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2012-03-22 第180回国会 参議院 外交防衛委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年三月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         福山 哲郎君     理 事         風間 直樹君     理 事         羽田雄一郎君     理 事         佐藤 正久君     理 事         山本 香苗君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 佐藤 公治君                 榛葉賀津也君                 田中 直紀君                 山根 隆治君                 宇都 隆史君                 岸  信夫君                 島尻安伊子君                 山本 一太君                 山本 順三君                 脇  雅史君                 山口那津男君                 小熊 慎司君                 山内 徳信君                 舛添 要一君     ─────────────    委員異動  一月二十四日     辞任         補欠選任         羽田雄一郎君     広田  一君      脇  雅史君     猪口 邦子君  二月二十七日     辞任         補欠選任         宇都 隆史君     片山虎之助君  二月二十八日     辞任         補欠選任         片山虎之助君     宇都 隆史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福山 哲郎君     理 事                 風間 直樹君                 広田  一君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 山本 香苗君     委 員                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 佐藤 公治君                 榛葉賀津也君                 田中 直紀君                 山根 隆治君                 猪口 邦子君                 宇都 隆史君                 岸  信夫君                 山本 順三君                 山口那津男君                 小熊 慎司君                 山内 徳信君                 舛添 要一君    国務大臣        外務大臣     玄葉光一郎君        防衛大臣     田中 直紀君    副大臣        外務大臣    山根 隆治君        防衛大臣    渡辺  周君    大臣政務官        総務大臣政務官  福田 昭夫君        外務大臣政務官  加藤 敏幸君        防衛大臣政務官  神風 英男君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       宮島 昭夫君        外務大臣官房参        事官       山野内勘二君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   宮川眞喜雄君        外務省中南米局        長        山田  彰君        経済産業省商務        情報政策局長   永塚 誠一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外交基本方針に関する件)  (国の防衛基本方針に関する件)  (平成二十四年度外務省防衛省及び独立行政  法人国際協力機構有償資金協力部門関係予算に  関する件)     ─────────────
  2. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、一川保夫君及び羽田雄一郎君が委員辞任され、その補欠として田中直紀君及び広田一君が選任されました。     ─────────────
  3. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事広田一君及び島尻安伊子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、外交防衛等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務省大臣官房審議官宮島昭夫君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  まず、外務大臣から外交基本方針について所信を聴取いたします。玄葉外務大臣
  10. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 外交防衛委員会の開催に当たり、御挨拶を申し上げるとともに、所信を申し述べます。  現在、日本を取り巻く国際環境は著しく変化しています。その中で日本が国益を確保するには、自らが位置するアジア太平洋地域に、民主主義的な価値に支えられた豊かで安定した秩序をつくり、その中で震災からの復興を進め、日本再生を図っていく必要があります。  また、我が国繁栄のために不可欠な平和で安定した世界構築するため、内向き傾向から脱却し、世界の様々な課題解決貢献します。  具体的には、以下のような取組を推し進めます。  まず、アジア太平洋地域成長機会を最大化し、リスクを最小化するために、国際法にのっとったルールを基盤とする開放的で多層的なネットワークをつくることが必要です。そのために、引き続き各国との協力関係強化し、多国間の枠組みを活用します。  日米同盟我が国外交安全保障基軸であり、アジア太平洋地域世界の安定と繁栄のための公共財です。安全保障経済文化人的交流中心に、日米同盟を一層深化、発展させます。  特に安全保障面では、昨年の2プラス2の成果を踏まえ、幅広い分野具体的協力推進します。また、在日米軍再編については、普天間飛行場移設に関する現在の計画を堅持するとともに、在沖縄海兵隊グアム移転及びその結果生ずる嘉手納以南土地返還普天間飛行場移設の進展から切り離すことについて、米国協議を行っていきます。  同時に、強固な日米同盟基盤として、中国韓国ロシアASEAN諸国、豪州、インドなど、近隣諸国協力関係強化し、様々な懸案解決にも取り組みます。また、地域の平和と安定のため、日米中三か国による対話立ち上げを目指します。  領土問題は我が国の主権にかかわる重大な問題であり、解決に向けて引き続き取り組んでいくことは言うまでもありません。  北朝鮮については、金正日国防委員長の死去を受けた新しい事態に適切に対応します。北朝鮮が十六日に発表した人工衛星と称するミサイルの発射は、強行されれば国連安保理決議違反であり、北朝鮮に強く自制を求めます。北朝鮮の今後の動きを十分注視しながら、先般の米朝対話北朝鮮が約束した非核化等に向けた具体的行動を求めるなど、日米韓で引き続き緊密に連携して対応する考えです。日朝関係については日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく努力します。  次に、国際社会の諸課題への取組として、第一に、政治安全保障面貢献します。平和維持平和構築において、より積極的な役割を果たします。一月には南スーダンへの自衛隊施設部隊派遣を開始しました。また、アフガニスタンの安定と持続可能な成長に向け、七月に東京で開催する閣僚級会合成果を上げるべく、関係国協力します。さらに、混乱の続くシリアについては、事態の収束に向けて国際社会と緊密に協力していきます。  核軍縮・不拡散については、軍縮・不拡散イニシアティブ取組等を通じ、核兵器のない世界実現に向け国際社会取組を主導します。不拡散分野では、特に北朝鮮及びイランの核問題に深刻な懸念を有しており、日本はその解決に向け積極的に協力していきます。特にイランについては、EU3プラス3との協議再開に向けた動きがある中、我が国としても、米国を始めとする各国と協調しつつ、我が国が培ってきたイランとのパイプを活用して、問題の平和的、外交的解決に向け努力していきます。  さらに、東京電力福島第一原子力発電所事故の検証から得られる知見と教訓国際社会と共有し、国際的な原子力安全の向上貢献します。  また、安保理改革実現及び我が国常任理事国入りを目指すことを始めとする国連組織改革機能強化に引き続き取り組みます。  第二に、経済社会面貢献します。人間安全保障考え方を踏まえながら、ODAを戦略的かつ効果的に活用し、ミレニアム開発目標達成防災平和構築世界グリーン経済への移行、低炭素成長実現基盤づくり等に取り組みます。同時に、エネルギー・鉱物資源及び食料の安定供給のため、資源国との協力関係強化します。  海外成長日本成長につなげるため、幅広い国々と高いレベルでの経済連携を進めます。TPPについては、交渉参加に向けた関係国との協議を進めていきます。また、アジア中心とする世界の膨大なインフラ需要を踏まえ、ODAも活用して海外市場の開拓も進めます。  最後に、日本的な価値に対する理解の増進と、それを生かした外交推進にも取り組みます。  福山委員長を始め委員各位の御支援と御協力を心からよろしくお願い申し上げます。
  11. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 次に、防衛大臣から国の防衛基本方針について所信を聴取いたします。田中防衛大臣
  12. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 防衛大臣田中直紀でございます。  安全保障防衛という国の平和と安全、国民の生命と財産確保する使命を負うこととなり、光栄に感じるとともに、その責任の重みを感じております。  本日は、福山委員長を始め委員皆様防衛大臣としての所信を申し上げます。  初めに、昨年の東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。防衛省自衛隊は、最大十万人態勢災害派遣等実施いたしました。被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。  我が国周辺の情勢について申し上げます。  本年は、ロシア韓国及び中国といった我が国周辺の多くの国において選挙や指導層の交代が予定される節目の年でもあります。核やミサイル開発を進めている北朝鮮では、昨年十二月に金正日国防委員会委員長が死去し、今後の政治軍事面での動向に注目する必要があります。また、中国国防費の高い伸びを背景に軍事力近代化を図るとともに、我が国近海等において活動を活発化させており、ロシア軍事活動を活発化させております。このように、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、防衛省としては、これらの動向を引き続き注視してまいります。  また、先般、北朝鮮がいわゆる衛星を本年四月十二日から十六日の間に打ち上げる旨発表いたしましたが、防衛省としては、引き続き情報収集警戒監視に遺漏なきを期すとともに、我が国における人命、財産に対する被害を防止するための万全を期してまいります。  厳しい財政状況の中にあっても、必要な防衛力整備は、防衛計画大綱中期防衛力整備計画に基づき着実に進展させていく必要があります。  次期戦闘機については、昨年十二月、公正かつ厳正な審査を経て、F35Aを選定いたしました。また、南西地域防衛力強化については、平成二十七年度末までに与那国島への部隊配置実現を目指すなど、着実に推進してまいります。陸自の定員については、効率化合理化を図る一方、人事制度改革を含む防衛力構造改革実施し、第一線部隊の人員を確保してまいります。さらに、サイバー空間安定的利用のような新たな安全保障上の課題についても、サイバー攻撃への対処能力充実強化等に積極的に取り組んでまいります。引き続き、省内の各機関が先進と改善の気風をもって業務に当たり、全国の各部隊が持てる能力を最大限に発揮するよう努め、防衛計画大綱に示す動的防衛力構築を進めてまいります。  また、昨年十二月、政府といたしまして装備品国際共同開発・生産や平和貢献国際協力における防衛装備品等海外移転に関する基準を公表したところです。  本年は、一九五二年のサンフランシスコ講和条約発効から数えて六十周年に当たります。日米安保体制は、我が国防衛の大きな柱の一つであり、我が国のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとってますます重要になっています。両国間の安全保障関係は極めて緊密なものでありますが、引き続き、平素から日米両国事態推移に応じて適時かつシームレスに連携協力できる態勢強化や、自衛隊米軍相互運用性向上させることにより、部隊活動を活発化させ、両国のプレゼンスと能力を示す、言わば動的な日米防衛協力を進めていくことが重要です。具体的には、時宜をとらえた効果的な共同訓練警戒監視での協力、これらの活動の拠点を増加させる施設共同使用を進めてまいります。米軍再編につきましては、先般、在沖海兵隊グアム移転及び嘉手納以南土地返還普天間飛行場移転から切り離し、米軍再編計画の調整を行う協議を開始いたしました。また、二月二十日には普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書について、沖縄県知事から飛行場設置に係る部分に関し、厳しい意見を受領したところでもあります。知事意見を勘案し、評価書の補正をするなど、法令等に基づき適切に対処してまいりたいと考えています。今後とも、米軍抑止力維持しつつも、沖縄負担軽減が着実かつ早期に実施されるよう、引き続き沖縄皆様の声に真摯に耳を傾けながら、誠実に説明し、理解を得られるよう、全力で取り組んでまいります。  アジア太平洋地域の平和と安定のためには、日米二国間に加えて、地域国々との協力関係を深めていくことも不可欠です。我が国と基本的な価値及び安全保障上の多くの利益を共有する韓国やオーストラリア、さらにはインド東南アジア諸国などとの積極的な協力交流を図り、我が国を含む地域の平和と安定をより強固なものにしてまいります。中国に対しては、安全保障対話防衛交流を通じ、国防政策軍事力透明性向上を働きかけるとともに、不測の事態の防止、回避のための海上連絡メカニズム構築を目指します。  海外における活動については、昨年十二月、政府として新たに南スーダンPKOへの施設部隊等派遣を決定し、現在、部隊が展開しております。昨年独立したばかりの南スーダン国づくりという、国際社会の要請にこたえるものであり、我が国国際協力における新たな時代を切り開くものであると考えております。また、政府としては、我が国のより積極的な国際平和協力を可能とするため、昨年七月のPKO在り方に関する懇談会で整理された課題検討の基礎として、国連PKO等に対する協力在り方法改正の要否について関係府省庁間で検討を進めているところであり、防衛省として引き続き鋭意取り組んでまいります。さらに、ソマリア沖アデン湾における海賊対処活動は、本年で丸三年を迎えます。海外におけるこうした自衛隊活動は、各国から大変高い評価をいただいております。今後とも、隊員の安全確保を図りつつ、万全な態勢で取り組んでまいります。  最後に、国会提出法案について申し上げます。日豪ACSA実施に係る措置等について所要の規定を整備するため、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を今国会に提出しております。委員各位におかれましては、御審議のほど、よろしくお願いいたします。  以上、防衛大臣としての所信を申し上げました。防衛省自衛隊に対する国民の期待と信頼にこたえられるよう、誠心誠意防衛政策に取り組む所存でございます。福山委員長を始め理事委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
  13. 福山哲郎

  14. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 平成二十四年度外務省所管予算案について概要説明いたします。  平成二十四年度一般会計予算案において、外務省は六千百七十二億五千七十三万六千円を計上しています。これを前年度と比較いたしますと、一・四%の減額となっております。また、東日本大震災復興特別会計において、六億七千二百四十三万七千円を計上しています。  他方、ODA予算は、一般会計予算案における外務省所管分として、対前年度比〇・三%の増額の四千百八十億三千二百五十万二千円となっております。また、東日本大震災復興特別会計において一億三千百九十一万一千円を計上しています。ODA予算反転の端緒を開くことを目指した結果、このように、一般会計予算案における外務省所管ODA予算は二年連続の増額となる予算を計上しております。  私は、外務大臣就任以来、着実な成果を目指す結果重視の実のある外交全力で進めてきました。平成二十四年度予算案の作成に当たっては、こうした考えの下、以下申し上げる三つの予算上の重点項目を掲げ、めり張りを付けた上で必要な予算を計上いたしました。  第一に、開かれた復興と新たな成長のための取組です。  震災からの復興日本再生につなげるという逆転現象実現するために、外務省としても、東日本大震災からの復興に最大限貢献するとともに、海外成長日本成長につなげることを目指して新たな成長への取組に注力してまいります。具体的には、開かれた復興への取組として、日本ブランドの復活、強化防災協力や人的及び文化交流推進していきます。また、新たな成長への取組として、自由な貿易・投資体制推進パッケージ型インフラ海外展開促進グリーン成長促進ODAを活用した中小企業海外事業展開支援等実施します。さらに、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえた取組として、原子力安全を向上させるための取組強化します。  第二に、開放的で多層的なネットワークの形成と国際社会における一層の貢献です。  我が国繁栄には、平和で安定した世界構築が不可欠です。そのために、内向き傾向からの脱却を進めることも重要です。特に、アジア太平洋地域リスクを最小化し、成長機会を最大化するために、開放的で多層的なネットワーク地域各国とともにつくり、アジア太平洋地域に豊かで安定した秩序を形成することが重要と考えています。そのためには、日米同盟基軸とした盤石な安全保障体制が必要不可欠です。  また、国際社会が直面する諸課題米国近隣諸国等協力しながら、積極的に関与してまいります。特に、アフガニスタンについては、治安、再統合、開発を三本柱とした支援を引き続き着実に実施します。また、人間安全保障の視点に立って、ミレニアム開発目標達成に向けた貢献を引き続き行ってまいります。  第三に、海外における外交実施体制強化です。  これまで述べてきた政策を着実に実施するためには、海外における外交実施体制強化が必要不可欠です。在外公館整備在外公館職員の再配置を含む体制整備推進すると同時に、情報収集分析能力及び情報保全を含む外交実施体制強化します。  以上が平成二十四年度外務省所管予算案概要でございます。  福山委員長を始め委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。  以上です。
  15. 福山哲郎

  16. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 平成二十四年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成二十四年度予算については、一層厳しさを増す安全保障環境東日本大震災における教訓を踏まえ、平成二十二年十二月十七日に閣議決定された平成二十三年度以降に係る防衛計画大綱及び中期防衛力整備計画に基づき編成される予算の第二年度として、動的防衛力構築を着実に進める上で重要な予算であります。具体的には、実効的な抑止及び対処能力確保アジア太平洋地域安全保障環境の一層の安定化、グローバルな安全保障環境改善に向けた取組推進等を重視するという考え方の下、防衛省自衛隊国民から期待される役割を果たす上で必要な事業と、このための所要額確保することができたと認識しております。防衛省としては、厳しさを増す財政事情の下、真に必要な機能資源を選択的に集中することで、国民の御理解をいただけるよう予算の編成に努めました。  平成二十四年度の防衛省所管一般会計歳出予算額は、四兆七千百三十五億一千八百万円で、前年度の当初予算額に比べますと六百十六億七千九百万円の減となっております。  新たな継続費の総額は、平成二十四年度護衛艦建造費で一千百六十九億八千万円、平成二十四年度潜水艦建造費で五百五十九億五千六百万円となっております。また、国庫債務負担行為限度額は、武器購入航空機購入弾薬購入武器車両等整備提供施設整備等で一兆七千百六億三千万円となっております。  また、東日本大震災からの復旧復興に係る経費として、東日本大震災により被災した自衛隊施設装備品等復旧被災地域での災害派遣活動に使用した装備品等で減耗したものの回復や今後の当該活動に即応し得る能力維持自衛隊災害対策能力向上等に関する事業に対し、歳出予算額一千百三十六億一千万円、国庫債務負担行為限度額六十八億六千八百万円を計上しております。これら東日本大震災からの復旧復興に係る経費は、平成二十四年度一般会計とは別途、東日本大震災復興特別会計に計上しております。  次に、平成二十四年度の防衛省関係予算において、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。  第一に、実効的な抑止及び対処です。平素から常時継続的な警戒監視活動等実施し、事態推移に切れ目なく対応することが可能な防衛力を着実に整備します。  第二に、アジア太平洋地域安全保障環境の一層の安定化です。情報収集警戒監視訓練演習等の適切な実施により、我が国周辺安全保障環境の安定を目指すほか、日米同盟を深化させつつ、二国間、多国間の防衛協力交流共同訓練演習を多層的に推進し、域内協力枠組み構築強化や域内諸国の能力構築支援に取り組みます。  第三に、グローバルな安全保障環境改善です。国際平和協力活動に積極的に取り組むほか、軍備管理・軍縮、不拡散等の分野における諸活動能力構築支援に積極的に関与するとともに、国際テロ対策、海上交通の安全確保のための取組等推進します。  第四に、宇宙・情報通信関連事業実施です。Xバンド衛星通信の整備・運営事業を始めとし、防衛分野での宇宙利用の促進及び情報通信機能強化に取り組んでまいります。  第五に、防衛力の実効性向上のための構造改革推進するため、統合幕僚監部の体制強化装備品維持整備に係る新たな契約方式の試行など、予算措置が必要なもので、一定の結論を得たものから、平成二十四年度予算に適切に反映しております。  第六に、効率化合理化への取組です。我が国をめぐる財政事情がますます厳しさを増す中、優先度と効率性を踏まえた防衛力整備実施するために、装備品等の集中・一括調達などの取組推進します。  以上に加え、教育研究体制等の強化米軍再編への取組、基地対策等の推進などの諸施策も実施してまいります。  これをもちまして、平成二十四年度防衛省関係予算概要説明を終わります。
  17. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) この際、お諮りいたします。  外務省及び防衛省関係予算の大要説明につきましては、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  以上で外務大臣及び防衛大臣所信並びに平成二十四年度外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門関係予算説明聴取は終了いたしました。  外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  19. 風間直樹

    風間直樹君 よろしくお願いします。  今日は、玄葉外務大臣日本外交の基本的な理念について質疑をさせていただきたいと思っております。  今日、この質疑に先立ちまして、実は私、かねがね日本外交における人権の位置付けとはどういうものなのかという疑問を持っておりましたので、日本国憲法の前文を改めて読んでまいりました。私ども、小学校に入りますと憲法を教わるわけですが、特にこの憲法の前文について詳しい授業を当時受けた記憶がございます。今日は数十年ぶりにこの前文を読み返してみたんですけれども、日本外交における人権の位置付けとは何かという視点から憲法前文を読んだ場合に、私の目に止まった部分がございました。  ちょっと読ませていただきますが、前文の中段からですけれども、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という文章がございます。これに続いて、「われらは、全世界国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と、このように記されております。さらに、前文の最後に、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と、このように記されまして、前文が締めくくられているわけであります。  このように、憲法の前文を読みますと、この人権の尊重、国内のみならず全世界における人権の尊重を政府が最大限の努力を挙げて追求するということは、まさに憲法の柱の一つだということが分かると思います。とりわけ、この人権の尊重の中でも基本的人権の根幹は何かと問われれば、私は、それは人間の命、この命の尊厳を守ることにほかならないと、このように感じております。  そこで、外務大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、外務大臣、就任されましてからほぼ半年が経過しようとしておりますが、この間、様々な外遊をされ、様々な国際会議に臨まれ、多くの国の関係者といろんな議論をされたと思います。そういう中で、世界各国における人権の状況について様々お考えになる機会もあったと思うんですが、大臣はこの日本外交における人権の位置付け、日本外交の中でも重要な理念だと思うんですが、その点についてはどんなふうにお考えでしょうか、お尋ねします。
  20. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 風間委員から、日本国憲法を引かれながら、基本的人権というのは日本国憲法の柱であり、あわせて、世界の中でこの問題について日本が特に貢献すべきことであると、こういう趣旨の御発言がございました。それは、私は同感でございます。  外務大臣になって確かに半年、七か月ぐらいでしょうか、特に二つの点でこの人権の問題で各国の外相などと話し合うということがあったかと思います。  一つは、北朝鮮の人権状況決議などについて、各国の外相に会うたびに、その国が例えば棄権をしている、反対をしている、そういう状況であれば、せめて反対をしている国には棄権、あるいは棄権をしている国には是非賛成をという形で各国外相に呼びかけてきた、こういう経緯がございます。ほとんどの反対、棄権の国々の外相には私からそういった要請をいたしました。  もう一つの文脈は人間安全保障という文脈で、ある意味、先ほど基本的人権の根幹とも風間委員が言われた命の尊厳ということを話をしています。  例えば、ミャンマーで、日本はある意味独自のスタンスでこれまでミャンマーの政権側と一定の言わば信頼関係というかコミット、関与をしてきた経緯があるわけでありますけれども、先般、テイン・セイン大統領だけではなくて、アウン・サン・スー・チーさんと会ったときに、是非、アウン・サン・スー・チーさんからは、少数民族や貧困の方々に裨益するような援助にしてもらいたいと、こういう要請がありました。  私からは、日本というのはこれまで、私がというよりは先輩方がある意味築き上げてきた概念であるわけでありますけれども、人間安全保障というのを日本政府は提唱し、実践をしてきたと。それは、すなわち人間一人一人の尊厳というものを大事にする、一人一人の能力を最大限発揮させていく、そういう概念であると。したがって、私たちは、今アウン・サン・スー・チーさんが言われたような少数民族への裨益あるいは貧困層への裨益ということを忘れることはないというような話をした、そういう経緯がございます。  したがって、そういう意味で、人権というものについてその二つの文脈でこの間、各国の要人などとは話をしてきたという経緯があると。  ただ、もう一つあえて言うと、アジアの中で、まあ御異論がある方もいらっしゃるかもしれませんが、やはりいち早く民主主義を取り入れたのが日本だと私は思っているんです。そういう中で基本的人権とか民主主義というのが言わば普遍的な価値だと私は考えておりますけれども、そのときに、いわゆる後で導入したというその経緯を踏まえたときに、日本独自の他国への働きかけの仕方というものが、人権についてもあるいは民主主義についてもあってよいなということを併せて感じながらそれぞれの国々に対して働きかけをしていると、こういう状況でございます。
  21. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございます。  そこで、今日は所信に関する質疑ですので、この所信を先ほど注意深く拝聴しておりましたが、大臣所信の四ページに北朝鮮に関する部分が出てまいります。この四ページの最後のセンテンスにこうあります。日朝関係については日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく努力をしますと、このように書かれています。この部分についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  お尋ねの核心は何かというと、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するという部分であります。当然、今の大臣のお話、お考えを伺うと、この諸懸案には北朝鮮の人権状況も含まれると、こういう理解を私はいたしましたし、それを包括的に解決をした上で日朝の国交正常化を図ると、こういうことだろうと思います。  実は、小泉政権当時、日朝のこの拉致被害者をめぐる交渉があったわけですが、あのときに、当時の政府内部、外務省内部でこの日朝の国交正常化を目指す上での大義名分は何かという議論がなされたということをその後書籍で読みました。船橋洋一さんの書かれたペニンシュラ・クエスチョンという書籍の中にこの部分が出てまいります。  当時の田中均審議官がこの考え、この課題を当時の官房副長官古川さんに相談するといいますか、そういう場面がこの本の中に出てまいります。この中で古川官房副長官は、古川さんの考える大義名分を田中さんに語っていらっしゃいます。  私はこの文章を読みまして、北朝鮮という国の中で、非常に大規模な、そして深刻な人権侵害、人権迫害が様々に報道されている中で、日本国交正常化を目指す大義名分は何かということを考えたわけであります。  大臣、この所信の中では包括的に諸懸案解決するというふうに述べられておりますが、ここには私の理解のように北朝鮮の人権問題も含まれるというふうに考えてよろしいでしょうか。
  22. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 包括的に解決をするという言葉を使うときに、一言で言えば、拉致、核も大事、つまり、核、ミサイルも大事だけれども拉致は絶対に置き去りにしないと、最終的にですね、そういうことがまず基本にあると。北朝鮮の人権状況全般を全て解決されなければ日朝の国交の正常化ができないのかと言われれば、それは様々な議論があり得るところだと思いますが、少なくとも、やはり拉致の問題というものが包括的に解決されなければ、我々はやはり国交正常化という話にはならないのではないかというふうに私は考えています。  少なくとも、拉致の問題の解決に結び付くという道筋が最低でもできたという状況が生まれなければ、私はなかなかそういう状況には至らないだろうというふうに思っています。
  23. 風間直樹

    風間直樹君 大臣おっしゃるように、この日朝間の交渉というのは非常に難しい部分があり、その中で日本の国益にとって優先的な課題をどう解決していくか、こういう視点は極めて重要だろうと思います。その中で、北朝鮮に対してこの人権問題をどう取り上げて、当然彼らも反発するでしょうから、そのやり取りの中で、可能な限り日本国憲法の前文にある理念を踏まえて、日本政府として北朝鮮の人権状況の改善を迫りつつ、同時に、拉致、核、ミサイルといった懸案解決していくという姿勢は私は重要だと思っております。  そうした中で、この北朝鮮の人権侵害状況を大臣としてどのようにとらえていらっしゃるかということをお尋ねしたいと思います。  国会でも脱北者の方々が年に数回お見えになりまして、各党の政策会議などで北朝鮮における人権侵害の状況を証言されるという機会がこれまでもありました。私もそうした場に出まして、直接脱北者の証言をこの間聞いてまいりました。非常に胸が痛い、非常に人間として同情を禁じ得ない。また、何とかしてそうした状況を日本政府の努力によって改善させたいと、こういう思いを抱くわけであります。  この北朝鮮の人権侵害状況、簡単にまとめると、例えば組織的な拷問が行われている、あるいは強制労働がある、公開処刑が実施される、さらに、集団処罰あるいは政治犯収容所の設置、こうしたものが確認をされているわけであります。  こういった人権侵害状況につきまして、玄葉大臣としてどのように認識をされているのか、お尋ねをいたします。
  24. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) もうこれは、おっしゃるように、拉致の問題に限らないということも含めて深刻な懸念を有しているところでございますし、それは私だけではなくて、つまり日本政府だけではなくて、国連あるいは米国も含めてそういった深刻な懸念を共有をしているということだというふうに思っています。  北朝鮮の人権状況決議でございますけれども、EUと日本が共同で提出をして、これまでにない過去最多の得票だったかと思います、百二十三票の賛成を得て採択をされたと。こういった形で、国際社会がやはり一体となって北朝鮮に対してメッセージを送っていくということが大切なことになるということで、冒頭も申し上げましたけれども、各国との要人との会談などでもこのことについて、大体は反対、棄権、大体というよりは全部、全員と言ってもいいと思いますけれども、棄権、反対をしている国々に対しては働きかけをしているというのが私の御報告というか、そういう状況でございます。
  25. 風間直樹

    風間直樹君 大臣海外出張でアメリカに行く機会も多いかと思いますが、実は首都のワシントンにナチス・ドイツが当時のユダヤ人に対して行ったホロコースト、このホロコーストの詳細を展示している博物館がございます。ホロコースト・メモリアル・ミュージアムという場所なんですけれども、日本語で言えばホロコースト追悼博物館とでも訳すんでしょうか、八〇年代、レーガン政権当時に設立されまして、ワシントンの中心部にある博物館ですが、私、数年前にここを訪れたことがあります。恐らく、この場にいらっしゃる委員の皆さんの中にもこのホロコースト追悼博物館にいらっしゃった方がおられると思いますが、大臣、これまでこの博物館、ワシントンと、そしてイスラエルにもあると聞いているんですが、足を運ばれたことはございますでしょうか。
  26. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ございません。
  27. 風間直樹

