○
参考人(
藤井聡君) それでは、
京都大学の
藤井聡でございます。本日はかような機会をちょうだいいたしまして、誠にありがとうございます。
本日ちょうだいいたしました
タイトルが
内需主導の
経済成長と
外需(
輸出)も含めた
経済成長についてということで、二十分ほど
お話しさせていただきたいと思います。(
資料映写)
まず最初に、このスライドを
御覧いただきたいと思います。こちらには
パターンA、
パターンBと書かせていただいてございますが、これは
成長論の
二つの
パターンでございます。
パターンAを
御覧いただきますと、読ませていただきます。
日本は
貿易立国で、
少子高齢化で
内需の
拡大はもう望めないと、だからもう外に打って出るしか
経済成長はできないと。また、
公共事業の
効果は既に小さく、また借金で
日本政府はもう
破綻寸前であると。だから、
デフレ脱却のためにも
構造改革と
自由貿易推進による
成長戦略が必要であると。これが
パターンAでございます。
タイトルとしては、
改革・
貿易成長論と、まあそんなふうに言えるかと思います。
これとはまた趣の違った
パターンBの
成長論がございます。読ませていただきます。
デフレの
原因は
需要不足であり、これを埋めるためにも
日銀による
金融緩和と
政府による
財政出動のワンセットの取組が不可欠であると。一方、
日本の
国債は
大半が
国内で消化され、かつ全て円建てなので、
国債の発行に大きな
支障はない、それほど大きな
支障はないと。だから、
国債による
資金調達で大
規模な
財政出動を行うと同時に、大
規模な
金融政策を実施し、
デフレ脱却、そして
財政健全化を果たすべきであるという
パターンでございます。これは要するに、
財出と
金融緩和をやって、それを通じて
成長しましょうという
パターンでございます。
経済理論をよく
御存じの方はこの
パターンAの
議論と
パターンBの
議論があるということは
御存じだと思いますが、この
パターンAと
パターンB、どちらの
パターンを
皆さん支持されるかということを考えますと、多くの
国民を含めまして、恐らくは
パターンAを支持するという
状況にあるのじゃないかなと思います。
これはなぜかというと、これは過去一年間の
新聞の社説の中で
経済を取り扱った八百五十一本、大手五紙でありますけれども、分析したところ、
パターンAと
パターンBが占める
割合はもう九割を超えていると。それ以外の
パターンというのはほとんど見られないんですね。それ以外の
パターンというのは、要するに、エネルギー問題をどうせなあかんとか雇用を確保せなあかんとか何か一般的な話であって、大体、こうせなあかん、ああせなあかんとかという、
パターンA、
パターンBが
大半を占めて、それが九割なんですが、
御覧のように、八八・三%が
パターンAでございます。
要するに、
構造改革をやって
自由貿易を推進したら
日本の
経済良うなりまんねやという話がこの八八%を占めていて、何と
パターンBの、
経済理論では当然ながらある
理論なんですけれども、この
パターンBの
理論はたった一・七%、一年間掛けて十五本しかないという、ほとんどギャグのような差がございまして、こういうような
世論環境、
マスコミ環境でございますから、多くの心ある
国民も含めて、
パターンAを支持することは致し方ないというふうに思います。
しかしながら、これは当然でございますけれども、多くの人々がどちらを支持するかということと、それと
真実はどちらにあるのかということは別であります。
世論あるいは
学界の
定説も含めて、そういう
世論と
真実は一致しているとは限らないというか、おおよそ
京都大学では
真実は
少数派に宿るという教えをいろんな
先生方から伺ってございますので、余り八八%もの人が同じようなことを全体主義的に言っていると、ちょっと何かおかしいんちゃうかというふうに思うというのが、これ我々
学者といいましょうか、
真実を追求する人間の態度でございます。
ということで、
パターンA、
パターンBというのを考えますと、
パターンAがとにかくよく支持されているわけでありますけれども、どちらが正しいかということを少し考えたいという
お話を今からいたしたいと思います。
