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2012-02-15 第180回国会 参議院 国際・地球環境・食糧問題に関する調査会 第1号 公式Web版

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  1. 理事補欠選任の件 ○参考人の出席要求に関する件 ○国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する (会議録情報)

    平成二十四年二月十五日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     会 長         藤原 正司君     理 事         大島九州男君     理 事         平山  誠君     理 事         島尻安伊子君     理 事         山田 俊男君     理 事         加藤 修一君     理 事         松田 公太君             ツルネン マルテイ君                 外山  斎君                 友近 聡朗君                 白  眞勲君                 福山 哲郎君                 藤末 健三君                 舟山 康江君                 有村 治子君                 熊谷  大君                 佐藤 正久君                 中山 恭子君                 野村 哲郎君                 橋本 聖子君                 水落 敏栄君                 若林 健太君                 石川 博崇君                 紙  智子君     ─────────────    委員異動  一月二十四日     辞任         補欠選任      平山  誠君     江田 五月君  同日     補欠選任        玉置 一弥君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         藤原 正司君     理 事                 大島九州男君                 外山  斎君                 島尻安伊子君                 山田 俊男君                 加藤 修一君                 松田 公太君     委 員                 江田 五月君             ツルネン マルテイ君                 友近 聡朗君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 舟山 康江君                 熊谷  大君                 中山 恭子君                 野村 哲郎君                 橋本 聖子君                 水落 敏栄君                 若林 健太君                 石川 博崇君                 紙  智子君    事務局側        第一特別調査室        長        宇佐美正行君    参考人        中央大学理工学        部教授      山田  正君        独立行政法人国        際協力機構客員        専門員      竹谷 公男君        輝水工業株式会        社代表取締役社        長兼CEO    森   一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する  調査  (「世界の水問題と日本対外戦略」のうち、  アジアの水問題(インドシナ半島等東南アジア  の水問題の現状課題)について)     ─────────────
  2. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ただいまから国際地球環境・食糧問題に関する調査会を開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  本調査会委員大石尚子君は、去る一月四日、逝去されました。誠に哀悼痛惜に堪えません。  ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして、御冥福をお祈りしたいと存じます。  どうぞ御起立をお願いします。黙祷を願います。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ─────────────
  4. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 委員異動について御報告いたします。  去る十二月十二日、松野信夫君が委員を辞任され、その補欠として大石尚子君が選任されました。  その後、本調査会は、大石尚子君の逝去に伴い一名の欠員となっておりましたが、去る一月二十四日、玉置一弥君が選任されました。  また、同日、平山誠君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君が選任されました。     ─────────────
  5. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事外山斎君を指名いたします。     ─────────────
  7. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  10. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する調査を議題といたします。  本日は、「世界の水問題と日本対外戦略」のうち、アジアの水問題に関し、インドシナ半島等東南アジアの水問題の現状課題について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、中央大学理工学部教授山田正参考人独立行政法人国際協力機構客員専門員竹谷公男参考人及び輝水工業株式会社代表取締役社長CEO森参考人出席いただいております。  この際、御一言御挨拶を申し上げます。  各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず山田参考人竹谷参考人森参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、山田参考人から御意見をお述べいただきます。山田参考人
  11. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) よろしくお願いします。  では、座って説明させていただきます。  こういう公的な場できちっと説明しようとすると、どうしてもきれいな言葉を使わざるを得ないんですけど、それだと一体何を私が言いたいかほとんど通じなくなると思いましたので、もうずばっと書くような書き方で五枚ぐらいまとめておきました。細かい資料は、実は数百枚から千枚ぐらいをこちらに、事務局に送っておりますので、もし必要なら全部コピーしていただければ、残しておきたいと思います。  それで、アジアの問題を議論するときに、まず日本の水問題をきちっと理解すると、大体そのままその延長線上で考えられることも多いものですから、日本の水問題のようなことも絡めて説明したいと思っております。(資料映写)  まず、世界で文豪だったゲーテがいますけれども、ゲーテの「ファウスト」という、シェークスピア「ハムレット」とかそれに並ぶ古典中の古典である「ファウスト」の中のファウスト博士は、いろいろ人生に悩んだ挙げ句、最後最後オランダ治水事業をやることを見付けました。そこで初めて自分が世のため人のために役に立つものを見付けたということで、人生の至福を感じるわけです。ただ、そういうことを感じた途端に悪魔に命をもらうよということで、ファウスト博士は亡くなってしまうんですけれども、治水事業よりは干拓事業をやることで自分人生充実感を感じたわけです。以後、オランダは四百年掛けて今日の国土をつくっております。  日本治水事業をやると、私もそういう研究やっていますし、そういうことにかかわってずっとやってきて、今六十一歳になっておりますけれども、もうすぐ日本で言われるのは、ああ山田さん、公共事業やりたいの、それのために言っているんだねと、まずこういう反応が返ってきます。オランダを見ておいてください。四百年掛けて今日の国土をつくったという。つまり、治水事業なんて、ある事業をやったら終わりというわけではないということを深く理解してほしいと思います。特に、日本のように山は急峻、雨はもう先進国の中では最高に降る。地震が起き、津波が来、低平地を持っている。  もうこの低平地の問題を語るだけでも、例えば東京江戸川区は、もし直下型地震が来たときに堤防が壊れた場合には水深約五メーターの、水没してしまいます。江戸川区は六十七万人の人口を持っていますけれども、高さ三メートル以上のビルに逃げ込める人が十二、三万人で、約五十万人分はもうどこにも逃げ場がないという低平地だということ。これをどうするんだと。ほっとくと大抵、低平地というのは、何というか、日本人というのは余り目が行きたがらない。ところが、東京でいえば江戸川区、葛飾区、足立区というようなところのゼロメートル地帯、江東区を含めて、これをどうするかと。  これを考えることは、実は、すぐ次に多分JICA竹谷さんからタイバンコクの話をしてもらうと思いますけれども、タイバンコクは何を悩んでいるかといったら、低平地の問題で悩んでいるわけです。これは日本でいうと、さっき言いました江戸川区とか江東区とか葛飾区、足立区、それから名古屋のある一部、大阪の一部、全部低平地なわけです。ここの解決をいいかげんにしておいて、タイバンコクをどうする、タイをどうするというのは、同時にやらなきゃいかぬのですけれども、日本のことを深く勉強すれば、それはすぐまた外国に使えることになるという一つのいい事例かと思っています。  取りあえず荒川とか江戸川のしゅんせつする土砂、ほっとけばこれ太平洋に持っていって捨てるしかないんですけれども、そんなもったいないことをするよりは堤防の横に造ってまず避難場所を造ってあげると。川というのは五十年に一回ぐらいしゅんせつしないとだんだん浅くなっちゃうんですけれども、日本みたいな天井川になる傾向の川は。しゅんせつ土砂堤防の脇に造って避難場所を造ってあげると。これをずっと四百年ぐらい掛ければ、これをいわゆるスーパー堤防という名前になるわけです。  初めからスーパー堤防を造るというんじゃなしに、避難場所を造るというような考え方、あるいは公園の高台化をするとか、その考え方はすぐタイバンコク、あるいはアジアの低平地問題、これはすぐベトナムにもそのまま使える技術なんですけれども、そういうものを日本も研究することでアジアに貢献できるということです。これはゲーテファウストのやったことですね。  それから今、日本で、スーパー堤防という言葉出ましたけれども、オランダがこれはすばらしいというんで、これはジャパン・レビー、ジャパン・ダイクと名前を付けて、オランダがこの技術もらったと言って、これからスーパー堤防化するように動いています、オランダは。  それから、この業界、土木業界というのは実は若者に全く人気がなくて、今、私は土木工学科というところに属していたんですけれども、もう若者に人気なくて、都市環境学科という名前に変えました。これは間違いだったと思います、今から考えると。いろんな大学でもう土木工学科というような名前はなくなってしまって、日本中で大学土木工学科という名前付けているところはもう数校しかありません。約二百ぐらい大学土木工学科があったんですけれども、もう三校か四校ぐらいしかありません。その先生たちがこの名前を変えたのはほとんど失敗だったと言っています。  それは、本当に土木技術者、高い倫理観を持った土木技術者日本から数が減っていってしまうと。もうちゃらちゃらちゃらちゃらしたような分野若者が全部向かっていってしまって、土木工学科がもう定員割れを起こしています、日本中。こういう震災が起きたときに、もう土木技術者が足りないという状態まで落ちていっているわけです。これは非常にゆゆしき問題だと思っています。  高い倫理観日本技術者というのは、時々変な談合問題みたいなのも出ますけれども、そんなのは一部で、ほとんどはもう物すごい倫理観が強くて、今度の震災のときに、津波が来るのも分かっていながら水門、津波防潮堤を閉めに行って、七十何名が亡くなっているわけです。それから、去年九月のある洪水では、そういう方も亡くなっておられます。逃げればいいのに逃げずに頑張ってくれるわけです。この倫理観アジアに是非根付かせたいと。  アジアに、私、相当フィリピンとかベトナムとかタイにもうしょっちゅう行きますけれども、倫理観という意味では全くアジアは根付いていない。もう技術、テクノロジーだけを何か追い求めて、倫理観が根付いていない。これ、至る所にアジアはあります。この高い倫理観を持って輸出すると。後で言います水ビジネスでも何でも水道下水道関係。そもそも水ビジネスという言葉は、私たちが水の戦略機構というのをつくりまして、そこで言い出した言葉です。その結果、経済産業省の中にビジネスを応援する部屋もできてファンドも用意されたという経緯もあります。  この倫理観をくっつけてアジアに持っていかない限りは、技術だけ持っていっても仕方ない。そこはアメリカやヨーロッパや中国ODAに絶対勝てるところだと思っています。これを、つまり人込みでアジアに貢献させる、技術だけ持っていっても仕方ない。  それから、私も世界中いろいろなところ学会に行ったり、調査に行ったりするものですから、水道をひねって水が飲める国って何か所あるでしょうか。私の息子がアメリカNASAにいたんですけど、NASAって本部になかなか入れないものですから、息子が働いているときにちょっと寄っていってアメリカNASAに行ってみたんですけど、ちょっとゲリラ豪雨的な雨が降ると、水道から茶色い水が出てきます。あんな先進国であのレベル。だから、ミネラルウオーターを買わなきゃいかぬわけで、私は、今、日本でよく歩いている人でミネラルウオーターをペットボトルで飲んでいる人を見ると、おまえ、世界のどこのど田舎者じゃと言ってやるんですけれども。  日本水道水道法で規制されています。ミネラルウオーター食品法なわけです。食品法の方がはるかに甘い基準になっているわけです。水道の方がはるかに厳しい、化学的な基準が厳しいわけで、それの方が確実に衛生的にもいいんだということを、これをアジアに持っていくべきだと。ミネラルウオーター飲んでいるようなアジアでは、多分世界は発展しないと思います、アジアは。そんなレベルでは発展しないと思っています。  それから、そのためには日本にはいろんな機構があります。外務省を始め国土交通省経済産業省、農水省、環境省等あります、JICAあり、水資源機構。特に、私は水資源機構を思い切り海外向けにというか、半分ぐらいのミッション水機構に与えるべきだと思っています。それほどダムを造っていく時代じゃないのはもう目に見えているわけで、管理維持管理だけになっていくわけです。約二千人ぐらい職員、立派な技術者が大勢いますけど、あの技術者をただ管理だけに置くのは余りにももったいない。それをアジアの水問題の貢献に是非使えないかと。そのためには、東京都とか川崎市とか北九州市なんかも市町村レベル水ビジネスに参入していますので、そういう参入の仕方もあればODAの形というのもあると思います。水機構をどうするか。  それから、教育ビジネス。実は、私の自己紹介の中に、資料の中に国際水環境理工学人材育成プログラムというのがありますけれども、これは文科省の特別なプログラムで、韓国、中国ベトナムぐらいから大学院生を十人ずつ毎年私の研究室に呼ぶというプログラムで、精華大学とか上海交通大学とかそういうすばらしい有力校から一人ずつ十人採るんですけれども、もう今来ているんですけれども、来た途端に日本語はしゃべる、英語はしゃべる、全く日本にもう十年ぐらいいたような感じで中国人、韓国人が頑張ってくれるわけです。  一方で、日本人が、じゃ、ベトナム行って仕事してこいと言うと、今、ほとんどの若者は行きたがりません。もう私の大学だけじゃなくてほかのどこの大学でも、日本にいた方がぬくぬくと暮らせるものですから、何でそこまでしなきゃいかぬのという感覚で、海外に行きたいというのは総量としては極めて減っています。これはゆゆしきことだと思います。片や、中国の留学生が来て、君、将来どこで頑張りたいんだと言ったら、年収さえ良ければアフリカでも南アメリカでもどこでもいいですよとちゃんと言うんですね。日本人にその感覚がいつ消えちまったんだと非常に心配しています。  それから、これはちょっと政治家の方にも厳しいことなんですけれども、政治家の方で水問題の専門家が余りにも少ない。だから、私、時々呼ばれて個人的にも説明したりするんですけれども、ここに書いておりますけれども、交信不能状態と今呼んでおります。こっちからメッセージを送っても返ってこない。これ、もう非常に難しい問題です。  ついでに言いますと、数年前に北海道で洞爺湖サミットというのが開かれました。あのときのテーマが水と衛生ということで、当時、自民党政務調査会の中で中川先生が、亡くなられた中川先生が中心になって全部で五十一回の勉強会をやりました、あのサミットのためだけで。いや、私、ここで自民党と言いましたけれども、私自身、自民党でもなきゃ民主党でもなきゃ公明党でもみんなの党でも何でもないです。はっきり言って何でもないですけれども、あのときの中川先生は相当命懸けで水問題を勉強されました。その間に三冊の水に関する本も出版されています。  私は、議員の先生方の中で、今、民間企業社会人ドクターという形で大学に勉強しに来てくれています。ドクターを取らないと、ある程度会社の中でもその数がないと会社としては困るんだということで、わざわざ会社ミッションとして社会人ドクターというのが国公私立大学に来てドクターを取ろうとしています、水問題で。もうかなり多いです。国会議員の方も、一人や二人とはいわず、社会人ドクターコースに入って水問題を徹底的に研究してほしいです。この二十分間で東アジアアジアの水問題を語れといっても、これ極めて難しいです。各国ごとにもう事情が余りにも違い過ぎると。  例えば、メコン川一つ取っても、メコン川の上流は中国ですけれども、現在中国に十五のダム計画があります。あれ、真面目に中国がやってしまうと、下の五か国、ミャンマー、ラオス、カンボジア、タイベトナムは完全な水の属国になってしまうわけです。アメリカの国会はダムを造るなという中国メッセージを送っています。日本は何もやらない。  でも、ここに悩ましい問題があって、全部あれが水力発電用ダム中国は言っているんですけれども、もし中国化石燃料あるいは原発でその分の電気をつくると言われたらこれもまたえらい迷惑な話で、それなら水力発電の方がまだいいかななんて、その代わり、取った水はちゃんと下流に流せよというふうな、国際委員会中国を引っ張り出すことも必要かと思っています。メコン委員会というのはありますけれども、中国は入っておりませんので、何にも効果はありません。  今度はナイル委員会というのもできています、今、ナイル川。昔はイギリスからエジプトが独立したときに、ナイル川の水はエジプトがもらうということでイギリス水利権を保障してもらったわけですけれども、その上流のスーダンが、そんなもの俺らが独立する前に勝手に決めた話だろうというので、これじゃいかぬというのでナイル委員会ができています。ナイル委員会事務局は、デンマークがやっています。  日本がそういう事務局をやれる、アジア国際河川事務局をやれることいっぱいあるんで、そういうところにさっきの水機構のような、技術も分かり、今までやってきたというような人を、外務省JICAと並び有効に使えるということを一つ提案させてください。  もうあと二、三分で終わると思いますけれども、実は私、防災問題、水災害問題にかかわっていますけれども、日本というのは要するに奈良時代から、聖徳太子が土木事業をやり、空海が土木事業をやり、戦国時代武将たちはほとんど治水事業をやっているわけです。武田信玄しかり、淀川には太閤堤という豊臣秀吉が造った堤防まであるわけです。徳川家康は、利根川がこの東京湾に注いでいたものをあっち行けというんで、利根川の東遷というのをやったわけです。もし、徳川家康の東遷のあのアイデアがあったがゆえにこの東京の東側半分ぐらいが非常に安全な地域になったと。このアイデアはまたタイバンコク、アユタヤなんかのところの放水路計画とか、それから輪中計画に生かせられる。だから、せっかく日本で歴史上得たものを、いい経験をアジアに貢献できると思っています。  それから、日本人のこの倫理観技術者倫理観のすごさ。私、時々国の方から、日本が援助して造ったフィリピンとかほかの研究所を、余りちゃんと、ちんたらちんたらしかやっていないからちょっと見に行って元気付けてあげてよといって私行くと、大体アジア研究所って汚いです。もう本当によくこんなに汚い使い方するなと思って。私、行った途端にその職員に、自分らで掃除しろって言うんだけれども、誰も掃除はしません。掃除掃除をするおじさんがやるものだということなんです。日本だと、土木技術者は、研究者自分掃除しますよ、そんなの、ほうき持って。この倫理観を、あるいは美的なセンスというものをアジアに持っていかない限り、技術だけ持っていってもアジアは発展しないと思っております。  最後に、日本憲法前文を読みますと、一体どこの憲法なのかあれ全然分かりません。少なくとも憲法前文に、日本が歴史上、自然災害を闘ってきて、それを克服する中で知恵が生まれ、人材が出てき、食料生産が豊かになり、人口が豊かになり、日本の文化が発展したというような文章が憲法前文ぐらいに載っていないと。  例えば今、防災教育やりなさいってよく小学校中学校でも言い出したんですけれども、私、自分の今いるところの市の教育委員を十年間やっておりましたけれども、もう十五年ぐらい前から七、八年前に至るまで、防災教育小学校中学校でやろうよといって教育委員会で言うと、先生、一年間に小学校中学校子供たちが、生徒たち児童たちポスターをかくというんですけれども、あのポスターだけで二百五十通りあるんですね。じゃ、そこに防災のポスター一個入れていたらどっかを外さなきゃいかぬわけです。  だから、その防災教育というものが非常に国家の根本として日本人がもう誰でも学ばなきゃいけない一つの知恵なんだよということをもう高いところから言うようなものがない限り、また東北の震災が終わって十年もたつともうみんな忘れちゃって、皆さん、阪神大震災って何年前に起きたか覚えていますか。すぐ忘れちゃうんですよ。多分、十年もたったら、東北でそんなこと起きたのも多分忘れちゃうでしょう。だけれども、そういうきちっと憲法前文ぐらいにあるような高いところにあってくれないと防災教育というのは未来永劫には多分続かなくて、また似たような自然災害が起きて、苦しむのは国民だけということになるかと思います。  あと、もう細かい資料はいっぱいあるんで、それは事務局には置いておきましたので、また時間があったら見てください。また質問の時間のときに、討議の時間のときにお話しします。
  12. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございました。  次に、竹谷参考人から御意見をお述べいただきます。竹谷参考人
  13. 参考人(竹谷公男君)(竹谷公男)

