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2012-03-27 第180回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年三月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  二月二十四日     辞任         補欠選任         牧山ひろえ君     大久保潔重君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 基之君     理 事                 石橋 通宏君                 谷  亮子君                 水戸 将史君                北川イッセイ君                 小泉 昭男君                 竹谷とし子君     委 員                 大久保潔重君                 大野 元裕君                 武内 則男君                 轟木 利治君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 藤谷 光信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 大家 敏志君                 大江 康弘君                 川口 順子君                 岸  宏一君                 中原 八一君                 長谷川 岳君                 水落 敏栄君                 魚住裕一郎君                 小熊 慎司君                 吉田 忠智君                 浜田 和幸君    国務大臣        外務大臣     玄葉光一郎君    副大臣        外務大臣    山根 隆治君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君        常任委員会専門        員        工藤 政行君    政府参考人        内閣大臣官房        長        阪本 和道君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        審議官      草賀 純男君        外務省国際協力        局長       越川 和彦君        財務省国際局次        長        山崎 達雄君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事  渡邉 正人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十四年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十四年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、平成二十四年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (政府開発援助関係経費)     ─────────────
  2. 藤井基之

    委員長藤井基之君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月二十四日、牧山ひろえ君が委員を辞任され、その補欠として大久保潔重君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣大臣官房長阪本和道君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会参考人として独立行政法人国際協力機構理事渡邉正人君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 去る二十一日、予算委員会から、本日一日間、平成二十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  政府開発援助関係経費について玄葉外務大臣から説明を聴取いたします。玄葉外務大臣
  8. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 平成二十四年度政府開発援助に係る予算案について概要説明いたします。  平成二十四年度一般会計予算案のうち政府開発援助に係る予算は、政府全体で対前年度比二・〇%減の五千六百十一億七千七百万円となっております。  他方、外務省予算分については、前年度比〇・三%増の四千百八十億三千三百万円となっております。また、東日本大震災復興特別会計において、一億三千二百万円を計上しています。ODA予算反転端緒を開くことを目指した結果、本委員会の御支援もあり、一般会計予算案における外務省所管ODA予算は、二年連続の増額となる予算を計上しております。  内容としては、ODAを活用したパッケージ型インフラ海外展開促進グリーン成長促進中小企業海外事業展開支援といった新たな成長への取組や、アフガニスタン支援や防災などの重点項目中心にめり張りの付いた予算の確保に努めました。  次に、協力形態ごとに概略を御説明申し上げます。  まず、無償資金協力については、さきに述べた重点項目中心に、前年度比六・四%増の千六百十五億八千万円を計上しています。  技術協力については、政府全体で前年度比〇・七%減の二千五百四十九億六千八百万円となっております。このうち外務省予算分については、無償資金協力と同様、重点項目に沿って必要な予算を計上する一方、独立行政法人国際協力機構の更なる業務の効率化により、同機構運営費交付金を前年度比〇・二%減とし、千四百五十三億七千九百万円を計上しています。  国際機関への分担金拠出金については、円高の影響も踏まえ、政府全体で前年度比一二・一%の減額となりました。このうち外務省予算分については、全ての国際機関について見直し作業実施した上で、任意拠出金については東日本大震災に際する各機関からの支援等も踏まえてめり張りを付けるなど、前年度比一五・六%の減額となっております。  最後に、有償資金協力円借款)については、新成長戦略への貢献及び気候変動対策アフリカ支援等政府国際公約達成に向けて積極的に活用します。その上で、リーマン・ショック後のアジア金融経済危機対応のための時限措置が終了した結果として、出融資計画額は七・四%減の八千八百億円となっております。  以上が平成二十四年度政府開発援助に係る予算案概要であります。  今日のグローバルな課題を解決するためには、我が国のあらゆる分野、様々な担い手の結集が不可欠です。政府、地方自治体、NGO、中小企業を含む民間企業、個人などが連帯して国際協力を行うことで、ODAに対する幅広い理解と支持を得ながら、より戦略的かつ効果的に実施していく考えです。引き続き、本委員会委員先生方からの御指導、御支援をいただければ幸いです。  よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  以上です。
  9. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 姫井由美子

    姫井由美子君 皆様おはようございます。民主党姫井由美子です。  東日本大震災より一年が経過をいたしました。改めまして、被災された皆様方にお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、復興に当たっておられる方々、御支援いただいている方々に心から感謝を申し上げます。  そして、二〇一一年度版ODA白書も発刊され、第一章に、震災と世界の中の日本ででは、ODAを通じたこれまでの国際協力と被災時における各国協力の具体的な記載がありました。西アフリカの一日一食も満足に食べることができない中で、自分たちの食料を売って得たお金を持ち寄ってくださったお話など、本当に途上国方々日本大震災復旧復興支援協力していただいたことには大変感動いたしました。引き続き、ODAを始めとする国際貢献に積極的に取り組むことを改めて決意をさせていただきました。  さて、東日本震災後のODA予算についてお伺いしたいと思います。  先ほどの報告の中で、前年比二%増といううれしい報告を受けました。しかし、昨年の東日本大震災のとき、もちろん震災復旧のための支援が一番だということで予算を見直されたときに、真っ先にとは言われませんけれども、比較的早い段階ODA予算というものが挙がりました。私たちODA特別委員会メンバー大変ショックを受け、当時の中村委員長を始め有志の皆さんで官邸に乗り込みまして、何とか、こういうときだからこそ私たち各国に、今の震災後もっと貧しい国々支援をしなければいけないと訴えました。おかげで多少削り幅が下げ止まりにはなりましたけれども、そのときお約束に、いや、この予算は必ず取り返すからという、口答でしたが、確約をいただいておりまして、是非、今日も少しずつ取り返しているのかなという気はいたしましたけれども、是非もっと弾力的な予算を付けていただければなと思います。  特に、ODA予算平成九年をピークに既にもう半減されており、しかし一方で、骨太二〇〇六では、二〇一一年までは毎年削るということは規定をされていましたが、それでも、これからはやっぱりODAというものは、ただ国際貢献だけでなく、資源外交であり、そして経済協力にもつながるんだということで私たちは訴えて、それで今ODAが少しずつ伸びているのではないかと思いますけれども、一方で、二〇〇五年にグレンイーグルズ・サミットで、二〇一〇年までにアフリカへの援助は倍増するという国際公約もあります。  これにつきまして、まず玄葉大臣に、震災から一年、今後のODA予算の回復の見込みと、そしてこの国際公約についてどう取り組まれるのか、お伺いしたいと思います。
  11. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 姫井さん始め、先ほども申し上げましたけれども、委員会メンバー方々ODA予算に対する御理解と御支援に改めて御礼を申し上げたいというふうに思います。  昨年、確かに復興予算との関連で一時的に削減をされたというふうに私は承知をしています。私も政調会長でございましたので、責任がないとは言えません。そういう中で、次の第三次の補正予算そして第四次の補正予算、そして第三次補正予算におきましては、東日本大震災からの復旧復興に係る経費として外務省ODA予算百五十五億円を手当て、そして第四次補正予算においては、アフガニスタン支援や紛争、災害対策等人道支援のためなど、必要性緊急性の高い追加的支援ニーズにこたえるための経費として外務省ODA予算千三百二十九億円を手当てをしたということでございます。  今回、予算編成に当たっては、私も皆様の御支援ございまして、直接、財務大臣、そして野田総理に、内向き志向からの脱却の象徴だと、十四年間で半減をしたこのODA予算を何とか反転させていく、そういう端緒を開きたいということを何度も要請をした、そういう経緯もございました。おかげさまにて、若干ではありますけれども、対前年度比で外務省ODA予算増額無償などは特に増額ということになりました。改めて、重ね重ね御礼を申し上げたいと思います。  そして、対アフリカODA、これ倍増するという約束でございましたので、我が国がこれまで表明したコミットメント、これは誠実に実現をしていきたいというふうに考えております。
  12. 姫井由美子

