○渡辺義彦君 新党きづなの渡辺義彦でございます。
私は、ただいま
議題となりましたいわゆる二二
防衛計画大綱と
中期防衛力整備計画につきまして、
国民の生活が第一・きづなを代表いたしまして、
質問をさせていただきます。(
拍手)
冒頭、このたびの
九州北部豪雨の被害に遭われた
皆様にお
見舞いを申し上げます。そして、被災によりお亡くなりになられました
皆様に対しまして、心よりのお悔やみを申し上げます。また、現場での救出及び復旧作業などに当たられている
自衛隊、消防、警察、ボランティアなどの
皆様に、感謝と敬意を申し述べます。
新会派
国民の生活が第一・きづなは、
国民の生活と
国民とのきずなを第一とし、この理念を
もとに国会運営に臨んでまいる
所存でございます。各党各会派の
皆様、よろしくお願いを申し上げます。
本題に入ります。
最初に、二十三日に
岩国基地に陸揚げされました
オスプレーについてであります。
安全性に疑問符がつくために、このたびの山口県、そして、今後配備、展開される予定の沖縄県からの再三にわたる反対表明にもかかわらず、
オスプレーは、ついに
日本に陸揚げをされました。
オスプレーは、現在配備されているCH46ヘリとは大きさは
余り変わらないものの、速度は二倍、行動半径は四倍、搭載量は三倍と、能力的にはCH46を凌駕いたしております。
米国が進める
米軍再
編成においても必要不可欠の航空戦力であるとお伺いをいたしております。
また、現状よりも海兵隊員を早く、遠く、多く投入することができるため、東アジア
地域に対する
抑止力をさらに高めるという効果が
考えられております。
災害救援や
人道支援活動における
役割を期待するところも大であります。
しかし、注目されるのは、その
安全性であります。
オスプレーは、未亡人製造機の異名をとるほど開発当初から事故が多く、今回搬入されましたMV22型、今までに六回の事故がありました。その最近のものが、本年四月十一日の、モロッコで起きたものであります。また、六月十三日に米空軍所属のCV22型が墜落事故を起こしている現状下にあります。二〇〇六年から、この五年間で、MV、CV合わせて五十八件の事故
報告も上がっております。
米国並びに
日本政府は、老朽化した現有ヘリよりも
オスプレーの方が
安全性が高いと
説明をいたしておりますが、事故の実態を見て、
国民の多くはその
説明に納得していないようであります。
政府は、こういった
状況に鑑み、先般来日されましたカーター
米国防副長官に対し、墜落事故の調査結果、再発防止策の提示を要請、また、
日本から専門家チームを派遣すると
発言し、同副長官よりできる限りの
協力を得たとのことであり、また、日米地位協定に基づく日米合同委員会において
安全管理を協議するとお伺いしております。調査結果が出されるまでは、配備、稼働はないとお聞きをいたしております。
原発事故調査会の
報告前に再稼働させたことと比べれば少々学習をされたようでありますが、それで、沖縄を初めとする
国民皆さんの
政府に対する不信、
オスプレーに対する不安は解消されていくのでしょうか。
沖縄には、最低でも県外を努力しようとした鳩山元
総理に閣僚が従わなかったという怒り、
民主党政権にだまされ続けているといった思いが強くあります。こういった怒りや猜疑心は、紋切り型な理論や
説明だけでは到底払拭されるものではありません。
そこで、
総理に提案したい。これまでの調査結果のいち早い
報告、公平な分析とその開示をされた上で、御自身が
オスプレーに搭乗されてみては
いかがでしょうか。
実際、オバマ大統領もイラク訪問時に搭乗されておられますし、
我が国の国
会議員で搭乗された方もおいでになります。
報道によりますと、森本大臣が近日中に
オスプレーに搭乗して
安全性をアピールするとのことでありますが、野田
総理、
日本国民、特に沖縄県民に
オスプレーの
安全性への
理解を本当に得たいということであれば、ペーパー読み上げによる
