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2012-04-17 第180回国会 参議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年四月十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十二日     辞任         補欠選任         川田 龍平君     江口 克彦君  四月十三日     辞任         補欠選任         植松恵美子君     長浜 博行君  四月十六日     辞任         補欠選任         長浜 博行君     石橋 通宏君      中曽根弘文君     古川 俊治君      江口 克彦君     川田 龍平君  四月十七日     辞任         補欠選任         石橋 通宏君     足立 信也君      一川 保夫君     難波 奨二君      古川 俊治君     中曽根弘文君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         芝  博一君     理 事                 大久保潔重君                 大野 元裕君                 岡田  広君                 山谷えり子君     委 員                 足立 信也君                 石橋 通宏君                 一川 保夫君                 岡崎トミ子君                 難波 奨二君                はた ともこ君                 松井 孝治君                 水岡 俊一君                 有村 治子君                 山東 昭子君                 古川 俊治君                 松村 龍二君                 宮沢 洋一君                 浜田 昌良君                 川田 龍平君                 糸数 慶子君    委員以外の議員        議員       舛添 要一君    国務大臣        国務大臣     中川 正春君    副大臣        内閣府副大臣   後藤  斎君        厚生労働大臣  辻  泰弘君    大臣政務官        内閣府大臣政務        官        園田 康博君        厚生労働大臣政        務官       藤田 一枝君    事務局側        常任委員会専門        員        五十嵐吉郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       田河 慶太君        内閣法制局第四        部長       松永 邦男君        内閣大臣官房        審議官      吉川  晃君        文部科学大臣官        房審議官     森本 浩一君        厚生労働大臣官        房審議官     篠田 幸昌君        厚生労働省健康        局長       外山 千也君        農林水産省消費        ・安全局長    高橋  博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○新型インフルエンザ等対策特別措置法案内閣  提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 芝博一

    委員長芝博一君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  昨日までに、中曽根弘文君及び長浜博行君が委員辞任され、その補欠として古川俊治君及び石橋通宏君が選任をされました。     ─────────────
  3. 芝博一

    委員長芝博一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  新型インフルエンザ等対策特別措置法案の審査のため、本日の委員会に、政府参考人として内閣官房内閣審議官田河慶太君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 芝博一

    委員長芝博一君) 御異議がないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 芝博一

    委員長芝博一君) それでは、新型インフルエンザ等対策特別措置法案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. はたともこ

    ○はたともこ君 民主党のはたともこでございます。  新型インフルエンザ等対策特別措置法案について質問させていただきます。  まず、中川大臣に基本的な考え方について伺います。  本法案は、二〇〇九年の新型インフルエンザ、H1N1パンデミック、そして二〇一〇年の宮崎口蹄疫、二〇一一年、昨年の東日本大震災福島原発事故などによる我が国危機管理上の反省教訓を踏まえて作られた法案であると理解してよろしいでしょうか。私はそうでなければならないと思いますが、中川大臣の御見解を伺います。
  7. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 基本的には御指摘のとおりでございます。  この新型インフルエンザについてはいつ発生するか予断を許さないという状況にありまして、これまでにも行動計画策定、それから抗インフルエンザウイルス薬の備蓄、それから細胞培養法によるワクチンの迅速な製造ライン整備などについて所要の準備を進めてまいりました。  さらに、御指摘の要素と同時に東日本大震災教訓も踏まえておりまして、これは行動計画実効性を更に向上するために今般、国会に提出をしたということでございます。二〇〇九年の新型インフルエンザ対策など過去の様々な危機管理反省教訓、これを地方公共団体医療関係者等意見を聞きつつまとめてまいりました。行動計画対策本部を法定化するなど、あるいは国、地方公共団体体制整備、責任の明確化などを目指しているということと同時に、感染拡大防止策国民生活安定化策などの法的根拠整備、これを盛り込んだというところでございます。
  8. はたともこ

    ○はたともこ君 それでは、二〇〇九年のA/H1N1パンデミックでは具体的にどのような反省点があり、それを教訓として具体的にどのように本法案に反映されたのかを説明していただきたいと思います。
  9. 後藤斎

    ○副大臣後藤斎君) 先ほど大臣がお答えをいただいたように、先生の御指摘の二〇〇九年のさきのインフルエンザ、そして二〇一〇年の口蹄疫、さらには東日本大震災の昨年の教訓を踏まえて、いろんな意味で検討してまいりました。特に今先生が御指摘の二〇〇九年のインフルエンザ教訓ということで、もう先生御案内のとおりに、厚労省で二〇〇九年の新型インフルエンザ対策総括会議報告書というものを専門家皆さん方の御意見も賜りながらまとめたところでございます。あわせて、医療団体地方公共団体皆さん方からもたくさんの御意見をいただきながら幅広く検討してまいりました。  そういう意味で、二〇〇九年の新型インフルエンザの特に反省教訓ということは、一点目は、水際対策について病原性等を踏まえた専門家意見を基に機動的、スピード感がある縮小ができなかったということ、そして、医療従事者皆さん方に一番協力をいただかなければいけませんが、その際に医療従事者皆さん方死亡や後遺症が生じた場合の補償制度がなかったこと、さらには予防接種に関する実施主体費用の在り方が不明確であったこと、もう一点は、感染防止のために学校等を休業をしなければいけない場合がございますが、その際に法的根拠が不十分であった等が指摘教訓だというふうに認識しております。  それを踏まえまして、今御議論いただいております法案におきましては、十八条において、検疫の実施など新型インフルエンザ等対策実施に当たって、専門家意見を踏まえて基本的対処方針を定めながら、病原性程度に応じ的確かつ柔軟性に行うという規定を設けたこと、さらには六十三条一項において、要請や指示に応じて新型インフルエンザ等の患者さんに対する医療提供を行う医療関係者死亡等をした場合には補償措置を講ずること、さらには二十八条、四十六条、六十九条におきまして、予防接種実施主体費用負担等について明確化する、さらには四十五条におきまして、感染防止のための協力要請等措置を盛り込み、実施権限を有する都道府県知事実施権限を付与をする等の必要な規定を盛り込んでいるところでございます。
  10. はたともこ

    ○はたともこ君 本法案成立後一年以内に施行されるということですが、法案成立後、どのような手順、スケジュールで政令政府行動計画都道府県行動計画市区町村行動計画各種ガイドライン等策定されていくのか、説明していただきたいと思います。
  11. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) 先生指摘のように、法律成立をいたしましてから一年未満に政令あるいは施行の様々な行動計画作成をしていくということが決められているわけでございますけれども指定公共機関であるとか緊急事態宣言、これに係る具体的な基準を定める政令につきましては、まず、関係団体、これまでも聞いてまいりましたけれども、更に具体的な手順を決めていくわけでございますので、そういった関係団体専門家皆さん方の御意見を聞かせていただきながら、そしてまたこれをパブリックコメントに付させていただきましてやはり国民皆さん方にも広く御意見を聞かせていただきたいという、その手順を踏まえて行ってまいりたいというふうに思っております。当然、これはできる限り早く定めていくということに努めてまいりたいというふうに思っております。  また、この法律施行後におきましては、先ほど申し上げた学識経験者の御意見を伺わせていただき、またパブリックコメントにも付して、できる限り速やかに、先ほど申し上げた本法律案に基づく今度は政府行動計画、これを策定をするといったところが一番最初に来る私どもの作業であるというふうに考えております。  この政府行動計画作成をし、そしてそれに基づいて今度は具体的な手順を更に具体化したガイドライン、これを作成をするといったところを考えております。このガイドライン作成については、これは法律上の根拠にはありませんけれども、やはり具体的な行動計画を実践をしていくといった点では、しっかりと関係省庁連絡会議の中においてこのガイドラインというものを精緻に作る必要があるというふうに考えておるところでございますので、そういったところをやっていきたいというふうに思っております。  さらに、今度は政府だけではなくて、やはり都道府県、そして市町村といったところの行動計画といったところもお願いをしていかなければならないわけでございますので、そういった点では、政府行動計画を作らせていただいた後に、今度はそれに基づいて都道府県市町村といったところにお願いをしていくといったところも出てまいります。これについては、当然、早期作成ができるように、私ども政府としてもしっかりと支援を、都道府県あるいは市町村が具体的なところができるように政府としても支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  12. はたともこ

    ○はたともこ君 そこで、中川大臣に伺います。  四月四日の本院予算委員会で、A/H1N1pdm二〇〇九当時の厚生労働大臣対策に当たられた舛添要一先生が本法案について説明されまして、本法案は当時の経験が十分に生かされていないと指摘をされました。さらに、万機公論に決すべし、いろんな人の意見を聞く場をつくらなければいけないとおっしゃいました。  今後、政令各種行動計画各種ガイドライン等策定するに際して、現場意見批判者意見関係団体等意見をよく聞いて取り入れるべき点は取り入れるべきだと私は思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  13. 中川正春

    国務大臣中川正春君) この法案が様々な関係者連携をしながら対応を取っていくということが前提になっているだけに、先ほど指摘がありましたような、それこそ万機公論に決すべしで、そしてまた、その御意見をこれに組み込みながら法案を作っていく、また、法案だけではなくてこれからの行動計画でありますとか対処方法の中でも、そうした特に専門家意見もしっかり聞き込んでいきながら対応をしていくということが大事だというふうに思っています。  具体的には、学識経験者から公の場で意見を聞く場を設けてきました。それから、新型インフルエンザ発生時に多くの実務を担っていただく地方公共団体、この間でも実務者レベル検討協議会を開催をいたしまして、精力的な御議論をいただいてきております。あるいは日本医師会、それから病院団体あるいは経団連など、非常に関係の深い各種団体との公開の意見交換というのも進めてまいりました。また、与党だけではなくて、自由民主党あるいは公明党の勉強会などの場でもこれ積極的に御議論をいただきまして、その御議論の中で出てきた論点というのもこの中に整理をさせていただいたということであります。  新型インフルエンザ等対策は広く国民生活にかかわっておりまして、その理解と協力が必要であるということで、この先も同じようなスタンスで様々に議論を広げていきたいというふうに思います。従来の取組に対して批判的な御意見、これもあると思うんですが、それも多様な観点から是非議論をいただきたいというふうに思っておりまして、具体的な、特に行動計画の中ではそうした多様性ということもしっかり尊重していきたいというふうに思っております。
  14. はたともこ

    ○はたともこ君 現場意見批判者関係団体等、あるいは専門家の方々の意見を聞く方法として、先日の四月十二日の参考人質疑尾身先生川本先生のお二人から、インターネットで専門家同士現場同士のリンクを張る方法、あるいはITを使ったテレビ会談などの提案がありました。  田河室長、これらの意見是非取り入れていただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  15. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) お尋ねの点でございます。  本法案におきましては、政府行動計画基本的対処方針を定める際に事前感染症に関する専門家等意見を聞くことを法案の中で定めております。御指摘参考人質疑の中でも御意見いただきましたように、新型インフルエンザ等発生時に迅速に専門家の御意見を聞く方法としてテレビ会議等IT等の手法を活用していくこと、そうしたことも一つの考え方であると私どもも思っております。今後、検討していきたいというふうに考えております。
  16. はたともこ

    ○はたともこ君 中川大臣にもう一つ伺いたいと思います。  先日、三月二十二日の本委員会で、私は大臣に、参考人質疑お願いした国立感染研田代眞人先生の提言の中で、新型インフルエンザ対策事前対応として野鳥家禽、豚の事前監視体制必要性について質問させていただきました。中川大臣から、政府行動計画指針の中でしっかり具体的に盛り込んでいくということで一つ一つ確かなものを作っていきたいという答弁をいただきました。  そこで、大臣、本日は、特に豚のサーベイランス重要性について伺います。  先日の参考人質疑田代先生は、日本では鳥については農水省野鳥については環境省がやっているが、豚についてはどこもやっていない、豚についてはどこの国も農業関係の強い圧力があるが、日本において是非そこを克服していただきたいとおっしゃいました。  中川大臣豚サーベイランス必要性と今後の取組について大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 御指摘がありましたように、新型インフルエンザ発生可能性をいち早く把握するということの中では、それぞれ体内で人にうつりやすいインフルエンザウイルスに変化させやすい豚を含めた動物インフルエンザ発生状況というのをつかんでいくということは非常に大事なことであるというふうに考えております。  この新型インフルエンザ等感染症に変異するおそれが高い動物インフルエンザ外国及び国内における発生状況、それから動向及び原因情報収集について、この法案の第六条第二項第二号イなんですが、これにおいて規定をしておりまして、特に豚という御指摘がございましたが、その辺しっかり念頭に置きながら対応していきたいというふうに思います。
  18. はたともこ

    ○はたともこ君 では、農水省に伺います。  二〇一〇年の宮崎口蹄疫については、私は、韓国での口蹄疫発生と万全の防疫体制の周知を各都道府県に発出した一月七日の農水省動物衛生課長通知宮崎県においては全く周知されなかったこと、初動が全く遅れたこと、数々の情報隠蔽が行われたこと、獣医師不足等々非常に多くの問題があったと思いますが、農水省は二〇一〇年の宮崎口蹄疫についてどのような反省総括をしているのか、説明してください。
  19. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 平成二十二年におけます宮崎県の口蹄疫発生に関しましては、農林水産省といたしましては、国、県などの対応を検証していただくために第三者によります口蹄疫対策検証委員会を設置したところでございます。  同委員会におきましては、平成二十二年の十一月に報告書を発表いたしまして、この中で、異常家畜の発見の見逃しあるいは通報の遅れがあり、感染を広げる大きな原因となったこと、それから畜産農家におきまして飼養に関する衛生管理基準が守られていなかったこと、さらには国及び都道府県などの役割分担が不明確であり、連携も不足していたというようなことが指摘されておるところでございます。  この報告書を受けまして、さらには平成二十二年度におけます高原性鳥インフルエンザ発生状況、こういったことを踏まえまして、昨年四月に家畜伝染病予防法改正をされまして、その際、発生予防早期通報、迅速な初動対応の三点に重点を置きました防疫対応を強化いたしたところでございます。その中では、畜産農家が遵守すべき飼養衛生管理基準、あるいは国、都道府県等連携をして防疫措置を講ずる際の防疫指針、こういったものについて大幅に見直したところでございます。
  20. はたともこ

    ○はたともこ君 それでは、農水省新型インフルエンザ対策において豚のサーベイランス重要性について、なぜ豚のサーベイランスが必要なのかも含めてどのように認識をしておられるのか、お答えください。
  21. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 豚のインフルエンザにつきましては、豚の場合、従来から一過性の発熱あるいは鼻汁等の風邪様の症状を示すものの、通常、一定期間程度自然治癒をするものでございまして、家畜衛生あるいは畜産経営上大きな問題となるものではないという疾病でございます。このため、家畜伝染病予防法上におきましては、いわゆる届出対象義務というものも実は課されておるところではございません。  しかしながら、いわゆる新型インフルエンザ対策観点からは、豚が人のインフルエンザウイルスやあるいは高病原性鳥インフルエンザウイルスなどに同時に感染をした場合には、豚の体内新型インフルエンザウイルスが生じる可能性があると、このことはきちんと認識をしておりまして、一般的に農場段階におけます豚インフルエンザサーベイランスということについては重要であると認識しております。  ただ、我が国におきましては、諸外国、特に東南アジア等とは異なりまして、農場段階あるいは日常生活におきましても豚が他の家禽あるいは人と濃厚に接触する機会というのは極めて僅かな飼養形態にございます。このことから、豚につきましては、先ほど申し上げました家畜伝染病予防法改正によりまして、新型インフルエンザ対策上も衛生的な飼養管理基準、これを徹底をしていくということがやはり強く求められているものと認識しております。
  22. はたともこ

    ○はたともこ君 続いて農水省に伺います。  感染研田代先生は、豚のサーベイランスについては日本政府のどこもやっていないとおっしゃっているわけですが、農水省は、お配りした資料のこの一ページにあるように、やっているとおっしゃっているわけですが、現在豚サーベイランスはどのように行われているのか、検査頭数も含めてお答えいただきたいと思います。また、それで十分であるということなのか、今後の取組はどうするのかも含めてお答えください。
  23. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 豚インフルエンザにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、いわゆる家畜伝染病予防法、いわゆる法律上の義務といたしましては飼養者に対しまして届出対象とはしておらないところでございますけれども先ほど来の新型インフルエンザの問題もございまして、農林水産省といたしましては、畜産農家が遵守すべき飼養衛生管理基準におきまして、飼養家畜に、豚に異状が見られた場合には獣医師の診察を受けるように定めるとともに、せきなどの呼吸器症状、これによりまして家畜保健衛生所精密検査の依頼があった豚につきましては豚インフルエンザ検査を併せて実施をしていく、このようなパッシブサーベイランスを行うことによりまして、陽性時には当然のことながら当該個体の移動、出荷を自粛するよう全都道府県を指導しております。  これにつきましては、平成二十一年度の段階から全都道府県に対して指導しているところでございまして、なお、この豚インフルエンザ検査についてでございますけれども、年間おおよそ百件程度実施されております。  これまでのところは、我が国におきましては豚の体内新型インフルエンザが生じたと疑われる事例は発見されておりませんけれども、引き続き、検査結果等の情報につきまして、厚生労働省等が行っております屠畜場におけますインフルエンザサーベイランスと同様に共有化をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  24. はたともこ

    ○はたともこ君 厚生労働省も、資料の二ページにあるように豚のサーベイランスを行っていると思いますが、現在どのように行っているのか、四十七都道府県全てで行うつもりがあるのかも含めて、厚生労働省、説明してください。
  25. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 厚労省におきましても、豚には人のインフルエンザウイルスと鳥のインフルエンザウイルスの両方が感染し得ることから、それら複数のウイルスが同時に感染した際に遺伝子の組換えが起こって新型インフルエンザ発生することが懸念されているというふうに考えております。このため、豚におけるインフルエンザサーベイランス新型インフルエンザ出現早期に把握するための取組として重要であると考えております。  それで、厚生労働省では、都道府県協力を得まして、豚を対象とした新型インフルエンザウイルス出現を監視するための調査予算事業として実施しております。この調査では、屠畜場の豚から鼻腔や気管の拭い液を採取いたしまして、都道府県衛生研究所インフルエンザウイルスの分離を行い、ウイルスが分離された場合にはその亜型等についての詳細な検査実施しております。平成二十三年度は、十県で調査実施いたしまして、約千検体の検査を行ったところであります。
  26. はたともこ

    ○はたともこ君 農水省に伺います。  厚生労働省が行っている検査で、屠畜場の豚から新型インフルエンザウイルスが発見された場合、発生農場をすぐに特定できますか。また、今後、農場での無症状の豚も含めたサーベイランス拡大強化に取り組んでいくつもりがおありになるのかどうか、お答えください。
  27. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 屠畜場におけまして、豚インフルエンザサーベイランスの結果、そのような豚が生じた場合に、御承知のとおり、基本的に我が国におきましては飼育農場から屠畜場への出荷ルートというのはほぼ確定が可能となっております。したがいまして、そのようなルートをきちんと使うということは可能だろうと思っております。  仮に、厚生労働省から、屠畜場におきまして発見されました豚インフルエンザウイルスの性状を科学的な知見に基づいて分析した結果、新型インフルエンザ可能性が示唆されるというような事態になった場合におきましては、農林水産省におきましても、当然のことながら、厚生労働省あるいは都道府県連携をいたしまして、専門家からの科学的な意見も十分に聞きながら、出荷農場におけますサーベイランスの強化あるいは飼養豚の隔離及び移動自粛等について、迅速かつ的確に対応してまいりたいというふうに考えております。
  28. はたともこ

    ○はたともこ君 では、文部科学省にも伺います。  田代先生参考人質疑で、私は文科省のコントリビューションも非常に大事だと思います、日本においては鳥インフルエンザ若しくはインフルエンザ専門家というのはほとんどが大学における研究者です、そういった方たちを巻き込んで、この法案の趣旨が貫徹できるように体制を事前に構築していただきたいと発言されました。田代先生は、大学の獣医学の研究室、先生方の御参加を強く希望しておられます。この田代先生の御提言に対して、文部科学省はどのようにお答えになりますか。
  29. 森本浩一

    政府参考人(森本浩一君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、新型インフルエンザへの対応につきましては、医学のみならず獣医学も含めまして、日ごろから幅広い研究開発を実施して最新の科学的知見を蓄積して緊急事態に備えると、こういうことが重要であると考えております。このため文部科学省におきましては、大阪大学、長崎大学を始めといたしまして、国立大学法人における感染症に関する研究体制の整備充実等を推進しております。  また、国際協力が重要という認識の下にアジア、アフリカの八か国十三か所に海外研究拠点を展開いたしまして、これらを相互に連携させるネットワークを構築して感染症対策に関する基礎的知見の集積や人材育成を図るとともに、政府開発援助、ODAを活用してアジア、アフリカ等の諸国との感染症に関する国際共同研究を推進しております。  文部科学省といたしましては、大学等における新型インフルエンザに関する専門家の知見が有効活用されるように、今後とも、厚生労働省など感染症に関する研究対策実施される関係省庁連携を密にしていきたいと考えております。
  30. はたともこ

    ○はたともこ君 中川大臣農水省厚生労働省も豚のサーベイランスはやっているということですが、厚生労働省のサーベイは実は田代先生の提言で始まったものと聞いておりますし、田代先生はこの現状を十分に認識された上で、あえてどこもやっていないとおっしゃったのだと思います。是非、ここは大臣のリーダーシップで豚のサーベイランス行動計画の中にしっかりと盛り込んで、農水省厚生労働省、環境省、文部科学省等の連携を密にして確かなものをつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  31. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 大切な御指摘をいただいたんだというふうに思います。関係省庁間が一層連携を密にしていくということ、それを前提にして、この新たな政府行動計画等においても、是非サーベイランスの具体化、していきたいというふうに思っております。
  32. はたともこ

    ○はたともこ君 次に、ワクチンについて厚生労働省に伺います。  海外で新型インフルエンザ発生した場合、いかに早くウイルス株を入手するかがワクチンの早期かつ必要十分な生産、蔓延の防止のポイントになると思います。パンデミックワクチンの承認については、行動計画において、プロトタイプワクチン、プレパンデミックワクチンに関するデータを活用して短期間に適切に審査、承認を行うとされており、国の採択事業者となった四者は、いざ海外で新型インフルエンザ発生したとなると、国立感染研からシードウイルスとしてリバースジェネティクス弱毒化株の配付を受け、パンデミックワクチンの生産を開始すると聞いているところでございます。  そこで、お尋ねいたします。海外で新型インフルエンザ発生した場合、日本は速やかにウイルス株を入手できる体制にあるのかどうか、まず確認をしたいと思います。
  33. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 現在の新型インフルエンザ対策行動計画に基づき、未発生期から国立感染症研究所やWHO、OIEなどの国際機関、在外公館等を通じましてインフルエンザに関する必要な情報を収集しております。  新型インフルエンザ発生期には、世界五か国に設置されておりますWHOインフルエンザ協力センターの一つに指定されております国立感染症研究所に対し、WHOの枠組みを通じまして速やかにウイルス株が提供されることとなっております。
  34. はたともこ

    ○はたともこ君 さらに、リバースジェネティクス弱毒化株は、海外で作ったものを日本国内に持ち込むのか、あるいは野生株をそのまま国立感染研に持ち込んで感染研でリバースジェネティクス弱毒化株を作るのか、あるいはメーカーが直接野生株を扱うこともあるのかどうか、この野生株を直接国内に持ち込むことに対するリスク管理は万全なのかどうか、厚生労働省、説明してください。
  35. 外山千也

    政府参考人外山千也君) パンデミックワクチンの製造に当たりましては、WHOのインフルエンザ協力センターの一つである国立感染症研究所が、WHOの枠組みを通じまして野生株の提供を受け、弱毒化などの処理によりワクチン株の開発を進めることとしておりますけれども、他の協力センター等で開発されましたワクチン株が優れたものである場合には、その株を入手することもあり得ると考えております。国内のワクチン製造会社が直接海外からワクチン株を入手することはなく、国立感染症研究所を通じてワクチン株が提供されることとなっております。  国立感染症研究所は、バイオセーフティーレベル3である新型インフルエンザウイルスを取り扱うことのできる施設設備を有しまして、また十分な訓練を受けた専門家が輸送中も含め病原体を管理しておりますことから、安全管理体制は確保されているものと考えております。
  36. はたともこ

    ○はたともこ君 現在、政府は、四事業者、化血研、北里第一三共ワクチン、バクスターとライセンス契約をした武田薬品、阪大微研を採択事業者として特例交付金を支給して、新型インフルエンザ発生した際、この四者にシード株を配付してから半年以内をめどに全国民一億三千万人分のパンデミックワクチンを生産できる体制を構築中であるということですが、いかに早く生産するかということであれば、二十回分の十ミリリットルバイアルということになるのでしょうが、使いやすい二回分の一ミリリットルバイアルを生産するメーカーもあるなど、メーカーによってはバイアルのサイズは異なるようです。  ワクチン接種となれば、妊婦へは保存剤の入っていない一回分用のプレフィルドシリンジ製剤の使用が一般的には好ましいと思いますが、現段階では四者のうち一者のみがプレフィルドシリンジをパンデミックワクチンの生産ラインに組み込んでいると聞いております。  パンデミックワクチン生産供給体制におけるプレフィルドシリンジ製剤、あるいは一ミリリットルバイアル、十ミリリットルバイアル等の生産供給体制について、どのような想定、取組になっているのか、必要量が早期に調達できるのかも含めて説明してください。
  37. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 今年一月に取りまとめられました新型インフルエンザ専門家会議意見書では、新型インフルエンザ発生した際には必要量のワクチンを可能な限り短期間で製造する必要があることから、集団接種を基本といたしまして、早期の供給に適している一本十ミリリットル等のマルチバイアルを主に供給することとし、接種会場ごとに発生する端数の人数や集団的接種に適さない対象者への接種のために、一定程度は一ミリリットル等の小さなバイアルを供給することが提言されております。  現在、実施している新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業におきましては、こうした点も踏まえた上で、全国民のワクチンを約半年で生産する体制の整備を図っております。  また、パンデミックワクチンに添加される保存剤には、特に催奇形性などの問題があるとの科学的な根拠が明らかになっているわけではありませんけれども、希望する妊婦等に配慮し、一定量について保存剤を使用していないプレフィルドシリンジ製剤により供給できる体制の整備を進めているところであります。
  38. はたともこ