どちらが正しいかということを考えるときに当たって、事実と
パターンA、
パターンB、どちらが整合しているのかということを考えることが全ての
出発点であります。それを考えたところ、残念ながら
パターンAには基本的な極めて深刻な過ち、
誤認、
誤謬というものが、誤った
認識というものが存在しているということを私どものいろいろな
データ分析から明らかになっておりますので、それをまず御紹介したいと思います。
まず、
構造改革・
自由貿易推進で
経済成長を論に見る誤った
認識のその一でありますが、よく言われますのが、
少子高齢化で
内需の
拡大は望めないということは、も
うそんじょそこらといいましょうか、
そこらじゅうで、居酒屋であろうが喫茶店であろうが、どこに行ってもこんな話はもう、電車に乗っていてもいつもこんな話ばっかりよく聞くんですけれども、これもうめちゃめちゃ間違いであります。
どういうふうに間違いかというと、まず、ドイツとかロシアというのは
少子高齢化しているんですが、残念ながら
経済成長してはるんですね。ですから、
少子高齢化やったら
経済成長できないというのはそもそも事実と反しています。しかも、理屈で考えましても、仮に人口が一%とか二%とか過激に減っていったとしても、一人
当たりの
GDPが三、四%伸びればそれでもうチャラで
経済成長できると。一人
当たりの
GDPが伸びるということは、ふだんいつもギョーザ食べてはる人がもうちょっとええもん食べるようになったら、それだけで一人
当たりの
GDPって伸びるわけであります。どんどんどんどん安いものばっかり食べるようになっているさかいに一人
当たりの
GDPが下がっていくということもあって、それで
デフレになっているというような話ですから、
少子高齢化をすれば
デフレになるという圧力は存在するということを僕は否定はしないですが、だからといって
経済成長は望めないというのは真っ赤な、真っ赤な
うそであるということをまず第一点指摘しておきたいと思います。
第二でありますけれども、
日本が
経済成長するには外に打って出るしかない、もう去年一年間の
新聞さんざん分析してさんざん何度も読み返しましたですけれども、こればっかり言われておりますけれども、これも完全な事実
誤認であるということをまず御紹介したいと思います。
そもそもでありますけれども、
日本の
貿易依存度、
輸出依存度は諸
外国の中でも取り立てて低く、典型的な
内需主導経済であります。これは後ほど
データ等お示ししますが、九割近くが
内需であります。しかも、とはいいながら、一割強の
輸出の
部分があるんですが、それが伸びることを通じて
経済が
成長することだって当然ながらあり得るんですが、それは二〇〇八年までの
リーマン・
ショックまでならばそれは容易であったかもしれませんけれども、現在、
リーマン・
ショックで、しかもヨーロッパもえらいことになっていますし、中国のバブルもいつ崩壊するか分からぬような
状況になっていますから、その我々の作ったものを買ってくれはる大金持ちが
外国にぎょうさんいるとは到底考えられないという
状況に二〇〇八年以降なっているということであります。しかも、しかも、しかも、しかも、今強烈な
円高でございますから、もうこの
状況で外に売って稼ぐということは、不可能とは言いませんけれども、極めて厳しいということは火を見るよりも明らかであります。
この一点目の
内需主導型の
経済という
部分でありますけれども、これも統計を見ますと、
内需と
外需の棒グラフを見ると一目瞭然でございます。もう七倍の開きがあります。逆に言いますと、
外需が不要とは言いませんけれども、仮に
外需がゼロになったとしても、
内需が一割
程度、一割強伸びればその
部分はもう補償できるわけであります。逆に言いますと、
外需が倍になったところで
GDP全体は一・数割ぐらいしか伸びない、一〇%とか一一%しか、二〇%も伸びないわけであります。ところが、
内需が二倍になったら
GDPはほとんど二倍になるということであって、効率的に
経済成長を果たすということを考えるならば、どう考えても、どう考えても
内需主導でやるということが効率的であるということを申し上
げたいと思います。
国際比較でありますけれども、これは
