保障の部分というのがなかなか伝わっていないように思います。野田総理がお話をしてくださいましたが、日本の国では公債を抱えて、そして人口減少、少子高齢化が進んでいく中で、社会保障、つまり年金、医療、介護、そして今回は子育ても含めて社会保障制度を立て直していく、こういったことを改めて国民皆様方にきちんと御理解をいただかなければならないと思っています。  厚生労働省は、平成二十三年度の国民年金保険料の納付率が五八・六%で過去最低となったと発表されました。こうしたことも社会保障・税一体改革の背景の一つとなっていると思いますが、この件についての御見解を厚生労働大臣にお伺いします。
  626. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今委員がおっしゃいましたように、二十三年度の国民年金保険料の納付率が五八・六%、過去最低であった前年度と比較しましてもマイナス〇・七ポイントで非常に厳しい状況にあると認識しています。  主な直接的要因としましては、第三号被保険者の不整合記録問題で、この種別変更をした後、そこが納付に結び付いていないことや、納付率が高い高齢者の割合が低下したこともありますが、経済状況が厳しい、非正規労働者の増加など、構造的な課題もあるかと考えています。  この納付を向上させるために今年度から新たな数値目標を入れまして、また未納者の属性に応じました、戸別に訪問をするとかきめ細かな対応をするようにということで、日本年金機構に対しましても一層の取組を今指導しているところです。
  627. 中谷智司

    中谷智司君 今、いろいろな理由についてお話をしてくださいましたが、私は、根本的に国民年金制度の持続性に対する疑念が強まっている、つまり不信感が未納につながっているということを感じています。  それともう一つ国民年金というのは、自営業者やあるいは非正規雇用、そして無職の方など、厳しい経済状況影響を受けやすい、そういう方々が国民年金に加入をしている、こういうことにもあると思います。  それともう一つ国民生活基礎調査によれば、平成二十二年の一世帯当たりの平均所得は前年に比べ十一万六千円減少しています。また、十八歳未満の子供がいる世帯では前年より三十九万二千円減少しています。  こうした状況をどのようにお考えでしょうか。
  628. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今委員御指摘の点は、雇用者の所得が大きく減少したことですとか、子ども手当による所得の増加分はありますが、財産所得そのほかの所得が減少したことなどが影響していると思いまして、この調査結果は特に子育て世帯の厳しい状況を示していると考えています。
  629. 中谷智司

    中谷智司君 国民年金保険料の納付率のお話をさせていただきましたし、一世帯当たりの平均所得のお話をさせていただきましたが、これを見ても国民の生活が非常に厳しくなってきている、その中でも若い世代、子供のいる世代、こういった世代が非常に厳しい中で生活をされている、こういうことが分かると思います。  今回の社会保障・税一体改革、先ほど申し上げましたが、今までは年金、医療、そして介護に消費税が使われていたのが、今回は子供にも、つまり現役世代にも社会保障制度に予算が使われるということになった、このことが非常に大きなポイントだと思います。この子供のいる世代に予算を使うことによって日本の国がどのように変わるのか、副総理のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  630. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まず、我々は、チルドレンファーストということで子ども・子育て対策に力を入れるということを従来から申し上げてまいりました。そのうちの一つが現在の児童手当、名前は児童手当になりましたが、内容的には従来の児童手当と比べればかなり充実されたものになったというふうに考えております。  加えて、今回の社会保障・税一体改革の中で、子ども・子育てについて七千億のお金を投入して抜本的にこれを強化するということでございます。七千億というお金は、現在、幼稚園、保育所、あるいは子ども・子育てに係るお金は二・二兆円程度でありますから、かなり、五割近い増加になるということでございます。  具体的には、現在の幼保連携型認定こども園を発展させて、単一の施設として認可、指導監督などを一本化した上で、学校及び児童福祉施設として法的に位置付け、二重行政の解消を図ることにしております。そして、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付を創設して財政支援を行うということにしております。加えて、小規模保育、家庭的保育あるいは事業所内保育など多様な保育への支援の充実をすることにしております。  小学生につきましても、放課後児童クラブにつきまして小学校四年生以上にも拡充することにしておりまして、その結果として、現在の八十三万人程度の対象者を百二十九万人に拡大することにしております。  こういった保育などの量の拡充に加えて職員配置基準の改善なども行うということで、合計七千億、三党合意ではこれを一兆円に近づけるといいますか、一兆円という数字もいただいておりますので、しっかりと今までの子ども・子育て対策を抜本的に充実した、そういう新たな子ども・子育て政策を展開していきたいというふうに考えております。
  631. 中谷智司

