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参考人(
野国昌春君) それでは、私の方からまず報告をさしていただきますけれども、お手元に資料も配付をいたしておりますので、
参考にしながらやっていきたいと思っております。
北谷町は面積が十三・七八平方キロメートルでございます。今日これから述べますキャンプ桑江の北側が
返還された後もまだ約五三%が軍事基地と、こういうような中で二万約八千名の住民がそこに住んでいるというようなことになっております。
それでは、
返還跡地の問題につきまして御報告をさしていただきたいと思っております。
北谷町は、いわゆる米軍キャンプ桑江北側と言っておりますけれども、そこと陸軍貯油
施設、俗に言うブースターステーションでございますけれども、この
地域を再開発していくことによって良好な市街地を形成していこうと、こういうような
課題がございます。
初めに、キャンプ桑江北側の
返還の経緯について御説明したいと思います。
キャンプ桑江は、平成八年のSACO最終報告で大部分の
返還が合意されております。海軍
病院やあるいはまた残余
施設の移転等の条件付ではございますけれども、SACO合意でいわゆる
返還が合意されました。
平成十四年三月には桑江伊平土地区画整理事業が都市計画決定をされております。
平成十五年三月三十一日にキャンプ桑江の北側部分と先ほど言いました陸軍貯油
施設部分が米軍から
返還されております。
返還と同時に、当時の
那覇防衛
施設局が原状回復を行うために地権者への土地引渡しを保留しております。
平成十五年の十月、キャンプ桑江北側及び陸軍貯油
施設が特定跡地に指定されております。これは、いわゆる
返還はされましたけれども、実際に原状回復というのが一年半掛かりました。したがって、平成十六年九月三十日に、一年半後の、保留期間を経て
施設局から地権者への土地の
返還が行われております。
平成十七年の十月、国指定の要件を満たす伊礼原遺跡等が確認されたことによりまして、遺跡保存のための当初の都市計画の変更をしております。
平成十八年一月には、
沖縄振興法による特定跡地給付金の支給期間が一年六か月で決定をされました。当該給付金は、平成十八年四月から平成十九年九月までの一年半支給されております。当初のいわゆる原状回復が一年半掛かったためでございます。
平成二十年三月には、いわゆる米軍再編で嘉手納以南が大部分が
返還をされると、こういうようなことがございまして、国道の拡幅の問題が出てまいりました。そのことと町立の博物館、いわゆる伊礼原遺跡の博物館の計画によりまして区画整理事業の変更が行われております。
平成二十三年九月には、土地区画整理事業区域の第一回目の使用収益が開始をされております。
返還から、
返還が平成十五年四月、そしていわゆる特定跡地が切れたのが平成十九年の九月でございますから、もう八年、九年にわたってようやく使用収益が開始をされると、こういうことでございます。
次に、桑江伊平土地区画整理事業の面積について説明申し上げます。当該地は、キャンプ桑江北側が三十八・四ヘクタール、陸軍貯油
施設、桑江ブースターが一・一ヘクタールの面積で、トータルで四十五・八ヘクタールとなっております。
土地利用といたしましては、今、
北谷町役場があるところから国道五十八号線のところまでを業務地、国道五十八号線沿いを沿道型商業地、地区中央部分においては土地利用が図られる住宅地、そして地区の東側は閑静な住宅
地域といたしております。
使用収益が開始される時期は、土地区画整理事業の南側区域が昨年九月から使用収益を開始しております。続いて中央部分が今年の九月から、最後に北側部分が平成二十六年四月というようなことで三段階に分けて使用収益を予定をいたしておりますが、
返還から実に十年、十一年というふうな期間がたっているわけでございます。
次に、跡地利用に当たっての
課題でございましたけれども、キャンプ桑江北側跡地開発を進めていく上で生じた
課題としましては、主に三点ございます。
資料の五ページを参照していただきたいと思いますけれども、
一つ目の
課題といたしましては、
返還跡地の原状回復措置が不十分であったことが原因であります。
キャンプ桑江北側では、国が原状回復措置を実施した上で土地が地権者に引き渡されておりますけれども、土地の引渡し後においても、基盤整備事業等を進めていく中で、新たな土壌汚染や米軍が遺棄したと思われる廃棄物等が頻繁に確認され、散発的な原状回復措置がされております。この原状回復処理を実施する区域については、基盤整備事業の工事が中断せざるを得ないような
状況で、円滑な跡地利用事業の推進に支障が生じております。
資料六から七ページを御参照いただきたいんですけれども、現行
制度では汚染等の蓋然性が高いと判断される場合のみ調査及び原状回復措置が実施されておりますが、汚染物質等の把握精度が低く、原状回復措置が不十分であると考えております。キャンプ桑江北側の場合も、国によって調査が行われたのは全区域の約一〇%にすぎませんでした。また、原状回復処理にも期間を要し、汚染物質発見から完了までに三年以上掛かった
