○
内閣総理大臣(野田佳彦君)
公明党の井上幹事長の御
質問に順次お答えをしてまいりたいと
思います。
まず最初に、
仮設住宅の寒さ
対策についてのお尋ねがございました。
本格的な冬の寒さを迎えている中で、応急
仮設住宅の寒さ
対策は重要であります。私自身、今月八日に
福島を、十日には岩手、
宮城を訪れ、
仮設住宅にお住まいの皆様からお話をお伺いしてまいりました。
昨年九月からの、窓の二重サッシ化、断熱材の追加、暖房器具の設置などは、おおむね年末までに完了したところでございますが、引き続き、
被災された
方々の
生活の
負担を少しでも軽減できるよう取り組んでまいります。
続いて、
被災者、
被災自治体への
支援についての御
質問をいただきました。
被災地の早期の
復興を図るため、
被災者や
被災自治体に
支援を行うことは、国の重要な
役割と
認識しており、これまでも
全力で取り組んできたところでございます。
御党におかれましては、これまでも、
被災者や
被災自治体と密接に接触され、地に足のついた御
提言をいただきました。
政府としては、それを踏まえて累次の
予算措置等を講じさせていただいてまいりましたが、今後ともよろしくお願い申し上げます。
二月十日に設置する
復興局は、従来の
現地対策本部の人員を大幅に上回る
体制を確保するとともに、合同
支援チームを編成、派遣することなどにより、
被災自治体の
復興事業の
実施等の
支援を行うこととしております。
さらに、岩手県、
宮城県、
福島県にはそれぞれ二カ所の支所を、青森県、茨城県には事務所を設置し、現地のニーズに即応できる
体制を整えます。こうした
体制により、
被災者や
被災自治体に対し、より一層きめ細かな
支援を行ってまいりたいと
考えております。
東日本大震災に係る
産業再生への
取り組みについての御
質問をいただきました。
被災地域の
産業の
復興は、
被災者の
方々の働く場の確保や
地域経済の再建のために喫緊の
課題であり、
政府としてもさまざまな
施策を講じてきております。
御指摘のあった漁業の
補助事業については、
被災地における漁業生産活動の一日も早い再開を図る観点から、極力
事務手続の簡便化を図り、七道県において、十二月末現在で約千九百隻の
復旧に活用されたところでございます。引き続き、漁業及び水産加工業など、
被災地の
産業の振興に
全力を尽くしてまいります。
続いて、
被災地の
雇用問題、
医療、
介護負担の
特例措置についてのお尋ねをいただきました。
被災者の
方々が
生活の再建を進める上で、最大の不安は、働く場の確保であると
認識しております。
このため、「
日本はひとつ」しごとプロジェクトに基づき、
産業政策や
復旧復興事業で生じる求人をハローワークで開拓、確保するとともに、個別の
状況に応じてきめ細かな就職
支援を
実施する、
被災地の強みである農林漁業、水産加工業などに対して
産業政策と一体となって安定的な長期
雇用を創出するなどの
施策を強力に推進し、
被災地の働く場の確保に
全力を尽くしてまいります。
また、
医療、
介護負担の
特例措置については、
福島原発事故による警戒区域等の
住民の一部
負担金の免除
措置を最長一年間延長するとともに、その他の
地域でも、無職や
高齢者の方が加入する
国民健康保険、後期
高齢者医療制度や
介護保険の一部
負担金の免除
措置を
一定期間継続する
方針でございます。
被災地の
新規需要や
雇用創出の
必要性についてのお尋ねがございました。
震災版ニューディール政策という御
提案もございましたが、中長期的な視点から、
被災地での戦略的な
投資を行い、新
産業及び
雇用の創出を図ることは重要な
課題と
認識しております。
具体的には、企業立地や研究開発に係る
予算措置、域内
投資に対する
思い切った税制上の
特例措置を講じる
復興特区制度等を活用することにより、
再生可能エネルギーや
医療などの新
産業の創出を図り、
被災地の
復興を加速してまいります。
また、
復興交付金や
復興特区制度は、
被災地方公共団体がこうした