    中谷智司君 本当に様々な点で子ども・子育ての政策を打ち込んでいこうというお話をいただきました。  小宮山大臣は、今までずっと、それこそ子供が明るく元気に健やかに過ごしていけるようなそんな日本をつくっていきたい、そういうことで子ども政策にずっとずっと一生懸命取り組んでこられましたが、今、岡田副総理がお話をされましたが、更に付け加えて、こんな社会をつくりたい、そういうことがあれば是非ともお聞かせください。
  632. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) やはり持ちたい人が安心して子供を産める、そして生まれてきた子供が安心して育つことができる、そのことがやはり高齢者の皆さんの支え手をつくるということにもなりますので、これまた非常に額が少なかったものを今回充実、二・七兆円のうちの〇・七兆円は子供に充て、さらに、あと三千億も三党合意の中でそこしっかり財源確保をするようにと、一兆円を超えるお金を子ども・子育てに使えるということは今回のやはり一体改革の大きな柱だと思っています。  今、若い方たちは二人は子供が欲しいと言っている方が多いんですから、持ちたい人が持ちたい子供を持てて、そのことによってやはり日本全体が将来に向けていろいろ希望が持てる、そんな形になるような第一歩に今回の改革がなればというふうに思っています。
  633. 中谷智司

    中谷智司君 岡田副総理からも、そして小宮山大臣からも、今回の七千億ではなくてもっともっと子ども・子育てのために支援をする予算を作っていきたい、そういうふうなお話をいただきました。これはもう是非とも実現をしていただきたいと思います。  そして、岡田副総理が放課後児童クラブのお話をしてくださいましたが、放課後に小学生の子供を預かってくれる学童保育については本当に今厳しい状況の中で運営がされています。この指導員の方々というのも非常に待遇が悪いんですが、ただ子供たちのためにという、その思いで皆さん一生懸命放課後児童クラブを運営をしてくださっています。この放課後児童クラブを含め保育を良くできるように、そして、ますますたくさんの予算を子供のために確保していただいて、未来に希望がある、そういうふうな日本にしていただきたい、そういうふうに思っています。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  社会保障の制度がどういうふうな制度になるかという、そういうふうなお話をしましたが、私は社会保障制度を改革をすることによって経済にとってもいい効果が生まれてくるのではないかと思いますし、経済にすばらしい効果を出していかなければ逆にならないんじゃないかと思っています。  この社会保障・税一体改革をすることによって雇用や経済がどのようになるか、その件についてお聞かせください。
  634. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まず、雇用であります。今回、医療、介護の分野で患者ニーズに応じて入院患者一人当たりの人員配置を手厚くするということ、あるいは在宅医療・介護の充実を図ることを考えております。そのことによって、二〇一一年度から二〇一五年度までの見通しとして約六十三万人から八十九万人の雇用拡大を見込んでおります。そして、子育て分野では、待機児童解消などのための保育あるいは先ほどの放課後児童クラブなどの量の拡充によって、二〇一二年度から二〇一七年度末までの間に約十三万人の雇用拡大を見込んでいるところでございます。このように、医療、介護、子ども・子育ての分野で量的、質的な拡充を図ることによって雇用が創出されることになります。  加えて、今回の社会保障・税一体改革を行うことで老後の安心ということにつながれば、これは現役世代も含めて消費の拡大ということが期待されます。そのことが経済活動を拡大することになります。あわせて、ライフイノベーションを通じて健康分野を成長産業として位置付けることで経済成長に結び付けるということも期待されるところでございます。
  635. 中谷智司