    姫井由美子君 大臣、ありがとうございます。  本当に内向き志向からの脱却ということで何度もお願いしてくださったということで、私たちODA特別委員会是非後押しをして応援していきたいと思っております。  さて、本日、皆様に一枚の資料をお配りさせていただきました。  先日、三月二十二日の新聞で、外務省は今後五年間で在外大使館数を約百五十に増やすという方針を固めたとありました。大変私はうれしく思っております。民主党政権になりましてから大使館ができていないというような意見を時々耳にしていましたから、この数には大変うれしく思っております。  現在、今年の一月、ジブチを含めますと大使館の数が百三十四。しかし一方、アメリカの百六十八、ドイツの百五十二か所に比べると先進国の中では低い数となっておりますし、中国は百六十四か所にまで伸びてきております。是非とも先進諸国と肩を並べるぐらいには増やしていただきたいと思っております。  特にアフリカ諸国、五十四か国ありますけれども、日本にはアフリカ諸国大使館が今三十七諸国できていると思います。反対に、アフリカ諸国における日本大使館の数はそれに満たない三十二か所ということで、是非、このアフリカに対して特別に大使館の数を増やしていただきたいと思っております。  私は、一度ODAアフリカに行かせていただきましたし、今年も南アANCの百周年の記念式典にも参加をさせていただきましたけれども、あの広い広いアフリカ大陸で、アフリカのそれぞれの日本大使館が兼轄ということで二国の国を見ているところがあります。例えば、ケニアがソマリア南アナミビアなど。そうすると、非常に広い中で本当に大変な思いをしております。  是非、こういった、特にアフリカを始めとする大使館、今後の増設における計画と、特にアフリカを重視して増やしていただきたいという思いも込めまして大臣にお伺いしたいと思います。
  13. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ありがとうございます。  日本が国家承認している国は百九十四か国、国連加盟国百九十三か国ございますけれども、我が国大使館を有しているというのは百三十四か国でございます。私も問題意識として、このままでよいのかということを常々思っておりました。先ほどおっしゃっていただきましたけれども、特にアフリカ五十四か国、AU五十四か国ございますけれども、アメリカ中国も四十九ございます。だけど、日本は三十二か国であります。一方、日本大使館を有しているアフリカ諸国は三十七か国あると。これは今、姫井さんがおっしゃったとおりでございます。  そうなると、比較的規模の大きいアフリカ大使館は、兼轄、兼轄、兼轄と、こうなっていくわけであります。アフリカというのは広大でありますし、必ずしも交通の便は良くないということを考えると、これだけ兼轄しているということが本当に効率性の面から見てもむしろ良いのかどうなのかということを私は考えていくべきであるというふうに考えています。  ですから、まあ財政状況ございますよね。ですから、この百五十の体制を目指して、しかもTICADⅤの開催を控えて、アフリカ外交を更に強化していく必要性というものを踏まえながら、外務省の中で、総領事館も含めてでありますけれども、あるいはそれぞれの領事館などを含めて、外務省の中でどれだけ合理化できるのかということをしっかり今検討させています。それでとにかく大使館を増やしていくということをしっかりと追求したいというふうに考えております。
  14. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  実は今年、南アフリカを訪問いたしました。先ほどANC南アフリカでのアフリカ民族会議の創立百周年記念に出させていただいたと言いましたけれども、ANCは御存じのとおり、マンデラ元大統領を始めとする反アパルトヘイト運動中心として活動をしたということで、その活動の拠点たるブルームフォンテーンで式典があったんですが、ヨハネスブルクという首都からまた遠いんですね。そして、行くのに飛行機で移動する。特に南アは国会がケープタウンで行われますので、ケープタウンにも行かないといけない。先ほど財政の問題があると言いましたが、各大使館財政大変でして、南ア大使館ケープタウンへ行くのに飛行機を使うと財政厳しいからと車で行ったり、それぞれ大変何か節約をしながら頑張っています。  隣のナミビア資源も豊富だし、これから日本ともいろいろと経済交流もできると思いますし、また南スーダン問題等南ア大使館には、そういった大使館の数を増やしているだけでなく、例えば今、経済産業省からの出向しかいない。まあほかにもあったかもしれません。総務、あったかもしれませんけれども、ただ、防衛省からの出向ですとか、あるいはこれからインフラが必要になる、とにかくアフリカはまだまだインフラが必要だということで、国土交通省からの出向とか、いろんな人的な意味でもそれぞれもう一度見直していただいて、今大使館ができなくても少しフォローすることで動きやすくなる、より支援がしやすくなるという部分がありましたら是非検討をいただきたいと思っております。  そして、今、日本認証している国が百九十四あると言われましたが、その認証について、是非一つ増やしていただきたいというお願いをしたいと思います。  今年の二月二十三日、イギリスのロンドンにおきまして、英国主催ソマリア首脳級会合が開催されました。日本からは、今日お越しの山根外務大臣も参加されたということで、大変御苦労さまです。ありがとうございました。ソマリア和平やテロ、海賊対策、人道問題といったソマリアに関する懸案事項が包括的に議論され、山根外務大臣も、ソマリアへの主要ドナーとして、ソマリア国民の将来のために全ての地域やパートナーと協力しますという、そういった御意見も発表されているのを拝見いたしました。  一九九一年に内戦状態に入ったソマリア共和国は、二〇〇四年に暫定連邦政府TFGが樹立されました。このTFGは国際的に認められた唯一の政府であり、アフリカ中東欧州あるいはアジア国々とも外交関係を持っています。しかし、残念なことに、我が国日本においては、TFGはまだソマリア全土を統治できていないという理由から政府認証をしておりません。二〇一〇年に当時のソマリア暫定政府外務大臣が当時の日本外務大臣に直接認証お願いをされましたけれども、検討中という御回答だったということです。  一方、ソマリアには実はガス、石油など天然資源が多くあり、これからソマリアとはそういった支援だけでなく経済外交でも大変重要になるかと思っております。是非ソマリア大使館設置をしていただくとともに、併せてTFG政府承認等を御検討いただきたいということでお伺いしたいと思います。副大臣ですか、よろしくお願いいたします。
  15. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) ありがとうございました。  私自身もその会議出席をさせていただきまして、今、姫井議員から御紹介いただきましたような発言をさせていただいてきたところであります。  一九九一年以来、武装間の抗争が続いていて、二〇〇五年にはソマリア暫定連邦政府TFGが樹立をされましたけれども、この政府もいまだ国土全体を実効する支配には至っておらず、我が国としては承認をしていないというところでございます。  この会議には、それぞれの、暫定政府の中でも、大統領のみならず首相であるとか、そのほか地域を代表するような方も、一人一人が代表するというような形での発言もありまして、その暫定政府統治能力というか、そういったものはどうなのかというのは率直に不安といいましょうか、感じたというようなことも私自身の感じとしては率直に実はございました。  政府承認については、近年、国連AUにおいてTFG代表性が認められて、国際場裏での連携協力必要性が生じていること等も踏まえまして、同国を取り巻く諸情勢を考慮して慎重に検討を進めていく考え方でございますけれども、率直に今申し上げましたような不安といいましょうか、状況についても認識をしているということは御披瀝をさせていただきたいと思います。
  16. 姫井由美子

    姫井由美子君 今日、後ろに暫定政府TFG日本代表の方も傍聴に来られていますので、山根大臣、そして玄葉大臣是非、来年、TICADまでに何とかお互いに自助努力をして、承認できるようによろしくお願いをしたいと思います。  そして、自助努力と申しましたが、一九七〇年代まではアフリカアジアって同じぐらいの貧困だったんですね。日本アジア諸国ODAを、そして基本的に欧州中心アフリカに。今、この段階アジアアフリカの差が大きい。そういったことで、是非アフリカからは日本アジアにしたようなそういった支援をという声が大変多いことを私は感じました。  アジア諸国がこれだけやはり経済成長したということは、アジア諸国自体自助努力もあります。そして、その自助努力日本支援したからではないでしょうか。今後、このアジアでの成功体験アフリカにどう生かしていくかをお伺いしたいと思います。
  17. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 我が国が戦後、アジア諸国への経済的な関与ということのスタートは、私は戦後賠償ということも歴史的な経過の中であったかと思います。それで、我が国が経済的な発展を遂げる中でODAということを踏み切らせていただいてきたというのは一つ経過としてございます。  そこで、日本ODA貿易投資と相まって東アジア経済発展を後押しさせていただいてきた、こういう自負を持っているわけでございます。その結果として、東アジア・大洋州において一日一ドル以下で生活する貧困人口は七億人以上減少したというふうに承知をいたしております。  これは、経済社会インフラ人材育成を重視をした我が国ODAの力というものが大きく反映もしたというふうな思いも持っているわけでありますけれども、民間部門の活力も引き出させていただいたかなというふうに思っているところでございまして、援助が直接投資促進貿易の振興に即した分野にタイミングよく供与されたというふうに思っているところでありまして、貿易投資と相まって、現地の生産力向上に寄与させていただいてきたというふうに思っております。  アフリカにおきましても、TICADプロセスの下、経済社会インフラの整備、人材育成民間投資促進等を含む支援策等を着実に実施をしてきておりまして、アフリカ諸国を訪問する折に、非常に日本ODAのきめ細かなやり方について高く評価されております。例えば、道路建設一つにつきましても、道路の渋滞を避けるようにバイパスを造って、そこから仕事を始めるというようなことをしたり、ほかの国にはないようなきめの細かな、かゆいところに足の届くような、そういうようなやり方といいましょうか、というのは非常に評価されていると思っております。  また、エチオピアにおけるカイゼンプログラムの実施なども、日本の知見を生かした取組ということで、これも高く評価されているところでございます。  このカイゼンというのは日本語の改善ということでございますけれども、これは、日本経済成長を大きく発展するときに生産性向上運動というのがありました。日本生産性本部等が力を入れてきたものでありますけれども、こういったところに端を発した物の考え方であります。職場での様々な改善を積み重ねる、それは経営者だけではなくて、そこで働いておられる方々の情報、あるいは現場での感覚、提案、こういうものを取り入れるということで生産性向上につながるというのがカイゼン考え方でありますけれども、こうしたことでも幾つかの事業所展開をしておりまして、その成果というものは高く評価されているということでございまして、今後もこういった点についてきめ細かく対応させていただきたいと考えております。  以上でございます。
  18. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  私がODAで訪れました南アのクロム鉱山でも、日本人が経営陣で入り、そして現場の運営、管理等に当たっていると、そこのアフリカの中に日本人のかつてあった職人気質が刻み込まれていまして、親子二代でその鉱山で働くとか、あるいは休みの日でも炉が心配だから出てくるとかという、かつての日本の物づくり、基幹産業時代を本当にほうふつとさせました。そういった支援は、大変私はこれから大事だと思っております。  しかし一方、アフリカに行きますと、もう中国中国中国、どこに行っても中国という言葉を、国に対する非常に期待感を感じます。しかし、一概に日本ODAと、中国ODAではありませんので、一つのビジネスという展開と私は思っておりますので、それをそこで比較、協力、競争する必要はないかと思いますけれども、しかし私は、これからアフリカは、豊富な資源、そしてこれから本当に人材も育成していくと、どれだけアジアのように経済成長するか分からない、未知のこれからの本当に大きな大陸です。その中で、やはり我が国日本アフリカをビジネスパートナーとしてこれから見ていかなければいけないと思っております。  中国は、先ほどアフリカに四十九の大使館があると言われましたけれども、そういった意味では、資源外交あるいは経済外交といった意味では中国に負けない日本をつくっていっていただきたいと思うんですけれども、今後のアフリカに対する資源外交経済外交についての御意見をお伺いしたいと思います。
  19. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 中国が、おっしゃるとおりアフリカに対して貿易、そして投資、大幅に増やしつつあるというふうに承知をしています。  したがって、先ほど在外公館の話もいたしましたけれども、まさにアフリカ、希望と機会の大陸であるというふうに思っていまして、経済のフロンティアとしてはもうアジアに次ぐフロンティアはアフリカであるというふうに私自身も認識をしているところでありますので、ビジネスパートナーとしてのアフリカ、そういう観点からもアフリカにかかわっていきたいというふうに思います。  TICADⅤ、来年六月に横浜で開催されますけれども、三つの柱、一つアフリカの平和と安定への貢献、二つ目は今おっしゃっていただいたアフリカへの開発の支援貿易投資の拡大、そして三つ目は気候変動等グローバルな課題への対応ということで、三つの柱でこのTICADⅤを構成し、積極的な対アフリカ外交を推進をしていきたいというふうに考えております。
  20. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  大臣から来年のTICADⅤの話が出ました。民主党が政権与党となって初めての開催となります。是非成功していただきたいと思っておりますけれども、もちろん私たちも頑張りたいと思いますが、特に、民主党は野党時代から官民一体となった活動を大切にしてまいりました。アフリカ支援を行っているのは政府関係機関だけでなく、NGOやNPO、大きな役割を担っています。  是非ともそういったNGO、NPOを巻き込んで、是非企画の段階から官民一体となった新たなTICADⅤを目指していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  21. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) ありがとうございます。  確かに委員のおっしゃいますように、政府レベルだけではなくて、やはり民間の力ということを融合させていくというのがとても大切なことだろうというふうに思っております。  実は過般、三月の二日の日にNGOとの外務省との協議会がございまして、その場でも私の方から、TICADⅤについて、横浜での会合についての御協力ということも直接要請をさせていただいたところでございますけれども、NGOの皆さん自身もその辺は御認識、意欲というものは非常にございまして、協力を全面的にしてくださるという温かい励ましもいただいたところでございまして、姫井委員今御指摘のように、民間の力も結集してオールジャパンでこの会合を成功させたいというふうに思っております。
  22. 姫井由美子

