○佐藤正久君
自由民主党の佐藤正久です。
私は、
自由民主党・たちあがれ
日本・
無所属の会を代表して、ただいま
議題となりました
田中防衛大臣問責決議案に
賛成の
立場から
討論いたします。
本院は、昨年十二月、一川前
防衛大臣の
問責決議を行いました。二代続けて
防衛大臣の
問責決議は誠に遺憾、こうした事態を招いた
野田総理の
任命責任は極めて重い、このことをまず申し上げます。
私が
問責決議に
賛成する
理由は、
防衛大臣としての基本的
知識の
欠如、
指揮官としての
判断力の
欠如、そして政治家としての誠意の
欠如の三つであります。
まず第一の
理由、
防衛大臣としての基本的
知識の
欠如であります。
田中大臣は、
自衛隊が合憲とされる根拠、
武器使用基準、米海兵隊の
抑止力の意味、普天間基地や代替施設を
沖縄県内に置く
理由といった基本的な
知識すら持っていないことが、これまでの言動を通じて明らかになりました。
私は、何度も
委員会で質問に立たせていただきました。しかし、
田中大臣の余りにお粗末、何も答えられないという状況が質問のたびに繰り返されました。そのため議論の入口にも達しない、あるいは達したとしても議事録にも残したくないような
答弁が繰り返されています。一体この内閣は国家の防衛を何だと思っているのかと、約二十七年間、
自衛隊員として国家に奉職した者として、怒りを通り越し、悲しみ、そして絶望感すら覚えました。
そもそも、
防衛大臣には、
防衛省という行政機関の長という
立場と、二十七万人
自衛隊の運用組織の
指揮官という
立場があります。最低限の
知識がなければ、部隊運用もできなければ
国民にも
説明できません。今般の
北朝鮮弾道ミサイル対処でも、陸海空の部隊展開を自ら命じているのに、その法的根拠もあやふや。さらには、落下物の迎撃用
PAC3を宮古島と石垣島には配置したものの、その中間の多良間島には配置しなかった、その
理由を、多良間村の人口が約千三百人と少ないからだと、驚愕するようなとんでもない
答弁。これでは、村民も派遣を命ぜられた隊員もたまったものではありません。
あなたは、
防衛大臣としての
知識どころか、防衛のイロハも分かっていない。がゆえに、部隊運用にも支障を来し、
国民にも誤解や不安を抱かせてしまう。これは誰の目にも明らかですが、あなたは、
自衛隊の
指揮官としては全く不適であります。
田中大臣は、長年国
会議員を務めたにもかかわらず、このていたらく、まさに学習能力がないということです。これでは、幾ら
大臣が今後はしっかりやると言っても、改善は全く見込めないと言わざるを得ません。
第二の
理由は、
指揮官としての
判断力の
欠如であります。
質問が分からないだけで周章ろうばいする人が、国家の危機に際して落ち着いて
判断ができるはずがありません。
田中大臣に安心して国防を任せられると思う人が果たしているでしょうか。まして、
田中大臣に命を預けてもよいと思う人が果たしているでしょうか。いるはずがありません。
大臣が余りに情けない姿をさらし続けるので、一部の方には、余りいじめたらかわいそうじゃないかという意見もあるようです。しかし、国家の命運を左右するポストに誰が見ても明らかに不適格な人が就いているわけですから、かわいそうなのはむしろ
国民であり、今すぐにでも替わってもらわないと困るのです、危ないのです。その不適格者を替えるのが、任命権者である
野田総理の
責任であります。
また、今般の
弾道ミサイル対処においても、
自治体への連絡の遅れは
国民の保護を怠ったことを意味します。実際に、宮古島の学校では、テレビ報道で
ミサイル発射を知り、校内放送を発し、屋外の生徒が慌てて校舎に戻って安全を確保した場面もありました。あれだけ準備しておきながら、本番でのこのていたらく、
北朝鮮の
ミサイル発射も失敗しましたが、
野田内閣の危機管理は大失敗です。弾道
ミサイルは
発射して僅かな時間で極めて遠方まで飛ぶのですから、できるだけ早く警報を出さないと、万一に備えた行動を
