○斎藤やすのり君 新党きづなの斎藤やすのりでございます。(
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昨日、
福島県の浪江町で、一時帰宅し、行方不明になっていたスーパーの経営者の方が首をつって死亡しているのが見つかりました。周囲の方には、生きていても仕方がないということを話して、睡眠剤を服用していたといいます。
昨年六月には、相馬市で酪農を営んでいた方が作業小屋で自殺して、男性の牛小屋の黒板には、
原発さえなければという言葉が書かれていました。
被災地を歩きますと、よく、
原発さえなければという言葉を聞きます。
飯舘村の世帯数は、震災後、倍増しました。
避難で家族がばらばらになってしまったからです。
福島県内では離婚もふえています。県外に
避難している家族が、戻るか戻らないかでけんかになっています。
家、仕事、家族、先祖が大切に耕した土地、落ちついた
生活が、一度の
事故で台なしになってしまうのが
原発です。
津波や地震の
被害は復旧できますけれども、
原発の災害は未来をも奪ってしまいます。一度
事故が起きれば、取り返しのつかないことになってしまいます。
ですから、今、
国民は、二度と
事故を繰り返してほしくない、
事故を起こしてはいけないという、これが共通の願いでございまして、この願いをきちんとかなえるのが新しい
規制庁の使命であると考えます。
しかし、残念ながら、今回の
原子力の
安全規制に関する新
組織の
政府案は、次の
福島が
日本を滅ぼす、次に
事故が起きれば
日本に住めなくなるという危機感に欠けていると言わざるを得ません。
原子力規制組織を
三条委員会方式に変えると言っていたのは、従来の
民主党の主張でございます。ところが、今回の
政府案では、あっさり撤回しております。
三条委員会では危機のときに
対応できないというのが
政府の考えのようです。
しかし、なぜ、今回の
福島事故で
被害が拡大してしまったのか。
原発には素人の
政治家が、間違った
政治主導をしてしまったからではないでしょうか。
国会の
事故調査委員会は、二月に参考人として招かれた米国の
原子力規制委員会、NRCのリチャード・メザーブ元
委員長が、昨年の
原発事故の際、
原子炉から気体を出すベントを当時の
総理大臣が指示したことに、米国では考えられないことだ、大統領が決めることではない、米国では、電力会社が決めて、NRCが許可をする、
日本は
政治家の方が
知識があるのかもしれないと皮肉を込めて言っております。
また、SPEEDIの
情報を公開せずに、多くの
福島の
子供たちを被曝させてしまいました。
このように
政治が間違ったかじ取りをして
被害が広がったことを考えれば、
政府案はもっと
独立性を持った
規制機関にするべきなのではないでしょうか。
また、時の
政府や
環境大臣が偏ったエネルギー政策を
推進した場合に、いわゆる
原子力村の住人である
人材の重用なども考えられるのではないか。
政府の
見解を求めます。
原子力規制庁の
人事についてお伺いします。
今回、
政府案では、
環境省の
外局として、
組織体制五百人、五百億円の
予算規模で
原子力規制庁を
設置すると言っています。しかし、
環境省の
外局とはいっても、
職員の四分の三が
保安院からで、あとは
原子力安全委員会と
文科省のスタッフです。
組織にいる人間が同じであれば何も変わらないのではないかという懸念があります。今回の
福島原発事故のいわば戦犯をそのままスライドさせて、だめなものはだめと言える
体制づくりができるのでしょうか。
規制する側は電力会社の技術者と同じぐらいの
知識を持った
人材でないと、誤りは指摘できません。今までの
保安院は、申請
内容をうのみするばかりでございました。
事故後、
保安院は第一
原発で
情報収集に当たらなければいけなかったのにもかかわらず、七人の保安検査官は、
情報を集めるどころか、いち早くどこかに行ってしまったといいます。
規制庁を形だけ引き剥がしても、それを構成する中身の
職員の質が変わらないのならば、単なる看板のつけかえにしかなりません。