    参考人竹谷公男君) ありがとうございます。御紹介にいただきました国際協力機構竹谷です。  今、山田先生が、画面が出るまでの間少し、二十分でアジアの水を語り尽くせるかという議論があったんですが、私も数年前に二年間ほどアジア開発銀行にもおりましたが、そのときには今おっしゃったメコン委員会とかですね、バングラデシュ、パキスタン、あるいはメコン委員会ですからベトナム、ラオス、ミャンマーとかああいった国もですね、タイとか含めていろいろ洪水を見てきていますが、今回は時間も限られていますので、直近、特に東南アジアのマニラとタイ、主にタイの話をしたいと思います。(資料映写)  最近のアジアの大洪水と構造物・非構造物対策の方向性と書いています。山田先生のような極めて志の高いフィロソフィカルな話よりも、むしろ現場に近い、グラウンドに近い、何が起こっていてどういうところがレッスンラーンドで将来ありそうかというお話を、かなり枚数を多く用意しましたが、てきぱきとやりたいと思います。  今日お話しする内容は、頻発する近年の自然災害の傾向はどんなものか、あるいは二〇〇九年マニラの首都圏、マニラそのものですね、言ってみれば東京で起こったような洪水、それと、一一年のタイの洪水とインパクト、その再発防止に向けてどういうふうに動きがあって、それがアジアの経済にどういうインパクトを与えるかと、こういう感じの話をしたいと思います。  まず、二〇一〇年というのは比較的災害の多かった年で、おととしになりますが、例えばロシアの森林火災、余り報道はされていないですが、こんなような格好でロシアの森林火災。あるいは、パキスタンではインダス川、でかい川ですが、今回と同じような大きな大規模な洪水が起こっています。さらに、中国では三峡ダム上流で洪水が起こって地すべりが起こって、結果的に三峡ダムが初めて洪水のコントロールをして、このダムがなかったならば下流が相当な大被害を受けたと、こういうふうなのが起こっています。  では、マニラの二〇〇九年の洪水はどんな感じだったかというと、この写真は、見ていただいて分かりますように、電線の上を伝って人が逃げていくような、まあ人口密集地のど真ん中で起こった水害です。これは九月二十六日に起こっていまして、台風です。二十二万人弱が避難をして、死者数では三百五十人弱ですが、行方不明入れて四百名。マニラですから、いわゆる日本でいうと東京の中央区あるいは港区で五百人ぐらいが亡くなる、これに匹敵するような災害が起こっています。近年、一国の首都のど真ん中でこの規模の洪水被害が出たというのはほとんど記憶にないと思います。  被害のパターンは大きく三つのゾーンに分かれておりまして、上のゾーン一というのが上流側で、日本に近いような、フラッシュフラッドと私どもは言いますが、専門的にですね、雨が降ってから洪水が出てくるのに数時間とかそのぐらいの早い洪水。これは世界中でいうと、かなり日本の洪水は非常に早く出ます。ちなみに、タイの洪水では雨が降ってから一か月後に洪水のピークが出るとか、アメリカのミシシッピ川でも上流で雨が降って一週間後にピークになるといったような感じです。まあ、ライン川なんかはもっと同様な感じだと思います。  ゾーン二では、ラグナ湖という大きな琵琶湖ぐらいの湖が横にあるんですが、それが水位が上昇する。あるいは、もう一つのゾーン三というのは都心部で内水湛水と、降った雨がはけずに水がたまるという格好です。  フラッシュフラッドの起こっているところは、この橋の上に人がたくさんたまって、ばばっと水が来たので逃げれなくて皆橋の上にたまり切っていると、こういうような状況で、これの上流で三百人ぐらいが亡くなると。ラグナ湖の水位上昇というのは、琵琶湖の堅田の辺りがじわっと水が上がって洪水になるといったような感じで、流れがないものですからボートで都心に出ていくと、こういうパターンですね。都心の内水湛水というのは、まあ言ってみれば丸の内とか港区辺りでだだっと大きな雨が降って道路が冠水して車が動けなくなると、こういうふうなのがあると、こういった格好です。  実は、このマニラの首都圏の洪水というのは、日本が二十年以上支援してきております。この大きな放水路、マンガハン放水路、この地図でいいますと、元々の川はこういう方向なんですが、ここにどんと放水路を掘りまして、洪水の水を一時琵琶湖のようなでかい湖に捨てる、こういうことで巨大なプロジェクトを実行して完成しています。これがあったがゆえにその下流が全くほとんど被害を受けていなくて、今回の被害はそれの上流だけで済んだと。この放水路がなければ、恐らく旧市街が壊滅的な打撃を受けただろうと思われます。  レッスンラーンドは何かという、この洪水のレッスンラーンドというのは、洪水起こったんだけれども、実は効果があったのはメンテナンスフリーの構造物対策だけだったということです。ただし、非構造物対策とよく言われるのは、例えば避難警報がよく、うまく整備されていて機能したならば、もう少し被災者は少なくなったかもしれない。川沿いから逃げることができたかもしれないとか、あるいは適切な土地利用規制、はんらん原の危ないところにはうちを造るなとか、これはなかなか途上国では難しいし、日本でもなかなか私権の制限というのは難しいんですが、こういったことがもしできれば、少なくなったかもしれません。しかし、そういうものは、実は言うはやすく達成するのは難しいということなので、効果があったのはそれだけだと。  気候変動で災害は恐らく今後頻発すると思われます。先ほど山田先生がおっしゃったように。あるいは、人口増加・集中や経済成長で被害も増大傾向にあると。そうすると、構造物の対策、物を造るということと、避難だとか土地利用規制とか高台に逃げるとか、そういったことのベストミックスはどんなものだろうと。あるいは、その時々の政策決定者なり為政者というのは何かしらの対策を打たないと救えないというところの隘路に立つわけです。じゃ、特に将来の気候変動の対応では柔軟な姿勢が必要になると。  そういったことで、実は構造物対策と非構造物対策の組合せというのはどういうイメージかというのを少し簡単にお見せしますと、物事は全部、投資をして、一定の安全性、効果というような形でキープしていくと、それは大体Sカーブのように上がっていくと。  例えば堤防、済みません、これ英語のまんまですが、堤防を造る、あるいは上流ダムを造る、あるいは途中に取水堰を造る、また堤防を造るというような形で、目標とする安全レベルを一定の十年なら十年、二十年を掛けて達成すると。それでもって一定の安全レベルになって、これはインダス川の破堤の前ですが、こういう形で長大な堤防ができて守られる。  しかしながら、気候変化あるいは気候変動によって超過洪水、計画を超える洪水が来た場合、あるいはプロジェクトが未完了な場合、これはどうするんだと。どうなるかというと、これはインダス川の例ですが、十メーター以上の堤防が破堤して、全域、四国ぐらいの面積がはんらんすると、こういうことが起こるわけですね。結局は、ベースとしては基本的な構造物対策、基本インフラがあって、その上に非構造物対策が二階建てのように乗っていくと。  非構造物対策というのは、例えば森林保護・回復によって洪水量そのものを減らす。あるいは、適正な土地利用規制によって被害を少なくする。あるいは、洪水に強い生活様式、ピロティータイプのようなメコンのような生き方をして、リビング・ウィズ・フラッドなんて言われるようなパターンにする。あるいは、洪水の予報をする。あるいは、早期警報を出して避難をしてもらう。あるいは、それでも足りないので、国がサポートして保険あるいは補償制度でもって担保する。つまり、基本インフラが制御・防御というのがメーンだとすると、非構造物対策としては、緩和したり、起こってしまったならしようがないから少しミティゲート、緩和すると、こういったものの組合せでそれぞれやっていくというようなことになると思います。  それでもって、最終的に一定の禍根を残さない治水投資。その時々のジャッジメントをする方というのは投資をせぬといかぬので、悔いの残る投資をしちゃいかぬという意味で、今、マルチドナー、世界銀行だとかアジア銀行、JICAなんかで議論になるのは、ローリグレットというんですが、後悔、禍根を残さない投資。高い安全度を担保する地域と、はんらんを、被災を許容しつつもリカバーの早い、これが復元力のあるとかそういう言い方をしていますが、そういったものの構成をどうしていくのか、セーフティーあるいはローリグレット、こういうのが議論になっていきます。  去年のタイの洪水は、皆さんもう既によく御存じのときに、雨が平年の一・四倍ぐらい降りました。平年の一・四倍ぐらいの雨で四国の面積とほぼ同じぐらいがはんらんしました。はんらんした面積は四国のエリア全域とほぼ同じです。このぐらいの面積がはんらんするとどのくらいのことになるかというのが、当然ああいうことです。  じゃ、雨が一・八倍なのになぜはんらんがそんなに大きいのかというと、最初の雨は地中に染み込んだりあるいは空気に蒸発したり、空中に蒸発したりしますので、例えば百ミリの雨が降ったとしても最初の七十ミリが浸透とか、蒸発してしまって実際の洪水になるのは三十ミリ程度だと仮にしますと、一・四倍の百八十ミリが降ったとしても、実は洪水というのは三十ミリの分が八十ミリに増えますので、下手をすると三倍ぐらいの洪水になるということで、雨の量というのは一定の閾値を超えると急激に洪水になって出てくるという特性があります。  チャオプラヤ川というのは一九九九年にJICAで開発調査をしておりますが、元々、中流域のはんらんをすることによってしかバンコクなり下流が守れない川です。ありていに言いますと、利根川の十倍ぐらいの流域面積がありながら、去年の洪水のはんらん面積はほぼ利根川の流域面積と同じです。利根川の河口の銚子からずっと山の上のダムまでの全部の面積を入れた分がはんらんしています。にもかかわらず、バンコクの横のチャオプラヤ川の流下能力、洪水を流せる能力は利根川のほぼ六分の一から十分の一ぐらいの大きさしかありません。つまり、利根川に対して非常に流域は大きいんだけれども、元々、川の量が上流ではんらんすることによって農業をしながらその川と向き合って暮らしてきた川なので小さいということですね。たまたま今回は、そういった元々そういう農業形態の流域の中にタイのここ十五年から二十年の極めて著しい経済発展で資産が集中したり工業団地が出てきたりして非常な被害になったと。  当然、日本がかつてたどったと同じように、経済発展に治水投資が追い付いていないというのが現状です。九九年にも当然いろんな提案をしておりますが、残念ながら、それよりもむしろ経済発展基盤インフラの方に投資が傾注してきて、残念ながら治水の対策が後追いになったということです。恐らく、根治療法としてはチャオプラヤ川の流下能力の向上ですが、それはなかなか難しいという状況で、後で説明します。  アユタヤ周辺のはんらんはこういった形で、ほぼ全域が海で、浸水した工業団地も残念ながらこういった形で全部浸水している、ひどいところでは二メーター五十ぐらいの浸水で二階の少しのところまで来ている、ホンダの工場なんかは全部浸水していると、こんな感じです。  実はよく見ると、隣に浸水を免れているオイルのプラントだとか、あるいは非常に集積度の低いトラックターミナルが浸水に免れたりしているのは、これは輪中堤で守られているからです。元々、この辺りは輪中堤で守るという方針しかないんですが、例えばここを見ていただいても、この部分は輪中堤なんですが、この部分は、白く見えているということは、水の上にありますが、ここは水の下になっちゃっているのでここからあふれて水が入ったので、これは全部でき上がった新車が何百台と並んでいますが、それが水没したと、こんな感じですね。  私どもは、JICAとしてはどういう支援しているかというと、タイミングをとらえてタイ国の幹部にはちゅうちょせずに提言しております。左の上はインラック首相、右の上はキティラット副首相、そういったほぼトップレベルが、今回の治水に関しては、洪水防御に関しては極めて国家の経済の根幹を揺るがす大問題だととらえていますので、非常に積極的です。  そういう積極的な体制のところに、きちっとJICAとして技術的なバックグラウンドにのっとった提言を行うことによって信頼を勝ち得て、同時に、日本が、あるいはJICAが、あるいは日本技術で信頼を勝ち得ている目的は何かというと、これドナーによって方針が変わります。例えば、あるところは非構造物対策を主でいいじゃないかといったりするところがありますので、私どもは私どもの信じる対策を確実に打ってもらうためには我々が信頼を勝ち得ていかないと駄目だということで、そういう行動をしております。  ちなみに、プミポン国王は水の専門家として非常に尊敬されております。これ、左側のこういうパネルに自分でおかきになっているのは、まさにこのピンポイントのところにバンコクがあります、この川はバンコク上流で横に遊水地で取るべきだとか、ここから流れる水の量をどう制御するべきだとかですね、そういったことに非常に詳しい方です。  そういった意味で、我々は新たな洪水対策のマスタープランを作りますが、これから、日本の支援で、タイ側の要請を受けてですね。ただし、タイの知見を尊重する。利根川の十倍の流域面積でありながら六分の一ぐらいの小さな川と付き合ってきた彼らの知恵抜きにしては、治水対策は金が掛かり過ぎます。タイ日本技術を融合させて、タイ政府の意思決定のスピードに遅れない支援を行う。幾ら優秀な支援をしようと、タイミングを逸したのでは意味がありませんので、そういった意味でそういった支援をしようと思っています。  タイ国政府が設置した副首相を議長とする戦略委員会、大きな委員会を二つつくります。一つは経済復興委員会一つは水資源管理戦略委員会です。これは両方、復興戦略委員会は元副首相、水資源管理戦略委員会は現在の副首相。去年、この方が副首相ですが、お見えになって野田首相とミーティングされて、この下に緊急対策の小委員会と長期対策の小委員会をつくっております。JICAの治水対策のマスタープランの支援という日本の支援は、実に、この副首相を核とする、あるいはこの水資源管理戦略委員会には毎回キティラット副首相も出ますが、ここをカウンターパートとして、じかにそこと提案して活動するような対策をしております。  ちなみに、私はタイ国政府から公式に要請を受けてアドバイザーとして、唯一の外国人ですが、顧問としてこの戦略委員会に出ております。具体的に言うと、こういった、これが副首相、これ私なんですが、それと向こうの著名な教授、チュキアート先生とソンバット先生という方なんかと、リアルにどの地域ではんらんさせてどうやって守るんだというような議論をした上で、治水対策の骨子を決めております。  具体的には、上流で同種災害の防止の長期的な対策は非常にシンプルです。ためる、放水する、これは英語ではストア・アンド・ダイバートと言っていますが、こういった方法しか、もうほとんど打つ手はありません。最も効果的かつ被害の少ない方法でためて、ためた水はなるべく稲作に再利用して米の生産に寄与する。JICAの支援ではタイ側のそういった基本的な合意した思想に従って、科学的、工学的根拠でそれを証明して必要諸元を提案するといったようなことを今やっております。  具体的には、上流の植林、既設ダムの運用の改善、これは四つのダムがありますが、その総ボリュームは二百四十五億トンあります。ちなみに日本で一番でかい徳山ダムは七億トンぐらいです。それに対して二百四十五億トンのボリュームがあります。そういうダムを少し有効に使うとか、あるいはそれでも足りないので上流ダムを造るとか、あるいは制御されたはんらん、バンコク及び工業団地を守るために、コントロールド・イナンデーションと言っていますが、わざと上流ではんらんさせる、遊水地としてですね。その代わり、それには去年できなかった農業への補償を行う、あるいはそのはんらん域については土地利用計画と規制をきちっとやる、そういったことによってしか実は下流が守れないということで、それでも守れないようだと放水路を両側に付けるといったような形で安全かつ復元力のある、安全というのはこのエリアは安全、人為的にはんらんするところは復元力のある地域にするという組合せで治水対策をしていくということをおおむね決めております。  先ほど言いました、首相、副首相を議長とするようなこの会議は、こんなような会議でやっております。終わった後には首相と副首相と、これは後ろを向いていますが私なんかが議論をして、今後の方針とかいうのを調整をしたり、そういった比較的大胆な踏み込んだ支援もしております。  タイ政府としては、APECで副首相が、治水マスタープランの改定はJICAに依頼した、洪水対策用のメガプロジェクトの借入ソースは世銀、ADB、JICA等を対象にやりたいとクリアに言っています。  今年の一月の十四日にはそうやって決めた基本方針を、JICAタイ政府の共催で、副首相、私と、東大の沖先生とか、こういったメンバーが出て発表しております。  全般的な課題としては、実は災害後の復旧復興コストより事前の防止コストが圧倒的に安価です。しかしながら、残念ながら後悔先に立たずで、なかなか事前の投資ができないというのが現状です。よって、我々は、JICAとしては防災的視点を全ての施策にクロスチェックするような防災の主流化というのを図ろうと努力しようと議論をしております。これは、世界銀行、アジア銀行、国連含めて、防災の主流化というのは今後、兵庫行動枠組の改定の二〇一五年には、メーンのキーワードになってくると思いますので、どうか頭に入れておいてください。  同種の洪水に脆弱な国は、じゃほかにないのか、いや、いっぱいあると思います。ジャカルタだとかマニラだとかバンコクだとかハノイだとかホーチミンとか、数を挙げれば限りない。恐らくそういったところに日本企業が進出するときに、そこは洪水の脆弱性が高いですよとか、そういったことが分かるような施策なりサポートも必要なんじゃないかなというふうに思って、JICAではどうしようかと議論を始めています。アジアのメガシティーはほとんどが河口部にあります。防災の視点で開発・発展対象地域をチェックするといったようなことが必要になると思います。  あと最後ですが、結果的に、非常に今回、工業団地の排水とかで国交省のポンプ隊というのを何十人と、延べ何百人だったか送り込んで、現場で排水作業をしていただきました。非常にタイ国政府から感謝されています。  どうも御清聴ありがとうございました。
  14. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございました。  次に、森参考人から御意見をお述べいただきます。森参考人
  15. 参考人(森一君)(森一)