TPP関係十か国の
比較でありますけれども、
御覧のように
輸出依存度というのはもう
世界最低水準でありますから、このような
内需主導の国の
国家の
経済の
成長を考えるに当たって、
外需ばかりを言うというのは完全な
誤謬、誤りであるということをまず
皆様に御理解いただきたいというふうに思います。
三つ目、これもまたよく言われます、
日本政府の
破綻はそこまで来ていると。これ、
破綻することはないとは私は申し上げませんけれども、危ない、危ないと。それはもう外を歩いていたら、それは何か飛行機が降ってくるかもしれませんし、大きな隕石か何かで死ぬかもしれませんから安全なことなんかないので、何が起こるか分からないんですけれども、そこまで心配するものかどうかという点は冷静に考える必要があると。
残念ながらこれも誤った深刻な
誤謬であって、まず第一点でありますけれども、
日本国債は全て円建ててあるという点から考えますと、
ギリシャと全然違うわけです。
ギリシャと
日本とどう違うかというと、
ギリシャが借金してはるのはあれは
ユーロでありますから、
ギリシャ政府は残念ながら
ユーロを刷る権限を持たないんですが、
日本政府は、まあ
日本政府といいましょうか
日本国家はそれを持っているという点であります。その点において、
ギリシャと似ているのは実は
夕張なんですね。
夕張は
経済が
破綻するときに、
中央銀行を持たないので、それを耳をそろえて返すときに
金融政策を打つことができないのであります。ところが、
日本政府は
金融政策を打つことは不可能では絶対にないという点で全く
ギリシャと違うということを多くの
国民は看過、見過ごしております。
第二点目でありますけれども、よく言われるのが、この一点目のことを
御存じの方もよく言われるのが、投売りがあったとき
日本経済は大混乱に陥ると、こう言うわけでありますけれども、当然ながら、
東電があの事故があったときに株が投売りになってそれで暴落したということはあるんですけれども、
東電には残念ながらアコードをするような
中央銀行は付いていないんですが、
日本政府の場合は
中央銀行というものが存在しているという点が全然違います。したがって、
一つのオペレーションとして投売りがあったとしても、その投売りされたものを
日銀が買い支えるということは決して不可能ではありません。これをするかどうかは別でありますけれども、不可能ではないと。しかもそれは、するようにすることは、これはもう
国家として
常識であります。
FRBだってどこだってそれは当然ながらやるのであります。
しかも、そのときに、深刻な投売りでそれを
日銀が全部買ったらハイパー
インフレになるということをぎょうさん言わはるんですけれども、何言うてはるんやろと僕は思います。そもそも一千兆円しかないわけであります。一千兆円の全てが売りに出されるということはありません。私の友人といいますか、私の知り合いの
証券会社の方から実はアンケートを取って、最大何割投売りされると思いますかと聞いたときに、一人だけ一〇〇%という何かよう分からぬ人いましたけれども、九九%の方は二割か三割というのが関の山だとおっしゃっています。二割か三割ということは二百兆か三百兆であります。二百兆か三百兆の
金融緩和というのは、実は
FRBがやっている
金融緩和とほとんど一緒なんですね。あれは、
アメリカというのは意図的に
Xデーをもう呼び込んだようなものであって、実はそれであの
デフレ脱却の
一つの重要な契機になるということすら考えられるわけであります。
いずれにしても、今深刻な
デフレでありますから、仮に投売りがあってそれを
日銀が全て買い支えたとしても、深刻な
インフレになるとはどう考えても考えられないというのがこれ
市場の
判断であります。
しかも、九割以上が
日本国内の
投資家であって、しかもその九割以上の
投資家の中の半分、半分とまでは言いませんけれども、多くの
割合が
政府系金融機関でありますから、そもそもが投売りの
リスクはさして高くないわけであります。投売りの
リスクがゼロだと言っているわけではないですけれども、高くないということであります。だから、
市場の
判断は
国債の金利というものは非常に低い
水準をずっと漂っているということであります。したがって、