取り組みを進める上で有効な仕組みであるため、
被災地域の創意工夫を生かした柔軟な
運用が行われるよう配慮してまいりたいと
考えております。
続いて、
原発事故対応、
事故収束についての御
質問をいただきました。
今般の大
震災に伴って、津波のために非常用電源が作動せず冷却機能が停止するという、我が国にとってこれまで経験したことのない重大な原子力
事故が発生してしまいました。
その後、大変厳しい
状況が続き、
放射性物質の外部への放出が生じた結果、
避難生活など、大変不便をおかけしております。改めて深くおわび申し上げるとともに、原子力
事故の被害に遭われた皆様を最後までしっかりと
支援していくことを、改めてお約束申し上げます。
また、
事故収束に関しては、循環注水冷却システムの中期的安全の確保などに関する専門家による緻密な
検証作業を経て、原子炉が
冷温停止状態に達したことを確認したことから、発電所の
事故そのものは収束に至ったと判断いたしました。
このように、発電所の中の
事故そのものについては
一つの区切りがつき、周辺
住民の皆様に再び避難をお願いせざるを得なくなることはなくなったという意味において、発電所の
事故そのものは収束に至った旨を申し上げましたが、このような区切りがついたことを踏まえ、警戒区域の解除や避難指示区域の
見直しを検討する段階に移ってきているところであり、できるだけ早期に避難者が帰郷できる環境を整えてまいります。
他方、言うまでもなく、周辺
地域の
除染を初め、
原発事故との戦いは決して終わっておりません。発電所の安全維持に万全を期しながら、廃炉に至る最後の最後まで
全力を挙げていきたいというふうに
思います。
続いて、自主的避難に関する原子力損害
賠償についてのお尋ねがございました。
原子力損害賠償紛争審査会においては、法律家などの有識者が集まり、さまざまな要素を勘案、
議論して、原子力
事故との相当因果関係が
住民に一律に認められる
対象区域を指針で定めたものでございます。
また、指針は迅速な
賠償のための目安を示すものであり、指針の
対象区域外でも、個別具体的な事情に応じて
事故との相当因果関係が認められれば
賠償の
対象となり得ることが指針にも明記をされております。
政府としては、原子力損害
賠償紛争解決センターによる和解の仲介などの枠組みを活用しながら、被害者の皆様に対して、迅速、公正、適正な
賠償が
実現するための
取り組みを
全力で進めてまいりたいと
思います。
続いて、十八歳以下の
医療費無償化についての御
質問をいただきました。
本件については、私が今月八日に
福島県をお訪ねした際にも佐藤
福島県知事などから改めて要請を受け、現在、
政府内で検討しているところでございます。
この問題については、大変重要な
課題であると受けとめさせていただく一方で、
課題の多い問題でもございます。このことから、関係者間で慎重に検討を進めているところでございます。
長期的な
健康調査及び被曝に起因する
健康被害についての
措置についての御
質問をいただきました。
将来にわたって
福島県の
住民の
方々の健康を守るため、
福島県が
実施する
県民健康管理調査を円滑に進めるための法的な
手当てなど、必要となる
措置について、県からの要望を踏まえながら検討してまいります。
続いて、
福島の
復旧復興のための
支援措置についてのお尋ねがございました。
原子力災害により深刻かつ多大な被害を受けた
福島の
復興再生には、
安心して暮らすことのできる
生活環境の
実現や
産業の
復興再生、新
産業の創出が必要でございます。
このため、今
国会に
福島復興再生特別措置法案を
提出することとしており、
福島の
復興再生を促進するための規制や手続の
特例、課税の
特例などの
支援措置を講じてまいりたいと
考えております。
続いて、
復興交付金、
復興基金や
原子力被害応急対策基金の積み増しなどについてのお尋ねがございました。
福島の
復興に向けては、
復興交付金のほか、
福島県
原子力災害等
復興基金など必要な