    姫井由美子君 是非よろしくお願いいたします。  前回のTICADⅣのときに第一回野口英世アフリカ賞というものが、表彰式が同時に開催をされました。なかなかこの野口英世アフリカ賞を知っている方は少ないかと思いますけれども、この野口英世先生は医学研究に生涯をささげた日本の誇りであり、世界平和に貢献をした本当に日本の偉人であります。この賞のすばらしさと意義をもっと積極的に周知する努力をお願いしたいとともに、来年のTICADⅤでこの第二回野口英世賞、同時にされるのか、あるいは、前回大変、ちょっと賞金の寄附金が集まるのに苦労して公金を使ったとかという記事もございましたので、そういった賞に対する予算といいますか、細かいことになりますけれども、その授賞式進めるに当たっての準備を併せてお伺いしたいと思います。内閣府ですね。
  23. 阪本和道

    政府参考人阪本和道君) お答えいたします。  第二回の野口英世アフリカ賞の授賞式につきましても、来年の六月に横浜にて開催予定のTICADⅤの機会に実施する予定でございます。  それで、寄附金の状況でございますけれども、平成二十三年十二月末時点での寄附金基金の残高でございますが、約三億九千万円となってございます。これは、これまでの寄附の累計が約四億九千万円でございまして、平成二十年の第一回野口英世アフリカ賞の賞金総額二億円のうち一億円を寄附金から支出いたしまして、これを差し引いた残額でございます。  御寄附に関しましては、第一回のとき以来現在に至るまで、引き続き受け付けてございます。今後も受付を続けてまいりたいというふうに考えてございます。
  24. 姫井由美子

    姫井由美子君 是非多くの方々に周知をしていただき、本当にそれが栄誉あるすばらしい賞になるようによろしくお願いをしたいと思います。  最後に、国連加盟国の三分の一がアフリカ国々となっています。日本が今以上に国際社会の中で国際紛争や貧困問題に積極的に取り組み、またその日本の力を生かしていく手段として国連の安全保障理事会の常任理事国入りがあるかと思いますが、最後に玄葉大臣にこの常任理事国入りの御決意をお伺いしたいと思います。
  25. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 国連が創設されて六十五年、いまだ変わらぬ姿のままの安保理でございますので、私は危機感を持っています。  三分の二の賛成を得ないといけないと。我々は負担率、分担率は二番目なわけで、また様々な国際社会における活動は高い評価を受けておりますので、やはりリアリズムに立った改革案というのを柔軟に作っていく必要が私はあると思っていまして、昨年九月にG4で外相会談を行ったときにも私からそういう提案をいたしました。今、去年の十一月ですか、有志国の担当責任者に東京に来ていただいて、もう少し柔軟に様々な案を考えていこうということで具体案を今作り始めているという状況でございます。  もちろん容易ではありませんけれども、G4を始めとする各国と連携してこの常任理事国入りについて積極的に取り組んでまいりたいと、そう考えております。
  26. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。是非世界中を味方に付けてください。
  27. 大家敏志

    ○大家敏志君 おはようございます。自由民主党の大家敏志です。  貴重な議論の機会を与えていただきました。今日はもう三月二十七日、年度末ということであります。政権交代からもう三年目になって、予算も三回目だというふうに思います。我々は、私は本当に、間もなく二年なんですが、初当選してすぐ、何としてでも政権交代だといきり立って、横にいる中原議員共々、自由民主党十八人、一年生で当選しましたけれども、震災から我々の考えも本当にがらっと変わりました。政権交代というよりは、やっぱりこの国をどうするんだという思いでこの一年間、ある面では本当に協力をさせていただいたつもりです。しかし、被災地の皆様からすれば、遅れていると、政治の責任は重いということで、我々野党の責任も重いと。そういう面では本当にじくじたる思いの毎日でもあります。  何というんですか、三度目の予算にもかかわらず、スケジュール感のなさというのは我々は本当にいらっとするというか、今日も実は委員会が重なって、私も、常任委員会に出なければならないけれどもここでも議論をしなければならないということがあったり、先日の予算委員会では要求した大臣がいなくて予算委員会が止まるということがあったり、やっぱり本当にもう少ししっかりしていただきたいという思いです。  しかし、今日はODAのことについて少し議論をさせていただきたいと思います。  増税の議論ばかりで、とにかく国民の中には、借金だらけの日本はこのまま沈没するんではないか、そのような悲観論ばかりが漂っているというふうに思います。特に、総理の口からも閣僚の口からも力強いメッセージというのが本当に聞こえてこない。やっぱり新年度の予算というときには、新しい年度がこれぐらい明るくなるんだと、日本の底力をこうやって引き出すんだというメッセージがあっていいと思うんですけれども、私はそのことが全くないことを本当に悲しく思っています。  そんな中で、ODAといえば、私が地方議員の時代は本当に、実はODAってお金だけあげると、こうやゆされたときがあったり、実際はどうなんだという思いも持っていました。しかし、今となっては、世界の中で生き抜く上で日本にとってODAというのは本当に大切なツールだというふうに思っているんですよ。しかし、国民の理解がなかなか得られない。  私は、今日は、どうやったら国民の理解が得られるのかなということを中心に、大臣にまずは見解を問いたいと思いますが、玄葉大臣ODAに対する思いというのをまず最初にお聞かせいただきたいというふうに思います。
  28. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、大家委員が、与野党を超えて、まずこの国をどうするんだという姿勢で今国政活動をしていると、政権交代云々というよりも、まずこの国家をどうするんだと、私はそういう思いにまず共鳴します。私も、例えば今後、政権交代があって、仮に私が野党という立場に立ったって同じような姿勢で国政活動を行わなければならないというふうに思います。  それと、消費税の議論ばかりではないかと、こういう話でありますが、私は、今非常に大切なのは、世界に対して日本として提示できるモデルというのは幾つかあると思うんですね。一つは、今回の消費税と社会保障の一体改革も、これは一体改革になっている、なっていない、こういう議論がありますけれども、御存じのように、中国だってあるいは韓国だってこれから少子高齢化、もっと速いスピードでやってくるわけです。私たちが最初にそれを解決してみせるということこそが、一つの私は世界に対する日本貢献であるというふうに思いますし、原発事故を受けて、最先端の創エネ、再エネ、そして新エネ、そういったモデルを提示をする、これもまた私は、逆転現象で日本が世界に対して貢献をする、そういう意味で大切なテーマだと思うんですね。そういったことも大いに議論しながら、国会を、議論を活発化させなきゃいけないと思います。  それと、国会の在り方はまさに国会の中で決めていただくということだというふうに思うんです。私も外務大臣という立場で、かつての外務大臣もみんなそうだったと思いますけれども、もう昨日もずっと国会で答弁をしておりました。今日もずっと午後もそうであります。どういう、何といいますか国会のありようがいいかというのは、これも与野党超えてしっかりと、何といいますか接点というのを、どちらが与党になっても野党になっても一番良い国会の在り方というのを模索をしていくという、そういうことが私は非常に今求められていると思います。  その上で、今ODAに対する思いということでありますが、先ほども申し上げましたけど、私も、十四年で半減したと、これ、はっきり申し上げて、日本の外交の重要なツールであることは間違いないのに、半減ということは、それはすなわち、イコールではありませんけど、プレゼンスの低下につながりかねないということだと思いますよ。  ですから、私は危機感を持ちました、これについても。ですから、野田総理にも何度か、また財務大臣にも何度か直接掛け合って、今回、少しでもいいから反転の端緒を開かせてほしいと。これは象徴であると。日本震災を受けてどうしても内向き志向になりがちだけれども、人口が一億二千八百万から二〇四八年に一億人切るという状況の中で、内向き志向になっていったらこれからどんどんどんどん縮んでいってしまうと、成長もできないと。だから、ここであえてODA予算を増やす。これは震災支援に対する感謝ということもありますけれども、ここで内向き志向脱却のやはり端緒を開くということが大切だという思いで今回の予算編成にかかわったということでございまして、総論的に申し上げれば、MDGs、あるいは防災、平和構築、そして、私は、これ、川口先生もいらっしゃいますけれども、私はかつての先輩方の一つの功績だと思うんですが、私、外務大臣今七か月です。各国会議に出ていて、日本への信頼というのは、何だかんだ言ってやっぱりあります。特に、人間の安全保障というのは、かつての先輩方がある意味編み出した概念であります。一人一人の尊厳を大切にする、そういった人間の安全保障という概念なども踏まえながらこのODAというものを効果的かつ戦略的に活用したいというふうに考えております。
  29. 大家敏志

    ○大家敏志君 思いをお聞かせいただきました。共有できる点、多いというふうに思います。  そこで、いろいろ今日はお尋ねしたいんですけれども、あの十五年で半減する中で、外務省としては今回、わずかではあるけれども増えて、反転の端緒を開けたというふうなメッセージを出されましたけれども、ここは私も大変良かったというふうに思っています。  しかし一方、先ほどから言っていますけれども、国民の皆様方理解、これをより深くするというのは本当に並大抵ではないというふうに思います。そこで、とにかく国民から見ると、直接生活の上でODAが役に立っているか、立っていないか、立っていないだろうというのが率直な国民の思いだと思います。  そこで、ちょっとお聞きしたいことは、日本の技術力を持った中小企業、これを支援することによって、また新興国でそういう技術や力を必要としている国、そこをうまくマッチングする、そしてウイン・ウインの関係を築く、これはもう今までもやってきていると思うんですけれども、そのことについて少し具体的な話があれば大臣にお伺いしたいというふうに思います。
  30. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これはもう大家委員が私は全く指摘するとおりだというふうに思うんです。私も福島の出身なものですから、まあ外務大臣になってほとんど帰れませんけれども、帰ると、それはもう率直に言って、今一番困っているのは被災地だよと、それなのに海外に援助するのと、こういう感覚ですよね。だけど、私は正面から説明するようにしております。でも、今おっしゃったとおり、国民に直接役立つこともたくさんあるんだよということを分かりやすく説明するという必要性があると思うんです。  ですから、今年特に中小企業とのマッチングということに力を入れたいというふうに思っていまして、中小企業が技術を持っているけれども、海外への投資を例えばしようというときにノウハウがない、あるいは人材、語学の面も含めてないなんていうことは結構あると思うんですね。そういった人たちあるいはそういった企業をマッチングさせていく、先方とも含めてでありますけれども、そういったことを行っていきたいというふうに思っています。  今年から地域における中小企業海外展開支援会議にJICAが新メンバーとして参加するなど、経産省や関係機関と緊密に連携をしています。また、外務省の中にもタスクフォースをつくりました。タスクフォースをつくって、外務省を挙げてこのマッチングを応援をするということで、今回のこの予算、御承認が得られることを前提に、今おっしゃっていただいたようなマッチングの予算というものを計上をしているということでございます。
  31. 大家敏志