日本政府の
破綻がそこまで来ているというのは、全く
データを知らないか、
経済理論を知らないか、あるいは知っていて
うそをついているか、その
三つのうちのどれかであります。
さて、
四つ目の
誤認でありますけれども、
公共事業は無駄であって
景気対策としての
効果は薄いと。これもまた二十年ぐらいさんざん言われているんですが、めちゃめちゃこれも間違えています。
第一に、
皆さん冷静になって考えてください。
首都直下型地震が来るかもしれないと言われていて、しかも東海・
南海・
東南海地震が来るかもしれないと言われていて、しかもインフラの
老朽化が激しいと言われているとき、どう考えても、
首都の
防衛とか国土の
防衛のために、それは無駄な
公共事業がないとは僕は言いませんけれども、必要な
公共事業は山のようにあるわけであります。必要な
公共事業、無駄な
公共事業をやるんじゃなくて、必要な
公共事業を選んでやればいいというだけの話なんです。これが第一点。
第二点。
乗数効果は低い低いと言う人が多いんですけれども、
インフレのときは低くなる
可能性はあります。なぜならば、
政府がいろいろやるとそれで
民業圧迫というのが起こるというのがあって、これは
クラウディングアウトというんですけれども、それが起こって
公共事業の
経済刺激効果って低くなるかもしれないんですが、今
デフレーションなので、
クラウディングアウトすなわち
民業圧迫が起こらないので、
政府が
幾ら仕事をやってもそれで民間の
仕事が減るという
効果はほとんど、まあほとんどというか非常に低いわけであります。
クラウディングアウトというものに関しては、
経済理論、
経済学界の中でもよく
議論されるんですけれども、それは海外においてはないということがもうほぼ
定説になっております。
しかも、しかもですね、二〇〇八年を迎えた
アメリカの、
スティグリッツとか
クルーグマンとか
アメリカの
経済学者は、それまではマネタリストで、とにかく
金融緩和だけやったら
デフレ脱却できると言っていた人ですら、二〇〇八年以後は、いや、済んまへん、間違えてましたと、やっぱりがんがん
公共投資、
財出をやらへんかったら
デフレ脱却できまへんねんということを、まあ関西弁ちゃうと思いますけれども、
スティグリッツですが、
スティグリッツとか
クルーグマンとか言うておるわけであります。その助言に従って
アメリカは何と、まあまあ
為替レートの変換の仕方にもよりますけど、四百兆の
政府の支出の
拡大を行っているのであります。それがあってようやく今の
アメリカの
景気の
底支えがなっている一方で、
日本はそれをやらないといけないところでコンクリートから人へで削っているんですから、そんなもの
景気が良うなるはずないのになと
学者として思います。
三番目でありますが、
デフレの今、
公共投資は
デフレ脱却の切り札であるということは後でまた御紹介したいと思います。
この
五つ目。これも是非、
国会の
先生方、
日本国民の
皆さん含めて、是非この
五つ目の
誤認も解いてください、今日から。この瞬間から、
皆さんこの勘違いをやめてください。
規制緩和で
経済成長、
規制緩和で
経済成長することはありますけれども、しないこともある、あるいは
経済が停滞するということもあるということを
お話をしたいと思います。
最も深刻な誤った
誤認であって、今は
デフレであります。
デフレとは何かというと、
供給過剰であります。
需要と
供給があって、
供給が多いから
デフレになっていると、これはもう
常識であります。
規制緩和というのは、
供給を増やすことです。一番典型なのは
タクシーです。
タクシーの業界というのは、
需給バランスをちゃんと保つために
規制を緩和していなくて
規制があったんですけれども、
規制がなくなってしまって
タクシーの台数がごっつう増えてしまって、今もう
ドライバーさん一人
当たりの
給料、物すごい減っているんです。もう
デフレが一番激しい沖縄なんというのは、
ドライバーさん一人
当たりの
給料、これはほんまですよ、九十万円を切っているんです、
年間所得が。それぐらいまでに、それぐらいまでに
デフレーションが
深刻化になって、しかも
給料が、
国民所得が下がっているのは、
