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舛添要一君 今日は、
野田内閣の
基本姿勢というテーマでございますので、ここのところずっと
民主党政権の在り方を見てきて私が感じるところを率直に申し上げたいと思っています。
民主党が掲げる政策、様々な理想が込められていますし、例えば控除から手当へと、こういう
税制改正の方向については私は合っている、適切だと思っていますし、格差の是正をうたっていることについても今の時代の要請にかなっていると思っております。
じゃ、そういう政策がなぜ実現できないのか。
皆さん方、これはねじれ国会だということをおっしゃいますけれども、しかし、私は安倍
内閣、福田
内閣、麻生
内閣で
大臣を務めましたけれども、そのときもねじれ国会でした。だから、ねじれ国会に全ての責任を押し付けるわけにはいかないと思います。私は、最大の問題は、
総理、理想はいいんですが、現実の裏打ちがないとそれは政策として失敗すると、そのことに尽きると思います。
じゃ、そのためにどうすればいいか。
一つは、徹底した情報公開なんです。そして、現場第一主義。実務者、現場、これが分からなくて、霞が関だけ、永田町だけで政策立案することはできません。今日、私が具体的にも格闘した、
大臣として苦労した二つの問題を例に取りながら、そのことを申し上げて、また
総理の御見解を賜りたいと思います。
一つは新型インフルエンザ対策。この度、新型インフルエンザ等対策特別措置法というのが
衆議院で通りました。私はこれ、よく読んでみた。しかし、残念ながら、私が新型インフルエンザに
大臣として対応したときの経験、それが十分に生かされていない。つまり、もっと言うと、危機管理というのは、この法律を作ることが危機管理じゃないんです。むしろ逆行する面があるということを、これは同僚の
皆さん方にも申し上げて、
内閣委員会で
審議されますから、私は是非、参議院においては参議院らしい
議論をして必要な修正を加える、そういうことを同僚の
皆さんにも申し上げたいと思います。
総理、具体的に申し上げた方がいいんで、あのときは強毒性の、つまり、鳥インフルが来るということで全部厚生労働省の行動計画作っていた。最初、強毒かどうか分かりません。メキシコで七十人死んだというから、これは大変だと。しかし、やってみたら豚インフルで弱毒だったんです。作ったもの、何の役に立たないどころか、手かせ足かせになってしまう。
それで、もう
一つ具体的に言いますと、発熱外来を病院につくって、新たに造るんですよ、建物を。造るって、プレハブでもいい。そこに患者を連れてきてそこでやれと。これ、現実にやって、現場、神戸ですよ。野戦病院のようになって、医師は足りない、大変だった。結果は、そんなところに連れてこないでタミフルを飲ませてうちにじっとさせておくのが最適だったというのは後で分かるんですね。だけど、このときに、厚生省の役人、医師免許を持っている医系技官が分かりますか、
大臣が分かりますか、
総理が分かりますか。分かっているのは現場の第一線で闘っているお医者さんなんですよ。患者の症状がどうだ、どれぐらい熱がある、子供にとってどうだ。だから、最終的に現場に任せると。私は
大臣の責任、私、責任取るから全部現場でやれと、発熱外来やめて、それによって動くようになった。
それからもう
一つは、これは大阪の橋下知事が、あの当時、何とか助けてくれと携帯電話へ掛けてきた、どうしようもない。それで学級閉鎖やるんですよ。ところが、大阪市と堺市は政令指定都市だから知事の権限が行かない。大阪府はやるんだけれども、大阪市と堺市で学級閉鎖やらなきゃ物すごい蔓延になる。さあ、それでやりました。もう翌日から大阪市、堺市も後、続いてきたんですけれども、今度は解除するのが難しいんです。つまり、早く解除しないと日常活動ができなくなる。今度、大阪府知事は、何とか解除してくれと。そのときになぜできたかというと、つまらぬ法律がなかったからできたんです、はっきり言うと。つまり、手かせ足かせがあったらできないんで。今、感染症法というのがあります、検疫の法律があります、予防接種法があります。それだけを十分に活用して、
大臣がしっかりして、厚生労働省もしっかりして、
総理大臣もしっかりしていたらできないことないんです。
ところが、この法律の中に私が今言った政令指定都市の問題があるから、これは知事の権限でやれるようになっている。そこはいいんですが、厚労
大臣や知事がお医者さんにこうやれということを指示できることになっているんですよ。
総理、分かりますか。
総理は医者じゃないでしょう。私も医者じゃないですよ。インフルエンザが来たときに現場の医師に任せた方がいい。現場の医師がこう変えてくれって言ったら聞きますよと書いている条文ならいいけれども、おまえらのやることは適切じゃないから
大臣や知事はつまり命令してこうさせるような文言があるんですよ。
例えば、こういうことをきちんと
議論、
民主党の中で、これ閣法で出していると思うので、おやりになったのかどうなのか。是非これは、同僚の
皆さんに申し上げますけれども、よく
議論しないと、これを作りゃ危機管理じゃないよということなんです。いかがでしょうか。