予算措置を講じてきたところであり、
平成二十四年度
予算にも必要な経費を盛り込んだところでございます。また、その
運用については、
被災地の
復興に効果的に活用できるよう努力をしてまいります。
福島県から要望のあった
原子力被害応急対策基金の創設については、現在、
政府部内において検討をさせていただいているところでございます。
除染についての御
質問をいただきました。
除染については、本年一月一日に全面施行となりました
放射性物質汚染対処特措法に基づき、国が
責任を持って、迅速かつ着実に、
除染を確実に進めることが重要であると
認識しております。
このため、国が直轄で
除染を
実施する
地域については、役場周辺等の
除染を先行的に
実施するとともに、昨日公表した
除染ロードマップに基づいて
市町村等との
協議を進め、年度末を目途として
除染の
実施計画を策定し、本格的な
除染を
実施してまいります。
市町村を中心に
除染を
実施いただく
地域についても、迅速に進められるよう、国として必要な
財政的な
措置や技術的
措置に万全を期すとともに、一月には
福島県に
福島環境
再生事務所を開設、四月には本省等も含め四百人規模の
体制を確立し、
市町村の仮置き場の設置等の活動を強力に
支援してまいります。
また、
中間貯蔵施設については、
平成二十四年度内に立地場所を決定し、
平成二十七年度より供用を開始することが重要でありますので、御指摘のような
対策も検討を進めさせていただきたいと
思います。
福島県産米の
信頼回復についての御
質問をいただきました。
安全な米を安定的に供給し、消費者の
信頼回復につなげていくためには、
放射性セシウムの効果的かつ効率的な
検査体制を整備することが重要であります。
こうした中で、
福島県においては、一部の
地域の米から暫定規制値を超える
放射性セシウムが検出されたことを受け、二十四年産米については出荷される全ての袋の検査を
実施することを検討していると承知しております。
政府としては、二十三年産米についても、検査の
実施につき、測定機器の購入に対する助成、試料採取等に従事する職員の派遣等の
支援を行ってきているところであり、二十四年産米についてもできる限りの
支援を講じてまいりたいと
考えています。
学校給食の安全、
安心の確保についての御
質問をいただきました。
御指摘の
学校給食モニタリング事業は、
福島県等の御要望を踏まえ、二十四年度
予算案に計上したものであり、第三次
補正予算で
措置した給食用食材の検査機器の導入と相まって、学校給食のより一層の安全、
安心の確保に資するものと
考えております。
政府としては、これらの
施策を着実に進め、学校給食の安全、
安心の確保のための
取り組みの充実に努めてまいりたいと
思います。
食品の
検査機器整備について御
質問をいただきました。
御
質問の
放射能測定機器の整備事業に関しては、
補助対象を、
食品衛生法に基づき
食品の検査を
実施している
都道府県、保健所設置市及び特別区としたものでございます。このほか、
住民の不安払拭のため、全ての
都道府県、
市町村を
対象に検査機器を貸与し、より消費者に身近なところで
食品の
放射性物質を検査する
体制を整備しています。また、
放射能測定機器の整備事業については、
ベルトコンベヤー式測定機器などの簡易測定機器も
対象にすることとしています。
今後とも、
食品の安全と信頼を確保するため、
政府と地方
自治体がしっかりと連携して、適切に取り組んでまいります。
マニフェストについての御
質問をいただきました。
八
ツ場ダムについては、
政権交代以降、四代にわたる国土交通
大臣のもとで、予断を持たずに検証を行ってまいりました。国土交通
大臣が、その結果に沿って、事業継続との判断を行ったものです。
また、
予算執行に当たっては、利根川水系の河川整備計画、ダム事業中止に伴う
生活再建
支援法に関する官房長官裁定を踏まえることとしております。
マニフェストと異なる結論に至ったことは、真摯に反省いたし、おわびをしたいと
考えます。
今後とも、
