○志位和夫君 私は、
日本共産党を
代表して、
野田内閣不信任決議案への賛成
討論を行います。(
拍手)
私は、
不信任の
理由として、
野田内閣が
国民の利益に反する次の五つの大罪を犯していることを厳しく指摘したいと
思います。
第一の大罪は、
民主、
自民、
公明三党の
密室談合によって、
消費税大
増税をしゃにむに強行しようとしていることであります。
昨日夜交わされた
民自公三党による
消費税増税法案強行の
合意は、まず何よりも、
国民の民意をじゅうりんするものです。
どんな世論調査でも、
国民の過半数は
消費税増税に
反対しています。今
国会での
採決反対の声は六割にも達しています。今
増税されたら暮らしが成り立たない、商売が立ち行かない、
国民多数のこうした切実な声を踏み潰して、空前の大
増税をごり押ししようとする
民自公増税連合に対して、私は、怒りを込めて強く抗議するものであります。
民主党は、総
選挙で、四年間は
消費税を上げないと公約しており、
増税法案強行がみずからの公約に背くものであることは明瞭であります。
自民、
公明は、
民主党を
公約違反と批判してきましたが、
密室談合によって
増税法案を強行することは、みずからも
公約違反の共犯者となることを意味します。
国民への公約を平気で破る
民主党、
公約違反と言いながら公約を破らせる
自民党と
公明党に、およそ
民主政治を語る資格はありません。
今
増税を強行することが、どんなに無謀なことか。長期にわたって
国民の
所得が減少し、デフレという異常事態が続くもとで、
消費税一〇%と
社会保障の切り捨てなどで二十兆円もの
負担増をかぶせたら、
日本経済をどん底に突き落とすことになることは火を見るよりも明らかです。そうなれば、結局は、財政
危機をより一層深刻にすることは、一九九七年の
消費税増税を引き金とした大
不況で、
税収が落ち込み、財政
危機を悪化させた歴史でも証明されています。
このような無謀きわまる道を、そのもたらす結果を考えもせず、やみくもに暴走する
民自公増税連合に、およそ
日本経済を語る資格はありません。
社会保障のためという
民自公三党の言い分も、そのうそが完全にあらわになっています。
一体改革に並ぶメニューは、年金給付の減額、子
ども手当の減額、医療費の窓口
負担増、介護の
負担増など、改悪ばかりがメジロ押しです。
さらに、
民自公の三党
合意によって、
国民に自助、助け合いを押しつけ、憲法二十五条が定めた
社会保障への国の
責任を放棄する、
社会保障解体
法案が突如として持ち込まれました。加えて、
消費税増税法案には、
増税でつくる
財源を、高速道路、巨大港湾など、大型
公共事業に回す条項まで盛り込まれました。
社会保障は大改悪、無駄な大型開発にお金を注ぎ込む、これが、
民自公増税連合が
一体改革の名で進めようとしていることの正体ではありませんか。
日本共産党は、無駄遣いの一掃、まず、富裕層と大企業に応分の
負担を求める税制
改革、
国民の
所得をふやす
民主的
経済改革を進め、
消費税に頼らずに
社会保障を充実させ財政
危機を打開する具体的な提言を示しております。
消費税に頼らない別の道がある、この対案を示して、大
増税ストップのために
最後まで力を尽くす決意を表明するものであります。
野田内閣の大罪は、
自民、
公明とともに進めている
消費税大
増税問題だけにとどまりません。
その第二の大罪は、原発の再稼働を強行したことです。
政府の再稼働
方針は、一片の道理も科学的知見もない、無謀きわまるものです。
首相は、
福島を襲ったような地震、津波が起こっても事故は防止できると断言しました。しかし、
原発事故は収束にほど遠い
状況であり、事故の検証は始まったばかりです。大飯原発の直下には、活断層の可能性が指摘されています。これでどうして事故は防止できると言えるのか。これこそ、安全神話の
最悪の形での復活ではありませんか。
毎週金曜日には、再稼働
反対を訴える数万から十数万の人々の声によって首相官邸は包囲されています。その中で、
野田首相はやめろという声が回を追うごとに高まっています。無謀な再稼働を強行し、
国民の安全より電力業界、財界の利益を優先する、このような
内閣に
国民の命を預けるわけにはいきません。
今、
政治がなすべきは、再稼働でなく、原発ゼロの
日本への
政治決断であり、
原発事故に苦しむ全ての
福島の
被災者の支援であることを強く訴えるものであります。
第三の大罪は、オスプレーの普天間基地配備を唯々諾々と受け入れたことであります。
世界一危険と言われる普天間基地に、墜落事故を繰り返している危険きわまる軍用機を配備する計画に、沖縄が島ぐるみで怒りの声を上げているのは当然であります。米軍は、沖縄本島の全域と本土に設定している七つの低空飛行訓練ルートでオスプレーの訓練を行う計画を明らか
にしており、全国知事会は、配備
反対の緊急決議を上げています。
首相は、アメリカにどうこう言う話ではないと言いましたが、危険な軍用機の配備に、なぜノーと言えないのか。
日本国民の命よりも、安全よりも米国への忠誠を上に置く
野田内閣に、
日本の外交に携わる資格はありません。
日本共産党は、オスプレー配備の中止、普天間基地の無条件撤去を強く求めるものであります。
第四の大罪は、TPP参加への暴走を行っているということです。
この間のTPP参加に向けた事前協議を通じて、その危険性は、いよいよ明瞭となりました。
関税ゼロに例外のないことが、全ての国から念押しされました。TPPに参加すれば、米も含めて、関税の全面撤廃は避けられません。それが農林水産業、関連産業、地域
経済に壊滅的打撃を与えることは、誰の目にも明らかであります。
さらに、非関税障壁の撤廃の名で、食品安全の規制緩和、
国民皆保険制度を破壊する混合診療の拡大など、
日本の
経済と
社会のあり方がアメリカに都合のいいように大改造されてしまうことになる。
日本の国を丸ごと米国に売り渡す亡国の道を突き進むことは、断じて許すわけにはいきません。
第五の大罪は、三代にわたる
民主党政権が、
政権交代にかけた
国民の期待を完全に裏切ったということであります。
二〇〇九年夏の
政権交代に託した
国民の願いとは、
自民党政治を変えてほしいという願いでした。しかし、三代にわたる
民主党政権によって、この願いはことごとく裏切られました。今や、
野田政権は、身も心も
自民党とうり二つの
政権となり、
自民、
公明と一体になって大
増税を強行するところにまで、その堕落はきわまりました。
今日の
政治の閉塞を打開するためには、アメリカ言いなり、財界中心という古い
政治を断ち切る
改革こそ必要であります。