    ○はたともこ君 ワクチンについてもう一点確認いたします。  児童生徒、園児に対して速やかにパンデミックワクチンを接種することは、学校、保育園、幼稚園等で集団接種を行うのか、それとも個別に医療機関で行うこととするのか、どのように考えておられるのか、厚生労働省、説明してください。
  39. 外山千也

    政府参考人外山千也君) パンデミックワクチンの接種につきましては、平成二十四年一月に専門家会議が取りまとめた意見書におきまして、保健所、保健センター、学校などの公的な施設を活用する等により接種会場を確保し、原則として集団的接種を行うこととすると提言されております。  厚生労働省といたしましては、この意見書を踏まえまして、児童などに対するパンデミックワクチンの接種を安全かつ迅速に実施できるよう、文部科学省などの関係者連携しつつ、具体的な接種体制の構築に向け検討していきたいと考えております。
  40. はたともこ

    ○はたともこ君 次に、漢方製剤麻黄湯について厚生労働省に伺います。  麻黄湯は、インフルエンザに対して効能を有する製剤として薬事承認をされており、去る三月二十二日の本委員会での私の質問に対して厚生労働省平山大臣房審議官は、新型インフルエンザ発生した際には適切な診断の下で処方がなされ、初期のインフルエンザの諸症状に対して有効であることが期待されておりますと答弁されました。  麻黄湯は、検査インフルエンザが陽性となる前から使用でき、薬価も安いなど、タミフルやリレンザにはない利点があると考えておりますが、新型インフルエンザを所管する健康局長として麻黄湯の有用性をどのように認識しておられるのか、外山局長にお尋ねしたいと思います。
  41. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 麻黄湯は、初期のインフルエンザにおける悪寒、発熱等の諸症状に対して効能を有する製剤として薬事承認されておりまして、病原性等が未知であるものの、新型インフルエンザ発生時においても、医師の適切な判断の下、臨床の現場において活用されるものと想定しております。  新型インフルエンザの治療に当たりましては、タミフル等の抗インフルエンザウイルス薬だけでなく、麻黄湯についても初期のインフルエンザの諸症状改善のための一つの手段となり得るものと考えております。
  42. はたともこ

    ○はたともこ君 では、今後の厚生労働省作成する新型インフルエンザ対策ガイドラインの中にタミフル、リレンザとともに選択肢の一つとして麻黄湯を明記すべきであると私は思いますが、いかがでしょうか。さらに、タミフル、リレンザと同様に麻黄湯を備蓄すべきであるとも考えておりますが、厚生労働省、いかがでしょうか。
  43. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 現行の新型インフルエンザ対策行動計画では、厚生労働省は、新型インフルエンザの診断、治療方針等に関するガイドライン作成することとなっております。麻黄湯は、インフルエンザウイルスの増殖を抑える作用を持つタミフルやリレンザなどの抗インフルエンザウイルス薬とは効果等が異なる薬剤であることから、ガイドラインへの記載や備蓄等の新型インフルエンザ対策上の位置付けにつきましては、専門家による医学的な判断等を踏まえた上で検討したいと考えております。
  44. はたともこ

    ○はたともこ君 さて、昨年の東日本大震災福島原発事故教訓はいまだ検証中ではありますが、やはり初動の問題、司令塔が不明確であったこと、総理大臣なのか、保安院長なのか、原子力安全委員長なのか、混乱があったのではないかと思います。  そこで、本法案新型インフルエンザ対策ですが、初動体制、事務方、行政サイドの司令塔はどうなっているのか、初動体制の事務方の司令塔は四月十三日の北朝鮮ミサイル発射でも問題となっている内閣危機管理監なのか、また三人いらっしゃる内閣官房副長官補のうちのどなたなのか、あるいは新型インフルエンザ等対策室長なのか、内閣官房、教えていただきたいと思います。
  45. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) 法案におきましては政府対策本部の設置を規定しているところでございますが、新型インフルエンザ対策につきましては事務方としても平時より体制を整えておくことが重要であると考えております。  その体制としまして、平時におきましては、内閣官房の内閣危機管理監を議長として、各省の局長等を構成員とします新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議を開催し、関係省庁の緊密な連携を確保しているところでございますが、私、内閣官房新型インフルエンザ等対策室長も事務局総括という立場で内閣危機管理監を助け、会議の運営を行っているところでございます。  また、海外において新型インフルエンザ発生の疑いが強まった場合におきましては、内閣危機管理監も中心となり、関係省庁局長が集まり緊急参集チームを参集いたしますが、そこでは事態について分析、協議をし、内閣総理大臣報告することとしておりますが、私も当然その参集チームのメンバーという形でございます。  さらに、新型インフルエンザ発生したことが確認された場合、これは内閣総理大臣を本部長とする政府対策本部が設置されることとなります。その下に、事務方の体制としましては内閣危機管理監が主宰する新型インフルエンザ対策本部幹事会を置くこととなっておりますが、私も内閣官房の事務局総括という立場から幹事会の運営事務を行うこととなっております。  以上でございます。
  46. はたともこ

    ○はたともこ君 中川大臣、この司令塔の問題については、先日の参考人質疑で自治医大教授であられた尾身先生が、二〇〇九H1N1の経験を生かす第一の点として、意思決定のプロセス、いろんな意見を聞いて最終的には一つのところに集約するシステムがなかった、最終的な意思決定は内閣総理大臣だが、その前に専門家の人たちが十分議論するシステムをつくって最終的な専門家意見を総理に持っていくシステムが重要だとおっしゃいました。  大臣新型インフルエンザ対策でこのような専門家のチームをいつからどのようにつくるのか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  47. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 大震災の教訓の中で非常に大事な点であったというふうに思っております。  本法案において、政府行動計画そして基本的対処方針、それぞれを定める際に、事前感染症に関する専門家等意見を聞くことというふうに規定をされております。それに基づいてそれぞれ委員会的なものを置いていきたいというふうに思っておりまして、新たなシステムをそうした形で構築していく中で、専門家の判断を仰ぎながら最終的には総理が判断をしていくという体制をつくっていきたいと思います。
  48. はたともこ

    ○はたともこ君 では、次に内閣府に伺います。  今年大きな話題となった東京大学医科学研究所の河岡教授チームらのH5N1鳥インフルエンザウイルスの論文公開差止め問題について経緯を説明してください。
  49. 吉川晃

    政府参考人(吉川晃君) お答えいたします。  高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1に関するオランダと日本の研究論文二本につきまして、米国の国立衛生研究所、NIHの諮問機関、生物安全保障のための科学諮問委員会、これはNSABBと申します、の助言に基づきまして、米国政府が昨年十二月二十日に内容の一部の削除を求める勧告を科学ジャーナル及び研究者に対して行いました。  なお、日本の研究者は、御指摘のとおり、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授であります。実験は米国ウィスコンシン大学で実施されて、我が国には当該ウイルスは持ち込まれておりません。  この勧告を受けまして本年一月二十日に、H5N1ウイルス研究を実施している研究者たちが連名で、哺乳類間で連鎖可能なH5N1の感染実験について自主的に六十日間中止を表明いたしまして、この間に悪用が懸念される研究成果の公表について、米国政府、WHO、その他関係機関に対して適切な仕組みを検討するように求めました。  WHOでは、二月十六、十七日に専門家を集めた検討を行いまして、三つの点について見解をまとめました。その一つは、二つの研究論文は公衆衛生上非常に重要であり、基本的に全面公表が適当であるということ、二つ目に、十分な安全対策の上で今後も研究を継続すべきであるということ、三つ目に、自主的な公表の留保についてはバイオセーフティー及びバイオセキュリティーの面からの検証等が終了するまでは延期することが適当である、こういうことでございます。  そして、その後、三月三十日、再度の検討が研究者も交えてNSABBにおいて行われた結果、これら二本の研究論文については、テロに悪用される危険性が少なく、公表は差し支えないという方針が決定されたものでございます。
  50. はたともこ

    ○はたともこ君 科学技術には社会への貢献と悪用のおそれの両面、いわゆるデュアルユースの問題がありますが、この河岡教授らの研究悪用のリスクはあるのか、あるとすればどのような対策を講じるのか、説明をしてください。
  51. 吉川晃

    政府参考人(吉川晃君) 結果的ではありますけれども、河岡義裕教授らの論文につきましては、先ほども御説明申し上げましたとおり、テロに悪用される危険性は少ないとされたわけでございます。  本件におきましては、報道がありまして以来、内閣府におきましては、関連する省庁間での事実確認や情報交換等のための会合を適宜開催してまいりました。そして、連絡体制を構築するとともに、情報共有や意見交換を行ってまいりました。また、日本学術会議におきまして、本件も含みますデュアルユースの問題に関する検討委員会を立ち上げております。現在も対応を検討しているというふうに承知しておりますが、具体的には研究者のための行動規範の策定あるいはその普及啓発の活動というような取組でございます。  研究者が自ら、研究の必要性、有用性のみならず、その成果の社会的影響や特に安全性に関して十分な認識を持ち、説明責任を果たすということは非常に大切なことであると存じます。研究のリスクとその利益のバランスを常に念頭に置いて、まずは科学者と政府との間で意見交換の場を設けるなど、我々としても努力してまいりたいと存じます。
  52. はたともこ

    ○はたともこ君 では、最後に中川大臣に伺いたいと思います。  私は、新型インフルエンザウイルスが国内で確認される場合については、海外で発生し人が我が国に持ち込むケース、野鳥等が我が国に持ち込んで豚で遺伝子再集合が起こり人に感染するケースのほかに、参考人質疑で同志社大学法学部教授の川本先生も触れられたバイオテロあるいは研究施設からのウイルスの漏えい事故なども想定され得る、想定すべきであると考えております。  そこで、本法案が、そのようなバイオテロや研究施設等からのウイルス漏えい事故も想定しているのか、あるいはそのような場合にもしっかりと対応できる法案となっているのかどうか、中川大臣にお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
  53. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 研究過程でのウイルス等の管理については、今の日本の法制の中では感染症法において管理義務が課されているということで、厚生労働省を中心にその辺の対応をしていくということであります。  そんな中でも、先ほど指摘があったように、バイオテロ等で研究施設から漏れ出した場合の事故についても、もちろんこの新型インフルエンザ発生がいかなる要因に基づくものであってもこの法案はそれに対応をしていくということでありまして、基本的には、この新型インフルエンザの蔓延の防止を図って、そして国民の生命と健康を保護し社会の安定を図るということ、これを国を挙げて確保をしていくということでありまして、それに対する危機対応法律というのをそのバックにして体制をつくっていくということであります。政府全体で的確に対応していくということ、これをこの法律によって実現をしていきたいというふうに思っております。
  54. はたともこ

    ○はたともこ君 ありがとうございました。終わります。
  55. 芝博一

    委員長芝博一君) 以上をもちましてはたともこ君の質疑を終了いたします。  次に、山谷えり子君。
  56. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。中川大臣関係省庁の皆々様、御苦労さまでございます。  この新型インフルエンザ等対策特別措置法案平成二十一年のときのいろいろな反省も踏まえ、あのときは基本方針や基本的な対処プロセスのいろいろな責任体制あるいは権限の明確化というものがなされていなかったという反省の下に、そうした体制をつくらなければならない、この基本的な考え方には賛同いたしますけれども、参考人の方々の意見や今日の、今のはた委員のいろんな指摘もありましたけれども、具体的にどう適用されるのか、運用されていくのかということになると、まだまだ見えないところが多過ぎるというのがいまだに私の思いでございます。  そこで、何点かお聞きしたいと思います。  まず、そもそも短期間に数十万人死亡ということを設定していろんなことを考えられたということなんですが、このそもそもが実はスペイン風邪並みのものだろうという予測って、それは全く根拠がない予測だと思いますが、どうしてスペイン風邪並みの六十四万人が短期間で死亡するという、新型だから全く未知のものなのにそのような設定をなさったんでしょうか。
  57. 中川正春

    国務大臣中川正春君) これは、専門家の中でその検証といいますか、議論をしていただいた上での判断ということになります。  具体的には、平成十六年八月に厚生労働省新型インフルエンザ対策に関する検討小委員会報告書、これにおいて、新型インフルエンザ発生した場合の影響として、スペイン・インフルエンザ我が国における患者数、それから死亡者数のデータを挙げるとともに、スペイン・インフルエンザ流行時と比較すると医療供給体制が質、量共に大幅に改善されて衛生環境も向上しているということはあるんですけれども、もう一方で、人口が増加して高齢人口と基礎疾患を有する者の増加があり、都市への人口集中、あるいは世界的な高速大量交通の飛躍的な発達があるということ、こういうことを前提にしていくと社会生活環境が感染症対策に好ましくない方向に大きな変化を遂げているということがあって、そのことを指摘がされたということ。  それからもう一つは、現行の政府行動計画平成二十三年九月にこれは制定しているんですけれども、この対策を考える上での一つの想定としてスペイン・インフルエンザ死亡率等を参考にしております。これも専門事項については厚生省新型インフルエンザ専門会議意見、これを踏まえたものであります。  そういう意味から、その専門家意見を聞いたということと、それからもう一つは、東日本大震災対応経験から考えて最悪の事態を想定をしていくということ、これも重要な要素であるということでありまして、被害想定に係る推計については多様な要因が複雑に影響するものでありますけれども、これから先も、これは随時最新の科学的な知見を踏まえて、実際どういうことなのかということを見直していくという努力もこれもまた必要だというふうに思っております。  以上です。
  58. 山谷えり子

    山谷えり子君 バイオテロにも考え方としては準用されるというようなことをおっしゃられましたけれども、バイオテロだともう百万、二百万、三百万人、そういうレベルだと思うんですね。  それから、今の説明、長々とおっしゃられましたけれども、スペイン風邪流行のときよりは衛生状況がいい、しかし都市部にいろんな人口が集中したりということもあって、だからスペイン風邪並みのこういう想定にする、プラスマイナスを考えるとって、余りにも非科学的、根拠のない説明を長々となさって非常に不安になるばかりでございます。  それから、これまでのワクチンの製造では間に合わないだろうということで、細胞培養法という新しい形で開発していくんだということをお決めになった。しかし、この細胞培養法というのはまだ開発、確立しておりませんで、平成二十五年にできるんじゃないかなと言われているんですね。  WHOが推奨株、新型インフルエンザと思われるものがはやり始めたときに、推奨株というのをこれだと決めるのが二か月掛かる。そして、それに基づいて、推奨株に基づいてワクチンが、新しい新型インフルエンザ対応するワクチンが生産開始ラインに乗るか乗らないかというところまで一・五か月掛かる。つまり、三・五か月間は無防備な状態でワクチンがないままほうっておかれるわけですね。それから、ワクチンが開発されても、何と今の考えでは一億二千万人全員がワクチンを打つというような、私はこの想定自体あり得るのかなと思っているんですけれども、生産に六か月掛かると。ということは九か月間掛かるんですよ。これ、流行終わっちゃうんじゃないでしょうかね。
  59. 中川正春

    国務大臣中川正春君) ワクチンの接種がその対応の全てということではありませんで、基本的にはワクチン接種を含めてトータルな対応をしていくということであります。  ワクチンというのは蔓延期に間に合わせることができるということ、これを目標に作っていかなきゃいけないわけでありますが、その以前の対策としては、水際対策、あるいは外出の自粛要請等の公衆衛生的な介入、あるいはタミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬等による治療によって実は感染のピークをなるべく後ろへ向いてずらしていくという、そういう対応をまず初期にやっていって、その間にこのワクチンの製造というのを急いで、できる限りその遅らせたピークに間に合うような形でこのワクチンを製造して接種をしていくというふうなことであります。  また、新型インフルエンザというのは、最初の蔓延期が終息した後の第二波、それから第三波といった流行も懸念をされておるということが専門家の間で指摘をされておりまして、仮にワクチンの供給が第一波に間に合わなかったとしても、第二波以降に備える意味においても、免疫を有していない方が予防接種をすることは非常に重要だということ、こういう知見を前提にしてワクチンを製造していくということであります。
  60. 山谷えり子

    山谷えり子君 流行のピークを後ろに遅らせていく、そして第二波、第三波もあり得るのではないかという想定の下に今議論しているわけですね。ですけど、新型インフルだから、全然その想定に外れる場合も非常に考えられるわけです。  この流行のピークを遅らせて、第二波、まあ第三波ぐらいには間に合うんじゃないか、一億二千万人分作るには。しかし、それには九か月掛かると。流行終わっちゃうんじゃないですかと私は先ほど聞いたんです。中川大臣の答えは今の私の問いに対しての答えではないと思いますが。
  61. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 海外を想定したときに、そこで株が取得ができて、それから日本でその対応をしていくということになるわけですが、その間、この細胞培養法によると、今のそれぞれの専門家の話の中では、六か月でこれを製造していくということができる、そういう体制をしいていくんだということであります。  先ほど申し上げたように、これまでの蔓延の波というのは、最初の部分を後へずらしていって第二波、第三波ということになると、その六か月間の猶予というのは、私は間に合うというふうに思います。
  62. 山谷えり子

    山谷えり子君 ですから、WHOが推奨株をこれだと決めるまでに二か月掛かるんですよ。それからワクチンができるまでに一・五か月掛かるんですよ。それから生産開始して六か月なんですね。つまり、九・五か月。  一億二千万人、全国民がワクチンを接種するだろうというような体制を欧米は取っておりません。日本だけがなぜそのようなシミュレーションをしているんでしょうか。
  63. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 事実関係だけ申し上げますと、平成二十一年の新型インフルエンザ発生時には、発生から約一か月後にWHO推奨株が決定されまして、その後、国立感染症研究所等でいろいろワクチン株を推奨したということで、その間一月掛かっておりまして、二か月後に国内ワクチンメーカーに生産開始を要請したということになっております。  で、今度の細胞培養へ行きますと、全国民にその後行き渡るには六か月掛かりますけれども、三か月後には国産ワクチンの初出荷を開始できるというふうになっておりまして、時間の関係はそういうことになっております。
  64. 山谷えり子

    山谷えり子君 私は金曜日のレクで聞いた数字ですからね。それは、そこのところ、ちゃんと厚生労働省見解を統一しておいてほしいというふうに思います。そして、このときは細胞培養法ではありませんでしたし、いろんな変化が今起きているということをきちんと認識しながら進めていただきたいと思います。  このワクチン生産体制づくりに四つの事業者が指定されて、そして既にお金も行っておりますが、その四つの事業者にそれぞれ幾らお金が渡っておりますでしょうか。
  65. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 今委員の方からお話がございました四事業者でございますけれども、この四事業者に対しては現段階では約三百六十二億円が交付をされているところでございます。
  66. 山谷えり子

    山谷えり子君 私は、やっぱり金曜日、レクを受けたところによりますと、一般財団法人化学及血清療法研究所に約二百四十億円、北里第一三共ワクチン株式会社に約三百億円、武田薬品工業株式会社に約二百四十億円、一般財団法人阪大微生物病研究会に約二百四十億円ということになっているんですが、今の答えと違いますね。
  67. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 全体として基金の中で割り振っている金額、総体的にはそういう金額だと思いますけれども、現時点で交付をしている額については三百六十二億円ということでございます。
  68. 山谷えり子

    山谷えり子君 今私が言ったのは平成二十三年八月に決定しているものですから、今の私の数字でお答えいただくのが適当なのではないかというふうに思うんですが。  この四事業者、どういう基準で選定したんでしょうか。
  69. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 平成二十三年度から第二次事業として、実生産施設の整備あるいは臨床試験の実施等に関する事業ということを行っておりまして、そこでこの四事業者を採択をしたわけでございますけれども、事業の実施に当たっては、まず事業者の公募を行って、提出された事業計画について有識者から成る評価委員会で専門的、学術的観点や事業の継続性の観点から評価をした上で、厚生労働省において価格などの観点を含めて総合的な評価を行いまして、応募事業者のうち評価の高かったこの四事業者を採択したものでございます。
  70. 山谷えり子

    山谷えり子君 これまで、いろいろな医薬、製薬関係では、医者の学閥があったり製薬会社との利権があったり、国民は大きな不信感を持っているわけでございます。この四つの事業体が選定されて、そしてワクチン生産をこの四者で担っていくんだということに関しては国民のいろんな心配もあるかもしれませんので、きちんとプロセス、透明性をチェックしていただきたいというふうに思います。  この一億二千万人分ワクチンを生産していく、これ、欧米ではそんなことやりません。全国民の全てに生産するというような形を取ってはいないというふうに思うんですが、一億二千万人分、もう流行のピーク終わっちゃっているかもしれませんよね、九か月たっていて。幾ら掛かるんでしょうね。
  71. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) 新型インフルエンザ対策に要する費用につきましては、新型インフルエンザ等病原性程度や、あるいは国内での流行の状況により異なるものでございまして、現時点でなかなかお答えすることが難しい面もございますが、しかし、仮に病原性が高い新型インフルエンザが国内で発生し、多くの国民予防接種を実際行うというふうになった場合におきましては、これはやはりもう数千億円のようなお金が掛かる場合も考えられます。しかしながら、一方、そうした病原性が低い場合、そうした費用は掛からないことも考えられます。  いずれにせよ、新型インフルエンザ発生した際に必要な財政措置につきましては、状況に応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  72. 山谷えり子

    山谷えり子君 ウイルスの型が途中で変容していくかもしれない、だから違うタイプのワクチンに生産切り替えなきゃいけないかもしれない、あるいは一億二千万人分も実は要らないというような状況が起きるかもしれない。誰が判断するんでしょうかね、これは。
  73. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) 新型インフルエンザ対策につきましては、平時から事前専門家等の御意見等も聞きながら政府対策行動計画を定めていく必要がございますが、状況に応じて対応を変えていく必要もございます。  その際、やはり、この法案の中でも学識経験者意見を聞くことを定めておりますが、そうした学識経験者意見も踏まえながら、政府対策本部として方向性を決めていくことになるというふうに考えております。
  74. 山谷えり子

    山谷えり子君 六条の五に政府行動計画作成、公表というのがいろいろ書かれておりまして、総理は、専門的な知識を有する者その他の学識経験者意見を聞かなければいけないと。専門家、学者の意見を聞いて、そして閣議決定をしていくと。  ところが、当時、平成二十一年、厚生労働大臣でありました舛添さんが、先日、四月四日の参議院の予算委員会で、この行動計画、そのときは厚生労働省が作った、これが実は、強毒性の鳥インフルエンザだと思って行動計画作ったと、しかし実は弱毒性の豚インフルだったと、だから行動計画がかえって役立つどころか手かせ足かせになっちゃったんだということを言っているわけですね。  これ、学者を集めて、学者にはいろんな意見ありますよ。原発のときも分かりました。もういろんな学者がいろんな意見を言って、菅総理がお友達を集めてもういろんなことを言わせるから、船頭多くして船山に上るじゃないけれども、結局、手かせ足かせになっちゃったわけですよ。そういうことはないんでしょうかね。これ、机上の空論だと思いますよ、この六条の五というのは。
  75. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 事前にしっかりとした学者集団あるいは専門家集団というのを確定をするということ、これは一つ大事なことだというふうに思うんです。そのときそのとき、あの人に聞いたらいい、この人に聞いたらいいというような、そういう話ではなくて、その委員会を構成する専門家が責任を持って判断する体制というのをつくっていくということ、これは一つあると思います。  その上に立って、最終的にその専門家がまとめた考え方を、それに基づいて政治的な判断をするというのは、これはもう最終、総理大臣の判断になっていくということでありまして、そこのところの体制というのを、事前行動計画を作っていく過程で、そしてまた事が起こったときに対処ということで対応していく過程で、あるいはまた見直していく過程でそれぞれ機能させていくということでありまして、そこのところ、御指摘のように、あの大震災の経緯を踏まえて、しっかりとした整理をしながら専門家意見を反映をさせていくということだと思っております。
  76. 山谷えり子

