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参考人(森一君) 初めまして、森です。唯一の民間人じゃないかなと思いまして緊張していますけれども、かつ
JICAの皆さんから囲まれると、我々民間人は非常にお世話になっているものですから緊張します。
実は、今日何で私が呼ばれたんだろうとずっと思っているんですけれども、多分今お二人が話されたようなことを形にしていく。
竹谷さんがおっしゃっていましたけれども、我々は本当に現場をはいつくばって、現場で本当に何が起こっていて何が必要としているんだというところで
ビジネスをつくっていっている人間です。なので、今この間にも一円でも多く稼ごうと努力して頑張ってくれている部下にまず感謝して、その時間を私、そのためにもこのプレゼンでいいプレゼンをさせていただいて皆さんの少しでも役に立って、この
調査会が終わった後
一つでも何かアクションが取れればいいなと思いますので、そのようなプレゼンにさせてもらいます。(
資料映写)
すごく大きな表題にさせていただきました。
アジアを
一つに、そんなばかなと思われると思うんですが、本気です、本気でやろうと思っています。その話を今から、お二人のお時間から押されてきていますので、私十五分ぐらいしかないと思うんですが、なるべくキャッチアップします。
ほとんど言いたいことは二ページと三ページに書いている部分です。私は元々外資で
水ビジネスを学びまして、さっきおっしゃいました
山田先生のいろいろ理念、六分までオーケーですか、ありがとうございます、
山田先生の理念等々を少しでも形にしていきたいなと思った人間ですので、ここで、隣で話をさせていただけるのは光栄でございます。なので、私は
自分がやりたいというか
日本人に合った
水ビジネス、特に
日本でなきゃできないと今思っています。
日本での今の強みって何だというと絶対水です。これほど水がきれいな国ってないです。それはありますよ、少しずつは。だけど、これだけ九七%ですか、上水は。下水でも七〇%以上、これはもう皆さんの努力なんですけれども、ここまで
水道事業が整っていて、どこ行ったって水に困らない、こんな国はありませんし。
ただ、この
日本の中で
水ビジネスを語っていても無理なんですよね。これほどぜいたくな、水に関して、国ないですから、それで
アジアに出ていこうなんてどだい無理なんですよ。というのは、
アジアはもっと困っているわけですから、
アジアで一体どういうことが起こっていて何に困ってどうなっているのか。だから、今お二人がおっしゃったいろんなことが起こっているわけですね。そのときに、まさか
タイ人になれとは言いませんけれども、
タイの人
たちの思いを共有しないと
ビジネスになりません。
なので、ここで私いろいろ考えて、実際本当に
日本人ならではの
ビジネス、水、特に水の強みということを生かして
ビジネスとして立ち上げたいなと。で、
日本人の強み、特に皆さんに貢献するとか感謝されるとすこぶる燃えるとか、そういうようなマインドがすごくあるので、いろんな
アジア人の人
たちから見ると、やはりボランティア精神ってすごくあるんですよね。だから、すごく今僕は勇気を持っています。
ビジネスの原点はやっぱりボランティアだと思うんですよ。一企業の社長が言うのもなんなんですけれども。利益は追求していますけれども、やっぱり社会貢献ありきで、それが目的であって初めて後で利益が付いてくる。だから、利益が目的ではなくて、まあこれはドラッカーも言っていますけれども、やはり
事業を継続させるための手段だというところの原点に返れる
ビジネスということで水というのはすごく
日本人にマッチするなということで、今日お伝えしたいキーワードがBOP
ビジネスということとリバース・イノベーションの二つだったんですが、それに、三・一一というのが起こりましたので、
水ビジネスというのがいかに電力を使うかということだけちょっと皆さんにお伝えしたいなと思っております。
もう僕のビジョンはここに書いてあるとおりで、ただ、
最後の積極的な中小企業の連携について、中小企業が持っている
技術こそ今
世界に必要とされているということを後で。
アジアの皆さんの視点に立ったと。だから、こちらが何ができるかということの前に、現場が何を求めているか、彼らが何を必要としているか、何をしてほしいのかという視点にもう一度立ち返った方がいい。どうも今までの我々
日本の
ビジネスは、高度成長を経て、どうしても押し付けになっているので、さっき
山田先生がおっしゃいましたけれども、
水ビジネスを一番知らないのは
ビジネス界じゃないかなと思います。水のことは知っているんですよ。
ビジネスを知っているのか、