    ○大家敏志君 これはしっかりやっていただきたいというふうに思います。  私も委員数名と二月に、モンゴルと中国ODAの調査に行かせていただきました。モンゴル、資源で沸き立っていますけれども、ロシアと中国に囲まれている地理的なこともありますが、やっぱり日本の力を本当に必要としていました。そして、中国にも行かせていただいた。もちろん、日本の植林の技術があの四川での地震の後の崖崩れ、山の崩壊等を防いでいる現状、JICAの人の頑張りも見させていただきましたけれども、やっぱり中国はしたたかですよね。ODAを出す側の立場と受ける側の立場になるとごろっと考え方を変えて、本当にしたたかにやっている。そういうことを考えたとき、日本は本当にうかうかしていられないなというふうに思いました。  その国民の理解ということに戻るんですけれども、今、中小企業の話をしましたが、もう一つ、これは国民の皆さんに理解していただきやすいというか、話だと思うんですが、被災地産業支援の一環として二十三年度の三次補正で、被災地で生産された工業用品などをODA予算で調達をして途上国に供与する仕組み、これが設けられて、既に十数か国との間でこの仕組みが約束されていると聞いているんですけれども、これは、補正予算の実績を踏まえて今後もこの取組、僕は続けていきやすいんだと思うんですね。これについて大臣のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
  32. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ありがとうございます。  平成二十三年度三次補正で、おっしゃるように、十五か国の途上国を対象として、被災地産の工業用品、これは約四十億円を供与すると、また国連の世界食糧計画、WFPを通じて、計五か国の途上国に対して被災地産の水産加工品約十億円を供与する。工業用品等の供与につきましては、今後、途上国の要望を踏まえて、被災地で生産される建設機械、医療器具、福祉用器具等の中から、入札を通じて実際に調達される製品が決定される予定でございます。  既に被災地の関係者からは、おっしゃったとおり、工業製品の販路拡大につなげたい、被災地から物資を調達することは被災地の経済復興の一助になる、こういう声をいただいています。ですから、おっしゃるとおり、国会で御承認得られたら具体的に確定をしていきたいというふうに思っていますけど、この被災地産の工業製品などを活用した途上国支援、御承認をいただいたならば続けたいというふうに考えております。
  33. 大家敏志

    ○大家敏志君 それは是非よろしくお願いします。  繰り返しになりますけれども、やっぱり日本、お金があるときは札束で何かこうやる、そしてお金がなくなったら全てやめた、やっぱりそういう心の貧困というか、そういう姿勢ではいけないと思っていまして、やっぱり国際社会の中で日本という国を確固たる存在としてこれから続けていくためには、本当に重要なツールなんですよね。ですから、本当に国民の皆様方理解というのをどうやって得るか。  今二点ぐらいお聞きしましたけれども、我々、先月の委員会でも、ODAに対する国民の理解・参加等をテーマに、有識者の皆様方をお越しいただいていろんな議論をさせていただきました。そのときの指摘が、やっぱり若年のときから、ODAというのが重要なんだということを公教育の中に織り込む必要があるんではないかと、そういう指摘がありました。  いわゆる国際開発教育を公教育の中でということなんですけれども、このことに対する大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  34. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 大きく分けると二つあるのではないかと。一つはいわゆる学習指導要領、これは外務省ではありませんけれども、学習指導要領でしっかりと国際協力のことについて大方針を立ててもらって、具体的に教科書等に書き込んでいくということが一つあります。  それと、外務省の中でいうと、実は、せっかくの機会なので御紹介したいと思いますし、これを増やしていければなと思っているのは、ODAの出前講座というのをやっているんですね。つまりは、小学校、中学校、高校、大学に職員を講師として派遣をしているということでございます。例えば高校講座、外務省職員が高校に赴いて、先方の希望テーマに応じて国際交流や異文化の理解について講演を実施平成二十三年度だけで全百十九回実施をして、ただ、ODA国際協力というのは十回ということなんですね。  あるいは外交講座等々もやっているんですけれども、今せっかくこういう御指摘をいただきましたので、こういった回数をできるだけ増やしていく、あるいはその中での国際協力分野というものにもう少し比重を割いていく、そういったことをせっかくの御提案でありますから考えてみたいというふうに思います。
  35. 大家敏志

    ○大家敏志君 出前講座というのは本当にいいと思いますよ。これはどんどん出ていってやっていただきたい。それと、ちょっと所管があれですが、文科省ともしっかり連携をしてこのことは考えていただきたいと思います。  次に移りますけれども、次にお伺いしたいのは、いわゆるODAの司令塔、これが不在ではないかという思いなんです。政権交代後の二〇一一年十月に国家戦略会議というのを民主党政権ではつくられたと思うんですけれども、それに伴ってこれまでの司令塔であったと言われている海外経済協力会議、これを廃止されましたよね。ですから、ODAのことについては国家戦略会議で議論するんだというおつもりだというふうに思いますけれども、私は、やっぱり懸念は、このことによって政策自体が手薄になったり埋もれてしまうのではないかということがあるのですが、それについて見解を求めたいと思います。
  36. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) おっしゃるように、海外経済協力会議というものが廃止をされたと。それで、まず一つは、外務省そのものが設置法にも企画の調整と書いてありますが、外務省、きちっと中心になってやらなきゃいけないのは当然のことなんですが、全体の調整を国家戦略会議でやるのかと、こういうことなんだと思います。  基本的には、私も国家戦略担当大臣のときにかかわっておりましたけれども、今も当然かかわっていますが、外務大臣ですから、パッケージ型のインフラ海外展開の閣僚会合というのが比較的頻繁に開かれているんです。関係大臣集まって、官房長官が全体を仕切っているということで、大体そこで全体の調整を特に円借款などはしているというのが実情であります。  もっと良い方法があるなら考えていこうと思いますが、現時点ではそのパッケージ型のインフラ海外展開の全体会合、私も出ておりますけれども、基本的にはそこで全体の調整を閣僚もきちっと出て行っているということはございます。
  37. 大家敏志

    ○大家敏志君 ちょっと不安な状態はあります。やっぱりしっかりやっていただきたい。司令塔というのは本当に大事だというふうに思います。これは民主党政権全体の問題にもかかわると思うんですけれども、もう三年たっていますから、よく選択と集中と言われますけれども、やっぱりこれは司令塔がなければなかなか果たせないと思うんで、このことは指摘をさせていただきたいと思います。  時間が迫ってまいりましたけれども、あと、国別援助方針というのをそれぞれの国ごとに今策定をしておられると思うんですが、この策定の中で私がやっぱり最も重要だと思うのは、前回の質問のときにも指摘をさせていただきましたけれども、やっぱり民間の声だと思うんですよ、現場で汗を流している方々の声。変な意味ではないんですよ。コンサルであったり、そういう企業であるという本当に現場で汗を流している皆様の声をきちんと反映するということが、机上の空論ではなくて、本当に実態に合った内容になると思うんですが、そこも大臣の見解を最後にお伺いしたいと思います。
  38. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 実は、パッケージ型インフラ海外展開の閣僚会合は民間の方々にもおいでいただいて、まさに実情を聞いているんです。その上で、一体どうなんだという判断をしています。ですから、今のお話は二国間のプログラムを作るときもと、こういう話でございまして、そのこと自体は提案としてしっかり受け止めていきたいというふうに思います。
  39. 大家敏志

    ○大家敏志君 以上で終わらせていただきますが、しっかりやっていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  40. 大江康弘

    ○大江康弘君 おはようございます。自民党見習の大江康弘でございます。どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  今日はこういう機会をつくっていただきまして、北川理事そして小泉理事に感謝を申し上げたいと思いますし、委員の皆さんとは、やはりこのODAは参議院独自の委員会ですから、同じ思い、価値観を共有しているなと思いましたのは、先ほどの姫井さんの質問そして今の大家さんの質問、もう本当に同じ方向であると思います。  こうして玄葉大臣山根大臣を見ておりますと、かつて同じかまの飯を食べさせていただいて、まさかあの当時はそういうそこに立っての答弁の姿は想像しておりませんでした。当時は同じ同僚として川口大臣予算委員会で質問を野党の立場でさせていただいたことがありますし、時代の流れを感じながら、私自身はもうよっぽど野党の体質だなと。もう野党ばっかりずっと回っておりまして、もうこの体質は恐らく一生抜けないんだろうなと思いながら、今日はちょっと大臣と副大臣に少し辛口なこともありますが、お許しをいただきたいと思います。  そこで、まず少し辛口を申し上げたいと思います。  私は、それぞれ議員、国会七百二十二人あります。例えば、今世界で国連参加国が百九十三か国でしたね、大臣、それぞれの議員がやっぱりしっかりと一か国ずつ真剣に付き合いしたら、私は日本理解というのはすごく進んでいくと思うんです。それぞれ議員はいろんな御縁でそういう信頼関係をつくっておると思うんですが、隣におられる水落先生もそうですが、私はもう台湾を三十六年やってまいりました。私自身、日台友好というのは自分のライフワークであるというふうに思いながらやってきたわけですけれども、非常に残念なのはあの三月十一日の追悼式典のことであります。もう一度、玄葉大臣とはこういうことをやり取りするのは余りないわけですし、参議院も、皆さんぼやぼやして、大阪の橋下新党ができたらもう廃業ですからね、これ、我々。ですから、もう私も最後の質問になるかなと、そんなことも思いながら、しっかり二院制はやっていかにゃいかぬと片っ方では思っておるんですけれども。  当日、私も参加をさせていただきました。終わってから、有り難いことか六人の議員さんから私のところに電話いただいて、大江さん、今日の式典には大使が来なかったのか、馮大使ですね、これは日本政府としては大使館という位置付けをしておりませんから、大使なんというこの呼び名は少し奇異に映るかも分かりませんが、魚住先生も一緒にずっと台湾もやってきました。私も大変当日は情けなく憤慨をしたわけでありまして、早速次の日に内閣に質問主意書を出させていただきました。予算委員会で世耕さんが、たまたまタイムリーに予算委員会がありましたので、世耕議員ともお話をしながら、是非やってほしい、やろうということで予算委員会では質問していただいたんですけれども、非常に官房長官の答弁も含めて私はいまだに不満であります。  そこで、質問主意書の実は答弁に、非常に配慮が足りなかったと、大臣、言葉があったんですね。これはどういう意味ですか、配慮がなかったという意味。台湾の指名献花がなかったことに対して、質問主意書に配慮がなかったということはどういうことなのか。これは質問通告しています。
  41. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) この問題は、東日本大震災に際しまして、台湾各界からは約二百億円の義援金の提供がなされたほか、緊急支援物資の提供、緊急援助隊の派遣など心温まる破格の御支援をいただいたというふうに思っておりまして、我が国として深く感謝をしているところでございます。  御指摘の式典における台湾の代表者の献花に際して、温かい御支援をいただいた台湾の方々のお気持ちを傷つけるというようなことがあったとすれば、それは我が国政府の本意ではなく、配慮に欠けるところがあった、私はそのことについて申し訳なかったというふうに思っています。そして、この点は、実は三月十二日に外務省の主催で復興レセプションを行ったんですね。そのときにも台湾の東京の事務所の責任者の方がいらっしゃいましたから、私からその方に申し訳なかったですねと謝意を含めて申し上げたという経緯がございます。
  42. 大江康弘