    山谷えり子君 基本的対処方針に関して、第十八条の四では、あらかじめ専門家意見を聞かなければならない、ただし緊急を要する場合はこの限りではないと書いてあるんですね。  もう本当に危機的な状況で、学者の意見を聞かなきゃいけない、いや、このときはもうこの限りではないとか、今の民主党政権で本当にそのようなことができるんだろうかと。準備していくことは本当に大事なことだと思いますけれども、あの原発のときの民主党政権の官邸のめちゃくちゃぶり、あるいは原子力村のめちゃくちゃぶりを見ますと、これは相当に緻密に準備をしていかなきゃいけないし、それぞれの現場でコンセンサスが十分にお互いに行き渡っていなければ機能しないことだというふうに思っております。  北朝鮮がミサイルを発射した四月十三日、米国早期警戒情報は、SEWは、七時四十分確認、防衛省の幹部たちにも全部それが伝わりました。イージス艦にも空自のレーダーにもPAC3にも伝わりました。しかし、八時三分に内閣危機管理監は、全国の自治体にエムネットというシステムで、発射確認せずという、流したんですよ、偽情報を、間違った情報を。今回のこれも、この新型インフルエンザ対策ですね、今民主党のはた委員が、責任者、司令塔誰ですかと言ったら、まさにその内閣危機管理監だというじゃないですか。八時三分に全国の自治体に確認しないって間違った偽情報を、アメリカや韓国はもう当局のニュースとして七時四十分と言っているんですよね、それを実はそのとき総理も官房長官も知らなかったんですよ、そんな八時三分にネットを流したって。  これ、今更言ったってしようがないですけど、こういう民主党政権に、今、中川大臣、きれい事をお答えになられましたけれども、私は本当に機能するんだろうかということを思っておりまして、もっともっと細部を詰めていただきたいというふうに思います。  ところで、平成二十一年のときの推定接種者は二千二百八十三万人とされております。前回、ワクチンですね、国産で二百六十億円、外資で八百五十三億円使ったんじゃないかと言われておりますが、これは、国産にこれだけ注文するんだ、どこの企業に注文するんだということを誰が決めたんでしょうか、二十一年のときです。
  77. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 平成二十一年のワクチン量ですけれども、二十一年新型インフルエンザ発生時には、同年の七月から九月にかけて厚生労働省において専門家で構成する新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会というものを開催をいたしまして、ワクチンの接種対象者や接種回数等の検討を行ってまいりました。  その意見等を踏まえて、政府新型インフルエンザ対策本部が二十一年十月一日に新型インフルエンザワクチン接種の基本方針というものを策定をいたしまして、二回接種を前提としたワクチンを、七千七百万人分程度のワクチンを確保する方針を決定したところでございます。
  78. 山谷えり子

    山谷えり子君 その決定は、だから正しくなかったんですね。結局、弱毒性で、はやりもなかったということでたくさん余っちゃったんですよ、注文したのが。だから、外資の製薬会社に違約金を払わなければならなくなりました。ノバルティス社には幾ら払いましたか。
  79. 外山千也

    政府参考人外山千也君) ノバルティス社に対しましては、違約金といたしまして九十二億円を払っております。
  80. 山谷えり子

    山谷えり子君 外資で注文した会社は、ノバルティス社とグラクソ・スミスクライン社です。グラクソ・スミスクライン社には違約金幾ら払いましたか。
  81. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 払っておりません。
  82. 山谷えり子

    山谷えり子君 なぜグラクソ・スミスクライン社はノバルティス社が違約金をもらったにもかかわらず違約金を放棄したんでしょうか、払わなくてもいいと言ったんでしょうか。
  83. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 輸入ワクチンにつきましては、第二波に対応するために備蓄等を考慮してもなお余剰が見込まれたことから、グラクソ・スミスクライン社に解約を要請し交渉を行ったところ、先方の方からの申出によりまして違約金なしで解約に至ったものでございます。
  84. 山谷えり子

    山谷えり子君 外資というのはお金にシビアなところです。ノバルティス社が九十二億円もらっているのに、グラクソ・スミスクライン社が違約金を要りませんと言う訳がちょっと私には分かりません。  その後、グラクソ・スミスクライン社が作っている子宮頸がんワクチン、サーバリックス、これに公費補助をするということが急展開で決まりました。当時、鳩山総理、長妻大臣は否定的な言い方していたんです。この有効性、安全性、まだまだ分からないし、ヒトパピローマウイルスという、百種類以上あるウイルスの中で子宮頸がんになるハイリスクタイプが十五種類、その中で、グラクソ・スミスクライン社のサーバリックスは16型と18型と二つのタイプにしか効かない、だから公費助成するのに適当かどうか、それはまだ結論が出ないというような答弁を本会議でも委員会でもしていらっしゃるんですよ。ところが、急に決まったんです。これはなぜでしょうか。
  85. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 先ほどのグラクソ・スミスクライン社の対応でございますけれども、同社は他国でも場合によっては違約金なしで解約している例がございます。  この子宮頸がん予防ワクチンの問題につきましては、グラクソ・スミスクライン社のワクチンを使っているわけでございますけれども、これは子宮頸がん予防ワクチン、それから小児の肺炎球菌ワクチン、それからHibワクチンということで、厚生労働省の厚生科学審議会の予防接種部会の方でこの三つについてしかるべきワクチン接種事業を行うべしというふうなことは提言を受けまして、それから国会での様々な議論も踏まえまして、補正予算で対応したということでございます。
  86. 山谷えり子

    山谷えり子君 だから、その決め方が急展開だったんです。Hibワクチンは副作用が出るから、お母さんたち、今打ちたくないといってすごく控えていますよね。十分なデータがそのときあったのかどうかということをもう一回検証し直していただきたいと思います。  平成二十二年八月二十日、菅内閣のときです。私は質問主意書を出しております。子宮頸がんワクチン、小六から高一まで七五%ぐらいが今もう打っています、既に。国と地方でお金を出すことが決まったと。三回打ってこれ六万円という非常に高いワクチンなんですね。それで、私は、子宮頸がん、若い人になぜ近年急に増えたんですか、子宮頸がんが、そして予防ワクチンはどの程度効くんですか、安全性、有効性のデータは十分ですかというような質問をいたしました。  なぜ近年、二十代後半から三十代の若い女性の子宮頸がん発症率が上昇しているのか、政府見解を聞きましたが、いかがでしょうか。
  87. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 今委員の方から御指摘がございましたように、近年、四十歳代以下の年齢の女性に子宮頸がんにかかる方の割合が増加をしているということについては認識をいたしているところでございます。そして、この子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスは性交渉により感染することが知られておりまして、国立感染症研究所の報告によると、性交渉開始時期の低年齢化が四十歳代以下の年齢層の子宮頸がんの罹患率の増加に関係していると考えられるとされているところでございます。
  88. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうなんです。そのとき私の質問に対して政府が答えたのはこういうふうだったんです。性交渉開始時期の低年齢化等の影響があるものと考えている。そして、国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページにもこう書いてありました。子宮頸がんリスクの要因は低年齢での初交、つまり十代前半とかローティーン、ミドルティーン、複数の人とセックスする、性的パートナーが多い、そして他の性行為感染症とのかかわりというようなことなんです。つまり、十三歳セクシャルデビューなんて言って、今もうワクチン接種の勧めをグラクソ・スミスクライン社はこんな漫画まで作ってやっているんですよ。それで、子宮頸がん予防ワクチンはセクシャルデビュー前、性交渉の経験前の十代で接種すると効果的と書いてあります。そしてまた、ホームページも、キティちゃんのこんなのを作って、メール、ツイッターでお友達に子宮頸がんワクチン打つのが大事よって知らせましょうねって書いてあります。  しかし、両方とも本当の原因を書いていないんですよ。なぜ子宮頸がんになるのか、十代の前半あるいはミドルティーンで複数の人とセックスする、性交渉年齢が早いからだって。二十代では、神様がちゃんとお体つくってくれているんですよ。だから、低年齢でセックスしちゃ駄目よって、そうすれば子宮頸がんになるリスク減りますから。それをまず教えるべきじゃないでしょうかね。
  89. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 今委員の方から御指摘をいただきました、そういう視点も含めていろんな啓発に取り組んでいかなければいけないと考えております。
  90. 山谷えり子

    山谷えり子君 視点も含めてじゃなくて、それがまず第一だというふうに思っています。  これ地域差がありまして、16型、18型というグラクソ・スミスクライン社が効くと言われている型、これは欧米では八、九割ですが、日本ですと五割から七割有効という形で地域差もあるんですね。それから、長期的な効果、どのぐらい持続するんですかと聞きましたら、海外の十五歳から二十五歳までの七百七十六例を対象とした試験結果によると、平均追跡期間五・九年の時点では、その予防効果は最長六・四年間持続することが確認されているものの、その予防効果の持続期間については確立していないと政府はお答えになられました。これから二年たっていますから、今予防効果最長八・四年ぐらい効くと、こういう状況でよろしいんでしょうかね、政府としては。
  91. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 最近のグラクソ・スミスクライン社より確認できた情報でございますけれども、十五歳から二十五歳の女性四百三十七例を追跡した海外の臨床試験では、平成二十三年三月時点で予防効果が最長九・四年間持続することが確認されております。
  92. 山谷えり子

    山谷えり子君 費用対効果について、私はこのときも質問を政府にいたしました。  平成二十二年七月七日、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会の資料によりますと、サーバリックスによる免疫維持期間が明らかでないこと、全ての子宮頸がん患者に占めるサーバリックスが感染予防効果を有するHPV、ヒトパピローマウイルスですね、16型及び18型が検出される子宮頸がん患者の割合が五〇%から七〇%までと幅があることから、費用対効果について現時点で評価は難しいというふうに言っているんですね。この政府見解は今も同じなんでしょうか。
  93. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 子宮頸がんワクチン等について厚生科学審議会の感染症分科会予防接種部会に設けられましたワクチン評価に関する小委員会で、その効果や安全性、そしてまた医療経済的な評価というものをこの間行っていただいてまいりました。そして、昨年の三月十一日に報告書が取りまとめられたところでございます。  その中で、医療経済的な比較分析を行ったところ、ワクチン接種により健康な寿命を一年延伸させる効果を得るための費用については五百万円程度以下であれば良好であると判断されておりまして、この子宮頸がん予防ワクチンは二百一万円と推計されることから、国内での子宮頸がん予防ワクチン導入の費用対効果というものは良好であると、このように推計されたところでございます。  ただ、ワクチンの評価については医療経済的な分析のみで行えるものではなくて、効果や安全性などを総合的に考えていかなければいけないと、このようにも考えているところでございます。
  94. 山谷えり子

    山谷えり子君 これ、婦人科の病院のホームページなんですが、ハイリスクタイプのヒトパピローマウイルス感染しても、九〇%以上は体内から自然消滅すると。全世界で毎年三億人の女性が発がん性のハイリスク型ヒトパピローマウイルス感染すると仮定した場合、そのうちの約〇・一五%が子宮頸がんを発症すると推定されているというふうなこともございます。  日本の場合、さっきも言ったように、HPV16型、18型が地域的には小さいもの、それから性交渉を十代の初め、半ば、そういった時期にしなければゼロなんですよ。今の費用対効果の、私、説明、何か違うんではないかと思いますけれども、疑問感じられませんか。
  95. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) この子宮頸がん予防ワクチンの効果ということについては、いろんな御議論もございましたし、国会の中でも様々な御指摘もございました。もちろん、このワクチンだけが全てではなくて、先ほどから委員の方から御指摘をいただいているような啓発をしっかりやるということが当然必要だということは言うまでもございません。その上に、この予防ワクチンということで取組をさせていただいているところでございます。
  96. 山谷えり子

    山谷えり子君 このグラクソ・スミスクライン社の子宮頸がんワクチンの説明書には、本剤の予防効果の持続期間は確立していないと書いてあります。それから、副作用の検証もまだ不十分でありまして、抗体が子宮頸部の粘膜ににじみ出ることによって予防されるのではないかと考えられているというような分析なんですが、そしてまた、新しいタイプの免疫増強剤も使われておりまして、この有効性、安全性というのもフォローアップが十分ではないんですね。  今、厚生労働省は、追跡調査をこの会社にお任せしちゃっているんですよ。グラクソ・スミスクライン社は、製造販売後ももちろん安全性を調査しているというところで、今、一生懸命安全性を調査しつつあるところなんですね。これに対して、国の行政としてはインフォメーションの在り方に非常に問題があると思いますけれども、今言ったような、まあ山谷さんの意見もそれはそうですねというような意見じゃ、答えじゃなくて、もう少し根本的に問題をとらえ直していただいて、十代、つまり十代の初め、半ばでセックスを始めて複数とするから、十数年の潜伏期で二十歳から三十歳までの子宮頸がんの人たちが今増えちゃっているわけでしょう、急に。そういうことをもう少し分かりやすく説明したらどうでしょうかね。
  97. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 先生指摘のように、現在、グラクソ・スミスクライン社では、有効性及び安全性に関する製造販売後調査を行っております。しかし一方、厚生労働省の方でも、子宮頸がん等接種緊急促進事業の中で、ワクチン接種後の副反応の収集、評価も実施しておりまして、医薬局、健康局合同の委員会の中でそういった副作用のことについても抜かりなくフォローアップしております。
  98. 山谷えり子

    山谷えり子君 ノルウェーでは公費助成はまだ早いということでしていないというふうなことも聞いておりますし、またアメリカの大統領選でも、子宮頸がんワクチン打ったからもう子宮頸がんにならないからといってセックスしてもオーケーというような、そういうようなむしろモラル破壊の方がかえってリスクを高めているんだというようなこともありまして、きちんと海外の情報も得てください。この新型インフルエンザワクチンのことについても私は似たようなことが言えると思います。ある部分では欧米に倣ったりするんですが、この今の特措法に関しては私はちょっと前のめり過ぎるんじゃないかなと。そういう根拠がない状態の中で、根拠があるんならいいんですが、根拠を決めるその土俵設定が余りにも曖昧過ぎるということで、本当に何かに引っ張られていく可能性が非常に強いということを心配しているわけでございます。  医学と科学とは違う政治判断、政治決着、あるいはワクチンビジネスというお金の問題と絡んで、どこか人々の健康とか有効性とか費用対効果とか、そうしたこととは違う方向に走っていってしまう、それは国民の思いとは違うわけですから、十分気を付けていただきたいと思います。  中村祐輔先生、残念ながら、アメリカで研究するんだといって出られました。がんペプチドワクチン、それから丸山ワクチンのようながん免疫活性化療法にも注目すべきではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  99. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) がんペプチドワクチンが、手術、放射線療法、そしてまた化学療法に次ぐ第四の治療法として大変期待をされているということは強く認識をいたしております。このため、全国どこでも質の高いがんペプチドワクチンを受けてもらえるように、平成二十三年度より薬事承認を目指した新たな研究事業を立ち上げまして、八課題の臨床研究を採択をし、本格的な医師主導治験を実施する準備段階に入っているところでございます。  今後も、早期の実用化を目指して財政的な支援も含めて取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  100. 山谷えり子

    山谷えり子君 今、丸山ワクチンもがん免疫活性化療法の一つだという形で再注目をされているわけですが、三十年前、残念ながら、厚生労働省の審議会で承認されなかったと。しかし、それからもずっと有償治験薬として三十数万人の方たちがお使いになられて、効くのではないかというようなことを言っておられるわけでありまして、バランスの問題として私は引っかかるものがあるんですね。  三十年前、私は記者でありまして、丸山博士、あるいは行列を並んで丸山ワクチンを手にしておられる患者の皆さん、家族の皆様、取材しました。そして、国会でも集中審議が開かれて、何だかおかしいんじゃないかというようなことが言われたんです。いろいろな形の承認あるいは財政的支援も含めて、バランスの良い支援体制というものをいま一度、今回の特措法を機にもう一度見直してほしいと思いますけれども、いかがですか。
  101. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 難病あるいはがん等の疾患分野の医療費の、実用化研究事業ということで、先ほど申しましたように、平成二十三年度からかなり力を入れて取り組んできておりまして、今年度予算でも十二・六億円を計上させていただいているところでございます。そういうことを活用しながら、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
  102. 山谷えり子

    山谷えり子君 ですから、その部署とかその金額の掛け方が全く違うんです。ですから、総合的にもう少しバランスの配分を見直してほしい。  それから、国内産業の育成ということが余り視野にないのではないかなというふうに思います。ですから、どんどん外資と合体していかないと生き残れないような状況に追い詰めようとしているように思われますけれども、国内産業の育成についてはどのような体制を取ろうとしていらっしゃいますか。
  103. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 医薬品産業というのは経済成長を担う重要な産業だというふうに認識もいたしておりますし、期待もいたしているところでございます。  政府としては、これは委員も御承知のことと思いますけれども、二十二年六月に閣議決定をいたしました新成長戦略において七つの戦略分野の一つにライフイノベーションを位置付けまして、日本発の革新的な医薬品等の研究開発等を推進をしているところでございます。厚生労働省としても、今年度予算で革新的医薬品等を創出するためのライフイノベーションの一体的推進として百二十七億円を計上させていただきました。  さらに、平成十九年に厚労省が取りまとめました革新的医薬品・医療機器創出のための五か年戦略というものがございますが、これが五か年を経過をいたしましたので、現在、医療イノベーション推進室と協力をして新たに医療イノベーション五か年戦略を策定しているところでございます。この新たな五か年戦略については、今後、日本再生戦略が策定される予定でございまして、その中にしっかりと盛り込んでいきたい、このように考えております。  今後も、医薬品産業を我が国の成長牽引役とすべく、引き続き支援を強化をしてまいりたいと考えております。
  104. 山谷えり子

    山谷えり子君 今、百二十七億円って、少な過ぎるんですよ。で、中村祐輔先生は責任者として呼ばれたのに実は違っていたと。もう悲しみ、無念こらえながら、アメリカで研究の場を移されてしまうんですね。その事実を受け止めてください。  それから、子宮頸がんワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、これ千六百億円、よく分からないまま急に決まって、それから新型インフルエンザだってそうですよ、一億二千万人分作ると七千億円掛かると、もしかしたら無駄になるものかもしれない、流行終わっちゃっているかもしれないと。そのお金の掛け方が違う、それから透明性に対して非常に疑問を感じているところでございます。  最後に、専門家からのヒアリングで、経団連の久保田専務理事が、労働法制や事業法上の諸規制の弾力的運用、法令、事前リスト化など見直しが必要だというふうに思うのですと。ここには何にも書いていないんです、法律には、何にも書いていないんですよ、現場を分かっていらっしゃらないから、民主党政権は、申し訳ないけれども事前意見をきちんと経済界の皆さん方と、聞かなきゃいけないと思いますよ。その辺はいかがですか。
  105. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) 御指摘の様々な活動に対するものでございますが、経団連等からもお話をこれまでもお伺いしております。そのため、例えばよく、これは知事会の方からも要望書の中で出されましたけれども、運転免許の更新期限が来たらどうするのか等々御指摘もいただきました。そういう観点から、この法案の五十七条におきましては、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法案を、これを準用するような規定も設けているところでございますが、それ以外にも運用の面で配慮していくべき点もございます。  昨年九月に改定しました政府行動計画におきましても、そうした点を踏まえ検討していく旨記載をしておりますが、今後私どもとしても、政府行動計画策定する際には、経済界等のお話などもよく聞きながら、さらに運用面で考えていくべき点、そうした点も検討してまいりたいというふうに考えております。
  106. 山谷えり子

    山谷えり子君 それから、同志社大学の川本哲郎法学部教授は、やはり参考人のヒアリングのときに、人権とか何か、不服申立てのところとか、もう全く何も書かれていないんですよ。  例えば、四十五条の三、施設管理者に感染防止協力を求める、特に必要とされる場合って、じゃ、特に必要とされる場合って何なんですかとか、六十二条の方でも補償がいろいろ書いてありますが、補償の範囲とか何にも、これ政令で決めるって書いてあるんですが、イメージができないんです。イメージができない。  私、衆議院の内閣委員会のこの特措法に関する議事録全部読みました。たくさん質問していらっしゃいます、これに関して。答えは何にも分かりません。そういうことなんです。不服申立ての規定もありません。非常に乱暴な、雑な特措法なんですね、今のこの法案は。心配でいっぱいでございます。  時間が来ましたので、この委員会で更に詰めて、同僚議員が、いただけるというふうに思います。  質問、これで終わります。
  107. 芝博一

    委員長芝博一君) 以上で山谷えり子君の質疑を終了いたします。  次に、古川俊治君。
  108. 古川俊治

    古川俊治君 続きまして、自由民主党、古川俊治の方から御質問させていただきます。  まず、大臣に伺いたいんですが、先ほど、今、山谷議員のお話にもありましたけれども大臣、いろんなところの、経済界の意見も聞いて、医療界の意見も聞いたとおっしゃっておりますけれども、この法案について、先日の参考人質疑でも相当の御議論があったようでございますけれども、私も医療界の仲間からも相当の批判が来ております。  本当にこれは聞いたと言えるのかどうか非常に疑問に思っておりまして、一つ申し上げると、特に三十二条の新型インフルエンザ等緊急事態宣言ですか、これが公示された場合には相当の基本的人権の制約ができるという構造になっている、これはお分かりだと思うんですね。第五条に、だからだと思いますけれども、必要最小限にしなきゃいけないと書いてあるわけですけれども、当然のことながら、基本的自由権、精神的自由権及び経済的自由権は必要最小限度じゃないとこれ違憲になるんですよ、そもそもが。だから、当たり前のことが書いてあるわけですね。それをまず御認識いただきたいと。  それで、今回の法案はまず、三年前の新型インフルエンザのように、多くの国民が免疫を持っていない、ですから、全国的かつ急速に蔓延するおそれがある、そういうものをまず対象にしているわけですよね。その上に立って、緊急事態宣言が出される場合には、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあって、かつ、つまりそれは病状が重いということだと思うんですね。それから、国民生活国民経済に甚大な影響を及ぼす可能性がある、そういう疾患だと言っているんですね。これが一体どういうものを想定しているのか。物すごく重篤で、まさに経済や国民生活が物すごく混乱すると甚大な混乱が起こるわけですから、私、ちょっと想定できないんですよね。  先ほど言いました、確かに都市が都市型になってきて感染しやすくなる。それは全部同じなんですよ。今、インフルエンザだけじゃないです。都市型の感染症で起こっているものって、みんな今の医療体制の中でやっていますよ。別に何の混乱も起きていないじゃないですか、国民生活にも。それは生活が密になれば当然感染は起こりますが、軽症である限りはさほど問題はないわけですよ。それはそれなりに医療も進歩していますし、先ほど大臣おっしゃられましたように、いろんな機器も整備されてきて医療体制も確立されて、まず公衆衛生の状態が全然違いますから、昔とは。今回、スペイン風邪とかアジア・インフルエンザ風邪って、これはもう今から百年近く前、五十年以上前と、こういうことをやっているわけですよ。全く事情が違いますね、医療の事情がですね。それをまず申し上げて。  私は今回、ちょっとSF映画みたいな法律だと思っているんですが、一体どういう立法事実を考えていらっしゃるのか、あるのかどうか、そういう必要性がですね。全く想定外で、単に想像だけのことでこれだけ基本的人権を制約するような法律を本当に作っていいのかどうか、まずこの基本的なことが疑問なんですよ。どういう点で、科学的に根拠にというふうにいって今どういうような疾患を想定されているのか、その致死率何%ぐらいのものがあるのか、ちょっと教えていただきたいと思うんですが。
  109. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 先ほど質疑の中でもお話し申し上げたんですけれども、一つは、厚生労働省新型インフルエンザ対策専門家会議意見書、これは専門家の中での議論でありますが、ここでスペイン・インフルエンザ並みの場合を重度として致死率は二%というふうに想定をしていると。これを欧米諸国においても対策を考える際の参考にされているということもありまして、これを一つ前提にしたということ。  それからもう一つは、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるということの根拠といいますか前提はどういうことかといいますと、一つは、高病原性である、病原性が高いということ。それからもう一つは、いわゆる波及性といいますか、流行前、確認された患者が多数の人に感染させる可能性のある行動を取っていた場合、多数の患者が発生する蓋然性が見込まれる状況、これがいわゆるパンデミックになっていく状況があるということ。この二つなんですけれども、一つ、その最初の方の重篤になるという部分については、発生した新型インフルエンザが強毒のH5N1であると遺伝子で判断されるようなことであるとか、あるいは海外で発生した新インフルエンザの臨床例の集積によって、通常のインフルエンザとは異なる重症症例、これが多く見られる。この異なる重症症例の例でありますが、多臓器の不全であるとか、あるいはウイルス性の肺炎、あるいは脳症等々、こういうことが見られるという場合、これを高病原性というふうに規定をしていくということ、この二つを想定をしているということであります。  それからもう一つは、病原性が変化をしやすいという特性があるということで、致死率は、第一波だけではなくて、第二波以降も含めた相当長期にわたる症例の積み重ねによって確定をされてくるということ、こんなことを前提にしながら緊急事態宣言の要件というのを確定をしていくということでありまして、そういう意味で、これが現実のものになると社会全体が相当に混乱をするということが想定をされる、そういう想定の中で法律で二段階に整理をしているということであります。
  110. 古川俊治