事例も発生しているため、より迅速な対応が必要と考えております。
五ページに戻っていただきますけれども、
二つ目の
課題といたしましては、給付金の問題がございます。
キャンプ桑江北側の場合、特定跡地というようなことで平成十九年九月までの四年六か月の支給がございました。給付金は、基地
返還に伴う地権者のいわゆる
収入の激変緩和と
生活の安定を目的として支給されているものと認識しております。
キャンプ桑江北側の場合には、一回目の使用収益開始の地区の地権者は、給付期間終了後から使用収益開始までの約四年間は跡地に関する
収入がございませんでした。また、土地を使用し収益を上げることができない
状況においても、固定資産税等は支払をしなければならない
状況でございます。最後に使用収益開始となる、平成二十六年四月を予定しておりますけれども、跡地からの未収益期間が約六年六か月続くことになります。このような交付金の支給が、使用収益開始が途切れることは、地権者の
生活の安定に多大な影響をすることになりますので、現行
制度の
課題の
一つと思っております。
地権者の
負担を軽減を図るために町独自の施策として、キャンプ桑江北側の跡地につきましては、使用収益を開始するまでの期間は固定資産税を五割減免しております。トータル的には五千数百万の減免をいたしております。
三つ目の
課題としましては、公共
用地の確保でございます。
駐留軍跡地に義務
教育施設や公民館、公園など公共
施設を整備する場合は、都市機能の効果的な配置や誘導を行う場合、公共
用地を確保しておく必要がございます。
沖縄県の場合は、その
歴史的経緯から、軍
用地の地権者がほとんどが私
用地でございまして、公共
用地を新たに確保することが非常に厳しい
状況にございます。これはもちろん地方の自治体の財政の
状況もございますけれども、この公共
用地の取得におきましては、地権者の合意を得ながらでございますけれども、跡利用に及ぼす影響が非常にございますので、影響が大きゅうございますので、キャンプ桑江北側の場合にも中心市街化に向けて土地を確保しておりますが、町財政への大きな
負担となっております。
国への要望でございますけれども、これまで跡地利用
制度における
課題を踏まえて、今後の跡地利用については次の六点について御配慮をいただきたいと思います。
一点目に、
駐留軍用地の
返還に当たっては、地権者への土地引渡しの、国によって跡地全域の汚染除去や不発弾撤去等の原状回復措置を実施することを法制化していただきたいということです。また、国による原状回復措置が行われた後に廃棄物や土壌汚染等が発見された場合には、速やかに所要の措置を講じ、基盤整備事業への影響を最小限にとどめるように迅速に対処していただきたいということでございます。
二点目に、給付金については、支給期間を使用収益開始までとしていただきたいことでございます。
三点目には、
駐留軍用地及び
駐留軍用地跡地における市町村等の公共
施設用地の先行取得に対して、国の財政上の支援措置を法制化していただきたいことでございます。
具体的には、国有財産の無償譲渡及び無償貸付けの対象緩和や、緑地保全や公園等の先行取得に対する
補助率の特例、そして市町村等への土地の譲渡を促進するための譲渡所得に対する税法上の控除措置等を法制化していただきたいことでございます。
また、跡地利用における産業基盤の整備や有効な都市機能形成に資するため、これらの
用地確保についても公共公益
施設の
用地と同様の財政上の支援を
お願いする、法制化していただきたいことでございます。
四点目に、国際人材育成への支援を
お願い申し上げます。
今後、
本島中南部の大規模な基地
返還が予定される中、キャンプ桑江南側、海軍
病院のところでございますけれども、この地区の特色として国際人材育成機能の配置を目指しております。
世界に通用する
観光人材やグローバル人材育成の環境整備を図るため、英語あるいはまた中国語等の
教育立地の
可能性を今後調査していきたいと考えております。つきましては、当該
施設の実現に向けた御支援を
お願い申し上げます。
五点目に、新たな公共交通システムとしてLRT等を導入していただきたいことでございます。
中南部圏域における交通面の
課題として、道路交通の渋滞の緩和や定時性、定速性の確保、国内外からの
観光客を受け入れる体制の整備等、現状でも様々な
課題がございますが、今後、
返還を予定されている中南部の基地跡地の開発が進むとより一層これらの
課題への対応が求められることになります。したがいまして、中南部圏域における交通面の諸
課題の解決及び
地域均衡による
発展をするものとしてLRT等の導入を実現していただきたいと考えております。
最後に、新たな跡地利用に関する
法律については、全ての基地が
返還され、跡地の整備が終了するまで継続する
法律としていただきたいと思っております。
ありがとうございました。