    ○大江康弘君 その方というのは羅副代表ですね、聞きました。  私は、金額の多寡じゃありませんが、最初、今、二百六十億円日本に義援金を送ってくださいました。そして、私が知っている大企業では社員が一人一日の昼食代を義援金として募ったと、もちろん総統奥様はテレビで呼びかけてずっと自らが義援金を募ったと。しかし、政府が義援金をいただいたのは三億余りなんですね。あとの二百五十数億は、要するに国民二千三百万人一人一人の国民の思いのこもった義援金であったんです。  しかも、私は残念なのは、あの後すぐに人的協力ということで台湾政府が成田へ人を出してくれました。しかし、日本政府中国政府が、恐らく私が想像するには中国政府が来るまではということでなかなか入れてもらえなかったと、私はそう想像するんですが、非常にやっぱりそういう考え方の延長が今回のこの指名献花の拒否につながっていると。  私は、配慮が足りなかったんじゃないんです、大臣、誠実さがなかったんです。配慮と誠実さという言葉は違います。私は、非常に不誠実だった今回のこの日本政府の対応というのは、恐らく中国を気にしてのことだろうと思うんですが、こんなことでもしやって中国が批判をしたら、笑われるのは中国ですよ。私は、中国は今大きくなってそんなに懐の狭い国だというふうには思っていません。まして、馬政権はこの四年間、日本外務省としては最もやりやすかった、この両岸関係の溝を、垣根を非常に低くし、この溝を取り払ってきた政権です。これは日本政府にとっても非常にやりやすいんですね、これは。かつてのように、民進党のように独立だ何だといってやっておれば、非常にやっぱり日本アメリカもやりにくいでしょうけれども、そういう政権じゃない。ですから、そういう政治的な私は式典は全く政治色がなかったにもかかわらず、ああいう対応しかできなかったということ。  大臣一つお願いがあります。これはもう私は大臣や副大臣が行ってくれとは言いません。それなりの政府の方が白金にあるあの代表処、我々は大使館と呼んでおりますが、そこに行っていただけませんか。申し訳なかったと、本意ではなかったんだと、そういうことを考えていただけませんか。
  43. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 先ほど来から私が申し上げておりますように、こういう場で私自身も、この間衆議院の委員会でも謝意を申し上げました。そして、本日もそのような形を取らせていただいて、三月十二日もまたそのような形を取らせていただいて、どういう形が適切なのか、非政府間の実務関係ということでありますが、様々な交流を深めていかなければならない。また、おっしゃったとおり、こういった震災に対する支援という性格のものでありますから、そういったことも踏まえて、またこれまで行ってきた謝意も含めて考えていかなければならないだろうというふうに思っています。
  44. 大江康弘

    ○大江康弘君 私は大臣のその思いに期待をしたいと思います。  先ほどアフリカのいろんなこと出ましたね。私も非常にこの中国の進出が危惧しているんです。しかし、大臣、台湾はODA対象国じゃありません。しかし、そういう日本の我々のやり方日本の気持ちというものはやっぱり世界の各国が見ている。私は中国が幾らアフリカに行ったって怖くないんです。日本の倍お金出して援助したって怖くない。それは、日本やり方中国がまねをしたって、我々日本民族が持つこの真心だとか誠意というのは絶対私は中国人はまねできませんよ。だから、私は、後ほどまたアフリカのことも聞きますけれども、ですから、それをやっぱり大臣、我々大事にしようじゃないですか。そういうやっぱり我々は、先人、先輩のいろんな真心の積み重ねでこれ国際的な立場を、我々のプレゼンスというものを今日まで高めてきたし、やはりそれを我々がつくり上げてきたと思うんですね。  私は、戦後、これもう七十年近くになりますけれども、これだけ手足を縛られた憲法の中で我々が国際貢献できるということは本当にそんなにないと思うんですね。まあ安全保障に特化をすれば、いまだに集団的自衛権というものが持っているけど行使できない、これは外務大臣の専売特許でしょうけれども。ですから、そういう一つ一つ今の憲法に照らし合わせたら、我々は本当に、海外に胸を張って出ていくというようなことを、自分たちが縛っている中でも数少ない私はこのODAというのは、先ほどもツールという言葉が出ましたけれども、まさに我々のこれは戦略的な大きなそれこそツールですよ。  だから、そういう中でこの何年かを振り返ってみたときに非常に私は残念なのは、やはり先ほど、十四年前に比べて五千約数百億半減をした、これは自公政権のときから経済のいろんなこともあったでしょう、それは自然減というふうな形の中でこれは致し方なかったこともあった。しかし、私はやっぱり、三年前に皆さん方がやったあの事業仕分ということの罪というのは大変大きいと思います。これはまた後ほど細かくお聞きをしたいと思いますけれども。  そういう中で、文句を言う前に一つ褒めておきます。一つ褒めたいと思いますが、先週の記事に、フィリピンに対してODAで巡視艇というものを供与するという記事がありました。これはどういうことですか、ちょっと教えてください。
  45. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、大江さん、まだ検討中です。(発言する者あり)いや、つまり、新聞報道はございましたが、決定したとかそういったことではございません。  ただ、巡視艇の提供というのは私は大事な問題だというふうに思っているんです。つまりは、海上保安能力を向上させていく、このことは大切なことであります。既に供与された例がかつて、たしか、ちょっと今手元に資料ありませんが、インドネシアでありました。これから幾つかの国について個別に検討したいというふうに思っているところであります。  これは、年末に防衛装備品の海外移転に関する基準の見直しというものがなされましたけれども、それとも一定程度関連をいたします。インドネシアの場合は、たしか、官房長官の談話を個別に発出をして巡視艇を提供したと、こういう経緯があるわけでありますけれども、これからは個別でなくてよいということでございますので、その点については今まさに鋭意、大事なテーマであると、巡視艇の提供は行っていくと、ただ、どこにどうするというのを今具体的に決定したという事実はありませんので、その点は、褒めてくださるということでありますが、現時点で決定したということはまだ申し上げられないということでございます。
  46. 大江康弘

    ○大江康弘君 じゃ、褒めるという言葉は撤回します。  新聞でしか我々なかなか情報が入らないものですから、先週金曜日に私は新幹線の中でこれを見て、ああ、これは玄葉大臣是非お褒めをしてあげないかぬなと思ったものですから。しかし、二〇〇六年に自公政権のときに、今大臣が申されましたようにインドネシアに送っております。ひとつそういう意味では、先ほど言った、縛られた我々の憲法の枠組みの中でのやっぱり国際貢献、ましてやこのアジアの我々の同胞の国に対する、そこは日本のシーレーンにも恐らくつながってくると思いますから、どうぞひとつ、次回にはできましたという言葉が聞けるようにお願いしたいと思います。  先ほどもありましたように、私は今日はアフリカにちょっと特化してお聞きをしたいと思います。かつての先輩でありました矢野哲朗先生が今アフリカ協会の会長ということで、矢野先生はアフリカをライフワークにされてやってまいりました。  そんな御縁で、実は四年前にTICADⅣにも全日程を参加をさせていただきまして、当時四十一か国の元首が来られて、福田内閣の当時だったと思いますけれども、大変なやっぱり日本貢献をしているな、同時にまた、アフリカはこの日本に対して本当に心から尊敬もしてくれ、心からやはり期待も掛けてくれているなということを実は強く感じました。当時、ガーナのクフォー大統領から、大江さん、あんたはミスターガーナだというような呼び名もいただきまして、大変な光栄な思いをしたんですけれども、しかし、まだまだ先輩がやってこられた域には達しておりませんが。  あのTICADⅣからもう四年たちました。もう一度ここで確認したいと思いますけれども、このTICADⅣのときに約束をしたあのことというのはしっかり守られていますか。ちょっと総括をしてください。
  47. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) TICADⅣでのお約束をしたことについてでありますけれども、これは支援策を着実に実行しているということで、各国から高い評価をいただいているところであります。  例えば、具体的には、広域運輸、電力インフラ整備や国境手続の円滑化のための支援、農業分野における米の生産量倍増のための支援、保健分野における母子保健の向上のための支援、教育分野における理数科教員の養成のための支援など、日本の強みを生かした支援をさせていただいているわけでありますけれども、金額的なところにおきましても着実に実行しているということで御理解をいただいているところであります。
  48. 大江康弘

    ○大江康弘君 外交はこれ継続ですから、そういう意味では頑張っていただいておるというふうに評価をしたいと思います。  来年のTICADⅤの話も出ました。大臣、これ、TICADⅤに向けて、少し、もう簡単に決意だけ言ってもらえませんか。
  49. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 先ほども申し上げましたけれども、TICADⅤ、特に横浜で開かれるときのTICADⅤは三本柱で、まさに希望と機会の大陸であるこのアフリカ貿易投資を拡大をさせる、そして平和と安定、そしてグローバルな課題への対応、こういった三本柱で横浜での開催を成功をさせたいというふうに考えております。
  50. 大江康弘