事業として。なのでそれを実践したいと思います。
その中で、ちょうどこれ
タイミングが良かったんですが、一月末に
JICA様の御
協力を得まして、BOP
ビジネスを推進されている、その中で、官民連携ということで研究
調査費を出すよと、BOP
ビジネスを推進するということで。そういう我々プロポーザルをちょうどまとめたところだったので、三ページ目ですね、私のビジョンを形にしたのはこれ、こういうチームです。命の水プロジェクトチーム
アジアなんて書きましたけれども、別に
名前はどうでもいいです。こういうような形で、その現場に合った
水道というか給水システムを立ち上げたいなと。今ターゲットは、ここには書いていませんが、カンボジアです。やはり、まずは
メコン川流域から。その中でもカンボジアから。なぜかというのは後で。
やはり、別にうちの
会社が、一応書いていますけれども、それはどうでもいいんです。私は、今日は輝水工業の代表としてというより、
水ビジネス業界の、産業人の代表として来ているつもりなので。このような形で、やはり現地の人
たちを巻き込んだチームをつくらなかったら、
日本人ばっかり集まっても、やはりその現場のことは分かりません。なので、例えば、これからやるカンボジアの給水プロジェクト、これは大規模集中型の
水道を造るわけでもないです、私は。農村部に、本当に水を必要としている方
たちに小規模分散ですね、当然そんなに大きな大都市があるわけじゃないので、そういうようなところに、その人
たちが必要としている給水システムを農村部でつくっていきたい。それで、唯一カンボジアの今産業というと農作物なので、それにも寄与したいなと、それは思っています。なので、農村をひとつ活性化していくためにこの
水ビジネスというのを私はつくっていきたい。
なので、なぜかというと、今、
世界で見ると、一番欲している水というのは、安心、安全で飲めればいいんです、極端なことを言いますけれども。当然、WHOのあれに見合った形での水質というのはありますけれども、とにかくカンボジアにしても、ここは
メコン川が一応水源になっているんですけれども、飲めないのに飲んで死んでいる人
たちもいます。飲まざるを得ないんですね。飲んで、やはり砒素や何やかんやが多いですから、飲んでも死ぬ、飲まなくても死ぬ。それなら何とかしたいなという思いが一番のここに載せたあれです。
安全な水にアクセスできない地球上の人々が十一億人いると今言われています。五歳までしか生きられない人が五億人もいると。
日本って一億二、三千万ですよね。それ以上の方々が本当にもう何分刻みで亡くなっているということを考えますと、私、
水ビジネスにかかわる人間としてもう急ぎます。
なので、このような形で、もう
一つ、左のところに米NGOの運営マニュアルをアレンジと書きましたけれども、
一つすごいことをやっているNGOがありまして、マニラの方で今言ったような本当に簡単な簡易
水道、給水システムをつくっている。これ現地で立ち上げているんですね、現地の方
たちが。それをバックアップした人もいるんですが、あとは維持も
管理も全て現地の人
たちがやる方向で、物すごいマニュアルを作ってメンテナンスの教育をするんです。これは
一つの形だなと。これがないと根付かないんですよ。
だから、我々がこんな
技術があるよといって渡したってそれで終わりなわけで、その後、持続可能的にそれを使っていただいて彼らがエンジョイできるような給水システムにするには、彼らが自発的な思いでそれを維持していこうというようなところまでやっていかないとこのような
ビジネスというのは成功しないんだろうなと思って、今ちょうどスタートラインに着いています。
今日、別に
技術のことは言いません。二つ、凝集沈殿ろ過装置、これ非常にコンパクトで、これが
日本で造ると、一般的にやると五百万円ぐらいするんですが、その流量にもよりますけど。これをやはり五十万円ぐらいで仕上げないと現地ではなかなか使えないだろうなと、もう非常に大ざっぱに言いますと。でも、そのようなことを
日本で考えていても無理なので、値下げ競争ではないんで、現地の人
たちと一緒に考えていくというような今仕組みをつくっています。
横に書いた水神というのは、これは電力を使わなくて手押しで緊急用で水をつくれると。なので、そういうようなものがないと、どんなシステムだって電気がやっぱり必要なので、給水システムをつくるには。なので、やっぱり水とエネルギーと食料というのはこれはもう切っても切り離せない三つの要素だと思います。なので、この水神というのも使いながら、この凝集、これがいいのか分かりません、少なくとも大規模集中の大きなインフラの
水道というのは、まずは先ではないなと、ファーストじゃないなとは思います。なので、そのような形で今立ち上げていると。