    風間直樹君 もしよろしければ、今度ワシントンにいらっしゃる機会に是非お越しになっていただければなというふうに勧めさせていただきたいと思います。  なぜかといいますと、我々、戦後日本で育った世代は、実際に人権を抑圧されるというのはどういうことかとか、生命の尊厳を脅かされるという事態はどういう状況なのかということをなかなか経験しておりません。今回の震災で、大臣の御地元の福島ではまさに多くの方々が地震や原発事故によって生活の基盤とそして健康、生命の尊厳を脅かされる事態になっているわけであります。これは自然災害によるものであります。一方で、災害ではなく当該国の政府によって、あるいは政治によってこの人権が脅かされるという状況は我々日本人は戦後経験したことがありません。  私は、このホロコースト追悼博物館に参りまして、初めてそれがリアルにどういうものかということを体感し、戦慄を覚えました。御承知のように、ナチス・ドイツは合法的に成立した政府、政権であります。それが一九三〇年代の半ばから四〇年代半ばにかけて非常に大規模なユダヤ人に対する人権じゅうりんを行うわけでありますが、実際この博物館で見ておりますと、当時ナチスが行った人権じゅうりんというのは想像を絶するものです。人間として被害に遭われたユダヤ人の方々に同情を禁じ得ないものであります。  私が非常に印象深かったのは、この博物館に入ったところにエレベーターがありまして、このエレベーターで最初四階まで上がって、そして館内を順次下りながら展示を見るという構成になっているんですが、エレベーターに乗る手前に、左右に紙製のパスポート、模擬パスポートが置いてあるんですね。そのパスポートを一人一枚取ってエレベーターに乗るようにと、こう言われるんですが、パスポートを取ると、そこに人物の名前とそれから出身地、生年月日、そして最後にどこでその方の人生を終えたかということが書かれております。つまり、亡くなったユダヤ人のパスポートなんです。それが亡くなった方々の分順次置かれていくと、こういう構成になっています。この館内を四階から順次見てまいりまして、人権じゅうりんとはいかなるものかということを、まさに私は自分のDNAに刻み付けられるような思いがいたしました。  最後に、出口付近に実は追悼のための祈りの場が設けられております。この祈りの場にろうそくが並んでおりまして、そして一種の誓いの文がそこに掲示をされているんですが、この誓いの文の中身は、当時、一九三〇年代、四〇年代、大戦の最終局面では、実は当時の連合国はこのナチスによるユダヤ人の迫害の事実に気付いていたと。つまり、どこに収容所があって、そこでどういったことが行われているか大体つかんでいたと。実は、一部その収容所に対する解放作戦、あるいは爆撃等も連合国内部では検討されていたようであります。しかし、様々な事情でそれがなされなかった。そのことに対する反省の思いが追悼文に書かれていると同時に、今後の世界において決してこういうことを繰り返したくない、そのために我々は努力をすると、こういう決意が書かれております。  私にとりましては、これ非常に当時見て重い文章でありまして、今政治家として活動する上で世界、特に日本の近隣国における人権の迫害状況については、このときの経験を基に自分でどういう行動をしたらいいかと、こういう信念を持っているわけであります。  そこで、今大臣が御指摘をされましたように、国連でもこれまで七回にわたって北朝鮮の人権状況に対する改善の決議をしているわけであります。しかし、残念ながら、これに対して北朝鮮が省みて、そして北朝鮮内部の人権状況を改善しているかというと、そうではありません。  そこで、昨年の九月になりますが、世界の三大国際人権団体と言われる団体が東京で会議を行いまして、北朝鮮における人道に対する犯罪を調査し査察する国連調査委員会の設立を求めると、こういったキャンペーンを開始いたしました。三団体とは、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウオッチ、そしてインターナショナル・フェデレーション・フォー・ヒューマン・ライツと、略称FIDHと呼ばれている団体であります。  この中で、ヒューマン・ライツ・ウオッチのアジア関係者はこう述べています。今日の北朝鮮を特徴付ける人道に対する犯罪を調査、査察するため、国連が事実調査委員会設置するときが来た、私たちは、北朝鮮政府を地球上の最も残虐な統治体制の一つにしている甚だしい人権侵害の実態を国際社会が明らかにすることを要求すると、こう述べています。  実は、このキャンペーンの発足前に、去年の九月ですが、東京で二日間にわたって北朝鮮の人権国際会議が開催されたそうでありまして、人権専門家、北朝鮮政治犯収容所からの生還者、あるいは外交官、そして日本あるいは韓国国会議員が参加をしたと言われております。  こういう流れの中で、この人権三団体が開始したキャンペーン、これは実は、先ほど言いましたように、国連事実調査委員会というものを是非国連設置をしてほしいと。この事実調査委員会北朝鮮の人権状況を詳細に実際に調べて、そして北朝鮮政府に対して必要な勧告、人権状況の改善を迫る勧告を行うべきだというのがこのキャンペーンの趣旨であります。特に、国連北朝鮮人権特別報告者、現任の報告者あるいは前任の報告者が国連に提出した最終報告書というものがこうした会議、キャンペーンで言及されておりますけれども、例えば、あるこの特別報告者が提出した最終報告書の中には、北朝鮮における悲惨で恐ろしい、そして言語道断な状況が蔓延している組織的かつ広範な人権侵害に関し、その罪を問うことが必要であると、このような内容の報告書が提出をされているわけであります。  このように見てまいりますと、日本政府として、やはりこの北朝鮮の人権状況を改善するために、憲法の理念に基づいてより踏み込んだ対応が必要になるのではないかと私は感じております。  具体的には、拉致問題の解決を筆頭として、北朝鮮に対して政治犯収容所の解体、公開処刑の停止、北朝鮮における組織的で広範な人権侵害を解決するための国際社会の努力を倍増するように日本政府として更なる外交努力を求めることがまず必要になるだろうと思います。同時に、今申し上げましたこの国連における事実調査委員会設置が行われるように、日本政府としても国連に対して働きかけていくことが重要になるのではないかと思うわけであります。  この二点につきまして、大臣の御所見をお伺いできますでしょうか。
  28. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、風間委員が本当に人権の問題に対して極めて強い危機感も踏まえた意識を持っておられるということに対して敬意を表したいと思いますし、問題意識として共有いたします。  問題は、いかなる方法が結果として北朝鮮の人権状況を改善することにつながるかということなんだと思うんですね。今の状況は、例えば北朝鮮が特別報告者の受入れ等を拒否しているという状況であります。したがって、北朝鮮が例えば事故調査委員会の受入れ等に協力するかといったら、残念ながら期待できないというのが今の現実ではないかというふうに思っているんです。  リビアとかシリアとか、それぞれ今おっしゃったような事実調査委員会というのがあって、基本的には突発的な人権侵害の事態が発生した場合に設置をされている。北朝鮮のような継続的な人権侵害に対しては、おっしゃったようないわゆる特別報告者の設置ということでございます。現時点でそれらが両方存在するという国はないというふうに私自身承知をしていますが、ここはトータルな判断をさせていただきたいというふうに思っています。問題意識はよく分かります。ただ、本当に何が一番効果的なのかということについてよく検討してみたいというふうに思っています。
  29. 風間直樹

    風間直樹君 大臣おっしゃる意味、私もよく分かります。  特に外交交渉の場合、例えば大臣北朝鮮政府の高官と、先方の外務省関係者と会談をされる、その中で我が国にとって極めて重要な国益について問題提起をされる。先方も反発もするでしょうし、いろんな言葉のやり取り、応酬もあるでしょう。そういう中で、いかにその交渉の継続を図りながら問題解決を図っていくかというのは容易ではありませんし、その姿勢が重要であることは論をまちません。  私が今日大臣にお願いをしたいのは、是非、重々踏まえていらっしゃることではありますが、この北朝鮮における人権侵害の状況というものが、日本国憲法に照らしても、あるいは玄葉外務大臣という一人の方の心の問題としても到底許されるものではないという姿勢を持って、北朝鮮との交渉がもしあればそこに臨んでいただきたいということであります。  あわせて、北朝鮮がこの国連の特別調査、査察を受け入れるかという問題は確かにあると思います。受け入れられなければ実際北朝鮮の国内に入って調査することは困難でありますが、一方で脱北者が出てきているわけですね、北朝鮮国内から。こういった方々の証言というのは非常に貴重であり、また極めて具体的であります。横田めぐみさんのお母さんが訪米をされて当時のブッシュ大統領に会ったときにも、ブッシュ大統領がある脱北者が書いた本を事前に読んでいらっしゃって、この北朝鮮の体制の残虐性について一定のコメントを述べられたという報道も当時あったと思います。  ですから、私は、外部に出てくる様々な北朝鮮内部の証言を国連の査察あるいは調査委員会を設けてそこで調査し、そして北朝鮮に対して改善を迫ることも決して不可能ではないと思っております。  そういう意味で、是非、日本政府として、この事実調査委員会が設立するよう努力されることを改めて求めたいと思いますが、大臣の所見を伺います。
  30. 宮島昭夫

    政府参考人宮島昭夫君) 先ほど、今の事実調査委員会設置につきましては、まさに今大臣から答弁をしたとおりでございまして、何が一番効果的かということを踏まえて考えてまいりたいと思います。これについていろいろな議論があることを我々も承知しておりますので、まさにどのようなことをするか、脱北者の方々のお声も聞きながら、現状も把握しながら、何ができるかということを是非検討したいと思います。  今、特別報告者の方もやはり中に入れませんので、脱北者の方のお話を聞いたりはされようとしていますが、なかなか限界があるということでございます。
  31. 風間直樹

    風間直樹君 大臣最後に二つお願いをして質疑を終わらせていただきたいと思います。  一つは、先ほども触れましたように、ワシントンあるいはイスラエルのこのホロコーストの追悼博物館、是非一度足をお運びいただきたいと。それからまた、大臣、もし機会があれば、実際に北朝鮮国内から出てきた方とどんな場でかお会いになっていただいて、そしてこの人権侵害の状況を一度聞いてみていただけませんでしょうか。そのことの意味するものは日本外交にとって極めて大きいと、このように考えております。  以上二点、お願いを申し上げまして、私の質疑を終えさせていただきます。もし大臣、何かコメントあればお願いします。
  32. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ホロコーストは、私も様々な書籍とか、あるいは、私、映画が好きなものですから、幾つかの映画とかで読んだり見たりしておりますけれども、おっしゃることも含めて、ワシントンへ行く機会は比較的ありますので考えてみたいと思いますし、脱北者からお話を聞く、これも大事なことだというふうに思っていますので、検討してみたいと思います。
  33. 風間直樹

    風間直樹君 よろしくお願いします。ありがとうございました。
  34. 小熊慎司

    小熊慎司君 まず初めに、福山委員長を始め、広田筆頭、佐藤筆頭、理事の皆さんには、通例の質問順序ではなく、ちょっと諸会議が重なっていますので替えさせていただくことをまず御礼を申し上げる次第であります。  両大臣がそろって初めての私の質疑になりますが、私、個人的には感慨深いものがあります。私も福島県、玄葉大臣も福島県、そして田中大臣もかつては福島県であったということであり、また、私も新井将敬代議士の後、地元の伊東正義氏、世界に誇る福島県が生んだ代議士の後継の斎藤文昭代議士の秘書として地元に帰り、そのときは同じ流れをくむ玄葉代議士が誕生し、そして同じ流れの田中大臣も福島におったわけですが、その後、小選挙区が導入された折、私の仕えていた斎藤文昭代議士もそうでありましたが、重複をせずに、退路を断って小選挙区一本で戦いましたが、大臣も、私の仕えていた代議士も敗れてしまいました。重複をしていれば、東北ブロックではワンツーであったので比例復活を遂げたわけでありますが、潔しと、重複は潔くないということでそういった結果を招きましたが、その後、大臣においては福島県を去られてしまったということの大変残念なその後の経過がありましたが、防衛大臣としては、今後はそうした主戦場を逃げることのないように御期待を申し上げ、質問に移りたいと思います。  まず初めに、これまで両大臣世界平和貢献在り方を示されましたけれども、ここでいわゆる国連の安保理の常任理事国入りについて、いろんな日本平和貢献の仕方があるというふうに思います。その観点から、日本役割として常任理事国入りかくあるべしということを両大臣からお聞きしたいと思います。
  35. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 国連ができて六十五年たつわけでございます。にもかかわらず常任理事国の制度に変更がないというのは、誰が考えても、特にその安保理改革というのが必要であるということは論をまたないのではないかというふうに思っています。そういう意味では、私は大変危機感を持っています。  G4というのがございまして、御存じだと思いますけれども、日本インドとブラジルとドイツと言わば安保理改革の案を共に協力をして作り上げ、運動も展開をしているわけでありますけれども、残念ながら現時点でうまくいっているとは必ずしも言える状況にないというふうに思っています。  G4はG4で大切にしながら、この国連安保理改革というのは、結局国連全体の、国連加盟国百九十三か国ですけれども、三分の二の賛成を得ないといけないということでありますので、私は現実的かつ柔軟な案を考えていく必要があるというふうに思っておりまして、そのことについて、昨年の、私が外相就任後ですから九月最初のころからそのことについて議論をして、そういったことも含めて、G4でも様々な議論を実はしているんですけれども、そのことも含めて今議論を展開しています。  そして、東京にも有志国を招いて、実は先般、これはいつだったですかね、十一月でありますけれども、主要国を招いてフリーなディスカッションを実はいたしました。いわゆる各国の、これは閣僚ではないんですが、いわゆる安保理改革国連改革を担当する責任局長クラスでありますけれども、何とかそういった合意形成、もっとリアリズムに立った合意形成ができるような案というものを、私は日本として仲間をしっかりと引き付けつつつくっていく必要があるのではないかというふうに考えているところでありまして、そういう意味で、各国の外相などともそういった話合いを外相会談等では今行っているという状況でございます。
  36. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 日本の安保理常任理事国入りについての私の考えでございますが、安保理改革実現をしながら積極的に目指していくということが私は進むべき道だと思っております。  国連改革を抜本的にやっていくと、こういう方針が立てられておりますので、負担金、我が国第二位ということのみならず、やはり国連PKO活動に大変参加をいたしておりますので、その点からも重要であると。そしてまた、人間安全保障ということも我が国で打ち出しているわけでありますので、是非、安保理理事に参加をするような道を更に粘り強く進んでいくべきだと思っております。
  37. 小熊慎司

    小熊慎司君 ありがとうございます。  私もこの常任理事国入り日本政府としては努力すべきだというふうには思います、これは安保理改革国連改革と併せてですが。  一月にちょっと党の派遣でアメリカの方に行ったんですけれども、政府関係者と様々お会いをして、この常任理事国入りについてのアメリカの見解をお聞きを何人かの方にしましたが、賛意は表明していただけたんですけれども、結局はやはり常任理事国となった際の責任の果たし方があるんだと、これは国際的な合意も必要ではあるが、日本の国内の様々な整備も必要でありますということを指摘をされました。それは憲法の改正も含めてということを言及した関係者もいましたが、もちろん日本のやり方として常任理事国の役割の果たし方はあるとは思いますけれども、よりこの常任理事国としての責任を果たすという意味において、この憲法の改正と併せてどのような見解をお持ちですか。
  38. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 特に恐らく、今の小熊委員の問題意識は恐らく集団的自衛権等々の問題などにより関係する質問なんだろうというふうに思います。これについては、現時点で野田内閣としては解釈を変えないということでございます。ただ、私は、問題意識として大切な問題意識だというふうに思っています。  常任理事国入りとの関係においては必ずしもストレートに結び付くとは限らないと思いますけれども、常任理事国入りしたときのおっしゃるように責任というものをどう考えるのかということは、それは併せて考えておく必要というのは当然あるんだろうというふうに思います。  ただ、恐らく常任理事国も今のビートー、拒否権を持っているP5と全く同じような形の常任理事国が増える形になるのか、そうではないのかとか、様々ございます。あるいは、こちらが取りに行くのか、是非なってくれと言われるのかということでもまた違ってくるという部分もあるかもしれません。  ですから、そういったことは私は直接関係があるとは言い切れませんけれども、全く関係がないとも言えないところがあって、よくよく検討していかなければならない話だろうというふうに思っています。
  39. 小熊慎司

    小熊慎司君 私、個人的には、今大臣示された中の一つの考えですけれども、今の理事国とは違うまた在り方もあっていいというふうに思いますし、アメリカから集団的自衛権の件を言及されたとしても、今までの見解を変えずにその役割を果たすんだということを、日本だからこそ国際的に示すことができるというふうに思います。  常任理事国、取りに行く、また押し上げていただく、両面のそういった国際的な理解を努力していくことが、積極的に努力することがまさに国際貢献、また世界の国への理解につながってくるというふうに思います。常任理事国、大変ハードルは高いんですけれども、その努力をしていくことが私は大事だというふうに思いますし、考えてみれば、あの一八六八年の戊辰戦争、会津人としてはまだ総括をされていないというふうに私は思っています。賊軍の汚名を着て、それを晴らすために先人たちが大変苦労したことを考えれば、第二次世界大戦が終わって六十七年ですが、まだ六十七年という言い方もできます。  そういう意味では、常任理事国入りするということが、本当に世界的にこの日本理解が広まったという一つの証左でもあるというふうに思います。玄葉大臣も福島県でございますので、是非この先人の苦労を踏まえつつ、そして今我々が国際貢献する上で様々な誤解の上で常任理事国を阻まれている部分もありますから、この誤解を解いていく一つの努力として常任理事国入りという目的があるという、目標があるということを踏まえて今後努力をしていただきたいというふうに思います。  次の質問に移りますけれども、昨年の暮れに官房長官の談話で、いわゆる武器輸出三原則等の言及がございました。これは昭和四十二年、一九六七年の佐藤内閣で示した原則、そしてその後の昭和五十一年、一九七六年の三木内閣の武器輸出三原則等の見解、まあ慎むということですが、からその後はいろんなケース・バイ・ケースでの対応はしてきましたけれども、昨年暮れの官房長官談話は、一歩私は踏み込んだ考え方を示したというふうに理解をしているところであります。  そこで防衛大臣に確認をさせていただきますけれども、これはやはり原則は変えないということですが、今までの解釈とはまた緩和をしたというふうに私は取ったんですが、その確認をさせていただきます。
  40. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) これまで政府は、武器輸出三原則対象地域以外について武器の輸出を慎むという三木首相当時の政府統一見解に基づき、国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則によって立つ平和国家としての理念を堅持する方針の下、個別に例外的措置を行ってきたところでございます。  昨年末の防衛長官談話は、政府統一見解を……(発言する者あり)ああ、ごめんなさい、昨年末の官房長官談話は、政府統一見解を維持しつつ、従来個別に行ってきた例外化措置における考え方を踏まえ、厳格な管理を行うことなどを前提として、平和貢献国際協力に伴う案件及び我が国安全保障に資する防衛装備品等国際共同開発、生産に関する案件について包括的な例外化措置を講じたものでありますので、私は、基本理念は見直したものではないというふうに理解をしておるところでございます。
  41. 小熊慎司

    小熊慎司君 端的にお願いします。  私も言ったとおり、原則は変えないんですけれども、原則等というところがいろいろ時代によって変わってきて、その等のところが三木首相、当時の首相はある意味では全面禁止に近い形のことを、慎むべしというのはあったと思うので、その後ケース・バイ・ケースになってきているわけですけれども、これを包括的にその等のところを緩和するんですかということの質問なんですが。再度、防衛大臣
  42. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今まで例外化した平和貢献、国際協力関係というのが、先生も御存じだと思います、そういう対応をしてまいりましたし、また、国際共同開発・生産の関係というものも出てきておりまして、このような例外的なものを今回は包括的に基準を統一したといいますか、で対処していこうということで、個別に出てきますけれども、この例外化したものをいわゆる参考にして、そして運用していくということでございますので、緩和したということではございません。基準を明確化したということで御理解をいただきたいと思います。
  43. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 私の方から若干の補足をいたしますけれども、結局、基本理念は変えません。つまりは、国際紛争を助長しない、助長することを回避する、そういう基本理念は変えませんということだと思うんです。今まで一つ一つ個別に例外化措置を講じてきたものを包括的に行います。  ただ、今先生から、田中大臣からお話があったように、いわゆる現実に今起きていることは、例えば動的防衛力構築をしなきゃいけない、そうすると先端装備品とかそういったことの開発等の問題もあるから、防衛大臣がおっしゃったとおり、国際共同生産とか共同開発とかそういったことに対して厳格な基準を設けた上で、そういったことについて対応していくということだというふうに思います。
  44. 小熊慎司

    小熊慎司君 具体的に言えば、今まで例外的にやってきたので、その際に様々な事務手続、いろんな取決めがあって非常に事務が煩雑になったり、また時宜的に遅れてしまったりというものがある状況を整理をするんだということだというふうに思うんです。それが包括的ということですから。  それは、もちろん原則は変えちゃいけませんし、原則にのっとってやらなければならないんですが、個別ではなく包括的にやる、しっかりとした運用をやっていくという意味では今までよりもやりやすく、やりやすくというか、目的と外れちゃいけないんですよ、原則から外れちゃいけないんですが、スピーディーになっていくという意味での緩和ですねということなんですけれども。
  45. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私は、この基準というのは、平和構築をしていく、あるいは人道目的にいわゆる対応していくと、こういう大前提を設けて、そして基準を明確化したということでありますので、私はもっと厳格になっていくんだと思います。  あくまでもこれは、武器輸出三原則の原則は、基本は守っているわけでありますが、しかし、今までは例外化ということでいろいろ進んできました。それは時代の流れでありますけれども、しかし、それに流されてはいけないと。私は、まず平和構築と、平和のために対策があるというふうな大前提を私は基準として設けたんで、私は、それに合致しないものは輸出をすることは防衛省としても提案はいたしません。そういう中にあって、そしてまた良好な関係国とは信頼関係の中で対処していけるというものは提案をしていくということで、私は、運用面でいきますと、こういう基準を設けたことによって、私は、平和というものをもっと認識をして、さらに、この時代に合ったもので対処していくという認識で今考えております。
  46. 小熊慎司

    小熊慎司君 原則は変えないというのは、それはもう確認はしていますから。いろんな日本防衛産業の進展、また国際情勢の変化の中で、原則に合致しているんだけれども、よりタイトに解釈をしていたので技術供与できなかったのが今までだというふうに私は現状があると思います。  これ、新たな運用の見直しということであれば、例外もなくなるのではなくて、逆に案件が増えてくるというふうに思います、実際は。どうですか、そこは。
  47. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) この三原則等の見直しについては副大臣が当時担当していましたので、少し補足をさせていただきます。  今御指摘のとおり、例えば三原則はこれ変わらないと。ただ、これまで、昭和五十八年の中曽根内閣からずっとアメリカは例えば例外だと、共同研究、共同開発の。その後、国際貢献の場においては、武器と称される、ワッセナー・アレンジメントなんかで武器というカテゴリーに入るものでも実際は人を殺傷するようなものではないんですけれども、武器という概念で国外に持ち出すと、だけれどもそれ持って帰ってこなきゃいけなかったと。非常に一つ一つが厳格だったわけでございます。もう実態にそぐわないねということからずっと議論がございました。  今回の官房長官談話によって見直しをされることによって、例えばヨーロッパの国から日本の技術に対して大変強い関心を示されている分野もございます。実際、具体的にいろんな方が大臣の下や副大臣の下に関心を示してくる方もいらっしゃいますので、そういう意味では対象が広がることは間違いございません。  ただ、もちろん、大臣が申し上げたように、じゃ、それが第三国に本当に移転をすることなくその国が我が国としっかりと共同研究なりができるかどうかと、そういうことも含めて厳格にということは当然最優先で考えられることでございますけれども、間違いなく我が国の例えば技術研究所等が、防衛技術研究所が行っているようないろんな研究が、今までは例えば外国のシンポジウムに行っても研究の論文すらなかなか発表できなかったと、これもある意味では広い概念でいうと武器であったということもありますので、今回、例えばそういうものを成果を共有して実用化ということについては着手できると。  そういう意味では、対象は広がっていくということは当然ですけれども、それは経済産業省も含めて非常に厳格なもちろん審査と。ただし、対象が広がることによって、ただしかし、研究成果実現するためにおいては、ある程度の時間的な短縮といいましょうか、そういうものは当然考えていかなければいけないと思っております。
  48. 小熊慎司

    小熊慎司君 分かりやすく言えば、これ武器輸出三原則等というのはブレーキであったわけですよね。利き過ぎたブレーキであったんですけれども、今度は適正にちゃんとブレーキを掛けていくということですが、そうなると、緩和されるというか、今まで利かせることのなかったブレーキを掛けちゃっていた部分、逆にそれで世界貢献平和貢献できたのに、日本の技術が世界に広まらないおかげでもっと良くなかったとか、例えばヘルメットも、日本のヘルメットすごいいいのに広まらなかったとか、いろいろありますけれども。  そういう意味では、しからば、しっかりとこの原則を運用していくんだということであれば、今必要なことは、新しい運用の基準というか在り方の中で、防衛産業、日本防衛産業をどのようにしていくのかという政策の策定が必要になってくると思います。そうじゃないと、やはり結局はケース・バイ・ケースになってしまったり、甘くなってその原則から外れるような、まさに技術がどんどんどんどん渡って、テロとかに渡ってしまうようなことにもなりかねない。しっかりとしたその現場での防衛産業の在り方政策策定が必要だと思いますけれども、この策定については今後どのように検討されていくのか、お示しください。
  49. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 委員から御指摘のことは、私、この見直しをするときに、官房長官談話が発せられるとどう変わるのかということをやっぱり私も省内で事務方やあるいは制服組にも聞きました。  もう既に、今までは大変強い、研究をしているんですけれども、これがなかなか多様化されないといいますか実用化までにこぎ着けられなかったものに対してよその国と共同研究することで、例えばですけれども、国際貢献をしている場所で身を守るようなものについては、日本の持っている軽いけれども鉄以上の硬度を持っているような素材があって、これを例えば防弾チョッキにするとか、あるいはヘルメットにするとか、非常に幾つも引き合いが来ているものもあるわけですね。  ですから、まさにこういうものがこれから実際様々な現場において、日本の技術がしっかりと国際貢献の場で人の命を守るということに役立てることができるであろうと。こういうことになりますから、この点について、言わば具体的にいろんな国から要望が来ている、要請が来ている国に対して個々に話をしながらも、おっしゃったように、これは日本の一つの、まあ私は成長戦略の一つにしてもいいんじゃないかと思うんですけれども、やっぱり日本にある防衛装備品の会社、非常に今厳しい状況の中で、日本のメード・イン・ジャパンの技術をもってすれば、私は、今後の、この官房長官の談話によっていわゆる包括的なこの例外化措置ができることによって、私はそうした防衛装備品メーカー、あるいはその関連する産業、その産業の今後にいい影響を与えていくこともあり得るだろう、いい影響を与えるだろうということを期待をして、今後進めていきたいなと思っています。
  50. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 先生が言われるように、この状況の中で、確かに案件は増えてきておるというふうに印象を持ちます。  この機会に、私は、防衛省が研究所も含めて今まで培った技術なりあるいはノウハウなんていうものの、この価値といいますか存在というものをしっかりと自分たちで自覚をして、まずは我々が持ったものを、その評価をまずしたいと、こういうふうに思っておりますので、そういうものをしっかりと評価をして、そしてそれから、新たな需要といいますか話が増えてきていることは間違いないですが、慎重に対処して、また、防衛産業との連携も、やはりそういう中にあってしっかりと蓄積したものを我が国にとってどう評価して、そしてまた大事にしていくかということも連携を取りながら、この問題にしっかりと貢献できるように対処していくと、こういうことで進めてきておることも事実でございます。
  51. 小熊慎司

    小熊慎司君 これと併せてやらなきゃいけないのは、ある意味、日本が死の商人になったのかみたいなうがった見方も出かねませんので、これは国内的にも国外的にも、この具体的に包括的な基準を運用していく上に当たっては、そうした国内外の理解も併せて説明責任も果たしていくことが重要ですし、今の答弁聞いていても、結局は具体的な方向がまだよく分からない状況ですから、そういう状況ではやはり誤解も生じかねませんので、早期に、早期にこの新しい基準というかこの運用についての具体的な政策の策定をお示しくださることを求めたいというふうに思いますが、できるだけ、五年も十年も掛けてじゃなく、ここは一、二年でやっぱりやらなきゃいけないと思うんですよ。そこはどうですか。
  52. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 先生御指摘のとおりだと思います。  防衛産業・技術基盤維持、育成のため、国内に保持すべき重要な防衛生産・技術基盤を特定し、その分野維持、育成を重点的に実施すべく、防衛生産・技術基盤に関する戦略というものを、研究を開発ビジョンということでしてきておりますけれども、新たな展開でありますので、着実にその検討、そしてまた分析をし、新たな体制を整えるべく防衛省としても努力をしていきたいと思います。
  53. 小熊慎司