マニフェストはできる限り
実現する努力を行うとともに、できない場合は、
国民の皆様に対して
説明を尽くし、御
理解いただけるよう努めてまいります。
平成二十四年度
予算における
年金交付国債による
対応に対する御
質問をいただきました。
年金交付国債による
対応は、二十四年度基礎
年金給付費の二分の一と三六・五%の差額を国庫の
負担としつつ、
年金財政への国庫金の繰り入れは
消費税引き上げ後に
消費税収を充てて行うことを明確にするために行うものであり、粉飾的な
手法とは
考えておりません。
償還財源の担保がないとの御指摘については、
基礎年金国庫負担二分の一の
財源を
消費税を含む税制
抜本改革に求めることは、自公
政権から引き継いだ
年金法本来の
考え方にかなうものであり、
年金財政の安定確保のためにも、御党の御協力をお願いしたいと
考えております。
なお、来年度の基礎
年金給付費を賄うため、
年金積立金の一部資産を現金化することとなりますが、かわりに
年金交付国債を積立金に組み入れることにより、
年金積立金は目減りせず、
年金財政の安定に支障は生じないものと
考えております。
続いて、
子どものための
手当についての御
質問をいただきました。
二十四年度以降の子供のための現金給付については、昨年八月に三党で合意して以降、与野党間での
議論が進展しなかったと承知をしております。
このため、
予算編成や
法案の
提出までの時間が限られる中で、三党合意にある文言に即して、
子どものための
手当という
名称とする
児童手当法改正法案を本日閣議決定いたしました。今後、与野党で速やかに
協議を開始し、
法案の成立に御協力をお願いいたします。
続いて、
戸別所得補償制度の
見直しについての御
質問がございました。
戸別所得補償制度に関する三党実務者による
協議については、
協議結果を二十四年度
予算に反映させることが時期的に難しくなったことから、昨年八月九日の三党合意に基づく
協議としては、一旦打ち切ることとなったものと承知をしています。本
制度については、地方
自治体や
農業者の
方々からも早期の
法制化を求められているところであり、できるだけ早く
法制化する必要があると
考えております。
このため、今
通常国会においては、検討中の
法案として戸別所得補償
法案を位置づけているところであり、御党からの御
提案も参考にして検討を進め、準備が整った段階で
国会に
提出したいと
考えております。
法案の円滑な成立のためにも、二十五年度以降の本
制度の
あり方について、できるだけ早期に三党
協議が再開され、検証も踏まえた合意に達していただくことを強く期待しております。
日本経済の厳しい
現実への
対応、
経済の司令塔についての御
質問をいただきました。
民主党政権は、
政権発足以降、いわゆる失われた二十年がもたらした閉塞感を打破するため、新
成長戦略を策定し速やかに
実行に移すとともに、厳しい
経済状況のもと、
円高や
デフレに
対応した
経済対策や
補正予算の編成等を機動的に行い、
金融政策を行う
日本銀行と連携した
経済財政運営に努めてまいりました。
さらに、
日本再生のための数多くのプロジェクトを盛り込んだ
平成二十四年度
予算は、
経済再生の次なる一歩であり、
日本再生重点化措置を活用し、
日本経済の成長と
雇用の確保につながる
施策を重点的に
措置しております。
また、
国家戦略会議は、これまで、国家の内外にわたる重要な
政策を統括する司令塔として、
日本再生の
基本戦略のほか、
予算編成の基本
方針など、
成長戦略や来年度
予算に係る
重要課題について精力的に取り組んでまいりました。
今後とも、力強い
経済成長と
雇用創出を
実現するため、
国家戦略会議において、新
成長戦略の
実行を加速するとともに、
日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に
実行してまいります。
デフレ脱却の
展望と
財政健全化目標の達成についての御
質問をいただきました。
来年度は、