    参考人(森一君) 初めまして、森です。唯一の民間人じゃないかなと思いまして緊張していますけれども、かつJICAの皆さんから囲まれると、我々民間人は非常にお世話になっているものですから緊張します。  実は、今日何で私が呼ばれたんだろうとずっと思っているんですけれども、多分今お二人が話されたようなことを形にしていく。竹谷さんがおっしゃっていましたけれども、我々は本当に現場をはいつくばって、現場で本当に何が起こっていて何が必要としているんだというところでビジネスをつくっていっている人間です。なので、今この間にも一円でも多く稼ごうと努力して頑張ってくれている部下にまず感謝して、その時間を私、そのためにもこのプレゼンでいいプレゼンをさせていただいて皆さんの少しでも役に立って、この調査会が終わった後一つでも何かアクションが取れればいいなと思いますので、そのようなプレゼンにさせてもらいます。(資料映写)  すごく大きな表題にさせていただきました。アジア一つに、そんなばかなと思われると思うんですが、本気です、本気でやろうと思っています。その話を今から、お二人のお時間から押されてきていますので、私十五分ぐらいしかないと思うんですが、なるべくキャッチアップします。  ほとんど言いたいことは二ページと三ページに書いている部分です。私は元々外資で水ビジネスを学びまして、さっきおっしゃいました山田先生のいろいろ理念、六分までオーケーですか、ありがとうございます、山田先生の理念等々を少しでも形にしていきたいなと思った人間ですので、ここで、隣で話をさせていただけるのは光栄でございます。なので、私は自分がやりたいというか日本人に合った水ビジネス、特に日本でなきゃできないと今思っています。  日本での今の強みって何だというと絶対水です。これほど水がきれいな国ってないです。それはありますよ、少しずつは。だけど、これだけ九七%ですか、上水は。下水でも七〇%以上、これはもう皆さんの努力なんですけれども、ここまで水道事業が整っていて、どこ行ったって水に困らない、こんな国はありませんし。  ただ、この日本の中で水ビジネスを語っていても無理なんですよね。これほどぜいたくな、水に関して、国ないですから、それでアジアに出ていこうなんてどだい無理なんですよ。というのは、アジアはもっと困っているわけですから、アジアで一体どういうことが起こっていて何に困ってどうなっているのか。だから、今お二人がおっしゃったいろんなことが起こっているわけですね。そのときに、まさかタイ人になれとは言いませんけれども、タイの人たちの思いを共有しないとビジネスになりません。  なので、ここで私いろいろ考えて、実際本当に日本人ならではのビジネス、水、特に水の強みということを生かしてビジネスとして立ち上げたいなと。で、日本人の強み、特に皆さんに貢献するとか感謝されるとすこぶる燃えるとか、そういうようなマインドがすごくあるので、いろんなアジア人の人たちから見ると、やはりボランティア精神ってすごくあるんですよね。だから、すごく今僕は勇気を持っています。  ビジネスの原点はやっぱりボランティアだと思うんですよ。一企業の社長が言うのもなんなんですけれども。利益は追求していますけれども、やっぱり社会貢献ありきで、それが目的であって初めて後で利益が付いてくる。だから、利益が目的ではなくて、まあこれはドラッカーも言っていますけれども、やはり事業を継続させるための手段だというところの原点に返れるビジネスということで水というのはすごく日本人にマッチするなということで、今日お伝えしたいキーワードがBOPビジネスということとリバース・イノベーションの二つだったんですが、それに、三・一一というのが起こりましたので、水ビジネスというのがいかに電力を使うかということだけちょっと皆さんにお伝えしたいなと思っております。  もう僕のビジョンはここに書いてあるとおりで、ただ、最後の積極的な中小企業の連携について、中小企業が持っている技術こそ今世界に必要とされているということを後で。アジアの皆さんの視点に立ったと。だから、こちらが何ができるかということの前に、現場が何を求めているか、彼らが何を必要としているか、何をしてほしいのかという視点にもう一度立ち返った方がいい。どうも今までの我々日本ビジネスは、高度成長を経て、どうしても押し付けになっているので、さっき山田先生がおっしゃいましたけれども、水ビジネスを一番知らないのはビジネス界じゃないかなと思います。水のことは知っているんですよ。ビジネスを知っているのか、事業として。なのでそれを実践したいと思います。  その中で、ちょうどこれタイミングが良かったんですが、一月末にJICA様の御協力を得まして、BOPビジネスを推進されている、その中で、官民連携ということで研究調査費を出すよと、BOPビジネスを推進するということで。そういう我々プロポーザルをちょうどまとめたところだったので、三ページ目ですね、私のビジョンを形にしたのはこれ、こういうチームです。命の水プロジェクトチームアジアなんて書きましたけれども、別に名前はどうでもいいです。こういうような形で、その現場に合った水道というか給水システムを立ち上げたいなと。今ターゲットは、ここには書いていませんが、カンボジアです。やはり、まずはメコン川流域から。その中でもカンボジアから。なぜかというのは後で。  やはり、別にうちの会社が、一応書いていますけれども、それはどうでもいいんです。私は、今日は輝水工業の代表としてというより、水ビジネス業界の、産業人の代表として来ているつもりなので。このような形で、やはり現地の人たちを巻き込んだチームをつくらなかったら、日本人ばっかり集まっても、やはりその現場のことは分かりません。なので、例えば、これからやるカンボジアの給水プロジェクト、これは大規模集中型の水道を造るわけでもないです、私は。農村部に、本当に水を必要としている方たちに小規模分散ですね、当然そんなに大きな大都市があるわけじゃないので、そういうようなところに、その人たちが必要としている給水システムを農村部でつくっていきたい。それで、唯一カンボジアの今産業というと農作物なので、それにも寄与したいなと、それは思っています。なので、農村をひとつ活性化していくためにこの水ビジネスというのを私はつくっていきたい。  なので、なぜかというと、今、世界で見ると、一番欲している水というのは、安心、安全で飲めればいいんです、極端なことを言いますけれども。当然、WHOのあれに見合った形での水質というのはありますけれども、とにかくカンボジアにしても、ここはメコン川が一応水源になっているんですけれども、飲めないのに飲んで死んでいる人たちもいます。飲まざるを得ないんですね。飲んで、やはり砒素や何やかんやが多いですから、飲んでも死ぬ、飲まなくても死ぬ。それなら何とかしたいなという思いが一番のここに載せたあれです。  安全な水にアクセスできない地球上の人々が十一億人いると今言われています。五歳までしか生きられない人が五億人もいると。日本って一億二、三千万ですよね。それ以上の方々が本当にもう何分刻みで亡くなっているということを考えますと、私、水ビジネスにかかわる人間としてもう急ぎます。  なので、このような形で、もう一つ、左のところに米NGOの運営マニュアルをアレンジと書きましたけれども、一つすごいことをやっているNGOがありまして、マニラの方で今言ったような本当に簡単な簡易水道、給水システムをつくっている。これ現地で立ち上げているんですね、現地の方たちが。それをバックアップした人もいるんですが、あとは維持も管理も全て現地の人たちがやる方向で、物すごいマニュアルを作ってメンテナンスの教育をするんです。これは一つの形だなと。これがないと根付かないんですよ。  だから、我々がこんな技術があるよといって渡したってそれで終わりなわけで、その後、持続可能的にそれを使っていただいて彼らがエンジョイできるような給水システムにするには、彼らが自発的な思いでそれを維持していこうというようなところまでやっていかないとこのようなビジネスというのは成功しないんだろうなと思って、今ちょうどスタートラインに着いています。  今日、別に技術のことは言いません。二つ、凝集沈殿ろ過装置、これ非常にコンパクトで、これが日本で造ると、一般的にやると五百万円ぐらいするんですが、その流量にもよりますけど。これをやはり五十万円ぐらいで仕上げないと現地ではなかなか使えないだろうなと、もう非常に大ざっぱに言いますと。でも、そのようなことを日本で考えていても無理なので、値下げ競争ではないんで、現地の人たちと一緒に考えていくというような今仕組みをつくっています。  横に書いた水神というのは、これは電力を使わなくて手押しで緊急用で水をつくれると。なので、そういうようなものがないと、どんなシステムだって電気がやっぱり必要なので、給水システムをつくるには。なので、やっぱり水とエネルギーと食料というのはこれはもう切っても切り離せない三つの要素だと思います。なので、この水神というのも使いながら、この凝集、これがいいのか分かりません、少なくとも大規模集中の大きなインフラの水道というのは、まずは先ではないなと、ファーストじゃないなとは思います。なので、そのような形で今立ち上げていると。  なので、アジアの人たちと競争をするんではなくて、本当の共創をしようと、コ・クリエーション。彼らがどのように考え、どのようなことを思っているのかということを、水ということで集まって、いろんな問題出し合って、こういうことがあればいい、こういうサポートが日本に欲しいというような会議ができたらいいなと、目的さえ明確になればチームには僕はなれると思います。  組織は、目的がまず明確かどうかと、あとはリーダーです。なので、先ほど、ちょうど私も緊張の面持ちでこの控室に入ったんですけど、この調査会会長である藤原会長がいらっしゃって非常に気をほぐしていただきましたので、やはりリーダーたる者ああならなきゃいけないんだと。なので、組織としてリーダーがまず大事、かつ目的が皆さんで共有されていれば、どんな言葉をしゃべろうが、どんな顔色になっていようが、一つの飲める水をみんなでつくるんだという思いの下にビジネスはできると思います。だから、なので、今まで五十年以上のこの日本がやってきたODA、もうすばらしいことだと思います。これを更に生かせるような、ベストプラクティスを更にベストプラクティスにするような取組をしたいというのが私の思っていることです。  なので、それがやはり経済援助・支援という言葉から経済自立の促進という言葉に変わってきていると僕は思います。それがBOPビジネスという一つの根幹を成しているんですが。だから、世界の貧困をなくそうと、彼らもそれでビジネスができるようになればいい。だから、ボランティアではなく、やはりビジネスとしてやれることで次のことができるということなので、必要なキーワードは、私たちが何ができるかよりも相手が何を必要としているかです。ということを改めてここで声を大にして言わせていただきたいんです。これを、済みませんが、ビジネス界、水だけではなくかなり忘れております。なので、私もこの辺を気を引き締めて今立ち上げているところです。  キーワードは省電力、リバース・イノベーション、BOPビジネスと、このような形で、次のこの、世界最大のインフラ投資は水ということでこのように書いていますが、やはり東南アジアというのはかなり大きい市場ではあるのは確かです。なんですけど、じゃいきなり本当にインフラがどんと要るのかといったときに、そこはやっぱり現場の声次第だろうなと思いますので、その辺のところを改めて皆さんの資料として、これは。  次の、本当はこういうようなことをもっと細かく調査しなきゃいけないと思います。だから、改めてマーケティングをしないと、しっかりマーケティングということをしないと、さっき本当におっしゃいました、お二人がおっしゃいました、同じ東南アジアでも全然違うんですよね。メコン川流域でも違います、本当に。タイ、カンボジア、ベトナム、よく言われますけど、これ全然違います。  確かに、飲める水が要る、排水処理、ビジネスとしてはそのどちらか。水源が海なのか川なのか、あとは地下水なのか、雨水、雨水ですね、の利用と、この四つなんですけれども、その組合せでいろいろあるんですけど。だから、それぞれの国のマーケティングというのをもっと我々水ビジネスをやる人間はしっかりしなきゃいけないんだと。  なので、そのときに本当に今世界が必要としているのは、まず、いい悪いではなくて、私のやろうとしていることなので、安心、安全な飲める水。これはロングタームで考えないといけない。やっぱりそのときにハイテクじゃないんですね。ローテクでやはり安心、安価でないといけませんし、ローリターンなんですよ。だからこれに耐え得るような仕組みをつくっていかなきゃいけない。  だから、そのために重要なのがメンテナンス・サービス業務をきめ細かく。これ、日本人の強みです。電化製品買われて、その後のアフターケアなかったら皆さんは怒りませんか。そういうのと一緒なんですね。でも、東南アジアに行って、そういう文化、カルチャーがないです。だから、そこはちゃんと、汚い水飲んじゃいけないよみたいな、本当に衛生教育から、そんなこと知らないのと思われると思うんですけど、そんなもんなんですね。だから、そのようなところから教えていかなきゃいけない。教えるというより一緒にやっていくという目線なんです。  人材育成と書いていますが、やはりここには僕はやっぱり今すごくJICAには人材の宝庫だと思っていますので、青年海外協力隊など。クメール語がしゃべれるなんてもう僕はすばらしいなと思うんですね。そういう人たちを更に活用させていただいて、今そういう仕組みでカンボジアに行こうと思っています。私が今からクメール語を勉強しても知れていますから。  現地でのビジネス窓口というのは、こういうものがあれば助かるんだというようなニーズを言うところがないという声を現場で聞いています。なので、やはりJICAさんやジェトロさんに集まりますけど、じゃ今度これを日本でどこに投げていいか分からない。なので、そういうような窓口も必要だろうと。  一番大事なのは、やっぱりお金になってくると思います。なので、そのような形で我々が必要なネットワーク力とファイナンス力を国が応援したくなる仕組みを提案して、こちらが出してくださいじゃなくて出したくなるような、皆さんが、行動をして、国会に上げていただいて、是非これを応援したいんだというような仕組みを今精査してやっておりますので、是非その際サポートをいただきたいと思って、鋭意今プレゼンしています。  さっき言いました三つのうちの一つ、省電力。今の、いい悪いではありません、三・一一で分かったことが、大規模集中で図ってきて、今すばらしいんですよ、日本水道事業というのは本当に。これ、別に批判ではなくて。ただ、残念ながらすごい電力を使っている。上水道でここに年間七十九億キロワット時、下水道で七十一億キロワット、ということはトータルで百五十億キロワットですよね。これ、原子力の二・五基分です。なので、それぐらいの電力が、今水道を蛇口をひねると電気が要るんです。なので、今、地方自治体の四割を支出で圧迫しているのは水道事業です。なので、そのことも含め、今ある物を壊す必要はないんですけど、新たに造るのであればやはり小規模分散の水道・給水システムを考えていいんじゃないかなと。  今回、震災直後で石巻へ行ったときにこの緩速ろ過という一番プリミティブな、もう砂ろ過みたいなですね、砂だけ通すような、元々東北は水源がきれいなんですけれども、その浄水場は潰れず役目を果たしたというようなこともあり、やはり小型というのも見直すべきじゃないかなと、こういうときに。ということで、そのようなことで本当に電力を使うんだぞということで、電気のことを考えなしに水道のことを考えられないよということだけをお伝えしたかった。  で、リバース・イノベーションというのは、昔なら先進国で造ったものを途上国で使っていた。今は逆で、途上国でむしろ使われるものが安全で安価なんで、それがアメリカなり日本なり先進国で使われる。逆ですよね。だから、ここに書いた中国農村部の超音波診断計なんというのは一万五千ドル、これ先進国用でやると一千万円以上掛かるらしいんですけど、中国で造ると百三十万円と、こんなものなんですね、これ現地で造りますから。それが今やむしろ世界で使われているということなので、リバース・イノベーションというような形をもっと日本人は取り入れてビジネスのマインドに組み込んでいかなきゃいけないということです。  最後に、これはもう以前もJICAの方が話されたと聞いていますので、さらりと。  さっき言いましたBOPビジネスというのはベース・オブ・ピラミッドということで、世界今七十億人ですね、そのうちの四十億人というのが貧困層だと言われている。その人たちを巻き込んでビジネスをつくっていこう。お金持っていないのにどうするんだというのはあるんですが、知恵絞れということなんですよ。だから、今までもっと考えてない、技術をつくれば売れた時代は終わりましたんで、全員で知恵を絞って売っていかなきゃいけない時代なんで、そのためには何が必要かという視点で必要なものさえ作ればいいと思っています。  で、そのBOPビジネスという中に、やはり僕が一番勇気を得るのは、下のBOPビジネスの特徴と書きましたけど、この中小企業の強みもそうなんですけど、日本人の皆さんが自分のことを発揮しやすい場があるんですね。特に、ウオームハートと書きましたけど、日本人のDNAに組み込まれている思いやりの心だとか人に貢献したいという、これや慈悲の心ですね。これをこのBOPビジネスという観点を使っていくとそういうDNAも呼び覚ませるんで、何か大事なものをどこかに置き忘れてきているような気がするんです、今の日本人は。なので、私も含めてですよ、それを取り戻すためにも、このようなビジネスで、その代わりすごい知恵を絞らないと、利益ありきではできないんです、これは。なので、むしろ必要な技術を持っている、技術を生かせる中小企業って九割以上あるわけですから、それを連携してやっていこうというのが僕のこのBOPビジネスの、ちょうど一月末にJICAさんに提出したんですけれども、そのようなものが一つ応援したくなる仕組みなのかどうなのか。でも、そこで、そうじゃなくてもこれはキックオフしましたので続けていきますが。  このような形で私の水ビジネスやり遂げますので、是非御協力ください。リーダーシップは違いをつくり続けることです。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  16. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は会派にかかわらず発言いただけるよう整理してまいりたいと思います。  質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。  なお、質疑の時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願いしたいと思います。  それでは、質疑のある方。  藤末さん。
  17. 藤末健三君(藤末健三)