    小熊慎司君 それはいつまでですか。
  54. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今、有識者の方に働きかけておりますので、補佐官のような形で御指名を申し上げまして、そしてその中で懇談会として検討する、速やかにスタートしたいと思っています。
  55. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 小熊慎司君、時間となっております。
  56. 小熊慎司

    小熊慎司君 はい。  大臣が在任中に一定の方向は是非、短いのかどうか分かりませんが、お願い申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございます。
  57. 山内徳信

    山内徳信君 社民党・護憲連合の山内徳信でございます。  質問に入ります前に、今日は両筆頭、そして委員長の御配慮をいただきまして、いつもは最後でございますが、今日は午前中に時間を位置付けていただきまして、しかも、少しまとまった時間いただけましたから、私もまとまった質問をしたいと思っております。ありがとうございます。  最初に、防衛大臣に伺っておきたいと思います。  普天間飛行場に行かれて、その周囲から、嘉数台地とかあるいは普天間第二小学校辺りから御覧になって、その深刻さ、そしてその状況は、今日はずっと人権問題が語られてまいりましたが、そういう人権侵害にも相当するような実態だと私はかねてから思って、そういう指摘を申し上げてきたんです。  そして一方、その代替施設と言われている辺野古についても、既にアメリカにおいてもジュゴン裁判が提起をされてきましたし、沖縄においてもアセスのやり直しの裁判が行われておる状態でございます。そして、高江に至っては、豊かな生態系のその場所、小さい動植物については大事にしようという発想がありますが、四百メートルぐらい近くに住んでおる人々についての環境アセス云々は全くやられていない、これはまさに人権侵害に相当すると、こういうふうに沖縄の人々は考えて、反対をしておるわけでございます。  そういうふうな普天間とか辺野古とか高江を、米軍からの強い圧力があるからとかいって、条件があるからといってそれを沖縄側に押し付けると、とにかく押し付けるというそのやり方は人権侵害であるという、国連機関においてもそういう位置付けが今進められております。  国連の人種差別撤廃委員会でもこのことが取り上げられております。日本も批准している人種差別撤廃条約にも違反するという指摘がございます。  したがいまして、この辺野古移設計画の見直しについて、そういう人種差別撤廃委員会の方から日本政府に勧告をするという動きになっております。そういう動きにあるということを外務大臣防衛大臣も御承知おきいただきたいと思います。既にそういう文書は事務方には届いておるのかもしれません。そういうふうにして、国際社会から人権侵害だと言われる普天間問題、辺野古問題、高江問題については、これはもう見直しをすると、こういうふうに交渉を進めていく以外にないと思っております。  したがいまして、こういう大きな問題でございますから、私はこの場で見解を求めることはもう少し先にしたいと思っております。両大臣、そしてその関係官僚の皆さん方含めて、人権侵害云々と言われることがないように、そして人権を踏みにじっておる人は、側は、踏みにじられておる人々の痛みを知らないと、そういう話は、今日もそれに近いような趣旨のお話が、格調高いお話がございました。そういうふうに深い考え方に立って沖縄の基地問題には対処しなければ、これは幾ら信頼回復とおっしゃってもそれは難しいということになるわけであります。  次に、私は玄葉大臣に昨日もいろんな質問を申し上げましたが、昨日の残りの分から先に質問をしたいと思います。  その一点は、山口県の岩国基地へアメリカ側から追加配備をしたいと、こういう打診がありましたときに、見事に総理大臣外務大臣もそのことをお断りした。ああ、日本政府はちゃんと国内問題についてはアメリカに対してやはりちゃんと言うんだと、拒否すべきのはちゃんと拒否もしておる。この姿を見たときに、私はある種の評価をしたいと思ったんです。そうなければいかぬと思ったんです。恐らく、岩国の市民の皆さん方も、沖縄の普天間や辺野古の高江の人々と同じ苦悩にさらされておるんだろうと思っておるから、私は、拒否されたことをやはり評価をしておきたいと思います。  しかし、次が問題なんです。沖縄になると手のひらを返したごとくと申し上げますか、沖縄県知事やあるいは名護の市長や、県議会が全会一致、名護の議会でもそういうふうに辺野古移設、普天間問題については県民の意思を尊重せよという決議がなされても、一向にそれを聞く耳は持っていない。総理に至っては、最近の日米合意を、辺野古が唯一有効な方法であると、こうおっしゃる。そういうふうなことをおっしゃっては、幾ら総理が何回行かれても、外務大臣防衛大臣も行かれても、それは沖縄県民は、基地を押し付けに来るんだから帰ってくれと、皆さんが行くたびに県庁の前はいっぱい、帰れと、こういうふうな市民の抗議、県民の抗議を受けておるわけでございます。皆さんはその中を超スピードでお帰りになっていかれるわけですね。  したがいまして、こういうふうな沖縄差別の実態をなくすることが極めて重要なことでございます。ひところ使われていた地政学はさすがになくなりましたが、依然として抑止力という言葉で沖縄に基地を押し付けておく、あるいは新しい基地をつくろうという、それを大義名分にしていらっしゃる。抑止力という言葉は、これはアメリカが使っておる言葉なんです。それを口写しに日本もそのまま使っておる。ところが、アメリカにおいてもそういう抑止力は海兵隊にはないと言っているんです。私は、一月の二十一日から二十八日までワシントンDCを行って、国会議員十二名に直接会いました。シンクタンク、補佐官を含めると六十二名に会ってきたんです。そういうふうにアメリカ側の変化があるのに、当事国の日本政府はなぜ沖縄県民のそういう思いとか民意を次々と否定をされるのか。  今日は憲法の話も出たんですね。私も、ここに既に書いてあるんです、沖縄への理不尽な基地の押し付けは人権無視であり、憲法違反だと。日本の憲法はやはりいかなる差別もあってはいかぬと、たしか憲法十四条だったと思いますが、あるんですよ。そういうふうな御認識はお持ちであるかどうか、両大臣に伺っておきたいと思います。  これはまとめて、憲法違反か違反でないか、結論だけ伺っておきたいと思います。
  58. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 憲法違反だとは思っておりません。
  59. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私も憲法違反だとは思っておりません。
  60. 山内徳信

    山内徳信君 憲法をしっかり読んでくださいね。憲法九十九条。憲法九十九条には、国民は憲法を守れとはどこにも書いていないんです。天皇陛下、摂政、国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負うと書かれておるんです。ですから、玄葉大臣田中大臣も憲法をちゃんと守って、人権を守る、差別をしないと、こういうのが国の骨格になっておるんですよ。そういうことをちゃんとわきまえて大臣の仕事を進めていただきたいと思います。  次に進めてまいります。  もう既に申し上げたとおり、総理大臣だとか防衛そして外務大臣が何度沖縄訪問をされて、頼みますよ、頼みますよと。基地の受入れを聞いてくれ、それが抑止力だ、それが国民安全保障だと。安全保障の名の下に、抑止力の名の下に、沖縄戦、太平洋戦争の最後の、日本国内唯一の地上戦の沖縄戦は捨て石として使われたんです、捨て石。本土防衛のための捨て石として使われて、いかに持ちこたえておくか。死ぬ前に三十二軍の牛島司令官は、皇土、天皇陛下の土、皇土、寸土、寸、一寸です、一寸までも持ちこたえろと、こういうふうなことを命令をして、自らは自決をしていかれたわけですね。そういうふうなことを知っておる沖縄の人々。真心を示してください。信頼回復の道は私は必ずあると言うんです。  今回の問題は何かを私はずっと考えて質問をしておるんですが、何度通っても、お願いします、お願いしますと言ったら、沖縄の不信感を更に高めることになるんですよ。増幅させることになるんです。そして、信頼回復の具体的なことを私は提起したいと思います。それがやれたら沖縄の人々は、よく頑張った総理、よく頑張った外務大臣、よく頑張った防衛大臣と言いますよ。私も言いますよ。  それはどういうことかというと、基地の、真ん中にあって、いつ墜落するか分からない恐怖にさらされている普天間飛行場を、政治生命を懸けて是非これは閉鎖、返還を勝ち取ると、撤去させるんだという、そういう政治家が政権の中におりますか。責任上、それを担っているのは外務大臣であり防衛大臣ですよ。そんなことをやらずして、頭下げれば聞いていくような、聞けるような沖縄の環境じゃないんですよ。過去には、戦後も過去にはそういう政治家がいらっしゃいました。  したがいまして、普天間に命を懸ける政治家、そして辺野古はつくらさない。自然破壊とかジュゴンとかいっぱい問題があるわけですよ。そういうふうな政治生命を懸けて、なぜ今ごろ、二十一世紀になって新しい基地を沖縄に押し付けるのかと。それをアメリカに、どうして岩国と同じように拒否し切れぬのか。そういうことができたときに、日本政府沖縄県民との信頼関係はそこに生まれるんです。そういう努力を是非やってほしいと言っているんです。  沖縄の人の人権も本土におる人の人権も同じとおっしゃるならば、沖縄県も日本の四十七都道府県の一県だとおっしゃるならば、そういうことをやるのが政治家の仕事じゃないですか。それをなさってください。お二人から簡単なお気持ちだけ伺っておきたいと思います。長い説明は要りませんから。
  61. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 米軍の専用基地が七四%沖縄に集中をしているということに対して、私は大変申し訳なく思っております。負担を全国で分かち合わなければならないという気持ちは私は強いです。  その上で、沖縄の皆さんの負担を軽減するために、私なりにこの間、地位協定の運用の改善、あるいは今回の嘉手納以南土地返還、まあそれはあくまでグアム移転等によってその結果として生じるものでありますけれども、そういったことと普天間の辺野古移設の切離しというのを行いながら、少しでも沖縄皆様の御負担を軽減をしていくということで努力をしているところでございます。  あわせて、外交をあずかる立場として、周辺諸国に誤ったメッセージを送るわけにはいかないと。そういう意味で、抑止力という言葉に対して、山内委員抑止力というのはもはや通用しない概念であると、こういうお話でございますけれども、私は、やはり攻撃を思いとどまらせるという抑止力という概念というのは現在もなお生きているというふうに考えております。  したがって、今回の在日米軍の再編の見直しも、そういったことを含めて、抑止力そして沖縄の負担の軽減、こういったことが両立できるような、そういった再編の見直しの結果を得たいというふうに考えております。
  62. 山内徳信

    山内徳信君 簡単におっしゃってください。
  63. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 先生の御指摘は大変私も強く感じるところでございます。  今のしかし安全保障環境の中で、やはり抑止力維持する、そしてまた、沖縄県の目に見える負担の軽減を図るということが私は大事な時期ではないかと思っておりまして、確かに、この問題につきましては大変皆さん方御苦労があったと思いますし、沖縄県民の皆さん方のお気持ちもひしひしと感じるわけでありますが、しかし今、日米の合意、大前提の下に今協議を進め、そして、何とかこの解決の糸口を見付けたいということで私も職務に努めておるところでございますので、是非御理解をいただきたいと思います。
  64. 山内徳信

    山内徳信君 心にもないようなことはおっしゃらぬようにしてください。今おっしゃったのは、今までずっと言い続けてきた言葉を羅列しておるだけの話です。  私は、パッケージ論は失敗すると、このグアム協定パッケージ論は必ず失敗すると。それをずっと記憶していらっしゃる、元、私が尊敬する北澤大臣が今日は委員会出席でございます。  私は、一度もこのパッケージ論は成功するとは申し上げなかった。それは、ああいう基地の中に六十年も生きてきた人間の直感です。基地問題をずっと、四十年もかかわってきた人間の感覚なんです。こういうふうに普天間を辺野古に移せば嘉手納以南の五施設は全部返還しますよと、こういうふうなことはムカデ競争みたいなものだから、必ずこれは途中で倒れますよと。北澤さんには今日は答弁は求めませんが、これは議事録にちゃんとあるんです。その証人はやはりここにいっぱいいらっしゃるんです。ですから、私はそういうふうな答弁を聞いて納得はできぬのです。  そこで申し上げますが、防衛大臣、那覇軍港が四十年前の復帰の目玉として返還をしますと言ったのは、復帰二年後の一九七四年の一月でしたよ。それがどうしてまだ軍港は返還もされずに、那覇市は立派な跡地利用計画を策定したんです。そして、それを急がすために何名かはアメリカに渡って、アメリカのペンタゴンにも要請をし、国務省にも要請をし続けてきたんです。そういう具体的なものさえも、三十八年たってもその軍港はまだアメリカ軍が使っておるんですよ。軍港を返さぬから、その下から沈埋トンネルを通して便宜を図ろうとしたんですよ。  その最後の詰めに行ったのは山内徳信でした。私が県に移ってから、在沖米陸軍が、不思議に軍港は陸軍が管理しておるんですよ。そういうふうに小さい島の公務員でも努力すればできるのに、どうして日本という主権国家の外務防衛があるのに、どうして沖縄からの悲痛な訴えの一つぐらいも解決してあげぬのですか。復帰後早い時期から三事案、三事案と言われたのは、那覇軍港、読谷補助飛行場普天間飛行場でしたよ。私は読谷飛行場の当事者ですから、よく覚えておるんです。  ここでもう一つ指摘をしておきますが、玄葉大臣は今の答弁の中で、地位協定について少し触れていらっしゃいました。地位協定の改善で、例の成人式に行って車両でぶっつけられて亡くなっていった與儀君のことだと思っております。あれは、犠牲になったお母さんや同級生や地域の人、あるいは中部全体の人々が何回も総決起大会を開いて、沖縄関係機関に必死に訴えて、これは裁判にかけるべきであると、ちゃんと手続を踏むべきであるという、そういう虐げられ、犠牲を強いられてきた人々がやむにやまれず立ち上がって政治を動かし、あるいはアメリカを動かし、日米合同委員会でそういう方向付けができたんだと私は理解をしておるんです。そういうものを宣伝に使ったらいかぬですよ。  地位協定の抜本的改正を、民主党が野党の時も私たちも一緒になって時の自公政権に改正要求を、その座長を務めたのは鳩山由紀夫さんでした、一緒に要請に行っておるんです。政権の座に着くと地位協定の改正も全く眼中にないと、こういうふうなことではいかぬのです。  そこで、あと十二時一分まででございますから、私は、外務大臣には辺野古移設についてはもうアメリカ議会と同じようにこれは可能性がないということを明確に表明をする時期に来ておると思います。そうしませんと、もっと泥沼に入っていくことを私は指摘をしておきたいと思います。  もう一つは、今申し上げました不平等な日米地位協定の改定を求めます。何名沖縄で犠牲になれば、何名人が死ねば日本政府は動くというんですか。そのことは、今度、国務省の日本担当部長にアメリカへ行って明確にお伝えをしてあります。こういう意見交換ができるということは大変お互いのためにいいとおっしゃっていました。したがいまして、日本政府としても日米地位協定の改定を是非やってほしいと思います。返事は求めません。  あと一つだけ申し上げますが、思いやり予算、アメリカ軍に対する思いやり予算を減額をされて、減額された分を東日本大震災復興、再建に回してほしいというのが国民的な大きな声でございます。いっぱい署名が集められております。したがいまして、そういうふうに是非、防衛省外務省も思いやり予算についても聖域にするんじゃなくして、一定のなたを振るってほしいと思います。  アメリカの国会議員は口をそろえて、いや、本当にそう思っていると思います。ああいう大きな天災、人災が起こって日本も国家財政も大変だろうと、こういう言葉を何名からも聞いておるんです。それを一言も、少しも手を触れずにおるということは、東北の人々から見てもそれはやはり言いたいことがあると思いますよ。  あと二分でございますが、このことを、あと一分ぐらいありますね、時間ちょっと残っておりますから、思いやり予算について、これは防衛ですか、外務ですか、三分の一ぐらいは削って東北に回そうと、こういう決意をしてください。
  65. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、地位協定の運用改善、別に宣伝に使っているわけでも全くなくて、一つ一つ努力を重ねたいと、こういうことを申し上げたということです。  それと、思いやり予算というか、先般、まさに、北澤大臣がいらっしゃいますけれども、米軍協力というのは、あの三・一一の東日本大震災、これはまさに例のない規模で、しかも迅速に行っていただいたというのが私の認識であります。私も被災地でございますけれども、被災地の出身の人間たちが、だから思いやり予算を削って復興に回せと、こういう感覚を持っている人たちというのは私は少ないというふうに思います。  私は、在日米軍基地があったことも含めて、今回の日米協力米軍東日本大震災での協力というものは成功したというか、功を奏したというところがあると思います。他方、東日本大震災復興に向けては、これはこれで全力で尽力をしていきたいというふうに思います。
  66. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 在日米軍駐留経費の負担でございますが、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするために一定の予算は必要であると認識をいたしております。御理解をいただきたいと思います。
  67. 山内徳信

    山内徳信君 終わります。
  68. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  69. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  70. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  まず、防衛大臣防衛省設置法の改正案についてお伺いします。  大臣は元自民党の議員です。政府提案の防衛省設置法の改正案、この内容や賛否について、まず自民党の政務調査会のどこの部署で議論されるか、大臣は御存じですか。
  71. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今回の国会防衛省設置法等の改正法案につきまして提案をさせていただいておるところでございます。  自由民主党の所属の国会議員でございました。党に大変お世話になったところでございます。党の中で、自民党の党の中での検討ということでございましたら、政務調査会の、これは防衛でありますから、国防部会ではないかと思います。
  72. 佐藤正久

    佐藤正久君 そのとおりです。まず、政調の国防部会で議論されて、次いで政策会議とかシャドウ・キャビネットとかを経て、最終的には総務会の方で議論をされるということになります。  ただ大臣、まだ自民党の国防部会の方では、防衛省の方からこの改正案、これについて部会の方ではまだ説明を受けていません。これからです。ただ、にもかかわらず、内局の幹部の方が国防部会を吹っ飛ばして、自民党の総務会長を始め総務会メンバーにまずは説明をして、総務会メンバーから国防部会メンバーに圧力を掛けさせ、国防部会の精緻な議論を封鎖させようとしているような動きがあります。このこれら内局幹部の動き防衛大臣の指示ですか。
  73. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私が直接指示をしているわけではございません。  国会議員の皆さん方にこの法案について党派を超えて御説明に伺っている、あるいは要請がありましたら役所の者が説明に行くと、こういう状況でありますが、今の圧力というようなことを防衛省の者がやっているとは思っておりませんが、よろしくお願いします。
  74. 佐藤正久

    佐藤正久君 国防部会の方の、前回の廃案になった経緯もあり、固いと思ったのか、総務会の方から行っているんですよ。総務会長から圧力が掛かっている。こういうふうに頼まれたんだけど何とかならないかと。これは事実ですよ。さらには、現在議員ではない元防衛大臣経験者にも内局の幹部が働きかけをして、その方からまた国防部会関係者に圧力を掛けさせている。これも大臣の指示ですか。
  75. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) ちょっと私から指示したことはございません。ただ、大変手順が、確かに先生お話しのように、自民党は部会がまず了承しなければ先に進まないのは私も経験から存じ上げておりますから、そういう不備がありましたら、私から指導をして、そして誤解を生まないように対処をいたしたいと思います。
  76. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣は知らないと今明言されました。これは大きな問題なんですよ。大臣が知らないところで隊員が政治工作やっているんですよ。普通であれば、ちゃんと国防部会、今までみんなそうやってきましたよ。部会で、まずそこで議論するんでしょう。それを、部会やる前から総務会の方に手を回している。これ大臣が知らない。これは完璧な政治工作じゃないですか。違いますか、大臣
  77. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 政治工作とは思っておりませんが、各党の皆さん方にも御説明を申し上げていると、こういうふうには報告はありますけれども、自民党の組織を知らないままそういう説明を行っておるようでありましたら、私はしっかり手順を踏んで、そして進めるよう指導をいたしたいと思います。
  78. 佐藤正久

    佐藤正久君 知らないわけないですよ。みんな知っているベテランばっかりですよ。何でわざと、自民党が怒るようなことをわざとやるのか。しかも大臣が知らない。内局の幹部は、これも自衛隊員ですよ。大臣、文民統制の観点から、大臣が知らないところで自衛隊員が政治工作をやっている、政治家に圧力を掛けている。うちの総務会長とか自分から求めたわけじゃないんですよ。向こうから勝手に来た。おかしくないですか。文民統制上問題じゃないですか、これは。
  79. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) そのような手順を踏まなかったということは、大変批判を招いてもいけないと思います。防衛省として、この法案に対する熱意は持って接触をさせていただいておるようでありますけれども、誤解を生むようなことがございましたら指導をしていきたいと思います。
  80. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、誤解じゃなくて明らかに意図です、意図的にやっているんですよ。で、説得してくださいということまで言っているんですよ。大臣が知らないところで自衛隊員がこの国会議員の方へうろうろしている。求めに応じてなら分かりますよ。ある意図を持って政治家の方に働きかけをしている。これは、文民統制の観点からどう思いますか。
  81. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 確かに制服組も、あるいは内局の皆さん方も事務官として働いておるわけでございますので、その辺はシビリアンコントロールを心得て対処していくことが必要だと思いますので、不備がありましたら指導をしていきたいと思います。
  82. 佐藤正久

    佐藤正久君 指導で済みますか。恐ろしい話だと思いませんか。大臣が知らないところで自衛隊員が政治家に働きかけをしているんですよ。これは常態なんですか、大臣。おかしいと思いませんか。事務官の方も自衛隊員ですよ。大臣の文民統制の下でコントロールされる隊員なんですよ。大臣が知らないって明言した。それは、みんなそれは、文民統制というのはまさに政治の軍に対する優先でしょう、自衛隊に優先でしょう、それが大臣が知らないところで我々の政治の議論、これをねじ曲げようとしているんですよ。今までであれば、ちゃんと部会の方に説明をして、そこで議論した後、段階に応じて、それは説明対象も変わるでしょう。処置をする、どういう処置をしますか。
  83. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 先ほどから申し上げていますように、そういう不備があって、そしてまた党の皆さん方に御迷惑をお掛けしているんであれば、改めるように私から強く指導するということで御理解をいただきたいと思います。  先生から御指摘がございましたけれども、私も各党に御説明を法案はしているかということを聞きましたら、当然やっておりますと。ただ、それぞれの党の事情もあるわけでありますから、そういう面では皆さん方に御迷惑をお掛けしておるのであれば、しっかりと手順を踏んでやっていくということを強く指導をしたいと思っております。
  84. 佐藤正久

    佐藤正久君 強く指導するだけで済みますか。そんないいかげんなんだ、文民統制って。じゃ、これからまた同じようなことをやっても、強く指導して終わりですか。大臣の知らないところで政治家に働きかけをやっている、これ、自衛隊員としてやっていいことですか、どう思います。
  85. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 政治家に働きかけているというのはちょっと私はぴんとこないんでありますが、法案も閣議決定をいたしまして、そしてまた満遍なく先生方に御説明を申し上げると、こういうことで御説明は始まったわけでありますが、確かに、先生御指摘のように、手順を踏んでおらなかったと、こういう御指摘でありますし、そういうことがこれからあってはいけないということで、強く私から指導をして、そして法案の説明を各議員の皆さん方に満遍なく御説明方していくというような方針で臨んできているわけでありますので、御理解いただきたいと思います。
  86. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣説明だけじゃなくてお願いもしているんですよ。これについてはどう思います。
  87. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 具体的にお願いをしたということは私は報告は受けておりません。あくまでも、任務はこの法案を的確に御理解いただくために省内の者が御説明に伺っておるということで来ておりますので、そのようなことはないと思っております。
  88. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣ね、私も自衛隊出身者で分かりますけれども、こういうものって大体紙にまとめているんです。どういうことを、誰に、誰がいつやってどういう反応だった、その人が次にどういうふうな働きかけ、動きをしていると、みんなまとめていますよ。大臣、これ、しっかり調査をしてください。いかがです。
  89. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) いや、調査をする前提として、そういう先生が御指摘のようなことが本当にあったのかどうかということはありますが、調査の内容でございますけれども、大変御迷惑を掛けたということでございますので、その状況をまず私が的確に把握をして、それから調査すべきであれば調査をさせていただくと、こういうことで御理解いただきたいと思います。
  90. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは非常に文民統制上、私は大きな問題だと思っている。大臣が知らないと明言しました。で、政治家に働きかけをしている、そこでお願いもしている。実際お願いされた政治家が、国防部会関係者に何とかならないのかと、そういうことまで言っている。  これは調査結果、どういう大臣指導、処置、これについて当委員会への報告を求めたいと思います。
  91. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 後刻理事会で協議します。
  92. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣が知らないところでいろんな、自衛隊員がうごめいている、永田町をうごめいている。これは、ややもすれば大臣のガバナンスの欠如だと、大臣に対する忠誠心、こういうものが揺らいでいると。実際、大臣が知らないと言った。普通であれば、大臣は自民党を経験した人ですから当然分かっています、手続というのを、最初に言ったように。国防部会で議論を尽くすというのは当たり前でしょう。大臣として指揮統率面で問題があったと思いませんか。
  93. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 問題があったというわけではありません。ただ、先生に、皆さん方に、国会議員の先生方に法案を説明するに当たって、一つは手順を踏んでいなかったというようなことがございます。それからまた、誤解を与えるような説明の仕方があったんであれば、これはまた、先生の御指摘のような働きかけ、あるいは何とかならないのかというようなことが影響があったということであれば、私はよく確認をいたしまして、確認をして調査すべき必要があれば調査をしたいと、こういうふうに思います。
  94. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、いいですか。大臣が知らないところで動いているんですよ。報告があれば分かりますよ。大臣は知らないと言ったんですよ。そのことについて、大臣、おかしいと思わないんですか。大臣に報告があれば別ですよ。大臣は知らないと言ったんですから。自衛隊員が、大臣が知らないところで政治家にいろんな働きかけをやっている。これは問題ですよ。何でそこ分からないんですか。
  95. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私も、最初に、自民党の組織を、お尋ねありました、知らない状況は、国防部会の先生方にまず御説明をして、これは自民党で国防部会通らなければ当然総務会まで行かないわけでありますから、総務会長に最初に説明するというのは、これは手順を踏んでいないわけでありますから、そういうことについては把握をしていなかったということでございますので、確認をして、そして誤解を与えないような、そしてまた先生方にしっかりと御理解をいただくように行動するようにしていきたいと思いますし、強く指示をいたしたいと思います。
  96. 佐藤正久

    佐藤正久君 さらには、国会議員ではない元大臣までやっているんですよ。おかしくないですか。その大臣からまた働きかけをやっている。おかしくないですか、大臣。議員じゃないんですよ。元大臣、今、一般民間人ですよ。その人に何でわざわざ説明に行って、そしてお願いしているんですか。おかしくないですか。
  97. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 事の前後から言えば、当然今携わっている国会議員の皆さん方に法案審議していただくわけでありますから、当然やるべき優先順位だと思っていますが、元国会議員の皆さん方の中にも、確かに防衛について大変御見識があって大変興味を持っておられる先生方いますが、大変、そういうことがあったのか、誤解があったのかと、働きかけをしたのかと、こういうことについては私自身が確認をして、また、しかるべきことが、対応があれば考えたいと思います。
  98. 佐藤正久

