○鈴木寛君 もう
一つ、これは要望でございますけれども、結局、年金の
議論が一番本当に難しいと思うんですね。そのときに、やはり現物給付はもちろんですけれども、やっぱり現金給付はもちろんですが、現金給付と現物給付のこのどう合わせ技で
実質的に
国民の
皆さんの、特に高齢者の
皆さんの暮らしを確保していくのかと。そういったときに、やっぱり一番大事なのは
医療、介護ということですが、住宅という視点が欠かせないと思うんですね。結局、特に都会の場合はやっぱり住宅費に相当程度掛かっていると。
政策研究大学院大学の名誉教授の松谷先生が、公的賃貸住宅の重要性等々についての
議論をこの前伺ってきたわけでありますが、まさにそうした幅広い
観点からこの
社会保障制度改革国民会議の
議論を進めていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。
そして、世代間の格差の是正とそして
成長戦略、この私は交わり集合にあるところがやっぱり
教育の投資だというふうに思います。そして、まさに
教育こそが最大の個人にとっての
社会保障であり、社会にとってのそして
社会保障であり、国家にとってはまさに国家保障だと、安全保障だというふうにも思っております。
ちょっとこのパネルを見ていただきたいんですが、
資料は最後から二番目でございます。(
資料提示)
政権交代後、
教育予算を九%増額をいたしまして、公立高校の無償化、私立高校、高等専修学校の
就学支援金十二万円から二十四万円を創設し、あわせて、大学生の奨学金の貸与人員を一七%増やしました。これによって希望者全員が奨学金をもらえると、こういうことになりました。それからさらに、所得連動返済型無利子奨学金
制度、いわゆる出世払い型奨学金というのもできましたし、それから大学の授業料の免除者を二十八年ぶりに増やして、しかもこの三年間で七〇%増で今十万四千人の人が授業料、大学無料と、こういうことになっております。
まさに高等
教育機会の保障ということに力を入れてきたわけでありますけれども、先ほども申し上げましたけれども、これから将来世代というのは、生涯のネットで、負担と受益でいいますと、マイナス四千五百八十五万円ということになってしまいます。
これを是正しなければいけないということなんですけれども、それをもちろん何とかしなきゃいけないということで今度の
消費税でありますが、もう
一つの視点は、将来世代の生涯賃金を、だったら五千万円以上、できれば一億ぐらい増やすためにどうしたらいいのかということも
考えてあげる必要があるのではないかと。生涯賃金をどうやってアップするかと、その鍵が高等
教育にあると思います。生涯賃金は、正社員が二億円、派遣、契約社員が一億円、パートが五千万円ということになっていますし、また男子の場合は、大学、大学院卒の生涯賃金が三億、高専、短大が二・五億、高卒が二・五億と、こういうことになっております。
そういう中で、
資料の八ページを御覧いただきたいんですけれども、四年制大学への進学率が、本人の学力によって相関しているのではなくて、親の収入に完全に依存しているという深刻な
状況があります。親の収入が一千万円以上の場合は六二・四%の人が大学に進み、四百万円以下の場合は三一・四%しか大学に進めていないという実態があります。あるいは、大学進学率が三〇%台の道県が実は
我が国には十七あります、十七。四十七都道府県中、十七の道県が実は大学進学率が三〇%台だという実態があるわけであります。
そこで、問題はこの上の図でございまして、一九九〇年の段階から二〇〇九年に向けて、それぞれの国の大学進学率がどうなったかということであります。これちょうど比べるのにいいサンプルがあります。例えば、一九九〇年のときは、オーストラリア、
日本、韓国は、それぞれ三五%、三六%、三七%と、一九九〇年のときのこの三か国の大学進学率はほぼ同じであります。しかし、二十年後には、オーストラリアが九四%、韓国が七一%、そして
日本は五六%、これは短大も含んでおります、というふうに著しい差が付いてしまいました。
じゃ、
GDPはどうなったかということでありますけれども、オーストラリアと韓国は、この二十年間の間に、韓国はいろいろなショック等々もありましたけれども、三・一倍に増えております。一方で、
日本は一・六倍と、こういうことになっています。
これはどういうことかといいますと、十一ページを御覧いただきたいんですけれども、あるいは十ページを御覧いただきたいわけでありますけれども、産業構造がこの二十年間で劇的に変わっています。劇的に変わっています。そして、特に九〇年代、あるいは二〇〇〇年越えてからは、IT投資にどれだけ対応できたかできなかったかということがその国の