国内需要に主導された着実な成長が見込まれることから、消費者物価がプラスに転じ、GDP
デフレーターは前年比でマイナス幅が縮小する見込みであります。
政府としては、
デフレ脱却に向け、
日本銀行と一体となって、速やかに安定的な物価上昇を
実現することを目指して取り組んでまいります。
また、
経済財政の中長期試算によれば、慎重な
経済前提のもとで、
社会保障・税
一体改革の
実施により、二〇一五年度中に、
財政構造としては基礎的
財政収支赤字の対
GDP比半減目標の水準が達成される姿となることが見込まれますが、引き続き、二〇一五年度における
財政健全化目標の達成に向けて、成長力の強化を初め、あらゆる
政策努力に
全力を挙げる
方針でございます。
次に、
災害に強い
国づくりへの
取り組みについての御
質問をいただきました。
東日本大震災、そして、その後も相次いだ台風などの教訓をしっかりと生かし、今までの想定を大きく上回る規模の
災害についても
防災対策の充実を図ることが喫緊の
課題でございます。
政府においては、昨年十月に中央防災
会議の専門調査会として
防災対策推進検討
会議を設置し、
全国の
自治体の実情も踏まえながら、法
制度や
政府の
体制を含め幅広く検討を進めており、本年春には
中間報告を行う予定でございます。この検討
会議を中心に、
全国の
自治体とも緊密に連携しながら、
災害に強い
国づくりを推進してまいります。
また、二十四年度
予算においては、御党の御
提案もあり、公共施設の耐震化、津波
対策等の推進、激甚な水害、土砂
災害が生じた
地域等における
災害対策、高速道路のミッシングリンクの解消など、
国民生活の安全、
安心の確保のための
公共投資に関する経費を計上したところでございます。
東日本大震災などを契機として、
国民の安全、
安心を守ることが
社会資本整備の最も重要な使命であると再
認識されたところであり、今後とも、真に必要な
社会資本の整備を戦略的に
実施してまいります。
中小企業の資金繰り及び
中小企業円滑化法の
期限延長についての御
質問をいただきました。
我が国
経済を支える
中小企業を育成強化していくためには、資金繰り
支援を初めとした総合的な
中小企業支援策を講じていくことが重要であります。
特に資金繰り
支援については、これまでの累次の
補正予算に加え、第四次
補正予算においても
予算額七千四百十三億円を計上し、事業規模十六兆円
程度の追加的な資金
需要に
対応することとしております。
さらに、
平成二十四年度
予算案では、
復興枠で、
予算額八百八十二億円、事業規模〇・七五兆円を計上しており、今後とも資金繰り
支援に万全を期してまいります。
また、
中小企業金融円滑化法の期限を一年間再延長するための
改正法案を
提出することとしており、その間に、
中小企業に対する事業
再生等の
支援措置を集中的に講じることを
考えております。同
法案の早期の審議、成立をお願いいたします。
続いて、
年金抜本改革についての御
質問をいただきました。
一体改革素案では、新しい
年金制度について、所得比例
年金と
最低保障年金の組み合わせから成る
一つの公的
年金制度の創設という基本的な
考え方を示し、
国民的合意に向けた
議論や環境整備を進めた上で、
平成二十五年に
法案を
提出することにしております。
一方で、新しい
年金制度は、その創設までに
一定の時間を要することと、創設を行っても当分の間は新
制度と旧
制度の両方から
年金が支給されることから、二〇一五年までの間においても、新しい
年金制度の方向性に沿って
現行制度の
改善を図ることとし、本
通常国会への必要な
法案の
提出に向けて検討を進めます。
新
年金制度の具体的な給付や
負担の姿は、
平成二十五年の
法案提出に向けて、まずは
民主党内で検討していくことになりますが、その検討内容については、どのように
議論を深め整理するか、党が判断した上で取り扱うことになると承知しております。
なお、相当長期の移行期間を要する新
年金制度については、二〇一五年の段階において、