    中谷智司君 今、岡田副総理がお話をしてくださったように、社会保障制度の改革によってまずは安心感をつくらなければなりません。これは野田総理もお話をされていますが、やはりそれに加えて、これから私たちが何を仕事にして、そして、どうやって生活をしていくのか。つまり、経済の部分について野田総理は今までお話をされていますが、ただ、ここがやはり国民皆様方に伝わっていません。  新成長戦略やあるいは日本再生の基本戦略というものを政府として取り組んでおられますけれども、この点について、今までの評価と、そしてこれからどういうふうな方向に行くか、見通しについてお聞かせいただけますでしょうか。
  636. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) G20、G8等の国際会議に出ておりますが、今主要国の共通の課題というのは成長と財政再建を両立をさせるということであります。とかく社会保障と税の一体改革、財政規律的な話ばかりが続いているように見えるかもしれませんが、そういう一体改革をやるためにも経済の再生をより力こぶを入れてやっていかなければいけないと思います。  その中で、今、足下の経済の情勢でありますけれども、一月から三月のQEを見ると年率で実質成長率四・七%と、復興需要を背景にして緩やかな回復傾向があると思います。その復興需要を更に取り込みながら民需主導の体制にしっかりと持っていって、完全に景気が回復したと、デフレから脱却したと言えるような状況を早くつくり出していきたいと考えております。  そのためにも、一昨年の六月にまとめた新成長戦略をしっかり加速化させること、これはあえて厳しい検証をさせていただいておりますが、成果がどれぐらい出ているか、その厳しい検証を踏まえたボトルネックを超えた形で日本再生戦略というものをまとめていきたいと思います。その中には、グリーンイノベーションであるとかライフイノベーションであるとか、エネルギー・環境分野、医療、介護の分野、こういうものに力を入れていくことと、このほかに、やっぱりアジアを中心とした中間層を取り込んでいく、成長力、需要を取り込んでいく、パッケージ型のインフラであるとかですね、そういう外に攻めていくという姿勢も強く持っていかなければいけないと考えております。
  637. 中谷智司

    中谷智司君 国民皆様方は、将来に対して、そして今の生活に対して、何とない不安を感じています。それが、とりわけ若い人にとってはその不安感というのが非常に強いんだと思います。  つまり、国民が持っているこの不安感を吹き飛ばすのが政治の仕事だと思います。つまり、マイナスのことをお話をするのではなくて、やはりプラス面の強いメッセージを国民皆様方にお伝えをしていくのが政治家であり、総理の仕事であると思います。そういった前向きの議論をこれからもずっとずっと強く発信をしていただきたいと思います。  今、新成長戦略やあるいは日本再生の基本戦略について野田総理からもお話をいただきましたが、具体的に是非とも古川大臣にお話をいただきたいと思います。  この新成長戦略は、もちろん大きな成果が期待できるものもあると思いますが、そうでない政策ももちろん含まれています。そして、私が政治の世界に入らせていただいていつも感じていたのが、政府の政策というのは検証することが余りないなというのを感じていました。つまり、きちんとした検証をして、そして新しい次の一手というのを素早いスピード感を持って打ち込んでいくことが必要だと思います。  この新成長戦略について、検証を進めておられる、そしてそれを改良していこう、そういうふうな取組をしていると伺っていますが、今どういうふうに取り組んでおられるんでしょうか。そして、どういうふうな手を打とうとされているんでしょうか。
  638. 古川元久

    国務大臣(古川元久君) 委員おっしゃいますように、政権交代以来、やはり行政であっても誤りもある、しかも、やはり自分たちのやったことでもきちんとチェックをしていこうと。ですから、プラン・ドゥー・チェック・アクションのPDCAのサイクルをしっかり回していくということをあらゆる政策において行っております。  この新成長戦略、二年前にみんなでまとめたものも、まさにそうした視点から、先日、与党の皆さん方のお力もお借りして厳しいチェックをしました。かつての行政ですと、実施をしたと、予定どおりやっていますとそれだけでA判定をしちゃうわけなんですが、今回はそれだけではA判定にしませんでした。やっただけじゃなくて、当初その政策が目指していた成果が出たもの、その成果まで出ているものについてはA判定といたしましたが、しかし、まだ成果まで至っていない、やったけれども成果までには至っていない、例えば総合特区などは指定はしました、しかし、まだその特区を活用して実際に新しい企業が生まれたりとか、まだそこまで行っておりません、そういうものについてはB判定をしたという形でございます。  そのため、厳しくチェックをしましたから、A判定になった、成果まで出たものは大体一割で、そして、やっていると、しかし成果まで伝わっていないというものは、まだそれは六割あると。着手済みのものは、そのほか全体の中で九割は一部は着手していると。ですから、着手はしている、それはもう九割はあると。しかし、成果まで出たものはまだ一割だというところがありました。  ですから、そうしたものについてきちんと成果が出るように今後ともフォローアップしていく、そして、やったけれどもまだ成果まで至っていない問題は何かと、そのボトルネックを今回きちんと確認をして、そうしたものは今度まとめる日本再生戦略の中に盛り込む予定でございます。  この日本再生戦略においては、今後とも毎年できるだけ数値目標というものをきちんと置いて、この数値が達成できているかどうか、そうしたことで引き続きフォローしていくという形で、ただ計画をして実行をするだけじゃなくて、それが目指した成果まで結び付けていく。成果が出ないものはそのボトルネックをきちんと確認をして、成果が出るまでやっていくと。そうした取組を引き続き続けてまいりたいというふうに思っております。
  639. 中谷智司