    古川俊治君 先ほど言いました二%というのはスペイン風邪とおっしゃっていましたよね、これ。それはもう今から九十四年前のことなんですよ、日本で流行したのは。それと今の医療事情と一緒にするのはおかしいと申し上げているんですね。それは、脳炎や肺炎は起こるかもしれません。それが死につながるかどうかというのは、その間の医療状況によって全然違いますから。多臓器不全というのがあると今おっしゃいましたけど、いきなりは起こってこないんですよ。途中の医療経過があって初めて最初に起こってくるんですね。今、様々な新しい薬もできている、いろんな治療法もできています。それが実際、致死率何%ぐらいなのか。私は、今そこであえて大臣とこれ議論する気はないですけどね。  そういうことも考えて、これ、単なるおそれのことなんですよ。それから、さっき言いましたウイルスが変異して強毒化する可能性がある。それは極めて抽象的なおそれだけで、これだけ現実的に具体的に基本的人権を制約するような法律を作っていいのかどうか。こういう問題がまず全然基本的に考えられていないんですよね。  これ、この法律で私が数えただけでも十七条項の国民保護法からの転用があるんですね、大体同じようにね。これ、国民保護法って武力攻撃ですよ、起こることが。私は、もう今まで二十五年医者やってきましたけど、病気が武力攻撃と同じぐらいというものは見たことがないですね。それはがんだって今、年間三十数万人亡くなりますけど、別に国民生活や経済、混乱していないですよ。多くの人が、二千万人罹患をした前回の新型インフルエンザにしても、多くの人は別に、悪化する人は悪化するし、治る人は治るんですよ。悪化する人は、今多くの場合、インフルエンザ疾患の場合は高齢者の方々、あるいは元々が合併症を持っている方々です。健常人がそのまま死亡するという例は今の医療下では本当にどのぐらいの可能性があるのか、これはきっちりやっぱり議論をして考えていかなきゃ困ると思っています。これはまず最初に申し上げます。  これだけ問題の多い法律で、国民保護法のときは、衆議院で五十二時間近く、参議院で四十三時間近く質疑が行われているんですね。ところが、前回衆議院でこの法案は五時間で終わっている、質疑が。それで、これは、私は正直申し上げて衆議院が余りに拙速であったと言ってもしようがないと思うんです、残念ですけどね。そう思っています。やっぱりここで必要があれば、しっかり改正すべきところは修正をしましてもう一度衆議院でも御審議いただくというような、しっかりとした議論を参議院で是非委員の皆さんにお願いをしたいというふうに思っております。  最初に、緊急事態宣言が出された場合、都道府県知事は、住民の外出規制や集会中止、学級閉鎖などの措置要請、指示できることになっておりますけれども、これらの指示が感染の全国的かつ急速な蔓延を抑制可能なのか、その科学的根拠について教えてください。
  111. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 施設利用の制限等については、これ一つは、これもスペイン・インフルエンザ発生時の米国の例があるんですけれども、多数の者が使用する施設の閉鎖を実施したセントルイスでは、対策を講じなかったフィラデルフィアと比べてピーク時の死亡率は四分の一以下であったと、こういうデータがございます。また、学級閉鎖についても、押谷東北大学教授らによる新型インフルエンザ流行時における学級閉鎖に関する基本的考え方、これにおいて、学校閉鎖はピーク時の罹患率を四〇%まで減少させるというふうに述べておられまして、こういう紹介の中でその有効性が示されているというふうに我々は考えております。  また、学校や興行等において長時間生活を共にしたり、あるいは人の密度が高くなるなど感染が広がりやすい、またこのような施設で感染拡大が起これば広い地域における感染源となるおそれがあるという、このことのために多数の者が集まる機会をできるだけ少なくするということ、それから感染拡大を防止してピーク時の患者を減らしていく、そしてピークをその後にずらしていくというふうなそういう効果があるということを専門家の中で指摘がありまして、それを踏まえてそういう設計をしているということであります。
  112. 古川俊治

    古川俊治君 なるべく端的にお答えをいただきたい、時間が限られていますから、お願いしたいと思っております。  先ほどセントルイスの例をおっしゃいましたけれども、あれで一つ気付いていただきたいのは、死亡率が下がっているんですね。後にピークずれるのは、そういうこと、可能性があるのは分かりますよ。ですけど、医療環境が同じだったら同じ疾患に罹患して死亡率が大幅に減ることってありますか。何でなんですかね。
  113. 中川正春

    国務大臣中川正春君) フィラデルフィアとそれからセントルイス、これを比べてということでありますから、そういう意味で、多数の者が使用する施設の閉鎖、これを実行したセントルイスがピーク時の死亡率が四分の一になったということ、ここだと思うんですけどね。
  114. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 当然、感染者数が減ったということで、人口に対する死亡率で、死亡率が下がったということでございます。
  115. 古川俊治

    古川俊治君 それは対人口での死亡率ですね、致死率が減ったというわけじゃないですね。正確に御答弁いただきたい。  私、その期間を遅らせるというのは分かるんですよ、それ、幾つかエビデンスもあるようですから。そういう意味で私も全部調べました。その上で、何で患者数が、ピーク時の患者数が減るんでしょうか。専門家がそう言っているからというのはやめてください、報告があるとか。科学的にどうしてだということをお答えください。専門家にもいろんな意見がありますから、その点を明確にお答えいただきたい。なぜピーク時が遅れて、そこでピークの患者数が減るのか、論理的に科学的にお答えいただきたいと思います。
  116. 中川正春

    国務大臣中川正春君) いや、私たち、政治的に判断するときには、専門家による委員会を構成して、その中で議論をした結論に基づいてそれを採用したシステムをつくるかどうかという、そういう判断でありますから、その中で出てきた知見に基づいていわゆる答弁させていただくよりないと思うんですよ。そこのところを私が説明しても恐らく説得力はないんだと思います。
  117. 外山千也

    政府参考人外山千也君) こういった問題につきましては、人道上の問題からケースコントロールスタディーなるものをやることは不可能だと思いますので、歴史的な状況から判断するという以外ないと思いますが、このセントルイスとフィラデルフィアにつきましては、類推されることは、これがインフルエンザでありますので感染症だということでありますから、接触の機会を制限すれば当然その感染の拡大のスピードは遅くなったであろうと。その結果としてフィラデルフィアとセントルイスでは差ができて、セントルイスはなだらかなピークになったんだろうと思いますけれども、厳密な意味でほかの要因も全部そろえて、人口集団とか他の医療の状況とか全部そろえた上での解釈じゃありませんので、一定程度の類推でございます。
  118. 古川俊治

    古川俊治君 大臣のおっしゃるのは、それはそうです、それはそうなんですよ。ただ、その場合に、いろんな意見がある中でなぜそういう有識者の意見を取ったのか、政府としてはやっぱりそれは国民に説明すべきでしょう。それは専門家委員が言ってきたから、それを受け取るのが政治家の仕事じゃないですよ。これは、政治家、そういう意見の中でどれを採用するか、それを決断するのはまさに政治責任ですよ。だから、この場で問われたときにそれは答えられないじゃ困るということも、まずそういう認識でいていただきたいんですね。  それから、今のお話ありました、十分に検証ができないということですね、それ、今局長がおっしゃいましたけど。ですから、このことについて、そういった答えができないんであれば、何で、問題は、これほど重要な基本的人権の制限がそれほど答えられないようなエビデンスをもって許されるのか、そのことを考えなきゃいけないんですよ。これは弁護士会が言っていますよね、集会の自由、精神的自由権ですよ、それが答えられないようなエビデンスでもってそれを制約していいのかどうか。これはやっぱりちゃんと考えなきゃいけない。答えられないんですよ。まさにそれは科学的な問題でないはずであります。  それで、じゃ、次行きますよ。もう時間がないからいいです、そっちの。水際対策についてお聞きしますけれども、じゃ、水際対策のエビデンスって何なんですか。もっと言うと、一言で申し上げますと、もういいや、いいや、じゃ先に御答弁をお願いします。
  119. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 平成二十一年の新型インフルエンザでは、WHOにより発生、フェーズ4の宣言がなされた時点では、既に北米における影響が広がった段階であったため、国内へのウイルス侵入を長期間遅らせる効果は期待できない状況にありました。それでも、発生後に行われました海外の研究によりまして、日本を含めた検疫の実施国におきまして国内感染をある程度の期間遅らせる効果があった可能性を示唆する結果が報告されております。  また、今年一月の厚生労働省新型インフルエンザ専門家会議が取りまとめました意見書におきましても、この水際対策はその対策の開始時期に日本への感染者の到着数が少数と考えられる場合などに侵入遅延に有効となる可能性が期待できるとされていることから、入国する感染者数が極めて少ない段階では水際対策を行うことが適当であると考えております。  ただ、新型インフルエンザ感染力等は様々でございまして、フェーズ4からフェーズ6に進むまでの時間も様々であること等考えられますことから、実際に発生した場合に、海外や国内での発生状況を踏まえまして合理的な措置をとることとしてまいりたいと考えております。
  120. 古川俊治

    古川俊治君 今お答えありましたように、総括会議ですね、二〇〇九年のときの、その中で、水際対策については、検疫により感染拡大時期を遅らせる意義があるとする意見があるが、その有効性を証明する科学的根拠は明らかでないと言っているんですね。これ出ていますよね、お分かりだと思いますけど。  その上、よく考えていただいて、水際対策って、元々が無症状の人も多いんですね、最初。非常に不確定な症状です。それで、潜伏時期がありますから、だから、そうすると症状は出ていないんですよ。そういう人がどんどんどんどん入ってくるのに止められるわけがないです、論理的に考えてもね。そういう状況でやっていて、今局長おっしゃられませんでしたが、私が内閣府からいただいた資料の中にメタスタディーがありました、二十六か国を比較したやつですね。そこで結果は出ていないですよ、差がないという結論になっていますから。それからいうと、やっぱりこれは、中で見ても、停留させて相当の抑制、そこで全部チェックするわけですから、相当のこれはもう人権侵害になっているわけですね。これは十分にお考えいただきたい、本当にこういう状況でやるべきかどうか。これはやっぱり反省すべきだと思うんですね。同じです。それが仮にその時期を遅らせることに有効だとしても、本当にピークの感染者を減らせるのかどうか、こういうことも是非考えていただきたい。これ相当の抑制になっていますので、人権に対する、そこから取り組んでいただきたいと思います。  一番今回の本題に入りますけれども、今回の法案では新型インフルエンザ対策は、免疫を獲得していない国民が大変多い、その中で全国的に蔓延するおそれがあると、こういう場合についてやるわけですけれども、その中でも、実を言うと、患者さんの病態に応じて三種類に分ける対策になっているんですね。一番重いのが、大変重篤で国民の甚大な障害があるというやつですね、影響がある。これは緊急事態宣言が出されてという措置をやるということになっています。次が、季節性インフルエンザよりは病状が重いんだけれども緊急事態宣言を出すほどには重くないというやつ、真ん中型ですね。一番下は、季節性インフルエンザと同等又はその以下というんですね。この三つに分かれているわけでありますね。  それで、まず新型インフルエンザ対策というのは、水際対策、それから医療機関への要請、指示というのは、季節性インフルエンザよりも重いものについては全て、これ水際対策とか、あるいは医療機関への指示、要請はやることになっているんですけれども緊急事態宣言が出されないと集会の停止の要請とかそういうものは出されないことに、発動されないことになっているんですね。これはなぜなんでしょうか。私は、基本的に、人に接触しないというのは基本的なこれ防御の問題だと思うんですけれども、それがなぜ季節性インフルエンザよりも重いインフルエンザの場合は取られないのか、この点についてちょっと伺いたいと思います。
  121. 中川正春

    国務大臣中川正春君) これは先ほど議論でもあったように、インフルエンザ自体の高病原性あるいはパンデミック性という、そういうことが前提になって緊急宣言ということが出てくるわけだと思うんです。それ以前のものについては、でき得る限りこれまでの対処法の中で対処していくということ。先ほどの水際も含めて国民に注意を喚起しながら、インフルエンザ、いわゆる季節性のインフルエンザ対応ということになっていくと、そういう前提だと思うんです。  それがあるときに、いわゆるその病状の程度によって、これは高病原性のものであるというふうなことが確定し、またそれをもって緊急事態宣言というのを発動していくわけでありますから、その二段階の中の前段というのは、当初は季節性のインフルエンザ等々を含めた対応になっていくということだと思います。
  122. 古川俊治

    古川俊治君 いや、だから季節性のインフルエンザよりは重いんですよ、この場合に、段階として。だから、水際対策もやるし、医療機関への指示をして、これ別の条文ですよ、今までも医療機関への要請は事実上やっていたかもしれませんけれども、それ以上のものが置かれているわけですね。ところが、重いにもかかわらず、とても重くなければ集会、人が集まることを抑制したりというお願いはしないと言っているんですよ。  私は、先ほど申し上げました、水際対策にエビデンスはないけれども、集会停止なんか、あるいは学校閉鎖なんかは多少のエビデンスはあると。そっちの方があるのに、それはもうとても重くならないとやらないと言っているわけですね。だって、季節性インフルエンザ、少なくとも重い疾患に対してですから、やったらいいじゃないですか、それ。
  123. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 対策本部はそれぞれつくられていくわけでありまして、知事の判断の中でそれをしてはいけないということではないというふうに思うんです。それぞれの判断の中で、いわゆる指示や要請にはなりませんけれどもお願いをする形で、あるいはこういうことが発生をしておるのでそれぞれ気を付けてくださいというような、そういう体制の中で対応をしていくということについては妨げるということではないというふうに思っております。
  124. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) この法案でございますが、現在も、地方公共団体で三年前も様々なお願いをされた、そういうこともございます。そうしたことを踏まえまして、この法案におきましても、法案の二十四条九項という規定の中でいろんな必要な協力要請をすることができる、そうした規定も置いているところでございます。
  125. 古川俊治

    古川俊治君 いや、具体的な集会の中止の要請お願いというのは、緊急事態宣言のところに書いてあるわけですよ。四十何条でしたっけね、そこに書いてあるんですけれども、別にそこだってやらなきゃいけないと書いていないんですよ、できると書いてあるんですよ、別に。だから、それは先ほど都道府県知事ができるというのは別に禁止しているわけじゃないんだと、それは事実上できると言っていますけれども、だったら緊急事態宣言が出された後も、できると書いてあるんだから同じじゃないですか。  私は、この元々の集会中止なんかは、別に今回対策本部をつくるような病状の、同程度だったら、それは指示はしないまでも要請ぐらいできてもいいんじゃないか、せっかく書いてあるんだからね。先ほど今、田河さんおっしゃいましたけれども、その法条と別に書き分けてあるわけでしょう、特別にこういうことを要請できるって。私、そうすると、この緊急事態宣言等が出された場合の要請というのは一体、法律的に今そのほかの場合に知事ができる要請とどう違うのか、これもまた非常に疑問になってくるんですよ。それはお答えいただけますかね。
  126. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) 第四十五条の緊急事態宣言時における要請関係とそれ以外の場合のお尋ねかというふうに思っております。  この四十五条の感染防止のための要請や指示につきましては、これは病原性の高い新型インフルエンザが国内で発生した場合に行われるものでございます。そのため、まず要請等を行うわけでございますが、それでもなかなか従っていただけないようなそういう場合に関しまして、更にこれは必要な当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる、そうした規定を置いている、そういう意味では二段構えになっております。それに対して、緊急事態宣言以外の場合に関してはそうした指示の規定等は置いていない、そういうふうな違いもございます。
  127. 古川俊治

    古川俊治君 私の質問に答えてくださいよ。だから、緊急事態宣言が出された場合の要請とそれ以外の場合の要請はどう違うのかと言っているんですよ。
  128. 中川正春

    国務大臣中川正春君) そういうこともあって、法的に、法定化するということだと思うんです。  意味合い、よく分かるんですよ。知事が、これはパンデミックになる可能性があるということの中で、緊急事態宣言の前にそれぞれ判断をして集会あるいは興行場に対してお願いをしていくと、自粛をしてくれというようなお願いをするケースは出てくるというふうに思うんですが、その場合は法律の中で規定されたような行為ではないと。しかし、緊急事態宣言後は、ここで規定しているように、要請ないしは指示という形で法定化することによって、そこのところもはっきり段階的にさせていこうという意味。そういう意味で、今回、行動計画だけではなくて、法律というものでその辺の定義も特に緊急事態宣言以降ははっきりさせていくということがいいんではないかということだと思います。
  129. 古川俊治

    古川俊治君 だから、その緊急事態宣言より前の、病態になる前の段階のより軽いものであっても、季節性インフルエンザ以上なんだから知事の判断で要請できてもいいじゃないですか。それ、何で、法律に書き込んでもいいでしょう、悪いわけじゃないですよね。どう思われます、大臣
  130. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 実は、二十四条にこういう規定があるんですが、都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ対策実施に関し必要な協力要請をすることができる、こういう規定の中で、これは、緊急事態宣言前に対してもこれを適用をするような形でここに規定は置いてあります。
  131. 古川俊治

    古川俊治君 じゃ、今この二十四条に書かれているような協力要請と四十五条に書かれている協力要請と、どこが違うんですか。要請と書かれている言葉がどういう意味なのかを知りたいんですよ。
  132. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) 要請を行う状況は違いますが、要請ということ自身は大きな違いはないと思います。  ただし、四十五条の場合の要請につきましては、その要請に正当な理由なく従っていただけないような場合については指示ができる、そういうふうな二段構えの構成になっている、そういう点が違うというふうに考えております。
  133. 古川俊治

    古川俊治君 これ、またこの委員会の中で後日もう一回質問したいと思います。私、全くこれ意味が分かりません。  これ、二つ書き分けて、後の方はより人権に対する重大な侵害をしようとしているんですね。その場合の要請が前と同じ。わざわざ書き分けてあって、それだったら前のところに入れればいいじゃないですか、それがまず一点。  それで、もう一つ、じゃ、お聞きしておきますけれども、これは、田河さんも、先日も私お聞きしましたけれども、本部がなくなるような疾患、例えば、全国的に蔓延するんでしょう、元々が、新型インフルエンザ。二〇〇九年のときの新型インフルエンザもそうでしたけれども、免疫がなくてみんなに蔓延すると、そういうものなんですけれども、季節性インフルエンザと同程度症状だったら何の対策もしなくていいとなっているんですよ、この法案の中では。季節性インフルエンザ、従来の対策だけでいいわけでしょう。全く対策本部はつくられないんですから、元々が。だから、今までの行動計画も何もできないわけですよ。  本当にそれでいいんですか。何でそれのときに何にも取らないんですか。教えてください。
  134. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) この政府対策本部をどういう場合に置くのか、その病状の程度が季節性インフルエンザとおおむね同程度以下であることが明らかになったときに対策本部が廃止されるので、そういうことになってしまうんではないかというお尋ねかというふうに思っております。  しかしながら、新型インフルエンザウイルス、変異しやすく第二波の方が病原性が高くなる、そういうふうな可能性があるという特性のために、現段階の科学的知見においては、その病原性、この法案の中でも明らかになったときというふうに規定しておりますけれども、その病原性が明らかになるには多くの国民が罹患し、その症状が大量に集積されていくことも必要であると考えております。そういうためには、やはり相当の期間も必要である。そういうことから、病原性が同程度以下であるかもしれない、そういう段階において、対策本部が即座に廃止され、また対策が講じられなくなる、そういうものではないということでございます。
  135. 古川俊治

    古川俊治君 時間限られているから短く答弁してください、要点は分かっているはずなんだから。  これ、何回も言っていますけど、二〇〇九年のインフルエンザのときに反省やっているんですよ。あれは病状が同じです、ほとんど季節性インフルエンザと。そうすると、あのときの反省って何も生かせないことになるわけですね、この中では。だって、適用されないんだから、何にも。  先ほど申し上げたように、それで、今おっしゃいました、それまで、明らかになるまでだというから二、三か月たてば分かるんですよ。ところが、前回のインフルエンザのときだって、二、三か月の間はまだ少なくとも数万人です、罹患したのがですね。最終的に二千万人まで行っているんでしょう。それ、数万人の段階ではもう既に季節性インフルエンザと同じだということはもう分かっているんですよ、はっきり申し上げて。そうすると対策が取られなくなっちゃうわけですね、これは、この法案でいきますと。本来であれば、それから数千万人に広がるときに、軽症ではあっても何らかの対策は生かされるべきなんですよ。それがそうなっていないんですよ、この法案は。どうですか、一言。
  136. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) 先ほどの繰り返しになりますけれども、ある程度、相当な期間はやはりその状況が明らかになったとは言えないと思います。また、仮にその病状の程度が本当に季節性インフルエンザとおおむね同程度以下であった場合、そういう場合は感染症法等において適切にまた対策も講じられていく、そういうふうに考えております。
  137. 古川俊治

    古川俊治君 時間がないので短くしてください。  医療について伺っておきますけれども、三十一条の規定する要請と指示の違い、端的にお答えください。
  138. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 要請というのは、一定の行為について相手方に好意的な処理を期待するものでありまして、医療関係者は法的に医療の提供等を行うべき立場に立たされるものではないが、指示というのは、一定の行為について方針、基準、手続等を示してそれを実施されることをいい、医療関係者は法的に医療の提供等を行う義務がここで生じるということであります。ただし、罰則は設けないということであります。
  139. 古川俊治

    古川俊治君 医師法十九条の一項にも応招義務規定がありますけれども、これとの関係はどうでしょうか。
  140. 田河慶太

    政府参考人田河慶太君) 要請と指示、大臣が今お答えしたところでございますが、医師法に定められた応招義務、これは患者からの個別具体的な診察治療の求めがあった場合の義務でございます。そういう面では、本法案における要請、指示、これは行政の側からのものでございますが、医師法による応招義務とは制度的に別なものであるというふうに考えております。
  141. 古川俊治

    古川俊治君 元々政府から要請があっても、結局患者さんから要請がなきゃ医療をやれないわけですから、その関係について伺ったんですけれども。  これ、いずれにしても重要なのは、その場合に、お断りした場合に罰則は付いてないと大臣おっしゃいましたけど、民事的にはこれ損害賠償の問題になってくるんですよ。それは、確定された判例もありますし、政府から指示来ているのにそこを断れない、断った場合には、罰則はなくても後々法的責任を問われるわけですね、民事によって。  この場合、例えば他の患者さんに感染する可能性がある、我が病院ではほかの患者さんが入院していてその患者さんがインフルエンザになっては困るということでお断りした場合は、これはどうですか。
  142. 中川正春

    国務大臣中川正春君) この応招義務については医師法の問題であって、厚生労働省において基本的には判断することになるんですけれども、それが正当な事由に該当するか否かということについて、社会通念に照らして個別具体的に判断されるものということになっていくと思います。
  143. 古川俊治

    古川俊治君 だから今日、大臣じゃなくて厚生労働省の方をお呼びしてあるんですけど、今伺ったことと、それからほかの患者さんに手いっぱいだった、そういう場合はどうなんですか。この二つの点について。ほかの患者さんに感染する可能性がある、あるいはほかの診療に手いっぱい、通常の業務をやるので手いっぱいだったと、そういう場合にインフルエンザの患者さんを診ないことは医師法の応招義務に触れませんか触れるのか、厚生労働省の方、お願いします。
  144. 篠田幸昌

    政府参考人(篠田幸昌君) 補足して御説明申し上げたいと思います。  いろいろケースあろうかと思います。具体的に個々の事案に即して考える必要があると思いますけれども、一例を挙げて申し上げるわけでございますけれども、ただいまの、今先生おっしゃいましたように、新型インフルエンザの発症の疑いのある患者さんがある医療機関を受診すると、その場合に、例えば当該医療機関では特別の感染防止が取られていないとか、あるいは地域の医療体制としてそうした患者の医療を担う医療機関がほかに整備されているとか、そういう場合につきましては、さらに、医療従事者や他の患者さんの安全、あるいは一般市民への影響等を考慮いたしまして他の医療機関を受診するようにお勧めをする、直接の診療をしなかったという場合ございますけれども、一般的にはそういうケースであれば医師法の応招義務違反には当たらないというふうに考えられております。
  145. 古川俊治

    古川俊治君 ちょっとこれ議論をする時間がないんですけど、それは是非大臣の方でも、そういう場合の指示に従わなくてもこれは問題がないということはしっかり現場の判断をさせていただきたい。  それで、もう一個、三十一条四項には、その要請や指示をする場合には、医療従事者の生命及び健康の確保に関し十分に配慮し、危険が及ばないよう必要な措置を講じるという義務が課されております。これは行政側に義務があるわけですね、こういう措置をとる。それなのに、六十三条には補償の規定が置かれているんですよ、医療従事者の健康を害したり死亡した場合ってね。これは矛盾するんじゃないですか。だって、危険が及ばないように措置をする義務が課せられているのに、何で補償する規定が置かれているんですか。それは死ぬということを元々想定されているわけですよね。これは何でなんですか。
  146. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 医療関係者への要請とか指示を行うときは、特定接種の実施、あるいは新型インフルエンザ等に関する最新の情報を可能な限り適時に提供することなどによって、当該医療関係者の生命及び健康の確保に関し十分に配慮をして、危険が及ばないような必要な措置を講じること、これを厚生労働大臣都道府県知事に課しています。  一方、さっき御指摘のように、六十三条では要請、指示を受けた医療従事者死亡、罹患等した場合における損害補償を規定していますけれども、これは、危険が及ばないような配慮をしたとしても新型インフルエンザ等の発症を完全に防ぐことはできないということも想定をしておかなければならないと。万が一そのような事態になったときに、死亡、罹患した場合の損害を放置することは必要な場合に十分な医療関係者協力が得られないというおそれがあるということで、そういう補償に関する規定を設けることとしたということであります。
  147. 古川俊治