    ○大江康弘君 先ほど大使館の数が出ましたね。あれ、TICADⅣから今日まで、当時は二十七のところから五つ増えたわけですね。それで、私は今年、全体として、アフリカに限らず、今年二十三年度予算大使館の建設が一つもなかったということを聞いたんですが、それはそうでしょうか。  それと、一つお願いをしたいのは、確かに三十七か国アフリカの国は日本大使館も含めて持ってくれております。しかし、日本大使館を持ちたいけれどもなかなか諸事情で持てないと。私は、例えばODA予算で、今ビル安いですから、ビルを買い取ってそれを出せれないアフリカ国々に賃貸をするとか安く貸してあげるとかという、やっぱりそういうこともひとつ、もう自分たちの国でつくれば、日本でつくりなさいよということではなくて、やっぱりもうそういうことも私はODA予算でできないかなと。お金のないときに何を言うんだということでしょうけれども、それも少し検討していただきたい、こんなふうに実は思います。もうこれは答弁結構です。  ちょっと時間がないので続いて申し上げますけれども、JICAの件です。  先日、委員長に連れて行っていただきまして、視察もさせていただきました。先ほど私は事業仕分で触れましたけれども、これ、この広尾がなくなっていくということでありまして、全国で今十四あるのが当面二つなくなるんですかね、そんな話も聞かせていただきました。  大変やはりJICAというのは最前線で頑張っていただいておる組織でありますけれども、一方、横浜にある施設に研修員を日本に招聘をしておりますが、こういう研修員に対しての日当も千五百円余りあったのがもう九百円余りという、まさにマクドナルドのアルバイト一時間分ぐらいしかこの日当が出ないということで、別にお金もうけしに来ているわけじゃないんですが、やっぱりそういうつまらない事業仕分のこの予算減額の中で、非常にやっぱり私は日本のあるべき姿というものが失われていっているというふうに思います。非常にこれは私は残念です。  ですから、ない中でどう工夫をするのかということは大変ですけれども、私は、研修員がたまの休みにどこか広島でも、あるいはそういう日本の世界遺産も含めた、やはり彼らが思うようなところへもなかなかその予算の範囲で連れていってやれない中で、JICAの職員さんが個人的に連れていっているということもこれ聞きました。非常に有り難い話です。ですけれども、私は、こういうことは本来はやっぱり余り職員さんに負担を掛けちゃいかぬのじゃないか、むしろそういうようなことが帰ったら非常に心として残るという、やっぱりそれが日本の評価につながっていくということですから、私はこれもやっぱり、大臣、副大臣、考えていただきたいなというふうに思います。  それと、続けてもう一点、海外協力隊の隊員のことです。  これも、二年間、皆さん職を辞めてそして行って、帰ってきたときに再就職をするのにやっぱりどうしたらいいのかというようなことの中で、今まで、およそ月十万円積み立てて約二百五十万弱、帰ってきたら当面のやっぱり職も探すのも含めてそういうのをお支払をしていた。それが、半額になったり非常に減額をされたりという。私は、やっぱり民主党がこの事業仕分で海外協力隊員のそういう予算を減らした一つの原因として、要するに、青年海外協力隊員をボランティアだというふうにずっと我々は今まで呼んできましたね。私は、ボランティアというこのイメージというのはどうも余り、こういう海外協力隊員の皆さんに対してのネーミングとしては、私は余りふさわしくないと。まさに草の根協力隊ですよ。  ですから、やっぱりこういう人たちに対して我々はもっと、前線で、どこのODA対象国に行ったってまず最初に元首がこの評価をしてくれるのは、その国で頑張ってくれている海外協力隊の青年の皆さんに対しての評価をまず最初に言ってくださいます。我々は胸を張れる。ですから、このことも、大臣、副大臣、現実としてやはり受け止めていただきたいと思います。  最後にもう一点。  広尾に行かせていただいたときに初めて見せていただいたんですが、三百数十名の頑張って亡くなられた慰霊碑があります。これが、広尾が閉ざされるのに対してどうなるかということですが、要するに、海外協力隊で行った皆さんはやっぱりあの地が、あの広尾の地が自分たちのまさに、まあ聖地という言葉が合うかどうかは分かりませんが、やっぱり自分たちが出かけるときのスタート地点だと、だからここだけはどうしてもやっぱり私は外さないでほしいというのが協力隊員の皆さんの思いであります。  ですから、予算が少なくなって広尾を閉じるということが本当になされるんであれば、私は、あの慰霊碑だけでもしっかりと現場に置いていただいて、やっぱりそれを我々が後世に伝えていくということが必要だと思いますけれども、以上、ちょっと時間の関係でいろいろ申し上げましたけれども、よろしくお願いします。
  51. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 三点の御質問だったと思います。  海外の研修員の方々について、非常に経済的に大変な状況にあるということで、JICAの方がボランティア精神発揮していろいろな施設等を見せていただいたり案内されたりということについての配慮どうなのかということでございますけれども、これらについては実態ということもちょっとしっかり調査をさせていただいた上で何ができ得るかということを考えさせていただきたいというふうに思っております。  それから、海外青年協力隊員の再就職の件でございます。  実は先般、私もこのこと非常に気になりまして事務当局に調べさせましたところ、就職そのものについて、就職を希望される方については、一定の年限の猶予というのはありますけれども、大体九割ぐらいが就職をされている、これ統計上の話でありますけれども、ということが判明をいたしました。ただ、実際それが本当に御自身が心の底から満足する就職であったかどうかというのは分かりませんが、統計上はそういうようなことがございました。  ただ、やはり就職猶予をする猶予の期間についての予算が非常に削られたりということで、その間の非常につらい思いもございましょうし、大江先生のせっかくの御指摘でございますので、更に何ができ得るのかということも引き続き考えさせていただきたいと思っております。  それから、広尾の慰霊碑の問題でございます。  確かに事業仕分の中で指摘をされ、これが廃止ということがこれ閣議決定既にされている問題でございます。この点については、事前に魚住先生の方からも細かく御質疑があるというふうに承知をいたしておりますけれども、これらについてはまた何とか検討ができないのかということを改めて少し検討させていただきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  52. 大江康弘

    ○大江康弘君 ありがとうございます。
  53. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。よろしくお願いをいたします。  まず、先行の今、大江先生からお話がありました、大臣、台湾の件ね、台湾、この間の一周年の式典の中で本当に異様な雰囲気だったなと。指名献花の件もそうでございますし、それから、献花の中で両院の委員長の御指名がなかったなと、両院の委員長ね。えっ、何なんだと。閣僚の皆さんと行ったとき政務官までぞろぞろ出ていったということもございますけれども、ちょっと異様な雰囲気だったなと思いますし、やはり諸外国、地域とお付き合いをする中で、先ほども、配慮が足りなかった、いや、誠実さがなかったというか、やはり私も同じ意見で、やはり誠意というものは、言葉じゃなくて行動が大事だと思うんですね。その点をしっかり踏まえてやっていただきたいなと、これは意見で申し上げておきたいと思います。  さて、ODA予算でございますが、先ほど来から十三年連続減であるというようなことでございますし、その中で、大臣頑張ったんでしょう、〇・三%増加になったと、外務省の減少傾向にあったODAの反転の端緒を開いたと、また日本企業の海外事業の展開、環境技術の海外展開などを推進していきたいと、こういうことでございますが。  しかし、やはり外交の重要なツールとして国益増進に役立つというODAがこれほどずっと半減をしてきた。やっぱりいろんな事情があると思います、もちろん、それは。日本の経済事情等を踏まえてでもありますし。  ただ、その中で、先進主要国、アメリカにしてもフランスにしても、MDGs、あるいは九・一一テロの後を契機にして、貧困問題への取組強化を背景にしてODA増額してきたこともあるわけですね。非常に援助国、ドナーとしてこの地位が相対的に低下してきた。前は一位だったけど、今はもう五位になっているとか、あるいはODAの対国民総所得比がOECD加盟国二十三か国の中で二十位になってしまっていると、そういうことになっているわけですね。  やはり、世界の開発課題に対して我が国のこの責務を果たせないというだけではなくして、影響力を弱めてかえって国益に反すると、そういう指摘もあるわけでございまして、与党、野党問わずといいますか、しっかりこれを、もちろん効率化は図っていかなきゃいけませんけれども、取り組んでいかなきゃいけないと思いますが、この点に関しての大臣の所見というものをお聞きしたいと思います。
  54. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 冒頭の魚住先生のお話、まず心に刻みたいと思います。その上で、このODAについて、本当に今日いらっしゃる委員先生方皆様は大変な理解者で支援者でございますけれども、本当に国会議員一人一人がそれぞれの選挙区などに戻ったときもなかなか理解が得られにくい、言わば予算項目ではあるけれども、分かりやすい説明をして理解を求めていくという必要があるということを今日の質疑を経験しながらも感じた次第です。  実のある外交ということを私、この間ずっと言ってまいりまして、とにかく成果を重視をする、結果重視で進めるということでやってきました。ODA、若干ではありますが、おっしゃったとおり増やすことができたと。  これ、出資金が縮小しているんですね、一方。これは、ただ、一つだけ、言い訳ということではないんですが、過去の案件の貸付金の回収が実は進んでいると、こういう事情がございまして、したがって、円借も平成二十四年度は平成二十三年度以上に実行できるというふうに考えていただいて間違いございません。  そういう意味で、何が効果的かつ戦略的かという議論は当然あろうかと思いますけれども、総額を確保しつつ、効果的かつ戦略的にこのODA予算を活用して、プレゼンスの向上だけではなくて、まさに世界の平和と安定、繁栄、そういったものに貢献をしていく。しかも、それは単なる貢献じゃないんだと思うんですね、今や。つまりは、新興国などもそうでありますけれども、それぞれ海外の成長日本に取り込むということも含めてこのODAを有効に活用していくという観点が非常にこれから大切になってくるんだろうと。  しかも、それは国民の皆様からすれば、先ほど中小企業の話もありましたけれども、比較的理解が得られやすいのではないかというふうに思いますので、いかにその国民の皆さんの生活向上にも回り回って役に立つかということも含めて、説明も含めて努力をしていきたいというふうに考えております。
  55. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほども話出ましたけれども、今年の二月に当委員会でJICAの施設、この広尾の、地球ひろばというんですか、それから横浜の国際センターに訪問をいたしました。広尾の方では特に当日は中学生の国際理解教育というのがやっていまして、後ろで聞いておったわけでございますが、よく分かったといいますかね、そういうことが、取組がよく分かったところでございます。  ただ、先ほど来から出ていますが、この広尾センターがいわゆる事業仕分で、閣議で廃止するということが決まったというふうに言われているわけでございまして、その機能はどこに行くかと、市ケ谷だということでございます。  しかし、先ほど海外青年協力隊の聖地という言葉もございましたけれども、多分、あの人たちから見れば、やっぱり広尾というところは我々の出発点だと、こういうふうになると思うんですね。じゃ、市ケ谷というのはどういうふうに思うかといったら、やっぱり東京裁判所だねと、いや大本営だねと、いや防衛省だねと、そういう連想ですよ。その市ケ谷のJICAの施設ってどこにあるんだと、防衛省の裏ですよ。そういうイメージのところに、日本の象徴しているのかなとは思うけれども、しかしちょっとそれは違うんじゃないのかなというふうに思うわけでございますけれども。  閣議決定をしたということでございますが、最近閣議決定も随分中身がぐさぐさになってきていて、もうやっぱり見直した方が、決して見直せないわけではないなというふうに私は思っているわけでございますけれども、この広尾の在り方、またODAの広報の在り方について御答弁いただきたいと思います。
  56. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 先生の方からの御指摘を重く受け止めさせていただきたいと思います。  昭和五十七年に最初設置をいたしましたときには、志半ばで亡くなられた方、物故者は当時十七名でございましたけれども、その後、OBの方も含めて現在三百名ほどの方を芳名録に収めさせていただいているということでございます。この間、非常に、もう三十年にもなるわけでございますから、いろいろな思いが隊員の方にもOBの方にもおありだということでございます。  先生のせっかくの御指摘でございます。今日までも広尾のこの施設については何とか別扱いにできないかということで検討もしてきたところでございますけれども、先生のせっかくの御指摘でもございますので、さらにその検討について促進方、力尽くさせていただきたいというふうに思っております。
  57. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 是非しっかり検討をいただきたいと思います。この慰霊碑の件も含めて存続を希望しているということでございます。  去年の七月の二十七日、当ODA特別委員会におきまして、政府開発援助の持続的な推進を求める決議というのをやっております。何項目かあったわけでございますが、その中の一つに、「帰国隊員間のネットワークの強化等の具体的施策の速やかな充実を図ること。」というふうに実はあるわけでございますが、これこそまさにその拠点がなくなるということを意味するわけでございまして、具体的な施策、どういうことを考えているか、御答弁ありましたら言っていただきたいと思います。
  58. 渡邉正人

