○斎藤やすのり君 新党きづなの斎藤やすのりでございます。
きょうは、議案全般について、
野田総理にお
伺いいたします。(
拍手)
先週十七日に、
社会保障と税の
一体改革の大綱が閣議決定されました。三月中に消費税増税の
法案が
提出されるようでございますけれども、私たち新党きづなは、
法案が出ても反対いたします。
増税の前にやるべきことがあります。今、増税をするためのアリバイづくりのように、突貫工事でさまざまな行
財政改革をやろうとしております。
国家公務員給与の七・八%
削減、これは二年間の限定。独法
改革も、幾らカットできるのか明確ではなく、単なる組織いじりの上辺だけの
改革にしか見えません。民営化も看板のつけかえ、それから、国へ出戻りする独法もある、統合される独法も組織をまたぐものはゼロ。ここまでやるのか、そういう覚悟が、残念ながら、全く見えません。
私は
野田総理に聞きたい、シロアリ退治をしないで消費税を引き上げるのですかと。
行
財政改革は取ってつけたようなものしかなくて、増税だけは命がけ。これは、今回の
特例公債法案の中で、あるものを見るとよくわかります。年金交付国債です。
消費税を引き上げた後に増税分二兆六千億円を年金
特別会計に繰り入れるという約束手形、言い方をかえれば、消費増税しなかったら大変なことになるからなという人質国債、脅迫国債にしか見えません。これは、一二年度の
新規国債発行額を四十四兆以下に抑えるためというトリックでもあり、極めて質の悪いトリックにしか見えません。
しかも、消費増税については、
与党内でも、閣内でも、当然
国会内でも、
国民の
皆さんの中でも反対の声は多く、マニフェストに書いていないということで、コンセンサスが得られていません。そんな中で、強引に、おどしにも見えるこの
公債法案が
提出されたことに怒りを感じざるを得ません。
野田総理にお聞きします。
もし消費増税の
法案が通らない場合、この交付国債はどうなるのか、二兆六千億円の穴埋めをどう考えておられるのか、増税ができなければ積立金を崩すおつもりなのか、見解をお
伺いいたします。
津波の
被災地では人口流出が続いています。気仙沼市では、この十一カ月で、人口の約六%に当たる四千人も人口が減ってしまいました。雇用の受け皿になっている水産加工工場の再建がおくれているからです。雇用がないから、泣く泣く、断腸の思いで、故郷を離れて仙台や首都圏に移る人が続出しています。
ここに来て、ようやく、水産加工業などの地場産業の復旧の糧になりますグループ化補助金が出ました。これで再建への道筋はようやくつき始めてはいるんですが、現場の話を聞きますと、今の支給
規模ではもとに戻すにはほど遠いというふうに言っております。
支給されたグループはまだいいんです。宮城県では、五百二十七の申請のうち、支給が決定したのがたったの六十一グループです。
予算の上限が決まっているので、審査が厳しいんです。もっと
予算が必要です。
被災地の人口流出を防ぐためには、地場産業のさらなる底上げが必要です。グループ補助金の上乗せは考えておられるでしょうか。
一方、今回の
復興特別会計には、各省庁の管轄の独法への交付金がつけられています。
民主党の
事業仕分けで明らかになった公益法人の金の使われ方については、仕分けの判定を無視、風化させる形で、今もなお不透明です。
しかも、
予算の獲得に合わせて公益法人への各省庁の権限と天下りが強化されるシステムはいまだ健在で、この独法の
予算は、当然、全面的に
被災地の
復旧復興として使われるはずだと思いますが、その
認識でよろしいのでしょうか。
震災関連の
事業は、緊急性、重要性の高いものばかりなはずです。だからこそ、
地方の活力を導くためにも、わざわざ独法を経由する必要のないものは、
自治体や民間に直接任せてスピードアップを図るべきだと考えますが、
総理の見解をお
伺いいたします。
マニフェストに書いていない消費増税には一生懸命で、マニフェストに書いてあることには後ろ向きの野田
政権。控除から手当へという約束もどんどんフェードアウトをしております。