    古川俊治君 これは、もしそこに書くんであれば、危険が及ばないようにって書いてあるんですよ、元々がですね、三十一条四項には。だから、危険が及んじゃいけないんですよ、この措置で。これは本来であれば補償ではなくて賠償ですよね。だって、国家がそういう義務を負っているのに、これを怠っているわけですから。国家賠償にして、これは補償ですと一定の限られた金額しか支払われません、これはやっぱり医師の逸失利益ということでもちゃんと払わなきゃいけないと思うんですよ。だって、そのために、指示を受けたためにそこで働いて亡くなるわけですから、当然、一定額の低い補償金で収めようというのは私はこれはおかしいと思いますよ。それは、まさに国民のために働いてくれって強制して、それだったらやっぱりその部分はしっかりと賠償と同程度の金額が払われるべきですよ。それぐらいはお考えいただきたいですね。  この法案、更にまだまだいろんな問題、先ほど申し上げました軽度のインフルエンザのとき、あるいは季節性と重篤の間の場合、それから重篤の場合、これをしっかり整理してもう一度議論し直さなきゃいけないと思います。  それから、今までの、二〇〇九年のときのインフルエンザ対策は、まさに医療現場の中でいろんなことが日々起こっているわけですよ。その意見が全然、吸収されて次々政策に生かしていけると、そういう反省がないんですね。元々、今、この法案も、まさにパンデミックになったときに、国内でですよ、医療が満杯になったときに、どうやって医療関係者意見をそのまま吸い上げて、すぐにそこでうまくやっていくというようなシステムは全く考慮されていないんですよね。これは大きな欠陥だと思います。これ、やっぱりそういうところを総合的に参議院では議論させていただいて、しかるべき修正が私は必要だと思っています。  時間になりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。
  148. 芝博一

    委員長芝博一君) 以上をもちまして古川俊治君の質疑を終了いたします。  午後一時に再開することとし、休憩といたします。    午後零時二十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  149. 芝博一

    委員長芝博一君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告をいたします。  本日、石橋通宏君及び古川俊治君が委員辞任され、その補欠として足立信也君及び中曽根弘文君が選任されました。     ─────────────
  150. 芝博一

    委員長芝博一君) 休憩前に引き続き、新型インフルエンザ等対策特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  151. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  この新型インフルエンザ等対策特別措置法案は、重要な法案ということでありまして、予算関連法案じゃありませんけれども、三月九日に閣議決定、国会提出された後、もう三月の段階から与野党協力をして、三月十六日に提案理由説明、衆議院段階ですね、二十三日質疑、二十八日にまた質疑、採決、三月三十日に衆議院の本会議採決がなされました。  ただ、その段階で多分、議事録を見ましたけれども、言及がなかったので各委員が気付いておられなかったかもしれませんけれども、日弁連が法案に反対する会長声明って出されたんですね。今日、委員の皆様に参考資料で配らせていただきました、クリップ留め外していただいた二枚目の資料なんです。  こういうことが書いてありまして、本法案には強制力や強い拘束力を伴う広範な人権制限が定められている、本法案においては人権制限を適用する要件も極めて曖昧であると。例として新型インフルエンザ等緊急事態宣言の要件というのが挙げられているのと、もう一つは、個別の人権制限規定にも多くの問題があるとして、多くの者が利用する施設の使用制限等という条項と、もう一つは指定公共機関に対する総合調整に基づく措置実施ということで、いわゆる民放事業者にも指定公共機関とされ得ると。ただ、これについては答弁でされないとされていますので、これは排除されたと思いますけれども、こういうことから、本法案の適用により国民の人権が広範囲に制約されることに鑑みれば、法適用の根拠及び各措置の結果等については随時全面的に情報公開を行い、専門家らを含む第三者が広く検証できるようにすべきであるという、こういう御意見を出されているんですね。  あわせて、私、予算委員会の理事なんですが、舛添委員が、当時、三年前のときの厚労大臣であります、予算委員会で四月四日に発言されたんです。その発言された議事録も今日、参考資料で配らせていただきました。  これは、野田内閣の基本姿勢ということであったわけですが、テーマにされたのが徹底した情報公開と現場第一主義と。その例として三年前の、この法案の、これを受けた法案について言われていまして、この度、新型インフルエンザ等対策特別措置法というのが衆議院で通りました、私はこれよく読んでみました、残念ながら、私が新型インフルエンザ大臣として対応したときの経験、それが十分に生かされていない、もっと言うと危機管理にむしろ逆行する面があると、こうおっしゃっているんですね。私は是非、参議院においては参議院らしい議論をして必要な修正を加える、そういうことを同僚の皆さんにも申し上げたいと思いますと。  具体的な例が挙げられています。二点言われているんですね。一つは、三年前も、あのときは強毒性ということで全部厚生労働省行動計画作っていた、ところが、やってみたら豚インフルで弱毒だった、作ったものの何の役にも立たないどころか、手かせ足かせになったと御発言されています。裏のページに行きますけれども、もう一点が、この法律の中に、厚労大臣や知事がお医者さんにこうやれということを指示できるということになっている、インフルエンザが来たときに現場の医師に任せた方がいい、現場の医師がこう変えてくれって言ったら聞きますよと書いている条文ならいいんですけどということで、具体的には三十一条、医療等の実施要請等の例を挙げておりまして、かえって邪魔になる可能性があるところは、我々は立法府としてこれはきちんと修正は加えるべきは加えるべきだということを申し上げるという、こういう発言があったんですよ。  そういうことで、参議院としてはこれは慎重審議をしようということになりまして、急遽、四月においては、十日に提案理由説明を終わった後、十二日に衆議院では行いませんでした参考人質疑をさせていただきました。そしてあわせて、本日の質疑では、御発言された舛添委員を、この委員会委員ではないんですけれども委員議員として朝の理事会で認めるということで皆さん理事が合意いただきました。その御配慮は本当に皆様、感謝したいと思います。  ただ、問題なのは、政府対応はちょっと私はおかしいなと思ったことがあるんですよ。私はこの法案には反対じゃありません。三年前も自公政権当時にこのプロジェクトチームにいましたから、法案必要と思っています。ただ、それは政府への信頼が、ちゃんと執行していただける、適切に、そういうのが前提なんですが、この参考人のメンバーの選び方でちょっと私はおかしいと思ったんですね。こういうことが日弁連とかで議論になっているわけですから、参考人は推進派の方々、お医者さん、実際はWHOの尾身先生、又は感染研田代先生、そして経団連の久保田さん、来ていただきました。ただ、こういうことが議論になっているんだから、法律学者はやっぱり本来入れるべきですよね。  いわゆる、やっぱり有事法制のときには私権制限は必要と思っています、有事法制ですから。しかし、それが適切かどうかというのを議論することが重要なんで、その参考人を入れてこなかった。それは、確かに参考人決めるのは国会の委員会なんだけれども、私も裏方やっていましたから、役所にいましたから、役所の方が大体こういう人がいますよと、反対派は呼びませんので、推進派でも慎重な方を呼んで慎重な意見をいただくというのが本来のやり方なんですよ。それをなぜそうされなかったのか。そこで私はちょっと不信感を持ったんで、場合によっては附帯決議で終わる話も、政府に信頼がないんであればそれを縛るのが立法府の責任ですから、やらざるを得ないなと思った次第でございます。  まず、中川大臣に、もう少し参考人質疑を充実させるために、なぜそういう方々を推薦されなかったのか、御答弁いただきたいと思います。
  152. 中川正春

    国務大臣中川正春君) さっきお話しのように、参考人質疑、誰を呼ぶかというのは理事会を中心にこの国会の方で議論していただいて決めていくということが前提になっていますので、私の方になぜこういう人を推薦しなかったのかと言われて、それが最終的な結論だということになるとちょっと困るところがあるんですが、御指摘のように、法律にもこれは密接に関連をしているということ、同時に、先ほど日弁連からの意見書といいますか、そういうものが出てきているということ、これを十分に私も理解をさせていただいて、その上で、恐らくまだはっきりしない部分というのは確かに先生方の立場からいくと多いんだと思います。  これは政省令に落としていくという過程の中で一つ一つが具体化していくということ、これが前提になっておりますので、そこのところがどうも歯がゆいと、あるいは絵柄が見えないというところがあるんだと思うんです。それを決めていくといいますか議論をしていく過程で、是非とも様々な人の意見、あるいはまた委員会を構成していく中で、専門家委員会を構成していく中で様々な方の意見というのをこの中に組み込んでいきながら、具体的な政省令、あるいは行動計画、あるいは対処計画というものを作っていくと、そういう枠組みはしっかり踏まえていきたいというふうに思っております。
  153. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 確かに参考人を選ぶのは国会の委員会なんですけれども、実際は、御存じかと思いますが、前の日の夕方段階では法律家は入っていなくて、わざわざ私は同志社大学の川本先生というのを夕方の時点で電話をして、翌日京都から授業を取りやめて来てもらって、結構聞いてもらって良かったと思いますよ。  そういうやっぱり慎重さというのかな、それは今後政省令作る段階で幅広く意見を聞きますと、それだけで済むんだったら立法府要らないんですよ。立法府というのは行政の権限の濫用を防ぎ、裁量行為を羈束行為になるべく変えていくというのが本来の役割なんだから、それはやっぱり立法の議論をちゃんとさせるように、やっぱりそれは政府としてやってほしいと思います。  次にお聞きしたいんですが、午前中の質疑の中で、公開の場でいろんな方と意見交換をしてきましたということを大臣は答弁されました。であれば、なぜ日弁連はこういう声明を出したんですかね。日弁連との間で公開の意見交換はされたんでしょうか。
  154. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 日弁連に対してはこちらから日弁連に説明に伺って、そのときに意見交換がされているんだというふうに認識をしております。
  155. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 意見交換をして、彼らの意見はこう踏まえたというのはどういうところなんですか。
  156. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 人権制限の部分での要件が曖昧であるということ、これの指摘であるとか、先ほどお話がありましたけれども、スペイン・インフルエンザからの推計に基づく被害想定が科学的根拠を有するということが疑問であるとか、あるいは、新型インフルエンザ緊急事態宣言には国会の事後承認を要するものとするとともに国会の事前承認を延長の要件としていくということ、あるいは、施設の使用制限等、四十五条について要件が曖昧であるということ、こういうことで本法案に反対するというようなことだと理解をしております。  これ、相当部分が運用にわたる部分が大きいわけでありまして、そこが、医学・公衆衛生分野を始め、地方行政あるいは危機管理、法学、先ほどお話がありましたが、広範な分野の学識経験者意見を聞いて、政府行動計画の中でこうした懸念といいますか、そういうものを受け止めながらしっかり作っていくということだというふうに思っております。  また、特に私人の権利を制限する規定ということについては、国民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、新型インフルエンザ等対策実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策実施するための必要最小限のものとしていくということ、こういうことを明文化しておりまして、もう一方で、その推計というものについては、これは弾力的に、今もう決めてそれで未来永劫というんではなくて随時最新の科学的知見を踏まえて見直していくという想定で、法的に置くんじゃなくて、運用の中でこうした知見というのを絶えず更新をしていくという努力をしていくという前提で作っているということであります。
  157. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、大臣答弁されましたけれども、第五条に確かに「基本的人権の尊重」という規定がありまして、国民の自由と権利に制限を加えるときには必要最小限のものでなければならないと書いてあります。しかし、これが単なる床の間に飾られる理念だけなのか、これが本当にいわゆる実施される規定なのかが問題なんですよ。その担保規定何もないんです、これは。実はこれだけ、理念、一条だけなんですよ。  それで、日弁連も問題にしているのは、担保するために、先ほど配りました資料の裏の面ですけれども、法適用の根拠及び各措置の結果等については随時全面的に情報公開を行えとおっしゃっている。これ、重要なんですね。確かにこれは重要なんです。これがあれば、この五条という規定が本当に実施される実施規範になっていくんですね。  そういう意味では、私は、今回の実施に係る記録を作成し、保存、公表すると。別にそれをアクションする前提にはしませんよ、急ぐんだから。しかし、事後検証できるように、特にこの新型インフルエンザ等緊急事態宣言、これ一番重要ですから、この決定に至る記録については会議録等の経過記録等、科学的根拠となるデータは完全に保存して国民への説明責任を果たすことが重要だと思っているんですね。  なぜかというと、こういうものも、三年前もありましたけれども、やっぱりやってみて改善していく一種のPDCAのサイクルで徐々に人権制限をなくしていくと。サイクル重要ですよね、その観点からこの記録を残していくことは重要と思いませんか。
  158. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 御指摘のとおりだというふうに思います。  それで、そのことを担保するためにも、いわゆる基本的対処方針の決定や変更の際は、法案第十八条第三項において、公示してその周知を図る旨が規定をされておりまして、同時に、公文書管理法に基づいて文書の作成義務付けられているということ、これは公文書管理法第四条第二号なんですが。それから、都道府県要請や指示を行う場合も公文書管理法を踏まえて適切に対応していただくということが前提になっていると、これは公文書管理法第三十四条ということであります。
  159. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 大臣、公文書管理法があるから大丈夫とおっしゃったんですけれども、公文書管理法があっても今回の原発災害で議事録作れなかったじゃないですか。だから、そういう意味ではこの法律で書くことが私は必要と思いますけれども、いかがでしょうか。
  160. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 法案第十八条第三項において、公示してその周知を図る旨ということで規定があるというふうに理解をしております。
  161. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今おっしゃったのは、その十八条三項というのは基本的な対処の方針を決めたときにはこれをするということだけなんですよ、公表をするというね。私が聞いているのは、緊急事態宣言とか具体的なアクション、また、場合によっては私権制限のための要請とか指示があるじゃないですか。ただ、その前提条件にするのは私は重いと思うんですよ、やっぱりアクションが必要な、即座にしなきゃ。ただ、それがある程度後で検証できるように何らかの記録を残していくということをほかのアクションにもちゃんと掛けていくというのは重要だと思いませんかということなんですよ。
  162. 中川正春

    国務大臣中川正春君) いや、御指摘のとおり、今回の原子力始め危機対応の場面でそれができていなかったということでありますが、法律の体系の中ではそれはしなければならないということになっておりますし、当然、今回の反省を踏まえて、この法案の前提というのはそれを残しておく、あるいは情報開示をしていくということであります。
  163. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。是非そういう対応をしていって、こういうものについて、やっぱりさっきも言いましたように、PDCAのサイクルをうまく回しながらより適切なものを、より人権制限少ないものをやっていくという姿勢が重要だと思いますので、そのための記録を残すというのは是非、それぞれの基本方針だけじゃなくて、具体的な要請とか指示についてもしていくことを再度お願いしたいと思います。  次に、国民の権利利益救済に係る手続に関する制度設計の問題について質問したいと思いますが、先般の参考人質疑で川本参考人からこういう発言がありました。人権侵害が起きたときには、精神医療については精神医療審査会、感染症については感染症診査協議会が置かれているが、この法律には全くないというのはちょっと奇妙な感じがすると。なぜ規定しなかったんでしょうか。これは大臣及び法制局にお聞きしたいと思います。
  164. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) 恐縮でございますが、お尋ねの内容につきましては、まさに施策の措置の内容に、必要性にかかわる判断というところでございますので、ちょっと私どもからのお答えというのは差し控えさせていただきたいと思います。
  165. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 感染症予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第二十四条、感染症診査協議会なんですが、それから、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第十二条、これは精神医療審査会を決めているんですけれども、これにおいては、お尋ねのとおりに、入院措置必要性及びその期間を判断する際に行政の独断に陥ることを避けるといった観点から、第三者機関、これの規定が置かれております。  本法案においても権利制限的な規定が設けられているという、これはもう確かでありますが、これらの規定は、感染症法の入院措置のように罹患者の活動の自由を直接的に制約するものではなくて、また罰則によってその実効性を担保しているというわけでもないことから、第三者機関を設けるまでの必要はないというふうに判断をさせていただいたということであります。
  166. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 じゃ、そうしますと、現行の感染症診査協議会の診査対象に今般の法律規定される新型インフルエンザ等は含まれないんですか。
  167. 辻泰弘

    ○副大臣(辻泰弘君) 都道府県知事新型インフルエンザ等の患者に対する入院措置等を実施するに当たりましては、その必要性等について、専門的観点や人権尊重の観点から第三者機関である感染症の診査に関する協議会において審議することとなっているところでありまして、新型インフルエンザ等も診査の対象となるものでございます。
  168. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 これ、川本参考人の議事録を是非大臣読んでください。  これ、三年前に実は対象になっているんですよ。対象になって、診査してくださいと言われたと。ところが、診査がしていられないんですよ。対応困難になって、どんどんファクスが送られてくると、事後でもいいと、結局、もう国はいいですよと、こうなっちゃったという。非常に曖昧な規定になっているんですよ。  そういう意味では、今回、こういう人権制限が少なく、うまく対応してもらうことを期待していますけれども、こういう現場の混乱があって、川本参考人からは、規模が大きいので別の体制を考えてほしいと言われているんですよ、今のこの対象になっているんだけど。そういう声もあることを厚労省は御理解をされていますか。
  169. 辻泰弘

    ○副大臣(辻泰弘君) そういった御意見があることは承知しております。
  170. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 もう一点、この法案是非考えてほしいのが補償の問題なんですね。これについて、この補償は六十二条で損失補償の規定があります。また、六十三条に医療関係者死亡した場合の損害補償というのは規定されています。しかし、これだけで十分なんでしょうかという問題なんですね。  特に問題なのが、その四十五条で、感染を防止するために協力要請ということで、政令で定める多数の者が利用する施設の管理者に対して使用制限を要請できるんですよ。そうですよね。その多数の者が使用する施設にはスーパーマーケットはまず含まれるんでしょうか、大臣
  171. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 今の想定では、それはないということだと思います。
  172. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 スーパーマーケットはなぜ対象にならないんですかね。理由を教えてください。
  173. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 自主的に、こうした状況が出てきたときには、映画館なりあるいは集会施設なり、それも含めて、自主的にそうしたものについて制限というか営業のコントロールをしていくということがやられるだろうという、そういう前提の中で組み立てたということだと思います。
  174. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 それは大臣、問題発言と思いますよ。要請があって指示という条文を作ったんだから、それは、もしそれが相手がしなかった場合には適用するんでしょう。それは自主的にやっていますから前提ですといったら、法律は要らないんですよ、みんな。そうやらない人もいる場合があるんだから、政令で、逆に言えば、また勝手にこういうものは入りませんということを言っちゃう。スーパーマーケットで自主的にしなかった場合はどうなるんですか。
  175. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 先ほど入りませんという言い切り方をしましたけれども、ここも、改めて運用計画を作っていくときに専門家意見をしっかり出していただいて、その中で何が現実的にできるのかというのを決めていくということだと思います。
  176. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 答弁揺れるとみんな不安を覚えますので、揺れないでください。  このスーパーマーケット、対象になったと、そうすると売上げができない。売上げの補償は、どの条項でこれ補償されるんですか。
  177. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 法律の条文には、それは規定はしていないということであります。  ただ、そうしたいわゆる経済活動上の問題が生じたときには融資制度、この中で対応していくという前提になっております。
  178. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 融資で本当にいいのかという問題なんですよ。つまり、その多数の者が集まる施設、対象大臣が揺れるぐらいですから、入ったり入らなかったりすると。それで入ってしまって、急遽過大に指定されてしまって、本来必要でないものが指定されて売上げできない、また、その店は指定されたけれども、隣の店も風評被害を受けると、あり得るんですよ。  そういうものについては、不服申立てであったり損失補償の規定というのがこの法律に盛り込まれないんなら、じゃ、どの法律を使ってやるんですか、融資じゃなくて。融資じゃやっぱり駄目ですよ、損害出るんだから。融資は返さにゃいけないじゃないですか。損害は返す必要あるんだから、融資じゃない場合はどの法律を使うんですか。
  179. 中川正春

    国務大臣中川正春君) この法律の前提としては、いわゆる興行場等も含めて、その施設制限の指示については補償を行うということをしていないということです。これは、病原性が高い新型インフルエンザ等発生した緊急事態において、そうしたスーパーだとか興行場等を使用することは感染拡大の原因となるものであり、本来自粛されるべきものであると、先ほど、一番最初にちょっと申し上げたようなことなんですが、考えられて、また、その期間も一から二週間程度に限定されたものであるということなので、使用の制限は通常受忍すべきものと考えているということであります。
  180. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 それは、国が間違いをしないという前提に立っているんだと思うんですよ。ところが、既にこれは大臣もお認めになったように、政令、省令にかなり権限委任をしている法律なので、その政令、省令が悪ければ悪い法律になっちゃうんですよ。過大になってしまうかもしれない。過大に指定されたものによって損害を受けた場合は、これは融資じゃ済みませんよ、やっぱり。賠償の対象になりますよ。そのときは何法に基づくのかと聞いているんですよ。
  181. 中川正春

    国務大臣中川正春君) そのときは、それこそ不服申立て、あるいは訴訟ということになるわけでありますが、一つは行政不服審査法による不服申立て、あるいは行政訴訟法による訴訟ということになっていくと思います。
  182. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 そういう意味では、私、これだけ私権制限があり、政省令がかなり委ねているというものであれば、法律特有の不服申立てであったりとかいわゆる損失補償とか、そういうものを検討はまず始めることが重要と。今も、法律は何にせよ私は早くやった方がいいと思っています、これはいつ来るか分からないんだから。ただ、この検討規定という条文、これは、見てみましたら、附則二条にあるんですよ。おざなりな条文です、これははっきり言って。よく本当にもう、もう味もそっけもないような検討規定で、法施行後、施行状況を勘案して必要であれば講ずるというだけじゃなくて、その辺の不服申立てとか損失補償についてはちゃんと今後も引き続き、そういう懸念があるわけですから、検討していくということを、姿勢を言ってください。
  183. 中川正春

    国務大臣中川正春君) ええ、検討してまいります。
  184. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  次に、専門家現場意見の反映という問題なんですが、これについては、先ほどの問題の中で舛添委員が、やはり知事は必ずしも専門家じゃないと、現場意見を踏まえるべきだという話をされています。これに対しまして、先ほど舛添さんの議事録の中で野田総理もちゃんと答えていまして、裏のページなんですけど、野田総理は、御指摘していただいたところは、何がちょっと現場を阻害するのかよく私自身もチェックしたいと思いますが、現場の足手まといになるようなことはこの法律ではあってはならないと思いますので、そこは改めてよくチェックさせていただきたいと思いますと、また国会の中でもそういう御議論が幅広く行われることを強く期待したいと思いますと。  どうチェックされたんでしょう。これは総理の答弁なんですけれども、当然、総理はこう発言されたので、担当である中川大臣に指示があったと思いますけれども、どういうチェックをされたんでしょうか。
  185. 中川正春

    国務大臣中川正春君) そういう発言があったということを聞かせていただいております。  現場の足手まといとなってはならないという意味は、恐らく指示だとかあるいは要請というものの中身だというふうに思うんです。それを、これもまた政省令なりあるいは実際の行動計画の中で議論していくわけでありますが、私もそういう意味では、てにをはに係るような細かな要請とか指示ということではなくて、システムをつくっていく上で大まかな形での協力お願いをしていくような、そういう形になっていくんだということ、これを前提にした議論ということで、これから進めていくということだと思っています。
  186. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今大臣の方から、システムの中でそういう方々の意見が反映できるようにという話がありましたが、そうしますと、政府対策本部とか都道府県対策本部とか市町村対策本部においては、医療関係等の専門家を配置することになるんでしょうか。
  187. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 医療関係も含めた専門家が付くということだと思います。その本部にいわゆる委員会的な形で、専門家集団の議論というのを踏まえた決断をしていくということだと思います。
  188. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 そういう本部に専門家がいるのであれば、じゃ、この法律を読ませていただくと、政府行動計画は六条五項にちゃんと専門家意見を聞きなさいと、計画作るとき、とあるんですよ。同じように、都道府県行動計画は七条八項にそれを準用しています。市町村行動計画は八条七項でそれを準用している。また、政府対策本部の基本対処方針も十八条四項でそういう規定があるんですよ。  問題は、計画、方針はちゃんと意見が反映されている。一個一個の要請、指示のときに専門家意見を反映するというのはどの条項なんですか。
  189. 中川正春