    中谷智司君 先ほどから議論させていただいていますけれども、経済という面からすると、今、日本はいろいろな制約があって厳しい状況です。一つは人口減少、少子高齢化、そして円高、デフレ。しかし、そうした中でもいろいろな政策を政府が、国が打っていますが、その中でも結果が出ているものもあります。  例えば家電エコポイントは、予算総額六千九百三十億円に対して約五兆円の経済効果がありました。そして、経済波及効果が非常に高いと言われている住宅、住宅エコポイントは、予算総額三千八百八十八億円に対して約四・六兆円の経済効果がありました。そして、この円高で厳しいと言われている自動車業界についても、エコカー補助金などの政策効果もあり、国内自動車メーカー八社は平成二十四年度の世界生産台数が過去最高を更新をする見通しであるなど、自動車産業が日本の経済を引っ張っている状況です。  つまり、どういうふうな厳しい状況であっても、いい政策を打ち込めば必ず経済を成長させることはできると思います。ただ、片や一方で、先ほど古川大臣がお話をしてくださいましたけれども、きちんと検証をして、結果の出なかったものに関しては早い段階で次の手に変えていく、このことが何よりも重要だと思います。  政府では、名目成長率三%、実質成長率二%を上回る経済成長を実現しようと取り組んでおられますけれども、今お話をしてくださいましたが、更に追加していくべき政策があれば、是非ともその件についてお聞かせいただけますでしょうか。
  640. 古川元久

    国務大臣(古川元久君) これは先ほど総理からも御答弁がございましたけれども、やはりグリーンイノベーション、まさに今、環境の問題、エネルギーの問題で我が国は大きな制約に直面していますが、この制約をばねにしてグリーン成長を実現する、これは新成長戦略から続けているところでございます。  そして、ライフイノベーション、医療イノベーション五か年戦略も先日まとめました。この少子化・高齢化社会を逆に世界一の健康長寿国家をつくり上げていく、その分野でのイノベーションを実現していく、さらには成長するアジアを始めとする世界の需要を取り込んでいく、そうした形で世界とつながっていくというところがございます。  これが今までの新成長戦略の大きな柱でございますが、それに加えて、若者。やはりこれからの未来をつくっていく若者の雇用戦略というものをまとめさせていただきました。  さらには、日本の中でまだまだ活躍していただきたい、まだ十分に活躍していただいていない女性に活躍していただいて、女性の活躍によって経済を活性化していく、そのための取組も組ませていただきます。  さらには、中小企業。中小企業というのは日本の活力のやっぱり今まで原動力でありましたし、そして、この中小企業の中から将来の大企業が生まれてまいります。そうした中小企業、小さな企業を元気付ける、新しい創業や起業を元気付ける、そうした戦略というもの。  そしてさらには、やはり地域ですね。東京だけ、都会だけが繁栄してもやはり日本全体は元気になりません。やっぱり地域の活力を取り戻していく、そうした地域の活性化のための政策。  こうしたものを新成長戦略に更に加える形で日本再生戦略を取りまとめてまいりたいというふうに考えております。
  641. 中谷智司