    ○藤末健三君 今日はお話ありがとうございました。参議院議員の藤末でございます。  私、山田先生と森社長に御質問がございまして、まず山田先生に御質問あるのは、私は、若い方は海外に行くと元気になるという可能性をえらい秘めていると思っておりまして、実際にずっとODA委員会に所属させていただいて海外に行き、一度同僚議員と議論させていただいたのは、若い方々が大学なんかで海外に支援に行って単位が取れる制度をつくろうじゃないかという一回提案を受けたんですよ。それで、ODA委員会で議論して、実際に文部科学省でそういう制度をつくりました。年間何十人しか行けないんですけれども、つくって運用しているんですけど。一つ先生にお聞きしたいのは、学生が今海外に行かないということをよく言われる方がおられますけれども、逆に行ってもらうにはどうすればいいかと。特に政策的に私たちができるようなことがあれば、ちょっと教えていただきたいというのがまず一つございます。  あと、森社長に二つちょっと御質問ございまして、一つは、私は森社長と同じようにアジア一つにするという夢を掲げておりまして、余り人には言っていないんですけれども、私は、四十年ぐらい掛ければだんだんだんだん国境もなくなり、アジア一つになるのではないかと信じて仕事をさせていただいています。  その中で、私が森社長にお聞きしたいのは二つありまして、一つは、やはり日本としてのイニシアチブ、それをどういうふうに取ればいいかというようなもしアイデアがあれば教えていただきたいと思います。我々政治家が何かを一つにまとめ、そして提案をし実現できるようなものがあれば、ちょっと具体的なものを提案していただきたいというのが一つ。  そして、もう一つございますのは、私も四年前ぐらいに実はカンボジアを伺いまして、カンボジアの井戸掘り事業とか、あと堤防を造る事業なんかをずっと見て回らさせていただいたんですが、やはり雨水で生活されている方がほとんどという状況を、今でも変わっていないと思います。具体的に、二つ目にございますのは、カンボジアというものを見たときに、私たちがさせていただけるようなものは何かないかということをちょっとサジェスチョンをいただければと思いますので、以上、よろしくお願いいたします。
  18. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) 直接びしっとお答えできるかどうか自信ありませんけど、一つは、今の若者がもう本当に海外に行って仕事をするという、ある一定の層はあるのは事実ですよ、だけど総人数としてはもう絶対減っているのはもう直感的に私も分かります。  その一つは、例えば、私のところにさっき言いましたように文科省の大きなプロジェクトで毎年十人、中国韓国ベトナムの非常に優秀な学生を大学院生として私の研究室に十人来ると言ったら、もう日本人の学生は、そんな恐ろしい研究室行きたくないと、こう言うんですね。何でと。まず言葉も僕は英語もしゃべれないしと、もう全く腰抜けみたいなんです。これは私の大学だけじゃないですよ、全国でそんなことが起きているんですよ。  ある大学なんかは、もう留学生の面倒を見るの嫌だという、これは某帝国大学で、教授会でもう留学生の面倒なんか見させるなと、かなわぬというのもあります。国策として留学生三十万人計画というのがありますけれども、現在、十三、四万人来ていると思いますけれども、実は、先生たち、それから准教授、助教の人たちの世話をしなきゃいかぬノルマ、ノルマというか仕事が余りにも多くて、それに割いてもらう人材大学の事務系にもない。  それ用の人材を置いてくれないから、まずは成田空港に行って、私が行って、私の車で、アパートを見付けてあげて、ちょっとその間にアルバイトをさせようと思ったら、まずイミグレーションのところへ行って許可をもらってと。一回の、何というか、仕組みで留学生がぼんと全ての事務ができるような仕組みがこの国はなっていないんですよ。だから、あっちの役所に行って、あっちの役所に行って、あっちの役所に行って大体それで一週間掛かっちゃうんです。私がその一週間それを付き合わざるを得ないという、もうそんなことばかりなものですから、全国的に、もう留学生、嫌だと。そうすると、日本人の我々のレベルでもそんなことを言う人が増えてきているんです。  もう一つは、多くの例えば役所の中でも、国際派は余り高く評価されていませんでしたよね、長い間。国内でいい仕事をした人がやっぱり出世して、国際派というのはどこかちょっと別のポジションみたいな感じが、例えばこの近所の霞が関辺りでもずっとあったじゃないですか。それではもう日本駄目なんだよというのは、国挙げて、もう国会議員先生方から、皆さん、もう国際ビジネスでしか日本はやっていけないよというような雰囲気を全部出してもらわない限りは、もう一教育機関なんかでちょろちょろ言ったって、もうほとんど聞かないと思います。  それから、これを比較しますと、私、この文科省のプロジェクトで中国の清華大学とか重立った大学に行くんです。そうすると、これ協定結ぶんですけど、あっちの学長と。そうすると、あっちの学長は、ああ、いいですよ、今すぐ調印しましょうと言うんですよ。ああ、いいですよ、その場でするんですよ。その場でサインすりゃいいと言うんですよ。ところが、日本に帰ってくると、私立大学だろうが国立大学だろうが、まず学部の教授会にかけて、全体の学長の決裁を受けて、最低でも半年掛かっちゃうんです。ところが、世界はもうその場で学長決裁で、ああ、協定結びましょう、留学生の交換やりましょうと、もうそれで終わりなんですよ。このスピード感が、さっき竹谷さんも、それから社長も言っておられましたけど、世界のスピード感と全然合わないんです。それで、我々は、その間にごちゃごちゃごちゃごちゃしたもう手続論ばっかりやらなきゃいけなくなって嫌になっちゃう。  その反対に、例えばフランスは、中国の留学生、水関係の留学生、河海大学って、河と海の大学といって、中国に水利部というところがあります。ここが、日本でいうと国土交通省河川局みたいなところなんですけれども、そこの高級官僚をつくり出しているのが河海大学というんですけれども、フランスは毎年河海大学の四年生を八十人全額持ちでポケットマネーまでくっつけて、飛行機代から生活費、全部フランスで教育して、また中国に帰すと。つまり、フランスと中国の関係は非常にハイレベルな関係を結ぶためにそのぐらいやるんです。  ところが、日本で少しそれに近いことをやろうと思って文科省も考えたんですけど、じゃ、学生がちょっと学会に出張するからと言ったら、いや、出張費は文科省の金では出せません、大学独自でやってくださいと。で、どんどんどんどん今留学生は増えていますから、一プロジェクトだけに金付けるわけにいきませんから、結局もう何か私なんかのポケットマネーで学会の出張費を出してあげたりせざるを得ないのが現状で、余りにもみみっちい帳簿の付け方で、こんなもんで世界と戦えと言われても、もう無理です、はっきり言って。  中国人の九割は、まずアメリカに留学します。一割がヨーロッパに行きます。残りのほんのちょっとのところが日本に来ているのが現状でして、こんな留学生政策をやっていて、世界日本がそのプレゼンスを主張するなんていうのは、もう大笑いです。  この五年間で留学生への奨学金は四〇%減っています。国際化しようしようしようと言いながら、留学生への奨学金はどんどん減っていると。本当は留学してきて、その国に、タイでもカンボジアでもベトナムにでも帰して、非常に水関係の強力なネットワークをつくってやっていきたいと我々も、みんなも、私だけではなくて多くの方が考えているんです。  例えば、中国では渤海湾の浄化作戦なんていうのは、日本中国韓国とで一緒にやれるじゃないかと。渤海湾がもう汚れ切っちまっているので、あそこから出てくる魚が本当にまともに食えるのかどうか、あるいは金沢の方に出てくる巨大なクラゲがあそこから来ているとも言われていますけれども、渤海湾浄化作戦。あるいは、イラクは、元々チグリス・ユーフラテス川の末端がエデンの園と言われていたんです、非常に実り豊かなところだったんです。ところが、チグリス・ユーフラテス川をみんなむちゃくちゃな使い方をしちゃったものだから、最末端がもう水がなくなって砂漠化していった。さらに、フセイン政権のときに、そこの辺に住んでいた部族と仲が悪いものだから、そっちに水が行かないような政策までやっちまったとか。  そういうときに、ちょっといろんな話をせざるを得ませんけど、先進国の中で日本だけが国際河川を持たない先進国なんです。つまり、お隣の国と川の問題で争う必要のない先進国なんです。デンマークがナイル川の、ナイル委員会の調停やるのは国際河川を持っていないからなんです。ちょうど日本がそれをやれるんですね。アメリカじゃやれないんです。アメリカはコロラド川の水を全部使っちまって、メキシコにはもう一滴たりとも出していませんから。だから、アメリカは調停役にはできない。それで、フランスもドイツもライン川をめぐってむちゃくちゃのあれが歴史的にありますから、国際的なところでええ格好はできないと。
  19. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 先生、済みませんけれども、そろそろお話を締めくくりをお願いします。
  20. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) 終わります。済みません。
  21. 参考人(森一君)(森一)

    参考人(森一君) 二つ、日本のイニシアチブとカンボジアの件ですよね。  ちょっとまずカンボジアの方からお話しさせていただきたいんですが、私、実はカンボジアを選んだ理由というのは、すばらしいベストプラクティスがあるんですね。これは北九州市がJICAさんのODAの依頼によりやって、実はプノンペン市は水道事業がちゃんとできています。なんですけど、僕はそれを楽しみにして行ったんですね、飲めるんだなと。飲めないんですよ。じゃ、何でだろうと思って、そのときぜいたくにもインターコンチネンタルホテルって、向こうでは一位、二位のホテル、泊まったんですけれども、その中も飲んじゃ駄目って言われまして、へえって思ったんですけれども、やっぱりその維持、メンテが悪いんだと思うんですね。  当然、日本がやっていることはすばらしい水道事業なんですけど、そこの多分浄水場で、手を突っ込むのかどうか知りませんが、その衛生管理面であったりとかというのを現地で言っていましたので、飲めるところ飲めないところがばらばらなんですね。なので、せっかくやっているODAがうまく運営されていない。そういうところを、更に向こうに貢献できるような形にしたいという。  それと、当然そこだけではなくて、今、カンボジアはもう日本で言うと明治維新なんですよ。ポル・ポトがああいうことになって、すごく優秀な方が亡くなりまして、若い人たち、若い国なんですね。いろいろ外資を誘致して国を挙げてやっていこうと。その中で、日本人の皆さんが結構いろいろと出ていってやろうとしているし、向こうも日本人大好きなんですね。日本人熱、日本語熱、日本の法律も学ぼうなんということもあって、だからそういうのだと日本、我々がやる事業を受け入れてくれやすいだろうということもあって、なので、いろんないいものが点としていっぱいあるんです、カンボジア。僕、見た中でカンボジアが一番あって、僕はですよ、それを線にして面にしたいんですね、ムーブメントにしたいと。  そうなると、インフラという大きな話になってくるんじゃないかなと。その草の根のところは、私ははいつくばってやろうと思っているんですけれども、そういうような中に、きっかけは絶対経済であるべきだと思うんですけれども、最終的な国と国とのつながりになってくるときはやっぱり政治家の皆さんのお力添えでネットワークとしてつなげていきたいので、そこが私はカンボジアを選んで是非一緒に藤末議員とやりたいところなんですけれども。  イニシアチブというのはすごく僕も難しいと思います。これはもう行動していく上で見付けていくしか僕はないと思っています。ただ、余りにも言うことだけが多くて、今。ただ、まず僕たちが考えを改めなきゃいけないのは、日本の強みは技術だと言い切っちゃう人がいますけれども、それよりは、技術は当然いいんですけれども、それを生かすサービス力だと僕は思っているんですね。だから、そのことをもっと頭に置いて、一つの大きな組織にしていくのにはやっぱり政治家の皆さんの力が要る。  なので、さっき言いました、目的が明確になった水会議みたいな、本当に水がないところに水をつくるんだというような、別に会議がいいかどうか分かりません、それは一つの手段ですから。そういうときは、やっぱり僕らは一民間企業、特に今は零細企業なものですから、それでは無理なもんで、皆さんのお力添えが必要なんです。そういうところを一歩一歩やっていく姿をアジアの人たちは見ていて、それで、あっ、日本てすごいな、もう一度リーダーシップ取ってくれるんだなと思ってくれるんじゃないかなと僕は思いますけれども。  以上です。
  22. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございました。  次に質問をお受けします。  加藤先生
  23. 加藤修一君(加藤修一)