経済成長に極めて大きな
影響を与えているということもその
背景にございます。
そうした中で、
我が国はこれからどういったところに仕事があるのかということが十ページ、十一ページであります。もう既に
議論されておりますように、
一つは、
医療・福祉関係の雇用というものが増える。これは
経済産業省もそういうことを言っています。あるいは、対事業所サービス、対個人サービス。十一ページの方が分かりやすいので十一ページを御覧いただきたいと思いますけれども、
医療・福祉が今六百万人ぐらいでありますが、これが九百万人ぐらいに、うまく
経済政策あるいは雇用政策、
教育政策をやっていけば、二〇二〇年の、十年後に九百万人ぐらい、三百万人ぐらいの雇用が増える可能性がある。それからもう
一つは
情報通信でございまして、二百万人弱の今就業者数でありますけれども、これが四百万人弱ぐらいまで、約二百万人ぐらいまで増える可能性があります。
しかしながら、この横軸でございますけれども、それぞれ
医療・福祉は、看護師になる場合には四年制の大学がもう標準になっております。そういう
法律改正もされました。薬剤師については六年制と、マスターということになっています。あるいは、最近は
医療物理士とかOT、PT、コメディカル、ほとんどが四年制、それだけ
医療が高度化しておりますから当然でありますが、そういうことから、
医療・福祉の現場で働く
皆さんの約九三%が、短期高等
教育も含めてでありますけれども、九三%が高等
教育修了者であります。あるいは、ITで働く
皆さんの九七%が高等
教育修了者であります。
まさに、こうした就業構造、産業構造の転換ということを見据えた
教育政策をきちっとやっていかなければいけないというふうに思っております。これは何も四年制の大学だけを言っているわけではありませんで、今、実は一番
教育政策上成功しているのは高専ですよね。高専は就職率も抜群に良くて、まさにハンダごてもできるし、きちっとプログラミングもできて、論文も読めるという非常にすばらしい人材をつくっているわけでありますけれども、こうした現場密着型の
教育も含めて
我が国の高等
教育というのをどういうふうにしていかなければいけないのかという
議論を
古川大臣そして平野
大臣のところでやっていただいているわけであります。
さらに、グローバル人材、これは
総理も
世界に雄飛する人材ということで大変に力を入れていただきましたけれども、これから五年間で、僅か五年間で追加的に二百四十三万人のグローバル人材が必要だと、こういうふうなことも見込まれております。
そうしたことをきちっと見据えて、そしてライフイノベーション、グリーンイノベーションの話が先ほどございました。もしも
古川さん、コメントあればお聞かせいただきたいと思いますけれども、ライフイノベーションも、再生と
医療機器とそして非常に重要なのが
医療情報、メディカルインフォマティックスですよね、そして創薬支援と、この四つの柱です。あるいはグリーンイノベーションも、発電源のところのイノベーションも重要でありますが、一番、当面、目下大事なのは、期待できるのは送電ロスをどういうふうにしていくかということになると、スマートグリッドということになります。これからまさにそうした
医療掛けるIT、環境掛けるITといったところも必要になってくるわけでありまして、そうしたことを見据えた
改革ということをやっていかなければいけないと思います。
その中で、残念ながら、この二十年間、特にこの十年間、
日本の大学
教育に係る経費というものは増えておりません。一方で、韓国は二〇〇〇年から比べまして一五五、一〇〇とすると一五五、アメリカが一四一、EUは一三六、OECDでも一三〇ということで、
日本以外の先進各国はまさに産業構造の高度化、知的立国化に対応した
教育投資をしております。あるいは、学生一人当たりの投資額を見ましても、アメリカは二万九千九百十ドルに対して
日本は一万四千八百九十ドルということで、半分ということになっています。
じゃ、どうしてこういうことになってしまったのかということなんですけれども、ちょうどこの十年間、
社会保障費が八・八兆円増えて、
教育を含むそれ以外の経費が、これは防衛とか公共も入りますけれども、ちょうど九兆円削減されたということなんです。だからこそ、
社会保障改革をきちっとやって、
消費税で
安定財源を確保して、そして未来への投資について健全な、
教育も含む投資戦略を果たしていくことが重要だというふうに思っておりますが、まずこうした点について、
古川大臣、コメントあればよろしくお願いいたします。