規制緩和をやったからなんです、この
デフレの
状況下で。
インフレのときには、
規制緩和ということをやって
インフレ不況を抑えるということは必要なんですが、その真逆の
デフレの
状況においては、
規制緩和は絶対やってはいけなかった。にもかかわらず、過去十五年間やり倒したわけであります。それが
日本の
デフレーションの重要な
原因であるということを全員の
国会議員の
皆様方に是非理解していただきたいと思います。
もう少し
デフレについて御紹介したいと思います。
デフレというのは、今御紹介しましたように
需要と
供給の
インバランスであって、
御覧のように
供給の方が多いと。
供給の方が多いということは、要するに
牛丼屋さんで、昔は吉野家しかなかったところ、松屋とかなんとかが増えてきて、ぎょうさんお店が増えたら
値段が下がりまんねんという話であります。そうなると、
値段が下がると各
企業の
収益が下がります。各
企業の
収益が下がると、各
企業が
投資しようという意欲も下がりますし、更に
所得も減るわけであります。したがって、
お金がなくなっていくので、みんな
お金使わなくなります。みんな
お金使わなくなるので、結局
需要が更に減ります。そして
需要が更に減って、それを通じて
デフレギャップが更に広がります。ここまで来ると、いや、もうこんなん商売やっていても、何かもう先行き不安やからえらいこっちゃわということをみんな思います。そうなると、どんどんどんどん
投資をしなくなります。先行き不安でどんどんどんどん
投資をしなくなる。そのうち何が起こるかというと、これだけ
デフレギャップがあると、もう余っている店がいっぱいあるということですから、店が潰れていくんです。
企業が潰れていくんです。
企業がこうやって潰れていくと、要するに
供給量が減っていきます。
企業が潰れると
失業者が出ます。
失業者が出ますと、彼らは余り
お金を使うことができません。
投資もできません。したがって、更に
需要が減ります。こうやって物すごいえげつないスパイラルがどんどんどんどん回って、
日本の
GDPがどんどん下がっていくわけであります。
頑張って今からまた話しますけれども。
この
デフレギャップを、要するに
デフレギャップが存在しているがゆえに
デフレになっているということは、これはもう
教科書どおりの
お話であります。これを防ぐにはもう
一つしか
方法がありません。これ以外何の
方法もありません。
デフレギャップを埋めるんです。
需要と
供給の
バランスを保つんです。これをすると、
皆さんの、
国民の
所得が守られ、各
企業の
収益が守られるんです。
給料も下がらへんし、ちゃんと
収益もちゃんとあったら、
経済というのは
成長していくんです。したがって、次の年に履かさないといけない
げたの高さは低くなります。これをちゃんと
げたを履かせて
所得を守っておくと、どんどんどんどん
経済が、三年ないしは五年ぐらいでちゃんと回復すると。これが
デフレ脱却の唯一の
方法であります。
ということで、逆に言うと、そうやると
デフレから脱却できるんですが、とある
三つのことをやると
デフレが悪化するということが
理論的に演繹されます。
一つ目、
規制緩和。これ、先ほど申し上
げたとおり、
需要と
供給で
デフレギャップを埋めなあかんのに
供給が増えて、更に
デフレギャップが広がるわけです。
二つ目、せっかく
げたを履かすために
公共投資やっているのが、これが
公共投資を削減したら
げたがなくなって
デフレギャップが広がるんです。これが
二つ目。
三つ目、そもそもの
需要というものがあるんですが、消費税掛けると、これ更に縮むんです。
したがって、この
三つを同時にやれば
デフレギャップは更に広まって、どんな立派な
国民経済、どんな立派な
国民がいたとしても、その国は完全な
デフレに陥ります。これら全てを九〇年代後半からこの国はやり倒しよったわけであります。やり倒したのでもう
デフレが悪化しないわけがないのであって、しかも現政権下においてもこれを更に更に続けようとしているわけであって、もうこれ、殺す気かという話であります。何してくれてんねんというのが私の主張でございます。
これ、一点だけでございますけれども、例えばもう
御覧のように全ての国がもうみんな