    国務大臣中川正春君) それについての特記した条項というのはないんだと思うんです。  ただ、前提として、そのときに行動計画を作っていただく、あるいは対処計画というのも即現場の対処ということになるわけですが、そのときに専門家意見を聞くという前提になっていますので、そこは当然その時点時点での意見具申をしていただくという前提になっています。
  190. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 私は、一つ一つの要請とか指示のアクションを遅らせようという意味じゃ全くないと思うんですよ。それはやっぱりアクションは迅速でなきゃいけない。とはいっても、こういう当時の三年前の大臣の御発言もあったんで、やっぱり要請とか指示をするときには現場の医師、また感染症専門家意見を配慮するように努めるという、そういう姿勢は重要と思いますが、それはよろしいですね。
  191. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 御指摘のとおり、大事なことだと思います。  そのときに配慮しなきゃいけないと思うのは、専門家意見も分かれるんですよね。そこのところをうまく専門家の中でコンセンサスが取れるような工夫をやっぱりしていく必要があるんだろうと、これは大震災のときの教訓だというふうに思っております。そんなことも含めた工夫をしながら、専門家の知見をしっかり政治判断の中で取り入れていくということであります。
  192. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 確かに専門家意見は分かれますけれども、分かれますから聞きませんというのはおかしいですよ。分かれますから、分かれる意見をちゃんと聞いて、それを調整してアクションを起こすということをお願いしたいと思います。  次に、舛添さんがもう一点指摘している、強毒と思ったけれども弱毒だったという、こういうことがあり得るわけですね。でも、これは私は仕方がないと思っています。やっぱりそれは危機管理ですから、最大限ということで最悪のことを想定したアクションにする。ただ、そうじゃなかった場合には、それをより切り替えるということが重要なんですよ。  よって、私は、このいろんな行動計画政府レベルもあります、都道府県もある、市町村もある、また指定機関もあるんだけど、それに強いタイプの場合と弱いタイプの場合というのかな、ちゃんとランク分けがしてあって、最初これは強いのでいくぞと。ただ、これは違うなと思ったら、これは変えるよという、こういう毒性とか感染力に応じたこういうやり方が重要と思いますが、いかがですか。
  193. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 確かに三年前の教訓でいくと、そこのところの判断というのがなかなか専門家の間でも時間が掛かったということだと思います。そこは、今の科学、いわゆる科学技術といいますか、その背景の中で実際どれぐらいのリスクとの兼ね合わせで時間を掛けて判断できるものかというのは、これはやっぱり、これも改めて専門家の中での議論を待たなければいけないというふうに思っております。  三年前の判断についても、専門家の間では、どうしてもリスクということを考えていくとそれぐらいの時間が必要だったと言う方もおられます。それが一つ。それからもう一つは、先ほど指摘があったように、そのリスクの在り方によって専門家の中身というのも違ってくるということもこれは当然想定されてくることだというふうに思います。それは柔軟にやっぱり運営をしていくということだと思います。
  194. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 柔軟という言葉は非常にいいんですが、その柔軟が、みんなが柔軟になっちゃうと整合性が取れないこともあるんですよ。つまり、国は強いと思った、ところが都道府県市町村は弱いと、これ、おかしいんですよ。国が強いと思ってやるときはみんなAタイプで全部統一をすると。ただ、国がこれはBと、いろんな意見があって判断をして弱毒でBタイプと変えたら、県とか市町村がまだ強毒でやっているとまたおかしくなっちゃうわけですから。  そういう意味で、判断は確かにこれは非常にいろんな専門家に聞いて慎重にやる必要があると思いますけれども、いざこれは弱毒型だと決めたら、一つの国の対策の整合性を都道府県市町村と持たせるような計画の作り方、これが重要ということなんですが、これはいかがですか。
  195. 中川正春

    国務大臣中川正春君) おっしゃるとおりだというふうに思います。  それで、そういう意味で二段階に設計があるわけでありますが、弱毒性あるいは強毒型の二つの計画をそれで作っていくということではなくて、最初の段階から緊急事態宣言を行う場合と、それからそうでない場合と、この二つの場合があることを踏まえて、そして多様な場合に対応できるような計画の中身を検討していくということで、そういう設計をしていくということになっていくと思います。
  196. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 でも、緊急事態宣言の中でもそれは二タイプあると思いますよ。そういう意味では、私は今回、インフルエンザウイルスの特徴とか感染力、病原性に応じて適切な措置が可能となるよう幾つかのシナリオを想定して、その多様な選択肢を確保するとともに、その施策の実施に当たっては切替えが、柔軟かつ整合的に国、県、市町村でそういう対策是非この方針を作るときにはやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  197. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 本当に重要な御指摘だというふうに思います。  これは防災計画作るときも同じような基本理念といいますか、そういうもので作っていかなければならないというふうに思っておりまして、多様なシナリオの中で今回このケースでというふうな選択ができるような形、頑張っていきたいと思います。
  198. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 最後に、日弁連が指摘していますが、この法律政令が非常に多くて、その政令に丸投げになっているんじゃないかと。特に懸念を示されているのが、緊急事態宣言に二つの政令がかかわっているわけですね。これをもうちょっと政令の例示を法律として書くということは、法制局、考えられなかったんでしょうか。
  199. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) お答え申し上げます。  現在の政令につきましては、ある程度総体の、こういう内容というものにつきましては法文上書いておりまして、あと、具体のものにつきましては政令に任せているという形になっておりますが、これにつきましては、事態につきまして具体的に、あるいはいろいろな科学的知見を踏まえ、あるいは物によりますと速やかな事態への対応と、こういういろいろな技術的な対応必要性と、こういうものを踏まえた上で現在のような規定の書きぶりになっておるところでございます。それで、形で法文としては問題はないものというふうに考えております。
  200. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 問題はないものとおっしゃるけれども、やっぱり不安を感じる人がいるわけですよ。  あわせて、四十五条の施設管理者に対する指示とか要請のところで、いわゆる催物開催制限若しくは停止その他政令で定める措置という、政令で定める措置というのが裸で出てきているのね、これ。これ、何でもできるじゃないかという感じになっちゃうんですよね。ところが、答弁聞いてみると、具体的にはそれはアルコール消毒するものを備えるとか、そういうものの例示を書いておけば、あっ、そういうものなんだなと安心するのに、不安を感じますよ、これ。こういうものは丁寧にもうちょっと、今後逸脱しないようにしていきますという答弁を最後に求めて、私の質問を終わらせていただきます。
  201. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 議論をしていただく国会の立場からの話で、それは当然のことだというふうに思います。私も、野党時代にはなるべく政省令の中身を表に出してくるようにと、そうでないと見えないという議論をしてきましたので、それは肝に銘じておきたいというふうに思っております。  その上で、中身、政省令でやっていくときにはなるべくオープンにして、また皆さん方にも御参加をいただけるような、そういう形でこれから詰めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  202. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 終わります。
  203. 芝博一

    委員長芝博一君) 以上で浜田昌良君の質疑を終了いたします。  次に、川田龍平君。
  204. 川田龍平

    川田龍平君 座って質問させていただきます。よろしくお願いします。  みんなの党の川田龍平です。時間がありますので、短めに答弁をお願いいたします。  まず、本法案三十二条の新型インフルエンザ等緊急事態宣言に関連する質問を幾つかいたします。  緊急事態宣言は、致死率六〇%とされるH5N1型インフルエンザや同程度の致死率の感染症のみに適用するのでしょうか。また、健康、生命、生活、経済に著しい被害を及ぼすおそれとは具体的にどんなことを指すのでしょうか。併せてお答えください。
  205. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 致死率の数字のみで新型インフルエンザ等緊急事態宣言を行うかどうかということ、そういう判断ではありません。総合的に、病原性の高さであるとかあるいはパンデミック性であるとかというような、そういうものを入れていくということであります。それから、もう一つはウイルスの遺伝子型あるいは多臓器不全等の重症症例の多さ等により判断をしていくということであります。  それから、もう一つの質問は、国民の生命及び健康に著しく重大なというところですね、被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件。例えば、発生した新型インフルエンザ等ウイルス病原性が高いものである場合、発生した新型インフルエンザが強毒のH5N1であるという、その遺伝子の判断があった場合ということですね、具体的には。それから、海外で発生した新型インフルエンザの臨床例の集積によって通常のインフルエンザとは異なる重症症例が多く見られる場合、例えば多臓器不全であるとか、それからウイルス性の肺炎、それから脳症などということになります。  それから、これが一番目ですが、二番目はいわゆる蔓延ということですね。国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態として政令で定める要件ということになるんですが、これは例えば、確認された患者が多数の人に感染させる可能性のある行動を取っていた場合など、多数の患者が発生する蓋然性が見込まれる状況というふうになっております。
  206. 川田龍平

    川田龍平君 今、衆議院でも中川大臣、同じ答弁をされていまして、全く同じ答弁だったんですが、台湾人の医師が日本国内を旅行していたSARSというのは、この対象になった可能性というのはあるのでしょうか。
  207. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) ちょっと具体的な事例ですので、私からお答えをさせていただきます。  先生の御指摘の二〇〇三年のあのSARSの事案でございますけれども、これは、結論から申し上げますと、現時点でどうだということを申し上げるのはなかなか難しい面はございますが、仮に今の状況に照らし合わせてどうだというふうにお答えをさせていただきますと、それはもう緊急事態宣言に該当する状況ではなかったのではないかというふうに現時点では考えております。  理由は幾つかあるんですけれども、要は、八年前のこの二〇〇三年の場合の事例でいきますと、言わば重症化するといったところのものではなかったと、極めてそういった感染させる広がり、拡大感染の強いものではなかったというふうに考えられるのではないかというふうに考えております。
  208. 川田龍平

    川田龍平君 衆議院で中川大臣が答弁されています、海外の臨床例集積で多臓器不全やウイルス性肺炎、脳症など通常のインフルエンザと異なる重症例が多く見られる場合というのは、二〇〇九年の新型インフルエンザの際にもあったのではないでしょうか。この定義では、二〇〇九年のインフルエンザ対象になった可能性はありますか。
  209. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 仮に現時点から当時の状況を客観的に振り返って適用を考えれば、今回の緊急事態宣言に該当する状況はなかったのではないかというふうに思われます。  当初のメキシコにおいて発生した患者の症例は肺炎患者が多く見られて、メキシコから拡大してアメリカにおいて発生した患者の症例はいずれも軽度であったというふうなことを振り返っての話と同時に、日本の中では、せきやくしゃみ等の呼吸器症状、頭痛、関節痛、全身倦怠感などで、季節性のインフルエンザ症状等になっていたということだと思います。そういう意味で当てはめればということになります。
  210. 川田龍平

    川田龍平君 この緊急事態宣言に当たっては、先ほど、致死率では難しく総合的な判断だとしていますが、それでは余りに漠然としています。やはり致死率を明記するなど、詳細な要件を法律に定めるべきではないでしょうか。
  211. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 最新の科学的な知見を踏まえてそこのところは随時中身を変更していきたい、そこのところというのは緊急事態宣言の要件についてですね、これは見直していくという方法が大切であろうというふうに思っています。  こういう形で、要するにはっきりしない形と、いわゆる政令に落としていくという形で法律の組立てがあるというのはこの法律に特別なことではなくて、例えば水質汚濁防止法の中の規定であるとか、あるいは原子力関係規定もやはりこういうことになっておりまして、その意味で、技術的な要件というのは政令規定をするということにいたしました。
  212. 川田龍平

    川田龍平君 先ほどからの議論で、中川大臣、何が問題になっているかよく理解されているんでしょうか、ほかの法律を出されましたけれども。今この場で議論になっている、一番問題となっている点、何だと思いますか。
  213. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 恐らく、先ほど議論でもあったように、法律の前提になるいわゆる政令に落としていく部分、あるいは実際の行動計画の中で何を決めていくかということ、この部分がもう少しはっきりするようにと、こういうことが皆さんの思いの中にあるんだと思います。
  214. 川田龍平

    川田龍平君 人権の制限が大きいということですね。そのことをやっぱりしっかり理解していただいて、この緊急事態宣言の期間が最長二年とされていますが、最初は一か月や二か月、三か月というふうに短くして、必要があれば国会の承認を得て延長するようにすべきではないでしょうか。
  215. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 御指摘のように、一週間、一か月など短い期間を設定してそれを何度も延長していくとした場合には、国民や事業者にとっても国民生活やいわゆる社会活動の見通しが立たないと。あの大災害のときもそうだったんですが、ある程度最悪の事態を想定してそれから縮めていくというか、現実はこうなんでというような形態を取っていくという方が国民にとっては見通しが利いてくるということもありますので、こういう規定にしているということです。
  216. 川田龍平

    川田龍平君 二年だと見通しが付くということですが、全くそういうことではなくって、同じですから、きちんと国会承認するべきだと思います。  宣言の解除の規定についても、措置の必要がなくなった場合は速やかに解除では、これは何を言ったことにはなりません。何度も申しますが、高い致死率が相当の蓋然性をもって見込まれる状態でなくなった場合はという程度にはしないと、それこそいつ解除されるのか見通しが付かなくて困りませんか。
  217. 中川正春

    国務大臣中川正春君) この新型インフルエンザの緊急事態措置実施する必要がなくなったというふうに認めるときというのは、国会にも報告するわけですけれども、想定しているのは、具体的には、感染者の数、それからワクチン接種者の数等から、国民の多くが新型インフルエンザ等に対する免疫を獲得したと考えられる場合、それから新規感染者数、重症化、死亡する患者数が抑えられている状態が続いている場合、それから感染者数が減少して通常の社会経済活動が営まれるというふうに判断される場合、こういうことを総合的にということなんですが、言い換えれば、国内の流通状況国民生活あるいは国民経済の状況等を総合的に勘案をして、最終的には政府対策本部長が速やかに決定をするということであります。
  218. 川田龍平

    川田龍平君 国会への報告ではなく、承認で足りると思いませんか。
  219. 中川正春

    国務大臣中川正春君) これ、専門家の知見というのがここに大きく働いてくるんだろうというふうに思うんです。ですから、そういう意味では、その判断というのを尊重した形で本部長が最終的には決断をして解除するということになっていきますので、国会については、その経緯を確かめてもらう意味で承認というよりも御報告ということでいいんだというふうに思うんです。
  220. 川田龍平

    川田龍平君 やっぱりその総合的な判断というのは非常に難しくて、全くおかしい答弁だと思います。宣言をする際の要件に欠くようになったら解除というのが普通ではないかと。宣言をする際の基準と解除する基準が違う、つまり入口と出口の要件が違うなんということはあり得ません。  また、宣言をする際の具体的要件についても政令にお任せで、政治家が、国会がどうするか方針も決まらないままに、全て官僚や政府お抱えの専門家に丸投げしてしまうということじゃないでしょうか。政府の方針が決まらないまま委任するということになります。こんな運用で本当にいいんですか。中川大臣、お答えください。
  221. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 委任するということではないんです。いわゆる専門家としての知見、参考になる意見、これをまとめていただいて聞かせていただいて、その上で最終的に判断するのは政治が判断するということです。
  222. 川田龍平

    川田龍平君 次に、被害想定について幾つか質問いたします。  スペイン風邪の致死率を単純に当てはめた死亡者六十四万人というもの以外の被害想定はあるのでしょうか。また、現代には高齢化、高速交通の発達など被害増大要素があるとしていますが、そうした要素と医療環境改善などのプラス要素を両方踏まえた現代日本社会における被害想定というものはないのでしょうか。併せてお答えください。
  223. 後藤斎

    ○副大臣後藤斎君) 先ほど来のお話がありますように、スペイン風邪も九十数年前、大流行を世界で起こし、日本でも数十万人の方がお亡くなりになったと、世界では四千万人近い方がお亡くなりになったということも踏まえて、先ほど大臣もお答えをしているように、昨年の三・一一の東日本大震災、やはり最悪の想定をすべきだというふうな前提で、先生が御案内のとおり、昨年の行動計画の中でも、九月にまとめた行動計画の中でも、昨年二月に新型インフルエンザ専門家会議意見書ということで推計がございます。二五%の方が新型インフルエンザ日本人で罹患すると想定した場合、一千三百万人から二千五百万人、中間値が一千七百万人という前提でありますが、この上限であります二千五百万人の罹患者の方々は、先生が御指摘のとおり、スペイン風邪の、スペイン・インフルエンザの重度、致死率二%というものを前提に試算をしたものでございます。一方、最低というか中程度の致死率、これはアジア・インフルエンザでございますが、致死率が〇・五三%ということでございます。  いずれにしましても、このいろんな推計というものは当然のことながら最新の知見で検証するということになっておりますので、そういうものも含めて、スペイン風邪ではなく、一番強いと言われているスペイン風邪を前提に今議論を進めておりますが、アジア・インフルエンザ等の致死率が中程度のものも計算上はございます。
  224. 川田龍平

    川田龍平君 東日本大震災の例を出されましたけれども、この最大の被害を想定するということであれば、津波の高さについても、百年前と地形が全く違うのに津波の高さを同じような想定で被害の想定をするんですか。中川大臣、いかがですか。
  225. 後藤斎

    ○副大臣後藤斎君) 先生今御指摘のとおり、当然、九十数年前よりも医療水準も栄養水準も、また薬の効能も、いろんな形でプラスの面もございます。一方で、先生が逆に御指摘をされているように、人口が密集をして、そしてたくさんの方が瞬時に移動するというふうなこと、この二つが、効果の面と要するにマイナス面、これを、両方が複雑に絡み合っているということで、そういう意味では効果の面も大きくあるもののマイナス部分もあるということで、スペイン風邪というものを一つの最大値と前提としながら今の計画を立てているということで御理解をいただければというふうに思います。
  226. 川田龍平

    川田龍平君 全く前提が科学的ではないと思います。  次に、被害想定について厚労省にお尋ねします。  感染のピークを少なくし、医療機関のパンクを避けることが措置の目的だとしたら、日ごろから感染症病床や病院を整備しておくべきではないでしょうか。藤田政務官お願いいたします。
  227. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 地域において感染が拡大しつつある地域感染期以降の都道府県では、原則として、感染症指定医療機関だけでなく、一般の医療機関で新型インフルエンザ患者の診療を行うこととしているところでございます。  このため、平時から医療機関において新型インフルエンザ対応する体制の整備を図るために、従来から、新型インフルエンザ発生時に新型インフルエンザ患者への入院医療を提供する医療機関の簡易陰圧装置あるいは人工呼吸器などの設備、そしてまた外来における院内感染防止のための設備、感染症指定医療機関に対する運営費などへの補助を行ってまいりました。  感染リスクの高い医師等の医療関係者に対しては、平時から、新型インフルエンザの診療についての研修を行うことによって、診断能力の向上や正しい知識の普及啓発を図っているところでございます。  平時からしっかり対応できるよう、医療体制の整備をこれからも図ってまいりたいと思います。
  228. 川田龍平

    川田龍平君 この医療提供体制がきちんと整備できていないことこそが根本原因だと思います。その点をしっかりわきまえていただきたいと思います。  続けて厚労省に伺いますが、医療提供体制がパンクするほどならば、例えば診療なしで抗インフルエンザ薬を処方したり、看護師が診察なしでワクチンを接種したりするなど、医師法の規制を外す規定は設けないのでしょうか。私権をこれだけ制限しておいて、医師法は守るのでしょうか。
  229. 篠田幸昌

    政府参考人(篠田幸昌君) お答えを申し上げます。  医師法の二十条という規定がございますけれども、医師が自ら診察せずに処方箋を交付するということは原則的にできないということになっております。これは言うまでもございませんけれども、患者の方の安全性を守ると、担保するということでこういう規定があるんだというふうに承知をいたしております。  病原性の高い今回の新型インフルエンザ発生した場合におきましても、やっぱり誤診というものはあってはいけないということでございますので、患者の被害をなくす上でやはり診察というのは非常に重要だろうというふうに思っております。その必要性に変わりは原則的にないんだろうと思います。今回の法案におきましても、したがいまして、医師法の当該規制の特例を設けるということはいたしておりません。  ただ、現行法におきましても、特に在宅の療養患者さん等々ということでございますけれども、電話等による診療によりまして新型インフルエンザ感染が、有無が診断できたという場合には処方箋を発行することは可能でございますし、こういった対応で、迅速でかつ一定の効果のある対応は可能だろうというふうに考えているところでございます。
  230. 川田龍平

    川田龍平君 それでは、特措法の実施した際の効果について幾つか質問いたします。  法律上の各種措置実施された際に、六十四万人死亡といった想定の被害がどの程度減ると見込んでいるんでしょうか。何万人減、何%減などの具体的数値目標はあるのでしょうか。
  231. 後藤斎

    ○副大臣後藤斎君) 具体的な数値はございません。いずれにしても、この特措法の目的に従ってできるだけ感染を拡大しない、そして幾つかの先生の御指摘のような、医療体制の確保、予防接種学校等の制限等の要請、それぞれが相まってできるだけ早期に改善が図られるような形ということで、一概に数値というものは、冒頭申し上げましたように、ございません。
  232. 川田龍平

    川田龍平君 この各種措置のうち、四十五条の施設の使用中止、催物の中止の効果の見込みはどう見積もっているのでしょうか。また、効果があることを示す論文はあるのでしょうか。参考にした具体的な論文を挙げてください。
  233. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) まず、施設利用の制限等につきましては、先ほど来お話がありますけれども、また大臣先ほど御答弁させていただきましたけれども、スペイン・インフルエンザ発生時の米国でのセントルイスあるいはフィラデルフィア、この事例をとらえさせていただいています。これでいきますと、やはり対策を講じなかったフィラデルフィアと比べまして、ピーク時の死亡率は四分の一以下であったというデータがまずございます。  学級閉鎖につきましては、先ほど議論がありましたけれども、これは押谷東北大学の教授らの報告にもありますように、新型インフルエンザ流行時における学級閉鎖に関する基本的な考え方という形の論文の中に出ているところでございまして、これでいきますと、学校閉鎖はピーク時の罹患率を四〇%まで減少させるなどのデータが紹介されております。これは押谷教授のその論文の中にも表れておりまして、先ほど申し上げましたアメリカの事例もこの中に記載がされているというところでございます。
  234. 川田龍平

    川田龍平君 先ほど古川委員の質問にもありましたし、それから参考人の川本参考人も意見言っていましたけれども、この論文というのは効果がないとする論文もあるのではないでしょうか。それらも検討した上で施策を考えないと真っ当な検討にはなりません。  スペイン風邪の流行時に米国のセントルイスで被害が抑えられた事例について挙げられていますが、論文があるんでしょうか、具体的に御紹介ください。  セントルイスでは、企業活動や交通機関も制限し、社会活動をほぼ全面停止したわけですが、現代日本でも社会活動の全面停止をするのでしょうか。全面停止するのではなく、集会のみを中止した場合の効果をどう評価しているんでしょうか。
  235. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) お答え申し上げます。  まず、米国のセントルイスの事例につきましては、一九三〇年九月に米国政府より公表されましたモータリティー・フロム・インフルエンザ・アンド・ニューモニア・イン・フィフティー・ラージ・シティーズ・オブ・ザ・ユナイテッドステーツ・ナインティーンテン・ナインティーントゥエンティーナインに記載がされているというところでございます。  なお、企業活動や交通機関も制限をして社会活動をほぼ全面停止したかという点につきましては、WHOの資料でも、セントルイス市長が劇場、映画館、学校、プール、ビリヤード場などについては閉鎖をしたという記載がなされているところでございます。また、一般的な企業活動等については本報告書からは確認ができてはおりません。  そして、御指摘の現代日本においても社会活動の全面停止を行うのかというお問いにつきましては、感染拡大防止とともに、その一方で、やはり国民生活とあるいは経済の安定性の確保といったものをやはり私どもとしては重要であるというふうに考えておるところでございまして、そのために、この法案の想定の中においては社会活動を全面的に停止をするということについては想定をしていないというのが現状でございます。
  236. 川田龍平

    川田龍平君 このセントルイスの例と違って、集会だけやめた場合の効果を評価する論文というのは存在しないのではないですか。そうした間違った参照によって政策を正当化するのは問題です。  二〇〇九年時に神戸発のウイルスが学級閉鎖、催し自粛で消滅したといいますが、ほかのウイルスで消滅したものはないのですか。これは学級閉鎖の効果であって、集会中止の効果だとは言えないのではないでしょうか。いかがですか。
  237. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) 国立感染症の研究所の研究で申し上げさせていただきますが、平成二十一年の新型インフルエンザにおきましては、兵庫、大阪や福岡で当初確認されていたウイルス、これについてはほかの地域では確認されていないということがまず分かっております。  また、兵庫県がまとめておりました兵庫県新型インフルエンザ対策検証報告書、こちらにおいては、この二十一年の新型インフルエンザ発生時において、県内、兵庫県内でございますけれども、県内で新型インフルエンザの患者が確認された後、県が迅速に学校の臨時休業のみならず、催物の自粛の要請をして、これが合わさって新型インフルエンザ感染拡大防止に一定の効果があったということはこの報告書の中にも出ているところでございます。
  238. 川田龍平

    川田龍平君 子供たちが至近距離でじゃれ合うような学校と一般的な集会というのは状況が余りにも違い、イベント自粛を集会中止の効果にすぐに結び付けるのは安易ではないかと考えます。しっかりとした科学的な分析をしていただきたいと思います。  続けて、法を施行する際に生じる不利益について幾つか伺います。  各種措置をとったときの悪影響はどの程度だと見込んでいるのでしょうか。経済的損失や人権侵害がどれくらいあると考えていますか。
  239. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) この各種措置をとった場合の影響についてでございますけれども、やはりそのときの蔓延状況でありますとか、あるいは病原性程度であるとか、社会の状況等様々な形が想定をされるところでございますので、大変恐縮でございますけれども、一概にこの時点でこの部分の影響があると言うことは困難であるというふうに考えておりますけれども、いずれにしても、その各種措置を講じる際には、それによって得られる、やはり国民の生命、あるいは経済、健康の被害の低減であるとか、社会の安定のみならず、先ほど先生からも御指摘あったように経済的な損失であるとか私権の制限、これについてはやはり最小限にとどめられるように私どもとしては最大限の配慮をしなければならないというふうに考えているところでございます。
  240. 川田龍平

    川田龍平君 実際の二〇〇九年の経済的損失を正確に把握しているのでしょうか。経済的損失に関する各種の試算がありますが、催し自粛による損失だけでなく、風評被害による観光客減少もありますし、学級閉鎖による保護者の休業による被害だってあります。いかがでしょうか。
  241. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) 地方公共団体状況として、例えば、先ほど申し上げましたけれども、兵庫県の二〇〇九年の報告書で申し上げますと、保育所の休業により、一人親家庭等で子供を預けることができない親が仕事を休まざるを得ず収入減になった事例でありますとか、県民の利用施設の休業、宿泊キャンセルなどの地元観光にも大きな影響があったということは、あの報告書の中にも記載がされているところでございます。  このほかにも、これは神戸市でございますけれども新型インフルエンザ対策を検証した報告書で、やはり風評被害、こういったところが発生をして、神戸の小売業や観光業などへの影響が、経済的影響が見られたという記載はございました。しかしながら、数量的な把握というのはこの時点においても行っていないということでございます。  なお、この法案策定過程においては、兵庫県を始め様々な自治体の皆さん方とも意見交換をさせていただくなり、実務レベルで、三回程度でございましたけれども、しっかりと御意見は聞かせていただいたところでございます。
  242. 川田龍平