    中谷智司君 今、古川大臣がお話をしてくださいましたが、ライフイノベーション、グリーンイノベーション、そういうふうなお話をしてくださいました。  多分、国民皆様方からすると、どう言ったらいいんでしょうか、なかなか理解しづらいところもあるんだと思います。そして、分かりやすく多分説明するのも政治家の仕事なんだと思います。だからこそ国民皆様方に分かりやすいメッセージを是非とも送っていただきたい、そういうふうに思います。(発言する者あり)ありがとうございます。  それともう一つ、これも古川大臣がお話をされていましたが、やはり成長するというのは、一つは、強みを生かしながらそこを伸ばしていって成長をしていくということ。それともう一点、日本には今様々な課題があります。つまり、課題を解決をしていきながら成長していく。この両方が必要だと思いますが、ただ、私は、日本の国を見ていた場合に余りにも多くの課題があり過ぎる。例えば人口減少、少子高齢化の中では、これからは医療や介護が必要になっていく。だから、そういう分野にますます重点的に力を注いでいかなければなりませんし、そして、人口減少をしていく中で日本の国が国力を保っていくためには一人一人が力を付けていかなければなりません。そういう意味では教育が大変重要なんだと思います。  そして、今日も東日本大震災のことが議論となりました。東日本大震災を受けて、私たちは命の尊さ、重さというのを改めて感じました。これからは防災や減災というものも、これも成長の一つにしていかなければならないと思っています。  こういった日本の課題を解決をしながら成長していく、こういう考えがこれからの日本にとっては、特にこれから近い未来の日本にとっては大変重要だと思いますが、その件について古川大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  642. 古川元久

    国務大臣(古川元久君) 委員おっしゃるように、日本は様々な課題に直面いたしております。この日本が直面している課題は世界に先駆けておりまして、言わば日本は世界の中のフロントランナーの地位に立っているんだという、そういう自覚を持っていかなければいけないと思います。  こうしたこの立場を、逆に制約をばねにして新しいモデルを日本でつくって、そしてそのモデルをまさに世界に発信していく、これが私は新しい日本の、言わば世界でのプレゼンスを高めることにもつながると思いますし、そして成長にもつながると思っています。  その意味で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、グリーン成長戦略やあるいは医療の分野、こうした分野で新産業や新市場を創出していくということ。また、さらには、人材をやっぱり、そのための、人が大事であります、人材を育成していくということをしていかなければいけないと思っています。その上で、やはり国民一人一人が、全ての人たちが居場所と出番の感じられる、そういう全員参加型社会を実現することが重要であるというふうに考えています。こうした中身を含めたトータルとしての日本再生戦略というものを近々まとめる予定でございます。
  643. 中谷智司

    中谷智司君 是非とも、そういったことを考慮に入れてこれからの日本の成長戦略というものを考えていただきたいと思います。  それともう一点。私の地元は徳島県です。つまり、徳島県で住んでいて、そして週末地元に帰って感じるのが、やはり都市と地方との格差です。人口減少、少子高齢化という日本の課題がありますが、これは地方に行けばますます深刻で、過疎化やあるいは高齢化が急速に進んでいて、そして限界集落が増えている。本当に深刻な状況です。この状況を、野田総理、どういうふうにお考えでしょうか。
  644. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 日本全体が元気になるためには、やっぱり地方、特に過疎化が進んでいるような地域において元気を取り戻すような、そういう施策の展開が必要だと思っております。その意味では、中山間地域やあるいは漁村等に対するいわゆる人材確保、地域の産業の活性化等々の施策というものを重要視していかなければいけないのではないか。特に地方の場合には、これは農山漁村、農林水産業に依存をしている傾向が強くあります。その産業の立て直しということをやっていくことが地方における元気を取り戻す第一歩になるのではないかと思います。  特に、去年の十月に食と農林漁業の再生に向けた基本方針行動計画を作りました。それに基づいて、新規就農増大であるとか六次産業化の推進など、政府を挙げて五年間で取組をすることになっていますが、その加速化をしていくことも地方の活性化には必要ではないかと考えております。
  645. 中谷智司

    中谷智司君 日本の良さというのは、もちろん都会にもたくさんあると思いますが、私はその多くが地方にあるのではないかと思っています。例えば伝統や文化であるだとか、人の温かみであるだとか、自然の美しさであるだとか、そして先ほど野田総理がお話をしてくださいましたけれども、まさにそれらを支えてきたのが一つは農林水産業であると思っています。  私は、地方は、以前からずっと言っていますけれども、中小企業とそして第一次産業、農林水産業が支えていると思っております。それがなおさら、山間部に行ったりあるいは海辺に行ったり、そういったところに行くと、そこを支えているのは農業者の皆さんであったりあるいは漁業者の皆さんであったり林業者の皆さんです。つまり、地域を支える産業としても大変重要ですし、私たちが生きていく上で欠かせない食料を農業者やあるいは漁業者の皆さんは確保をしてくださっています。そして、そこで住むことにより海を守り、そして山を守ってきたのが農林水産業に従事をされている方々だと思います。  農業のことについてお話をさせていただきたいのですけれども、この農林水産業もそうですし、そして農業についても本当にたくさんの課題を抱えていますけれども、郡司大臣は、今の農業の課題をどういうふうにとらえて、そして農業が非常に厳しい産業になってきていますけれども、この農業の再生をどのようにしようとされているか、その件についてお聞かせいただけますでしょうか。
  646. 郡司彰

