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仙谷委員 きょうは時間の
関係でそこまで数字を持ってこなかったのでありますが、結論的に言えば、ここに書かれているような状態はそれほど悪くない、現象的に。
どかんと奈落の底へ突き落とされるような
状況を避けるために、この二十年間、
資金循環とそのストックの方から見れば、何が起こっているかというと、私、いろいろな方と数字を調べてみますと、大ざっぱに言えば、国の借金がいわば八百兆ぐらいふえて、家計は多分二百兆ぐらい金融資産をふやして、
企業は六百兆円ぐらい、借金
財務から、今や無借金であるばかりか相当大きな、つまり、四、五百兆のキャッシュフローを持っている、こういう
状況になっている。つまり、家計と民間の借金部分を国が全部肩がわった。
これは、自民党政権が意識してなさったのか、あるいは当時の与野党が、やはりここは余り、極端な
経済の落ち込みをさせることによって再浮上する、いわば、一九九八年の韓国というのはやむを得ずIMFに介入されてそういうことになったんだろうと思いますけれども、
日本はやはりそういうのは避けようよ、もうちょっとなだらかにいこうよ、国が国家の信用でカバーできる部分は何とかそういうソフトランディング路線でいこうよというのが、ある種の
国民合意であったのかなという気がします。
そのかわり、国に、中央
政府に一千兆円の借金がどっかりと、その肩にずっしりとのしかかったというのがこの二十年、そういう総括をしておくべきだと私は思います。
だから、これからはその
反対をやるんだということには必ずしもなりませんけれども、
一つ一つの課題を、将来を見据えて、つまり、五年後、十年後どういう社会をつくるのかということを見据えて政策展開を確実にやっていくということが必要だと思います。
そこで、私は今、
ヨーロッパ、あるいは昨年は北アフリカから始まったわけでありますが、これを見ていて、やはり財政金融問題、そして雇用、とりわけ若者の雇用というのが全
世界的な大テーマだな、こういうふうに
考えるようになりました。政策の軸をここに置く。
金融危機をどうやって大きなものに、国内
経済あるいは
国民生活に
金融危機的な
状況をつくり出さないように我が
日本としてするのか、できるのか。
それからもう
一つは、多分、その産業的な裏側であると思いますが、雇用を何とか維持しなければならない。そうしないと、
地域、国も危ういものになる、将来も危ういものになる、そういう思いにとらわれて、この間いろいろな
議論をさせていただいたわけであります。
そこで、次のパネルをお示ししますが、これは実は、
金融危機とともに各国から流れてきた主要国の
失業率及び若年
失業率の表でございます。
ごらんいただきますと、先進国は、ドイツを除いては、大体一〇%に近い
ところに
失業率がいっております。
日本は、大体その半分ということであります。
それから、何よりもこの若年
失業率、十五歳から二十五歳まででありますが、韓国は二十から二十四というふうになっておりますけれども、スペイン、ギリシャ、この大きさをごらんいただきますと、どういう世の中になるかというのは、これは想像がつきます。あるいは、イタリアの三〇%というのもなかなか厳しい数字であります。フランス、英国、米国も二〇%内外ということであります。
そして、今、各国で高学歴の若い人たちの就職が非常に危ういものになっている。それが、
ニューヨークのデモであったり、
ヨーロッパ各地で行われている、我々にしっかりした職をよこせという動きにつながってきているんだろうと思います。
日本は、現時点でこういう低い比率、若年の
失業率も七・九%にとどまっていると言われておりますが、
日本はなぜこういうふうに相対的にはいい
ところにおるのか、あなたはどう思うというふうに専門家に聞きますと、いや、
仙谷さん、それは非正規とパラサイトでもたせているんですよ、こういう端的な答えが返ってきます。
つまり、非正規の労働者と言われる方々が四割に達しようとしている。そして、我々世代の、親の、つまり団塊の世代の、あるいはもう
一つ下の世代かもわかりませんが、そこでお父さん、お母さんと一緒に住んでいるから住居費が余りかからない生活で、したがって、若い方々の生活が何とか保たれている、非正規の収入でも何とかもたせているんだ、こういう答えが返ってまいりました。
そうだとすると、現時点はいいけれども、将来はどうなるのか。特に、少々改善はされたようでありますが、未婚率、つまり、家庭を持てない、持たない方々がふえると、この
日本の社会というのは大変危ういものになるなということを感じておるわけでございまして、そういう
意味で、
総理の、分厚い中間層を回復する、守る、あるいは、ここからこれをつくり上げていくというのは、私は、政策方向としては極めて正しい、そうでなければならない、こういうふうに
考えているわけであります。
これは少々私もそのことに頭を悩ましておるわけでありますが、ナローパスではあるかもわかりません。
一つの出口はないわけじゃないとは思いますけれども、現時点ではなかなか容易ならざる、つまり、
世界的な
傾向がそうであるというのが、実は先進国においてはこれが容易ならざることであるというのを示していると思います。
そこで、この資料をちょっと見ていただきたいと思うんですが、「所得金額階級別にみた世帯数の分布」というのがございます。これは約十五年間とってあるわけでありますが、これは実はずるずると低所得の方に世帯が移っている。年収二百万超から五百万ぐらいの
ところが従来よりも多くなっている。それで、中央値というのがちょうど真ん中の、つまり、百人おれば五十番目の人の所得でいえばその金額でありますが、
平成七年から
平成二十一年にかけて百十二万円落ちているわけですね。やはり年収で百十二万円、月に十万近く落ちているというのはなかなかつらい。
多分これが、世代的な労働の担い手の変更を通じて、十年たったら、十年前に五十五歳だった人は一応は
日本ではハッピーリ
タイアということになって、それまで五歳だった人が十五歳、あるいは十五歳だった人が二十五歳になって稼ぎをする、そういう構造でありますから、約十五年あいていますから、十五年間で百十万、これはなかなかつらい構造でございます。
パネルにはしておりませんが、資料の中で、所得の五分位、二〇%ずつに輪切りをした
ところでどのぐらい所得が落ちているか。これは、五分位まで全て、この十五年間で
日本は落ちているわけですね。その落ち方が大体一四%から二〇%近くということですが、一番所得の落ちているのがこの第二分位ということになります。
それから次に、「所得金額階級別にみた世帯数の変化」という表も出してございますが、これも、プラスになっている〇・〇から上の
ところというのは、要するにそういう世帯数がふえたということでございますが、二百万—三百万、三百万—四百万の
ところが四%とか二%とかふえて、それで五百万以上の
ところは世帯の数として減っているという表でございます。
それから、金融資産の保有がこんなに変わってきて、貯蓄残高ゼロ世帯というのが大変ふえている。これは二〇一〇年には二二・三%にまでなっている。七二年、八七年には貯蓄の残高がゼロの世帯は三%台だったのが、今二二・三%が貯蓄が全くない。こういう中間層が剥がれ落ちそうになっているという
状況でございます。
これをごらんになって、
総理の分厚い中間層を改めてこれからつくっていくんだというこの
方針、どのような
施策で展開をされようとしているのか、
総理のお
考えをお
伺いしたいと存じます。