○又市
征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、
議題となりました二法案に反対の立場から討論を行います。
地方自治法改正案では、まず第一に、自治体が
政府の
是正要求等に応じず、国地方係争処理
委員会に
審査請求もしない場合、
政府が違法
確認の訴訟を起こせるという案については、かつて分権一括法の際、国自身が必要ないとして提案しなかったものです。
そもそも、自治体が国の強大な
権限と圧力に抵抗してまで
是正要求等に応じないと判断する行為は、それ自体がまさに分権自治の本旨に基づく行為であります。したがって、自治体の抵抗権として全面的に保障されるべきであり、この国の訴訟条項の新設はすべきではありません。
第二に、百条
委員会調査について、
関係人の
出頭や
調査などの要件を厳しくすることは、
議会の監視機能を抑制するもので、反対であります。
第三に、以前から検討されてきて、今回、
改正案に入れるべき地方税について、
条例制定の直接
請求に加えるべきこと、及び大規模な公の施設についての
住民投票制度の導入について見送られたことは遺憾です。
これらの
観点から、この法案には反対いたします。
次に、
大都市地域における特別区の
設置に関する法案についてです。
これは、有力な区割り試案で数えると、現大阪市民二百六十六万人始め九市の合計五百六十万の市民が、今ある市民権を奪われて、府の特別区民に格下げされる可能性のある法案です。また、名
古屋圏、横浜圏など、全国の八つの大都市圏にもすぐ適用される問題です。したがって、
地域の違い、市民の自治権を尊重しながら、国会としても複雑多岐な問題を詳細かつ丁寧に議論を尽くし、共通な
部分について
法制化をすべきものと
考えます。
したがって、継続
審議とすべきところ、ほとんど論議する時間もないまま今日採決することは、極めて遺憾であります。
この法案は、国の東京一極集中政策により、企業本社や
人口の流出など、経済社会
活動が衰退し、活気を失い、不満が募っている大阪府民、市民の現状打破の
要求が
背景にあると思います。しかし、市民の声を都市の
制度づくりに反映させるには
構成が余りにも未成熟で、今後の市民的検討に堪えられないのではないでしょうか。
それは、第一に、法案の骨格を成す特別区
設置協議会は、
首長自身が就任するのかも含め、その任命したメンバーのみで
構成し、最後に会の結論のみを市民にイエス、ノーで問うという形式です。つまり、肝心な
設置協議の段階での市民の参加の
規定がありません。
第二に、今ある市を解体して代わりにつくられる特別区は、東京に倣えば、市が持っている
権限と税収のうち、都市計画や固定資産税などの主な
部分を府に吸い上げられ、不完全な自治体に成り下がります。ある有力な区割り案では、特別区に変えられる地区は、現大阪市、堺市ばかりか東大阪市など九市を含むもので、市民権を縮小される
住民は五百六十万人に上ります。合併とは質の違う自治権の後退であります。
第三に、強大な
権限と税収をこれらの九市の
区域から吸い上げた府は何をするのか。それを各特別区に渡して、きめ細かな失業対策、住宅、社会福祉など、市民
生活の安定を図るよりは、誰にも、つまり特別区に邪魔されず、大規模開発に投下し、巨大都市化に走ることは容易に予想されます。これでは、大阪の市民
生活の復権は約束されません。
大阪府民、市民の願いを生かすためには、もっと市民参加で討議を重ねて、市民の意思が
生活再建と都市づくりにきちっと反映される
法律へと組み直すべきだということを申し上げ、この法案にも反対であることを申し上げ、討論といたします。