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  三人の皆さん、大変にありがとうございます。  まず最初に山田先生にお願いですけれども、いろいろ話をお伺いしまして、我々としても外国人の留学生をいかに受け入れるか、受け入れやすくするかというインフラ整備ですよね、そういったところが不足している可能性は十分あり得ると、大変先生御苦労さまでございます。  それで、先生の説明がなかったように私は思っていますけれども、地震と洪水の発生に関する統計上の違い、あるいは透徹した知力、この辺についてちょっと説明をいただきたいのが一点と、それから倫理性を強調されておりました。確かにそういうところはあると思います。マレーシアはたしか一九八〇年代にルックイースト政策をマハティール首相が言い始めまして、それは勤労意欲の関係、倫理性の関係等を含めてあると思っていますけれども、先ほど、メコン川流域のいわゆる上流ですね、ある大国が十五のダムを造るという話で、これはまさにそういう別の意味での倫理性にかかわる話だと私は思っていますが、それに対してはどういうふうにお考えでしょうか。以上二点が山田先生に対してです。  それから、竹谷先生に対しては、先生資料の中で、二十ページ、パワーポイントの二十のゴールと書いてあるところですけれども、被災を許容せざるを得ない地域あるいは被災後復元力のある地域社会の構築、レジリエンシーの話がありました。これはある意味では、社会ソフトといいますか社会的な制度をどうつくるかにかかわってくる話で、例えばそのうちの一つとして、自然災害がもたらした被災地に対する保険の適用ですよね、災害保険、これは世銀とかADBなんかも心掛けている話ですけれども、こういう復元力、許容せざるを得ない地域がいち早くレジリエンシーを確保するという意味では、そういう社会的な制度をいかに早く導入するかということも非常に私は大事だと思っています。これが第一点と。  それから、カントリーリスクと洪水のリスクですよね、これをどう考えるかという話で、洪水のリスクというのは非常に東南アジア・モンスーン気候帯で大きく考えなければいけないのかと、その辺のところをどうお考えかという。  そして、最後には、それに関連してくるんですけれども、河川の定常確率過程というのはやはり揺らぎ始めてきていると思うんですね。定常確率過程が揺らぎ始めてきている。そうすると、河川計画とか洪水計画に対する影響も出てきているというふうに考えざるを得ないわけですよね。だから、そういう揺らぎに対する土木工学的な視点も当然出てくると思いますので、そういう対策上どう考えればいいかと、その辺、よろしくお願いします。
  24. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) まず最初に、地震と洪水の発生に関する統計上の違いというので、これは地震先生がいたら、そんなに大胆に割り切るなよと多分言われるんですけれども、大ざっぱに言えば、地震はひずみエネルギーがたまって耐え切れなくなったときにぼんと起きるというのが、大ざっぱに言えば起きるわけです。ですから、大体ある種の周期性を持つわけですね。  例えば宮城沖地震というのは大体四十年に一回起きる、四十年ぐらいでしたかね、一回起きると言われています。それに対して洪水というのはあした起きるかもしれない。それから、二回連続、二年連続あるいは二日連続起きるかもしれないという、いつ起きるか分からないというのが日本における洪水ですね。竹谷さんが説明されたような大きい大河川になると、降ってから一か月もたってから水が来るなんていう大きな川がありますけれども、日本の場合はもう二日連続起きてもおかしくない。つまり地震というのは、ある種の一回解放されると少し、少し間が空くんですけれども、洪水というのはいつでも起きる可能性を持っているもの、これは同じ自然災害でも非常に違いますね。  それから、次に透徹した知力というんですけれども、防災関係の研究をやっていますと、とんでもない誤解に基づいたものが独り歩きしちゃうことがよくあるんですね。これ何回と言いませんけれども、日本人って何というか、ガセネタで動いちゃうというところがかなりありまして、例えば私が学生のころ、成田空港を造るときに、航空燃料を総武線で運ぶのは非常に危ない、けしからぬじゃないかという、もう猛烈な世論がありましたけれども、航空燃料ってそんなに危ないのっていったら、もう灯油よりも燃えにくいわけで、既にもうそんなもの、ガソリンの方が燃えやすいものがとっくに運んでいるのに、航空燃料という言葉を一個使ったがゆえに非常に危険だというふうにみんな間違えちゃって、数年動きが止まっちゃったというのがあるんです。  そういう、そんなばかなことをしないで、徹底的にそれがどのぐらい危険なものなのか、あるいは現在の放射能でもそうです、どのくらいまでが本当に危ないんだということをもう国民がしっかり理解した上で正しく怖がろうねというのが透徹した知力ということになります。  それから、最後に、定常ではなくなってくるというのは、これは非常に我々の学問分野でもこれをどう扱うということになるんですけれども、現在の地球温暖化のシミュレーション、世界の十何研究機関が出しているIPCCの報告によると、だんだん台風の発生個数は減るんだけれども、一旦起きた台風は巨大になるというふうに言われているんですね。つまり、気候が極端化していくというふうに言われています。だから、定常だけじゃなくて極端化が進んでいくと。  それに対して、適応策、今から手戻りのないような適応策を考えようというので、私、土木学会の委員長をやっていまして、これ一般の方からも募集しましたら三百幾つのアイデアを出していただきました。だけど、出しただけで、何にも前に進んではおりません。  これが現状で、地球温暖化と非定常化が起きているという、定常じゃないことが起きていることに対する治水計画の見直しというのは当然起きる、起きてきつつあります。現在は、地球温暖化を考慮した日本の川といえども、治水計画には全くなっておりません。
  25. 加藤修一君(加藤修一)

    加藤修一君 倫理性の関係はどうですか。ある大国の十五個のダム上流に造るという、これは倫理性にかかわる問題だと私は思ったんですけれども、その辺については。
  26. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) 私、それに関して、大体、中国の雲南省の雲南大学に、あそこの上流側のメコン川、そもそも中国はあれはメコン川と呼びませんから、ランツァンジャンと呼びますので、そういう研究所があるんです。  ところが、ほとんど情報は公開してくれませんので、まずこの川の情報とかダムの情報というのは普通、世界では機密情報で出てきません。ましてや、ああいうところは出てきません。仕方ないから人工衛星で見たりして、どういうふうになっているんだと。  それに対して、彼らは経済発展の方が猛烈にインセンティブ高くて、雲南省の連中ですら怒っています。雲南省のところで起こした電気ですら上海に送らざるを得ないと、地元に電気残せないんだと。そういう経済発展に伴う電気を何でつくるかという彼らの差し迫ったところで、もう倫理性もくそも何もなく進んじゃっているような気がする。そこにどんとくさび入れられるのは日本ぐらいじゃないかと思っているんですけれども。
  27. 参考人(竹谷公男君)(竹谷公男)

    参考人竹谷公男君) ありがとうございます。  加藤先生、非常に専門的で鋭い質問をいただきまして、ありがとうございます。  まず最初に、保険、保険というか私が見据えた被災を許容せざるを得ない地域、例えば今回の東日本震災でも、一定の高さまで守っていたんだけれども、その防潮堤を越えたところが被災すると。すると、次の話は、次の構造物は同じか、少し低くなるか同程度だろうと。つまり、今回の地震津波を防ぐ構造物なんか造らないと。そうすると、同じような外力が来たときには、あるエリアは被災すると。そういった意味で、リカバーの強いと。それが復元力のあると、こういう言い方をしているんですが。  私どもは、おっしゃるように、タイの洪水でも、それ以外の洪水でも、その前、ジャスト前のページにこの非構造物対策の一番右端が保険制度と、これは私が並べた順番なんですが、保険制度というのを並べているように、やはりその保険制度も大きな柱だと思います。復興資金が、消費税を物すごく上げぬといかぬとか、あるいは二十兆円というお金が掛かるような程度の復興資金が掛かる、復興のコストが掛かるような地域の在り方がレジリアントだとは思えないので、逆に、その辺のバランスをこれから皆さん議論していくんだろうと思います。  同様に、タイでもそういうふうなことは議論になっていますし、タイでも洪水保険があります。ただし、御存じのように途上国、タイはもう中進国ですから途上国ではありませんが、途上国で保険制度を入れようと思うと、なかなか各個人が保険に入るという習慣がそもそもありませんので、日々の生活にも苦しい人たちが保険に入るという余裕はないので、結果的に、まさに御指摘のあった世銀だとかアジ銀は国家保険制度のような、国家で掛けて、災害があったら、瞬間的にそのインフラのリカバーとかそういうコストを出すような制度を考えていると思います。  あと、個人保険制度の洪水保険でいうと、日本のような住宅保険、火災保険に付加してみんなで分担し合うような保険制度と、アメリカの洪水保険のように、洪水の起こるエリアに限定して、例えば、水深一メーター、二メーターまで洪水の起こるところの料率は非常に高くて、結果的に、市場原理で、そこからなるべく洪水のないところへ逃げていくことをガイドするような政策誘導を持った保険制度もありますし、フランスのように、日本と同じように、自由と平等と博愛で全員が持つというのもいろいろあると思います。それはタイでも考えています。  二つ目、カントリーリスクと洪水のリスクはどう考えているのかと、あるいはどうなのかと。  特に、アジア・モンスーンでは、洪水のリスクというのはかなり、どちらかというとカントリーリスクとしては高い方だと思います。どの国も経済発展に治水投資が追い付かない、かつての日本の高度経済成長の初期の段階と同じようなフェーズにあるのも確かです。  一方で、例えば、今日は御説明しませんでしたが、パキスタンのように、河口から上流まで総延長六千キロに及ぶような利根川のような大堤防を築いて、それがあるがゆえにインダス川の両側がかんがいをして緑になっているという国も当然あります。それは大概がパキスタンの場合はイギリスの英国統治時代に造ったようなものの遺産で今も生きていると、そういうようなケースもあります。  そういった意味では、カントリーリスクはそれぞれの国によって大きく異なりますし、そういうものを見て、あるいはそういう情報を出していって、日本の企業の海外進出でリスクのなるべく少ないところを選んでいくなり、あるいはそういうところを重点的に日本側も支援していくような施策のチョイスも当然あるんだろうなと個人的には思っています。  三つ目は、三つ目が最も非常に鋭い御質問をいただいて、かつて定常性は死んだといったような議論が出たことがありまして、国際会議で。まさに過去百年の統計的なアプローチで見たらあしたが予測できないと。それは経済活動だけじゃなくて自然現象でも、かつてのいろんな統計分析の上に乗ってきたような自然事象が全く乗らなくなったんじゃないのかという根本的な議論を国際会議でも提議し始めている人たちもいますし、それが三日間ぐらいの国際会議のメーンテーマになるといったような動きも一方ではあります、おっしゃるように。  そういう意味で、例えばタイなんかは、今、東大の沖研究室と一緒になって将来の気候変動の予測を盛り込んだ将来のマスタープランを作ります。ですので、海面がどのくらい上昇するんだろう、昨日今日は、例えば二〇一一年の洪水はこのぐらいの雨で、それがおおむね五十年から七十年に一回ぐらいの洪水だったんだけれども、それがあと三十年後だったら更に倍になるのか、あるいは一・五倍になるのか、あるいは減るのか、あるいは山側では増えるけれども平地部では減るとか、トータルエントロピーは同じでも分布が偏在化するのかとか、そういうことを含めて、まさに御指摘の定常性から少し踏み込んだ気候変動の影響も、日本の最先端のナレッジを生かしてインプットすることによって、あれだけ多くの日本企業が進出したエリアの安全性を少しでも高める支援をしたいなと思っております。  以上です。
  28. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございます。  次に、山田先生
  29. 山田俊男君(山田俊男)

    山田俊男君 私は、今、加藤先生のお話とも少し関係するかもしれませんが、竹谷参考人に御質問したいんですが、御案内のとおり、先生からも報告があったように、最近のアジアの大洪水が紹介されているわけであります。  私、経験したことの一つとして、一昨年の夏に飛行機に乗って、そして北部中国の吉林省の大洪水を飛行機の上から見ましたが、それこそ水田はほとんど埋まっているし、それから町も水につかっている様子がうかがえたんですけれど、党の幹部は、渇水や干ばつに比べると、肥沃な土、水、運んでくれるんだから、いや、それほど心配することはないんだなんて言っていましたが、いやいや、さすが大陸的だと思いながら聞きました。  一方、和歌山と三重県におきます我が国のつい最近の台風による集中豪雨は、山間部だったということはあるわけですが、しかし、あれは地層から崩壊するという事態が生じまして、深層ですね。それで、結果として、本当はあれが町部であれば大変なことだったというふうに思います。  それから、もう一つは、御紹介のありましたタイやマニラを始めとする大洪水のことごとがあるわけですね。これらについてどんな受け止めをした方がいいのかということなんです。  御案内のとおり、地球温暖化の中で、こういう形での集中豪雨による被害はもう常態としていつ起こっても仕方ないぐらいな形で起こってくるんだというふうにこれは受け止めて、そのための対策をというふうに言うのか。まあしかし、必要なんでしょう。  しかし一方で、もう一つこれ、何といいますか、文明論的と言ったらちょっとあれですが、それから社会経済の発展の仕方によってこういうことが生じているというふうに見るのか、問題は一体どこにあって、こうした事態をどんなふうに受け止めたらいいのかということについて御意見といいますか、考えがあったら是非お聞かせ願いたいということです。
  30. 参考人(竹谷公男君)(竹谷公男)

    参考人竹谷公男君) 非常に難しい根源的な質問をいただきまして、ありがとうございます。  JICAという組織としてお答えするにはとても難しい問題で、当然今日のプレゼンも私の個人的見解ですと書いています。そういった意味で、まさに個人的見解にすぎないんですが、どう考えるべきかというのは、一つは、今後同種の災害は増える方向なのか減る傾向なのか。恐らく増えると思います。これはもう体感的に増えると思っています。  例えば、例年のタイの洪水ですら、雨季というのは五月から始まって、一月、二月、三月なんというのはもう非常に天気がいいはずなんですが、今年は非常にナーバスになっていますが、もう二月の段階で大雨が降ったり、非常に気象状況がおかしいです、やはり。  そういった意味で、ただし、先ほど言いましたトータルエネルギーの保存法則じゃないですけれども、同じコップ一杯の水がゆっくり垂れるのかどさんと垂れるのかによって実は被害というのは変わります。ですので、外力の総量が一体でもそれの発現期間が短くなると瞬間になるし、それがシフトするあるいは地域が変わると、従来の雨の降り方だとか気象条件だと何億年、何百万年にわたって自然淘汰で山の弱いところは落ちて谷になって、一定の安定状態になっていたものは、まさに、加藤先生が御指摘になったような、過去の定常性の中で落ち着いただけであって、その定常性が乱れてくると、恐らくそれがもう一度落ち着くまでの間というのは相当乱れるだろうなと。  そういった意味で、個人的には非常に今後とも起こり得ると。世界各地で洪水とか災害が起こるだろうなというふうに私は個人的に思って、そういう心積もりで自分たちの仕事を見ております。  それと、山岳地域とモンスーンのところとか、それは、日本は特に山岳地域のところに台風だとか雨雲が来たときに瞬間に降り始めるという意味でも非常に気候変化が激しく起こりますので、短時間で。そういった意味で、タイだとかアジア・モンスーンのほかのフラットな平野部の都市よりもおっしゃったような地域の変化は更に激しいと思います。  あくまでもこれは科学、歴史がやがて証明すると思いますが、感覚だけです。
  31. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございます。  次に、質問を受けます。  松田さん。
  32. 松田公太君(松田公太)

    松田公太君 今日はありがとうございます。みんなの党の松田公太でございます。  たまたま先月、たまたまと言ったらあれですけれども、ODAの視察でタイにも伺わせていただきまして、ミャンマー、ラオスも回ってきたんですけれども、そのときにお話が何回か出ましたキティラット副首相ともお会いしましたし、あとウィラポン洪水対策委員長ともお話ししたんですが、JICAさんの活躍ぶりは本当に何回もそのお二方からも出ましたし、非常に感謝しているというお話だったんですけれども、これは竹谷先生にお聞きしたいんですが、一九九九年当時に作られたマスタープラン、そのときに、これをもうちょっとこうしておけば今回のこの洪水、もう少し被害を低くすることができたんじゃないかと思われるような部分がありましたら是非教えていただきたいのと、今回のそのマスタープランですね、これJICAさんが中心になってお作りになっているんですけれども、どういった点を気を付けていらっしゃるのかということを教えていただければと思います。  また、もう一つ、森先生にお聞きしたいんですが、私も実は以前ビジネスをやっておりまして、目的と目標ということの大切さを非常に痛感しております。目的を持たない会社が最近多いんじゃないかというふうにおっしゃいましたが、実際そのとおりだと思いますし、やはり目的を明確化するということは非常に重要だと思うんですが、それ以上にもしかしたら重要なのは、その目標を、目的ではない、目標の方ですね、その目的を達成するためにはこういう目標を設定しましょうということで、明確に、詳細に、具体的に設定することじゃないかなというふうに思うんですけれども、輝水工業さんはどのような、例えば今後五年間で、目標を持ってやっていらっしゃるのかということと、日本はこのインフラ、水ビジネスに関してどのような目標、例えば五年後という姿でいいですから、持つべきだとお考えかというのを教えていただければと思います。
  33. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) それでは、竹谷参考人ちょっとお休みいただいて、森参考人から。
  34. 参考人(森一君)(森一)

    参考人(森一君) 目標、全くそのとおりだと思います。  まずは、目的と言いましたけれども、やっぱりまず大事なのはビジョンですよね。どのような、会社もそうですけれども、会社にするのか、どういうようなピクチャーを描いてここに行くのかというところがまず大事だと思いますし、そこに目標があって、そのために何をするかでアクションプランというのができてくると思うので。  五年後の輝水工業と言っていいんですか、我々は元々純水装置を造る会社だったので。ただ、純水というのは今二つ柱があって、三つ目の柱がこの命の水プロジェクトで、これをまず大きな柱にしようとしています。  二つ、今まである純水というのはもうほとんど日本では余り使われなかった、日本でのマーケットとしてはシュリンクしてきました。だけど、まあおかげさまでというか、幸か不幸か、もう本当にこれは痛ましいあれなんですけれども、三・一一以降やっぱりいろいろな飲料工場がダメージを受けましたので、国から、サントリーの大企業から中小企業までフル稼働で飲料をとにかくつくれと、去年たしかあったと思うんですよね。それによって、純水というのはやっぱりそういう飲料メーカーだとか、あと電力も少しあるんですが、そういうところに使われる水なんです。  なので、今おかげさまで、そういう意味では、元々純水装置というのがもう古くなっていて取り替えなきゃいけないところに更に酷使したわけですから、去年、なので、そういう意味での取替えというのが必要になってきているし、さらに、そこには今に見合ったいい技術というのがあるので、そういう形で飲料メーカーが更にいい飲料をつくれるような純水を供給するという部分が一つと。  もう一つは、去年、これ環境省のバックアップもあってやらさせていただいた、うちは、さっき最後にちょっと見ていただきました、温泉の図があったと思うんですけれども、温泉水のろ過だとか、例えば老人ホームだとか病院のお風呂のろ過もやっているんですね。なぜかというと、やっぱりいろんなお湯の中に入っている成分が御老人に悪かったりするものですから、そういうようなところのろ過というのもやっていて、その辺のところから温泉というものに対しての我々のノウハウがありまして、それが温泉発電につながっているんですね。地熱とまではいかないんですけれども、そのもっとコンパクトになった温泉発電の一つで、去年、松之山温泉というのが新潟にあるんですが、豪雪地帯です、そこに実証実験で初めて日本の中で本格的に稼働できたんですけれども、それも純水なんですよ、我々が。  だから、純水という意味で見直される時期が来たなと思っています。なので、日本もそうなんですけれども、それで、五年後にこの純水を五倍にしようと、純水装置をですね。  というのと、今言いました日本の水、命の水プロジェクトにつきましては当然カンボジアで終わるわけではなくて、カンボジアで、さっき申しましたように、一番日本がやりやすい。やはり実績主義だと思うので、一つ何かがないと実績はと聞かれる世界だと思いますし、当然ビジネスもそうなので、やっぱり実績をつくっていきやすいリソースがあるので、それを早くつくって、五年後にはメコン川流域に我々が、今言った、当然輝水だけじゃないです、中小企業の連携でつくった給水システムが農村部、あちこちにできているというような現状、ちょっと数字で申し上げられないのが申し訳ないんですけれども、今その試算表を作っているところでございまして、プロポーザルを作った後なので、そういうのがメコン川流域でできているという状況です。  以上です。
  35. 参考人(竹谷公男君)(竹谷公男)