    参考人渡邉正人君) 国際協力機構の方からお答えをさせていただきます。  帰国隊員のネットワークの構築につきましては、外務省と共にJICAの方でも取り組んでまいっております。  広尾につきましては、先ほど副大臣の方から御答弁したとおりでございますけれども、社団法人の青年海外協力、JOCAと共に、あるいは協力隊のOBの団体の皆様と共に、帰国隊員のネットワークの構築につきましては今後とも力を入れてまいりたいと思っております。
  59. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 確かにあそこの広尾センター、場所いいですよ、広尾ガーデンヒルズの下でありますからね。だけど、スタートしたときはそんなものないわけであって、それが高く売れそうだということだけでやるというのはね。そもそも行政財産みたいな世界は、いい場所にあるわけですから。だから、そういうような発想でやるのはいかがなものかなというふうに思っておりますので、再度よく御検討をいただきたいと思います。  それから、同じく今引用いたしました昨年のこの当委員会での決議の三項目めに、去年五月だったと思いますが、当委員会ODA、海外コンサルティング協会の皆さんを参考人として意見聴取したんですね。それに基づいて、コンサルタントを始めとしてこの関連業者へのいろいろ決議をいたしました。その中に、ODA事業の質の確保に資する事業者選定方法の採用を是非お願いしたいということで決議をしたところでございます。  五月二十五日だったと思いますけれども、このコンサルティングの皆さんに質問した際に、意見聴取した際にその方々から、コンサルティング業界の技術力、企画力を重視してもらいたい、価格面を重視する結果となる一般競争入札の導入は慎重にしていただきたいと、こういう意見であったわけでございます。その際、JICAの方からは意見があって、世界銀行とか国際機関では企画が重要な場合は完全な企画競争というものがあるが、定型的なものとしては一般競争入札が入っている、他方、JICAの場合は価格をしんしゃくした企画競争を行っている、一般競争入札の導入についてはどこまでできるか範囲を慎重に見極めながら考えていきたいと、こういうような御答弁であったわけでございますけれども、この一般競争入札導入につきまして、測量など標準的に価格競争を行っても問題なさそうな分野から更に広げて、一般的な調査業務にも適用範囲を広げるような案が検討されているとも伝えられているわけでございますが、現状はどうなっていますか。
  60. 渡邉正人

    参考人渡邉正人君) 国際協力機構の方からお答えさせていただきます。  我が国ODAにおきましては、日本の技術あるいは経験を途上国に直接伝えるという観点から、その質の確保は極めて重要であると認識しております。昨年五月二十五日のこの委員会におきます海外コンサルティング企業協会、ECFA関係者からの意見聴取も踏まえまして、私どもといたしましては、質の確保に留意し、業務内容に応じまして、企画競争が必要なものにつきましては企画競争で、業務内容が定型的で一般競争入札に移行できるものについては一般競争入札として実施する方向で検討しております。  また、一般競争入札の形態も、価格のみで選定する最低価格落札方式ではなく、技術提案と価格を総合的に評価する総合評価落札方式の導入を検討しております。総合評価落札方式の導入に際しましては、国際機関の例、あるいは外部有識者による委員会を設置いたしまして開発コンサルタントの業界の皆様意見も踏まえながら慎重に検討を進めてきたところでございまして、検討結果を踏まえまして本年度末から試行的な導入を行う予定にしております。  以上でございます。
  61. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そういう総合評価方式ということもございますけれども、やはりどうしても落札したいというふうになると価格を抑えて入札せざるを得ないという傾向が当然あるわけで、その場合にじゃどこを圧縮するかというと人件費なんですね、これは。それがひいては業界の疲弊につながっているということでございますし、このことからコンサルタント業界では経営が厳しさが増して利益を逼迫すると。技術者が本当に高齢化しているということでございますし、また一方で若手の技術者の育成もままならないと。本当に苦境のスパイラルというような指摘もあったところでございます。  こういう状況を受けて、例えば国土交通省は工夫を重ねて、総合評価方式の実施に関連して人件費の位置付けを見直して、それを価格競争を基本とする方式から、業者の企画力、技術力を重視する企画競争に移行する中間の手段と位置付ける、この総合評価方式というものをそういうふうに位置付けて運用しているという経緯があるようでございます。  これはやっぱり、JICAにおいても入札方式の実務面での工夫を凝らして、この海外コンサルタント業界の活力を生み出す工夫に努めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  62. 渡邉正人