    川田龍平君 今の経済的損失というのは、二〇〇九年時の新型インフルエンザに対する影響にすぎないと考えます。この法案での措置をした場合は全く違う想定になり、参考にならない見込みではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  243. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) 関係省庁の中で平成二十一年の二月に取りまとめました新型インフルエンザ対策ガイドライン、ここの中に経済被害の算出例の参考値として示しているものとしては、オーストラリア、豪州のLOWY国際政策研究所、LOWYでございますけれども、などが試算をしたものについては把握をしているところでございます。そういったところの一応参考値としてのものは、例えば軽症であるとかあるいは重症、最重篤というような場面で様々な経済被害というものはこの報告書の中にも報告がなされているところでございます。
  244. 川田龍平

    川田龍平君 先日の参考人質疑で、川本参考人が、風評被害についての想定が今までなかったことも指摘しておられました。被害は非常に幅も広いもので、従来の試算では十分信用できません。規制をすることによる効果と不利益のバランスで、二〇〇九年の場合は不利益の方が大きかったのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  245. 後藤斎

    ○副大臣後藤斎君) 午前中の御質疑の中でもお答えをしましたが、三年前の新型インフルエンザ発生に対する厚労省がその後の総括会議でまとめた報告書によりますと、まず水際対策実施については、病原性等を踏まえ、専門家意見を基に機動的に縮小などの見直しが可能となるようにすべきという点、さらには、学校等の休業要請については国が一定の目安、方針、基準などを示した上で地方自治体が運用を判断すべきなど提言をされているところでございます。  そういう意味で、今回の法案につきましては、検疫などの新型インフルエンザ対策実施に当たっては、専門家の方々の意見を踏まえて、基本的対処方針を定め、的確かつ柔軟に行うこと、さらには、学校、興行等の使用制限、停止などの要請等については国が基本的な対処方針で示すこと等を盛り込んでいるところでございます。  そして、先生が御懸念の部分につきましては、効果と不利益のバランスをどう取るかという点については、まさに国民生活国民経済に著しい支障が、どちらが強くなるのかということで、これからの措置の運用に当たって、バランス良く、バランスを考えながら基本的対処方針等をきちっと作っていくということだと思っています。  あわせて、先ほど園田務官からもお答えをさせていただきましたが、全体の経済損失というのはその風評被害も含めて当然、類推、推計をすべきだと、そういう中できちっとしたバランスを取るべきだという先生のお気持ち、ごもっともだと思います。  そういう意味で、なかなか数字等が全世界でどのくらいになるかというのも、先ほど検証のときにはGDPで全世界で三千三百億ドル、全世界のGDPの〇・八%相当、最重篤のシナリオではGDP損失が四兆四千億ドル、世界のGDPの一二・六%に相当するという推定もございますし、日本の経済被害の推計も、これは民間の機関が推定するものでも二十兆円、四・一%のGDPの損失、ほかの数字では六・一%、三十兆円のGDP損失と。  いろんなもう幅がありますんで、いろんな前提の数字を、条件も含めて置きながら、こういうふうな数字になってしまうということについては、先ほどもお答えをしましたように、なかなかこれだという推計がしにくい部分については、是非幅を持ちながらの議論が前提であるということについても改めて御理解をいただきたいというふうに思います。
  246. 川田龍平

    川田龍平君 二〇〇九年の検証がきちんとできていなくて把握も的確ではないのですから、そこから教訓を学べないのではないかと思います。先日の参考人質疑感染症専門家先生でさえ見誤った点があることを認めているのを忘れないでいただきたいと思います。  続けて、四十五条の感染防止のための協力要請について幾つか質問いたします。  使用中止になる施設の範囲はどうなんでしょうか。集会場、公園、道路、駅、電車、バス、企業の事務所や社屋、選挙事務所や投票所が入る可能性があるのですか。入らない可能性があるものは何ですか。お答えください。
  247. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 法律で法定化したのは学校、社会福祉施設、興行場ということなんですが、それとともに更に対象となるもので、多数の者が利用する施設という表現になっております。これは政令で中身を定めていくということにしておりまして、感染拡大防止の効果がある、人と人の接触の一時的な制限というこの目的を踏まえて、施設や集まりが果たす社会的機能、これも勘案をしながら、今後、専門家の間で具体的な議論を詰めていただくということ。  それと同時に、是非パブリックコメントなど広く国民の、先ほどお話に出ましたけれども国民的な議論というのもこの中でやっていきたいというふうに思います。
  248. 川田龍平

    川田龍平君 その電車、バスというのはどうですかね。電車やバス。
  249. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 電車やバスというのは指定公共機関という範疇の中で協力をいただくということになっておりまして、その中で例えば間引きをしていくとか、状況に応じた形の運行をしていくとかというようなことが出てくる可能性はあるというふうに思っております。
  250. 川田龍平

    川田龍平君 それでは、使用中止によりキャンセル料の支払などの損害が生じた場合は、補償はするのでしょうか。しないのならば、なぜしないのかも併せてお答えください。
  251. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 学校、興行場等の施設の使用が新型インフルエンザのいわゆる大規模な蔓延の原因となるということからこの制限が実施されるということでありますので、施設の利用行為等は本来自粛をされるべきものであるというふうな前提に立っております。  したがって、新型インフルエンザ等緊急事態宣言中に潜伏期間及び治癒までの期間を考慮してなされて、それが一週間から二週間ということであること、それから、学校、興行場等の使用制限の指示を受けたものは、法的には義務を負うけれども、罰則による担保等によって強制的に使用を中止させるものではないということ、こんな前提がありますので、権利の制約の内容というのは限定的だと考えられると思います。  したがって、こうした意味での公的な補償というのは、こういうケースでは考えていないということであります。
  252. 川田龍平

    川田龍平君 先日の参考人質疑では、川本参考人が、補償が必ず必要になってくるとおっしゃっておられます。指示という事実上の義務規定を受けながら補償も受けられないままでよいのか、よく検討をしていただきたいものです。  次に、多数の者が利用する施設とありますが、多数とは何人ぐらいを指すのですか。何人以下ならよいのでしょうか。あるいは、人数ではなく利用形態によるのだとしたら、人々が密接に触れ合う施設、催しの制限に限定しないのはなぜなのでしょうか。
  253. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 一概に何人以下ならということを言うことは今ここではできないというふうに思っております。学校や興行場等と並ぶような規模の施設を想定はしているんですけれども、それについての具体的な基準といいますか、行動計画というのは、改めて、専門家も含めて議論をしていきたいというふうに思います。
  254. 川田龍平

    川田龍平君 この中止の対象は、当初、集会等と説明していましたので店舗や交通機関や企業は含まれないはずですが、変更したんでしょうか。
  255. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 集会等の等には法案に例示されているようなものも含まれるんですが、一定の社会活動を維持することは国民生活の混乱を回避するために必要なことであるということで、企業の事務所等は対象になりにくいということです。交通機関は施設の対象にはなじみにくいと考えているが、いずれにせよ、感染拡大防止のため効果がある、人と人との接触の一時的な制限という目的を踏まえて、その施設や集まりが果たす社会的機能も勘案しながら専門家に任せていきたいということでありますが、ただ、それこそ、こういう時点でのいわゆる企業の持続可能な準備といいますか体系というのを考えていくのに、企業によっては、もう事前に、いわゆる罹患する前から従業員の通勤というのを半分に抑えて、あと自宅で仕事をしなさいというような形で対応してピークを抑えていくような、そういうことも含めて、事前の話合いというのを十分にして対応をしていくということが大事だというふうに思うんです。
  256. 川田龍平

    川田龍平君 この期間は一、二週間ということですが、流行する場所が一、二週間ごとに変遷することで長期化してしまう可能性はないのでしょうか。
  257. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 当該の要請等は、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮しておおむね一、二週間程度を目安に行われる、これは第四十五条で御指摘のとおり定めてあります。  この制限等を要請等する都道府県知事は、国が専門家意見を聞いて作成する基本的対処方針、これ第十八条ですが、これに従って地域の蔓延の状況を見て具体的に判断をしていくこととなっておりまして、人の移動の広域性あるいは感染力の強さから永田町や霞が関といった狭い範囲で指定するということは想定されていないということでありまして、その運用によって長期化するということはないと思います。
  258. 川田龍平

    川田龍平君 このパンデミックワクチンの総額は幾らになるのでしょうか。細胞培養ワクチン製造のために投入した公費は総額幾らになるでしょうか。また、ウイルス株の入手までの期間、入手後の全国民への製造までの期間はどれぐらいでしょうか。流行に間に合うのでしょうか。  先ほど質問ありましたけれども感染防止や重症化防止、社会での蔓延を防ぐ効果はどのように予想されているのでしょうか。具体的に、それぞれ何%減といった数字をはじき出しているのでしょうか。藤田政務官お願いいたします。
  259. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 細胞培養法を活用したワクチン等の生産体制整備については、平成二十一年度の補正予算で、第一次、第二次の補正予算ですけど、合計一千百九十億円を措置しておりまして、当面、これに加えて新たな予算措置をする予定はございません。  また、ワクチン製造までの期間ですけれども、ワクチン製造株を入手をし、ワクチンの製造に着手するまでの期間は約二か月程度ということが見込まれております。その後、約半年で全国民分のワクチンの生産ができるようになると想定をしているところでございます。  また、間に合うのかというお尋ねでございますが、パンデミックワクチンが供給できるまでの間は、手洗いであるとかマスクの励行、検疫や集会の自粛などの公衆衛生対策実施することによって可能な限り流行の遅延に努めることとなるわけでございます。  また、ワクチンの効果については、季節性インフルエンザに関する治験ということになりますけれども、国内では、高齢者における発症予防効果、六〇から七〇%であるということが報告をされております。また、アメリカでは、成人における発症予防効果が七〇から九〇%、そして高齢者における死亡予防効果というのは八〇%、こうした結果が報告をされているところでございまして、一定程度の発症予防効果や重症予防効果というものが示されているところでございますが、ただ、蔓延を防ぐ効果については残念ながら実証されていないという状況でございます。  いずれにしても、ワクチンの効果というものは、こうした結果が期待できると考えております。
  260. 芝博一

    委員長芝博一君) 川田委員、申合せ時間が来ておりますので、終結をいただきますようお願いいたします。
  261. 川田龍平

    川田龍平君 はい。  半年で製造できると言いますが、ウイルス株の入手までに二か月掛かり、先ほども山谷委員からも質問がありましたけれども、入手後に半年掛かると報告されていますので、実際に流行に間に合うかどうかは非常に不安です。二〇〇九年にあれだけの無駄をした反省もなく、教訓を生かせないままで本当に国民の命と暮らしを守れるのでしょうか。命を最優先にする社会の実現のためにしっかり仕事をしていただきたいと思います。  質問、まだあるんですけれども是非情報公開をしっかり行っていただきたい。特に、関係省庁対策会議関係者意見聴取の議事録など、まだ公表されていないものがあります。しっかりそういったものも情報公開をしていくことが大事なことだと思いますし、先日の参考人質疑では、川本参考人は人権侵害の議論が余りにもないとおっしゃっていました。専門家でさえそうなのに、きちんと議論したとは到底思えません。  こうした重要な法案策定において、きちんと議事録を公表しないのでは国民の信頼を得られないことを肝に銘じていただきたくお願いいたします。是非情報公開をお願いします。
  262. 芝博一

    委員長芝博一君) 以上をもちまして川田龍平君の質疑を終了いたします。     ─────────────
  263. 芝博一

    委員長芝博一君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、一川保夫君が委員辞任され、その補欠として難波奨二君が選任をされました。     ─────────────
  264. 芝博一

    委員長芝博一君) 引き続き、糸数慶子君。
  265. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。  まず、新型インフルエンザ等対策特別措置法案、法制化のまず必要性について大臣にお伺いをいたします。  本法律案は、新型インフルエンザ及び全国的かつ急速な蔓延のおそれのある新感染症に対する対策の強化を図り、国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするものですが、これは、新型インフルエンザ等対策につき法制化する必要性は何なのでしょうか。  現在でも、新型インフルエンザ対策行動計画新型インフルエンザ対策ガイドラインが実際に定められており、これに基づき対策を講じればよいと考えますが、あえて法制化する必要性について大臣にまずお伺いいたします。
  266. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 御指摘のとおり、行動計画があって、以前にも、それが三年前に運用されたということがあったわけであります。  そういうところも踏まえて、いろいろな先ほど議論が出ていましたけれども反省点といいますか、そういうところのものも総合して、一つは、その行動計画等の実効性を更に高めていくということ。それから、特に知事会始め地方公共団体の方でも、そこのところは危機管理としてそれらの権限をはっきりさせていくということ、これが大事だというような御指摘もあったということ。それから、新たに法的整備が必要かどうかということについて、医師会、地方自治体だけではなくて医療関係団体、あるいは経団連や感染症等の学歴経験者から幅広く伺ったわけでありますが、これは一言で言えばあるにこしたことはないというようなことで法制化に踏み切っていったということであります。  その中で、行動計画だけでなくて、発生時の対策本部の法定化、これが一つ、それから指定公共機関制度というのをつくったということ、それから予防接種法や医療法の中での特例ということにこれはなっていくということ、それから国民生活及び国民経済の安定確保等の仕組み、こういうものも盛り込んで国会提出に至ったということでございます。
  267. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今御答弁いただきましたけれども、四月四日の本院の予算委員会におきまして、本日、委員議員として舛添要一先生も御出席でございますけれども、そのときに質問されておりましたように、やはりもっと国民意見を聞いてから進めるべきであって、拙速に法制化すべきではないという、私はその視点に立って順次お伺いしたいと思います。  まず、過剰な人権制限のおそれについてでありますが、やはり本法案は、新型インフルエンザ等発生した場合に国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的としていますが、そのため政府がとる様々な措置規定されておりますが、その中には国民の権利を制限する措置があります。  例えば、先ほども出ました外出自粛要請、それから興行場、そして催物等の制限の要請、指示、これは第四十五条です。それから、第四十九条の臨時の医療施設開設のための土地等の使用、さらには第五十四条、緊急物資の運送等などでありますが、この法案の第五条に、「新型インフルエンザ等対策実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策実施するため必要最小限のものでなければならない。」と規定されています。  国民の生活を守るために新型インフルエンザ等対策のための措置は必要ですが、過剰な人権制限になってはならないというふうに考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
  268. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 危機対応法制というのはいつも、それぞれ国民一人一人の権利というものと、それから危機対応に対するリスクというものに対しての国としての対応、いわゆる権力行使ということになるわけですが、それとの葛藤というのがあるんだというふうに思います。  今回の場合は、先ほど指摘もあったように、法案第五条で、そうした中で国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策実施するための必要最小限のものでなければならないという規定をかぶせております。あとは運用の中で、先ほど指摘のあった集会場あるいは興行等々の制限をどの時点でどの地域にどういう期間適用していくかというふうな判断があって、それがどれだけインフルエンザの蔓延を後の方に遅らせていく、あるいはそれを、ピークを抑え込んでいくということに効果があるかという、そこの判断だというふうに思っております。  そこは絶えず専門家と会話を交わしながら政治判断が働いていくということになっておりまして、その点でもでき得る限り国民の権利の侵害がない配慮というのは必要だということをこの総論の中で押さえているということでありまして、そのように我々もこの法案の前提を考えていきたいというふうに思います。
  269. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 この問題につきましては、先ほどもございましたけれども日本弁護士連合会、日弁連の方が三月二十二日に、各種人権に対する過剰な制限がなされるおそれを含むものであると会長声明が出ていることもあります。  新型インフルエンザ等対策においては、人権制限は是非とも最小限になるように十分に配慮することを要求いたしまして、次の質問に移ります。  次に、感染症法やあるいは検疫法、新型インフルエンザ等対策として運用する場合でございますが、この新型インフルエンザ等対策に関連する法律としては、感染症法や検疫法があります。これらの法律新型インフルエンザ等対策として運用する場合についても、必要最小限でしか人権を制限しないという解釈でよろしいのでしょうか。  平成二十一年度の新型インフルエンザ対策では、検疫法に基づいてなされた停留措置が、余り効果がないのに人権を過度に侵害するものとして問題視されました。あのときのような広範な停留措置はもう行わないということなのか、併せてお伺いしたいと思います。
  270. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 停留は、患者から感染したおそれのある方に入国せずに停留施設にとどまっていただくことにより、国内での感染の拡大を防ぐことを目指して実施する措置でございます。  平成二十一年の新型インフルエンザ発生時には、五月八日に機内検疫で三名の患者を発見、隔離し、その濃厚接触者約五十名を停留させ、停留中に発症した患者を一名確認したことにより、発生初期の段階でこれらの患者を端緒とした流行を防止できたものと考えております。  一方、停留の具体的な実施について、今年一月の専門家会議意見書では、病原性が高い又は高い可能性があり、海外での感染の広がりが限定的な場合に限って、原則として患者と同一旅程の同行者に対象を絞って行うことや、合理性が認められなくなった場合には措置を縮小することが提言されております。こうした意見も踏まえまして、合理的な範囲で停留を実施することとしたいと考えております。
  271. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、放送の自律を保障することへの特段の配慮についてでありますが、実は、マスコミ関係者からはこの法律への懸念の声が上がっています。  新型インフルエンザ法の策定に当たり参考にされたのが災害対策基本法、これは一九六一年ですが、続きまして二〇〇四年、国民保護法によって、NHKや民放など放送事業者はこの二つの法律では首相が指定する指定公共機関あるいは都道府県知事が指定する指定地方公共機関に指定され、大規模災害や、それから他国から武力攻撃を受けた場合、放送を通じた協力の責務や義務が明記されています。  この新型インフルエンザ法でも、NHKは指定公共機関として条文に例示し、民放は知事が指定する枠組みを想定されています。これは、緊急時とはいえ、放送内容への関与は放送の自由を制約することから、行政機関から求められるその放送内容について、災害対策基本法では「予想される災害の事態」、あるいは国民保護法では「武力攻撃事態等の現状及び予測」などというふうに明記しています。一方、新型インフルエンザ法では、首相や知事に総合調整という権限を与え、これに応じない公共機関に対して必要な指示ができる形になっています。  そこでお伺いいたしますが、日本民間放送連盟は、本年一月、指定について、通常の業務範囲を超えて対策に寄与するよう求めるのであれば指定は無用との意見書を提出しています。衆議院での質疑では、園田務官は、報道の内容を規制する構成になっていないというふうに答弁されていますが、放送内容は指示あるいは総合調整の対象にならないということでよろしいんでしょうか。
  272. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) お答えを申し上げます。  先生指摘のように、報道の内容につきましても、当然、この政府対策本部長等の総合調整であるとかあるいは指示の対象ということにはなっておりません。  衆議院のときもお答えさせていただいたんですけれども、放送法の第三条で申し上げますと、この放送法によれば、「法律に定める権限に基づく場合でなければ、」というのがございます。すなわち、もう既に事前にそういった法律、おっしゃるように災害対策基本法であるとか武力事態法のような法律によってあらかじめきちっとした形が決められているものでなければ、当然ながら、放送事業者は放送番組編集の自由を侵されないというもう既に規定がございますので、翻ってみて、今般の私ども提出をさせていただいている新型インフルエンザ等対策法律案につきましてはこのスキームにはなっていないということでございまして、報道内容の抑制にも当然ながら当たっていないということでございます。
  273. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、知事が指定する地方指定公共機関に民間放送を想定しているのでしょうか。それから、指定する可能性はあるのでしょうか。その際、指定公共機関や指定地方公共機関はどのような行動計画を作ることを求められているのでしょうか。お伺いいたします。
  274. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) 御指摘のように、指定公共機関となる放送事業者、これにつきましては、現段階においては日本放送協会、NHKでございますけれども、それ以外には想定をいたしておりません。  そして、なお、指定の地方公共機関につきましては、これは先生指摘のように知事が指定する仕組みという形になっておりますけれども、この放送事業者を指定することは、民放については今、現段階においてもやはり想定はしていないという、ところでございますので、したがって、その指定された場合の云々かんぬんという、その過程も今の段階では私どもは考えておりません。
  275. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 新型インフルエンザ感染予防のために、厚生労働大臣国民生活及び国民経済の安定に寄与する事業者を登録し、首相の指示に基づき従業員や公務員らに優先的に予防接種をする仕組みである登録事業者制度に新聞社も入るのでしょうか。その際、取材自粛などの要請もあり得るのでしょうか。お伺いいたします。
  276. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) 新聞社がこの登録事業者に入るかどうかというお尋ねでございますけれども、これについては、この法律の二十八条のスキームからちょっと申し上げさせていただきますと、いわゆる二十年の九月の十八日に報告書が、取りまとめがございますけれども、先行接種の対象者と順位についての案をこの取りまとめ第一次案の中で盛り込まれたところでございますけれども、今般のこの法律案につきましては、政府行動計画において特定の接種の対象となる登録事業者の基準に関する事項を定めるというふうにまずさせていただいております。その具体的な内容につきましては、様々な事案が想定されますので、現段階においてどうだということは申し上げられないというのが現状でございます。  衆議院の段階でも大臣からお答えさせていただいておりますけれども、大体のそのカテゴリー分けについては申し上げさせていただきまして、例えばカテゴリーⅠにつきましては、これは感染拡大防止の被害の最小化に資する業種、指定の医療機関等々がまず挙げられるということは、この平成二十年のところでもございましたけれども、そういったカテゴリーⅠからⅡ、Ⅲといった想定はさせてはいただいております。  しかしながら、具体的にこれから、まさしく幅広い専門家の御意見であるとか関係者の御意見、そしてまた、やはり国民の御意見という形でパブリックコメントを付させていただきながら、その先行対象者、先行接種の対象者というものは決めていく必要があるのではないかというふうに考えておりますが、現段階において、何かここが入っている、入らないといったことはまだ想定をしていないということでございます。
  277. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 私がなぜこのような質問をするのかと申しますと、それは二〇一〇年に宮崎県で発生いたしましたあの口蹄疫をめぐる報道や、それから昨年の東京電力福島第一原発事故の報道では、現地での取材が規制されている中で、県や政府、東電からの情報に依存していた、いわゆる報道機関に対する国民のこの不信感、高まっている、その現状から危惧をして申し上げております。  今回の新型インフルエンザ法の枠組みでは、実際に発生した際、被害の実情を伝える報道の役割を果たせない可能性もありますし、やはり行政も報道機関も再び不信感を招いてしまうのではないかというふうに危惧しておりまして、この点を指摘いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  次に、国民への周知及び新型インフルエンザ等に関する情報の提供についてでありますが、本法律国民の権利を制限する政府措置が多く定められています。そのため、十分な国民への周知が必要ですが、第十三条に国民に対する啓発の規定があります。政府はどのような周知方法を考えているか、大臣にお伺いいたします。  また、いざ新型インフルエンザ等発生した場合には、国民が慌てずに冷静に行動できるように正確かつ迅速に新型インフルエンザ等に関する情報を提供しなければなりませんが、国民への情報提供についてはどのような対策を取るのか、大臣にお伺いいたします。
  278. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 御指摘のように、この十三条というのは大事な規定だというふうに思っておりまして、この法案によって講じられる対策について正しく理解をしていただくということも併せて対策を進めていきたいというふうに思っております。  この法案においては、新型インフルエンザ等予防及び蔓延の防止に関する知識の普及や理解の促進をしなさいということ、あるいは政府行動計画においても新型インフルエンザ等に関する情報国民等に対して適切な方法により提供することについて定めているわけですが、これを前提にして、本法案対象とする新型インフルエンザ等の内容、あるいは特徴、あるいは法案により講じられる対策、これについて、分かりやすいリーフレットの作成だとか、あるいは様々な機会をとらえた周知活動、そして報道機関等々も含めてそれを周知していく媒体、こういうのも工夫をしながら国民が十分理解できるように努めてまいりたいというふうに思っております。  また、新型インフルエンザ等発生時については、国民現場医療関係者等に正しい情報が迅速に伝わるということが大切なことでありますが、コールセンターの設置、あるいはインターネットの活用、あるいは情報の受取手に応じた情報提供、これは改めてシステムを構築をしていくということを考えていかなければならないと思っています。  それから、対策現場とのメール等によるリアルタイムかつ双方向の情報共有、こうしたものも含めて新たなICTを前提にした対策というのを講じていくということ、これが大切だというふうに思っております。
  279. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、沖縄など離島に対する対応についてお伺いしたいと思います。  インフルエンザは冬に寒い地方で広がりやすいというイメージがあるわけですが、平成二十一年の新型インフルエンザによる初の日本国内での死亡例は、八月、沖縄県内においてありました。そのことについては留意する必要があると思っておりますが、沖縄など離島地域におきましては、仮に新型インフルエンザ等緊急事態になった場合、本土と異なって周辺の自治体から応援が簡単ではない、あるいは物資それから資材などが不足した場合の供給に手間とコストが掛かるという事態が容易に想像されます。  政府行動計画において、新型インフルエンザ等発生に備えて離島地域でどのような取組を進めていかれるのか、また指定公共機関等に対して離島地域での新型インフルエンザ対策についてどのような行動を求めていくのか、お伺いしたいと思います。
  280. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) 離島についてお答えを申し上げます。  その前に、先ほどの新聞社の取材について、ちょっと私の答弁が足らなかったものですから付け加えさせて申し上げさせていただきますと、取材の自粛の要請まで行うことができる、なるのかというお問合せ、御質問ではなかったかというふうに思いますけれども、そういったことの、取材の自粛の要請を行うということも想定はしていないということでございます。当然ながら登録事業者の中に新聞社が入ることも今後あり得るわけでございますけれども、もしそうなったとしても、取材の自由まで自粛要請をするということは想定していないということだけ付け加えさせていただきます。  その上で、今御質問ございました離島でございますけれども、当然ながら国が対策本部をつくり、そして都道府県対策本部をつくっていただくという形になるわけでございますが、御指摘のように、離島地域においてはその都道府県だけでなかなか対策が講じられないといった部分もあるかと存じます。  そういった部分には、逆に都道府県が国に対して対策実施に関して必要な要請をすることができるという規定がございます。それに基づきまして、恐らく都道府県が国に対してその要請をしていただければ、当然ながら国がしっかりと、国とそれから都道府県とで一体となってその対策に、迎え撃つという初動体制を取っていくという形になっていくのではないかというふうに思っております。こうした枠組みなどを活用して、沖縄等の離島地域においても当然ながら新型インフルエンザ等対策が的確かつ迅速に実施されるように万全を期していきたいというふうに思っております。  また、離島地域の指定公共機関に対してどのような対応を求めるかというお問合せでございますけれども、基本的には当該の法人の本来の業務を、これを継続して実施していただくというのが大変重要なことではないかというふうに思っておるところでございまして、この当該の地域の実情に応じて、発生時の状況等を踏まえてしっかりと検討されていくというふうに考えているところでございます。
  281. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、法案の第六十二条ですが、これ、停留のための施設の強制的な使用の場合などについては、先ほども出ておりましたが、損失をやはり補償することとしていますが、広範に国民の権利を制約する法案である割には損失補償の対象となる事柄が少ないように見受けられます。国民の権利を制約するにおいて、どのような場合に損失を補償し、どのような場合は損失補償を要さないと考えていらっしゃるのか、本法案に則してお示しをいただきたいと思います。  また、医療関係者におきましては、第三十一条の要請等に基づいて医療に従事して死亡等の結果が生じた場合、損害補償の対象となっていますが、地方自治体や指定公共機関の職員が新型インフルエンザ等緊急事態措置実施に際して感染し、死亡等の結果が生じた場合の損害補償については規定されていません。通常の労災のような扱いで済ませるような考え方で緊急時に必要な人員が確保できるのでしょうか。また、医療関係者への補償も手厚くしなくては医療行為が確保できない懸念もございます。  医療関係者、それ以外の職員に被害が生じた場合に国は責任を持って賠償するのか、お伺いをいたします。
  282. 後藤斎