    佐藤正久君 しっかり調べてください。これ、大きな問題ですよ。大臣が知らないところでこういう工作をやっている。文民統制も何もあったものじゃないですよ。しかも、元議員まで使っている。普通じゃないですよ。それは防衛省自衛隊ですよ。全然侍精神のかけらもないですよ。こんなことをやっている。何で正々堂々と説明し切らないんですか。これを強く指摘をして、理事会での協議に臨みたいと思います。  次の質問に移ります。  弾道ミサイル防衛について伺います。  まず、防衛大臣、二十二年度末までに浜松の教育隊を含めて十六個のFUを整備しましたが、今国会では、沖縄の第五高射群ですかね、この一個高射隊を整備するにとどめています。これはなぜ今回、中期間で一個だけなんでしょうか。ほかの高射群は二個、最低でも二個の、大体四個、四個のFUをみんな整備しているんですよ。なぜ沖縄だけそれを一個だけにとどめたんでしょうか、この中期間で。なぜでしょうか。
  99. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 田中防衛大臣、よろしいでしょうか。田中防衛大臣、御答弁をお願いします。
  100. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 突然の御質問でありましたので、今資料、ちょっと用意しておりますから、少々お待ちください。
  101. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  102. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を起こしてください。
  103. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) ペトリオットPAC3の配備の状況でございます。  平成十九年三月に第一高射群第四高射隊、入間基地に、皮切りに順次ペトリオットPAC3を配備し、平成二十二年四月の第六高射群、芦屋ですが、の配備をもって、三個高射群及び教育の所要分について配備が完了したところでございます。  二十三年度は、現大綱及び中期防に基づき、第五高射群、沖縄の一個高射群をPAC3化するとともに、再配置によって全ての高射群にPAC3を配備する予定でございまして、その段階として今先生のお話の状況にあるわけでございます。
  104. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然質問に答えていませんよ。ほかは、一つの高射が四個ずつ、四個FUずつやっているんですよ。沖縄の方だけはこの中期間でたった一個FUなんです。なぜ沖縄は、南西諸島、あんな広いのに一個FUなんですか。これは、二十四年度予算要求でもこれは整備しているんです。二十六年末に運用できる、何で一個なんですかという質問。何で今までみたいに四つとか二つじゃなくて一個なんですかという質問なんです。足りますか、沖縄
  105. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 沖縄に新しく配備するということで、まず南西地域防衛のために一個高射隊を配置したということでございます。
  106. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、答えていない。なぜ一個なんですかと。まずはそういう議論するんですよ、予算要求、中期の方で。なぜ四つじゃなくて、二つではなくて一個なんですかと、今までの配備の方針変更したんですかということなんです。
  107. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 前政権下の一六大綱のときにこれはそのように決まったということで、それに基づいて予算措置をされているわけでございます。この点、なぜ一個なのかと言われますと、まさに当時の南西諸島防衛ということは今回の私どもの大綱の中で出てきた一つの新しい柱でございます。その点に関して言えば、御指摘のようなPAC2からPAC3へ、そしてまた南西諸島防衛ということを我々、大綱に基づいて考えると、今後予算措置をして対応したいと、そのように考えているところでございます。
  108. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、今副大臣は見直すと言いましたよね。じゃ、中期間一個じゃなくて、これはまだ南西諸島防衛、これ重視していると。今回の中期の目玉ですよね。しかも一個しかやっていない。今副大臣は見直すと言われました。じゃ、この中期、じゃ、一個ではなくて更に二つか三つに増やすということですか、大臣
  109. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 見直すという意味は、再配置という意味で申し上げた次第でございます。
  110. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、だから南西諸島防衛と言いながら何で一個なんですかと。何で二個とか、今、ほかのみたいに四つのFUじゃないんですかと聞いているんです。これ国民説明しなきゃいけないじゃないですか。
  111. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記止めますか。答弁まだ無理ですか。  それでは、速記を止めてください。    〔速記中止〕
  112. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を起こしてください。
  113. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 大綱に基づいて、これは財政的な裏付けも必要でございますけれども、私が申し上げたのは、PAC3、再配置をするという意味でございます。今回の様々な今後考えられる事案について、この南西諸島防衛考えたときに、この沖縄の、知念でありますとか与座岳でありますとか様々な施設があるわけでございまして、当然そこにPAC3、再配置をすることによって南西諸島防衛の、まさに対応していくということでございます。  これは予算もある問題でもございますけれども、是非その点については大綱に従って進めてまいりたいと、現状、そうでございます。
  114. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然、政府側、答弁になってませんよ。財政上の制約がある、当たり前じゃないですか、そんなの、どこの役所だって。  じゃ、なぜ今回、南西諸島防衛と言いながら、重視と言いながら、そして沖縄本島から与那国島まで五百キロあるんですよ。さらに、鹿児島県の大隅半島からそして沖縄本島まで六百キロあるんですよ。そこで南西諸島防衛重視という方針を出しているんでしょう。なぜそれで一個なのか。再配置、そんな簡単にできますか。明確に答えてください。輸送するといったって、弾道ミサイル対処、海上輸送の脅威対処考えていますか。半端じゃないですよ、海上輸送ということは。  大臣、なぜ南西諸島防衛重視と言いながら、射程数十キロのPAC3が沖縄の事前配置が一個でいいんですか。
  115. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 第五高射群の一個高射隊をPAC3化するとともに、再配置によって全ての高射群にPAC3を配備する予定になっておりますから、今のところ一高射群でありますが、全体の配置を、副大臣は見直しまでは今、検討段階だと思いますが、そして南西地域の対策ということも当然、大変、最重要課題でありますので、対応することになっているのではないかと思います。
  116. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、全く分かってませんね。  再配置というのは、三沢と千歳の高射群の方に、今ある入間とか、あるいは岐阜、春日の方から再配置するという意味なんですよ。沖縄の方に更に再配置するという意味じゃないんですよ。いいですか、三沢と千歳の方にはないんですよ、PAC2なんですよ、全部が。そこの方に再配置をするという意味で、南西諸島防衛のことの話をしているんじゃないんです、基本は。だから今回、南西諸島の方は一個なんですよ。南西諸島防衛を重視していると言いながら、合ってないんですよ、実態が。  海上輸送、だんだん緊張が高まったときにミサイルを海上輸送する。大臣、これはどういう認識持っていますか。簡単に運べると思いますか。大臣、海上輸送、そんな簡単に運べると思いますか。どういう態勢で海上輸送やるんですか。
  117. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 輸送は自衛隊の輸送艦で考えておるところでございまして、しかし、今こういう事態の中で、PAC3の配置の場所につきましては省内で意見交換、そしてまた検討をしておる段階でございます。  そういう状況の中で、先生御指摘でありますが、自衛隊で対応すると、こういうことであります。
  118. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣ね、海上自衛隊の「おおすみ」型輸送艦、何隻あるか知っているんですか。そんな簡単にいかないですよ。  実際、今回、東日本大震災のときに北海道の陸上自衛隊が何日間足止めを食らったと思っているんです。分かっていますか、大臣。結局、北海道の陸上自衛隊米軍の輸送艦で行ったんですよ、秋田の方に。そんな簡単なもんじゃないんですよ。しかも輸送艦、緊張が高まって潜水艦脅威あれば、潜水艦も付けないといけないし、護衛艦も付けないといけないかもしれない。海上輸送、そんな甘いもんじゃないんですよ。  じゃ、大臣、今回副大臣が海上自衛隊幹部候補生学校で、万が一の不測の事態に備えて、沖縄本島はもとより軌道直下の石垣島、先島諸島に万が一のことを備えて我が国は国土防衛のためにPAC3を配備することを検討すると。当たり前ですよ。当たり前のことを、配備しないと国民の安全が守れないんですよ。しかも、今沖縄にどんだけ迷惑掛けているか。  沖縄の県民の安全を守り抜く、これは平成の今の時代を生きている政治家としては当たり前で最優先課題だと、大臣、思いませんか。
  119. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 検討中のことでございます。副大臣も手を挙げておりますが、一般論として発言をしたと、こういうことで聞いておりますが、しかし当然、私は、沖縄あるいは石垣島の配備というものは当然誰でも必要であるというような認識には立つと思うんですね、今回の状況からいいますと。  ですから、そういうことにつきましては、今検討中でありますけれども、ある程度判断をこれからしていかなければいけないというのは私、認識は持っておりますが、発言については、ちょっと手を挙げておるようであります。
  120. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、私は悪いなんか言っていないですよ、当たり前だと言ったんですよ。沖縄県民の命を守る、当たり前じゃないですか。  大臣も今日所信で、国民の生命、財産を守り抜くと言ったばっかりですよ。守らないといけないんですよ、万が一のことに備えて。それが防衛大臣の任務ですよ。そんないいかげんなことではなくて、当たり前のことを言っているんですから。守るのは当たり前なんです、万が一のことに備えて。  二〇〇九年も同じでした。万が一のことに備えて態勢取ったんですよ、防衛省が。イージス艦やPAC3使いながら、米軍とも連携しながら態勢を取るって当たり前じゃないですか。しかも南西諸島を重視する、これからいろいろ近隣諸国との関係もある。そういうときに、やっぱり事前配置としては本当にPAC3一個FUでいいのかと言っているんですよ。そこからもうそもそもの問題意識があるわけですよ。  大臣、仮に、これ今回の想定とは別にしても、石垣島にPAC3を置いて、それで久米島とか宮古島、与那国島、守れますか。
  121. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 先生はもう御存じだと思いますけれども、例えばそのPAC3の射程のことを考えれば、どこを飛ぶかによってその撃ち漏らした二段目の、二回目の、二つ目のですね、まずはイージス艦が対応すると、そしてスタンダードミサイルで対応すると、SM3で。その後、撃ち漏らした場合は地上配備のPAC3で対応することになりますけれども、これは御存じのとおり射程の問題がございますので、現実問題として、どこを飛ぶかにもよりますけれども、当然……
  122. 佐藤正久

    佐藤正久君 私は石垣に置いた場合と聞いたんです。
  123. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) まあ、もし置けばですね。もし、その上空を飛ぶかどうかということにもよりますけれども、仮定の話でございますけれども、当然射程との関係もあろうかと思います、射程距離とのですね、命中については。
  124. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、しっかり答えください。  これ、今回想定を外して、一般論として、石垣島にPAC3を配置した場合、その射程上、性能上、久米島とか宮古島あるいは与那国島がその射程圏、守れる範囲に入っていますか。それだけ、イエスかノーか。
  125. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 久米島や宮古島となった場合には、島と島の間の距離を考えれば、射程が数十キロでありますから守ることはなかなか困難かなというふうに、石垣島を基点とした場合にはそのように考えられます。
  126. 佐藤正久

    佐藤正久君 だから、そうなんですよ。  いいですか、大臣、南西諸島防衛といった場合、何か起きてから配置するのではなくて、やっぱり起きる前に配置しないと駄目な兵器なんですよ、これは。そうでしょう、PAC3の場合は。それは輸送しないといけないんですよ。本州から輸送するのと沖縄本島から輸送するのは違うでしょう。  しかも、今言った射程圏を考えたら、やっぱりそれなりに、あの南西諸島、非常に頭が痛い問題ですよ。石垣島に置いたって宮古島や久米島の住民を守ることはできない。そして、みんな不安になっちゃうわけです。与那国島もそうでしょう。大臣は万全の態勢を取ると言った。ちょっと発射角度がずれただけで、もう二千キロ先ですから物すごく方位角はずれますよ。場合によっては沖縄本島に行くかもしれない。そういうことを考えながら配置をしないといけないんです。  大臣、しっかりと、今回、やっぱり最低でも十六FUのうち半分ぐらいは持ってこないと埋まらないでしょう、最低でも。大臣、どう思いますか。
  127. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今まさに真剣に検討しておる最中でございます。また、これから米国との協議もしていかなければいけない状況でございますが、先生の御指摘の認識は、多くのいろいろ御意見を、防衛省内でも言っておりますが、その中にもそういう御意見もあるわけでありますので、先生の御意見も、私もしっかりと受け止めていければと思います。
  128. 佐藤正久

    佐藤正久君 特に今回は沖縄という、また、我々平成に生きる政治家としては特段配慮もしないといけない地域なんですよ。その上空を通る可能性がやっぱりあるわけですから、そこはしっかり、大臣所信で守り抜くと言った以上は、安心感だけではなく、やっぱり安全を担保しないといけないんです、全勢力をつぎ込んででも。それが防衛大臣ですよ。  さっきからの答弁を聞いていると非常に不安になりますよ。なぜ沖縄に一個、まさに今回、二十四年度予算で今度審議もやるわけでしょう。そこにまさに一個FUの沖縄の第五高射群のやつをお願いしているわけですよ、予算通してくださいと。その裏付けも、なぜそうかも説明できない。これでは多くの方が逆に不安になってしまいますよ。  いいですか、大臣。今回、言いますけれども、東倉里という、舞水端里ではありません、東倉里という発射場でしょう。それで考えた場合、南西の方に、南の方に撃つ、ちょっと方向ずれただけですぐ沖縄本島とか鹿児島の方に行くんですよ。今回、射程が四千キロなんです、言っている、報道ぶりだと。四千キロの射程で、二段目は三千二百に落ちますけれども、射程四千、この射程四千という意味を軍事的に大臣はどういうふうに考えますか。
  129. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 現在、北朝鮮がいわゆる地球観測衛星を発射すると、こういうことで、今情報を、IMOの情報を分析をしておるところでございまして、まさにその能力がそのままあるのか、今言われたように四千のものなのかどうかと、これも今情報を中心として確認、そしてまた分析をしておるところでありまして、すぐに答弁をするというところまでは行っておりません。
  130. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛大臣、頭の体操をやっていると言う割には全然やっていないじゃないですか。  玄葉外務大臣、この四千だとグアムに届くんですよ。これがメッセージなんですよ、北朝鮮の。東倉里から撃っても、しかも今回は舞水端里と違って地下式でしょう。今までみたいに表に出ないから秘匿しやすいんですよ。今回はそれをわざと自分から公表しているんですよ、撃ちますよ、射距離四千、この方向。これは、誰が見ても、四千というのはこれはグアムまで届きますよというメッセージ性の一つですよ、駆け引きやっているんですから。  だから、そういうことを考えながら、自後、防衛省は南西諸島のこういう弾道ミサイル対処をやらないといけないんだと。東倉里からグアムの方に結んだらどの上通るか。まさに薩南諸島や鹿児島県の上ですよ。そういうことを考えながらやっぱりこのイージス艦やあるいはPAC3の配備というものを考えないといけない。  輸送なんかそんな簡単なものじゃありませんから。緊張状態が高まったら、船の輸送、これは大変ですよ。特に、本州だけだったら陸送もできます。でも、船を使う、この脆弱性。あなた方は動的防衛力と言いながら、肝心の海上輸送力、航空輸送力を余り詰めていないんですよ。それは一番の大きな課題と言いながら、口だけは動的防衛力。船がなかったら動けないんですから、今回の東日本大震災みたいに。  さらに、レーダーもそうですよ。大臣、今回FPS5、これ与座のレーダー、今月末動きますよね。これはガメラレーダー、弾道ミサイル対処ですよ。やっと間に合った。これは前から、自民党時代からやっていたから間に合った。でも、その周りの、いいですか、大臣、聞いてくださいよ、宮古、久米島、あるいは沖永良部、これはFPSの3じゃないんですよ。ほかの日本海側の方、大体FPS5と3を併せているんですよ。何で沖縄の南西諸島だけ併せないんですか。今回、中期で南西諸島防衛と言うんだったら、FPS5と、それを与座に造る、少なくともそのうちの沖永良部とか久米島あるいは宮古の辺りは3に替えるべきじゃないですか。どう思います。
  131. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 二十三年度におきまして、与座岳に完了が予定をされております。
  132. 佐藤正久

    佐藤正久君 答弁になっていない。
  133. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 今、一応答弁しました。  じゃ、もう一度質問してください。
  134. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、全然理解していない。私は言ったじゃないですか。与座の方にFPS5ができると。だけど、周りの久米島や宮古や沖永良部のレーダーが古いままなんですよ。それはなぜほかの本州のように3に替えないんですかと言うんです。
  135. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 先生御指摘のとおりだと思っております。こういう事態が当然ないということではありません。今回、現実の北朝鮮動きであるわけでありますから、今後の対応としては、当面この与座岳のレーダーの活用が図られるわけでありますけれども、それを踏まえて今後の対応も検討をするということで考えてまいりたいと思います。
  136. 佐藤正久

    佐藤正久君 非常に沖縄の人を含めてみんな国民不安になりますよ。ということは、与座岳のレーダーがやられてしまったら、あと南西諸島はもうめくらになるんですよ。センサーがなくなっちゃうんですよ、固定式のやつが。そうでしょう。ほかはそういうことも考えながら対にしているんですよ、いろんなものを。沖縄は離れているんですから。いいですか、大臣。そういうことを考えてやらないといけないんですよ。誰が考えても、今のままだと非常に南西諸島防衛が重視と言っている割に非常に薄いんですよ。私は、そういう面でやっぱりこの大綱、中期、状況が変わったわけですから、東倉里という新しい発射場が、本当秘匿性が高い最新式のやつができたわけですから、私はこの中期を見直すべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。
  137. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 二十二年の末に大綱、そしてまた中期防を策定をいたしたところでございます。  確かに、この安全保障環境というのは目まぐるしく変わってきておるということに防衛省も機敏に対処していかなきゃいけない。大綱におきましても、その状況を踏まえて対処していくということはうたっておるところでございますので、今すぐに直すということにはなっておりませんけれども、やはり日々この状況を真剣に検討をして、しなければいけないときには考えていくことになるんだと思っております。
  138. 佐藤正久

    佐藤正久君 さっき、私、めくらという言葉を言いましたが、それは訂正します。  センサーが潰れてしまうと、もう弾道ミサイルあるいは人工衛星を探知できないということなので、そこは複数、複眼的に持っておかないと駄目なんですよ、当たり前の話です。  今回の中期、見ていると、非常に言っていることと実態が合ってないんですよ、動的防衛力と言いながらも全然動的な手段がないんですから。もう全て財政ありきの中期というイメージが非常に強い。今回まさに、これから数度あるかもしれません、やはり南西諸島防衛考えた場合、やっぱりここは素直に見直すべきだと思いますよ。これは野党だってみんな協力しますよ、必要があれば。こだわる必要は全くないと思いますよ。もう防衛理論よりも財政理論の防衛では駄目なんですよ。  今回の東日本大震災で、本当東北の人はみんな分かったんです。安全というものがこれだけ大事かと。それをやっぱり防衛省説明し切らないと。そうでしょう。そういう面で、しっかり中期についてもう一度大臣のお考えをお聞かせください。
  139. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 防衛大綱についての、あるいは中期防についてのお考え大臣からと思いますが、委員の御指摘は、やはり南西諸島防衛を柱にした、私も先ほど申し上げましたけれども、防衛大綱でありながら必要な駒がまだそろってないのではないかと、まだ打ててないのではないかという御指摘だと思います。  今、先ほど御指摘のあった沖縄の第五高射群のまさに配備の問題であるとか、あるいは宮古のレーダーサイト、これは二十六年度予算の中で新しいものに替えようかという話は検討されておりますけれども、やはり今回初めて、今おっしゃったように北朝鮮から、もし北朝鮮の公表どおり、韓国の東海岸を通ってそしてルソン島の沖合まで飛んでくるということがまさに公表どおりであるならば、初めて我々の国の南西諸島の上空を北朝鮮人工衛星発射という形で弾道ミサイルが飛んでくるということでございますので、こうしたことも重く受け止めて、当然、南西諸島防衛ということを本当に名実共に実行するためのこれは優先順位というものについても真剣に考えたいというふうに思っていますが、今現在においてはあるもので対応する。そして、この二〇〇九年の例も踏まえて、盛岡と秋田に配備したように、この南西諸島に対してどのような形で今ある装備で最大限国を守るかということについては最大限の努力をするように、ここでお約束をしたいと思います。
  140. 佐藤正久

    佐藤正久君 そういう答弁を何で防衛大臣がしないんですか。それが変なんですよ。大臣がまさに指揮官なんです、責任者。状況変わったんですから、命を守り切るなら。だって、今の沖縄のPAC3改修だって二十六年でしょう、できるのが。今回間に合わないから、本州にあるやつを持ってくるしかないんですから。それじゃいざというとき間に合いませんよ。そうでしょう。まさに、隊法八十二条の三の三項の場合なんか絶対に間に合いません、そんなことじゃ。やっぱりそこは考えないといけないと思う。  どうしても財政ありきの中期なんですよ、今回のやつは。例えば、今回の災害派遣含めても人が足りない、当時の広田政務官も、やっぱりこれ教訓事項の一つとしてやっぱり人が足らないというものが出ました。でも、今回の防衛省の出した給与や設置法の改正案とか見ると、削減になっているんです、定数は。  玄葉大臣、今回、東北の方で自衛隊がすごい活動しました。そのときは何で活動できたか。駐屯地というものがあって、そこにいる業務隊とかそういう受入れ部隊がしっかりしていたから通常の部隊の三倍もの人をほかから受け入れることができたんですよ。そういう教訓が出ているんですよ。でも、今回は防衛省はその駐屯地の受入れ部隊を減らすと言っているんですから。  防衛大臣、これ今回は災害派遣ですから、指定充足ということを使いながら人を入れました。有事のときには業務隊の方に指定充足、これできますか。
  141. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 大変、定員の問題についても私は、認識は共通をしておると思います。  御存じのとおり、陸上自衛隊については、効率化合理化を徹底しつつ即応性、機動性を一層向上させるということで、今、第一線では人員確保をして、そしてまた熟練した者を配置するということで対応をしてきておるわけでありますけれども、それだけでは維持できないということも考えられるわけでありますので、そういう面では、その状況をしっかりと見つつ、私はこの人員確保の問題については真剣に検証して、そして取り組みたいと、こういうふうに思っています。
  142. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然足らないんですよ。今、第一線の方を増やすといって、後方から持ってくるんですよ。後方がアウトソーシング、これは平時はいいかもしれません。有事のときにアウトソーシングが機能しますか。するわけないじゃないですか。そこを考えるのが防衛省でしょう。いざというときに動けるのが防衛省なんですよ。そのためにみんな日ごろから訓練をしたり、物の準備しているんですよ。後方部隊、受入れ部隊を減らして前線の方に持っていく。これは、平時はいい訓練ができるかもしれません、前の。でも、いざというとき無理でしょう。  今回は災害派遣だから、まだ夜は少し休めたかもしれない。実際、有事になったら夜間の方が一番の戦闘ですから、夜間が昼間化しているんですから、今。米軍のようにシフトを組まないといけない。シフトを組めますか、今。真面目に考えていますか、そういうこと。それでどんどん人を減らしていく、それはあり得ないと思います。  大臣の今の選挙区の新潟、これも普通科連隊二個ありますよね。千人規模から両方とも五百人規模ですよ、約半分になっている。でも、任務はどんどん、災害派遣から国際貢献から、あるいは当然大事な日本海に面していますから、いろんな防衛問題もある。  大臣、やっぱりここは本当にもう一回、今言ったように大綱、中期というものをもう一回見直さないと、本当に、上っ面だけの本当に機能しない自衛隊になりかねない。どう思いますか。
  143. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 先生がお話があるように、現実に東日本大震災という大変な地震に見舞われたわけでございまして、十万人態勢ということで自衛隊は対応してきたわけでありますけれども、確かに、私も新潟で経験をいたしました。自衛隊の皆さん方が日々、毎日対応していただいたことによって復旧復興がなされたわけでありますから、そういう面では国内的な問題についてもあります。そしてまた、これから本務、任務であります自衛隊本務の我が国防衛するというこの問題についても、周辺諸国の不安な状況もあるわけでありますから、私は当然、全然見直ししないと言っているわけではありません。当然、大綱の中には状況の変化があればこれは見直すこともやぶさかではないということをうたっているわけでありますから、常々緊張感を持って内外の情勢に自衛隊がいかに対応していくか、あるいはそれを充実させていくかと。自衛力の強化をやっていかなきゃいけない時期はいつかということもしっかりと把握をして対応していきたいと思います。
  144. 佐藤正久

    佐藤正久君 やっぱり見直さないともう破綻しますよ、今のままだと。もう現場にみんな負担が行っている。しかも、やることだけは増えている。  今回のPAC3、これ本州の方へ展開しますよね、もしも大臣がそう決めれば。でも、その展開した部隊、今までまともに実弾射撃やっていないんですよ。今まで何回実弾射撃をやったか。これは訓練の射撃はまだ一回もやっていないんです。研究関係、そういうための射撃二回やっただけですよ。これから展開する部隊は一回もまともな錬成のための射撃をしないまま実戦配備なんです。これ、本当に隊員が自信を持って国民沖縄の人を守り抜く、できますか。シミュレーションだけではなく、やっぱりヒューマンエラーというものはあるんです、実弾射撃は違いますから。そういう部分の予算もやっぱり取らないといけないんです。どんどんどんどんそういう面で、実態と紙の上の作業という部分がどんどん乖離していく。  実際、これ本当に難しい射撃ですよね、PAC3。向こうから来る弾頭を弾頭で撃ち落とすわけですから。まだ今まで二回しかやっていない、射撃を。それは本当に実際、実任務ですから、そういう部分についてもやっぱり今回計画の見直しをしながら、やっぱり一番大事な最初の蓋然性が高い分野についてはもっと予算を充当しながら実弾射撃、これをやっぱりこれから大臣のリーダーシップで計画すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  145. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 先生の御指摘だと思います。  私、この委員会委員長のときに入間にPAC3、視察を私だけで行きました。確かに、この高射群の列を組んでやっていただいたわけでありますが、そのときにどういう練習をしたんだというお話を申し上げたら、アメリカで実戦練習をすると。行ってこられましたかと言ったら、その隊長はまだ経験がございませんでしたので、当時、私も防衛省に言って、早くアメリカに行って訓練をしてもらいたいと。それが通じたのか、一年後には隊長は行ってこられたようなことを今回聞きましたけれども、そういう面で、私は本当に実戦の対応というのは足りないというふうに思っておりますし、私もこういう役に就きました、更なる問題意識を持って、先生と共通する問題点だと思いますので、努力をしていければと思っています。
  146. 佐藤正久

    佐藤正久君 努力じゃなくて、大臣が決めれば行けるんですよ。本当に一回も撃ったことがない人間国民の命を守るためにこの発射ボタンを押す、どういうことか分かりますか、大臣。物すごいプレッシャー。大臣の決心をやっぱり私は強く促したいと思います。  じゃ、次の沖縄問題について議論を進めます。  大臣は、予算委員会で私の質問に対して、沖縄県民、とりわけ名護市民の理解を得るためにできるだけ早く沖縄に訪問をして、名護市長や名護市民の方と話合いをしたいというふうに答弁をしました。もう大体いつごろ行くか計画はできたでしょうか。
  147. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) ちょっと先方のことがありますから、受入れの問題もありますが、できるだけ今月中には何とか沖縄に再度訪問をいたしたいということが一つございますし、また名護の皆さん方とも市長を始めお目に掛かりたいというふうに心掛けておりますし、先方のあることですから、私は今月中に出かけたいということで事務方に内々に話をしておるところであります。
  148. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非とも行ってください。  私も行きましたけれども、やっぱり名護の市民、賛成派だけではなく、一番は反対派の方なんです。反対派の方をいかに説得するか、説明するか、これが大事だと思います。  反対派の方も一応会うというお考えはありますか。
  149. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 当然、市政もなかなか政府案とは違った考え方をしておるわけでありますから、当然、両方の意見を聞きにいきたいと、こういうふうに思っております。  先方のあることですから実現するかどうか、これはこれから詰めていかなきゃいけませんが、意向はよく分かりました。
  150. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非ともやってください。  そこは、やっぱり大臣が主務大臣なんです。沖縄県民の理解を得るために沖縄との地元調整される。それはもう沖縄防衛局も必死になってやっているんですから。大臣はそこは逃げては駄目で、そこは必要だと思うんなら説明し切らないといけないと思います。  もう一つ、大臣はこの前の委員会で約束しました。沖縄選出の国会議員、民主党の国会議員とも話し合うと。やっぱり身内がまとまらなければ説得力がないということまで大臣は言われました。  民主党の国会議員、沖縄選出の国会議員と話合いを持たれましたか。
  151. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 真剣に話合いをしようと思っています。  この間、衆議院の安保委員会沖縄の民主党の議員も質問に立たれましたので、ちゃんと政府の方針に従ってもらわなきゃ困るという念を押しましたけれども、ちょっとそういう面では、民主党の地元の国会議員も真剣に政府考え方をもっと理解しなければいけないという状況であることは間違いないので、引き続き努力してまいります。
  152. 佐藤正久

