○山下芳生君 丸ごと移管する、機能の維持、機能の毀損がないようにということでしたが、本当にそれができるのかということが今問われていると思います。できないんじゃないかということが危惧されているんですね。
さっき
大臣触れられましたけれども、
地方を守る会の
総会、あるいはもう何回も年にやっているんですが、十津川村の村長だけがそういうことを言っているんじゃなくて、もう昨年、大災害のあった十二月の会では、
地方整備局及び
地方経済産業局存続の
要望を上げておられまして、そこでは、現在行われている国の出先機関廃止若しくは
地方移管の
議論は、全国各地において
地域、国民の安全を軽視するものと言わざるを得ませんと。やっぱり心配しているんですね、そのこと、機能が維持できるかどうか。
これは非常に大事でして、私、本当に出先機関を
地方に移譲してしまってその機能が維持できるのか、今実際に
地方整備局の現場で災害
対応に当たっておられる方々から、何人かから話を
伺いました。ちょっと紹介します。
例えば、今度の台風十二号災害で、さっきも紹介しましたけど、土砂ダム、河道閉塞が起こりました。奈良、和歌山に四か所ぐらいでっかいのができたんですけれども、斜面が崩壊して河川をせき止めてしまうという事象ですけれども、これは本当にまれにしか起こらない事象なんですね。これまでこの河道閉塞、土砂ダムが起こった事例というのは、この近くでは降雨によって土砂ダムが起こった経験はないんです。起こったのは、中越地震、それから岩手・宮城内陸地震のときに土砂ダムができた、それだけなんですね。したがって、そういう経験を持っているのはそのときの職員の方、現場にいた方しかないんです。
ですから、今回、近畿の大水害で和歌山、奈良にできた土砂ダム、もう住宅の上に土砂ダムができてどうしようかという箇所も何か所もありましたけれども、それをどういうふうに
対応すればいいのかという知見は、持っているのはやっぱり
国土交通省の職員の中しかないんですね。今回も、中越でその土砂ダムを体験された、北陸
地方整備局の体験した方が奈良に行きました。それから、岩手・宮城内陸地震で土砂ダムを体験された東北
地方整備局の方が、東北の
大震災で忙しいんだけれども、やっぱりこの知見を持っているのはその方しかいないんで、やっぱりその途中でも奈良に行って土砂ダムの
対応に当たりました。
何でそういうことができるかと。要は、国の機関として、全国的に災害がどこで起こっても、どこかの整備局の職員が
対応している。だから、まれにしか起こらない災害でも、全国組織の強みを生かして
対応ができるんだと思います。土砂の問題であればこういう河道閉塞、それから河川の場合であれば大規模河川の堤防の破堤、これももうまれにしか起こりませんけれども、全国的に見れば何年かに一回起こっていて、その経験はどこかの
地方整備局にあるわけですね。そういう機能が果たして維持できるのかどうか、これが
一つ。
〔理事加賀谷健君退席、
委員長着席〕
それからもう
一つ言いますと、そういう全国の災害を経験して培われた知見を土木研究所などの研究機関で分析した上で蓄積をする機能が、今の
国土交通省にはあります。経験を理論化して継承する、技術の継承ですね。もちろん、そういう技術者の方が、研究機関の職員の方が現場にやはり大規模災害のときには行くわけですね。今回の台風十二号でも、土砂ダムの現場に行かれたそうです。そういうことも、やはり国の機関としてあるからできるのではないか。
二つ言いました。経験の蓄積、技術の蓄積、全国的に様々な現場でこの経験と技術が蓄積されるからこそ、様々な災害が急に起こったときにも全国どこにでも
対応できるんじゃないか。この機能が
地方に移譲されて果たして維持できるのか、これ非常に心配するんですが、
大臣、どうですか。