    参考人竹谷公男君) ありがとうございます。  今の松田先生の御質問、一九九九年のマスタープランの後どうしていれば今回の洪水は防げたと思うのかという、ストレートにお聞きいただいたのでストレートに返しますと、実行をフォローできなかったと、そういう制度になかったと。あるいは、JICAとしては、当時もそうですが、日本ODAというのは要請を受けてやりますので、受けた要請に関しては完璧に返して、合意してマスタープランを作ったと。当然それをタイ側は受けて、やるという前提で受けていただいたので、その後、例えばちょうど円借款とかそういう資金供与は要らないと、自国の資本でやるとかいろんな議論があった、ちょうどがっと来たときですので、それがそういうものの実行をどうしようかというところにフォローができていなかったと。  それは、JICAが悪いというよりは、むしろ当時の日本ODAの制度というのは向こうからの要請でもってフォローするわけですから、残念ながらそれはできなくて、むしろ経済発展の方に、例えば鉄道だとか空港だとか道路だとか高速道路だとか行かれて、ほとんど日本の首都高のようなものがそこらじゅうにあるといったものに彼らが傾注していったと、そういったところがあると思います。  じゃ、今回同じようなことはないのかと、今回マスタープランを作っても同じようなことにはならないのかという、当然我々としても、我々の枠組みを超えてやることはできないのは確かなので、当時は何もJICAがミスをしたわけでもないと思っています。JICAはやるべきことをやったんだけれども、残念ながらタイの方が、別のところを含めてがっと動き始めた中で彼らも忘れてしまったと。  じゃ、今度はどうかというと、担保せぬといかぬ、当時と日本企業の進出度合いも違うし、あそこの洪水が日本の経済に与えるインパクトももう雲泥の差ですので、JICAが復興のニーズアセスに乗り込んだ以上、担保する責任があるというふうに、私は個人的に乗り込む前から、十月の十九日に行きましたが、行く前から責任の重さは痛感しておりました。  ですので、おざなりな支援はできないし、乗り込んだ以上は日本企業の皆さんがさすがJICAと、あるいはさすが日本の支援だと、ODAだと言われることをしないと駄目なので政策を担保しないといけない。技術的な提案はさることながら、どう政策を担保していくかというのが重要な問題なので、結果的に私は、キティラット副首相ともお互いにうそはつかない、隠し事はしない、不都合なことでもきちっと提言する、耳の痛い話でもお互いに議論するということを二人で約束をして、先ほどお見せしたような、十一日十四時間にわたる議論をして基本的な政策の対策を決めてきました。  ですので、どちらかというと、通常のODAの枠を若干踏み込んでしまっているかなと個人的にも思いますが、普通の支援でマスタープランを作るとか、あるいは技術支援をするとか、資金の支援をするということだけで担保できなかった過去の経験を、私は、それはJICAの組織もさることながら、私の個人としても関与した以上はそこをやり切らないと恐らく満足のいく日本の企業の皆さんからの評価は得られないと。それは結果的に日本の国力を低下させることになるだろうということで、大げさな話ですが、前線に乗り込んだ一個人としても、先々の日本企業がそこで最も効率よく国際競争力のある企業活動ができる環境をつくるためには深く政策に関与せぬといかぬだろうということでキティラット氏とも話をしました。彼は非常によく分かってくれて、そういった意味も含めて、その国家首相と副首相が共同議長をするような委員会の顧問になってくれと言われて、逆に言うと、そういう形でしか日本企業の安心感は得られないという側面もあるんだと思います。  以上、済みません。
  36. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございました。  では、質問をお受けします。紙さん。
  37. 紙智子君(紙智子)

    ○紙智子君 今日は三人の参考人の皆さんありがとうございます。最初に、森参考人からお聞きしたいと思います。  私も、実は一昨年前にODA調査ベトナムとそれからカンボジア、ラオスというふうに行きまして、まさにメコン流域のところの水をろ過して、飲める水にしていこうということでの事業を見させていただきました。  それで、その途中で、多分ラオスかどこかだったと思いますけれども、病院に寄ったときに、小さなお子さんがやっぱりよく亡くなるケースがあるんだけれども、水をきれいにするということの中で死亡率が減ったという話を聞いて、非常に大事なことだなというふうに思ったわけです。  そういう形での貢献というのはすごく大事なことなんですけれども、ビジネスとしてやっていくという場合に、これ先ほど森参考人が、原点はやっぱりボランティアというか、現地で何が一番求められているかということを本当に考えてやっていくんだという話をされていたわけです。それで、ただ本当に利益を上げてやっていくということになると、この事業というのはなかなか大変だなというふうに思うんですよ。  それで、この委員会でもって去年調査で大阪、神戸にも行って、行政の皆さんからも話聞いているわけですけれども、そのリスクというか、このことを海外に行った場合にどうするのかという問題も当然考えるということになると、やっぱりお話をお聞きする中で、行政のスタンスとそれから企業の皆さんともちょっと、何というのかな、若干スタンスというか違いがあるなということを感じましたし。  今、民主党政権なわけですけれども、その政権として掲げている新成長戦略の中で水についてはパッケージ型インフラ海外展開ということで、それで水ビジネスは、チーム水・日本ですか、ということでやっていって、政府がトップ外交、トップセールスだということで、メーカー単独でなくて、設計とか建設とか運営も丸ごと企業連合を組織してやっていくんだと、そうやって競争していくんだという話があるわけですけれども、そういうことで果たしてやっていって実際どうなのかなと。  温度差がやっぱりあるわけですよね。行政の側は、国内でやっている水道事業だって非常に費用的には大変な面があるわけだし、だから、出かけていってそこで、もちろん技術はいろいろありますからやるけれども、じゃ出資も含めてやれるかというと、財政的には大変だったりとかするわけですし。  一方、企業の側も、出ていくためにはもっと支援が必要だということの中でどうなのかということがあったり、企業同士も、やっぱり自分たちが持っている技術というのは余りひけらかさないというか、ある程度守らなきゃいけないみたいなものもあったりして、そういう……
  38. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) 紙さん、質問の焦点を絞ってください。
  39. 紙智子君(紙智子)

    ○紙智子君 はい。  そういうのもあるので、そういう中でその課題となることというか、その現状課題についての御意見を伺いたいということが一つです。  それと、山田参考人竹谷参考人には、ゲリラ的豪雨ということで、今和歌山の話もありましたけれども、結構あちこちで起こってきていて、これについての観測体制とかメカニズムももちろん大事なんですけれども、急ぐべき対策、優先課題という点で、それが何かということについてお聞きしたいと思います。
  40. 参考人(竹谷公男君)(竹谷公男)

    参考人竹谷公男君) ゲリラ豪雨の急ぐべき対策は、特に私は、その海外の支援の部分の仕事の面からいいますと、やはり地上観測網の整備というのが一番だと思います。望むらくは、近代的なテレメーターとか電波で送るとかそういうことじゃなくてもいいんですが、どちらかというと地に足の付いたきちっとした地道な積み上げによってしか、ゲリラ豪雨というのは狭い範囲で起こりますので、短時間に、カバーできないと思っていますので、そういったものが必要だと思います。
  41. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) まず、ゲリラ豪雨ですけれども、実は日本はゲリラ豪雨を見付けるレーダーシステムが非常に進歩しまして、現在気象庁と国土交通省でレーダー網を持っていますけど、国土交通省のレーダー網の方がはるかに新品を入れていまして、XバンドMPレーダーという新しいレーダーシステムです。  これは私が委員長で、ずっともうこれ私が提案してやったシステムなんですけれども、実はその前にもっと大事なことがあって、ちょっと三つぐらい言います。  まず、ゲリラ豪雨に対しては予報が大事でしょう。そのためにはXバンドMPレーダーという世界最高級のハードがもう日本で用意されたと。それはあらゆる情報網、ネットワークを通じて個人レベルでもデータ取れる。それから、これは国土交通省のレーダーシステムを気象庁がそのままデータをもらって、近いうちにもっときめの細かい短時間予報をやると、数分先までの予報までやるというふうに今動いています。これは予報で、実は国土交通省河川局、今は河川局という名前が変わりまして国土保全局になりましたけれども、ハードばかりやる国土交通省じゃなくて、ゲリラ豪雨なんか洪水予報をする国土交通省というのをミッションに入れたらどうですかと、それも全国の中小河川まで全部国土交通省と気象庁が共同で予報をやるというシステムはどうですかと、ずっと提案しています。でも、なかなか動きません。是非、今もう幅一メーターの川まで予報を出せる能力を日本は持っています、それからネットワークも持っているし、そういうシミュレーション手法も持っています、やるかやらないかだけですね。予報です。  それから、今度は、ハード的には下水道とか中小河川の整備をきちっとやるということですね。下水道、雨が降って大抵のところは下水管に入るわけです。新しい町は雨水管に入りますけれども、古い町は下水管に入ります。下水管の容量が昔の雨で設計していますので、ゲリラ豪雨じゃあふれてしまうんですね。だから、もう一回やり直さなきゃいけないところがあります。だから、その二つ。  それからもう一つは、ちょっと余談ですけれども、もう十何年前に、日本のレーダーシステムはすばらしいから中国に輸出したらどうだと私強く言っていたことがあるんですけれども、大抵の人が、いや、レーダーはココム違反になって駄目だよと言って、よく調べもしないでみんながそう言ったんですよ。ああ、そうかなと思って。ところが、もう十年前に中国アメリカのレーダーシステムの特許を全部買っちゃいまして、もう自分の自家薬籠中のものにしちゃって、今インドの気象予報システムは中国のレーダー網でもうカバーされてしまったと。本来日本がやるべきところをそういうへんてこりんなガセネタで、あれはココム違反だから絶対あんなものは中国に持っていけないよなんて、と言っている瞬間に実は中国アメリカからもう全部特許を買い取っていたという、こういうことがあって、せっかく日本が売れる技術が手遅れになってしまう。  それから、多分バンコクなんか都市部なんかの局所的な豪雨の予報というのは、従来型のレーダーじゃ粗過ぎますので、このXバンドMPレーダーという世界最高のいいシステム、そんなにお金が掛かるわけじゃないので、是非これは日本技術的な、ここは技術なんですけれども、技術の輸出に向いているんじゃないかと思っています。  以上です。
  42. 参考人(森一君)(森一)

    参考人(森一君) ありがとうございます。すばらしい御指摘なものですから、私の課題でもあるんですけれども。  現状、本当に思います。水ビジネスに命を懸けているのかと、それぞれの企業が。やるやると言っているところがですよ。特に、じゃ、水ビジネスって何を言うかというのがまず大きいんですね。水道事業を言っているところもあれば、排水処理だけ言っているところもあるし、今おっしゃったある一定の部分のろ過、すごく間口が広いビジネスなんですね。  なので、日本には水道事業を、じゃ一つで、ヴェオリアだとか、フランスのですね、イギリスのテムズだとか、そういうのがありませんから、そういうような企業は今ないんですよ。だから、よく吉村先生がおっしゃる、部品売りみたいな形でおっしゃるんですけれども、膜だけ売るとか、それぞれの技術だけをというようなことになるんですけれども。だから、持っている割には本当に海外に出ていけていない事実というのはやはり現状としてすごくあって、ただ皆さんが見られている、視察、すごく行かれているように、今聞いた中でも何人かいる、聞いていて、そういうような情報も点としてあって、何でもっとそれが面にならないのかなと思うんですね。  だから、そういうような今の現状で、その中の、当然企業もいろんな企業があるわけですから、大企業であったり、中小企業であったり、その規模によってできることというのが出てくると思うので、やはり国がそういう方針であれば、民主党政権がそういう方針を出されているのであれば、それにのっとった形で我々ができることというのをもっとコミュニケーション取れるんじゃないかなと思うんですね。  課題は、そういうような現状を踏まえて、やはり連携が今の日本ってすごく不得意だなって思います、いろんな意味で。さっきおっしゃいました技術を見せないって何でだろうと思うんですけれども。もう今やそんな時代じゃなくて、日本の中で当然マーケットもなくなってきていますし、だから海外になんて安易な考えで出ていくのは無理で、海外の方が難しいわけですから、ビジネスとしてつくるのは。なので、そのためであれば、やはりいい意味での協力をしないと。その中で、言いましたコ・クリエーションの共創をするためのコンペティションは必要なんだと思うんですね。だから、はなから自分のところだけ抱えているって、確かにそういう業界あるんです、水処理業界の中で。そういう部分というのはすごく課題だなと思います。  だから、一つ、そういう意味でも、この中小企業はもう何やかんや言っている、火が付いていますから、後継者もどんどんいなくなっているわけで、だから、それをモチベーションを上げるためにもこういうチームをつくろうと思い立ったのもあるんですね。だから、そういうような形で、一つそういうので動き出している事実をつくらなかったら、連携を取って、一つのベストプラクティスがないと誰も信じないし、目に見えたものでなかったら誰も動かないので、そういう部分、だから、一つの物を作るための、連携を取るための何が欠けているのか、僕はマインドだと思っているんですけど、そういう部分だと思います。  以上です。
  43. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございます。  では、質問を受けます。加藤先生
  44. 加藤修一君(加藤修一)

    加藤修一君 大変興味深いお話を今まで伺っていますけれども、まず森参考人にお尋ねしますけれども、リバース・イノベーション、これも重要な指摘だと私は思います。それで、雨水、天水の話言いましたね、手短に言いましたけれども、レイン・ウオーター・ハーベスティング、これをどう見直すかというのが私はあると思って、どう生かすか、これを日本でもやっぱり生かす必要があるんではないかなと、そんなふうに思っていますけれども、その辺についてはどうお考えかというのが一点ですね。  それから、竹谷参考人には、パワーポイントの三十八番目ですね、十九ページにありますけれども、新治水対策マスタープランのコンセプトということで、長期的な対策についてはその思想というのは非常にシンプルなんだと。ためると、放水すると、私も共有できます、これは。それで、ためるという場合に、その雨水、天水、これをどう利用するかということも私は大切だと思うんですよ。  韓国のソウルは、都市の中にミニダム的に貯水槽を造って、台風が近づいてきたらばっと放すとかですね、それで洪水が起こりづらいように抑制効果を与えているという話も聞いたりするんですけれども、そういう雨水、受ければ資源だけれども、そのまま流せば洪水につながる、そういう流達時間を短くしないで長くすると、そういうことだと思いますけれども、そういう雨水の利用の関係についてどうお考えかと。  それから、山田先生で、先ほど先生が重要な指摘をしたと思うんですね。ゲリラ豪雨に対して下水道の施設についてやり直すと言ったんですね。やり直すべきだと。やり直すといっても、これは大変なインフラ整備になる話で、今政府がやっているのは、たしか一時間に百ミリで安心プランというのを作っていると思うんですね。それはもう流達時間を長くするとか、浸透させるとか、貯水槽を造るとか、そういう話だと思うんです。やり直すって先生が指摘されたのは重要な視点なんですけれども、その辺はどうお考えかなと、そう思っております。  それで、雨水については、これをいかに推進、利用するかということについて、今議員立法で国会に継続審議中でございますので、そういうことについては参議院は非常に関心持って水問題やっているということについても、三人の参考人の皆さんに御理解をいただきたいと思っています。  以上です。
  45. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) それでは、まず森参考人からお願いします。
  46. 参考人(森一君)(森一)