    佐藤正久君 やっぱり名護に行く前に、やっぱりしっかりと時間を取って話し合うべきですよ。全然党と一体感がない、説得力、何にもないですよ。まさに大臣が言われたとおり、説得力ないですよね、身内をまとめ切らなかったら。  やっぱりその努力、沖縄、名護の方に行く前に、今月、沖縄の方に行く前に沖縄選出の民主党の国会議員と話し合うと約束してください。
  153. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 当然、話合いは先方の都合もございますが、努力はいたします。
  154. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非ともそこはしっかり、大臣の責任ですから、お願いします。  あと、そのほかいろいろな技術的なことも何点か確認します。  普天間飛行場、非常に傷んでいる箇所がある。私も先月、現場の誘導路とか滑走路も実際見てきました。かなりへこんでいたり、非常に危険な状態がある。  これについては、やっぱり私は玄葉大臣が言われたように、安全上の理由からこれは補修すべきだというふうに思います。ただ、それは普天間の固定化というふうに取られては非常に多分政府も心外でしょうし、やっぱり宜野湾市の人たちもかなり疑念が広がってしまう。であれば、もしもそれはアメリカ負担、日本が負担、どっちになるか分かりませんけれども、仮に私は日本の方が負担するというんであれば、これは思いやり予算とかFIPではなくて、やっぱり再編経費の中で、あくまで再編の経費の中でやるんですよということが私は筋だと思いますけれども、外務大臣考えを聞きたいと思います。
  155. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ありがとうございます。  私も、まず普天間の固定化はあってはならないというふうに思いますし、これは絶対あってはならないのだと。ただ、あわせて、やはり不断に補修というものはやはり必要なわけで、それは住民の皆様の安全のためにも必要であると。  今のお尋ねは、そのことにとどまらず、経費の問題についてのお尋ねでございましたけれども、おっしゃるとおり、FIPあるいはMILCON、それぞれございますが、今のお話はいわゆる再編経費の中で負担してはどうかと。これは一つの提案として受け止めて、今まさに在日米軍の再編の議論をしております、協議もしております。  ただ、誤解のないように申し上げれば、私は、この普天間の補修というのは、冒頭申し上げたとおり不断に存在するものであるので、必ずしもこの在日米軍再編と完全な形で直結するというものではないんだろうと。全く関連がないとも言えないと思いますけれども、その辺りはこれから今行っている日米協議の中でどういうふうになっていくか、また別途の議論になっていくか、そういったことも含めてしっかりと検討して結論を出していきたいというふうに考えております。
  156. 佐藤正久

    佐藤正久君 できるだけやっぱり安全というものを担保しながら普天間の固定化を避けるという方向で知恵を出していただきたいと、一つの案として提案をさせていただきます。  それと、まさに今再編協議をやっているという中で、防衛大臣、やっぱり今回、共同使用という部分は一つの私はキーワードだと思っています。場合によれば那覇駐屯地の方に海兵隊の司令部が来てもいいし、私はキャンプ・コートニーの方に陸上自衛隊の司令部が、地上部隊が行ってもいいし、あるいは、今わざわざ那覇駐屯地の方から第五十一普通科連隊が訓練をするために約二時間弱を掛けてキャンプ・ハンセンの方に行っている。キャンプ・ハンセンの方にいる海兵隊の戦闘部隊がもう海外の方にもしも移転してスペースが空くんであれば、そこに五十一連隊が入ると。その方が訓練効率もいいし、また地元との、金武町との関係も非常に私は円滑に進むと。こういう共同使用ということについての大臣考え方をお聞かせください。
  157. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 方向は、やはり米軍とそしてまた自衛隊共同訓練そしてまた共同使用をしていくということは、私は非常に大事なことだと思っております。今回の日米協議の再編におきましても、ある面ではほかの地域も司令部が連携を取るようになってまいりました。  今、最終的にはどういうふうな形になるか、これは協議中でありますけれども、やっぱり海兵隊の司令部というものが残るという場合には、私は、共同訓練共同使用というものをやはりできる限りこの努力をしていきながら、そして抑止力というものも我が国がそれなりに負担をしていくということの努力をしていくことが必要だと思っておりますので、これから、協議中でありますので、最終的な形ができ上がりましたらまた先生の御提案のような具体的な話に踏み込めるんではないかと思いますが、御意見を伺っておきます。
  158. 佐藤正久

    佐藤正久君 方向性は非常に考えが合っているということを確認いたしました。できるだけ一番いい形を、どっちみち再編するんであれば、どのみち再編するんであれば、やっぱり抑止力維持という観点でお互いがハッピーな関係をつくれるように努力をしていただきたいと思います。  ただ、その中で一つの懸案事項はやっぱりグアム協定だと思うんですよ、どうしても。これは、今までの自民党時代にこの協定を結びました。その前提がどうしても、司令部や後方要員等八千人の海兵隊員とその家族九千人がグアムに行くということで、その負担を一部日本政府が行いましょうというものですけれども、その前提が変わってしまう。これが人数が減ったり、あるいは家族ではなくて戦闘部隊中心になってしまったら、家族用住宅とか、あるいは病院とか幼稚園など、そういうものもやっぱり前提が変わるわけですから、それはそれでやっぱりそこは、当然グアム協定は見直ししないといけないと、そういうふうに思いますし、ただ、かといって、どれだけ減らすかという部分についてはまた新たなニーズも出るでしょうから、そういうことをいろいろ考えながら私はやるべきだと思います。  ただ、だからといってグアム協定を見直さないというわけにはいかないと思いますけれども、そこは正々堂々といろいろ話し合いながら、グアム協定、いい形で見直すということが私は大事だと思いますけれども、外務大臣考え方をお聞かせ願います。
  159. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず一つは、現在は現行のグアム協定が当然有効であるということでございます。結論を得た後に見直す、見直さないということに当然なってくるということだろうというふうに思います。  その際に、様々な今、佐藤委員から示唆的な話があったというふうに思っています。このいわゆる特に経費の問題というのは、私は、特に部隊移転先あるいは人数、配置、そういった様々な議論を行っていく中で最終的に経費の負担割合というものを決めていくべきだというふうに思っているんです。つまりはそれが、まあ短くしてくれと言うので短くしますが、それが我が国安全保障にどのくらい資するのか、あるいはアジア太平洋全体の抑止力にどのくらい資するのか。私は、いずれにしても、バランスの取れた統合運用というのがこれからの在日米軍再編に当たっては極めて大切になるというふうに考えております。
  160. 佐藤正久

    佐藤正久君 ただ、両大臣とも、この経費の話含めた部分、これは日米首脳会談でやるにはやっぱり品がないと思いますよ。日米首脳会談を五月に予定されるなら、その前にやっぱり大臣クラスでこの金の部分は決着させるというぐらいのやっぱり気概がないと、余りにも、これは一国の首脳レベルでこんな話をするというのは、非常に重たい問題ですけれども、私は良くないと思っています、日米同盟にとっても。その前に、両大臣レベルでこれは決着をするというぐらいの覚悟があったらお願いします。
  161. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今の御提案、受け止めたいというふうに思います。
  162. 佐藤正久

    佐藤正久君 それとあと、今回の普天間飛行場移設と海兵隊の海外移転あるいは嘉手納以南土地返還、これを切り離すということを発表されました。ただ、どうしても物の言い方が、特に防衛省の方の物の言い方がちょっと曖昧なんですよ。だから、今回、海兵隊の海外移転の部分が大体決着をしたらすぐにでも嘉手納以南土地が返ってくるような錯覚に陥っている人が多い。この両大臣所信を見てもそうなんです。違うんですよ、同じこと言っていながら。  外務省の方の、玄葉大臣の方は、在沖海兵隊グアム移転及びその結果生ずる嘉手納以南土地返還を普天間と切り離すと。海兵隊の海外移転の結果、これが行かないと嘉手納以南土地返還がいかないと書いてあるんです。田中大臣のはそう書いてないんですよ。その結果生ずるじゃなくて、ぱんぱんと羅列しているんですよ。だから勘違いしやすい。  防衛大臣、これは防衛大臣の所掌です、土地返還分については。大体、早くてどのぐらいのタイムスパンで、この五つのうちの一個でも沖縄の方に返還できるという時計、タイムスパンをお持ちでしょうか。
  163. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 交渉中でございますからちょっと踏み込んでお話をするわけにはいきません。ただ、考え方としては、もう今回切離しをしました。そして、もう沖縄の目に見える負担軽減ということが大きな柱になっていますから、その中で、確かに返還が難しいことも事実でありますが、しかし、早く、そして実現できるものは実現するということは、何とか成果を上げたいということで、今防衛省といたしましては担当の者に、私も真剣に、何とかやはり成果を上げるように折衝してもらいたいということは指示をいたしております。そういう中で、大変頑張って交渉してきてくれておるわけであります。  先生のお話もございますし、何といっても沖縄の皆さん方の御理解や、そしてまたこの問題に対する真剣なまなざしもあります。防衛省として全力を挙げてこの交渉に臨んでおることを御理解いただきたいと思います。
  164. 佐藤正久

    佐藤正久君 難しいけれども頑張りたいという今の答弁だったんですけれども、全然具体性がないんです。もう少しやっぱり具体性を持って、まず、キャンプ瑞慶覧であれば瑞慶覧にいる海兵隊が海外移転しなければ返ってこないわけですよ、それにどのぐらい掛かるのか。全部そういうのが行った後、今度は更地にしないといけないでしょう。これは防衛省の責任ですよ、防衛省予算ですよ。じゃ、更地にするのにどのぐらい掛かるんですか。一部だけ返してもらったって跡地利用できませんから、返すなら最低でもキャンプごとですよ。そうでしょう。じゃ、そのときに土地の汚染の問題もあるかもしれない。そういうものを全部やる。そんな五年や六年じゃ無理ですよ。  そういうことをやっぱり大臣は、こういう課題があるけど、こういうものを一つ一つこういう方向で早くやりたいと言わなければ、今みたいなアバウトなことでは誰も沖縄では信用しませんよ。全く説得力がない。土地を返せと、半端じゃないですよ。
  165. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今先生がお話があった話のようなことは私もここまで出かかっておりますけれども、しかし、その一部は当然ちゃんと交渉をしておる者に何とか努力をしてということで指示をしておることは間違いないわけでありますが、今何を指示しておるかということはちょっとつまびらかにできませんが、思いは一緒でございます。私もしっかり指導力を発揮して交渉に当たってもらうようにしております。
  166. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 確かに、私も意識してグアム移転等行われたその結果として生ずるという表現をあえてしているんですね。確かに、例えばグアムに移転をするときに、例えば移転したら移転したでそこでまた環境影響評価が必要だ、その前に、そういうことが例えばあったりする。あるいは、おっしゃったとおり更地にする。そして、更地にする前には、例えば牧港補給地区だったらば、倉庫とか住宅とかをどこに移転をするのかという、移転そのものを行わないといけないとか、様々あるのは事実なんですね。そういったことを様々勘案しながら、さはさりながら、できるだけ早期に沖縄の負担が軽減できるように交渉し、また防衛省防衛省でも大変努力を今していただいていると、こういう状況にあるということでございます。
  167. 佐藤正久

    佐藤正久君 かなり誤解が若干広がっているんですよ。行ったら分かります。もうすぐ返ってくるような感じがある。そこは防衛大臣、しっかりと説明してください。結構誤解が広がっていますよ。それだけ指摘をして、質問を終わります。  以上です。
  168. 猪口邦子

    猪口邦子君 失礼いたします。自民党猪口邦子でございます。  本日の私の質問は主として外交分野でありまして、外務大臣に対する質問が中心でございます。  本日、まず冒頭なんですけれども、大臣所信を伺いました。所信を伺ってすぐの質疑ですので、冒頭のところは通告しておりませんことでございますが、大臣所信最後のところで、日本的な価値ということを述べておられます。かぎ括弧付きでございます。これをもって大臣は何を意味しようとしているのか。  それで、一般的にはかぎ括弧を付けるというときは固有名詞ないし広く知られていることなどです。そうでない場合は、もう少し丁寧な説明を付して、そしていわゆるそういうことというふうに言うのが普通の表現の仕方。しかも、所信のこの文書は公式文書ですから、そのようにされたら良かったかと思います。例えば、何といいますか、日本的な価値といえば、きずなを大切にするとか、あるいは社会的秩序を重んじるとか、相互扶助の考えであるとか、あるいはいろいろなことがあってもくじけない非常に強さ、深い強さを持っている。  大臣は、さきに、十七日でしたか、名古屋で何かステートメントをされていて、クール・ジャパンを超える、そういう日本価値というようなことを意味されたかもしれませんが、所信で使うからには少し説明が必要です。短くで結構ですが、冒頭お伺いいたします。
  169. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) アドバイスなので受け止めたいと思うんです。  それで、ただ、外交演説でこのことについて、例えばハワーティルという番組などで、日本の例えば道路に財布を落として隠し撮りをして、それを日本人がみんな交番に届けるという、そういう姿を見てサウジアラビアのビザの発給件数は、日本に対するですけど、三倍になったという話が、例えば分かりやすい例として言えばあるんですけど、そういった様々なことをクール・ジャパンを超えて発信をしたいという思いを込めて申し上げたんですが、今日のことについては、外交演説に書いてあるからという思いも実はございましたが、これからいろいろ気を付けたいというふうに思います。
  170. 猪口邦子

    猪口邦子君 大臣は、私の見るところ、大変熱心でいらして、努力家であって、一定の成果上げつつあると思いますが、今後は、やはりより大きな世界、ビッグピクチャーを見るようにしてもらいたいということが私の本日の質問の趣旨です。  そういう観点から、例えば来週、総理は核セキュリティ・サミットに出席する予定だと伺っております。ですから、大量破壊兵器の軍縮問題なども本日取り上げさせていただきますし、あるいはロシアとの外交的打開、あるいは資源エネルギー外交、あるいは日本企業、日の丸資本が十分な支援を受けて、再び日本が国際舞台で再浮上する、そのような外交の段取りができているのかというようなことを伺っていきたいと思います。  私が本日お伝えしたい根本のことは、外交的な成果を与党能力としてしっかりと証明していく必要があるということです。ねじれ国会の下でも外交はしっかりできるはずであって、そして一歩一歩の現実を解決していくことから大きな、そのビッグピクチャーを見るような、そういう打開につながるんだということは以前の質問でもお伝えしたわけでございますが、やはりどういう与党能力を持っておいでなのか、民主党政権というのは。  それで、今は、私は一兵卒でございますからよく分からないんですけれども、大幹部のところでは大連立を働きかけられたとか、いや、そうではなかったとか、いろんなうわさがありますが、私としては、ごく普通に考えると、民主党政権が政党として立派な仕事ができているのかできていないのかですよ。できていないのであれば、誰もそういうところと連立なんかしたくないと思いますね。ですから、今後のためにも、外交でもう電光石火のきちっと成果を出してもらいたいと。そういうことから質問をしてまいります。  冒頭は、以前の臨時国会で質問したことで、大臣一生懸命やってくださったことをまず最初にお伺いしますけれども、これは米兵の飲酒運転事故に関する日米合同委員会合意の改定でございますね。これは十二月十六日、これは一九五六年の合同委員会合意で、それ以来改定がなかなか難しかったことですけれども、大臣始め皆様が一生懸命取り組んでくれた、そして沖縄のもう悲痛な声がしっかりと長年積み上がって届いたということだと思います。  公の催事での飲酒を含め、飲酒後の自動車運転における通勤等、いかなる場合でも日米協定の刑事裁判権に関する規定における公務として取り扱わないこととするという、こういう合意でございまして、一定の評価、当然できると思うんですけれども、大臣はそれをどう考えていらっしゃるかということと、今後、適切な運用、これが大事であるわけですね。そういう今後について、大臣、どうお考えなのか。これも手短で結構なんですが、一言お伺いします。
  171. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、猪口先生が一度だけではなくて何回か、とにかくこのことをしっかりとやれという激励をいただいた、まずそのことに感謝を申し上げたいと思います。  そして、その上で、今おっしゃったとおり、公の催事での飲酒の場合も含めて、とにかく飲酒後の自動車運転による通勤はもういかなる場合であっても言わば公務として取り扱わないと。さらに言えば、先ほど山内委員からそんなことを宣伝するなと言われましたけれども、宣伝ということではなくて、私は、軍属の裁判権の話も含めて、少なくとも刑事裁判権そのものについては、私は一定の前進は得られたというふうに思っています。  おっしゃったとおり、大事なことは適切な運用だと思います。そのためにはやっぱり、既にもう行っているんですけれども、日常的に米国の担当者たちと緊密に意思疎通をしないとなかなか運用面でうまくいかないというところがあるものですから、そのことを改めて指示をしたいというふうに思います。
  172. 猪口邦子

    猪口邦子君 基本は、やはり事件、事故をなくしていくということでありますので、是非一生懸命、気を緩めることなくそういう働きかけをお願いいたしたいと思います。  さて、次なんですけれども、小さなことのようでちょっと大きいかと思うことは、資料を配付しておりまして、これは二月の日米共同報道発表というもので、基本認識にかかわる実はことであります。英語と日本語で両方配付してございますけれども、この三パラ目のウエルカムという表現について、私はこの表現は勘違いではないかということをちょっとお伝えしたいと思います。  まず、この日米共同報道発表ですけれども、これは、全体的なパッケージの中で沖縄に関連する米軍再編案は相互に元々結び付いていたわけですね。これは二〇〇六年のロードマップ、これを変更する、そういう発表内容であります。つまり、今、佐藤理事からもお話たくさんありました嘉手納以南の統合と土地返還、あるいは在沖縄海兵隊と家族のグアム移転、そしてまた普天間飛行場代替施設の完成に向けた具体的な進展とかかわるという全体的なパッケージの中で沖縄に関する米軍再編が結び付いているというこの考え方から離陸していくわけですね。つまり、これを切り離すということなんです。  で、政府はこれをウエルカムするという表現を用いているんですけれども、よく考えてみますと、これは、まず軍事的な意味合いとしては、アメリカは、再編であるとかグアム移転でありますとかあるいは嘉手納以南の統合など、そこにその価値を見出しているわけですね。そして、普天間移転につきましては人道的な問題がありました。悲惨な事件がありまして、その反省から、市街地にもあることだし、これを移設するということで、この移設を切り離すことによって、結局、普天間問題解決への力学を弱めたことに実際なるのだというふうに思います。  自民党政権の下では、それはアメリカは最初の二つは自らのいろいろな戦略的な計算の下でもやるでしょうと。しかし、この普天間の移設というのは人道的な問題から発生していますので、ここをパッケージにしたことで、そのやりにくい普天間の移設についてもこれはやらなければならないというその力学がありましたが、これを切り離したということで、そういう意味では普天間の移設問題を解決しようというその力学、ダイナミクスを弱めたのではないかと。しかし、やむを得ないと。国内政治の行き詰まりという我々の方の一方的なそういう問題があるから、そういう事情があったということです。ですから、やむを得ないということではないかと思うんですね。  ですから、ちょっと文書を見ていただきますと、そういうことが三パラに書いてありますから、これはやむを得ないという理解が当然であって、ジャパン・ウエルカムズ・ジス・イニシアティブと、日本はこのイニシアティブを歓迎するというのは、ちょっと事務方、大臣もそうかもしれませんが、ちょっと勘違いじゃないかなと。  特に、この三パラを読んでいただきますと、我が国、つまり民主党政権は政治的に持続可能的じゃないと書いてあるんですね、意訳しますとですね。つまり、そのフォースストラクチャーを……(発言する者あり)済みませんね、フォースストラクチャーをまず地理的に分散、それからオペレーショナリーレジリアント、強靱な運用体制が組めるように、それからポリティカリーサステーナブルと書いてありますよね。政治的に持続可能なフォースストラクチャーということが書いてあるわけだから、暗に日本だけに置いておくのがそういうことではないというニュアンスにも取れるということですね。そういうことを全部、でも日米で調整した文書ですから、まあ上手に書いてあるわけですね。ふわっと書いてあるわけですよ。  しかし、ここはウエルカムという表現ではなくて、一般的に外交だったら、そういうことをノーツするとか、それについては理解ができると、アンダースタンドとか、シンパサイズとか、何かそういう表現で、まあ、本当にそれは我々として大歓迎でございますということじゃなくて、やむを得ない措置としてこれは甘受いたしますというような感じじゃないかと思います。  小さな一つの言葉から全体をどう理解するかということなので、大臣に直接お伺いいたしております。
  173. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、パッケージの切離しにつきましては、先生からのいろんなお話がございましたが、私は、現実を直視すると、現状は膠着状況だということを踏まえて切り離すというふうに考えました。  あわせて、このジャパン・ウエルカムズ・ジス・イニシアティブというのは、このポリティカリー・サステーナブル・フォース・ストラクチャーということのみならず、オペレーショナリーレジリアントでありグラフィカリーディストリビュートだ。これは結局、いわゆる普天間のことだけではないですね。つまりは、例えば豪州にローテーションで行きますということがこの発表の前に実は米側からありました。そのときも、我々、ウエルカムと言っているんですね。  ですから、そういう意味では、これ全体を、つまりは地理的に分散をする、運用面での抗堪性がある、政治的により持続可能というのは、必ずしも普天間のことだけではなくて、様々な基地において持続可能な基地というものをつくっていかないといけない。それ全体は、やはりアジア太平洋全体、あるいは我が国安全保障にはやはり資するだろうと、こういう考え方でウエルカムズという言葉を使っているということで、ここは私は留意とかよりもむしろ良いのではないかと、ここは私はそう思っています。
  174. 猪口邦子

    猪口邦子君 当局には当局のそういうお考えがあると思いますけれども、実際にこのような文章を作成、クラフティングというのは、本当に一言一言にたくさんの意味を込めますので、そういう意味では、今後も、本当に我が国国益について十分な検討がされているか、またそのような文言になっているか、よく検討をしていただきたいという一つの事例のようなものでございます。  さて、来週からの核セキュリティ・サミットでございます。総理行かれると伺っておりますが、外務大臣としてこの準備をどう整えてきたのか。日本はこの会議で何を狙うつもりなのか。そして、そもそも、なぜこの第二回核セキュリティ・サミットを東京が取れなかったのか、どうしてこれがソウルなのか、これをよく考えていただきたいです。  そして、第三回サミット、これは一体どこの国で行われるのか。当然、東京がこれに手を挙げるべきでありますけれども、既に時遅しのようで、こういうところがちょっと、余り強い言葉を使うのは好きではないんですけれども、ちょっと対応として甘いのではないかということなんですね。  民主党政権の中で二〇一〇年、核セキュリティ・サミットがなされまして、鳩山総理だったと思いますけれども、これはサミットですから首脳、アメリカがバトンを渡したのが、やはり当時の日本の政権ではなかったということですね。そこは、本当にその政権の信頼性とか、アメリカがこの大事な、何十か国も首脳が集まる安全保障における最大規模のサミットでございますね。この秋には経済の方でIMF・世銀年次総会がこれまたありますけれども、めったにないこういう大事な安全保障の面でのサミットでございますが、なぜ日本が取れなかったのか。  核セキュリティーといえば、我が国は被爆国であります。軍縮・不拡散の旗手であります。当然、アメリカが九・一一以降、テロリストによる様々な、場合によっては核分裂性物質を使ったような攻撃に対しても防護できなければという思いもあってか、こういうプロセスを立ち上げていくとき、そのバトンを受け取るのは日本であってもよかったと思いますが、そこはそうならなかったということのやっぱり反省をお願いしたいと思いますし、もっと早く第三回について手を挙げるべきであったと思いますし、根回しが不十分であったと思いますし、今まだリージョナルな枠で、アジアの番が終わったから今度はヨーロッパだとかいうふうになっていないはずであって、そういうこと全て後手後手に既に回っているということを伝えたいと思います。  それで、この会議は、この北朝鮮ミサイル発射問題、そして先ほどから議論されています自衛隊法第八十二条を使ってのこの破壊措置命令を出す検討に入ったということですけれども、本当にその措置がされるのかというようなこととの関係でも、まずこの発射を自制させるという働きかけをこの大事な来週からの会議でやるつもりなのか。そうすると、いや、そういう目的の会議ではございませんとかそんなことを言うと、もう本当に恥ずかしいことだと思います。五十何か国が集まって核セキュリティ・サミットをやる。現に、北朝鮮からのそのような事前通報があってという段階で行われるわけですからね。  そもそも、ソウルで行われるので非常に緊張感が高まっています。東京が取っていれば、ごく自然な形で被爆国として核軍縮の流れも不拡散の流れも引き継ぐ形で核なき世界に向けてやるんだという説明だって付いたはずでございます。  こういうことを含めて、何を発信し、それから、やはり今日のテーマとして資料も配っておりますけれども、核分裂性物質生産禁止条約、いわゆるカットオフ条約と呼ばれるものでFMCTと呼ぶんですけれども、これが次なる核軍縮条約であって、これを推進しなければならないというようなことをしっかりと言っていただけるのかどうか、その辺、総合的に伺います。  まず、なぜ東京が取れなかったことからちょっと反省していただきたいと思います。
  175. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 去年、おととしになるんでしょうか、これはやはり、もちろん東京でやれるにこしたことはなかったように思いますけれども、恐らく、あのときの状況を聞いてみると、韓国がこれから原発を始めていくということに対しての、本格的に導入をしていくということに対する各国理解だったというふうに聞いております。確かに、私、事務方に聞くと、おっしゃるように、次は、アジアでやったからまた今度違う地域だと、こういう話があります。  それと、核セキュリティ・サミットで、もう全くおっしゃったとおりです。例えば、北朝鮮の問題というのは基本的には想定していないんだと、こういう話だったんですが、私は、やはり核セキュリティ・サミットで今回の北朝鮮の問題というのは何らかの形で取り上げられるべきテーマに当然なるのではないかというふうに思いますし、そうあるべきだろうと。それをどういう形で運ぶかということについては今担当者、ここにいますけれども、担当者にも今指示をしているところでございまして、それはこういったタイミングでこの核セキュリティ・サミットというものが行われるということを生かさないという手はないというふうに思っています。  ただ、この核セキュリティ・サミット自体は、まずは原子力安全と核セキュリティーの関連性とか、将来に向けた取組の方向性とか、一連の具体的措置というものを、我が国としても三・一一の事故を踏まえて明らかにしたいというふうに思っているところです。  あと、いわゆる被爆国ということとは全く違いますけれども、原発事故に絡んで、あるいは自然災害に絡んでは国際会議というものが日本で、今年は例えば七月に自然災害のハイレベルの国際会議を開きます。また、十二月にはIAEAと共催で、これもかなり大きな規模になると思いますけれども開いていきますので、そういったところも含めて、大事な発信になるのではないかというふうに考えております。
  176. 猪口邦子

    猪口邦子君 大臣、本当に自分の言葉で語っていただけるので、そこは大変心強いことだと思います。  私もいろいろこの質問を準備するに当たって事務方に意見を求めましたけれども、非常に紋切り型の、これは北朝鮮の話と全く関係ない会議ですと核セキュリティ・サミットについて御説明されていましたので、そこがやはり政治主導として、そうはいっても普通の感覚ではちょっとそれは違うんではないかと、そういうところから突破口ができますので、それは事務方と大臣とのいい役割分担をしながらきちっと対応していただきたいと。  そして、ここはやはり北朝鮮に余り挑発的な形でやることではなく、しかし万人の利益としてこういうことを追求しなければならないのだというところの良いメッセージと、とにかくミサイル発射、弾道ミサイル発射はどういう名目であれやめなければならないということと、あとそれに、それとの関係で、必ず我が国に飛来したりあるいは部品が落下したりするような場合においては破壊措置命令を出してもらえるんですよね。そこだけちょっと聞いておきます。
  177. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは防衛大臣の方の担当ではございます。ただ、おっしゃるような自衛隊法八十二条三項、一あるいは三だったと思いますけれども、そういった措置も含めてあらゆる可能性を検討しているという状況でございます。  仮にですね、まあ仮に、仮にそういうことになるというふうに仮定で話をするのはいかがかと思いますけれども、そうなった場合はやはり関係国ともよく話をしないといけないというふうに私は思っております。
  178. 猪口邦子