    国務大臣(郡司彰君) お答えをさせていただきます。  農林漁業、地域にとりまして大変大きな役割を担っていると思っております。しかしながら、今現在、高齢化でありますとか、あるいはここ二十数年来所得が半減をするとか、あるいはまた地域が疲弊をする、こういうようなことが続いております。そうした中で、先ほど総理が言われましたような再生の考え方というものを取りまとめました。そのことをしっかりやっていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、まず何よりも、地域が高齢化その他によってしわ寄せを受けるというのは、やはり農林漁業があるところだと思っています。  その意味では、今、例えば畑やその他のところで出している値段が、市場が一〇〇とすると大体三五というのが農家の方の手取りということになっています。ここに付加価値を付けて、所得を増やして、雇用を生み出して、地域を活性化させる。例えば、六次産業化というような手法をもって元気を取り戻すようなことをしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
  647. 中谷智司

    中谷智司君 今、郡司大臣から、課題であるだとか、あるいはどういうふうにして農業を再生しようかというお話をしてくださいました。  農業者の皆さんの所得が減ってきている、そして農業者の数が減ってきている、そして高齢化が進んでいる、なかなか新しく担い手の方が入ってきてくれない、こういうふうな厳しい状況の中では、私はやはり農業の所得が低いというのがその根っこにあると思っています。つまり、農業をもうかる産業にすることができれば、若い方々が是非とも農業に取り組みたい、そういうふうな思いを持って農業の世界に飛び込んできてくださると思います。もうかる農業にするということが何よりも重要だと思いますけれども、農林水産省としてどういうふうな取組をされているか、お聞かせいただけますでしょうか。
  648. 郡司彰

    国務大臣(郡司彰君) 一つは、私どもの政権になりましてから農業者の戸別所得補償という制度を取り入れさせていただきました。これはいつも、原則的に、作った値段の方が売り値段よりも高くなるような逆転のところを穴埋めをしながら将来を見通せるような農業の構造をつくっていこうというようなことでございまして、このモデルの形、水田から始まりまして畑作まで今進んでまいりました。そのことによって、まだ水田の部分の数字しか出ておりませんが、何年かぶりに所得が向上をしたというようなことが一つございます。  それから、先ほど言いましたような六次産業化、これは徳島でもいろいろな取組がされておりまして、これまで日本の中においては男性が百人だと女性が百三人、女性の方が多いというのが日本の農業の特徴でございます。この人たちがこれからいろんなところで起業をしていこう、地域の活力をつくっていこう、そのような取組について、私ども今、今国会でそれに役立つような法案提出させていただいておりますので、これから御審議をいただきまして、そのようなファンドの立ち上げ等もやりながら女性の力を生み出す、こうしたことを兼ね合わせて、所得の減少、こういうものに歯止めを掛けていきたい、そのように思っております。
  649. 中谷智司

    中谷智司君 農業をもうかる産業にしていくこと、つまり所得を向上させていくというのは、郡司大臣がお話をしてくださいましたように、六次産業化によって値段を、少しでも付加価値を付けていくだとか高めていくだとか、あるいはブランド化をするだとか、あるいは大規模化によって効率を上げていくだとか、あるいは戸別所得補償というお話をされました。  特に戸別所得補償制度については、確かに私もすばらしい制度だと思います。ただ、御存じのように、その選ばれている品目というのが数少なくて、例えば私の地元の徳島のように、果樹であるだとか野菜農家の皆さんが多い場合には、これは残念ながら適用されません。  そして、予算の制約もあってなかなかそれを広げていくこともできにくいのかもしれませんが、例えば実験的にどこかの地域を選んで、例えば徳島を選んでいただけると非常に有り難いんですけれども、こういうふうなモデル地域を選んで実験をしていくような、そういうふうな取組等は考えておられないでしょうか。
  650. 郡司彰