現行制度による場合と比較して、
消費税率の
引き上げ幅に影響を及ぼすほどの大きな追加
財源が必要になるものではないと
認識しております。
このように、
素案の中では、これまで
民主党が掲げてきた
抜本改革も含め、
年金制度改革の検討について、時間軸を示した上で、
社会保障、税の
一体改革の姿を描いております。ぜひ全体像を御
理解いただいた上で
協議に応じていただきますようにお願いを申し上げます。
一体改革素案に関し、
高齢者医療制度の
見直しについて御
質問をいただきました。
高齢者医療制度の
見直しについては、厚生労働
大臣主宰の
高齢者医療制度改革会議で検討が進められ、一昨年の十二月に最終的な取りまとめが行われております。
この取りまとめに対しては、地方
自治体を初めとする関係者からさまざまな意見が出されていますが、
一体改革素案にあるとおり、関係者の
理解を得た上で今
国会に
法案を
提出することとしており、関係者の
理解を得られるよう、さらなる検討、調整を行ってまいります。
続いて、高額療養費の
見直しの御
質問をいただきました。
長期に高額な
医療費がかかる
患者の
負担を軽減するため、高額療養費の
見直しは重要な
課題であります。
このため、
平成二十四年度からの外来の現物給付化に引き続き、所要の
財源を確保した上で、年間での
負担上限等の導入を目指します。その際、年収三百万円以下
程度の、所得が低い方に特に配慮いたします。その上で、抜本的な
見直しに向けて、高額療養費を保険者が共同で支え合う仕組みや、給付の重点化を通じた
取り組みをさらに検討いたします。
被用者年金一元化について御
質問をいただきました。
平成十九年に自公
政権が
提出した
被用者年金一元化法案については、
民主党所属の議員から個別の
問題点を指摘したことはありますが、同
法案は、衆議院の解散に伴い審議未了で廃案となったものであり、
民主党として廃案に追い込んだということではございません。
今回の
被用者年金一元化については、職種を問わず全ての人が同じ
制度に加入するという
民主党の新しい
年金制度の方向性に沿って、まずは、被用者
年金制度全体の公平性、
安定性の確保の観点から、
一体改革素案に盛り込まれたものでございます。今
国会での
法案提出に向けて検討を進めてまいりたいと思っております。
次に、
年金額の
特例水準を
デフレ脱却により解消すべきとの御意見とその御
質問についてお答えをいたします。
政府としては、
デフレ脱却に断固として
取り組み、
日本銀行と一体となって速やかに安定的な物価上昇を
実現することを目指していく
方針であることは、言うまでもありません。しかしながら、
年金等の物価が上昇しない
状況が続き、
特例水準が解消されていない結果、本来の
給付水準に比べて毎年約一兆円の給付増となっております。
このため、
年金財政の安定と世代間の公平を図る観点から、早急に
特例水準の計画的な解消に取り組むこととしております。同様に、
児童扶養手当等についても
特例水準の解消を図ることとしています。
その際、
年金額等を一度に
引き下げたのでは、
高齢者や一人親家庭の
方々の
生活への影響が大きいことから、三年間で徐々に解消することとしております。
特例水準の解消は、
年金財政の安定的運営、世代間公平の
実現の観点から、避けて通れない
課題であり、何とぞ御
理解を賜りたいと思っております。
次に、
介護職員の
処遇改善についてのお尋ねがございました。
サービス提供
体制の
機能強化を推進する観点から、
処遇改善を通じたマンパワーの増強は非常に重要であり、
平成二十四年度の
介護報酬改定では、大変厳しい
財政状況の中、一・二%のプラス改定を行うことにより、
現行の
処遇改善交付金により講じてきた
処遇改善と同様の
取り組みを
介護報酬の中で行うこととしております。
今後とも、
介護職員の
処遇改善に取り組んでまいります。
麻生元
総理の
演説の引用についての御
質問をいただきました。
私が
施政方針演説で
麻生元
総理や福田元