    ○副大臣後藤斎君) 先生から御指摘をいただいたように、今回の法律の六十二条一項におきまして、都道府県知事が臨時の医療施設を開設するため所有者の同意なくして土地等を使用した場合や、所有者の同意なく物資を収用した場合などにその損失を補償しなければならないというふうに規定をしております。  通常、このように同意なくして土地を収用したり物資を収用するということについては、当然のことながら、特定の個人に対する特別の犠牲ということで社会的制約として受忍すべき限度を超えているというふうな場合、その損失を補償するというふうな形になっております。  一方で、先ほど来これも御議論にありますように、施設の使用制限や催物の開催制限につきましては、興行場等が大規模な蔓延の原因になるということ、さらには新型インフルエンザ等緊急事態宣言が行われた場合実施されるものというふうに限定をされます。  この部分につきましても、国民の生命、健康の保護の観点、それから元々催物の開催自体が自粛をされるということと、期間が先ほどもお答えをしているように一時的ということで、新型インフルエンザ感染力の強さや国民の多くが影響を被るということも踏まえて、その損失を補償するという規定は置いておりません。  さらに、先ほどこれも御議論があったように、そのままではなかなか、その後の経済的損失がある場合、お仕事等が継続できないという部分につきましては、第六十条の規定を設けまして、特別な融資というふうな規定を設けさせていただいているところでもございます。  もう一点の、先生が御指摘医療関係者に対する補償制度というのは、当然のことながら直接患者さんと接するということで、他の社会機能維持業務と比較して異なる特殊な部分で直接発症、感染というリスクが極めて高い、感染リスクの高さという点の着目、さらには患者さんへの医療提供というものは感染拡大と発生による健康被害を最小限に抑えるため極めて重要な業務という業務の特殊性という、この二つに主に焦点を当てて医療従事者に関する補償、損害補償という制度を設けさせていただいております。  そういう意味では、一般の公務員の方々や指定公共機関の従業員の方々、これは知事の要請を受けて対応している医療関係者の方々とは当然異なりますので、そういう意味で、医療関係者とは差を設けながら、それ以外の、その業務が同様の感染リスクの高さや業務の特殊性を伴うものではないというふうに判断をして特別の補償制度を設けていないということで整理をさせていただいたところでございます。
  283. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、新型インフルエンザ対策ガイドラインの見直しに係る意見書についてお伺いしたいと思います。  本年一月三十一日に厚生労働省新型インフルエンザ専門家会議におきまして、新型インフルエンザ対策ガイドラインの見直しに係る意見書が取りまとめられました。これは、平成二十一年に発生した新型インフルエンザから得られた知見、教訓を踏まえてガイドラインの見直しについて意見を取りまとめたものと承知しておりますが、その内容につきまして何点か御質問させていただきます。  まず、水際対策についてでありますが、水際対策は効果が薄いといった意見がありますが、飛行機や宿泊施設における停留は国民の活動を大きく制限するものであり、必要最小限のものでなければならないと思います。  ガイドラインの見直しに係る意見書にも、水際対策につき合理性がなくなった場合は停留措置を縮小することが記載されていますが、水際対策は国内発生をできるだけ遅らせるための効果があるにしても、国民を何日間か引き止めておくことは多大な人権制限につながるおそれがあります。そのため、停留等の措置は、実施するのであれば科学的知見に基づき必要最小限の範囲で行わなければならないと考えますが、厚生労働省見解をお伺いいたします。
  284. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 平成二十一年の新型インフルエンザに対する水際対策の科学的証拠といたしましては、発生後に行われた海外の研究によりまして、日本を含めた検疫の実施国において国内感染をある程度の期間遅らせる効果があった可能性を示唆する結果が報告されております。また、厚生労働省新型インフルエンザ専門家会議におきましては、水際対策は海外での感染の広がりが限定的である場合等に侵入遅延に有効となる可能性が期待できる対策であるとの意見をいただいております。  こうした専門家意見等を踏まえまして、ウイルス病原性感染力、海外の状況等の情報を勘案して合理的な範囲で水際対策実施することが重要であると考えております。
  285. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、パンデミックワクチンについてお伺いいたします。  海外で新型インフルエンザ発生いたしますと、当該インフルエンザに効くワクチンを日本国内でも製造しなければならなくなります。国際機関を通じて、発生したインフルエンザの株を入手し、ワクチンを製造し、国民に接種することになりますが、今現在、海外で新型インフルエンザ発生し、国民に接種できるまで何か月掛かるのでしょうか。  また、新しいワクチンの製造法の研究開発状況、またワクチンの生産ラインの整備について、先ほどもございましたけれども、改めまして厚生労働省にお伺いいたします。
  286. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 新型インフルエンザ発生時には、ワクチンの製造の着手までにWHOの推奨株の決定やワクチン製造用の株の開発などに二か月程度掛かることが見込まれております。また、ワクチン株の増殖のしやすさによって変動する可能性はございますけれども、現在、開発に取り組んでいる細胞培養法による生産体制が整備された場合には、製造に着手後三か月程度で最初のワクチンを出荷でき、六か月程度で全国民のワクチンの生産ができるようになると想定しております。  国民への接種につきましては、ワクチンの生産と同時並行で実施することとしておりまして、最初の出荷後速やかに接種を開始し、集団接種を基本に、可能な限り速やかに全国民への接種を完了できるようにしたいと考えております。  また、細胞培養法による生産体制の整備事業につきましては、これまでのところ、平成二十一年度補正予算で合計一千百九十億円の基金を創設いたしまして、第一次事業では平成二十二年七月に四事業者を採択し、実験用工場の整備等を実施いたしまして、第二次事業では平成二十三年八月に四事業者を採択し、実生産工場の整備等に取り組んでいるところでございます。  厚生労働省といたしましては、この事業を着実に進め、平成二十五年度中を目途に新型インフルエンザワクチンの新たな生産体制を整備できるよう最大限取り組んでまいりたいと考えております。
  287. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、仕事を休めない保護者対策についてでありますが、新型インフルエンザが蔓延いたしますと学校あるいは保育所などが臨時休業となる場合が想定されます。その場合、保護者が仕事を休むことができればよいのですが、どうしても仕事を休めない保護者も存在すると考えられます。その場合の対応は今般のガイドラインの見直しでどのようになったのか、お伺いしたいと思います。
  288. 外山千也

    政府参考人外山千也君) 今年一月に取りまとめられました新型インフルエンザ専門家会議意見書では、事業所、事業者が新型インフルエンザ発生に備えた業務継続計画を策定する際には、学校や保育施設等の臨時休業による保護者の欠勤についても見込むことが求められるとしております。一方、社会機能維持等のためどうしても乳幼児等に付き添えない保護者もおりますことから、可能な範囲でファミリー・サポート・センター事業等を活用すること、それから医療従事者や社会機能維持者の事業所内保育事業につきましては臨時休業の例外として対応すること、感染拡大防止策そのものの効果が減弱する可能性も十分に考慮した上で、一部保育施設の部分的な開所について認めることなどの例示が示されているところでございます。  厚生労働省といたしましては、こうした意見書の内容も踏まえまして必要な対応を検討していきたいと考えております。
  289. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、平成二十一年の新型インフルエンザでは日本死亡率は諸外国に比べて低かったというその理由の一つとして学校閉鎖が挙げられますが、確かに学校閉鎖は死亡率を抑えることに大きく貢献いたしましたが、一方で過剰であったとの批判もあると聞いております。学校閉鎖のような国民の権利を制限する対策は必要最小限とするべきだと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
  290. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 実際の運用の中で必要最小限にしていくということ、これはそういうことだというふうに思っております。  この中で、第五条、前にも紹介しておりますように、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策実施するために必要最小限のものでなければならないという、これが基本になるわけであります。  この長期の要請、指示というのは、病原性の高い新型インフルエンザが国内で発生した場合等の新型インフルエンザ等緊急事態宣言対象区域にまず限って発動可能であるという枠組みが一つあるということ、これが法案第三十二条ですが。それから次に、潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して定める期間に限って行うこと、これは法案の第四十五条第二項。それから、関係者が指示に従わない場合であっても、これを罰則は設けていないということでありますが、そういう具体的な前提の中で過剰な対応を取らないように配慮をしているというふうに考えております。
  291. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 最後の質問になりますが、生活関連物資等の買占めあるいはその売惜しみに対する対策、つまりパニック対応についてでありますが、新型インフルエンザの蔓延によって生活関連物資等の需要が一時的に高まり、価格の高騰、それから事業者による買占め、売惜しみが生じる可能性があるわけですが、政府としてはどのような対策を考えているのでしょうか、お伺いいたします。
  292. 後藤斎

    ○副大臣後藤斎君) 三年前の平成二十一年の新型インフルエンザのときにもお店から、特に薬局からマスクが消えたということで、私は余り買った記憶がないんですが、それがかなり全国的に行われました。そういう意味では、昨年の三・一一の東日本大震災以降でも、かなり数週間にわたって、首都圏の中でもそうですし、私、山梨に住んでおりますが、山梨でもそういうことが行われました。  今回のこの法案では、御案内ですが、五十九条に生活関連物資の価格の安定等という項を規定を置かさせてもらいました。そういう意味では、病原性の高い新型インフルエンザ発生したときに、先生指摘のように、生活関連物資の供給不足や、その不安等を理由とした物価の高騰、買占め、売惜しみ等が発生しないように、国民生活国民経済に大きな影響を与えないような形を、当然のことながら、関連法令とも連携をしながら適切に対応していくということが政府に課せられた大きな役割だというふうに認識しております。
  293. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間ですので終わりたいと思いますが、先ほど園田務官が追加してお答えになりましたように、報道に関しましてはやはり感染防止の陰で表現の自由を侵害するようなそういう状況が起こらないように改めて要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  294. 芝博一

    委員長芝博一君) 以上で糸数慶子君の質疑を終了いたします。  この際、お諮りをいたします。  委員議員舛添要一君から新型インフルエンザ等対策特別措置法案についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  295. 芝博一

    委員長芝博一君) 異議ないと認めます。  それでは、舛添君に発言を許します。舛添要一君。
  296. 舛添要一

    委員以外の議員舛添要一君) まず、この委員会出席して質問をこのようにさせていただく機会をいただきましたこと、委員長始め委員会皆さん方に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。  それから、私が非常に危惧しておりましたのは衆議院での審議時間が僅か五時間ということで、これは国民の命にかかわる非常に重要な法案ですので、我々この参議院で、この委員会で非常に真剣な、しかも水準の高い議論を皆さんがなさっているということに敬意を表したいと思います。私は、参議院らしい在り方だと思っております。  先ほどからも御議論を聞いておりましたけれども、私が厚生労働大臣のときにこの新型インフルエンザが起こりました。とにかく、どういう毒性を持っているかも分からない、メキシコでも七十人死んだというような報道がありましたので、てんやわんやの騒ぎで、今から考えれば、たくさんこれは反省しないといけない、あのときこうすればよかったなというのはあるんですけれども、そういう点について厚生労働省を中心に総括反省をなさって、この法案の中にも大変評価できる内容がたくさんあると思います。  ただ、その中で私は幾つか危惧していることの原則を申し上げますと、先ほど川田委員がおっしゃったと思いますけれども、やはり危機管理というのは情報公開、それから現場の声をよく聞くと、現場第一主義と、これが基本だろうというふうに思っています。私は今朝この委員会に出れなかったのは、外交防衛委員会で集中審議しておりましたけれども、北朝鮮のミサイルの問題もやっぱりこの情報の公開というところが一つの問題でした。それから、大震災、原発事故についても情報公開と。それから、官邸と現場との意思疎通は良くなってないと。  そういうことがあったと思いますので、私は実際に三年前のこの新型インフルエンザ対応しているときに、かえって事前行動計画が足かせになって動かないとか、我々が指示したことと違うことをやった方がいいんだという声が神戸、大阪、こういうところのお医者さんから来ましたので、そのときは私の責任でそれをやっていただいたと。あの発熱外来なんというのをつくるよりも、むしろ、その手間暇掛けるより患者の命を救うことが先だというようなことの御判断が現場の医師にあったんだろうと思います。  それで、先ほど皆さん方議論でありますように、例えば三十一条の医師に対する指示、これが今言ったようないい方向とは逆の方向になっては困るなという懸念がございます。  そして、原発事故よりも、実を言うとこの新型インフルエンザはある意味でもっと厄介な面がある。というのは、潜伏期間があります。それから、どこでビールスが飛散するか。世界中に飛散する。原発事故の場合は、三十キロ以内、何キロ以内とこういう放射性物質の拡散範囲が分かりますから、むしろある意味で規制掛けやすい。非常に規制が掛けにくいんだろうと。だから、この法律の目的とすることは、新型インフルエンザから国民の命を守るというときに効果がなければ意味がない。だから、今の糸数委員の御質問にもありましたように、いろんな規制、制限を人権含めて掛けるわけですけれども、それが本当に感染予防し、また感染者を増やさないことにつながるのかどうなのか、そこのところが実は原発事故以上に難しいというふうに思っています。  我々は一生懸命、水際作戦やりましたけれども、結局、大阪から患者が出てしまった。いまだ、どこからそのビールスが入ってきたか分かりません。そういうことの反省もございますので、まず、その点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  297. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 当時御苦労されて、大変貴重なお話をいただいたというふうに思っておりまして、これからも是非、そういう体験の中から、運用、その方針、具体的なものを決めていくときに是非御参加いただいて具体的なアドバイスをいただければ有り難いというふうに思っております。  その上で、確かに難しいなと思うのは、原発のときもそうなんですが、専門家の知見というのが一つあって、それと、それこそ政治家がそれをベースにして判断をしていかなければならないということ、これが一つの今回のこの危機対応に対しての構図でもあろうかというふうに思うんです。そういう意味では、事が起こったときだけではなくて、その以前から、先ほどのお話のように、現場の声も含めてしっかり運用の中でそれがどう生きるかということを前提にして聞いていく、そしてそれを取り込んでいくような、そういう場を設けていくということ、これも大事なことだというふうに思っております。それが一つ。  それからもう一つは、さっきのお話のように、事が起こって進展していく中で恐らく専門家意見も割れていくんだろうというふうに思うんですね。割れたときに、あの原発のときもそうだったんですが、こちらが、じゃどういう判断したらいいのかということが非常に問題になるということだと思うんです。それを避けていくためには、いろんなシミュレーションを事前にやっておいて、こういうケースにはこうした対応がやっぱりベストなんではないか、いや、ベストでなくてもベターなんじゃないか、その完全な対応というのはないんだと思うんですが、そういうようなものを事前に準備をしておいて、その中で政治家がその中のどの類型を取っていくかということが判断できるような、そういう具体的な仕組みが必要なのかなということを私、当事者になって改めて感じておりまして、そんなことも含めた運用計画というようなものを議論していく必要があるんだろうというふうに思います。
  298. 舛添要一

    委員以外の議員舛添要一君) この機会ですから余り日ごろ言わないことを申し上げますと、例の水際作戦、これは医学的に見てある意味意味がない、それは分かっているんです。ただ、ですから、今専門家意見ということを聞きましたけど、あのとき私もそういう意見を、もうお医者さんがあんなもの意味ないですよと、大臣意味ないと。それから、着ているガウンみたいなやつだって、そこにビールス付いていて、その同じのを着てまた別の飛行機乗ったら、結局、厚生省の係やお医者がうつしていることになりませんかと。全部それ正しいんです。  ただ、しかし、あのとき判断をしたのは、日本国民の感情を考えたときに、一切水際作戦やりませんと、それは足立というお医者さんがそんなの無理だと言ったからだと、こう言ったときに収まるかと。むしろ、私は、あのときは社会心理学的な要因を入れて、ある意味でこれだけ政府頑張ってやっているんだという安心感を与えるという意味もあったんで、私は、お医者さんというか、ビールスの専門家だけじゃなくてそういう社会心理的な側面も必要で、しかしそのときはトップである大臣が責任を取ると、こういうことだろうと思います。  それで、強毒性か弱毒性か分からなくて、あのときは鳥インフルで強毒性が来ると思って、七十人死んだというから私は強毒性だと思っていた。それで対応をやって、非常にやり過ぎな面ももちろんありました。大阪の例を挙げますと、とにかく、とにかく学級閉鎖を含めて早くやってくれと、やりました。今度、いつ解除するかと。このいつ解除するかのタイミングがまた難しくて、今度は大阪から、橋下知事でしたが、悲鳴を上げたのは、早く解除してくれ、ノーマルな生活に戻れないと、こういうことなんで、規制をつくるのはいいんですけれども、解除するときにどういう判断でどういう基準でやるかというのは非常に重要なんで、その点をどういうふうにお考えでしょうか。
  299. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 私も、あの当時のその対応の結果、どういうインフルエンザの伝播が広がっていったかというようなことも含めて説明を聴取をいたしました。あの当時の判断としては正しく判断されたんじゃないかと私は思うんです。その中で、一回目の波というのはやっぱりぐっと抑え込まれたと。ところが、二回目の波が来たという情景ですが、それはどうもその種類が違うんじゃないかというふうな形で報告がなされておりますが、そういうこともあったんだというふうに思います。  それで、要は、その二回目の波が来たときに、その状況が続いて、どういう形で解除をしていくか、どこで終息を考えていくかということの判断なんだろうと思うんですが、私のこの答弁を事務方がこれ用意してくれたんですが、その中では、どうもこの判断についてはリスクということを考えていくと時間が掛からざるを得ない、そう軽々に外すということもできなかったというふうなことを前提に答弁をするようにと、こういうことでメモが来ているんですが、そこのところはいろんな御意見があって、専門家のそれこそ知見というものがここで争われるんだろうというふうに思います。  そういう意味も含めて、これから具体的な行動計画、これを議論していく中で、その点についてももう少し専門家の詰めた話を、あるいはどういう基準でそこをつくっていくのかというのを組み立てていきたいというふうに思います。
  300. 舛添要一

    委員以外の議員舛添要一君) 先ほど来の議論でも損害賠償とか補償という話がありました。我々が新型インフルエンザ対応したときも、現場のお医者さんや行政、地方から、コストは誰が担うんだと、これはワクチン接種も含めてです。それから、何かあったときの費用だということなんで、どうしても法体系をつくるというのは、役所的な発想でいえば責任とコストの明確化ということが出てくるんですけれども。  ただ、現実に、原発の場合もそうですけれども、とにかくもう止めないといけないといって現場が一生懸命やっているとき、恐らく彼らは命懸けでやっているんだろうと思います。だから、むしろ、そういう人たちの意を体してとにかく国民の命を守ることが先なんだと。極端に言えば、私たちの国会で補償や何かあれば特別な法律をそのとき作ったり、臨時の予算を作ればいいわけですから、我々は国会が国権の最高機関として機能すればいいんで、是非そこを、国民の命を守るのが最優先だというちょっとその基本的な哲学が少し背後に責任とか費用の分担が出てきたがために隠れちゃったような感じがしてならないんです。ですから、是非、その運用なんかのときにそのことをしっかりと念頭に置いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  301. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 大事な御指摘をいただいたということで、しっかり受け止めさせていただきたいというふうに思います。  医師に対してということになると、それこそ一般のそれぞれの今ある持ち場でこうした患者を治療をしていくということ、これが一つ原点としてあるわけでありますが、それに加えて、要請であるとかあるいは指示であるとかというふうな形で、こちらがお願いするような枠組みというのが今度でき上がるわけですね。その結果によって、それこそ健康に及ぼす被害、あるいはそれで命を落としたとかいうような、そういうことがあった場合を前提にしてその賠償とか補償ということだと思いますので、そのことについてもしっかりと御理解がいただけるような話を医師の皆さんにもしていきたいというふうに思います。
  302. 舛添要一

    委員以外の議員舛添要一君) 私たちは法律を作るのが仕事ですけれども、この法体系見たときに、今回の法律もそうですけれども感染症法とか予防接種法、検疫法、ちょっと私は先進国の法の在り方として長期的に考え直した方がいいような気がしてならないんです。というのは、お上が国民を管理してこうすると、強制的なこうするというような感じになっている。  それから、災害対策の基本法なんかは、これはもう大地震とか大きな災害があったときに緊急に予算を配分するということなんですけれども、この国民の健康を守る新型インフルエンザ対策特措法にしても、どういう法体系であった方がいいんだろうかと、私は災害対策特別法的な構成でいいのかなと。それから、これだけの先進国ですから、やはり国民の自主性を尊重すると。必要最小限ということを先ほど政府の方で答弁なさっていますけれども、三年前はゴールデンウイークのときでした。何も私、言っていません。全員自発的にイベントをやめましたね。そして、好きこのんで外に出ていきません。  だから、そういうことを考えると、これは我々国会議員全体の問題意識として持っていただきたいというように私は思うんですが、この日本の今の様々な検疫法を含めての関連法案、この位置付け、これを大きく見直すいい機会ではないかと思いますが、大臣の御所見をお願いいたします。
  303. 中川正春

    国務大臣中川正春君) その感じておられるところ、共有するところ大でございます。  今、私、防災全般も担当しているんですが、確かに大震災を前提にすると、もうその災害が発生したとき自体は自助なんですよね。自助と共助、そのコミュニティーから自分たちの判断の中で組み上げてくる対策ということで命をつなぐ、生き延びてくると。それに対して制服組というか自衛隊や警察が命の救助に入っていくというような、そういう体制があるわけで、それだけに情報のシステムであるとかあるいはその判断基準というのが、コンピューターでいえば、ふだんからクラウド型といいますか、一極集中じゃなくてクラウド型に設計をして、その設計をした中でそれぞれが判断して自立のその形が浮き上がってくるような、そんな体制をつくっていくというのが、それこそある意味でしなやかな国家ということになってくるのかなというのを今感じつつ、対策を考えているんです。  そういう意味でいいますと、このインフルエンザもこれ危機対応でありまして、地方自治体の判断であるとか、それから現場の医師の判断とか、そういうものがしっかりとその場で対応できるような形というのをふだんからつくっていくということと、それからもう一つは、国の役割としては、しかし、それをトータルで見て、世界的なその関連あるいは専門家の知見、こういうものを併せ見て、国民に対してどういう情報を流さなきゃいけないかと、その情報を流すというところを焦点にしながら全体のマネジメントもやっていくんだろうというふうに思っております。
  304. 芝博一

    委員長芝博一君) 舛添要一君、時間ですので、おまとめください。
  305. 舛添要一

    委員以外の議員舛添要一君) ありがとうございました。  法律を作ったからといって危機管理ができるわけではありません。これは国民の命を守るという点では与野党協力してやっていかないといけないというふうに思いますので、今日は大変すばらしい皆さん方議論に参加させていただきましたことに改めてお礼を申し上げますとともに敬意を表しまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  306. 芝博一

    委員長芝博一君) 以上で舛添要一君の質疑を終了いたします。  本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後三時二十分散会