    参考人渡邉正人君) 先生御指摘のような弊害あるいは問題点があり得る点につきましては、私どもも十分認識しております。  それだけに、先ほども申し上げました総合評価落札方式につきましては、適用範囲につきましては慎重に検討の上、試行的な導入を行いたいと思っております。試行後は質の確保の観点からしっかりモニタリングを行いまして、今後の対応にフィードバックしていきたいというふうに考えております。
  63. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  64. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 みんなの党の小熊慎司でございます。  私の妻も青年海外協力隊のOBでありまして、広尾で研修をいたしましたので、そのころから付き合っておりましたから休みのたびに広尾の訓練所に迎えに行ってあの辺でデートをしていたので私にとっても聖地ではあるんですが、ここでのろけてもしようがないんですけれども。  さはさりながら、妻とも広尾の移転に関しては家庭内で議論したことありますけれども、やむなしという考えもあったり、やはりODAとして何をやるのかということが一番大事であります。ただ、慰霊碑まで仕分の対象になってしまったのはいかがなものかなというのもありますけれども、何をやるのかという意味では、今回、ODA予算の回復の端緒を開いたということは一定の評価に値するわけでありますけれども、やはり今までの減額分、またこれまでの取組の在り方ということを考えれば、まだまだ足りないというふうに思っています。  残念ながら少子高齢化の中で縮小していく日本の中にあって、やっぱり、内向きだというふうにも言われていますけれども、まさにこれから世界に対してどう日本が広がりを持って発展を遂げていくかということを考えれば、なおのことこのODA予算というのは日本の命運にもかかわってくるような予算であるというふうに認識をしているところでありますし、今回、この委員会支援もあってという大臣のお言葉もありましたけれども、これからの戦略的なODAということで、外交防衛委員会の中でも大臣、その言葉を使っておりますが、具体的にこの戦略的なというのは何を意味するのかということと、あと先日のこの委員会での参考人意見聴取の際も、参考人からも戦略的にやっていくべきだと、チャリティーではないんだという指摘もございました。まさにそのとおりです。  ただ、何回もこの委員会でもただしていますが、昨年の大震災の際、本当に大変な中でありましたけれども、このODA予算がやり玉に上がって減額をしたということは、ある意味、国民の多くには、ODAというのはチャリティーなんだからこういう場合は減らしてもしようがないというような間違った印象をやっぱり持ってしまった。先ほどの大臣の答弁の中でも、それぞれ委員も地元に帰れば、ODA予算語っても、何関係あるんだというような、そういうまだまだ理解が得られていないところであります。  そういう意味では、しっかりと戦略的な絵図を具体的に描いていき、そしてそれを国民の皆さんにも理解を得ながらやっていくことがまさに世界の発展日本発展につながるというふうに思えています。  そういった考え方を前提にして、大臣が言及をされましたODAを戦略的かつ効果的に活用というのはどういうふうにやっていくのかということをまずお聞きいたします。
  65. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 幾つかのことを申し上げたいと思います。  一つは、このODAを戦略的、効果的にというときに、フルキャストディプロマシーということを最近私言い始めていまして、政府だけではない地方自治体、先ほど話が出た中小企業、大企業、NGO、個人、特にNGOはたまたま私担当大臣でありましたが、多くの方々からの後押しがあって、御存じのような寄附税制の大改革が行われたわけです。三千円の寄附を百人集めれば所得控除のみならず税額控除も受けれると。これは寄附金を集めるという立場に立ったときには大変な改革で、私は日本の寄附文化は変わると思います。そうすると、NGOの役割というのはますます大きくなってくるので、このフルキャストでやはりよく連携をしながらやっていくということが一つあると思います。  それともう一つは、先ほどお話が出ていましたけれども、二国間の援助の方針というものをそれぞれやはりしっかりと現場の意見を踏まえながらつくり上げるということだと思うんですね。有償、無償、技協の組合せを、何といいますか、一番効率的にしていく、効果的にしていくと、そういう観点があろうかと思います。  それと、あとやはりウイン・ウインの関係。つまりは、日本の経済に結果として役立ってくるということが分かるような戦略性というものも必要ですし、逆にそういう野心ぎらぎらというものではなくて、むしろ先ほど来から出ているような日本の誠実さというものを中長期的な視点で考えて、日本の信頼というものを増大をさせていくために行うべき援助、それらをまさに、今四点申し上げましたけれども、考えながら、私としてはODAの案件というものを考えていかなきゃいけないんじゃないかと、こういうふうに考えています。
  66. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 まさにそのとおりだというふうに思います。  また、その際に、先日の参考人意見聴取のときもありましたけれども、参考人の方からは、欧米がやっているように戦略的にやる場合は地域を狙ってしっかりとやっていった方がいいというふうには言っていたんです。今、日本の場合は結構、先進国の中でも全世界幅広くいろんな国際支援をしているところでありますけれども、戦略的にやっていく場合に欧米型にやっていくのか。私は、日本やり方というものはやっぱりあると思いますし、薄くなる部分があるかもしれませんけれども、やっぱり世界広くやっていく必要があるというふうに思っています。  それで、これは確認ですけれども、今までどおりに広く、恐らく国によっていろんなやり方、同じやり方じゃありませんが、やっていくということでよろしいんでしょうか。確認をさせていただきます。
  67. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは一概に絞るとか広げるとかとなかなか言いにくいと思っています。つまりは、例えば韓国あるいはシンガポールとかはどんどんどんどん卒業していくわけですよね。そういう中でどういうふうに考えていくのか。先ほど申し上げたように、やはり国別の援助計画、そして日本は余り野心をぎらぎらさせていないところに非常に特にアフリカ諸国なんかからは信頼が寄せられているんですね。これは実感として私今感じています。  ただ、さはさりながら、例えば国連などで日本が提案することあるいは常任理事国入りの問題等々ございますね。そういったことも含めてやはりトータルに判断をしていかなきゃいけないと。で、相手国の立場に立って、一番日本が相手国の立場に立ってくれているんじゃないかと考えてくれている国って、私、結構多いと思います、自分の実感で申し上げるとですね。ですから、やっぱりそういった今までの日本の培ってきたそういう信頼というものは私は大事にしたいなというふうに思っているんです。  ですから、そういったことも踏まえながら、しっかり二国間の援助方針というものをつくって、それに沿って援助をしていきたいというふうに思っています。
  68. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 これ、先ほど来、日本人の誠実さというのがありますけれども、まさに、外務省の皆さんも大変優秀な方が多いんですが、まあ下手、下手な外交官というのはいないんでしょうけど、優秀な外交官若しくは、議員外交等もいろいろやっていますけれども、これは退任される緒方理事長ともちょっと議論したことがあるんですが、真面目な青年がある国に行ってそこでしっかりと活動している、日本人として生き方を見せているという、実際のスキルを、技術を供与してくるんじゃなくて、意外と評価されているのは日本人の生き方の、真面目だとかそういう部分が評価をされてその国に多大な影響を及ぼしているということを考えれば、まさにいろんな国々にどうかかわっていくかと、今、ウイン・ウインの関係もありますけれども、やっぱり人材をしっかり送り出していく、それぞれの国に合った人材を送り出していく、そういうことがひいては日本の評価の高まりになって、常任理事国の話もありましたけれども、そういった世界の日本理解につながってくるというふうに思います。これはしっかりとやっていただかなければなりませんし、そういう意味では予算をしっかり確保していくこと。  あと、今残念ながら協力隊の説明会が減ってきていて応募のあれもちょっと変化があるんですけれども、ただ、これも妻と議論したときには、説明会を増やせばいいという話ではなくて、むしろ、フルキャストの話ありましたけれども、これは広く教育の分野で、私も地元の商工会議所青年部で携わっているんですけれども、キャリア教育といったものをこれからしていかなきゃいけない。そのキャリア教育、就労観をどう醸成していくか。その中に、公のために資すること、世界の中に日本がどうあるのか、日本がどう世界に評価されているのかということも含めて、先ほどの寄附の話もありましたけれども、これはキャリア教育といった観点からもやっていくことが、大臣の目指しているフルキャストのディプロマシーの方に結び付いていくと思いますので、そういうことがまさに世界に発展する日本になってくると思いますから、是非、そういった教育の観点からも人材育成というものを今後考えていただいて、このODAの拡大に努めていただきたいということを指摘して、質問を終わります。  ありがとうございます。
  69. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  原発輸出問題について質問をいたします。  外務省は二十三日、日本・トルコ原子力協定の実質合意を発表しました。三・一一原発事故後初めての原子力協定締結合意でありまして、政府が原発輸出を推進していくことが改めて明らかになったわけでございます。福島県出身で、義父を前佐藤栄佐久福島県知事に持つ玄葉大臣外務大臣のときにこういうことがなされたというのは、私は極めて残念でございます。  トルコは、改めて申すまでもありませんが、ユーラシアプレートとアラビアプレートの衝突地点にあります。昨年十月、トルコ東部ワン市近郊でマグニチュード七・二のトルコ東部地震が発生をして、死者六百人超、負傷者約五千人という甚大な被害をもたらしました。このような地震多発地域に、地震で原発事故を起こした我が国が原発輸出をするべきではありません。地震多発地域のトルコに対して原発を輸出するリスクというものをどのように考えておられるのか、まずお伺いします。
  70. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、原発の輸出というのは、これは民間の商活動だということでございます。ただ、その上で、政府が関係ないわけではありません。おっしゃるように、原子力協力というものが、特に協定が前提になるという意味で関係がないわけではおっしゃるとおりありません。  それで、このトルコの話というのは、かなり早い段階から私のところにも来ておりました、こういう話が。私はもう、一言で言えば、会見なんかでも言いましたけれども、やみくもに輸出すればいいというものじゃないというのがまず基本的立場としてあります。それで、問題は、我々は原発事故を起こしました。その知見、経験、これは当然共有をして、その知見共有をいただきたいという方々には提供しなければならない、これは当然そうだと思うんですね。  そのときに、私も、今回トルコについては、一体、じゃどのくらい相手国トルコが強く日本のこの技術が欲しいと言っているのかということを何回も確認しました。二回、副首相から直接私にありました。そういう相手国の期待とか信頼、そして相手国が、自分たちは再生可能エネルギーもやるけど、どうしても原子力、必要であるということでありました。ですから、そこまで私は強い期待、信頼、そういったことがあるということであれば、特に相手国のエネルギー事情も考え合わせれば、それは協力をしていくということはよろしいのではないかと、そういう判断をしたということでございます。
  71. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 理解ができませんね。  現在、政府は並行してインド、ブラジル、UAE、南アフリカの四か国とも協定の交渉中です。それぞれに問題はもちろんありますけれども、特にインドは既に核兵器の保有国、事実上の保有国ですよね。核実験防止条約、NPTにも未加盟。包括的核実験禁止条約、CTBTにも署名しておりません。  政府はどういうふうに言っているかというと、インドに対して、NPT上の非核兵器国としてNPTへの加盟、CTBTへの早期署名、批准を求めていくというのが政府の立場ということですが、原子力協定交渉においては、核物質、原子力関連資機材及び技術の不拡散、平和的利用を求めていくとしているわけですね。二つの立場に矛盾はないんでしょうか、整合性をどのように図るのか、その点について伺います。
  72. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 確かに、このインドとの問題というのはストレートになかなか入りにくい議論かもしれません。  ただ、このインドとの原子力協力は、国際社会におきまして、二〇〇八年九月、核実験モラトリアムの継続を始めとするインドによる核不拡散の一連の取組である約束と行動を前提として、原子力の供給国グループ、NSGにおいて例外的に認めることが決定されました。  この約束と行動というのは、核実験のモラトリアムの継続であるとか、原子力施設の軍民分離であるとか、そしてIAEAの追加議定書の署名及びその遵守、そして核物質等の効果的な輸出管理等ということで、言わばNPTの外側にいるインドを言わば実態的にどう取り込んでいくかという、言わば極めて現実的な感覚の中から出てきているというふうに私も考えていますし、多くの国々が今そのように考えているということだというふうに思っています。  言うまでもなく、我が国としてはNPTを中心とする国際的な核軍縮・不拡散体制の維持強化を目指してNPTの普遍性を重視する立場は不変でありますし、インドに対して核軍縮・不拡散について一層の取組を行うよう働きかけていきたいというふうに考えております。  今お話があったその協定という話になれば、これは当然、インドの核軍縮・不拡散といった問題に対して、今後一定の配慮をしながらこの交渉を進めていかなきゃいけないというふうに私自身考えておりまして、そのことについては担当者に指示をしているところでございます。
  73. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 是非慎重の上にも慎重に臨んでいただきたいと思います。  そこで、原発を輸出する際は政府系金融機関であるJBICが支援するスキームになっております。  政府は、〇八年十一月、JBICによる原子力関連プロジェクトの支援に関して新しい指針を作成することを明らかにしましたが、現在まだ作成されておりません。作成に当たっては、当然のこととして福島事故の知見を踏まえたものにする必要がありますし、作成プロセスについても国民の理解と納得が得られるような透明性を確保すべきだと、そのように思います。また、少なくとも適切な指針が作成されるまでは公的支援を行うことはできないと考えますが、財務省の見解を求めます。
  74. 山崎達雄

    政府参考人(山崎達雄君) JBICにおきましては、原子力プロジェクトの実施主体により安全の確保等に係る情報が適切に現地住民に対して公開されていない場合には貸付け等を行うことのないよう、今後指針を作成することとしております。指針の作成に当たりましては、現在政府において行われている原発輸出に係る安全確認の取組を踏まえまして、JBICにおいて透明性にも配慮した形でこれが形成されることが重要であると思っております。  JBICの融資に当たりましては、様々なリスクの審査を十分に行い、金融機関としての融資判断が行われることになりますが、その前提としてこの原発の安全確保等に関する指針、これを今後作成して、その指針に沿って融資判断を行っていくことになるわけでございますので、融資判断の前提となる指針が作成されていない状況では融資を行うことはできないというふうに考えております。
  75. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 吉田君、質疑終了時間が来ておりますので、質疑をおまとめお願いします。
  76. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 分かりました。最後一点だけ、済みません。  まだ玄葉大臣と議論したいんですけれども、私の持ち時間十分しかありませんので最後に一点お伺いします。  緒方貞子、今JICAの現理事長で、今度交代されますが、新聞紙上で、自分の国でうまくできなかったものを外に持っていっていいのかという大変重い提起をされておられますが、そのことについての玄葉大臣の見解をお伺いします。
  77. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 玄葉外務大臣、簡潔に御答弁お願いします。
  78. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 報道は承知していますし、個人の発言であるとおっしゃっておられるそうであります。  先ほど申し上げましたように、むやみやたらに私も輸出するべきだと、こういう立場ではないということだけ申し上げたいと思います。
  79. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 どうもありがとうございました。
  80. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 以上をもちまして、平成二十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会