所得控除は、
税率の高い高額所得者に高額の還付が行われる、逆進性の高い仕組みです。所得にかかわらず必要な方へ手当てをするんだ、直接給付を行う仕組みへ転換するんだというのが、
民主党の掲げる目玉政策の一つであったはずです。子ども手当というのは、まさにその象徴でございました。
今回の
法案では、
給与所得控除に上限が設けられることが盛り込まれています。しかし、これは、現行の所得控除の
延長線上へシフトすることであり、控除から手当へというマニフェストを真剣に実行していない姿勢を示すものです。
所得税は、所得により、低い方から、
税率五%、一〇%、二〇%、二三%、三三%、四〇%と累進
課税されます。しかし、扶養控除など所得控除の制度は、控除される金額は一定で、還付される額は控除額に
税率を掛けた金額、すなわち、高額所得者ほど還付金が多くなる仕組みです。
例えば、七十歳以上の両親と同居して扶養する場合、扶養控除額は百十六万円になります。この控除により還付されるお金は、いわば高齢親族同居手当とみなすことができるものでございます。しかし、実際に還付される金額は、所得の低い
税率五%の方には五万八千円、
課税所得二〇%なら二十三万二千円、
税率四〇%の高額所得者には四十六万四千円が還付されます。
つまり、同じく両親を扶養する二つの世帯が、給料の低い方が五万八千円で、所得の高い方は四十六万四千円の手当が支給されるという見方ができます。これは不公平ではないでしょうか。高齢者を扶養するのに高額所得者ほどお金がかかるという
考え方なのでしょうか。
私たち新党きづなの綱領の中では、全ての人々が幸せを実感できるように、
地域間格差、所得格差、
世代間格差をなくすということを明確に掲げていまして、この控除の不公平感に強い問題意識を持っています。また、
東日本大震災では多額の寄附により義援金が集まりましたけれども、寄附金も高額所得者ほど還付率が高くなります。これもやはり不公平ではないでしょうか。
新党きづなは、政治献金を含めた寄附行為などの場合においては税額控除とし、ほかの所得控除が実施されている場合においては、子ども手当の理念を貫き、直接給付とする制度へ転換を図るべきだと考えております。
税制上の逆進性を解消させ、
国民との約束どおり、控除から手当への理念どおり、給付制へ転換していく必要があると考えますが、
総理の見解をお
伺いいたします。
マニフェスト違反といえば、TPPです。
今回、
エコカー減税が三年
延長されました。この
エコカー減税について、三年前にクレームを言ってきた団体があります。それは、米国の
自動車ビッグスリーが加盟する業界団体です。彼らは、エコカーについて、輸入車を差別扱いしていて不公平だという抗議文書をUSTRに送っています。さらに、先日、この団体は、TPPに関するパブリックコメントで、
日本国内の生産者のみが利益を受ける軽
自動車規格に対する特別待遇は廃止するべきだとコメントしております。
こういった意見は、TPP交渉下で
日本に突きつけられる可能性があります。突きつけられた場合、
野田総理は、
エコカー減税や
我が国の
自動車の規格、技術基準などを守るつもりはおありでしょうか。仮に守ったとしても、ISD条項で提訴されるリスクもあるという
認識はおありでしょうか。
民主党が二〇〇九年の総選挙で掲げたマニフェストには「公平で、簡素な
税制をつくる」と書いてあります。しかし、今
改正では、それとは裏腹に、複雑でわかりにくく、
国民が
効果を体感できないものが多い。特に複雑でわかりにくい年金交付国債という禁じ手を使ってまで消費税を上げる姿勢に対し、私は、
政権の中枢にいる方に対し、どうか目を覚ましてください、原点に戻ってくださいと強く訴えたいと思っております。
こんなことでは、
税制のみならず、政治の
信頼も失ってしまうのも当然です。
政府に対しては、
国民の
信頼を取り戻すためにも、できること、約束したことを実行してくださいと、心から、心から強く要望し、私の
質問を終わらせていただきます。(
拍手)
〔
内閣総理大臣野田佳彦君
登壇〕