    国務大臣(郡司彰君) 中谷議員御存じのことだというふうに思いますけれども、戸別所得補償の基本的な考え方は、構造的に生産費と販売価格の差が出るものについて埋めていこうというようなことでございます。そうしますと、畑作の場合には、年に何作かを行うような形の中で、平準化すると全体としてもうけが出るような場合もございます。果樹についても、構造的に必ず生産費を販売価格が下回るという形にまでは今のところなっていないという現状があります。もちろん、天候その他のことによっていろいろ出てまいりますから、そのことに対しては一定程度、これから全ての作物含めて収入保険的な手法も考えていくということが安定のためには寄与するものではないかなというふうに思っているところでございます。
  651. 中谷智司

    中谷智司君 農業をもうかる産業にしていくというのは、まだまだいろんな取組ができると思いますし、それこそ打ち込める手というのは全て打ち込む、それぐらいのことを是非ともしていただきたいと思っています。  そして、日本の中では人口減少、少子高齢化が進んでいきますけれども、世界に目を向けると、人口は七十億人を突破していて、そしてこれからもまだまだ成長をしていこうという国はたくさんあります。そして、企業であるだとか、あるいは中小企業というのはこれからますますそういうふうな方向へ出ていこうと積極的に取り組んでいますけれども、農水省としてどういうふうな取組をしておられるんでしょうか。
  652. 郡司彰

    国務大臣(郡司彰君) これから世界の中で日本の農産物を販売をしていくということも大きな戦略であろうというふうに思っております。  その中で、私どもも昨年来、そうした検討をした上で方針化をしたことがございます。それに沿ったような形でこれから、しかしながら、昨年、不幸なことに風評被害を起こすような原発の事故がございました。そのことによって今閉ざされている国、あるいは国内の県というものがあるわけでありますけれども、そうしたものの安全を図りながら、しっかりとした戦略の中で日本の農林水産物というものを世界の中で打って出る、そのようなことをきちんとやっていきたいというふうに思っております。
  653. 中谷智司

    中谷智司君 枝野大臣にお伺いをしたいのですけれども、私は国会で経済や財政や金融を専門にずっと仕事をしてきました。そして今、農林水産業をやらせていただいているんですけれども、この中小企業と農業の課題というのは、実は重なる部分が非常に多いと思っています。つまり、日本ではすばらしい中小企業が技術を持っているけれども、それを広めていくのがなかなかうまくできない、営業力であるだとか販売展開だとかが非常に弱い。これは多分、農業であり、漁業であり、林業であっても同じようなことが言えると思います。  つまり、これから農業や漁業や林業を成長産業としてこれからも成長させていくために枝野大臣はどういうふうな取組をしたらいいか、是非ともお聞かせいただきたいと思います。
  654. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 農業はこれからまだまだ潜在力のある、伸びていける成長力のある産業だと思っております。既に農商工等連携促進法がございまして、これに基づいて商品開発その他支援をいたしておりますが、どうしても農商工連携といいますと食品加工みたいなところが中心に行われてきたかなという側面があります。  しかし、それ以上に潜在力がありますのは、我が国の物づくりの様々な技術を農業に応用するということ、それから、我が国の広い意味での三次産業のネットワークというものを農業とうまく結び付けること、このことによって成長ができると思っています。  例えば、いわゆる野菜工場というのがかなりいろいろなことが進んでいまして、実は被災地でも陸前高田市でドーム型の植物工場を、これは製造業の技術等を活用した先端的な農商工連携の実証化研究ということで、予算も付けさせていただいて進んでおります。  複雑なことを長く話すつもりはありませんが、こういったドームみたいなところで野菜工場をやるときはいかに燃料費を抑えるか、燃料費を抑えるにはいかに体積を小さくするかと。ここのためには、日本の様々な物づくりの、決してすごいハイテクではないんだけれども、いい組合せをすることで大変効率的なドーム型の野菜工場が、私も現場、神奈川で見てきましたけれども、ありますし、それから今、様々な、特に女性が起業、業を起こすということの中で、農業者と消費者とか、農業者とそれから例えば飲食業などをネットワークすること自体をビジネスにしてしまっていると。これで何とかちゃんとやっていますよというような話、実は昨日だったか直接伺ったんですが、こうしたところを最大限支援をしていくことで農林水産業を後押ししてまいりたいと思っています。
  655. 中谷智司