    猪口邦子君 ですから、この核セキュリティ・サミットは、ほとんど関連する全世界がそこに集まるというところでございますという指摘でございます。  それから、先ほど申し上げたカットオフ条約、FMCTについてでございますが、これは私が軍縮大使を務めていたときに、次なる国際の核軍縮の条約について、なかなかその条約の案文を作るということはやりにくいわけですけれども、その要素について提示していくということで、実質的な議論の促進に資するための作業文書を軍縮会議に付託したという経緯がございまして、大臣はジュネーブの軍縮会議は御存じだと思いますけれども、核軍縮及び大量破壊兵器軍縮中心に非常に重要な役割を果たしているところなんです。そこに日本外務大臣政策演説をするために行ったのは川口大臣最後であったと私思います。  玄葉大臣はジュネーブ軍縮会議に外務大臣として赴き、政策演説をする予定はありますか。是非そのようにやっていただきたいという要望を併せて伺います。  また、総理はワシントンにおいでにならなければなりませんよね。これは何度かこの委員会で取り上げているんですけれども、公式の訪米はいつなのかと、総理、日本国総理としてですね。これも最後の公式の日本国総理の訪米は麻生総理でございました。  いずれにしても、民主党政権になってからは、このようなスケールの大きい、大きなビッグピクチャーを見た、そして我が国の固有の責務といいますか、やはり核軍縮の伝道をする、そしてその旗手であるということは我が国に期待されている役割でありますから、そういうことについてもう少し思いを致してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  179. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 先生、軍縮大使でいらっしゃったので、各論とか、もう私が申し上げるような話ではないと。今はとにかく姿勢をしっかりと示せということも含めてアドバイスというか、していただいたんだというふうに思います。  川口大臣以来、日本外務大臣が行っていないということでございまして、確かに核軍縮の話というのは、日本がまさに主導しなきゃいけない分野なんだと思います。ですから、例えば国会のお許しをいただければNPDIはもちろん行きたいと思っているんですけれども、今のはCDの話で、山根大臣に行っていただいたんですね。私もできる限りそういった会合に国会のお許しをいただければ行きたいというふうに思っています。何かあれは、基本的に、事務方にそれこそ聞くと、いわゆる大使のレベルで出るものなんだという意見もあるんです。ただ、そこはだから日本なんだからということなのだろうと思うんです。それが一つですね。  それともう一つは、日米の首脳会談というのは想定をしております。ただ、日程まだ発表できるという状況にございません。そのことは御理解をいただければというふうに思っています。そのときは、確かにビッグピクチャーで日本米国がやはりハードパワーのみならずソフトパワーで、これからアジア太平洋、もっと言えばグローバルにどういう責任の分担、役割の分担というものを行っていくのか。それは軍事面安全保障面だけではなくて、文化面、人的交流あるいは経済面含めて、包括的にこの日米関係在り方についてしっかり何らかの形で発表しなければならないのではないかというふうに考えております。
  180. 猪口邦子

    猪口邦子君 ありがとうございます。  FMCTのことでちょっと後で戻りたいんですけど、もう一つ、大きな、重要な軍縮系の会議に政治ハイレベルが出席しているかしていないかということで、BWCという分野がありまして、これは生物兵器禁止条約でございまして、運用検討会議はよくあるパターンですけれども五年に一遍開かれまして、昨年の十二月に開かれまして、ここにはアメリカのクリントン国務長官が参加して名演説をされています。その演説の文書もありますが、それについては日本への言及もありまして、日本もまたそういう犠牲を払った国であり、こういう生物兵器、化学兵器禁止条約は別にありますけれども、こういうことについてしっかりと世界で取り組まなければならないということですね。この運用検討会議は、もちろん大使レベルとかそういう事務ハイレベルではあるかもしれませんけれども、重要だと思うときには閣僚が行くわけですね。あと、議長国であるオランダがやはり大臣が行っていたと思います。  ですから、玄葉大臣、こういうところにおいでになれば、それこそこういうマルチの場で、議長国以外で閣僚として来たのは日米であると、日米こそが核なき世界だけでなく大量破壊兵器、WMD全体に対して立ち向かうモラルハイグラウンドに立っている国であるということを非常に印象付けることができるんですけれども、なぜそういう、行くという発想を得なかったんですかね。  もちろん、多国間のは大使が対応することが多いですけれども、しかし、実際にはそうではなくて、大臣とか首脳が来れば全ての問題を上回ってその人の意見をみんなで襟を正して伺うというような場でもあって、やはり外交の場というのはそのランクによって非常に重要な違いが出てきますから、それは大使よりも大臣がその演説をするということがどれほど大事かということで、大臣でいらっしゃるわけですから、その大きなピクチャーを見ていただきたいというのが願いなんですけれども、どうして十二月、そういう発想を持たなかったんですか。
  181. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) いや、これはもう有り難い提案として受け止めますけれども、なかなか、まあこれはまず我々の意思があって、国会皆様にお願いをするということにもなるんだと思うんで、我々がどこまでじゃ強い意思を持っていたのかということになるんだろうというふうに思っています。  確かに、私も今こうして具体的に提案されて、米国日本だけが逆に言えば行った、何か調べたらオランダだけ行っているみたいですけれども……
  182. 猪口邦子

    猪口邦子君 議長国だから。
  183. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 議長国だからですかね。  確かにそういう姿がある意味浮かび上がるわけでありまして、確かにそれは一つのそういう日本外交在り方考える上では参考にさせていただきたいというふうに思っています。  私も実は、これは正直存じ上げませんでしたけれども、先生が大使していたときにはこのBWCはホスト役でまとめ役を担われたというふうに聞きました。ですから、直接携わられたのでその上でのアドバイスということで、先ほどの話も含めて、私自身の外遊をどういうふうにこれからしていくのかということ、これはできれば本当に党派を超えて考えていきたいなというふうに思うんです。国会の承認も、許可も必要なものですから、そういったことも含めて、是非党派を超えて。  今、自民党を始め野党の皆様は、かつてより私は理解をしていただけていると思っています。さらに、これはお互いにどちらが与党になっても野党になっても、どちらが与党になっても野党になっても、つまり我々が将来野党になっても、外務大臣の外遊というものをできる限り認めていくということをしていかないといけないなというふうに思います。
  184. 猪口邦子

    猪口邦子君 今大臣おっしゃってくださったんですけれども、私が大使で赴任しましたときに、アメリカはこのBWCからウオークアウトする、まあ脱退というと表現が強いですけれども、もうここは当てにならないというような雰囲気がありまして、それから十年近くたって、もう隔世の感なんですよ。もうアメリカは、閣僚が、議長国以外閣僚を送っていないこの場に、運用検討会議というのは本当に条約運用の中で重要な、締約国の最高位の会議ですよね、そこに自ら乗り込んでいくと。やっぱり国の価値というのはこういうふうに示すんだと。そして、それが際立った場面でもあったと思います。    〔委員長退席、理事広田一君着席〕  ですから、是非このBWCのプロセス、これは大量破壊兵器の中で唯一検証機関がない、そういう非常に運用が難しい部分でありますけれども、日米で同じ方向を向きながら、よくお互いの国益、考え方をすり合わせて、それで、検証機関がないので、検証プロセスのような形でこの条約を有意義なものにしていくということに心を配っていただきたいと思っております。  それで、大量破壊兵器は、御存じのとおり、核兵器、化学兵器、生物兵器がそうでございまして、その他の全ては通常兵器と呼びますよね。それで、核兵器ですけれども、今イランの問題、あるいはイスラエルとイランの問題、あるいは北朝鮮の問題、あるいは印パキの問題、いろいろありますけれども、NPT条約が不平等条約であるということから、ここに入らない。そして、核能力を持っているというのが印パキ、イスラエルであって、不平等条約であるということを変えることはできないので、次なる条約、これがFMCTであるわけです。これは、要は核兵器の原材料の生産禁止ですから、これ以上兵器ができないことになる。そして、全ての国、核保有国も兵器保有国も非保有国も加入するという意味で、そういう意味では非常に平等な核軍縮条約になると。  条約の構成要素を日本政府から付託しているわけですから、また二〇〇六年には更に付託をされたというふうにも聞いているので、こういう作業文書が現在どういうふうに扱われているか、そのスタンディングがどうか、それについて、一言で結構なのでお伝えいただければと思います。そして、それを重視していただきたい。それで、核セキュリティ・サミットなどのあらゆる場面でFMCTをやりましょうと大臣は言っていただきたいんです。お願いします。  じゃ、事務方からでもどうぞ。
  185. 宮川眞喜雄

    政府参考人宮川眞喜雄君) 先生、今御指摘の作業文書でありますが、二〇〇三年に提出していただいて、そしてまた、それをリバイズする形で二〇〇六年に提出いたしました。    〔理事広田一君退席、委員長着席〕  この中には、今、交渉手前になっておりますこのFMCTの様々なエレメントが入っております。これら、特に、例えばFMCTの定義は、核物質の定義は何なのか、それからその義務の範囲はどうなのか、ストックが入るのか入らないのか、それから検証手続はどうなのか、また条約の有効期間はどうなのか、こういった様々なエレメントがございます。  こういったものを、先生出していただきました作業文書を踏まえて、昨年、豪州と一緒に、つまりFMCTの交渉はまだ開始できませんでしたが、これを日豪で共同議長の形で、サイドイベントという形でエレメントについて議論をするということをさせていただいて、一歩一歩前進させていただきたいというふうに考えているわけです。
  186. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今、猪口先生おっしゃっていただいたように、このカットオフは、確かにNPTがある意味、欠陥があるという表現を外務大臣が使うのは適切じゃないかもしれませんけれども、そのNPTを補わなきゃいけない。そういう意味で、次に大事なのはやはりCTBT、そしてこのカットオフだと私も思っているんです。  ですから、今もお話がありましたけれども、ジュネーブでの取組を継続をしながら、P5などとも連携をしながら、これは具体的な提案を行っていく、これからNPDIもまたあります。ですから、もう既にNPDIではこのカットオフというのをある意味最優先に考えるということで今作業を進めていますので、今度のトルコでの、イスタンブールでのNPDIでもしっかりとこの問題について扱って、具体的な提案を行っていければというふうに考えております。
  187. 猪口邦子

    猪口邦子君 では、大臣は是非、軍縮会議に閣僚として参加する計画なども検討していただきたいと思っております。  では、ロシアの打開もしていただきたいと。ロシアは民主主義国として再出発した国であります。そういう国が経済的に失敗していくこと、これは絶対にあってはならないシナリオではないかと私は思っております。大臣は、本日の所信の中で、民主主義的な価値に支えられた豊かで安定した秩序というような言葉も語っておられます。そういう大きなビジョン、ビッグピクチャーを是非、プーチン、そして大臣のカウンターとしてはラブロフさんですけれども、持ってもらって、北方領土はこれは帰属は日本と、大臣ぱっと言ってくださったわけですね、この間のラブロフさんとの会談で。これに対して、いや、そういうことは絶対ないと直ちに向こうは否定しましたか。否定しなかったでしょう。  もうそういう機会をとらえて、是非、北方領土の帰属問題を一気に片付ける、こういう電光石火の仕事をしていただけないですかね。
  188. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 先般のラブロフ外相との会談については、先生もお出になられた北方の委員会などでも申し上げました。  先方のやり取りは、ちょっと先方との関係があるものですから私からは申し上げません。プーチン新大統領が意欲を示している、そのことを踏まえて、我々は好機ととらえて精力的に交渉をしてまいりたいというふうに思っております。
  189. 猪口邦子

    猪口邦子君 時間も押してまいりましたので、一方的にお伝えすべきことを伝えたいと思います。  日本震災で立ち直っている国であります。こういう国が、資源がないからといって成長が止まり、失敗していくことはやはり許されないことです。世界史にロングメッセージを出します。民主化した国が失敗することもやはり駄目です。ですから、そういうところで日ロはビッグピクチャーを見て、北方領土の所属は日本と、直ちにこれを解決して次なる地平に歩んでいただきたいと、これが私が玄葉大臣に期待したいことです。やっていただけたら、またその次のページも出てくると思います。  それから、防衛大臣に対してお願いしたいことは、国会提出法案関連で、所信でお述べになっていた防衛省設置に関する法律の一部を改正するところですけれども、余り一般的に取り上げられていないところで……
  190. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 猪口君、時間になっております。
  191. 猪口邦子

    猪口邦子君 時間。済みません、ちょっと、一秒で。  看護師養成課程について、これを大学にするというのは賛成なんですけれども、一定年限を勤めなければ金銭負担のペナルティを導入するという発想、これは少子化が進む日本の現状に不適切であると私は考えておりまして、柔軟な内容への転換を期待したい、私は議論の一石をこれ投じたいと。  やはり女性の場合、様々な事情が発生することがあります。そういうことを考えても、多くの人がきちっと働き続けたいと善意で考えていると思います。この制度を悪用する人は余りいないと思います。是非柔軟に考えていただきたいということを申し述べまして、大臣の見解を一言伺えれば結構ですけれども、委員長の御許可を得て、済みません。  私の質問はこれで終わります。
  192. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 看護師養成課程卒業生への償還金導入についての御質問でございまして、少子化が進む日本の現状については不適切ではないかと、こういうお話でございます。  私もそうだと思いましたんですが、調査をいたしましたら、自衛隊の中央病院の高等看護学院の卒業者で六割、そしてまた、防衛医科大学の卒業生で七割の方が研修を、卒業されたら離職されるということの実情で、これは私は、病院の方でよく言われます、小児科だとか産婦人科のお医者さんが少ないと。これは受かっても離れられると。この同じ現象なんで、これは政府全体で、先生の御指摘でございますので、やはりせっかく学んでいただいて資格を取っていただいたんですから、やはりその使命を果たしていただくのがまず先決ではないかと思っておりますが、御意見はしっかり受け止めて、政府全体で考えていく問題として考えていきたいと思います。
  193. 猪口邦子

    猪口邦子君 済みません、ありがとうございました。
  194. 宇都隆史

    宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。  本日は、防衛関係に特化した質問をさせていただきたいと思います。  外務大臣には申し訳ないですけれども、外務省に対する質問はありませんが、是非緊張して座っていていただきたいなと、このように思います。  さて、防衛大臣、昨年の三月十一日の震災以降の自衛隊の対応、つい先日ありました国民の世論結果を見ても、国民に非常に信頼と、また、何というんでしょうか、自衛隊に対する好意の思いを持っていただいてとらえられていると思います。国民の世論投票では、九七%を超える国民自衛隊に対して好意を持っているというこのアンケート結果も出ました。  私、先日、母校でもあります防衛大学校の卒業式に参加してまいりました。大臣も御参加いただいたんですが、あの中で総理が卒業する学生に向けて、つまりこれから幹部自衛官になる子たちに、若者たちに向けて三つのメッセージ、その三つ目がとても印象的でいいことを言われるなと思いました。総理が何言われたかというと、今回の震災対応等で国民の支持を得たけれども、これに慢心してはいけないと、常に国民に寄り添う自衛隊であることを心掛けなさいと、こういうことをおっしゃったんですね。相変わらずいいこと言うなと、あとは行動が伴えばと私は思っていたんですが、その中で、今回のこの防衛予算に関する防衛省説明、本当に国民に寄り添って丁寧な対応をしていたんでしょうか。私はちょっとそこに対して疑問を感じます。  冒頭に大臣がこの所信を表明してくださいました。今回のこの防衛予算、約四兆六千億の中で一番説明をいただきたい、今日お集まりの委員の皆さんも、ここどうなんだろうという疑問が生じている部分について、F35次期主力戦闘機の件があると思います。この件に関して、大臣、たった二行ですよ、大臣がおっしゃったのは。次期戦闘機については、昨年十二月に公正かつ厳正な審査を経て、F35に選定いたしました。その公平性がどうだったのか。厳正にされたと言うけれども、その中身として一体どういう議論があったのか、全く知らされていない状況です。国民は今国防関係に非常に関心が高いんですね。インターネットの中等見てください。三十代あるいは二十代という若手が次々に書き込みをしています。その中で、このF35の件についても様々な書き込みがあり、その多くはどういう書き込みか。そもそもF35ありきの選定だったんじゃないかと、どうしてF35に決まったのか、中身はやっぱり見えないという意見が大半です。  冒頭にこれ申し上げておきますけれども、私はF35の否定論者ではありません。ただし、価格の高騰、あるいは二〇一六年までに間に合うのかという問題、それから様々なスペックの問題等も併せていろんな疑義をこれだけ生じている問題にありながら、防衛省として大切なところで細かい説明がなされないところに私は一議会人としては納得がいかないと思っています。防衛省はやはり国民に寄り添うという考えを徹底するんであれば、ここにお集まりの先生方は国民の代表の防衛専科であられる委員の皆さんなんですから、国民説明するつもりでこの外交防衛委員会でしっかりとした説明責任を果たしていただきたいと思います。  そういう意味で、今日はこの次期主力戦闘機F35に特化して質疑をさせていただきますが、お配りしております、先生方に、お手元のこの資料を御覧ください。  まず一枚目を御覧ください。  これが防衛省が唯一出しているF35に決まりましたという選定結果を我が事務所において簡略化した表です。F35、次期支援戦闘機の評価項目は、四つの評価項目がありました。それを縦の段に表しております。性能、それから経費の問題、三点目が国内産業の参画の問題、そして後方支援の問題と。一番右の欄を見ていただくと分かりますが、この四つの項目でF35は三つの項目において最高得点を取りました。ということでF35に決まりましたということを防衛省が発表しているわけです。  しかしながら、二つ目の枠の配点のところを見ていただきたいんです。性能で百点満点のうちの五十点の配点、それから経費が二十二・五、国内参画が二十二・五、そして後方支援は五と。ということは、逆に言えば、防衛省は性能の部分を非常に重視した機種選定を行った、そして経費の面でもF35は非常に有効な得点を取ったので35に決まりましたということですが、この上の二段、性能の面と経費の面に疑義を生じるということが明らかになれば、そもそもこの選定の中身自体が正当性があったのかという話になるのではないかと思います。  そこで、私は今日は、この性能の面、そして経費にかかわる面に特化して質問させていただきますが、まず防衛省、そもそもこの次期主力戦闘機はどういう戦闘機を欲しいということで立ち上がったプロジェクトですか。
  195. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) お答えをいたします。  防衛省といたしましては、ステルス性などに優れた高性能戦闘機の出現、あるいは戦闘機、空中警戒管制機及び対空ミサイル等が一体となって行われる戦闘の進展、あるいは費用対効果等の観点から、兵器システムのマルチロール化が進展していることなどを踏まえて、次期戦闘機は制空戦戦闘能力に優れたことに加え、空対地攻撃能力等を備えたマルチロール機であることを求められると考えたところでございます。  F35Aは制空戦闘能力及び空対地攻撃能力等の両方を有する機種でございますが、その他、先生も御存じだと思いますが、提案が三機ございまして、今お話がありましたような評価結果に基づいて最終的に選定をしたというのが過程でございます。
  196. 宇都隆史

    宇都隆史君 この次期主力戦闘機の選定に関しては随分と遅れたわけですね。その第一の理由として、当初、F22という、アメリカが今主力戦闘機にしていますが、この戦闘機に購入できないかというような調整が続いておりながら、これを頓挫してしまったという経緯があったやに聞いております。  このF22という戦闘機は、どちらかというと、マルチロール機というよりは制空戦闘に特化したような形で開発、運用されている航空機なんですね。防衛省としては、初めはこういう制空に特化した戦闘機を欲しいというような調整を掛けていたんだが、後半になって、今おっしゃられたような、制空もだけれどもマルチロールをできるような戦闘機が欲しい。  一体どっちなんでしょう。最終的には本当はどちらが欲しかったんでしょうか。
  197. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) F22とたしか沖縄日本の航空自衛隊が一回、模擬戦のような形でやったときに、まあ本当に大人と子供ぐらいの能力の差があったというようなことで、舌を巻いたというような話を聞いております。F22に大変強い関心を持っていたことは確かでありますけれども、F22は提案されなかったということもございました。  そして、F35になぜという話もございましたけれども、御案内のとおり、中国ロシアが二〇一五年ぐらいにはF22に対抗するスホーイT50というんですか、ロシアで新たな戦闘機を、ステルス性の高いものと高い運動力を持ったものを導入すると。中国も今、ステルス性の高い殲20型というんでしょうか、これを今開発中であるということで、周辺国との一つのパワーバランスを考えて性能面を重視したということでこのような配点になったというふうに我々は理解をしているところでございます。  そういう意味におきましては、空対空能力ということも加味して、今回、高い性能を選んだということでございます。
  198. 宇都隆史

    宇都隆史君 私、そこがポイントだと思います。ただ、それがよく分からないんです。  今世界の、近隣諸国ロシア中国の例を出されましたよね。殲20の話、それからスホーイ50の話されました。防衛大臣も、三月十二日でしたか、予算委員会山本一太議員の質問で、どうしてこのF35なんですかという話を聞かれたときに、世界で使っているような最新鋭の機種に変えていくべきだと、時代に合ったものに変えていくべきだという話されたんですね。私、それが本当に運用ということを考えた機種選定だったのかなということにちょっと理解ができないところがあるんです。  といいますのは、沖縄で、先ほどF15戦闘機との戦闘の中でさんざんな結果だったというお話されましたよね。これは当然なんです。レーダーに映る第四世代戦闘機とレーダーに映らない第五世代戦闘機が戦えば、それは第五世代戦闘機が勝ちますよね。  では、制空戦闘、つまり我が国の防空戦闘をこのF35にやらせるというときに、近隣諸国ロシアのスホーイ50、あるいは中国の殲20、まだどちらも開発中ですけれども、それらが侵攻してきたときに、このF35、ステルスモードで対空戦闘を行う、こういうことでよろしいんですか。
  199. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) もう御存じのとおり、かつては要撃戦闘機部隊というのと支援戦闘機部隊というのがあって、たしか民主党政権の前の大綱のときにこの区分けがなくなったというふうに理解しておりますけれども、当然、ステルス性というものをほかの国々が、周辺国が重視をして配備をするということになった場合に、当然我々も、スクランブルも含めてですけれども、あるいは対空で向かい合うということについても、このステルス性ということを当然重要視したということは当然の結果でございました。
  200. 宇都隆史

    宇都隆史君 もう少し具体的に聞きますね。  レーダーに映らない戦闘機とレーダーに映らない戦闘機が空対空戦闘をしたらどうなるんですか。
  201. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) これは、相手を感知するのは、レーダーだけではなくて赤外線もあるでしょうし、当然その摩擦熱でありますとか、エンジンの高温の航跡であろうと、そういうものも含めて当然相手を探知するわけでありまして、考えられる一番能力の高いものを選定するに当たっては考慮したということでございます。  当然、先生の方が専門家ですから、レーダーに映らないものとレーダーに映らないものが向き合ったらどうなるんだというような、当然これはテクニカルな、専門的な話もあるでしょうけれども、その中で、当然のことながら、それ以外のことも含めてどのように相手を探知するかということについては、高い能力を持ったものを選ぶということは当然考慮されたものと理解しております。
  202. 宇都隆史

    宇都隆史君 今副大臣が言われたのは、恐らくIRSTの、いわゆる赤外線の熱を探知して相手がどこにいるかという能力がこれ付与されていますから、そういうところで全く見えないわけではないという話を今されたわけですよね。  しかしながら、重要なのは、ちゃんと相手をレーダーで捕捉して、ロックオンして、ミサイルを撃って当てられるかというのが一番重要なんですよ。そこに関しては、まだアメリカもどういう運用ができるのか、ステルス同士というのは分かっていないんです、これ。  大臣防衛大臣防衛大臣がレーダーに見えない戦闘機をもし持っていて、これを運用して敵と戦うとしたら一番効果的な運用はどういう運用だと思いますか。  少し答えにくそうな質問でしたから、では、中国ロシアが今開発を続けているわけですね。彼らは、このステルス機を使って、一体どういう運用構想で、どういう戦い方をしようと思っていると思いますか。我が方が35のステルス戦闘機を持っているやり方と同じような運用をしようとしているんでしょうか。
  203. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 戦略的なお話でございますので、今、アメリカ、あるいはロシア中国、いろいろ空の支配ということでやってきておりますから、それぞれの国の戦略はあると思うんですが、私が単純に考えますと、できるだけ海と空がやはり勢力を伸ばしていきたいという連携を取って、今、中国の不透明な軍事力の問題もありますが、やはりそういう面では、攻撃というよりは自分の勢力を拡大していくということが戦略として出てくるんだと思います。  それに対して、アメリカは、そういう面ではA2ADということで対処を動的にやってきておる戦略を構築しておりますが、我が国もそれに動的な戦略というものも加味していくことが必要だと思いますが、ちょっと戦略的な、戦術的な内容でございますので、私はそこまで専門家ではありませんが、危機が到来したら私は全力を挙げて我が国を守っていくという精神は持っておるところでございます。
  204. 宇都隆史

    宇都隆史君 防衛大臣、余りとんでもないことは言わない方がいいと思いますよ。今の大臣の答弁を要約すれば、中国ロシアがステルス機を持っているのは、戦略的に、自分たちの勢力を広げていく意図が戦略的にあるというようなお話の仕方今されましたけど、そういうことじゃないんですよ。  ステルス機を持っているということは、戦略的な運用の別の運用をするということなんです。要は、我が国政治的に手足を縛っている運用をするということですよ。つまり、私がもしどこかの国でステルス機を持って、脅威になる相手国がいてそれを使おうと思えば、空対空の戦闘なんかしませんよ。対地攻撃を選択します、対艦攻撃を選択します。わざわざ空に上がってきた戦闘機と戦おうなんて、そんなリスクを負いませんよ。見えないうちに重要なものをたたく。  もっと言えば、航空戦力の発揮基盤である航空基地、レーダーサイト、管制塔あるいは指揮系統、こういうところを先にたたいちゃえば、飛べなければ、どんな高性能の飛行機でも、どんなにミサイル積んでても空に上がらなければただの鉄くずなんですよ。そういう実は運用構想の下に成り立った戦闘機だということを理解しないといけないんです。  大臣は、先ほどから戦略、戦略というお話されていましたけど、まさにそうなんです。元々、装備品を買うということは、どうやって我が国を守るかという戦略があって、どういう運用をするかという運用思想があって、それに見合ったものを買わなきゃいけないんですよ。でも、大臣の答弁を聞いていると、あるいは防衛省側からの説明を聞いていると、今現有されている最高級なものが買いたいんだ、一番新しいものが欲しいんだ、一番できたものが欲しいんだと、まるで子供が一番高いおもちゃを親にねだるような、そういうような説明なんですね。それでは議会としては、国民の代表としてはこのお金を付けることはできませんという話なんです。そこが、国民に寄り添った丁寧な説明防衛省にできていないところです。  続いて、ミサイルがなければただの鉄くずですよ、空に浮かばなければただの鉄くずですよというお話しましたけれども、ミサイルのお話させていただきますけれども、お配りの資料、三枚目をちょっと開けていただけますでしょうか。  この三枚目の資料は、このF35、これを開発をしているロッキード・マーチンからの資料です。上側の方に付いています図というのが、実際にこのF35にどういう、兵装と専門用語では言うんですが、ミサイルなり爆弾なり燃料タンクなりそういうものを積めるかというのがオプションとして示されているわけです。下にある絵、左下はロッキード・マーチンが実際に飛んでいる映像、これ、中に見えているのは模擬弾でしょうけれども、それを撮った写真。右側の方は、これモックアップなんですけれども、私が先日シンガポールで実際に地上に置いてあったF35を下から許可をもらって撮ってきた映像です。  防衛省、F35、ステルスモードをフル活用しようとすると、上の絵の赤の点線枠のところにしか物を積めないはずなんですね。外に物をぶら下げるとレーダー反射面積が多くなるんで見付かる確率が高くなるわけです。一体幾つのミサイル、幾つの爆弾を搭載できるようになっているんですか。
  205. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) どなたがお答えになられますか。  渡辺副大臣、よろしいですか。じゃ、渡辺防衛大臣
  206. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 幾つの、これはあれですね、ステルス性を犠牲にしてフル装備をした場合と……
  207. 宇都隆史

    宇都隆史君 逆です。
  208. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 逆ですか。
  209. 宇都隆史

    宇都隆史君 完全なステルスモードにしたときに何発積めるんですか。
  210. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) ということでございます。  ステルスモードにした場合は、当然のことながら胴体の中にしまわなければなりませんから、ここに書いてある尾翼の部分、あるいは胴体下の部分についてはこれは当然装備できませんから、このままでいくと六番のガンポッドになるんでしょう。いわゆる、兵器倉というんですかね、胴体の内部に格納できる兵器のみしかステルス性を最優先すれば当然格納できないと考えておりますけど、その幾つかという数字については今ちょっと、必要でしたら確認させていただきます。
  211. 宇都隆史

