○大島理森君 私は、自由
民主党・無所属の会を代表して、
野田総理が政治生命をかけるとまで言われました
社会保障と税の
一体改革に関して
質問いたします。(
拍手)
冒頭、このたびの北関東における竜巻被害に関し、被災された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、
政府におかれましては万全の
措置を講ずるよう強く求めます。
今、我々は、衆議院と参議院の多数派が異なるいわゆるねじれ国会の中で
責任を果たさねばなりません。それは
国民の選択の結果でありますが、一方、
国民は、
政府・与党の
責任第一とはいえ、決められない政治の現状にいら立ちを感じておられるのも事実でしょう。
しかし、昨年の三月十一日、東
日本大震災という
国家的危機に対して、我が党は、谷垣総裁の決断のもと、
与野党の壁を乗り越え、
国民のために各党と協力してその
対応に当たりました。私は、このことを思い起こしつつ、万機公論に決すべしという言葉に思いをはせるものであります。
野田総理、今、私たちは、万機公論し、すなわち、
議論を尽くした上で、決めるべきときに物事を決め、事をなし遂げるための政治の筋道をつくり上げ、信頼を守らなければなりません。我々は、あなた方
民主党が
野党時代に行ってきたことを殊さらあげつらうことはいたしません。ただし、結論を導くための実のある
議論を行い、
協議し、そして、事をなすに当たっては、必要不可欠な政治上の要件があるのです。それは、何よりも、主権者たる
国民に、うそをつかず、誠実であり、
責任を持つことなんです。
野田総理は
社会保障と税の
一体改革について政治生命をかけるとまで明言されておりますが、自民党は、我が国の累積する財政赤字に
責任を感ずるからこそ、累次の選挙公約や
税制改正において、財政再建や
消費税を含む
税制抜本
改革の
実現を訴えてまいりました。総理が待ったなしと言うのであれば、総理及び
民主党に不退転の
決意を持ってこの問題を解決するための
責任感が本当にあるのか、また、
さきの総選挙の際の公約や党幹部の言動が厳しく問われなければなりません。
第一に、約束に対する
責任について伺いましょう。
与党
民主党によって構成される野田内閣が
一体改革に取り組むことは、
民主党と
国民との約束に反しているのです。そのことについて、この議場におられる
民主党の
議員の
皆様は、胸に手を当てて、何も恥ずべきものはないのでしょうか。
まず、
民主党に
政権としての正統性を付与した二年八カ月前の衆議院選挙におけるマニフェストにおいて、
社会保障のばらまきメニューは誇らしげに羅列されたものの、そこに
消費税増税という言葉は全く見受けられません。また、当時の党代表や幹事長、
野田総理も含めた
民主党を代表する方々の言動は、全て、今任期中に
消費税の
引き上げを決めること、まさにこの決めることすら否定して集票されたことを、よもやお忘れではないでしょうね。
いかなる詭弁を弄そうとも、
消費税増税という
国民との契約はなく、これを推し進めることは
国民との約束違反にほかならないのであります。
次に、二年前の参議院選挙を思い出してください。菅前総理は
消費税の論議を唐突に持ち出し、
民主党は敗れました。つまり、民意は、このときも、
民主党の手による
国民との約束違反の
消費税増税を否定したんです。
これらの民意に反することを、総理、あなたは、今、政治生命をかけると言って取り組んでいますが、約束違反の増税に対して真摯な反省と謝罪を行った上で、このマニフェストを大胆に
見直し、いま一度
国民に信を問うことが必要であると存じます。総理、いかがでしょうか。
これに関してさらに言えば、マニフェストで
国民と約束した
最低保障年金を含む新
年金制度の
創設、後期
高齢者医療制度の
廃止について、その扱いはどこへ行ったのでしょうか。これらが
実現不可能なことは明白なんです。撤回するのか、それとも、旗をおろさないつもりなのでしょうか。
なお、これらは、それぞれ、
閣議決定された
一体改革大綱にも明記されていますが、
一体改革に含まれると理解してよいのでしょうか。今の提案では、
一体改革たり得ず、ばらまき、かつ増税のみとの感は否めません。総理の見解を問います。
第二に、政治家としての倫理への
責任について伺います。
政治家は、結果
責任を問われるとはいえ、そのプロセス、手法において、やはりモラルに対する緊張感がなければなりません。
二年八カ月にわたる
民主党政権において、余りにもその弛緩が散見されることによって、今や
国民は、総理の言葉を信じ、
民主党を信頼し、国の政治を信頼することができなくなり、その信用は失墜しております。これでは、
国家の政策の遂行に支障を来すことは必至なんです。総理の訴える
一体改革が
国民の理解を得られないのも当然の帰結です。
すなわち、民信なくば立たずなのであります。あなたの発する言葉に
国民の信をおかせるためには、倫理における
責任というものについて、総理の姿勢を明確にする必要があります。
一体改革に取り組む野田内閣及び与党
民主党の資質について伺いましょう。
野田総理は、参議院で問責決議を受けた田中防衛
大臣と前田国土交通
大臣の二閣僚は、今もって適格であるとの認識でしょうか。
国民世論も二人の続投は望んでおりません。このままでいくならば、総理が最大の政治
課題と位置づける
一体改革について、
国民の理解を得て
実現していくことの足かせとなることは明らかだとお考えにならないのでしょうか。
参議院において
野党全党が賛成し、その参議院の意思として議決した事実を総理はどのように受けとめておられるのか、そして、このまま続投させるのか。総理の任命