安全性の
報告発表だけでなく、
地元民との直接対話に臨み、心から、心から、心からの誠意を見せた説得が納得に結びつくと私は思います。
総理御自身が体を張った
対応をすべきであると
考えます。
そして、願わくば、東京都に先駆けて、
尖閣諸島に行き、魚釣島の上陸視察を敢行していただきたいと思います。答弁を求めます。
さて、
尖閣諸島の話を出しましたが、
我が国周辺の
状況について少し触れたいと思います。
総理が、増税にばかり執着し、また、
国民の不安や意思を無視し、原発再稼働の強行など、決めてはいけないことを早急に決める、まさに主権者
国民不在の決める
政治を推し進め、国政の根幹である外交・
安全保障問題に全く気を配らない間に、
我が国は
領土を大いに侵食されつつあります。それは、本日の
議題である
防衛大綱、
中期防の
議論も
大綱決定から一年半以上も置き去りであったことで明らかであります。
我が国が有している
領土問題、北方
領土には、今月三日、ロシアのメドベージェフ首相が国後島を訪問、ロシアの
領土の重要な一部であると強調いたしました。
もう一つの
領土問題である竹島に至っては、さかのぼること二〇〇八年七月二十九日に、韓昇洙首相が訪問、実効支配を印象づけました。その後、近年では韓国国
会議員がたびたび訪問、また、本年五月には竹島付近において国際ヨットレースを開催するなど、実効支配の度は日に日に増していると言えます。
しかるに、
我が国政府は、こういった露骨な
挑発行為に対して、事実
関係の確認と外交ルートを通じて抗議しますということを常套句のごとく繰り返すだけで、何ら具体的な手だてを講じていない、弱腰の先送り、事なかれ外交が現状であります。
我が国が実効支配をする
尖閣諸島に対しては、
中国及び台湾が、自国
領土との主張を繰り返し、
我が国の
領海を脅かす
行為を再三繰り返し続けております。また、東京都が
尖閣諸島を購入する
考えがある旨を表明した際には、丹羽駐
中国大使が
中国政府の意向に沿うような
発言を海外メディアのインタビューで述べておられます。それを許してきた
政府、外務省に、言葉にあらわせないほどの怒りを感じている次第であります。
以上のような
我が国周辺の
状況を俯瞰するとき、
日本は今まさに戦後最大の外交的敗北を喫しているとの評価を下さざるを得ません。
総理は、この北方
領土、竹島、
尖閣諸島の三つの
領土に関する問題に対し、どう
対処されようとお
考えでありますか。お答えをください。
私の記憶では、
平成十五年の総選挙における
民主党のキャッチフレーズは、強い
日本をつくるでありました。
時のアメリカ大統領セオドア・ルーズベルトが、外交政策として、大きな棒を持ち運びつつ猫なで声でという、いわゆるこん棒外交を展開したことは、つとに有名であります。軍事と外交は表裏一体であり、この言葉は、
軍事力の裏づけがあって外交力も発揮できるということを端的にあらわした名言であります。この言葉は、二十一世紀の今日に照らし合わせましても、真実であると私は思っております。
したがって、
我が国も、約十年間連続している
防衛関係費の下落にそろそろ歯どめをかけるなり、
見直しが必要ではないでしょうか。内訳を見ても、四割以上が人件費であり、
装備品購入や
整備、訓練のための油の購入などに当たる一般物件費は二割程度しかありません。
二年連続で二桁の伸び率を示している
中国を筆頭に、アジア各国の軍事費は上昇傾向にあります。
日本の
防衛力は相対的に低下する一方であり、これでは
日本の
領土、領空、
領海の
安全確保も困難をきわめてくるのではな
いかと強く危惧するものであります。
総理に御答弁を求めます。
さて、このたびの
中期防では、陸上戦力を抑制し、その分を海上及び航空戦力の
充実に振り向けられる方針が示されております。四方を海に囲まれている
我が国において、この方針は間違っておらず、むしろ、なぜもっと早くそうしなかったのかと指摘すらしたくなるところであります。
