○池坊
委員 一つの出版物ができるまでには長い年月を要します。それは、
著作者だけじゃなくて、出版社も校正を重ねたり、編集者との打ち合わせとか、さまざまな作業が必要なんですよね。それを経て一冊の本ができ上がっていく。
それが安く読めたら、消費者にとっては大変うれしいことではあります。ありますが、では、もとの
権利がちゃんと保存されなければ、例えば、卵は私たちは安い方がいいですよね。安く手に入れたい。だけれども、卵を産む鶏が死んじゃったら、これは卵は産まれないんですよ。それを思いますと、やはりきっちりとした
権利が守られてこそ、いい卵を産むその鶏の部分が滅亡しちゃったならば卵すら手に入らない、だから消費者がいい卵を手に入れるためにはまずいい鶏を飼わなければいけない、これの
保護が必要じゃないかというふうに私は思っておりますことを申し上げておきたいと思います。
それから一点、
TPPにおける
著作権についてお伺いしたいんですけれども、
政府が
交渉参加をしている
TPPと
著作権法の
関係についてちょっとお伺いしたいんですね。
TPPというのは二十一
分野が
交渉の
対象となっております。私どもが目にするのは農産物に関する貿易自由化といった観点、私はこれが余りにも
議論になり過ぎているのではないかと思います。
著作権を含む
知的財産権も二十一
分野の中に、よく見ましたら出ているんですね。
これは、
著作権については
著作権の
保護期間の延長、アクセスコントロールの回避規制などが
議論のテーマになったというふうに報道では見ております。場合によっては、
我が国の
著作権制度の変更を伴うことも私は考えられるのではないかと思います。この報道が正しいものであり、こういった制度の変更がなされるのであれば、
我が国の
著作権制度ひいては文化政策自体にとっても大きな
影響を生じるのではないかと思います。
一方、その具体的な内容についてははっきりしたことが示されておりませんので、私たちも
議論したくてもできない
状況下におります。
私は、
TPP交渉の中で経済的な視点のみを重視するのではなくて、文化的な視点がないがしろにされないか、心配しているんですね。経済的な農産物のことなどにみんなが目が行って、そこで大きな流れになっていく中にあって、ふと見たら文化的な視点がそのまま
TPPの中に織り込まれている。
著作権は、経済的な視点もさることながら、
我が国の文化の
保護、
発展といった視点から考えていくべきであると考えております。
そのために、
我が国の文化の価値や重要性について理解している我々
日本国民が、
国内における
議論を十分行う必要がある。特に、その
関係に携わっていらっしゃる方々の御意見なども聞く必要があるというふうに考えております。
文部科学省においては、
国内の
議論が十分に行われるよう、関連情報を適切に公表していただきたいと私は希望しております。
TPPにおける
著作権制度にかかわる部分について、
文部科学省として把握されている内容と、
TPPに対する
対応方針についてお伺いできたらと思います。
あわせて、より広い視野で見たときに、
TPPへの参加が
我が国の文化芸術に与える
影響について、
文部科学省としてはどのように考えていらっしゃるのかも、ちょっとお伺いしたいと存じます。