国民も
自治体も取れないのは誰でも分かる道理です。
しかも、米国から
早期警戒情報だけでなくイージス艦レーダー
情報ももらい、
田中大臣御
自身も
米軍イージス艦がとらえた
ミサイルの弾道を確認しています。しっかりダブルチェックしているじゃないですか。しかし、
田中大臣の
国民への周知は、何と
発射から四十五分後です。米国や韓国は早期に
ミサイル発射を発表しましたが、
田中大臣は、米国とほぼ同じ
情報を持っているにもかかわらず、四十五分後、この差は何でしょうか。まさに、
田中大臣の
判断力のなさの証左です。あなたは、
国民の命を危機にさらしたも同然です。何度も言いますが、
田中大臣には無理です。
また、当初の取決めでは、
ミサイル発射の最初の政府発表は官房長官が行うはずでした。ところが、
田中大臣は、官房長官と連絡することなく、また、
官邸が
自治体に発信しているエムネット
情報の
内容も確認することなく、
ミサイル発射の
記者会見を勝手に開いてしまいました。まさに、緊要な時期における
田中大臣、これはあなたの暴走ですよ。結果、政府内は混乱の極み、
田中大臣の
ミサイル発射記者会見から七分経過した後の
官邸発
自治体向けエムネット
情報は、いまだ
ミサイル発射を確認中との
田中大臣の
記者会見を否定するものでした。
国民への連絡の遅れ、また政府内混乱の主な原因は、
田中大臣の
判断力にあったと断じざるを得ません。実際、
田中大臣自ら、
国民の皆さんにいら立ちの思い、不安を与えてしまったことは大変
反省していると陳謝されています。
防衛大臣の
責任は極めて重いと言わざるを得ません。
第三の
理由は、
田中大臣は政治家としての誠意に欠けていることであります。
例えば、
PKOの
緊急撤収計画を読む必要があると
答弁しておきながら、次に私が質問したところ、表紙は報告を受けたと答えました。読むと言っておいて読んでいない、表紙だけ読めばよいという態度で、誠実に職務を行っていると言えますか。命を懸けている隊員の安全を守るという気持ちが本当にあるのですか。むしろ、この有様で隊員の命を守る気持ちがあると答えられるはずはないと思います。
沖縄問題でも同様です。
田中大臣は、
埋立許可申請を六月までに行う、年内に
着工すると無神経にもぽろりと
発言しただけでなく、普天間第二小学校屋上では、ヘリが降りてくるケースはそんなに多いわけじゃないんでしょうと、全く配慮に欠け、危険性除去に真剣に取り組む姿勢が全く感じられない
発言をするなど、
大臣がいかに仕事を軽く
考えているかを示す言動は数え上げれば切りがありません。
これらは全て言い間違えなどでは済まされません。事の本質を探求し、諸問題を真面目に
考えていないという誠意のなさが、そういった耳を疑うような
発言を招いているのです。まずは、
防衛大臣である前に、政治家としての心構え、あるいは仕事の仕方の問題をしっかりととらえるべきです。
私は、自衛官時代、国
会議員時代を通じて多くの防衛庁長官、
防衛大臣を見てきました。しかし、
田中大臣のような方は初めてです。不適切な
発言が多いというより、適切な
発言がほとんどないのです。まさに、前代未聞、歴史に残る
大臣であることは間違いありません。
元自衛官の私がこの場で、国家
国民のためとはいえ、
防衛大臣の
問責の
討論を行っている。私の心の中は、悲しみあるいは本当に落胆の気持ちでいっぱいです。しかし、
野田総理が無知の知という言葉を出してまで
田中大臣をあくまでかばい続けるのであれば、我々の手で交代を求めるしかありません。これが、我々が
田中防衛大臣の
問責決議に
賛成する
理由であります。
最後に、
大臣、今年の東京の桜も散りました。花は桜木、人は武士。いにしえより
日本民族は、桜のごとき潔さを尊んできました。
田中大臣、事ここに至る前に潔く自ら身を処されなかったことは、残念の極みであります。
以上で
討論を終わります。(
拍手)