総理の発言を引用させていただきましたのは、これは逆手にとろうなどという発想からではございません。
社会保障・税
一体改革は、野田
内閣のみならず、自公
政権時代の
内閣においても、避けては通れない重要な問題と
認識されてきました。私は、歴代の
総理の
思いを引き継ぎ、共感を込めて引用させていただいたものでございます。
公明党は、一貫して
福祉の党として
政治を担ってこられたと
考えます。今、待ったなしのときにおいて、ぜひ、各党各会派の皆様をリードし、
改革に向けての
協議に臨んでいただきますよう重ねてお願いを申し上げます。
続いて、
がん対策の推進についての御
質問をいただきました。
がん対策推進基本計画については、現在、
がん対策推進
協議会の御意見を聞きながら、本年六月を目途に
見直しの作業を進めております。
御指摘の次期計画の
重要課題については、
認識を同じくするところも多く、引き続き、放射線療法や
化学療法など、
がん医療のさらなる充実、
緩和ケアや
がん登録の推進、
検診受診率の向上を盛り込むとともに、働く世代や小児への
がん対策の充実を新しく追加することを検討しています。
がんは我が国の死亡原因の第一位であり、今後も、
がん対策基本法の基本理念に基づき、
がん患者を含めた
国民の視点に立って、地方
自治体や
医療関係者等と連携し、
がん対策の推進に
全力で取り組んでまいります。
次に、我が国のFTA戦略の全体像についてのお尋ねがございました。
一昨年十一月に閣議決定した包括的
経済連携に関する基本
方針に基づき、より幅広い国々と高いレベルの
経済連携を戦略的かつ多角的に進めていくことが基本であります。
御指摘のあった日中韓FTA、ASEANプラス3、ASEANプラス6、そしてTPPは、いずれもアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPの
実現に寄与する
地域的な
取り組みであると
認識をしています。
TPP交渉参加に向けて関係国との
協議を進めるとともに、日中韓やASEANを中心とした広域
経済連携の
取り組みも積極的に推進し、アジア太平洋
地域における二十一世紀型の貿易・
投資ルールの形成に向け、主導的
役割を果たしていく
考えでございます。
次に、脱
原発依存についての御
質問をいただきました。
これまで原子力発電に電力供給の過半を依存するとしてきた
現行のエネルギー
基本計画をゼロベースで
見直し、中長期的には、原子力発電への依存度を最大限
引き下げていくという方向を目指すべきと
考えております。
今後のエネルギー
政策については、
国民が
安心できる中長期的エネルギー構成の
あり方について、幅広く
国民各層の御意見をお伺いしながら、ことしの夏を目途に結論が得られるように、エネルギー・環境
会議を中心に検討してまいります。
原子力安全規制組織の独立性についての御
質問をいただきました。
井上議員御指摘のとおり、原子力の安全規制は、原子力を利用推進する組織はもとより、ほかのいかなる圧力によっても影響を受けることがあってはなりません。
このため、新しい原子力安全規制組織が独立して客観的、科学的な規制を行えるよう、その長の権限を明確化するなどの仕組みを整えるとともに、第三者機関である原子力安全調査委員会が規制組織による規制の内容をチェックすることにより、その独立性を担保していきたいと
考えております。
再生可能エネルギーの利用拡大及び天然ガスの確保と利用の強化の方策についてのお尋ねがございました。
再生可能エネルギー特別
措置法に基づき、本年七月からスタートする
再生可能エネルギーの固定価格買い取り
制度に加え、第三次
補正予算において
再生可能エネルギーの設備導入に対する補助や、
平成二十四年度
予算において研究開発
支援の大幅な拡充を行っています。さらに、保安規制や立地規制の
見直しといった規制・
制度改革にも取り組むなど、
政策を総動員して
再生可能エネルギーの導入拡大を推進してまいります。
天然ガスの確保と利用については、まず、資源権益の獲得を
平成二十四年度