    宇都隆史君 ちょっと確認して、明確に数字で御答弁いただけませんか。
  212. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) それでは、速記止めてください。    〔速記中止〕
  213. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) じゃ、速記を起こしてください。  渡辺防衛大臣、よろしいですか。
  214. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) これは、もしこの内装に、兵器倉を内側に置くとすれば、これは番号でいうと五と七ですね。五と七となると、これ合わせて、重さでいうところの三百五十ポンド、百五十九キロということでございまして、それじゃ幾つになるのかといったら、内部にしまうこの重さが分かりませんので、この写真を見る限りでは、倉となりますとこれは二発ということになるというふうに推測、かと思います。
  215. 宇都隆史

    宇都隆史君 この飛んでいる写真を是非委員皆様も御覧ください、左下の方ですね。この赤く見えているのが、これ爆弾です。開いている蓋のところに若干付いているのが見えると思いますが、一発ずつ、中距離ミサイルが一発ずつしか積めないんですよ。計二発ですね、と爆弾が二発。  今我が国が保有している今の主力戦闘機F15は、空対空モード、つまり防空の最大モードでミサイル積もうと思えば何発ずつ積めるんですか。
  216. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 宇都君、これ事前通告されているんですね。
  217. 宇都隆史

    宇都隆史君 ここ聞きますって言っていますので。
  218. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 防衛省、速記止めますか。  じゃ、速記止めてください。    〔速記中止〕
  219. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を起こしてください。
  220. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 先般、百里で戦闘機の視察をしてまいりました。F15は、ミサイルはそのときは四つ付いていたんですが、もっと、これは、どうなんでしょうか、私、私はそういうところまでしかちょっと分かりませんが、今確認いたします。
  221. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) これも、AIM9Xというんですか、ミサイルを配備するとすれば両翼に一機ずつ、二機だと思います。
  222. 宇都隆史

    宇都隆史君 要は、こういう感覚で新しい機種を選定しているということなんです。ミサイルが搭載できなければただの鉄くずなんですよ、見えようが見えまいが。今のF15、フル装備すれば八発八発積めるんです。それだともちろん重くなるんで、いろんな高機動はできなくなりますよ。でも、これ衆議院の石破議員も指摘しているところですけれども、我が国が効率よく防空だけをやろうと思ったら、できるだけ燃費が良くて、できるだけミサイルをいっぱい搭載できる航空機の方が効率がいいはずなんですよ。見える見えないは確かにあると思います。だから第五世代と戦えば戦えないかもしれないけれども、本当はそういうことをよく考えてやらなきゃいけないんですね。  二発、35は積めるという話を今しました。中距離ミサイルが二発ですね、爆弾が二発。この精密誘導爆弾は、JDAMというのをアメリカも使っていますが、日本も保有しています。我が国が保有している中距離ミサイルでこのF35に積めるミサイルはあるんですか。
  223. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 防衛省、お答えください。お答えできないなら、速記を止めてください。    〔速記中止〕
  224. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を起こしてください。
  225. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 大変専門的な話でございまして、今御質問いただいた件については、これは通告がございませんけれども、今、防衛省側で確認したところ、中距離ミサイルが四発積むことができるということでございます。
  226. 宇都隆史

    宇都隆史君 質問の内容と答弁の内容が今、違いましたよね。質問通告していないと今言われましたけれども、搭載武装について確認しますよという話は一応してありますので。  このことは、私、今日は一般のこういう表に出ている、書店で買えるような本を買ってきましたけれども、どの本にも書いてあることなんですよ、ここが問題ですよということで。  このアメリカが開発しているF35という戦闘機は、アメリカが主力で使っているAIM120というミサイルを使っているんです。中距離で撃ちっ放しのミサイルです。ミサイルを撃って、発射したらもう自分は逃げられるわけです。だから、できるだけ遠い距離で撃てるミサイル。そのための、そのミサイルに匹敵できるようなものを開発しようということで、空自で一生懸命開発したミサイルがあるんですね。AAM4という今一番新しい中距離ミサイル開発しているんです。ただ、開発の技術力がやはりアメリカとは違いますから、AIM120、アメリカが使っているミサイルほど小さくできなかった。長さも九ミリ大きくて、径も二十五ミリ大きいんです。このAAM4は中に入らないんですよ、結局。だったら、我が国ミサイル開発は一体何だったんだという話になるわけですね。  今後、F35を入れるということは、防衛省はこのAIM120、アメリカのミサイルを買うことを前提にしているんですか。
  227. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 当面の間は、そのようなことになろうかと思います。
  228. 宇都隆史

    宇都隆史君 ある数量、明確な数字は言えませんけれども、ある数量のこの同型ミサイル我が国も保有しているという情報は聞いております。ただ、この一六年の導入に当たって、プラスアルファこの新しいアメリカが主力で使っているミサイルを購入するという話はここに出てきていませんよね。つまり、我々はこれだけ高価な買物を国民の血税を使った上に、そのミサイルに関するところ、つまり、それがなければ相手の敵機を落とせないわけですから。そのことに関しては、御覧のとおり、防衛省としては検討も考慮もされていないという事実ですよ。それで果たして本当に一番上の性能、火器管制能力というところを最大点付けていいのかという話じゃないでしょうか。私は、そこにすごく疑義を生じております。  もう一つ。  では、仮にAIM120を買ったとしましょう。で、中に入れて完全なステルスモードにして防空戦闘をするとしたときに、航空自衛隊防衛省航空自衛隊はどういう防空戦闘をやるつもりなんでしょうか。今の、現保有のF15でもいいです。防空戦闘というのはどういう作戦推移になるのか教えてもらえませんか。敵機が来たら、まずどこが、どうして、どうやって、どういう連携をするんですか。白書の一番最初に書いてある部分ですよね。
  229. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  230. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) じゃ、速記を起こしてください。
  231. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) これは通告があればこちらもしっかりとした答弁をできるように準備をしておりましたけれども、事務方にも確認したら、先生の通告があったのかもしれませんが、それはこちらとしてコミュニケーション不足だったのか、通告があったと理解していなかったものですから、大変専門的な話でございますので、改めてお答えする機会をいただければお答えをさせていただきたいと思います。
  232. 宇都隆史

    宇都隆史君 私は、今防衛戦闘の概要を聞いたんですよね。別に専門的な話じゃないです。あなた方が指揮官じゃないですか。概要がどういうふうに推移するのかぐらいは分かっていなければ、これ自衛隊を運用できないですよ。  敵機がまず侵攻してきたら、一番最初には地上レーダーが見付けるんじゃないですか。それに対してスクランブル上げるんじゃないですか。あるいは、元々飛ばしていて、それを指向するんじゃないですか。そして、戦闘機とペトリオットミサイルでどっちにそれを攻撃するかのアサインをして戦っていくわけでしょう。もしステルスモードをF35が完全にしていて、我が方の地上レーダーに見えるんですか、F35が。どうやって管制するんです。  これ、現場の仲間にも聞いたんです、どうやって管制するんだと。いや、管制しないんだと、もうAWACSだったりいろんなデータリンクをもらって自分たちで勝手に動くんだと、そういう運用のやり方しかないんじゃないかと。それは現場が今後考えていかなきゃいけないんでしょうね。でも、そのことまで全然考えていない。  だから、これはF35のステルス性が欲しいというのであれば、ステルス性を最大発揮できるような運用戦略を考えていなきゃいけないはずなんですよ、防衛省が。一番高いものを欲しいから金付けろって、そんな議会が簡単にお金付けられるはずがないじゃないですか。私は航空自衛隊人間だから、一番大切な、一番高価な、一番性能の高いものをもちろん持ってほしいですよ。持ってほしいけれども、国民の納得ができないものにお金を付けることはやはり議会としてはできないということを今言っているんです。  ここの部分は、また後日別の機会に、政府参考人と、まあ事務方入れてもいいですから、議論させていただきます。  じゃ、次に……
  233. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 渡辺防衛大臣、答弁されますか。
  234. 宇都隆史

    宇都隆史君 よろしいですか。じゃ、そのステルス性のところは少しおいておきましょう。  もう一つ、性能の部分でお聞きしたい面があるんです。  F35のこの性能点、最大点数が付いたのは、一つは、このF35が中に装備しているところのネットワーク関連の部分、ミッションコンピューターのソフトウエアという部分ですね、これが非常に精度が高いのでこのF35を購入しましょうという、高い点数が付いたというような話も聞いています。  これもよくいろんなところで言われている話ですけれども、ソフトウエアの開発というのは今遅れておりますよね。我が国は一六年までにこの開発を終わらせて購入をしたいと言っていますけれども、アメリカ側は、表に出てくる、我々が知り得る情報ではもう間に合わないんじゃないかと。でも、防衛省は、いや、それはちゃんと約束してあるから間に合うという話もしております。  これは昨日の十四時三十三分に出たニュースです。ニュースソースはワシントン時事です。ピックアップして主要なところだけを説明しますけれども、日本が二〇一七年三月までにFMSで最初の四機を購入する機体価格も高騰する可能性が現実を帯びてきたと。これ、F35開発担当責任者のベンレット中将が、F35の性能を左右するソフトウエア最終型のブロック3は一七年に完成するとの見通しを示した。  防衛省に確認します。一六年までに間に合わせるということは、このブロック3にならなくても、ブロック2ソフトウエアでも購入をするということでしょうか。それとも、ブロック3でなければ我が国は購入できないという話になっているんでしょうか。
  235. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) ブロック3を念頭に、我々が要求している性能が納入されるというふうに我々は理解をしております。
  236. 宇都隆史

    宇都隆史君 じゃ、再度確認しますけれども、ブロック3が開発完了して、我が方にそれを輸出されるまではこの購入は遅れるということでよろしいですね。
  237. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) これは、今までのやり取りの中で間に合うということで我々は念頭に置いて交渉しているわけでございまして、間に合わないということを想定してお答えをするわけにはいかないというのが現時点での回答でございます。
  238. 宇都隆史

    宇都隆史君 ありがとうございます。ブロック3が開発間に合わなければ購入しないということを答弁いただきました。  簡単に説明いたしますと、ブロック2というのは簡単な訓練戦闘できるぐらいのミッションソフトウエアしか積んでいないんですよ。だから、先ほど言ったようなこのF35に搭載されている様々な機能をフル活用した戦闘を本当にしようと思えば、このブロック3が開発されていなければできない。簡単に言えば、パソコンのOSが新しいOSじゃなくて古いもう機能できないようなソフトがいっぱい入っているのに、そのOSのまま買ってしまうんですかという話なんですね。だから、これは絶対に譲っちゃ駄目な部分だと思います。いろんな圧力に負けてブロック2で購入するということが絶対にないようにしていただきたいと思います。  さて、経費の二点目の部分に入りたいと思いますけれども、防衛大臣、三月十二日の予算委員会では、防衛大臣はこのように答弁されているんですね。山本一太議員の質問で、今回の一機当たりの契約の値段が九十九億になっているけれども、九十九億を超えて価格が高騰した場合はどうするんですかというお話をしたときに、全体で六百億の費用を計上しているから、その中で買えることができればそれで買うんだと、これでよろしいんですか。
  239. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今般の選定におきましては、提案要求書により、提案者に価格と納期を含む提案内容の厳守を求めております。その厳守が前提ということで今進めておるところでございまして、そしてまた若干その価格差が、アメリカで言っておる価格と、そしてまた提案されたときの九十九億という価格の今内容を精査いたしておるところでございますので、その中にありまして、御存じのとおり、この予算次期戦闘機F35Aの取得として四機で三百九十五億円、これは四掛ける九十九です。ただし、シミュレーターの取得経費等として二千五億円を計上いたしておりますので、その辺の価格差の内容を、提案内容と今の言われておるアメリカの価格の今精査をしておりますが、この中で予算の範囲内で対応できるかどうか、これは項目別に対応をして、そして今検討をしておるというのが実情でありますから、検討中であるということでお答え申し上げます。
  240. 宇都隆史

    宇都隆史君 私の質問に正確に端的に答えてください。大臣が言った言葉ですよ。「全体で六百億の費用を計上をいたしております。その範囲内で購入ができれば購入をするということは、私は考えておるところであります。」です。これ、正しいんですか。
  241. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) はい、その前提で考えていただいて結構だと思います。
  242. 宇都隆史

    宇都隆史君 ということは、この九十九億以外に付けている値段、シミュレーター分、二百五億がありますよね。シミュレーターだけではこれはありません。初度経費にかかわる様々な部品費であったりそういう整備にかかわるものも入っていますけど、それは多少犠牲になっても四機の購入が進められれば、九十九億を超えても買うということでよろしいんですね。
  243. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 九十九億を守ってもらう、提案内容を厳守してもらうということが大前提でございますので、それに向かって今交渉をしておるということでございますので、万が一ということは、今のところお答えできませんが、しかし、私といたしましては、その価格差というのは、前提がちょっと、日本とアメリカのこの価格の前提が違うということでありますので、それをよく精査をして、そしてこの予算の中で対応していくということをお答えをしているところであります。
  244. 宇都隆史

    宇都隆史君 大臣、あなたとは質問にならないですよ。言ったことをころころ変えないでください。先ほどは、このトータルの値段の中で四機購入できるんであれば九十九億を超えても買うつもりですかと言ったら、そういうつもりですと言ったじゃないですか。だから、私はシミュレーター分の二百五億が多少犠牲になっても四機の購入を重要視して取るんですねという念押しをしたのに、今度は九十九億が前提ですと。そうじゃないんでしょう。
  245. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) まずは九十九億なんです。もう、これはもう今……(発言する者あり)しかし、先生のお話のような事態に立ち至るということも、それはあるかもしれません、しかし万が一の話でありますが、そのときにはそういう判断をするということも、当然それはないことはないわけでありますが、それは今確約をするわけにはいかないということでお答え申し上げます。
  246. 宇都隆史

    宇都隆史君 端的にだから答えてください。言っていることは同じじゃないですか。九十九億を前提に調整をしている、それは分かっています。でも、アメリカの、米議会で二十四年度のF35は日本円に換算して百二十億の値段が付いたんでしょう。アメリカの法律では、FMSでは自国の価格以上に安くで売れないんじゃないですか。だから、その可能性があるから、多少高くなっても買うんですねという話を今したんです。シミュレーターを犠牲にすることが可能性としてあるという答弁をいただいたんで、分かりました。  これまで、二枚目のページ見てください、我が国は主力戦闘機としていろんな航空機を購入してまいりました。一番上はF4という飛行機が一九七〇年代から購入し、二列目F15が一九八〇年から、そしてF2というのは一九九六年から調達開始したんですけれども、これ、パイロットが乗れなければ意味がないわけですよね。訓練をしなければならない。今言った三機種は訓練をするための複座型を全部持っている航空機なんです。  防衛省、F35に複座型は購入する気があるんですか。ありますか、複座型が。
  247. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) F35Aに複座型はないと確信しておりますから、よって購入することはございません。
  248. 宇都隆史

    宇都隆史君 つまり、一六年に間に合って高い買物をしても、シミュレーターの数がそろわなければそれに乗る戦闘機パイロットは養成できないということなんですよ。そのことを犠牲にすると今言った、大変な答弁今いただいたんですよ。その可能性もあると言ったんですから。だったら、何のための買物なんですか。何のためにこんな高価な額を出して我々の議会承認を得ているんです。そこまでの議論の積み上げをちゃんと防衛省でやっているんですか。全くその辺が納得いかないところであります。  シミュレーターの件に関してもう一度御意見があれば、防衛省の方から。
  249. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) シミュレーターは、これは当然買うわけでございます。先ほど大臣がちょっと御指摘があったようなのは、言葉の中に、六百億円の範囲でその四機を買えば、つまり一機百五十億までが許容範囲なのかと、何か間違ったようなメッセージになってはいけませんけれども、先ほどの話で、FMSによってアメリカではそういう額。ただ、アメリカの中には初度費が入っていて、いわゆる価格の経費がどのような積算でその額になっているかということについて日本と同じ条件なのかどうかについても今しっかりと調査しているところでございまして、私どもとしては九十九億という額で一機を見積もっております。  そして、ただ、過去の様々な装備品の購入において変動することは当然これまでもあったわけですから、それは全くその額で決め打ちというわけにはいかないのかもしれませんけれども、しかし、いずれにしても、シミュレーターは購入をして、当然パイロットのこれは訓練等に使わなければ乗れないものというふうに理解をしております。
  250. 宇都隆史

    宇都隆史君 副大臣大臣の間で答弁内容が違うようなことは避けてくださいね。誤ったことを言ってしまったときは、ちゃんと答弁の撤回をしてください。混乱していますよ、議会が。全く説明責任果たしていないじゃないですか。もう少し丁寧にこれだけのお金を付けてくださいということをやることが国民に寄り添う自衛隊ということじゃないんですか。そのことを防衛省にもう一度求めます。  最後に、この二枚目をもう一度、先生方も見てください。何でこんなにF35次期主力戦闘機の購入に焦っているかという話なんです。  一番上の欄、このF4戦闘機の後継機なんです。一九七〇年から使っている戦闘機なんです。大体、戦闘機というのは二十年ぐらいが旬なんですね。そして、運用していけば大体十五年、三千時間ぐらいを目途に用廃していくものなんです。ただ、それが財政の絡みもあって続けられなかったから、一九八〇年のところから何とか能力向上して、九十機分は延命措置をしたんです。でも、またそれが二〇一〇年手前から減っていっているのが御覧になれると思いますけれども、もう残り五十機、これを運用しているわけです。予算委員会で、これ購入が遅れたらどういう問題点があるんですかという話を大臣にしましたけど、大臣は答えられませんでした。  時間もないので私から話をしますと、この残り五十機、もう時間が限られているんです、飛べる時間が。ということは、F35の購入が遅れれば遅れるだけ、捨てるわけにはいきませんから飛ぶ時間を減らします。訓練回数を減らします。パイロットの技量はどんどん落ちていきます。そのことは我が国の防空体制に及ぼす影響がないんですかということを山本議員は確認したんだと思います。  最後に、防衛大臣にもう一度確認します。  大臣は、予算委員会の中で、山本一太議員の、F35が元々、この開発が遅れるんじゃないか、調達が遅れるんじゃないか、価格が上がるんじゃないかという懸念が言われていたんだと。にもかかわらず、こういうような契約をしてしまった。結果的に、当初約束していた価格帯にならなければ、納入年度にならなければ、大臣は議論の中で契約破棄もあり得るというような答弁なさっていますけれども、それが間違いないのか。もし契約破棄になったときには、当時のF35に決めたという防衛省は判断ミスだったということを認めるのか。その二つ、答弁いただいて終わります。
  251. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 判断ミスではないと思っております。  そしてまた、今の交渉しておりまして、これから契約をするわけでございますので、防衛省といたしましては、この提案内容をアメリカに厳守してもらうということがもう最優先でありますし、今全力を挙げてこの対策に努力をしてきておるところでありまして、いろいろと交渉相手もあります。そういう面でいろいろ我々も分析をし、解析をして臨んでいるわけでありますが、これは相手があることでありますが、やはりこの内容を厳守してもらうということが我々の大前提の立場であると。しかし、柔軟に考えるということも、それは万が一ということでありますけれども、しかし、それに至らないように今努力していることを御理解をいただきたいと思います。
  252. 宇都隆史

    宇都隆史君 一言だけ。  是非、35に決めたからにはしっかりとした交渉を行い、そしてアメリカだけを見ずに、議会もしっかり見てくださいね。国民が、ああそれならばそれだけのお金を出して我が国の空を守ってもらおうという納得ができる説明を、精神論ではなくて、こういう具体的なデータを使ってちゃんと示してください。でなければ、議会は納得ができません。  以上で終わります。
  253. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。  最後でございますので、よろしくお願いを申し上げます。  通告した質問に入る前に、二点ほどお伺いしたいと思います。一点は田中大臣で、一点は玄葉大臣にお伺いしたいと思います。  午前中に、武器輸出三原則につきまして田中大臣の御答弁をじっくり伺っておりました。のっけから大変失礼な言い方で申し訳ございませんけれども、大変不安になりました。これまで、官房長官談話などでBMDに関する日米共同開発など個別に例外というものを設定してきたわけですが、昨年末の官房長官談話で、包括的に例外化措置を講ずるというふうになったわけです。つまり、今後は個別案件に応じて例外化を判断するための手順を踏まないことになるんです。新しい基準の枠内だといって、国民の知らないところでなし崩し的に武器輸出や共同開発が拡大するのではないかという懸念がございます。  そこで、大臣に、田中大臣に確認をさせていただきます。  我が国の事前同意なくして、目的外使用やまた第三国移転がされないなどの厳格な管理、これが実効的に機能する枠組み整備されない限り、昨年末の談話に基づいた措置は講じない、これでよろしいですか。簡単なことを聞いています。
  254. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 厳格的な措置がなされていなければ、それは進めないということで御理解いただきたいと思います。
  255. 山本香苗

    山本香苗君 この点につきましては今日は通告しておりませんので、別途機会を、時間を割いてじっくり議論をさせていただきたいと思います。  二点目は、玄葉大臣に対してお伺いしたいと思います。  先ほど所信を聞いておりまして、猪口先生からも御質問ございましたが、領土問題について言及がございましたが、北方領土問題について具体的な言及がございませんでした。  なぜなんでしょうかということなんですけれども、といいますのも、プーチン氏が大統領として再選をされて、野田総理も電話会談で北方領土の問題の解決について英知ある解決をということをおっしゃっています。また、これから五月には、アメリカで開催されるG8首脳会談でも恐らく日ロ首脳会談を持とうということをお考えになっていらっしゃると思いますし、その後の六月のG20だとか九月のまたウラジオのAPEC、こういったところでも、もう段階的にこれだけ会う機会があるわけですから、北方領土問題というものを本当にここで真剣に動かそうという気持ちをお持ちだと思うんです。なのに、具体的な言及が一切なかったんです。これじゃ何のメッセージにもならないんじゃないかと思いますが、なぜ書いてないんでしょうか。
  256. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 領土問題が存在するのは、御存じのように、北方領土問題と竹島ということでございますけれども、一つは、外交演説に書き込んだということが一つございます。それと、沖縄北方委員会所信に、この問題について、具体的にといいますか、私の思いを書き込んだということがあったものですから、あえて今回はあのような形で書かせていただいたということでございます。  おっしゃるとおり、私としては強い意思を持って臨みたいというふうに考えているところでございます。
  257. 山本香苗

    山本香苗君 強い意思があるのであれば、しっかりとこの所信の中で述べていただきたかったなと思っております。  では、通告した順に行きますので、田中大臣、よろしいでしょうか。  まず、東日本大震災から一年たちました。そういう中で、自衛隊震災における活動を記録したDVDというものを改めて拝見をさせていただきました。映っていたのはほんの一部でございますけれども、改めて自衛隊皆様方の献身的な活動に心から敬意を表したいと思っております。  ただ、全ての活動が思ったようにいったわけではございません。反省点もあったと。昨年の八月にはその教訓事項というのを、中間取りまとめをおまとめになられたわけでございますが、その後、進捗状況はいかになっているでしょうか。
  258. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 自衛隊は十万人を超える過去最大規模の態勢構築し、また原子力発電所の事故への対応、災害時における統合任務部隊の編成、即応予備自衛官、予備自衛官の招集、米国によるトモダチ作戦を始めとする諸外国との協力など、数多くの活動、対応を実施してきたところでございます。先生からも大変評価をいただきまして、感謝しておるところでございます。  その後、昨年八月三十一日に取りまとめてきたところでありますが、各機関、部門がそれぞれの所管事項について検討を行い、その結果を各種施策、予算要求等に随時反映をさせるなど、必要な対応を行ったところでございます。  具体的には、平成二十三年度の第三次補正予算において、放射線環境下でも有効に情報収集等が可能となるようNBC偵察車の取得をする。そしてまた、平成二十四年度の予算案については、原子力災害を含む災害に対応する訓練等に要する経費、そしてまた、部隊展開後の通信能力向上させるため、新野外通信システムを取得するための経費、特殊災害対処等に必要な各能力の充実のため、CBRN脅威評価システム技術の研究や新線量率計セット等を取得するための経費を織り込んできたところでございます。  防衛省自衛隊としては、今後とも、東日本大震災への対応を通じて得られた教訓を今後の災害対処能力向上に生かしてまいりたいと思います。  先般も、被災地、原発の地域におきまして山林の火災が起こってはいけないと、こういうことで訓練をするということで決めたところでございますし、様々な形で要請があれば対応できるようにしていきたいと思っています。
  259. 山本香苗

    山本香苗君 八月にまとめられたのは中間取りまとめであったわけですが、最終取りまとめはいつになりますか。
  260. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 最終取りまとめはまだでございます。早急に取りまとめをしたいと思っております。
  261. 山本香苗

    山本香苗君 今の答弁で本当によろしいでしょうか。最終取りまとめ、早急にというのは、じゃ二、三か月というスパンの間ですか。
  262. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 防衛省としては決めておらないような話はしますが、私はその必要性は当然あるし、早いところ取りまとめることが大事だと思っておりますので、先生の御指摘であります、できるだけ早く取りまとめていきたいと思います。
  263. 山本香苗

    山本香苗君 大臣から早く取りまとめるというしっかりとした御答弁をいただきましたので、(発言する者あり)今与党の筆頭からも声が掛かりましたが、役所の方にしっかり指示をしていただいて、きちっと形にしてください。先ほどの佐藤理事の御質問じゃありませんけれども、何か、検証作業というのは本来きちっと現実を見て、正確に把握してそれを施策に生かしていくということが必要なはずなんですけど、何か枠を決めているわけです。  中期防、このいわゆる大綱、これの中でしかというようなところがずっとかいま見えておりまして、是非ここはしっかりと、ただ単に災害派遣だけじゃなくて、今回は本来の任務であります国防という観点からも、災害派遣これで本当によかったのか、いろんな意味で検証が必要なはずなんです。それが何か枠の中に閉じこもっているような感じがずっとしてなりませんので、こういうことこそ本当に政治主導ということで、しっかりと結論を出していただいて、閣内でしっかり意見を言っていただいて、施策に生かしていただきたいと思います。  もう一つ、内閣府の世論調査におきまして、今回の震災における、先ほどは自衛隊評価が高かったという話でございますが、米軍による支援活動のトモダチ作戦に対しても、八割近い人が成果があったというふうに評価を下しております。実際、米軍からの支援というのは極めて大きかったと思っております。  先日も、この東日本大震災で十万人の陣頭指揮を執られた前の折木良一前統合幕僚長が、産経新聞のインタビューで、米軍から学ぶ点は何でしょうかという問いに対して、米軍世界的に展開していて、主導的に動いていますと、司令官の権限、指示のスピードは格段に違うと、何といってもスピード感ですと、システムが米軍には確立しているんですねというふうに答えておられました。米軍のこうした緊急時の対応というのは、本当に学ぶべき点が非常にあると思います。それで、平時から連携を深めておくということも非常に大事なことだと思います。  つい先日、沖縄米軍関係者の方とお話をしておりましたら、そういう話の中で、こういう緊急対応について連携が取れたり、またお互い学び合ったりするために、キャンプ・キンザーのところに連絡官を置けばいい、そういうことはもう既に日本政府関係者に提案をしたんだよと、そういうお話がございました。  キャンプ・キンザーというのは牧港補給地域になるんでしょうか、ここは整備とか補給だとか工作だとか医療支援等を第三海兵遠征軍に提供することを任務としているところでございますけれども、こういった米軍からの、アメリカ側からの提案というものは具体的に検討なされているんでしょうか。
  264. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 昨年の震災対応に際しまして、延べ約八十名の連絡官を市ケ谷、横田及び仙台の日米調整所へ派遣したところでございまして、自衛隊及び米軍連携による迅速かつ効果的な支援活動実施することができたと考えております。  現在は、連絡官は二十二名、自衛隊から派遣をいたしておるところでございますし、平時でありますけれども、最近の安全保障環境、非常に不穏な動きもございます。日米連携を取って、この必要性についてはまた検討を進めたいと思っています。  また、具体的に沖縄の方での先生の御提案でございますが、私も先般沖縄に行きまして米軍の方とお話ししました。共同訓練、そしてまた共同の施設を使うと、こういうこともありますが、そういう司令部との連携も更に密にしていく時代になってきておると思いますので、是非先生のお話を防衛省もしっかりと受け止めて、担当の者によく話を、研究をさせたいと思います。
  265. 山本香苗