インフレで、普通の国が
公共投資を二倍とか三倍に膨らませている中で、
日本だけは半分にしているのであります。
デフレの国でこれだけ減らして、それは
デフレになるわさという話でございます。
この大間抜けな
経済政策の三連チャンが何をこの我が国にもたらしたかというと、二千兆円から四千兆円
規模の大大大損害であります。どういうことか。これが名目
GDPの推移なんですけれども、
御覧のように
日本以外は全部
経済成長しています。中国だけでなくヨーロッパまでも全部
経済成長しているんですが、九七年の
構造改革、いろんな
規制改革等々をやったときから
日本は増税等々しても
デフレになりました。
御覧のように、
日本だけ
経済成長できなくなって、この間はもう
公共事業は削るわ
構造改革はやるわコンクリから人へは言うわ、もうめちゃめちゃやっているわけであります。こんなめちゃめちゃなことをやったら、そんなのもう
経済成長するはずあるかいなという話であります。そんなあほなことせんと、ちゃんと普通の大人の
国家としての
経済政策を行っていたら、これぐらい行っていたはずなんです。
これ、どういうことかというと、
経済成長の世界平均、
日本を除く世界平均で推移したら、何と
日本は一千二百兆円ぐらいの
GDPになっているんです。当然ながら、多くの論者は、いやいや、
日本は成熟社会だからそこまで行かないよという人もいるでしょうから、まあまあ渋々三分の一しか
成長率がなかった場合というのも計算しましたけれども、七百兆か八百兆ぐらいの
GDPにもなるんですよ。とすると、普通にやっておけばもう四百何十兆という話じゃなくて、もう普通で、どんだけぼちぼちやっていても七百兆か八百兆ぐらいの
GDPがあったはずなんです。
問題は、この斜線
部分であります。この斜線
部分は一体何かというと、へんてこりんな
経済政策やってしもうたことによって我が
日本国民がどんだけ損したかという話であります。これ、全部計算すると、二〇〇八年だけで二千兆円損していると。これ、もう平均シナリオの場合は四千兆円損していると。これ、二〇一一年ですから、これもう五千兆円行っているぐらいの話であります。こんなことをやっていると、五千兆円あれば借金は返すことができるわ、リニアなんて二、三本造ることができるかもしれませんし、場合によっては
社会保障だって物すごいいい病院とか造ることができるかもしれませんし、しかも、その一千二百兆円の国やったら、そんなのアジアとか
アメリカとかソ連とかに、いや、あの国ちょっとやばいなと思われるでしょう。四百七十五兆なら、ちょっとしょぼなりよったなと思われることがあって、要するに国際的な地位が凋落しているわけであります。
それを一言で言いますと、つまり、
デフレは
日本経済力の凋落とか失業、
国民所得の減少の直接的
原因であるのみならず、財政悪化と、これまた後ほど申し上げます
円高の
原因にもなっておるし、外交力の低下にもなっているし、必要な公共政策の未実施、防災、国防、教育、
社会保障等々の必要な公共政策の未実施につながっているわけであります。しかも、こんだけ
デフレやったら子供つくらなくなります、
国民は。人口減少、元々人口減少傾向があったのが更にドライブさせられてあって、しかも
社会保障費も増加しているわけであります、
失業者が増えておりますから。
ということで、今、
国会の
先生方がいろいろと御
議論されている全てと言ってもいいぐらいのほとんどの問題の背後に
デフレというものがあるんです。だから、
デフレの脱却こそが
日本を救うための最大の政治課題であるということを
先生方に御理解いただきたいと思います。
今までの
お話をちょっとまとめますと、
公共事業無駄やとか、
規制緩和で
経済成長せえとか、そんなことばっかり言うとるわけで、しかも、それは大手
新聞社の八八%が毎日毎日それを言っているわけであります。そうしたら、
国民が、ああ、そうなんかなと思うようになるわけであります。したがって、今の
日本の
デフレというものは、
国民総勘違い
デフレ不況なんですね。全員が
国民が勘違いして、何かもうやったらあかんことを、火事にもう油はまくわ、もう傷に塩塗るわ、そんなことをやって、もう勘違いして、それがあったらええとか思ってこんなことになってしもうとるわけです。もう是非この勘違いを是正いただきたいというのが、私の強い願いでございます。