予算の重点事業の
一つと位置づけ、天然ガスの確保を積極的に進めていく
考えであります。また、天然ガスコンバインドサイクル発電についても導入
支援を行っているところでございます。
石炭
政策についてのお尋ねがございました。
石炭は、現在、我が国の一次エネルギーのうち二一%を占め、重要な
役割を担っています。
国内炭は、コスト面での競争力がないため、我が国における石炭消費量の〇・六%を占め、残りの九九・四%が海外炭となっています。こうした
現実に即し、石炭の安定供給確保に万全を期してまいります。
また、我が国は世界一の高効率な石炭火力発電技術を有しており、石炭ガス化複合発電などの新たな技術開発を進めるとともに、途上国を含めた
海外展開もあわせて進めてまいります。
今後とも、エネルギー源としての石炭の安定供給確保、石炭火力発電の高効率化に向けた技術開発及びインフラ・システム輸出を通じた国際貢献を進めていきたいと
考えております。
京都議定書第二約束期間への参加に関するお尋ねがございました。
京都議定書第二約束期間の設定は、我が国の目指す、全ての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築に資さないため、我が国がこれに加わらないとの立場に変わりはございません。
引き続き、我が国として排出削減に向けた
取り組みを進めるとともに、世界全体での低炭素成長の
実現に貢献しつつ、将来の枠組みの構築に向けた交渉に積極的に参画をしてまいります。
国会議員歳費の削減についての御
質問がございました。
行政の無駄を徹底排除することは、当然の
前提として、議員がみずから身を切る覚悟なくしては、大きな
改革、
国民負担を語ることはできないと
考えます。各党がそれぞれの
考え方、
提案を持ち寄って、ぜひ、
与野党協議で具体的に詰めていき、成案を得られるよう与野党がお互いに努力することを
提案し、私も努力することをお約束いたします。
続いて、国家公務員給与の削減についてのお尋ねがございました。
給与臨時
特例法案は、我が国の厳しい
財政状況と
東日本大震災という未曽有の国難に対処するため、平均約八%という厳しい給与減額支給
措置を二〇一四年三月末まで講じようとするものでございます。
この
法案については、昨年来、与野党間の
協議が行われてきたところであり、さきの
国会では合意に至ることができませんでしたが、今
国会では、ぜひとも、早期に成案を得て、成立させていただきたいと
考えております。
なお、昨年十二月期の期末・勤勉
手当が前年比で増加したのは、期末・勤勉
手当の年間支給月数は変更せずに、六月期の配分を減らし十二月期の配分を増加させたこと、平均年齢が上昇していることが主な要因でございます。
続いて、一票の格差の是正と議員定数削減についての御
質問がございました。
違憲状態とされている一票の格差を是正するための
措置に加えて、衆議院議員の定数を削減する案を
民主党として決めたと承知しております。
しかし、各党にそれぞれ御意見があり、各党
協議会において、各党から
提案されている、一票の格差是正、定数削減、
制度の
抜本改革の三つの
課題について、同時決着を目指して
協議を行うこととされていると承知しています。
各党
協議会において、与野党が胸襟を開いて
議論し、早急に結論を得ることを強く期待しております。
最後に、郵政
改革についての御
質問をいただきました。
現在、
国会で継続審議中となっている郵政
改革関連法案は、郵政民営化によって生じた諸問題を克服し、郵政事業サービスが、
地域の利用者の立場に立って郵便局で一体的に提供され、将来にわたり、あまねく公平に利用できることを確保するためのものでございます。
郵政
改革については、現在、
法案の取り扱いも含め、全般的に与野党で精力的に
協議を進めていただいているものと承知しており、一日も早く
協議がまとまることを期待しております。
内閣を挙げて、郵政
改革の今
国会での
実現に
全力を尽くしていく
決意でございます。(拍手)
—————————————