    参考人(森一君) 加藤先生の今の話、ありがとうございます。すごく勇気をいただきました。私は、個人的には雨水推進派でございます。  結局、水源は何かというと、天水ですよね、まず。天水、河川水、地下水、雨水と、この四つがあって、当然それにあと排水の利用、再利用ですね、それが来るんですけれども、日本は当然こういういい水に恵まれていますので、海水淡水化プラントを使うほどはないので、海水はちょっと置いておきますが。やはり、そういう意味でもっと雨水に注目すべきだと僕は思います。特に、当社の方でやったのが一つありまして、品川駅の駅中って今すごく盛んになっていますよね。そこは雨水を利用した形で、中水は全てその水で使っていただいています。それがなぜ横展開できないのかというのが不思議なんですけれども。だから、雨水というのはやっぱり天の水ですし、当然、降るとき降らないときありますけれども、日本の場合、ちゃんとためておけば問題ないと思いますので、もうちょっと雨水に対してのそういう中水利用だとかそういうところの意識が高まればいいなと僕は思います。なぜか、散水だけだとか、そのままためているところはあるんですよ。特に東京都墨田区とか、結構雨水に対しての意識は高いんですけれども、じゃ、それをろ過してもう少しという一歩も踏み出せていない部分がありますので、それはもう少し僕も、今、力を入れようとしていましたので、今の加藤先生のお話を聞いてもう少しメーンにしていきたいなと思います。  以上です。
  47. 参考人(竹谷公男君)(竹谷公男)

    参考人竹谷公男君) ありがとうございます。  御指摘の、ためると放水、ためるか流すか。実はその次のページに、ためるというのは上の上流ダムでためるのと、中流域でわざとはんらんさせて、農地にはんらんさせて、農地であれば都市と違って被害も少ないし、特にタイは三期作ですので、そのうちの一期を少しシフトするとか、かつてのような浮き稲、一メーターの水深の上で米ができるような稲作に変えるとか、そういった意味で、実は今先生のおっしゃった流域全体の雨水をそこのエリアでためることによって、治水対策であると同時にそのためた水がかんがい水になるといったような、そういった意味で、御指摘のページに洪水と利水の融合と書いていますのはそういう意味です。  ですので、マクロ的に流域全体で見ると、降った雨を害のある洪水でなくてベネフィットになる利水として再分配して流域で使おうというのが基本的なコンセプトで、このコンセプトはタイの元々のコンセプトで、もっと言うと、現在の国王がモンキーチーク、猿のほっぺたと、猿が木の上に上がったときに食べるものを取って、手でもって枝を伝わぬといかぬので、ほっぺたの中にためて、ぱんぱんに膨らむほどためておいて、それを安全な食べる場所に来て食べるという意味でモンキーチークと呼んでいるんですね。  これは実に含蓄の深い言葉で、ただ洪水を海に捨てるだけならためる必要はないんですね。それをあえてモンキーチークと言ったのは、一旦ためて、つまり水は米粒と同じなんですね、タイにとっては。気温が年間一定ですから、いつでも米はできるので。日本のように五月に田植して秋になって収穫した後は冬になるというパターンじゃありませんので。そういった意味で、雨水はなるべく洪水とせずに利水として利用すると、それが流域全体です。  おっしゃるように、バンコクのような都市部ではどうしているかというと、今のところ排水をメーンに考えていて、なかなか利用をするというほどまで来ていません。その理由はなぜかといいますと、もちろんウオーターサプライはちゃんと水道から出るというのもありますが、今回被災したアユタヤという上流は海から八十キロぐらいあります。そこで地面の標高差は一・五メーターぐらいしかありません。バンコクで標高〇・五メーターだと。海抜としますと、アユタヤで海抜二メーターです。ですので、東京から高崎まで行っても二メーターしか上がらないと。こういうことなので、とても流せるほどのボリュームがないので必死になって海の方に流すと。  ですので、先ほど、ここのこの赤いラインから内側はどちらかというと排水をメーンに、降ったものは流すし、流域全体の洪水はこの中には入れないという考えです。その上流に関しては、農業地帯なので、むしろ洪水を利水として使うことによって、洪水を少しでもプラスにして米に変えていくと。こんな意味で、雨水利用を、言ってみれば流域全体でボリュームで二百億トンぐらいのボリュームです、はんらん水が。ですので、先ほど言いました徳山ダムが七億トンだとすると、それの三十個分ぐらいの水の量をはんらん水として流域全体でためて利水にするという、極めてアジア・モンスーンのメガシティーの中では特殊な川ではあります。  以上、そんなふうな利用です。
  48. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) ゲリラ豪雨に伴う下水管の再敷設とか改善という問題があるんですけれども、現在、例えば東京都でいいますと、一時間に五十ミリの雨に対して大体設計しています。それ以上、しょっちゅうそれ以上の大雨、激しい雨が降っていますので、今七十五ミリ対応にやろうとしています。  私、東京都の豪雨対策委員長でもあり、東京都の中小河川整備の委員長でもあるので、その辺はちょっと多少詳しいですけれども、つまり、一時間に五センチに対して、一時間に七センチ五ミリ、たった二センチ五ミリ増えるだけで、これを全部神田川できちっと流そうと思うと、もう全然神田川の疎通能力が足りなくて、これをハードで全部がちがちに守ろうとしたら二、三兆円掛かります。都市土木というのは物すごいお金が掛かります。大したことやらない割には物すごいお金が掛かります。それじゃとっても東京都といえどもやれないねというので、貯留をしようとか浸透させようとか、いろいろやります。  それで、千葉県で液状化で有名になりましたある市がありますね。あそこのゲリラ豪雨対策は私が五年前に設計したんですけれども、さっき言われた貯留施設がどこか入れられないかと思って、公の市が持っているミニ公園の下とか、もうできるだけそこにため込むようにしました。それから、あの辺は地盤沈下で下水管が、何というか、逆勾配になっているような、不等沈下によって地下の下水管がぐじゃぐじゃになっているんです。さらに、そこに昔の設計で入れた下水管に対して激しい雨が降りますからあふれてしまう。それで、できるだけ公の土地で貯留できるところを探しましたけど、東京近辺でもう無理です。ほとんどの公の土地は何らかの形に使われていまして、もう貯留を入れ込む場所はありません。  今、もう一つ私が考えて、最近実験やって割とうまくいっているのは、屋上に非常に安価な保水性セラミックスを敷くと。要するに軽石みたいなものです。現在、屋上は屋上緑化をすることでヒートアイランド対策とかそういう保水能力を屋根に持たせようとやっていますけれども、このためには建築基準法をちょっと改正しないと、屋根の強度をもう少し強めに設計してくださいと改善してくれれば、屋根にその軽石を載っけて水を吸い込ませることができます。  ただ、つまり、五センチに対して二センチ五ミリですから、二センチ五ミリ分を吸い込んでくれればいいわけで、そこをやるところに対して税法上の優遇策とかいうのを出していくとかしない限り、都市部で貯留はもうほとんど、もう普通の意味の貯留はもうできないと。物すごいお金掛かり過ぎるのと場所がないということで、屋上貯留をするしかないかなと思っております。これはまた世界に売れるんじゃないかと思っています。
  49. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございます。  舟山さん。
  50. 舟山康江君(舟山康江)

    舟山康江君 民主党の舟山と申します。今日はありがとうございました。  まず、山田先生に、今のと少し関連する質問をさせていただきたいんですけれども、下水管、これはまた別のものに新しく替えていくということに対しては大変お金が掛かるということでありますけれども、一方で、今相当この下水道については各地で老朽化が進んでいて、近々替えなければいけないという議論があると思います。それに当たって、やはりどう効率よく、そしてまた災害にも強いものを安く、できるだけ低コストでやっていくかというのは今本当に問われているんではないかと思うんですね。  そういう観点で、ちょっと今日の主題からずれるかもしれませんけれども、この汚水処理、今の日本課題に適合した汚水処理システムというのはどんなものがあるのか、知見をいただければと思います。  それから、竹谷参考人にもお聞きしたいんですけれども、今御説明いただきました三十九ページの治水対策マスタープランの例ですけれども、これ、多分このアジアだけではなくて、今ヨーロッパでも治水の考え方が、とにかく力でねじ伏せるというところから一定のはんらん原もつくりながら対応していこうという方向に随分変わっているんではないのかなと思うんですね。雨が増えるからもうダムのかさをどんどん上げていくとか堤防を高くしていくということだけではなくて、一部はあえてはんらんさせて、本当に守りたい下流域について守っていくという考え方が随分出てきているんではないかと思います。  そういう中で、日本の治水対策についても、やはりその観点も含めて今後検討していかなければいけないのかなと。そういう中で、まあダムの議論が随分とここ最近活発に行われていますが、こういういわゆるはんらんをさせて地域を守っていくと。とにかく力でねじ伏せると、結局ダムが決壊したときの影響というのはかえって大きくなるという気がするんですね。まあ実際に、今、予想外のゲリラ豪雨の議論も先ほどありましたけれども、そういった局所的な大雨の確率というのがこれから恐らく減ることはないと思うので、そうなった場合に、この考え方日本の治水対策にも応用できるのかどうなのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。  それから、森参考人に、いろいろこの水ビジネス、まさに日本では、水のいろいろな膜処理なんかはもう世界一と言われていますけれども、様々な企業がこの膜処理、水処理ビジネスに今乗り出そうとしております。森さんのところではいろんなチームをつくって連携をして進めていると聞いていますけれども、まず一つは、同業者、同業のほかの企業さんですね、企業との連携というのがどこまでうまく進んでいるのかということ。  それからもう一つ、やはりこういったプロジェクトを進めるに当たって、民間の力で、それこそODAとか、そういったものを借りずにやっている部分と、ODAと組み合わせてやっている部分といろいろあるのかなと思うんですけれども、今のその取組状況。  そして最後、もう一つ、その場合に、いわゆる企業、それから政府とかJICAのような国際機関、まあつなぎ役ですね、あとは、技術的にはやはり学識経験者、大学の力、そういったところの連携がやはり必要なのかなと思うんですけれども、その辺の連携が今どのような形になっているのか、お聞かせいただきたいと思います。  以上です。
  51. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) それぞれ、山田参考人竹谷参考人森参考人、簡単にお願いします。
  52. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) まず、下水管の話。これ、アジア全体の問題で、かつ日本の問題ですので共通の話だと思います。  それで、普通下水管とか雨水管というのは、まあ大体市役所の仕事、あるいは東京の場合は東京都庁の仕事になるわけで、区役所の仕事ではないんですね。これ、ちょっとややこしい話で、例えばさっきから言っています江戸川区みたいなところだと、実はあそこは、ゲリラ豪雨が問題よりは、直下型の地震堤防が壊れて大はんらんを起こしたときに、あの水をかい出せるかという問題なんですね。ところが、排水ポンプはあるんですけれども、それは普通の雨水用の排水ポンプで、五十ミリ降ったときに、ちょろちょろっとその辺あふれた水をかい出すためのポンプが付いているんですね。それは東京都なんですよね。ところが、一番悩んでいる区は何にも手出せなくて、かつその大はんらんを起こしたときの排水ポンプは、これは区が持てるようなそんな予算では造れません。国レベルでかかわらない限り、毎秒数百トンなんてポンプを置いて維持管理なんていうのは、とても区ではできないんですね。この行政のややこしさが、まあアジアでも実は同じことが起きていて、国がどこまで面倒見て自治体がどこまでやるのかというのが、非常にもう一回見直さないと駄目かなと思っています。  それともう一つは、大体下水管なんていうのは地面の下に造りますから、さっき液状化で大変な有名になった市のところで私がそれ作ったけれども、その対策案を市長に渡しましたけど、当時その市長は、これ幾ら掛かるんですかと言うから、見積もって八百億円掛かりますと言ったら、我が市で八百億円も掛かるんですか、これは駄目だと、一瞬のもとに私の作った計画はお蔵入りしました。  その後液状化が起こったときに、もう二日後ぐらいに被害額八百億円って出ましたので、ああ、あの資料使ったなとすぐ分かりましたけど、まあそれは、私の計画をそのままやったとしたって三・一一は起きていますから、もうどうしようもないんですけれども、地面の下のところを、選挙で四年間やられる首長さんにやれる、やる気があるのかというと、私はそうは思いません。あんなもん幾ら造ったって誰にも分かりませんから。  ここは国とか大きい道州制みたいになれば、そういうところの仕事みたいにしてあげないと、地面の下に普通投資は多分しないと思います。その結果、困るのはその地域の市の市民であったり区民であるので、下水道施設をどう造っていくかというのを一般交付税化しちゃうと多分そこに投資は余りしないと思います。それをせざるを得ないという、ある程度ずっと未来永劫せざるを得ないよという仕組みにしない限り多分ほったらかしにされて、何かの災害が起きるまで待っているということになると思います。
  53. 参考人(竹谷公男君)(竹谷公男)

    参考人竹谷公男君) ありがとうございます。  今ここで出したような治水の考え方日本でも使えるのかと、あるいはダムの安全性も含めての御議論があったんですけれども、その大分前に、十七ページにこういうふうなものを出したんですが、つまり、このタイでの考え方の基本というのは、目標とする安全のレベルの言わばシビルミニマムですね。都市における安全性の高さと農村部における安全性の高さを変えているというふうに理解していただく方が分かりやすいと思います。  この新しい治水計画では、例えばチャオプラヤ川は百年の洪水でも耐えられるように造りますと言ったとしても、それは百年の洪水で安全なのはここらだけであって、農地は実は十五年ぐらいで一回ずつあふれて、それを、あふれることによって補償することによって下流の安全を担保するという意味です。  そういった意味で、別のページに構造物対策と非構造物対策の組合せという、こういうものを載せたと思います。つまり、私は依然として構造物対策が必須だと思っています。構造物対策がゼロの上に非構造物対策は成り立たない。ある程度の構造物対策があって、市民の命と財産を一定の頻度まで守れる構造物対策があって初めてそれから上の超過洪水に社会的な担保を、セキュリティーをどうやって担保するかという組合せの議論だというふうに思っております。そういったものを御指摘になったのかなと思っています。  それと、ダムの決壊にこだわるわけじゃないんですが、実は、二〇一〇年に、今日説明しなかったパキスタンのインダス川の洪水の話も用意していたんですが、あそこでは上流にあるタルベラダムという大きいダムの流入量が、この二〇一〇年のインダス川の洪水というのは極めて狂気的な雨の量が降っていまして、恐ろしいですね。単純な確率計算をアジア開発銀行の事務所がしましたが、三千五百年確率の雨が降っています。流入量で見ても三千年の流入量があります。しかしながら、ダムは壊れていません。  ダムには洪水吐きというのがありまして、普通コンクリートだと、日本だと百年の一・二倍ですのでまあ千年ぐらいとか、フィルダムではそれに更に二割増しになるので五千年とか、こういう、ざっくり言うと、そういうオーダーのダムの本体が壊れたら困るのでとんでもない大きな規模の水を流せるようになっていますので、例えばタルベラダムでは三千年の流量が来ると、あるピークでは来たものを全部出しているんですが、それ以前に予備放流をしてありますので、ポケットがありますので、その三千八百年の流量というのは全部ダムにためちゃっているんですが、そういった意味では、造っているメンバーは、恐らく壊れたら一番困るのは自分たちだし、被害を受ける下流の方たちのために造っているわけですから、そういったところは相当慎重にして造っていると思います。  そういった意味では、あのダムがなければ、パキスタンの洪水も二割ぐらい大きかっただろうと思われますので、あくまでもベーシックなインフラの上にどういう組合せをしていくか。ベーシックなインフラなしというシビルミニマムは恐らく経済発展そのものを否定することになると思いますので、できないんだろうなと思っています。  以上です。
  54. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございます。  森参考人、お願いします。
  55. 参考人(森一君)(森一)

    参考人(森一君) ありがとうございます。  本当に今、頭で絵を思い描きながら一歩一歩進んでいるところのお話ができるなと思っているんですけれども、まず、さっき言いました、何が必要とされているかというのがやっぱり必要なんですね。こちらがあるものを押し付けていく形だとやっぱりビジネスにならないし、せっかくいいネタがあってもやっぱり向こうが喜ばないので、ベストは、本当に地域ごとに何が要るのかというような、マッピングみたいな、ニーズを表にしたような、マーケティング調査の後の表にしたものがここにあって、こちらに日本の企業が持っている、日本だけじゃなくて世界中でもいいんですけれども、技術というのをここに列挙していく、それをマッチングさせていくというのが私の構想なんですね。それがこのプロジェクトチームなんですよ。なので、同業他社かどうか分からないし、余りそういうことに僕こだわらないんですけれども、本当に必要なところには必要なものを結び付ければいいので。ただ、それを動かしていくのに、この三者で核となるところを動かそうと。  で、私どもの技術はろ過装置の核となるところですけれども、やはりポンプだとかバルブだとか、そういうようないろんな技術というのは必要なので、それに応じて付け加える。それに当然、おっしゃった産官学、これはもう絶対必要です。これを進めていく上でやっと出会えたのがBOPビジネスという一つの概念で、全然知りませんでした、私も。BOPビジネスって一体何のことかと思いましたけれども、これの概念を使うことによっていろいろなサポーター、協力者が現れましたし、大学の皆さんのサポートを得られるようになったので、そこでJICAさんとの出会いがありましたので、いろいろ、今、ジェトロさんなんかも経産省と一緒に、こういうところも。なので、どんどんそういうことで増えてきて大きくなってきたという事実で、当然これから、まず我々が動いて、こういうようなことがある、それで皆さんに評価していただいて、こういうところが必要だなというのをサポートいただければなと思うんですけれども。  以上です。
  56. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございます。  では、質問ほかに。松田さん。
  57. 松田公太君(松田公太)