ただし、最後の前のスライドでございますが、私が今申し上
げたように、
構造改革が駄目だとか
公共事業が必要だと言っていますけれども、私が申し上げているのは、
構造改革が常にバツで
公共事業が常にマルだということではありません。絶対そういうことはありません。それは、
構造改革が常にマルやとか
公共事業が常にバツやとか、今の
日本がやっていることとほとんどというか全く同じほどに愚かしいことであります。重要なのは、どのタイミングで何をやるかということであります。
重要なポイントは、
インフレ期と
デフレ期でやるべき対策というものを分けるべきだということです。
インフレというのは、そもそも
需要が多くて
経済があっちい、あっちい、あっつうみたいな感じになっておるときでありますので、そういうときはあっつうとなっているので冷ましたらいいんです。逆に、
デフレのときというのは
需要が少なくて何かもう冷たくなっているので、温めるような、
経済を温める対策が必要なんです。だから、
インフレのときには冷ます必要ですから緊縮財政が必要なんです。一方で、
デフレのときには積極財政が必要なんです。
もうちょっと細かく言うと、
インフレのときは
政府支出を削ったり公務員を削ったりするのがいいんですけれども、
デフレのときには
政府支出を
拡大したり公共の公的な雇用を
拡大する必要があります。さらに、
インフレのときには増税が必要ですけれども、
デフレのときにはもう
投資減税なんかが必要になるんです。さらに、
インフレのときには
規制緩和というものが必要になりますけれども、
デフレのときにはそれは絶対やっちゃ駄目で、実は逆に雇用の保護なんかが必要なんです。さらに、貿易でいうと、
インフレのときには
自由貿易を更に推進して、それで舶来物とかいっぱい輸入することが必要になってくるんですけれども、
デフレのときにそれをやってしまったら
デフレが更に悪化してしまうので、保護貿易こそが求められているんです。
したがって、
インフレのときに必要なことと
デフレのときに必要なことときれいに分けていただきたいと、これはもう
日本中の全員の
経済学者に私は理解いただきたいと思います。
これ、
一つの例でありますけれども、私がいつも敬愛しているところの宍戸駿太郎
先生という元
経済企画庁の
先生が、元
経済企画庁にあったちゃんとしたモデルを使って計算したところ、私が申し上げているようなことを二百五十兆円
規模でやると、十年後に八百七十四兆円
程度の
GDPになるんじゃないかということも計算されています。その辺りのことは、昨日発売になりました「救国のレジリエンス」という本の中で紹介してございますので、またそれを
御覧いただければと思いますけれども、詳しくは。いずれにしても、きちんとした
経済対策を打てば我が国は幾らでも
経済成長できるということを御理解いただきたいと思います。
最後に、
外需の獲得でありますけれども、要するに
内需を
拡大すると、ぎょうさん僕らは物を買うようになります。ぎょうさん物を買う。物を買うということは、円を売ってドルを買うようになります。円売りドル買いがぎょうさん進むので円安になります。円安になると、何と
内需を
拡大すると
輸出産業も
拡大することになるんです。ええことばかりということであります。ですから、
内需を
拡大することこそが
輸出産業のためにも必要だということも、おまけで
一つ申し上げておきたいと思います。
最後でございます。
学界、マスコミ、
世論の全てを巻き込んだ
日本全体の思い違いによって
デフレ不況になっている
状況から抜け出すためには、レジームの大きなチェンジ、レジームチェンジ、大きな大転換が必要であると。AからBへの転換、貿易とか
改革成長論とかから
財出とか
金融緩和成長論に対しての大きな、それに向けての大きな大転換が必要であるということを申し上
げたいと思います。
デフレ脱却、本格的な国土強靱化、世界恐慌対策、それらが全て求められているこの二〇一二年に、是非ともこの大きなレジームチェンジを
先生方のお力で何とかしていただいて、
日本国民を救っていただきたいと思います。
以上でございます。