    中谷智司君 ここに閣僚の皆様方がいらっしゃいますが、各省間でいろいろなノウハウをお持ちになっておられると思います。そして、日本の国というのは縦割り行政だということを言われています。やはりその各省庁間の壁をぶち破って、これから日本の国が成長していけるようにそれぞれの省庁間で取り組んでいただきたい、そういうふうに思っています。  そして、先ほど農業の担い手のことが問題になっているというお話をさせていただきました。もちろん、もうかる農業にすれば担い手というものも増えてくるんでしょうけれども、それを待っていられない状況というのもあります。  今、農林水産省で新規就農総合支援事業として百三十六億円の予算が組まれています。この政策は私も大変良い政策だと思いますし、地元でお話をさせていただいても非常に高い評価をいただいております。ただ、まだまだその受給の要件が分かりにくいだとか、そういうことはありますけれども、全般的には高い評価をいただいています。そして、青年就農給付金というのがあって、これは新規に農業をやっていただいた場合には百五十万円の支援をするという制度なんですが、これは全国でも非常に希望が多くて、二倍ほどの利用希望が寄せられていると伺っています。  新しい人材に農業に取り組んでいただく大変大きなチャンスだと思います。この新規就農総合支援事業の予算を更に上積みをするべきだと思いますが、その件については、郡司大臣、どのようにお考えでしょうか。
  656. 郡司彰

    国務大臣(郡司彰君) 今の全体の枠組み、そして、その中の特に青年就農給付金等についても御言及をいただきました。  青年就農給付金につきましては、今年は予算上八千二百人ぐらいの枠を考えておりましたところ、一万五千四百人というような大きな応募をいただきました。これは大変に有り難いことだ、そして、その思いというものを無駄にしないようなことをこれからやっていかなければいけない。今年、じゃ、その方々をどうするんだということになりますと、これは今ある予算の中で使えるようなものはできるだけ使っていこうということもやっていきたいというふうに思っております。  しかし、この数字になりますと、なかなかそれだけでは難しいということもございましょう。これからもし補正等というようなことがございましたらば、私どもとしてはここに充当するようなこともしっかり考えてやっていきたいし、これ以降、次年度の予算の中においても、この新規就農の支援ということについては意を用いていきたいなというふうに思っているところでございます。
  657. 中谷智司

    中谷智司君 是非とも、若い方々に農業に従事していただく大変大きなチャンスだと思いますので、前向きにお考えいただきたいと思います。  そして、農業について今お話をさせていただいていましたが、林業についてもお話をお伺いをしたいと思います。  所得が減ってきている、あるいは後継者がいない、そういう課題からすると林業も農業と同じ課題を抱えていますが、ただ、深刻さの度合いからいうと林業の方がもっともっと深刻な状況にあります。この林業の立て直しについて、郡司大臣はどのようにお考えでしょうか。
  658. 郡司彰

    国務大臣(郡司彰君) 森林・林業についても大変厳しい時代が続いてまいりました。自給率も二十数%まで落ち込んだこともございましたが、今若干ながら回復をしております。そして、それをしっかりとした道筋のものにするために、再生プランというものを二十一年の暮れに作成をさせていただきました。今、ようやくそれにかかわる整備をするための法律等が今国会の森林法改正で一段落をいたしました。  これからは具体的なことにつきまして、例えば、川上におきましては路網の整備でありますとか施業の集約化及び人材育成等、川下におきましては国産材の加工、流通構造の改革や住宅、公共建築物等への木材利用の促進、そしてまた再生エネルギーの大きな柱に木質バイオマス等の利用拡大等を考えておりまして、これらのことを組み合わせて、森林・林業というものを本当に日本の中の雇用の創出ができる成長産業として、宝の山として再生できるように頑張っていきたいと思っております。
  659. 中谷智司

    中谷智司君 今、郡司大臣が宝の山と言ってくださいましたが、まさに森林は水源を養い、表土の流出や洪水を防ぎますし、日本の大気がきれいで適度な湿り気があるのも森のおかげです。そして、もちろん産業としても大変重要ですし、地域を守っていくためにも大変重要です。是非ともこの林業の再生について今まで以上に全力で取り組んでいただきたいと思います。  今日は様々な角度から議論をさせていただきました。そして、今日一日、この予算委員会での議論を聞かせていただいて、様々な課題をそれぞれの議員の方々がお持ちだということも分かりましたし、是非ともこれを、野田総理や閣僚の皆さんが必ずこの課題を解決する政策を練り上げていただきたい、そういうふうに思っています。  今日は本当に貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。
  660. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で武内則男君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言は全て終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会