○金子一義君 私は、自由
民主党・
無所属の会を代表して、ただいま
議題となりました各案につきまして、
賛成の立場から
討論を行います。(
拍手)
社会保障と税の
一体改革に関する
特別委員会が四月二十六日に本院に設置されて以来二カ月、
審議時間も百二十時間を超える過程で、
政府提出法案の問題点が次々に明らかになってまいりました。
そして、最終局面で、自民、公明、民主三党間の
修正協議が行われ、六月十五日に
修正協議が調いました。そして、本日、こうして
採決を迎えたことは、決められない
政治と言われる中で、評価されるべきものと思います。
なお、今回、政党間協力の
あり方の一つを示したものではありますが、
消費税法
改正法等は、我々
自民党は選挙で
公約したことであり、この政策に限っては協力するという、あくまでも特定の政策の協力であり、他の
法案については引き続き厳しく対応していくことを申し上げる次第であります。
野田
総理が
一体改革は待ったなしとして
提出された今
法案は、
国民に税
負担を求めるものであります。税
負担を求めるからには、
社会保障の姿を
国民に示してから求めるのが
政治の道であります。
しかし、
消費税関連
法案には、
年金、
医療、
介護、いずれについても、主要
施策が抜け落ち、含まれていませんでした。後期
高齢者医療廃止は今
国会に
提出、
民主党のマニフェストの一丁目と言われる
最低保障年金は来年度通常
国会に
提出という工程表があるだけで、具体的な姿は明らかにされていませんでした。
医療の効率化も全くありませんでした。
それでは、なぜ税
負担を求めるのでしょうか。
社会保障の中身を知らされず、
増税だけ求めても、
国民に
理解されるはずがありません。これでは、税と
社会保障の
一体改革といいながら、単なる
増税法案にすぎなかったのではないでしょうか。少なくとも、
増税先行
法案であります。
一方、我々
自民党は、自公
政権下において、
年金の公的
負担を二分の一に
引き上げることを決定し、
実施いたしました。その際生ずる
財源については、
消費税を含む
税制抜本改革を大前提として
議論してまいりました。
また、
社会保障や少子化に対する費用の見通しを踏まえつつ、持続可能な
財政構造を確立するための道筋と
税制抜本改革を、我々が与党であった
平成二十一年の
税制改正に
規定いたしました。今
法案の出発点となる、たびたび引用される、
所得税法等の一部を
改正する
法律附則第百四条であります。
このような経緯を背景として、
審議終盤に至り、
野田内閣からの
修正協議申し出に応じることといたしました。ただし、
修正協議に当たっては、我々
自民党は
社会保障改革基本法を
提出し、これをベースに協議することを求めてまいりました。
自公両党が
修正協議の終了期限とした六月十五日深夜に三党
修正協議がまとまり、
修正協議のベースとなった
基本法は、
社会保障制度改革推進法と名前を変えて、今回、
法案として
提出されたものであります。
三党の
修正協議に当たられた方々には、その御労苦に心から敬意を表したいと思います。
本案では、
社会保障改革国民会議を設置して、
年金、
医療、
介護、そして少子化対策、それぞれの
制度見直しに向けた
検討を行い、その結果に基づき、一年以内に必要な法制上の
措置を講ずることとし、
社会保障制度の
改革を総合的かつ集中的に
推進することとしております。
賛成する主な
理由は、本
法案により、
年金、
医療、
介護、少子化対策全体の法体系が一年以内にできるようになること、
社会保障の姿が法制上の整備も含めて見えるようになることであります。
また、現
政権が閣議決定した
社会保障・
税一体改革大綱などにかかわらず幅広い
観点から
制度改革を実現することという、自民、公明の主張した
修正に現
政権が応じたことも、
賛成する
理由の一つであります。
賛成する第二の
理由は、
消費税率
引き上げの前に
社会保障制度改革を実現することを
法律上明記したことであります。すなわち、
増税先行はしないことを
国民に約束したことであります。
社会保障改革推進法案以外の
法案についても、それぞれ
修正が行われました。評価されるポイントを一つ二つ申し上げます。
子ども・
子育て関連
法案は、
総合こども園の創設は撤回されるなど、我が党の主張をおおむね取り入れたものとなりました。
また、当初
提出された
消費税法等改正案では、
消費税率
引き上げ時における低
所得者対策としての
給付つき税額控除については、
所得把握の困難さ、また、景気弾力条項における成長目標に向けた具体的な
施策の致命的とも言える欠陥などが含まれていました。
修正協議の結果、低
所得者対策として、我々の主張する
複数税率も含めた
検討が行われることになりました。また、脱デフレ対策として、
我が国の成長を高める研究開発分野や、予見される震災に対し防災に資する分野への資金の重点配分などの
施策の
検討が
修正合意されたことは、評価されるところであります。
以上、各案について主な
賛成理由を申し上げました。
さて、
最低保障年金について申し上げます。
まず、
民主党マニフェストの
最低保障年金の旗をおろせとかおろせないとかの発言が飛び交っておりますが、今回の
法案には全く盛り込まれておりません。そのような
議論はそもそも当たりません。
一方、
民主党のマニフェストの誰でももらえる
最低保障年金は、文字どおり、誰でももらえる
制度と私は思っておりました。多くの
国民も、多少うさん臭いと思いつつ、信じていたと思います。
ところが、
社会保障と税の
一体改革に関する
特別委員会の
審議の過程で、
所得比例
年金に四十年
保険料を納めた人だけがもらえる、誰でももらえるものではないことが明らかにされました。だまされた思いであります。
政治家はだまされた方が悪いで済まされるかもしれませんが、
国民はそうはいきません。
昨日の
審議で、野田首相は、
最低保障年金について、さらに詳細の
制度設計を詰めて
国民に発信したいと述べておられました。ぜひ、次回選挙で改めてマニフェストに掲げられてはいかがでしょうか。もちろん、次回は、見せかけではなく、かつ、これに必要な
財源もあわせ明確にされることを期待しております。
社会保障国民会議は、三
党合意に従って
社会保障のビジョンをつくる場であります。また、同法二条に記された
基本的な
考え方に基づいて協議される場であります。
民主党の
最低保障年金七万円が
議論される余地はほとんどないと言っても過言ではないことを申し上げておきます。
最後に、一番大切な、
国民との関係について申し上げます。
我々
自民党は、
平成二十一年総選挙の際に、主権者たる
国民に、
消費税を含む
税制改革を明確に
公約いたしました。
しかし、
民主党のマニフェストや、野田首相を初めとする
民主党幹部の選挙
公約には、何の記述もありませんでした。加えて、当時の鳩山代表や党幹部の言動は、任期中の四年間の
消費税の立法化を全て否定しておられます。
また、
総理は、本日午前中の
総括質疑の中で、なぜ
民主党内にいまだに
反対するような人がいるのかという我が党の逢沢議員の質問に対し、マニフェストに書かれていないことをやろうとしたことである、
民主党議員の多くは、地元に帰ると、うそつき、ペテン師と呼ばれている、このことだ、野田首相が述べておられました。
やらないということをやるという決断をしたならば、
法案成立後直ちに民意を問うのが憲政の常道であります。そしてまた、これが、うそつき、ペテン師の呪縛から
民主党議員を解き放つことにもなることを申し上げ、
討論を終わります。(
拍手)