○中村博彦君
自由民主党の中村博彦です。
私は、
自由民主党・
たちあがれ
日本・無所属の会を
代表して、ただいま
議題となりました
一体改革関連八
法案に関し、
賛成の
立場から
討論いたします。
冒頭、一言申し上げます。
残念なことが起こりました。本日、李明博大統領が
我が国固有の領土である竹島を訪問するとされている件に関して、本日の
記者会見で森本防衛
大臣が、韓国の内政問題であり、他国の内政にコメントは控えるべきとの
趣旨の発言をしました。これは竹島が韓国の領土であることを認めていると取られかねないとんでもない発言であり、国土防衛を担当する
大臣として明らかに不適格であります。森本防衛
大臣に対しては、即刻辞任されることを強く求めます。
衆議院で当初
審議された
政府提出法案は、数々の欠陥を持った極めて問題の多いものでした。
衆議院における
審議の中で浮かび上がった問題点について、
自由民主党、公明党、
民主党が修正
協議を行い、三党の
合意により修正、見直しをしたものが現在の
議題となっている
法案であります。
政府の当初案は、
社会保障と税の
一体改革とは名ばかりで、年金、医療、介護のいずれを取っても、あるべき
社会保障制度全体像を
国民に示さず、いたずらに
国民に
負担を求めるばかりの
増税先行
法案でありました。特に、
民主党の看板であった後期高齢者医療制度の廃止や最低保障年金制度について何ら具体的な姿は明らかにされていませんでした。中でも最低保障年金は、
民主党の
マニフェスト段階では誰でも最低七万円をもらえるという幻想を
国民に与えておきながら、
社会保障制度改革案では実現不可能のものでした。まさに
国民に対する裏切りそのものであります。
このような
政府・
民主党の
社会保障政策の誤り、
マニフェストの破綻が当初の
法案審議を通じて明らかになり、多くの点が与
野党協議を経て是正され、我々が
賛成できる本
法案に至ったことは大きな進歩であります。
しかし、今回の
法案にはまだまだ不十分な点も多くあります。例えば、今最も
国民的な
合意が必要な医療保険制度や介護保険制度の給付の重点化、効率化については、今回の
法案では具体的になっておりません。現行制度を徹底的に検証し、
国民ニーズにこたえる制度
改革が急務であります。
我が国の社会
経済情勢を考えたとき、デフレからの脱却、景気回復を最優先しつつ、持続可能な
社会保障制度を構築することが私
たちに与えられた大きな使命です。
そのために、既に自公政権時代に年金の国庫
負担の二分の一への引上げなどの
改革を進めてまいりました。また、
社会保障に対する
国民の信頼を確保するためにはその
財源を安定的に確保することが重要であると考え、
平成二十一年度の
税制改正に係る所得税法等の一部を改正する
法律附則百四条に、
税制の抜本的な
改革の道筋と基本的な方向性を定めました。今後は、税金や社会
保険料を
負担する
国民の側に立って
負担の増大を抑制する
改革案を作ることが不可欠であります。
もちろん、このような
趣旨は総論として
社会保障制度改革推進法案に入っているわけですが、具体的な検討はまさにこれからであります。
法案では、自助、共助、公助が適切に組み合わされ、年金、医療、介護は社会保険制度を基本とすることなどの考え方が示され、今後、
社会保障制度改革国民会議において、閣議決定された大綱にこだわらず、幅広い観点からの議論が行われることになります。
政府・
民主党は、
社会保障を充実すると言いながら、安易なばらまき
政策で
国民の目先をごまかそうとしています。自然増を容認し、抑制する
改革せずして、真の
社会保障の充実はありません。このままではすぐに再
増税が必要になります。年金、医療、介護における現行制度の高コスト、非効率な部分を見直し、効率的で持続可能な
国民の納得する安心制度を構築することこそ、真の
政治の
責任であります。
また、
財源がある、
増税は必要ないと言っている方々も
国民をだましていることに変わりはありません。五年先、十年先の少子高齢・人口減少社会の
我が国を見るにつけ、
国民の痛み伴う
改革が必要だとなぜ言えないんですか。なぜ
国民に迎合するんですか。言えないわけではありません。言う勇気がないんです。既に破綻している
マニフェストにこだわり、ばらまき
政策を示し、
国民受けをする、耳触りの良いことばかり言っている
政党も、
国民の将来に対して無
責任であり、政権を担う資格はないとはっきり申し上げておきます。
今回の
法案について細かい点はこの場で申し上げませんが、三党
協議の結果を受けて、さきに触れた以外にも以下のような点が改善されたことは、我が党として大いに評価しているところであります。
消費税については、低所得者への十分な配慮がなされ、複数税率の導入に関する検討規定、景気条項の中の
成長戦略や事前防災への重点配分の規定などが盛り込まれたこと、また、住宅や自動車の取得に関しては十分な対策の検討が盛り込まれたこと。年金制度については、社会保険制度の根本原理に反するような低所得者等への年金額加算、高所得者への年金額調整などの規定が削除され、別途、福祉的給付に関する規定が追加されたこと。
子ども・子育てについては、
政府・
民主党が提案した
総合こども園制度を撤回し、現行の認定こ
ども園制度を基本に制度を拡充することとなりました。待機児童の解消、就学前教育の充実は待ったなしであります。
日本の未来を担う次
世代を育成する
政策は、まさに正念場を迎えております。これらはいずれも
法案の根幹にかかわる重要な修正であります。
元々の
政府案では、こうした基本的なことすら極めて不完全なものだったと言わざるを得ません。
震災復興の数々の
法案もそうでしたが、
政府・
民主党が現場無視の
法案を
提出し、与
野党協議で我々がそれを丁寧に修正して初めてまともな
法案になって
成立するというプロセスが恒例のようになっております。
民主党の政権担当能力の欠如によって、どれだけ多くの国益が損なわれ、どれだけ多くの
国民が苦しみ、どれだけ多くの時間が無駄に費やされているか、
民主党政権の三年間について
民主党の閣僚以下全員が猛省すべきであります。
社会保障制度の在り方について、本
法案の
成立により本格的な制度づくりが始まります。これからの
日本のあるべき姿を構築するに当たり、一体誰が
責任を持って取り組むのか。
社会保障制度改革に対する
国民の声、現場の声、
選挙を通じてしっかりと聞くべきです。
野田総理は、速やかに解散・総
選挙を行い、
国民の審判を受けて一から出直すべきであります。
私
たち自由民主党は、税金や社会
保険料を納付する……