原発推進の立場をとってこなかった
専門家を配置させることなど、抜本的な中身
改革、
人材の
独立性の
確保は考えておられるのでしょうか。
また、
出身官庁から出向した場合に、
もとに戻らない
ノーリターンルールを運用するとの話ですけれども、これは先ほど質問もありましたけれども、その対象、そして人数、具体的なルールを教えていただけないでしょうか。
今回、我が党から
提出者への質問通告はいたしませんでしたけれども、現時点では、
規制庁の
独立性の
確保などについて、
提出者案の方がより
評価に値するものであると申し添えさせていただきます。
さて、ここで、大飯
原発再稼働のことを聞きます。
大飯
原発の
事故対策は、万全とは言いがたい
状況でございます。防潮堤を海面から八メートルの高さにかさ上げする工事をしなければいけませんが、完成は来年度。また、大飯
原発は、ストレステストに水素
対策が
評価されていません。この
原発は、加圧水型で、容器内で
水素爆発が起こり得る
原発です。また、今回、
福島原発で現場作業を支えた免震重要棟が大飯
原発にはありません。完成は四年後です。
もう
一つ心配なのが、災害想定が不完全であるということです。
大地震の痕跡や言い伝えは、古文書や神社、仏閣に残ります。仙台には、海岸から三キロの場所に
津波が到達したことが名前の由来になっている浪分神社というのがあります。今回、東北で
津波の
被害が拡大したのは、こうした神社や古文書に載っていた災害の痕跡を無視した防災計画があったからでございます。
実は、大飯
原発のある若狭湾の海沿い、高さ三十メートルの場所に波せき地蔵という地蔵があります。西暦七〇一年、大宝年間に若狭湾に巨大
津波が押し寄せたことからできた地蔵だと言われております。
大飯
原発では、一五八六年の天正地震のボーリング
調査はされていますが、それより古い
調査はされていません。もう想定外は許すことはできないです。
大飯
原発の再稼働は、
福島事故前の
基準やこれまでの
対策を整理しただけのもので
判断するのではなく、
福島事故後の
安全基準を新しい
原子力規制機関でつくり直し、その
安全基準に基づいた新たなストレステストを実施するべきだと考えますが、
総理の
見解をお伺いします。
危機管理
体制を万全にしないで、再稼働ありきでこれを動かすことに
国民は大変今不安を覚えております。
政治のプロセスに怒りさえ覚えております。
原発事故は、広範囲で
事故の
被害のリスクが生じます。炉の安全だけではなくて、
住民の安全をきちんと
確保しなければいけません。
原発から百キロ程度の
住民の
安全確保が必要です。再稼働には、広域の自治体との安全協定を締結し、そして、再稼働への
同意をとることが必要なのではないでしょうか。
総理の
見解を求めます。
今回の大飯
原発再稼働は、
安全性も、
政治的正当性も、著しく欠けています。それでも大飯
原発を再稼働させるのか、ゴーサインを出すのか、ゴーサインをいつ出すのか、
総理の
見解をお伺いいたします。
報道によると、関電は、ことし三月十五日の週の供給力、これは二千二百四十四万キロワット、需要は二千四百五十九万キロワットと、二百十五万キロワット足りないと予測していました。三月十五日の週です。しかし、実際は、供給力が二千六百六十三万キロワット、ピーク需要は二千二百五万キロワット、逆に四百万キロワット余ったんです。
百歩譲って、需要予測を誤るのはある程度理解できますが、自分たちがどれほど発電できるかを四百万キロワットも違うというのは、あり得ないのではないでしょうか。需要を過大に、そして供給を過小に見積もって、電力が足りないから
原発を動かせというやり方に疑問を覚えます。
きょうの不安定な天気にもあるように、ことしは、上空の寒気が南下する傾向が強かったり、それから、赤道付近の海面水温も一昨年のような猛暑になるリスクは少なく、必要性という
観点から見ましても、大飯
原発再稼働には疑問を持たざるを得ないと、気象予報士の立場から申し添えます。
今回の
政府案では、
運転期間は原則四十年と明記され、例外
規定として、二十年以内で一度に限り運転の延長を許可することができると明記されています。