なので、
アジアの人
たちと競争をするんではなくて、本当の共創をしようと、コ・クリエーション。彼らがどのように考え、どのようなことを思っているのかということを、水ということで集まって、いろんな問題出し合って、こういうことがあればいい、こういうサポートが
日本に欲しいというような会議ができたらいいなと、目的さえ明確になればチームには僕はなれると思います。
組織は、目的がまず明確かどうかと、あとはリーダーです。なので、先ほど、ちょうど私も緊張の面持ちでこの控室に入ったんですけど、この
調査会の
会長である
藤原会長がいらっしゃって非常に気をほぐしていただきましたので、やはりリーダーたる者ああならなきゃいけないんだと。なので、組織としてリーダーがまず大事、かつ目的が皆さんで共有されていれば、どんな
言葉をしゃべろうが、どんな顔色になっていようが、
一つの飲める水をみんなでつくるんだという思いの下に
ビジネスはできると思います。だから、なので、今まで五十年以上のこの
日本がやってきた
ODA、もうすばらしいことだと思います。これを更に生かせるような、ベストプラクティスを更にベストプラクティスにするような取組をしたいというのが私の思っていることです。
なので、それがやはり経済援助・支援という
言葉から経済自立の促進という
言葉に変わってきていると僕は思います。それがBOP
ビジネスという
一つの根幹を成しているんですが。だから、
世界の貧困をなくそうと、彼らもそれで
ビジネスができるようになればいい。だから、ボランティアではなく、やはり
ビジネスとしてやれることで次のことができるということなので、必要なキーワードは、私
たちが何ができるかよりも相手が何を必要としているかです。ということを改めてここで声を大にして言わせていただきたいんです。これを、済みませんが、
ビジネス界、水だけではなくかなり忘れております。なので、私もこの辺を気を引き締めて今立ち上げているところです。
キーワードは省電力、リバース・イノベーション、BOP
ビジネスと、このような形で、次のこの、
世界最大のインフラ投資は水ということでこのように書いていますが、やはり東南
アジアというのはかなり大きい市場ではあるのは確かです。なんですけど、じゃいきなり本当にインフラがどんと要るのかといったときに、そこはやっぱり現場の声次第だろうなと思いますので、その辺のところを改めて皆さんの
資料として、これは。
次の、本当はこういうようなことをもっと細かく
調査しなきゃいけないと思います。だから、改めてマーケティングをしないと、しっかりマーケティングということをしないと、さっき本当におっしゃいました、お二人がおっしゃいました、同じ東南
アジアでも全然違うんですよね。
メコン川流域でも違います、本当に。
タイ、カンボジア、
ベトナム、よく言われますけど、これ全然違います。
確かに、飲める水が要る、排水処理、
ビジネスとしてはそのどちらか。水源が海なのか川なのか、あとは地下水なのか、雨水、雨水ですね、の利用と、この四つなんですけれども、その組合せでいろいろあるんですけど。だから、それぞれの国のマーケティングというのをもっと我々
水ビジネスをやる人間はしっかりしなきゃいけないんだと。
なので、そのときに本当に今
世界が必要としているのは、まず、いい悪いではなくて、私のやろうとしていることなので、安心、安全な飲める水。これはロングタームで考えないといけない。やっぱりそのときにハイテクじゃないんですね。ローテクでやはり安心、安価でないといけませんし、ローリターンなんですよ。だからこれに耐え得るような仕組みをつくっていかなきゃいけない。
だから、そのために重要なのがメンテナンス・サービス業務をきめ細かく。これ、
日本人の強みです。電化製品買われて、その後のアフターケアなかったら皆さんは怒りませんか。そういうのと一緒なんですね。でも、東南
アジアに行って、そういう文化、カルチャーがないです。だから、そこはちゃんと、汚い水飲んじゃいけないよみたいな、本当に衛生教育から、そんなこと知らないのと思われると思うんですけど、そんなもんなんですね。だから、そのようなところから教えていかなきゃいけない。教えるというより一緒にやっていくという目線なんです。
人材育成と書いていますが、やはりここには僕はやっぱり今すごく
JICAには
人材の宝庫だと思っていますので、青年
海外協力隊など。クメール語がしゃべれるなんてもう僕はすばらしいなと思うんですね。そういう人
たちを更に活用させていただいて、今そういう仕組みでカンボジアに行こうと思っています。私が今からクメール語を勉強しても知れていますから。
現地での
ビジネス窓口というのは、こういうものがあれば助かるんだというようなニーズを言うところがないという声を現場で聞いています。なので、やはり