責任も問われる問題ですが、明快な答弁を求めます。
小沢元代表の政治資金問題についても伺います。
民主党の党員資格停止の解除等についてはあなた方の問題でありましょうが、
国民は
民主党の倫理観を厳しく見ているのです。今回の判決文を読む限り、元代表の主張のほとんどが裁判所に認められておらず、
現行の政治資金規正法のあり方も踏まえれば、国会で
説明責任を果たす必要があります。
総理は、我々が要求する証人喚問に小沢元代表が応じ、国会でその
説明責任を果たすべきと考えますか。国会で判断するべきものとの答弁は不要です。
野田総理、あなた自身と
民主党の倫理観が問われているのです。もし総理が小沢元代表の立場であれば、みずから国会に出席し、
説明するのでしょうか。お答えください。
冒頭申し上げた
責任について、さらに伺います。
約束に対する
責任、倫理観への
責任、加えて、政治にとって最も問われているものは結果
責任です。
今日に至るまで、
民主党政権において、普天間基地の移設問題、瓦れき処理等を含む東
日本大震災からの復旧復興、原子力発電をめぐる諸問題、TPPなど、多くの内政、外交上の重要
課題について、何
一つ明快な結論を出しておりません。
責任を果たしているとは言えないんです。言葉だけが躍るばかりで、結果
責任を全くとらない政治はもうたくさんなんです。
私は、
野田総理が
一体改革に政治生命をかけると言った言葉はどれほどの覚悟を伴ったものなのか、改めて総理のその言葉の具体的な
内容を伺いましょう。
今国会は、会期は六月二十一日までとなっています。新設された
特別委員会においては
社会保障と税の
一体改革の審議が始まりますが、そこには計七本の
法律案が付託されます。
総理は、この会期末までに、具体的にどのようにこれらの関連
法案を成立させ、そのうちどの
法案に政治生命をかけるのでしょうか。
野党に協力を求めるとの他力本願ばかりではなく、
政府・与党が、そのみずからの力と
責任において、予定された会期末までに衆参で結論を出す手法と覚悟を有しているのでしょうか。
また、総理の言葉の意味するところは、まさにこの六月二十一日までにやり通すこと、そこに政治生命をかけるということではないでしょうか。そのことに、明確な結果
責任を負い、政治生命をかけるわけであります。
六月の会期末までにできなければ会期を延長する、場合によっては大幅に延長する、もしくは国会を閉じて継続審査、いずれにせよ、結論を先送ることなど、よもやお考えではないでしょうね。もしそのようであれば、これは政治生命をかけるという言葉に値しません。政治生命をかけると言った真意は何たるかを、国会、
国民に明確にその
決意のほどをお示しください。
民主党の中には、依然として
法案への反対姿勢を崩さない多くの造反予備軍がおられると聞いております。その方々は、どうぞ、委員会の場で
質問の場に立って主張をぶつけてください。総理におかれては、それを受けて立ち、ねじ伏せるほどの気概を示されることを期待するのであります。
なお、最高裁に違憲状態と指摘され、かつ違法状態となっている一票の
格差の問題についても、与党は何ら
責任を果たさず、解決の目途がついていないのが現状です。総理は、かつて党首討論において、違憲状態を脱することが最優先と明言されましたが、その方針は変わらないのか、今後どのように取り運ぶのか、具体的にお答えください。
以上、私は、政党、政治家にとって最も重要な
責任というものについて、覚悟を総理に問うてまいりました。
今や、ねじれ国会という
国民が選択した国会
状況の中で、万機公論に決しとしつつも、
議論と結論の間に横たわる、物事を決するまでの
協議というプロセスが重要であることは理解しております。しかし、それらを認識しながら、政党政治の英知として、政党間
協議のルールを確立し、新たな政策決定プロセスを構築することこそが、ねじれ国会が常態化した現下の政治
状況においては、今求められていることではないでしょうか。
ただし、各党それぞれが、この政党間
協議という新たな表舞台に立つに当たっては、その資格が問われます。すなわち、先ほど申し上げたような
責任感や倫理観をまず与党の当然の責務として示し、その上で、各党がこれらを共有する状態にならなければなりません。私は、震災直後の復旧復興に当たった際、自公民の三党の幹事長、政調会長、委員会の現場の働きによってその萌芽を見た感がありましたが、残念ながら、今回の件については、何ら見出すことはできません。
我が党は、
社会保障についても、
税制についても、我が党の基本的な
考え方を既に示してあります。
特別委員会においても、我々は、税を納め、
保険料を払う者の立場に立脚し、自立自助、共助、公助という理念に基づいた
社会保障等のあり方を堂々と提示してまいります。国会論戦を通じ、
政府案の問題点を指摘するとともに、
国民に対して我々の考えの正しさを訴え、
政府・与党に対峙してまいる所存です。
民主党内の混乱の原因は、
国民との約束を破り、そのけじめもつけないまま
一体改革を進めようとしているところにあるのです。これが、決められない政治の元凶なんです。総理、ここは基本に立ち返りなさい。政治生命をかけて説得するのは、まずは足元の与党
民主党であり、さらに、主権者である
国民との
関係を踏まえた政治の原点に返ってこの案件に取り組むことを
最後に求め、私の
質問を終わります。もし時間内であれば、再
質問をさせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣野田佳彦君
登壇〕