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衆議院議員(吉田公一君) ただいま議題となりました
法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
養ほう
振興法は、蜂群の配置を適正にする等の措置を講じて、蜂蜜及び蜜ろうの増産を図り、あわせて農作物等の花粉受精の効率化に資することを目的として、昭和三十年に議員立法により制定されたものであります。
同法の制定から六十年近くが経過しようとしておりますが、養蜂を取り巻く環境は大きく変化し、飼育の届出が不要な趣味養蜂の増加や蜜源の
減少により、養蜂業者と趣味養蜂を行う者との間で蜂場をめぐるトラブルが増加する等の問題が発生しております。また、
地域における蜜蜂の飼育
状況が正確に把握されていない現状は、腐蛆病等の伝染病に対する防疫の面でも大きな問題となっております。
本案は、こうした
状況を踏まえ、養蜂の一層の振興を図ろうとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。
まず、第一に、法の目的において、養蜂を取り巻く環境の変化、農作物等の花粉受精において養蜂が果たす役割の重要性等について言及するとともに、増産を図る対象にローヤルゼリー等の蜜蜂による
生産物を加えることとしております。
第二に、養蜂業者に課されている養蜂の届出義務を、養蜂業者のほか蜜蜂の飼育を行う者にも課することとしております。ただし、養蜂業者以外の者が蜜蜂の飼育を行う場合であって、農作物等の花粉受精の用に供するために蜜蜂の飼育を行う場合その他の蜂群配置の適正の
確保及び防疫の迅速かつ的確な実施に支障を及ぼすおそれがないと認められる場合として
農林水産省令で定める場合は、届出を要しないこととしております。
また、届出を受けた都道府県知事は、届出の内容に他の都道府県の区域を飼育の場所とするものがあるときは、届出の内容を当該都道府県知事に通知しなければならないこととしております。
第三に、蜜蜂の飼育を行う者は、衛生的な飼養管理を行う等蜜蜂の適切な管理に努めることとするとともに、都道府県は、蜜蜂の適切な管理が
確保されるよう、蜜蜂の管理に関する指針の策定及び周知その他の必要な措置を講ずることとしております。
第四に、国及び
地方公共団体は、蜜源植物の病害虫の防除及び蜜源植物の増殖に係る活動への
支援その他の蜜源植物の保護及び増殖に関し必要な施策を講ずることとしております。
第五に、都道府県は、当該都道府県の区域における蜂群配置の適正及び防疫の迅速かつ的確な実施を図るため、蜜蜂の飼育
状況等の把握、蜂群配置に係る調整、転飼の管理その他の必要な措置を講ずることとするとともに、この目的を達成するため特に必要があると認めるときは、養蜂業者その他の
関係者に対し、蜜蜂の飼育
状況等の把握に関し、情報の提供その他の必要な協力を求めることができることとしております。
第六に、都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、養蜂業者に対し、蜜蜂の飼育
状況に関し報告を求め、又はその職員に、その者の事務所、
事業所その他必要な場所に立ち入り、蜜蜂の飼育
状況若しくは巣箱、書類その他の物件を検査させ、若しくは
関係者に
質問させることができることとしております。
なお、この法律は、
平成二十五年一月一日から施行することとしております。
以上が本案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。