JICAさんやジェトロさんに集まりますけど、じゃ今度これを
日本でどこに投げていいか分からない。なので、そういうような窓口も必要だろうと。
一番大事なのは、やっぱりお金になってくると思います。なので、そのような形で我々が必要なネットワーク力とファイナンス力を国が応援したくなる仕組みを提案して、こちらが出してくださいじゃなくて出したくなるような、皆さんが、行動をして、
国会に上げていただいて、是非これを応援したいんだというような仕組みを今精査してやっておりますので、是非その際サポートをいただきたいと思って、鋭意今プレゼンしています。
さっき言いました三つのうちの
一つ、省電力。今の、いい悪いではありません、三・一一で分かったことが、大規模集中で図ってきて、今すばらしいんですよ、
日本の
水道事業というのは本当に。これ、別に批判ではなくて。ただ、残念ながらすごい電力を使っている。上
水道でここに年間七十九億キロワット時、下
水道で七十一億キロワット、ということはトータルで百五十億キロワットですよね。これ、原子力の二・五基分です。なので、それぐらいの電力が、今
水道を蛇口をひねると電気が要るんです。なので、今、地方自治体の四割を支出で圧迫しているのは
水道事業です。なので、そのことも含め、今ある物を壊す必要はないんですけど、新たに造るのであればやはり小規模分散の
水道・給水システムを考えていいんじゃないかなと。
今回、
震災直後で石巻へ行ったときにこの緩速ろ過という一番プリミティブな、もう砂ろ過みたいなですね、砂だけ通すような、元々東北は水源がきれいなんですけれども、その浄水場は潰れず役目を果たしたというようなこともあり、やはり小型というのも見直すべきじゃないかなと、こういうときに。ということで、そのようなことで本当に電力を使うんだぞということで、電気のことを考えなしに
水道のことを考えられないよということだけをお伝えしたかった。
で、リバース・イノベーションというのは、昔なら
先進国で造ったものを途上国で使っていた。今は逆で、途上国でむしろ使われるものが安全で安価なんで、それが
アメリカなり
日本なり
先進国で使われる。逆ですよね。だから、ここに書いた
中国農村部の超音波診断計なんというのは一万五千ドル、これ
先進国用でやると一千万円以上掛かるらしいんですけど、
中国で造ると百三十万円と、こんなものなんですね、これ現地で造りますから。それが今やむしろ
世界で使われているということなので、リバース・イノベーションというような形をもっと
日本人は取り入れて
ビジネスのマインドに組み込んでいかなきゃいけないということです。
最後に、これはもう以前も
JICAの方が話されたと聞いていますので、さらりと。
さっき言いましたBOP
ビジネスというのはベース・オブ・ピラミッドということで、
世界今七十億人ですね、そのうちの四十億人というのが貧困層だと言われている。その人
たちを巻き込んで
ビジネスをつくっていこう。お金持っていないのにどうするんだというのはあるんですが、
知恵絞れということなんですよ。だから、今までもっと考えてない、
技術をつくれば売れた
時代は終わりましたんで、全員で
知恵を絞って売っていかなきゃいけない
時代なんで、そのためには何が必要かという視点で必要なものさえ作ればいいと思っています。
で、そのBOP
ビジネスという中に、やはり僕が一番勇気を得るのは、下のBOP
ビジネスの特徴と書きましたけど、この中小企業の強みもそうなんですけど、
日本人の皆さんが
自分のことを発揮しやすい場があるんですね。特に、ウオームハートと書きましたけど、
日本人のDNAに組み込まれている思いやりの心だとか人に貢献したいという、これや慈悲の心ですね。これをこのBOP
ビジネスという観点を使っていくとそういうDNAも呼び覚ませるんで、何か大事なものをどこかに置き忘れてきているような気がするんです、今の
日本人は。なので、私も含めてですよ、それを取り戻すためにも、このような
ビジネスで、その代わりすごい
知恵を絞らないと、利益ありきではできないんです、これは。なので、むしろ必要な
技術を持っている、
技術を生かせる中小企業って九割以上あるわけですから、それを連携してやっていこうというのが僕のこのBOP
ビジネスの、ちょうど一月末に
JICAさんに提出したんですけれども、そのようなものが
一つ応援したくなる仕組みなのかどうなのか。でも、そこで、そうじゃなくてもこれはキックオフしましたので続けていきますが。
このような形で私の
水ビジネスやり遂げますので、是非御
協力ください。リーダーシップは違いをつくり続けることです。よろしくお願いします。
ありがとうございました。