○平(智)
分科員 今御
質問したのは、面積が九倍になること、面積を前提にしたら当然九倍になるわけなのでありまして、キロワットアワー当たりの
コストも九倍になるということでありますが、それをやや慎重に見ても、これは、電源立地
対策交付金の根拠法になる整備法の一条に書いてあるとおり、「地域住民の福祉の向上」と書いてあるんです。これは、交付対象は住民なんです。市町村ではありません。したがって、本旨から見れば、人口がふえればその交付金はふえると
考えるのが自然な
考え方であると思います。
十ページにお示ししましたとおり、現在の
日本じゅうの五十四基の原発のその既交付対象の市町村人口は、三百二十九万人であります。これが三十キロ圏に
拡大した場合の関係市町村、それらを全て含むと、八百二十六万人になります。これが二・五倍ということですから、人口当たりで見ても、このキロワットアワー
コストは二・五倍にするというのが自然な
考え方ということになります。
それで計算いたしますと、十一ページでございますが、
政策経費は一・一円から一・八円に。三十キロ圏に関係市町村の
影響圏が広がる、それを人口で、頭数で
拡大すると、〇・七円の増加ということになります。
続きまして、事故リスクの
対応費用の間違いについてお示しをしたいと思います。
コスト報告書の四十七ページには、東電福島第一原発に関連する行政費用を五・八兆円と見積もったと。つまり、福島第一で五・八兆円と見積もったと言っているんです。モデルプラントではないのです。ただし、以下のような費用について、現時点では見込まれていないことが明らかである、あるいは現時点で推計不能という意味で、見積もった損害額は下限と言えることから、あくまでも下限の数値である、このように書いておられます。
そして同時に、報告書の中では、推計不能としたものの中に、生命、人体の損害、広域の除染、これが最も大きいんですが、広域の除染が入っていない。それから、中間貯蔵や最終処分も未算入としております。これらをきちんと入れた上値補正をしないと、この
段階で、
エネルギーベストミックスを
考えている過程で八・九円を出すのはいかにも不適切だということを申し上げたいと思います。
次の十三ページをごらんいただきたいんですが、三つの研究結果がございます。
試算一は、福島第一に関して見ただけでも、
日本経済研究センターは二十兆円と見積もっています。五・八兆ではありません。
そして、もう一つの研究結果は、この
日本経済研究センターの二十兆に、そこに広域除染が入っていないので、広域除染を見積もるとさらに二十八兆加わって、四十八兆だと言っています。
そして、試算の三は、大学の研究者の方が、大飯原発でもし事故が起こった場合に六十二兆円と見積もっていて、さらに、その被害が琵琶湖に及んだ場合には二百七十九兆円と見積もっております。
広域汚染を前提にすると、五・八ではありません。一桁少ないです。福島を前提にするのも間違い。
日本じゅうの原発の立地県には、範囲が広がれば大都市圏が十分に入る。私は、五十兆円というのがごく自然な数字であると
考えます。その五十兆を前提としてキロワットアワー当たりを計算しますと、今回の報告書では〇・五円と
考えておられますが、四・六円になります。実に、四・一円の増加ということになります。
そして、十五ページをごらんいただきたいんですが、以上の原発の建設
コストが上昇することを勘案した資本費の上昇と、それに伴う運転
維持費の上昇、そして
政策経費、EPZで関係市町村が
拡大することの上昇と、今申し上げた五十兆円という事故リスク
対応費用を全て勘案いたしますと、八・九円だったものが十七・四円になります。八・九円が、ほぼ倍増の十七・四円であります。
しかも、今回は、核燃料サイクルのそのサイクル施設の事故やその除染の計算は、一切入れておりません。また、追加的
安全対策費も、非常に低い見積もりをそのまま採用した結果であっても、二十円に近づくということであります。
以上をもちまして
大臣にお伺いをしたいんですが、この下限値八・九円という数字のひとり歩きする
影響が非常に大きいと思いますが、
大臣の御所見をお伺いいたします。