    山本香苗君 ちょっと質問が食い違ってしまっているんですが、具体的にそういう提案、先ほど申し上げたような提案を防衛省として把握されておられるんでしょうか。昨日、一応担当の方にはお伝えしましたが。
  266. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 渡辺防衛大臣。渡辺防衛大臣、どうぞ御答弁ください。
  267. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 今回のジョイントタスクフォースで、大変、アメリカの現場における活動、あるいはその装備品の豊富さ等々、やはり現場の修羅場といいましょうか、くぐり抜けてきた米軍の存在を大変参考にするところもありました。また、その姿を見て地方自治体も、米軍と地方自治体で連携できないだろうかというようなことも、静岡県の知事辺りは、実際もう訓練の中に在日米軍に参加してもらったりしていますと、立ち会っていただいていますと。  そういう形で、今回のトモダチ作戦の様々な影響はいろんなところに影響を与えているわけでございますので、今後、例えば地方自治体と米軍という形でも何らかの形で、協定を結ぶというとこれはなかなか条約になりますので難しいんですけれども、何らかの形で連携できるようなことは今後考えていきたいというふうに考えております。
  268. 山本香苗

    山本香苗君 済みません、全然質問と違うことをお答えに。済みません、私はこの後に地方自治体の話をしようという形で、質問はきちんと聞いていただきたいなと思うんですが、ちょっと戻りますが、その提案のことについて具体的に防衛省として把握されておりますかと。
  269. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 先ほど先生お話ししましたキャンプ・キンザーについての連絡官の派遣については、本省はちょっと聞いておらないと。沖縄防衛局が受け止めているんではないかと思います。至急、そういう御提案については確認をして、先ほど答弁も申し上げました、その必要性については真剣に私も考えていければと思っています。
  270. 山本香苗

    山本香苗君 是非御確認をいただきたいと思います。私がその話を聞いた場にも沖縄防衛局の方おられましたので、しっかり聞いていらっしゃいますので、その点、是非確認をしていただきたいと思います。  先ほど渡辺副大臣がお答えした点についてなんですけれども、その東日本大震災においての米軍の活躍ということで地方自治体との連携もという話だけじゃなくて、だけじゃなくて、昨年の六月の二十一日の日米政府間で行われた2プラス2の合意文書の中に、その普天間飛行場の辺野古移設の確認のほかに、東日本大震災への対応における協力という文書の中で、防災における在日米軍と地方自治体の連携について書いてあるわけです。書いてあるから、まず現状どうなっていますかということをお伺いしたいんですが、どうでしょう。
  271. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 大変先ほどは失礼をいたしました。  先ほども申し上げた静岡県の総合防災訓練等に在日米軍が参加したこともありますけれども、今かなり在日米軍は地方公共団体が開催する防災訓練にも参加をしておりまして、関係機関、地方公共団体と連携を深めております。  今非常に、例えば米軍施設がある自治体は地域のそういう訓練等にも参加をしていただけるようになっておりまして、非常にそういう意味では、今後もまさに大きな災害が、首都圏直下型や三連動が言われる中で、この自衛隊のみならず在日米軍というものもしっかりと地域防災の大きな計画の中に組み入れていくと、そのための、防衛省としては、関係が一層円滑かつ強化できるように、橋渡しをできるようなところはしていきたいなと考えております。
  272. 山本香苗

    山本香苗君 いろいろと今事例を挙げていただいたんですけれども、現実はそんなに進んでいないですね。かなり地方自治体の側の方が慎重だという御意見も伺っております。是非、きちんとそういう形で書き込んだわけですから、具体的に、言ってきたら何かしてやるよじゃなくて、具体的な対策を講じていただきたいと思っております。  次に、玄葉大臣の方にお伺いしていきたいと思いますが、次にまた災害が起きる、そういう前提に立って、記録をしっかり残して検証して総括するということはもう各省庁全部やらなきゃいけないことだと思うんです。防衛省はそういう形で、今いろいろと質疑をさせていただきましたけれども、やっておられます。外務省はどこでどのように今回の震災対応を記録し検証しておられるでしょうか。
  273. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 外務省としましては、例えば、海外支援の受入れに関する教訓改善点などを取りまとめをしております。そして、おっしゃるように、対応についての記録の保存、そして検証活動を行うことの重要性ということについて十分認識をしておりまして、先ほど申し上げましたように、各国の救助チームへのリエゾン等、支援受入れに携わった省員からの報告を踏まえた取りまとめを行っております。  その上で申し上げますと、例えば百六十三の国そして地域、四十三の国際機関からの支援の申出があったわけでありますけれども、救助チームが来ていただけるんですが、例えば自己完結型でなかったりするんです。でも、これは厚意でいらっしゃるわけですから。ただ一方で、自己完結型でないと様々な意味で、なかなか物資の自己調達もできない等々あってうまく救助が機能しないといった面があったので、そういった自己完結型で来てくださいということへの徹底が不十分であった。  あるいは、外務省としてすべきことということで言えば、やはり刻々と変化する現地のニーズと救援チームとのそのマッチング、あるいは支援物資のマッチングというのが十分できなかったのではないか。あるいは、リエゾンというのは大変有益だったんですが、やはり準備不足であったとか、こういったことについてはそれぞれまとめて今既におりまして、そういったことについて、常日ごろからおっしゃるように考えていかなければならない大事な課題であるというふうに認識をしております。
  274. 山本香苗

    山本香苗君 できれば外務省においても、やはり防衛省と同じような形できちんとした形をおまとめになられた方がいいと思うんです。  といいますのも、政府の中央防災会議の下に防災対策推進検討会議ってございまして、災害対策の法制やいろんなこと、今回の震災の総括もやっていろいろと体制を考えていこうということをやっているわけです。田中大臣はその会のメンバーでいらっしゃいますけれども、玄葉大臣はその中に入っておられないんです。  しっかりそういうものをおまとめになられて、そういったところに反映していくようにすべきではないかなと思っておりますが、いかがでしょうか。
  275. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) なるほどと思いながら今聞いていたんですけれども、確かに私は必ずしも、確かに入っていないですね。  そういう意味で、反映のさせ方ということがあるんだと思うんです。ですから、まとめているものというものはございますので、どういう会議でどういう形で反映させるか。問題は反映させれればいいということだと思うんですね。その会議に出るか出ないかということもさることながら、結果が大事だというふうに思いますので、その結果が出るような工夫を考えてみたいというふうに思います。
  276. 山本香苗

    山本香苗君 もう震災直後から、当委員会におきましてはいろんな形で議論がなされました。先ほどおっしゃっていただいたような支援の受入れの話であったり、また、この原発事故の対応を巡って汚染水の問題もありましたし、いろいろあったわけです。教訓はあるわけです。そういったところをきちっとまとめておくということは必要だと思いますので、おまとめいただけるという御答弁だったと思います。しっかりやっていただきたいと思います。  中でも、先ほど、今おっしゃった海外からの支援受入れについては、本当に阪神・淡路大震災のときと比べれば比較的良かったのかなと思うわけですけど、円滑に必ずしも行われたわけではないと。途中で中国大使が不満を記者会見で言うようなこともありましたし、我が党の方に直接外国の政府関係者の方から御連絡があって、外務省におつなぎしたケースもございました。まあ混乱していたというような状況があったわけであります。  昨年の末に、いわゆる国の防災対策の基本となります防災基本計画の改定が行われたわけなんです。その中に、この海外等からの支援受入れについては記述がどばっと増えたわけなんですね。あえて今読み上げませんけれども、ここのところ、記述が増えただけじゃ何にもならないんですね。これをきちっと機能させるということが重要なわけなんです。  もちろん、この箇所については外務省だけが担っているわけではございません。しかし、支援を渡す渡さない、こういったことを巡って外交関係に悪影響が起きるようなことがあってはならない。一番そういう危機感を持って頑張らなきゃいけないのが外務省だと思いますので、その中には、記述の中には、関係省庁がこうします、ああします、あらかじめこれ定めておきましょう、いろいろ書いてあるんですけれども、是非、災害が次に発生した場合機能するかどうかというところに着眼していただいて、他省庁を引っ張るぐらいの対応を外務省から取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  277. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 先生の御出身の関西でも阪神・淡路大震災がありました。あのときのいろいろな資料を私、見たことございますけれども、県がまとめたすばらしい資料がございました、相当分厚いものでございましたけれども。これも、私自身も参考にさせていただいたことがございます。  私は当時、党の役員でございまして、災害対策本部の方に詰めておりまして、一日に数百件の、一番多いときで二百件を超える全国からいろいろな要望とかクレームとかというものをいただいて、それを整理して政府に上げると、こんなふうな実は仕事もさせていただいてきたことがございました。  ですから、その都度いろいろな震災について反省も盛りだくさんありますし、前回のいろいろな震災等を学んで新たに改善されたところもあるわけでございます。そして、今回のこの三・一一の大震災についても、いろいろなマニュアルを変えなくちゃいけないこと等々もたくさんありました。  実は、三月の一日の日に、先生御承知かと思いますけれども、明治大学で、これはIOM、国際移住機関と共催で外国人受入れと社会統合のための国際ワークショップというものを開催をいたしまして、外国人の方のいろいろな当時における経験等をお伺いをしたり議論する、こういう会議が実は行われまして、非常に参考になりました。  こういった企画、外務省ならではのものだったと思うんですけれども、本委員会でのいろいろな御議論も踏まえて、やはり外国への発信等も含めて、外国とのかかわりについては外務省がしっかりやはり窓口になるべくこれからも努力をさせていただきたいと思います。  今、玄葉大臣の方からも、外務省もいろいろと今検討をして、学んで、まとめているものをまとめているというような趣旨の御発言がありましたけれども、しっかりとしたものを体制づくりのために、今後に向けた体制づくりのためにも汗を流させていただきたいと思います。
  278. 山本香苗

    山本香苗君 今、IOMの会合のお話もありましたけれども、外務省として、今回の震災で在日外国人被災状態、被災実態というのは把握されていますか。
  279. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 現在まで私たちが承知しているのは、三十三名の方がお亡くなりになられたというふうに承知をいたしております。そのお亡くなりになられた方、そのほかの被災された皆さんについては、在京の大使館等を通じまして情報収集を今日まで行って、対応してきたところでございます。
  280. 山本香苗

    山本香苗君 現時点で三十四名です。きちっと正確に確認していただきたいと思いますが、恐らくこの数もきちんとした把握された、警察の把握している数字でありますけれども、恐らくこの数字、確かな数字じゃないと思います。被災実態、この死傷者だけじゃないわけですよね。もっといろんな意味で把握しないと対策というものは取れないんではないかと思います。  先ほど御紹介いただいたIOMの会合において、これは外務省とIOMと明治大学の共催でなさったということでありますけれども、実際、そのIOMの事務局長が、今回の東日本が在日外国人に与えた影響、そういうものについて、日本語を話せない外国人の場合、何が起きているのかと、身の安全をどうやったら守れるのかと、どこに避難すればいいのか、きちんとした情報が得られなくなる、そういったことを指摘しておりました。  今、山根大臣は、大使館、総領事館という話をされましたけれども、実際、自国の大使館や総領事館があったとしても、情報伝達、避難がスムーズにはいっていないんですね。これはもう被災した被災地でお会いした外国人の方々も大変この点については、連絡なんかなかったという人も、連絡あったという方もおられますけれども、なかなかそこのところは各国もう非常に差があって、いろいろ大変だったと伺っております。  実際、さっきの防災基本計画に戻りますけど、外国人旅行者については、大使館じゃないんですよ、総領事館じゃないんですよ、外務省が把握することになっているんですよ。こうなってきますと、外国人旅行者を含む外国人への支援をどうあるべきかということを、外務省だけじゃなくて、IOMは法務省と今回実は被災地支援活動をしておりましたけれども、関係各機関集まって、あらかじめきちんとどういう体制を取るべきなのか、あそこがやっているはずみたいな話じゃなくて、体制をきちっと検討しておくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  281. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) ありがとうございます。  外国人の支援ということについて一番反省すべきところ、外務省として今後やるべきところというのは、やはり多言語による情報の発信、そしてその掲示等々が必要だろうということを認識をいたしているところでございます。  それから、ワークショップの中でのいろいろな議論の中では、在日の外国人の方同士でのやっぱりコミュニケーションが非常にうまくいった例のお話も出ているわけでございますけれども、そうした外国人の方同士のやはりコミュニケーションというものも非常に大事であったし、それが有効だったというふうな話も聞かせていただいているところであります。  そうした今回のいろいろな経験、御意見等を基にして、更にしっかりとしたやはり体制が取れるように外務省としても努めてまいりたいと思います。
  282. 山本香苗

    山本香苗君 ということは、関係省庁でそういう協議体みたいな受皿つくって検討していただけるということでよろしいでしょうか。
  283. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 受皿をつくって検討するかということでございますけれども、そのことも含めて御意思は、山本委員の御意思はよく承知をいたしましたので、含めて検討をさせていただきたいと思います。
  284. 山本香苗

    山本香苗君 もうちょっと歯切れのいい答弁していただきたいなと思います。玄葉大臣、どうですか。
  285. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 私はちょっと補足しようと思っていたんです。つまりは、関係省庁全体で体制をつくるということというより、多言語のフェイスブックを災害のときのためにつくるということで、もうこれは開設をいたしました。それは、先ほど山根大臣がいろいろとこの間、山本委員が指摘されてきたようなことも含めて考えた結果として、一つフェイスブックのアカウントを開設をしたということを申し上げたくて先ほど手を挙げました。  どういう形で在日外国人を支援をしていくかということについては、ちょっともう少しいろいろ検討させていただきたいと。先ほど申し上げたようなことは一つだということでございます。
  286. 山本香苗

    山本香苗君 こうしたことも検証して初めて必要性が感じられるんだと思いますので、検証作業の中でしっかりやっていただきたいと思います。  もう一つ、災害時だけじゃないんですけれども、いわゆる言葉の壁が存在することによって、在日外国人の方々が苦労する問題として医療の場があります。そのために、医療の現場でお医者さんだとか医療従事者と外国人の方々のコミュニケーションを手助けする医療通訳というものの重要性というものが増していると思っております。たしか平成二十二年度に経産省でこの医療通訳の事業実施したはずなんですが、あれ、どうなりましたでしょうか。
  287. 永塚誠一

    政府参考人(永塚誠一君) お答え申し上げます。  医療分野は有力な成長産業の一つでもございます。日本の医療の技術水準は国際的にも評価されておりますし、海外日本の医療を提供する拠点を整備する、あるいは海外の方々が日本を訪問して治療や健診を受けられると、そういうことに対する潜在的な需要があるというふうにも考えてございます。こうした我が国医療サービスの国際化を推進するに当たりましては、医療通訳の存在は不可欠でございます。  このため、経済産業省におきましては、昨年度の事業におきまして、東京外国語大学と協力をし国際医療通訳講座を開設をするとともに、今年度につきましては、外国人患者の受入れ実証を通じまして、医療通訳を行う上での課題の整理、対応策の検討などを実施をしているところでございます。なお、東京外国語大学におきましては、今年度、自主事業として同様の講座の開講を行ったと聞いております。
  288. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  日本に住む外国人というのは三十年前と比べると百万人増えておりまして、現在二百万人を超えているわけであります。しかし、この医療通訳というのがいる病院というのは本当に限られておりまして、最近、自治体などが医療通訳を派遣する事業を京都なんかも始めているわけでありますけれども、もう報酬というのは交通費に一定額がちょっと上乗せされる程度らしいんですね。  私が話を聞いたのは、熊本で長く医療通訳をやっておられる方からそういう実情をお伺いしたんですけど、その方は通訳から医療通訳という形に入って、まあ二つあると思うんです、通訳から医療通訳、医療関係者が通訳になられると、こういう二つのパターンで入ってこられるわけですけど、その方は、通訳から医療通訳というのは、熊本で水俣病の被害を世界に訴えるときに、やっぱり自分はちゃんとしたそういった専門的な医療の知識もなくちゃいけないということでやられて、医療通訳という形を取られて、必要性をすごく感じて頑張っておられるわけなんですけれども、その方によりますと、通常の通訳よりももう専門性は物すごく高いものが求められると。しかしながら、ほとんど、今申し上げたように、ボランティアのような感じになっていると。  外国人の方からすれば、自分の病気が理解できないし、症状を自分がこうだって訴えられないし、理解してもらえないし、また、薬なんかが正しく服薬できないといったことが起きたら致命的で、命にかかわる問題なわけです。  医療ツーリズムということもいろいろ言われていますけれども、今後、この医療通訳をどのように養成して推進していくのか。今さっき局長は、二十二年度やりましたと、二十三年度、講座やりましたと、二十四年度、今度は外大は自主財源でやるからもう要らないんですよみたいな答弁されましたけれども、別にお金のことだけを言っているわけじゃなくて、そういう医療通訳を養成していくために必要な施策を今後どう取っていくかという観点で、前向きな御答弁を是非お願いいたします。
  289. 永塚誠一

    政府参考人(永塚誠一君) お答えを申し上げます。  医療通訳の育成を図っていくためには、今委員御指摘のように、医療通訳がボランティアの一環として行われるのではなくて、有償のサービスとして自立的、経済的な形で行われる環境を整備することが重要であるというふうに考えてございます。  このため、経済産業省といたしましては、海外に向けまして日本の高度な医療に関する紹介を引き続き行っていきますとともに、外国人患者の受入れに熱心である医療機関や渡航の支援を行われるコーディネート事業者などのネットワーク構築したり、あるいは日本式の医療サービスを提供し得る海外拠点を整備したり、そしてまた、医療通訳を行う者が備えるべき要件の整理、検討、こうしたことを実施していくことを予定をしているところでございます。
  290. 山本香苗

    山本香苗君 本当に外国人患者の受入れに向けた体制というのを今一生懸命進めようとはしてくださっているんだと思いますけれども、やっぱりこの医療通訳という形を、きちっとした認定制度を創設するというところを考えながら是非やっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、三月の九日の日に第五十六回国連婦人の地位委員会で、我が国が提出しました自然災害とジェンダーという決議案が採決をされました。採決に至る経緯、そして決議の主な内容を御説明いただけますでしょうか。
  291. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) この自然災害とジェンダーに関する決議でございますけれども、我が国が主導してきたところでございます。  東日本大震災から一年になるに当たりまして、自然災害と女性に関する様々な課題について、我が国震災の経験や教訓各国と共有をして国際社会理解を深めるとともに、より女性に配慮した災害への取組促進することを目指しまして、第五十六回国連婦人の地位委員会に自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントと題する決議案を提出をさせていただいたものであります。我が国を含めまして五十か国の共同提案を得て採択をされました。  その内容については、余り細かしいところは時間の関係もありますので省略をいたしますけれども、一つとしては、防災、応急対応、復旧復興の全ての段階にジェンダーの視点を取り入れて、かつ意思決定過程に女性の参画を確保すること、災害後の対応において女性や子育て家庭の視点やニーズに配慮した支援を行うこと、復興期において女性の雇用への支援を行うこと、四つといたしましては、女性ボランティアの役割を認識し、さらに奨励することなどを各国の国際機関に求めることを盛り込んだ内容となっているところであります。  以上です。
  292. 山本香苗

    山本香苗君 我が国が提出して、そして全会一致で採択された限りは、我が国が率先して世界にその範を示すようなことをしていかなくてはなりません。今回五十六回なんですが、二年後の五十八回のこの国連婦人の地位委員会にはきちんと報告をしなくちゃいけないことになっているんですね。  国内においてはしっかりその取組を進めていかなくてはならないと思っておりますが、今後この教訓をどのようにして国際社会と共有していくのかと、この点については外務省が様々な機会を通じてしっかりと周知をしていっていただかなくてはならないと思っているんです。  例えば、今年七月に会合をやりますよね、大規模自然災害に関する閣僚級の国際会議、これは被災した宮城、岩手、福島の三県で行われると伺っておりますけれども、こうした場を早速活用してみたらいかがでしょうか。
  293. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、私、政調会長兼任の大臣していたときに、公明党さんから、特に女性の方々が、女性の議員だけで視察をされ、様々な御提案をいただいたということに対して、この場をお借りして感謝を申し上げたいと思います。  おっしゃるとおり、せっかくの御提案でございますので、宮城、岩手、福島で開催されるハイレベルな自然災害に関する国際会議で、ジェンダーの問題も含めて大いに議論したいというふうに思います。様々な課題について当然議論することになると思います。  今日の委員会の冒頭申し上げたような人間安全保障などもそうでありますし、しかし、今おっしゃっていただいたこのジェンダーの問題含めて、このハイレベルの自然災害の会議では議論したいというふうに思います。
  294. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。  いわゆる防災から救援、復興に至るまで、災害に関する全てのプロセスで女性の役割の重視を国際社会取組として徹底させることは極めて重要なことだと思います。是非よろしくお願い申し上げたいと思います。  残りの時間を普天間基地の問題についてお伺いしたいと思っております。  今まで在沖縄の海兵隊の定員数、これまで一万八千人と説明してこられましたけれども、三月十四日の衆議院の沖縄北方特別委員会で玄葉大臣は、昨年の日米間の議論の中で在沖縄海兵隊の人数が二万一千人になっている、そういう説明を受けたことがありますと答弁されました。これは、いつどのような場で誰からどういった説明を受けられたんですか。
  295. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 率直に申し上げて、いつどのような場でということは、言わば日米間のやり取りの詳細なので申し上げませんけど、確かに昨年、二万一千という数字、これは人数ということで説明を受けたのは事実でございます。  これは、この間、自民党政権のときからずっとそうなんですけれども、なかなか在日米軍の定員とかあるいは実員とかというのは、実は頻繁に変わるものですから、なかなか十分な把握というのができにくいというところがあると思うんですね。ですから、私が受けた時点でそういった人数であったということだというふうに認識をしています。
  296. 山本香苗

    山本香苗君 二万一千というのは確かに聞いたんだという話でございますけれども、大臣はこの数字について二月三日の外務大臣会見でもおっしゃっていたわけですね。それがホームページ、外務省の記者会見のところから削除をされていたという話も衆議院で話になっておりましたけれども、削除を命じられたのは大臣御自身ですか。
  297. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これ通告ございましたので私も調べましたけれども、実際、ホームページ上の会見というのは私の発言を一字一句というか一言一句というか、正確に再現したものでは実はいつもございません。別に何の指示もしておりません。私はもう隠すこともありませんので、この間の委員会でもああいう形でも申し上げたということでございます。  ただ、いずれにしても、本当に実員とか定員って頻繁に変わるものですから、取りまとめを日米協議でこれから行っていくわけでありますけれども、そのときにやっぱり整理をして説明をしなきゃいけないなというふうに思っていまして、そのことも含めて今米側と協議をしているということでございます。
  298. 山本香苗

    山本香苗君 全てが記者会見の内容が載っているわけじゃないと言われながらも一番大事なところでありまして、こうした国会でのやり取りが報道されているときにちょうど沖縄におったわけなんですが、非常にこういうやり方自体がやはり沖縄の方々、理解できないというような御意見もたくさんございました。大臣が一生懸命言われても、どうしてもごまかしにしか見えないと私もそのとき思ったわけなんです。言われたんであれば、その部分きちんと回復して載せておけばいいんじゃないでしょうか。  二〇〇六年の米軍再編ロードマップでは八千人がグアムに移転するとされておりますが、そして大臣はよく答弁で、沖縄に残るのは一万人規模になるということを繰り返し繰り返しおっしゃっております。  そこでお伺いしたいんですけれども、この一万人規模というのは日米間で確定したことなんですか、それとも今後の協議次第で変わる可能性もあることなんでしょうか。
  299. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 再編後の沖縄に残留する海兵隊の定員を約一万人にする、今一万人規模という言い方をしていただきましたけれども、約一万人にするというのは〇六年の再編のロードマップのときもそうなんですね。基本的にこれは変わらないというふうに考えていただいて結構でございます。
  300. 山本香苗

    山本香苗君 じゃ、もう今後の協議の中でも変わらないと、それはアメリカ側も了承しているということでよろしいですね。
  301. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 基本的に約一万人ということで、今詳細を様々日米間で議論、協議をしているところでございますので、私からは、とにかく主体的に議論をするというように、いうふうに担当者に指示をしているということでございます。
  302. 山本香苗

    山本香苗君 今日の日経新聞に、そのいわゆる今後進めていく五施設・区域の返還協議機関を設けると、日米の間でですね、沖縄の嘉手納基地以南の五施設・区域の返還に関する実務者の協議機関を新設する方針を固めたというようなことが報道されておりますが、これは事実ですか。
  303. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これ本当にこの間報道が、例えば、同じテーマでもベクトルが全く違うような報道が幾つか複数出ていたり、いろいろしております。  今の御質問も含めて、今鋭意協議をしているところでございますので、嘉手納以南土地返還について、先ほど田中防衛大臣からも御答弁がございましたけれども、できるだけ早期に沖縄の負担が軽減できる、そのためにどうすればよいかという観点で私どもは議論をしています。  ただ、そのときに、これは佐藤委員が指摘をしていただいたんですけれども、そんな何か、例えば、時々私も言われるんです。じゃ一年で返ってくるんですかとか、二年で返ってくるんですかと、こう言われるんですね。それはもう物理的にあり得ない話なものですから、私は、できる限り言葉を慎重に選び、そして、先ほども申し上げましたけれども、やはり移転というのがあって、そしてさらに施設・区域の統合というのがあって、そして返還があるものですから、それをできるだけ短縮できるように今努力をしたいと、そう考えているということでございます。
  304. 山本香苗

    山本香苗君 ということは、これ、誤報ですか。
  305. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これ、山本委員、報道がそれぞれ出るわけですけれども、それぞれの報道にイエスかノーかという答えをしていると、私は必ずしも協議に良い影響を与えないというふうに思っていまして、時々記者会見などでもこの報道はどうですかと、こう聞かれるんですけれども、その辺については是非、協議が取りまとまった段階で分かりやすくきちっと整理をしてお話をさせていただきたいというふうに思っております。
  306. 山本香苗

    山本香苗君 何か協議が取りまとまった段階で御説明と言われますと、協議の段階ではこういうものはつくられないんだなということを暗におっしゃっているような感じがするんですが。  もう最後一問で終わりますが、本来、このいわゆる米軍再編というのは日米同盟役割分担の見直しとパッケージであったと思うんです。しかし、普天間を最低でも県外と言った民主党政権が起こした混乱によって米軍基地のことばっかりが話題となって、本来の同盟の役割分担の見直しが遅々として進んでいないと、私はこれ非常に大きい問題だと思っております。  このアメリカの新たな戦略、そして海兵隊も今大きく変容しようとしていると。そういう中で日本が担うべき役割は何なのか、そういうところで本当に詰めた議論をしてやっていかないと、この厳しい国際情勢の中で勝ち残っていけないという状況にあると思うんですね。これ、どうやって検討していきますか。
  307. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 常に共通戦略目標というのがあって、不断に更新をされているわけであります。例えば役割、任務、能力、ロールズ、あるいはミッションズ、ケーパビリティーズも含めて議論をしています。  ただ、おっしゃったように、私も非常に気になっていたのは、結局、日米関係というときに、特に日米同盟というときに全てが普天間、普天間は大変重要な問題なんですよ、大変重要な問題ではあるけれども、全てが普天間の問題に国民の関心が行くということが私は健全であるとは思えない。  だから、今回、膠着状況であります。それは私たちにも反省があります。その状況を直視をして、普天間の移設と切り離してグアム等への移転、そしてその結果生じる嘉手納以南土地返還という問題について、つまりは沖縄の負担の軽減ということを行うことで、これはおっしゃったとおりなんです。  つまりは、最後猪口先生も質問していただきましたけれども、本来の日米同盟、例えば拡大抑止もそうでしょう、ミサイル防衛もそうでしょう、宇宙もそうでしょう、サイバーもそうでしょう、そういった問題。あるいは、さっき申し上げたようなRMCの問題。  これは私、実はトモダチ作戦で物すごく深化してくる可能性を秘めたと思いますけど、先ほどお話があったトモダチ作戦で、日米調整所が非常にこれから良い機能を果たしていくだろうということを率直に感じていますけれども、そういったことをまさに深く議論していける環境ができたと思っているんです、今回で。  ですから、今までやっていなかったとは言いません。ですけど、非常にやりやすい環境になりました。ですから、そのことも含めて、今そういった議論をしっかりと行って、先ほど総理訪米時の話もありましたけれども、本来のアジア太平洋、そしてグローバルな中での日米役割分担、責任分担というものを包括的な形で、よりクリエーティブな形でつくり上げていくということが大切だというふうに考えて物事を進めていきたいというふうに思います。
  308. 山本香苗

    山本香苗君 時間が来たので終わります。
  309. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会