その上で、現代における軍事上の常識として、制海権を確保したいのであれば、まず制空権を確保することが必要不可欠であるという事実もございます。
そこで、お聞きしたい。次期戦闘機、FX
導入についてであります。
昨年十二月、
政府は、航空
自衛隊の次期主力戦闘機として、
米国政府提案のF35Aを選定されました。これは、現状における最も先進的な技術を駆使した戦闘機であり、日米
関係の
強化という
観点からも、その選定は適切であったと思っております。
しかしながら、開発中の機体であるため、種々のリスクを持っていることもまた事実であります。現状では、技術、納期、価格などについて、当時から懸念されていた事項が
現実となってきております。
提案要求書では、提案時点の性能、価格、納期は
運用段階まで保証することとなっておりますが、六月二十九日に
我が国政府と
米国防総省との間で結ばれた契約は、FMS契約と呼ばれ、有償軍事援助契約であります。援助する側、すなわち
米国の意向が強く反映されるものであります。金額も、既に一機当たり数億円の増加となっております。
過去の主力戦闘機の選定と
導入について
考えますと、機体を分解し、
我が国で組み立てるノックダウン生産、そして、
我が国で部品から生産、組み立てを行うライセンス生産という手順で行われてまいりました。戦後、
我が国の航空産業は、この主力戦闘機のライセンス生産により、先進技術を取得し、技術の継承、
運用の適正化をしてまいりました。航空技術界のみならず、一般
社会への技術的波及にもかなり貢献をしてきたと
考えます。
しかしながら、今回の選定では、国産化率が低く、特に、肝心な先進技術の開示が極めて少ないとのことであります。しかるに、この選定は、過去の選定のよい点がほとんど得られません。価格高騰は航空
自衛隊の
予算を圧迫し、
部隊運用に支障を来します。また、
我が国の
防衛を支える
防衛産業の工数維持、技術継承ともに厳しいものになる可能性が高いと私は思っております。
今後のことですが、修理もFMS契約になるとの
検討があると聞きます。その場合、事故や故障が
発生しても、国内企業では責任を持てません。これはメンテナンス上にも非常に問題があると思えますが、
政府の御見解をお聞きいたします。
また、納期についても、空の守りの空白をつくらず、価格、納期を厳守させ、かつ、国産化率を上げる努力を
実現するため、契約を統括する覚書等の締結をお勧めいたしますが、
いかがでしょうか。
この覚書には、
米国政府が約束した事項が守れないときのリスク回避として、予備機を選定することと、そのための準備を進めることを
米国政府に認めさせる
内容を盛り込むことであります。御所見を賜りたいと存じます。
最後に、
集団的自衛権について触れさせていただきます。
野田
総理が
議長を務めておられます
政府の
国家戦略会議の
もとに属する
フロンティア分科会は、このたび、
集団的自衛権について、保有しているが行使できないとしている
政府の憲法解釈を見直すように求める
報告書を、今月六日、野田
総理に提出いたしました。私は、この
報告書は、
国防を軸として
考えれば至極真っ当なもので、
政府は、
議論を深め、今後の方向性を明示すべきと
考えます。
今までの内閣は、実際、内閣法制局の強い抵抗や
政治家の臆病さも手伝って、
安全保障の専門家が以前から指摘してきた
集団的自衛権の行使に関して、答えを得ることなく、実際、見送ってまいりました。今回の
報告書に対する
総理の御所見と御意向をお伺いいたします。
二二
大綱に指摘される、
運用に着眼した
防衛力のあり方とする
動的防衛力の
構築には、
集団的自衛権の行使も重要なファクターとして存在しているとの
認識を披瀝いたしまして、私の
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣野田佳彦君
登壇〕