    松田公太君 ありがとうございます。  東南アジアでの現場にお詳しい竹谷参考人と、あと気象レーダーについて大変お詳しい山田参考人にお聞きしたいんですけれども、これはたまたま先月ラオスを伺ったときに、日本ODAでできた気象レーダー、ビエンチャンにできたんですけれども、これを視察しに行ってきたんですね。いろんな意見交換をさせていただいたんですけれども、そのときその現場の方のお話から出てきたのは、まだこれ一つでは足りないんだと、集中豪雨であったり気象の変化、そういったものを予測するためには、ラオスという国を御想像いただければお分かりだと思いますが、ちょっと細長くこうなっておりまして、南の方に関してはもう全く今情報が入っていない状況だと。ですから、飛行機事故とか、そういったことも含めてちょっと心配しているんだなんという話をいただきまして、私がそのときにお聞きしたのが、タイの方と連携したらどうなんだと。  例えば、タイの方であれば気象レーダーがあるじゃないかと。そこと連携して、そこから情報をいただくようなことはできないんでしょうかという話をしたら、一切現状そういう情報の交換というのはしていないんだということを言われまして、ちょっとこれについては私、調べてみたいなというふうに思ったんですが、せっかく今日こういう機会をいただきましたので、実際そのような状況なのかと。せっかくタイの方で気象レーダーがあるのに、例えばそれを日本ODAでいろんな協力もしていると思うんですけれども、その情報がラオスには行っていない。非常に無駄な、もったいないなというふうに感じた次第なんですね。  それについて是非お二方から教えていただければと思います。実際それが事実なのかということと、どのような解決策があるのかということを。
  58. 参考人(竹谷公男君)(竹谷公男)

    参考人竹谷公男君) 済みません、ラオスの南側のレーダーの欠落部分があるというのも、私、済みません、把握しておりませんので、少し戻って調べたいと思います。  ただし、二国間の連携というのはなかなか実態的に動かないようで、動くのが難しいようで、どうしても我々JICAは、バイと言うんですが二国間支援なので、逆にそういう意味でも、例えばアジア開発銀行なんかはメコンの、グレーター・メコン・エリアの支援とか、そういう別の国際機関ができるマルチのやつをしていますが、それでも、逆に言うと、そういうものをつくって十年たっても十五年たってもなかなかうまくいっていないように、両者の連携は必ずしもよくないというのは理解しています。  例えばの話ですが、タイの国内ですら、あのチャオプラヤ川の大きな流域が、利根川の流域の十個ぐらいあるんですが、それを十個ぐらいに分けた市、一つの管区ごとにデータの横方向の連携がまだ取れていないとか、国内ですらそういうレベル。それで、私どもは、今回、新しいマネジメントのときに、最低限それがきちっと日本のようにやるべしとか、そういうことを言っています。  そういった意味で、建前、あるべき論からすると当然だろうと思うことが必ずしもいろんな諸般の事情によってできていないことも多いと思いますので、今後私どももその点を留意して支援のいろんな糧にしたいと思っています。  ありがとうございます、御指摘。  終わります。
  59. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) 国を越えて気象情報を共有できるかという問題があるんですけれども、多分アジアはまだそこまで成熟していないと思います。なぜかというと、私、防衛大学の助教授も五年やったことあるんですけれども、そういう専門の方から聞くと、天気予報というのが戦争のまず一番の基本情報なんだと。だから、天気予報をお隣の国にお知らせするなんということは、まずよっぽど成熟した国家間じゃないと、EUぐらいにならないとそれはあり得ないと、ベースにあると思います。  もう一つは、じゃ、ああいうところに雨量計をいっぱい置いてあげればいいじゃないかと言うんですけれども、実際あそこに行ってみてください、あの辺。雨量計というのは高価なものですから、日本円ではそんな大したことはないですけれども、あっちへ行ったら高価で、持っていけば高く売れちゃうものですから、野原にぽんと置いておくともうすぐなくなっちゃうんです。そのために刑務所の塀みたいなものを造って、それから二、三人の職員がずっと雨のをやって、金掛かって仕方ないんです。レーダーの方が一発で分かるねというので、普及させたいんだけれども、なかなかお金も高いからできない。  今、日本で、つくばの土木研究所のグループが人工衛星から雨を情報提供してあげるという方向を、大分技術が進んでいます。これはアジア日本が貢献できる。もう全部に出してあげればいいわけで、まだまだ定量的評価というのは難しいんですけれども、地上の雨量計との比較なんかも相当やらなきゃいけないんですけれども、かなり進んできたので、人工衛星の有効利用というのが我々がアジア一つお手伝いできる手かと思っています。  もう一つは、こういう会で、私、別に、国会ではないですけれども、それに近いようなところの話をするときに、日本というのは非常に中途半端な大国だと思うんですね。アメリカぐらいでかいとまた違うし、デンマークやオランダぐらいだったらまた違うんですね。つまり、先ほど言われましたけれども、デンマークやオランダだと、大体、それ用の会社一つしかないんですね。だから、それ一つだけ応援してあげれば、もう国策として十分それは成り立つんですね。日本でこれをやろうとすると、A社もB社もC社もあるじゃないかということになっちゃって、公平性があるからというので国の情報をきっちり出せない。というわけで、チーム水・日本というのをつくったんですけれども、まだまだそこまで機能していないと思います。  それに対して、韓国は、Kウオーターという水機構と同じような、水資源公団とほぼ同じものが、四大河川の河川事業を五年間で終えろということで、終えたらKウオーターを中心にアジアビジネスやるとはっきり言っているんですね。  日本がちょうど中途半端な国なものですから、アメリカほど大きくもできない、デンマークほど小回りは利かない、それから韓国ほど小回り利かない。ちょうど中途半端で、手が出しにくい大国だなという気がしています。
  60. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございます。  橋本先生、よろしいか。橋本さん、どうぞ。
  61. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 ありがとうございます。自民党橋本です。  今日は、三名の参考人先生方に大変貴重な御意見をいただいて、本当にありがとうございます。  竹谷参考人ですけれども、私、三年前になりますけれども、外務省の副大臣をさせていただいて、ODA担当だったんですけれども、現地でパシフィックコンサルタンツの技術者の皆さんにお世話になりまして、大変勉強になるお話をお聞きいたしました。改めてお礼申し上げたいというふうに思います。  また、森参考人ですけれども、必要なのは安心と安全に飲める水なんだということで、こういったビジネスに情熱を向けてお話をいただいて、大変勉強になりました。  ただ、日本におきますと、山田先生お話しの中で、飲める水が、さらに日本水ビジネスといいますと、一方では、アルカリイオン水にしたりという高い機械を販売している会社ですとか、あとは、もっとそれよりも高度な高電解質というんですか、電解水を、機械を導入してもらうためのビジネスですとかいうことが頻繁にたくさん、今は水ビジネスとして盛んになっているというふうに思うんですね。  そこで、山田先生の方が日本ミネラルウオーターのおかしさということのお話をされたときに、ミネラルウオーターよりも、そのミネラルウオーターを更に上質のものに変えているビジネス日本では非常に今繁栄しているのかなというふうに思いまして、水ビジネスということの何が一番大切なのかというのを私なりに今日はいろいろと勉強になったわけなんですけれども、その中で、質問は山田先生にだけなんですが、資料最後の方に、「アジア国際河川」ということで「水資源、争奪激しく」という、この資料を付けていただいていましたので、ちょっと大変興味があったんですが、私、出身北海道で、地元管内には、ニセコ町ですとか、またいろんな、倶知安ですとか、数年前にオーストラリアの方たちが土地を求めて大変スキー客で観光にぎわっているということで、また最近ですと、中国で北海道の映画が大変はやりまして、空前の北海道ブームでここ数年は特に土地を購入する、また水資源が含まれる保全林を購入するという方たちが大変多くなってきているんですね。  それで、そういったことをやはりしっかりと調査していかなければいけないということで、一年半前のデータにはなるんですけれども、北海道が、土地を取得するというときに、水資源が含まれている保全、そしてまた三十ヘクタール以上の土地を購入した方たちへ、二千百四十一社と言われているんですけれども、どういう目的かということでアンケート調査を幾つかやったんですね。  そうしましたら、それを購入した国で一番多いのが中国、香港も含まれるんですけれども、そしてシンガポールというふうな順番なんですが、圧倒的に中国が多いんですけれども、そこで、二千百以上の会社にアンケート調査を取って、出したところ、四〇%が住所不定で戻ってきているという実態なんです。ということは、売った側は日本の企業に売ったはずなんだけれども、それがいつの間にか実は出資しているのは中国だったということで、もう既に水ビジネスをその中国の方たちがしているということで、それはこれからは大変なことになるだろうという、環境問題も含めて、水資源の保全ということに関して利用規制を張るですとか、そんなことを道が考えたり、それぞれの町が考えたりというふうにしているんですけれども。  今後、こういった現象といいますか、いよいよ日本にもそういった水戦争といいますか、ことが来ているんだなというふうに思うんですが、山田先生から見まして、そういった現象をどう思われるか、また今後、こういったことがどのように、処理といいますか、なしていくべきかということのお考えを是非参考までにお聞かせいただきたいなと思います。
  62. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) 私、一番最初に自民党の中で政務調査会で練った最後に、水の戦略機構というのをつくらなきゃいかぬというので、中川先生が言われて、私、これは自民党の発案だけれども、水なんてものは一つの党の議論じゃないというので、もうみんなに説明に回ってくれと言われて、民主党の先生にも随分説明に回りました。で、月一・五か月に一回ぐらい中央大学で水の戦略機構というのを、まあ総会をやっていますが、そのときは民主党の先生自民党先生、それから公明党の先生も何人か集まっていただいて、それでチーム水・日本という、いろんな水が出てきます。そのときの最初の出発点が、先生が言われた水源林を含むところの土地の地下水を誰がどう管理するのかというのと、水ビジネスという問題を両方、この二つの柱だったんです。  で、水ビジネスの方はちょっとおいておきまして、現在地下水の所有権というのは土地の所有者なんですね。こんな変なことはなくて、別にその人、何の苦労もしていないのに地下水を所有できるなんていうのは、要するに、ぬれ手でアワみたいな仕事なわけですね。  これを、中央大学は法律の先生いっぱいいますから、こういう議論をしたら、いやこれ、所有権の問題は民法だから、民法というのはもう一筋縄じゃいかなくて、そんなのやり出したら百年掛かるよと。じゃ、温泉の水利権はどうなっているんだとか言い出したらもう大変なことになるというので、といえども、この地下水を誰がきちっと管理するのかという、表流水も含めてですけど、特に地下水なんですね。  これは非常に難しいので、私は、水の安全保障戦略機構の中で、まず地下水の流れとその使われる実態を国レベルできちっと把握しようよと。山はこうなってこう、谷がこうなっているんだけれども、ここの地下水は実はこっちの山から来ているんで、こっちの山は開発しちゃ駄目だよとか、そういうことのために、地下水の流れを国レベルでもう全部計算できる時代なんですよ、もうボーリングデータいっぱいありますから。それをやらないと本当のことできないねというのと、法的には水基本法のようなもので縛りを掛けない限り、もう使い放題。富士山の麓から出る水なんてもう勝手に取ったって別に誰も文句言われないわけですよね。これが本当にいいことなのかという、もう国民が知らないと、何かもう先に取った者が勝ちみたいな地下水です。  地下水勝手に取っちゃうと、実は地下水が海岸から出ていて、いい漁場を壊してしまうんですね。この問題を是非この国会の参議院の方で、地下水の実態調査をやろう、やらなきゃ駄目だと言ってくれないと、まず進まないと思います。じゃ、どこの役所がやるのかといったら、また大変だと思います。
  63. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ということでございます。  次、質問を受けます。石川さん。  ここで、石川さんの質問で一応今日の会議は終わりにさせていただきます。よろしくお願いします。
  64. 石川博崇君(石川博崇)

    石川博崇君 済みません、最後の時間をいただきまして。公明党の石川でございます。  今日は大変興味深い話をいろいろ教えていただきまして、ありがとうございました。  私から山田先生に二問、それから森社長に一問御質問させていただきたいと思います。  山田先生には、ちょっと本筋から離れるかもしれませんけど、土木工学に対する学生の関心低下のお話、ちょっとお触れになられましたけれども、私もこの問題、非常に危機感を持って感じておりまして、学科の名称を変えたりとかいろいろやられていますが、うまくいっていないと。これは、将来の日本の国づくり、あるいは都市計画にも相当大きな影響が及ぶと思います。もし、土木工学会の中とかで、この改善あるいは解消に向けた今後の土木工学自体の魅力づくり、あるいは中学、高校生に対する発信とか、そうしたものをされているんであれば一点教えていただきたいのが一つ。  それからもう一つ日本技術者倫理観についてのお話がございました。  おっしゃるとおりだと私も思います。やっぱり、技術を輸出していく中で、日本人の持つ高い倫理性、倫理観というものを一緒に売り出していくということをしていかなければいけないと思うんですが、他方で、実行となると相当難しいハードルもあるのかなと。教育の問題、文化の問題、伝統の問題、お国柄の問題、それぞれ国ごとに違うものがございますので、具体的にどうやって日本倫理観というものを一緒にくっつけて持っていくか、もし何か御私見があれば教えていただきたいというふうに思います。  それから、森社長、大変パッションあふれる情熱的なお話、大変感銘いたしました。全力で私ども応援させていただきたいというふうに思いますし、おっしゃったBOPビジネスを、日本の今中小企業が非常に低迷している中で世界に注目していくということは非常に重要な視点だと思いますが、そしてまた、小回りの利く中小企業こそ、現場の視点で、あるいは現場のニーズに合った形で動けるというのはまさにそのとおりだというふうに思うんですが、しかし実際、いろんな中小企業の方々とお話をしていると、海外事業展開したいけれども、いや、やっぱりリスクもあるしとか、いろいろ不安もあってと、なかなか踏み出せない中小企業の方が大半だと思うんですよね。ある程度体力のある中規模以上の企業であれば、そういうことを考える企業もあるんでしょうが、ここをどう変革していくかというか、マインドも含めて、日本の中小企業の方々の海外展開に向けた後押しをどういうふうに政策的に特に何かお考えがあれば教えていただきたいというふうに思います。
  65. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) それでは、山田参考人森参考人、簡略にお願いいたします。
  66. 参考人(山田正君)(山田正)

    参考人山田正君) 実は今、日本海側は随分大雪が降っています。それから去年も、福島、鳥取で国道が止まっちゃったというようなことがありました。  普通、今までは、地元の建設業と県なり国、国道の管理者との間で自動的に契約していて、大雪降ったら除雪してねと、もうそれは後払いでやりますというふうな形でやっているわけですけど、今はその重機もなければオペレーターもいないという状態になっています。これは、地方の公共事業をどの程度、まあ大もうけはさせないけれども、地域を安定に維持管理していくためにどの程度のお金、人と、公共事業の投資額があるべきかをちょっと真剣に考えないと、ちょっと山間部に入るともう除雪も何にもできなくなってしまって、もう雪で限界集落になってしまうということが増えています。  今も東北の方で土木技術者不足というのが言われています。これは、だから、国全体で地方をどう維持させるためにどのぐらいの公共投資の投資額で人がどのぐらい要るかというのを本気で考えないと、防災上も、いざというときに動くのは結局、土木技術者であったり土木作業員が動いているわけです。これを軽々しく切ってしまったら、地域の安全、安心の部分がもう全く根こそぎになってしまうと思っています。  それから、もう倫理観に関しては、まあ日本人の特性ですから、これはもうその国に行って、私はよく教育を言うんですけど、教育は寺子屋方式の教育しかもう成功しないだろうと、マス教育では。だから、現地に行って、寺子屋的に向こうの技術者と一緒になって汗をかく、もうこれしかないのかなと思っています。そのプロセスを通じて、日本人倫理観、もうどんな偉い人でも自分の職場を自分でほうきで掃く、そこから始まるんだと思っています。  以上です。
  67. 参考人(森一君)(森一)

    参考人(森一君) すばらしい質問をありがとうございます。そのとおりで、中小企業、本当に生き残りたかったら自分で考えろと。  やっぱり、最初に言いましたように、組織はリーダー次第です。だから、本当に社長が本気度を示して、この会社を発展させるのかどうか。そのときに、その事業が社会性があるのかどうか。本当に目的というか、その目標が社会貢献に見合った事業をやらなかったら、もうかるわけないんですね。なので、そういうリーダーを持った中小企業と私は組みたいと思っています。なので、リーダーが他責な中小企業は知りません。自分たちで何とかしようと。  今言ったようなことのマインドを共有してくれるところとのみ一緒にやろうと思いますし、自分たちでやはりやる以上やらないと、他責で、社会が悪い、政治が悪い、どうのこうの言っているようなところに手を差し伸べる必要は僕はないと思っているので、この命の水プロジェクトチームは、そういうマインドを持った人たちの集まりであるべきだと思っています。  以上です。
  68. 会長(藤原正司君)(藤原正司)

    会長藤原正司君) ありがとうございます。  それでは、予定の時刻もそろそろ参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。  一言、御挨拶申し上げます。  山田参考人竹谷参考人及び森参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきましてありがとうございます。おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日のお礼とさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会