福島原発事故があったにもかかわらず、二十年も延びた根拠は何なのでしょうか。
世界で最も長く稼働している
原発は、四十五年の英国オールドベリー
原発でございます。米国にも、
世界にも、いまだ五十年以上稼働した
原発はありません。米国では、コストが見合わなくなった四十年以上稼働した
原発は、大半が運転をとめているはずです。
寿命の根拠、この四十年という根拠が明確でない上に、技術への過信、おごりが呼び起こした
福島原発の
事故がこれだけたくさんの方を不幸に陥れているのに、そこから学ばずに、さらに例外
規定を設けて運転延長を設けるのはなぜでしょうか。電力が足りないから、コストがかかるからということよりも、
事故が起きたわけですから、
事故の前以上に安全面を重視しなければならないのではないでしょうか。
昨年の秋、飯舘村に行きました。青空に映える紅葉、そして、たわわに実ったダイダイ色の柿の風景は、まさに
日本の原風景でした。しかし、そこには、人がいなくなり、柿の実は収穫されずごろごろと道を転がり、何よりも、空気、水、大地、森、これが汚染されているんです。先人たちが守ってきた景観、そして、数百年にわたって耕しつくってきた肥沃な土地、地域の文化や伝統、全てが、三・一一以降の
原発災害で、あっという間に台なしになりました。
飯舘村の多くの方は、自然を恐れ、自然に感謝し、自然の恵みを自然の秩序を壊さないようにいただき、つつましやかに
生活していました。
今回の
原発災害は、技術への過信が生んだ災害です。人間のおごりが、たくさんの恩恵を与えてくれた自然を汚してしまいました。
日本では、大地、水、植物、あらゆるものに神が宿っているという宗教観がありますから、そういう意味では、今回の
原発災害は、神への冒涜、罰当たりと言っても過言ではありません。
野田総理は、
福島の惨状を見て、
原発のあり方についてどう考えておられるのでしょうか。二十年後の
日本の
原発は、エネルギー供給のどれぐらいの割合で、どのようなポジションにあるのか。過渡期のエネルギーとして捉えているのか、それとも主電源として捉えているのか。この国のリーダーとして、
総理の
原発への
考え方をお聞かせください。
被災地では、多くの方が、
原発に不安を抱き、再稼働に反対しています。共同通信の世論
調査では、定期検査で停止中の
原発について、再稼働することに反対が五六・三%。これは地域に温度差があります。我が東北地方では、七二%、七割が反対しています。多くの方が、放射能におびえながら、子育てをし、食事をしている現状があります。放射能が
原因で一家がばらばらになってしまっている家族もあります。
原発事故のせいで人生がおかしくなってしまったという方がたくさんいます。
被災地東北の、
原発はやめてくれという声にどう応えていただけますでしょうか。
日本は、地震・火山大国です。
世界のマグニチュード六以上の地震の二割が
日本で発生しています。
津波というのは、英語でもツナミです。
日本で
津波災害が多いからです。全
世界四百以上の稼働中の
原発のうち、地震危険地帯に
設置されている
原発は五十六基。そのうち、海岸から一マイル未満にあって、地震にも
津波にも弱い
原発は三十九基。この三十九基のうちの九割超の三十五基が
日本にあります。
日本は、
原発設置には
もともと向いておりません。
福島の
原発事故がありました。
事故の
検証もされていません。向いていないだけではなく、
原発を再稼働させる資格も現段階ではないと言わざるを得ません。
今
我が国がやるべきことは、徹底的な
福島原発事故の
検証とその
情報公開、そして、既存の
原子力規制当局が
機能しなかったことで
原発事故が発生し、誤った
政治主導で
原発事故が拡大した
反省に立って、
原発村から距離を置いた
独立性の高い
三条委員会としての
規制庁を
設置すること、そして、
日本の
財産である自然を生かしたエネルギーの爆発的普及を促進させ、脱
原発を実行することであるということを訴えまして、私の質問を終わりにさせていただきます。(
拍手)
〔
内閣総理大臣野田佳彦君
登壇〕