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江田(憲)
委員 みんなの党の
江田憲司でございます。
あすの日程がどうやら決まったようでございまして、この
特別委員会で二時間ちょっとの
審議の上採決、あしたの十三時、本
会議で採決ということだそうです。
まず冒頭に、断固として我が党として抗議をいたします。
社会保障の関連五
法案については、御案内のように、こども園の撤回であるとか、
高額所得者の扱い、
年金ですね、低額
所得者への扱い、そういったものについて根幹的な
修正が行われている。プラス、自民党さんが出されている新法まである。これまで百時間を超える
審議をしてきた対象の
中身が随分変更されるわけですから、それを十時間少々で採決してしまうというのは、これは、はっきり言うと議会制民主主義の崩壊だというふうに思います。
きょう午前中に、二十一日に採決すべきだ、いやいや、二十六日に延びたのがけしからぬなんという
議論、こんなものは、
民主党、自民党、公明党の内輪の争いでありまして、何も
国民は、二十一日に採決してくれなんて誰もお願いしていません。
国民がお願いをしているとすれば、こういった重要な
法案についてその根幹部分に
修正が加えられた以上、こういった
国民の見える場で、
国会審議の場でしっかり
審議をしてくれというのが
国民の要望だと思いますから、我が党もこれまでそうやって訴えてまいりましたので、念のためにまた訴えておきます。
とにかく、こういった民主、自民、公明の大政党が徒党を組むと、原子力規制
委員会の件もそうでした、郵政の改悪
法案もそうでした、とにかく三党が
修正合意すれば、
国会審議をそこそこに採決をしてしまう。結果として、密室の
合意が
国民に知られないままに
法律だけが成立するということになりかねませんので、こうしたことが今後ないように強く申し上げておきたいと思います。
さて、今回の三党の
修正合意は、
国民が一番待ち望んでおります持続可能な本当の
意味での安心の
社会保障制度の確立というものは先送りにして、とにかく、なりふり構わず増税一直線に突き進む。
国民にとってみれば、将来不安も
解消されない。増税で、そうでなくても悪い景気にさらに悪影響を及ぼす。そういう
意味では最悪の選択肢だと思います。
恐らく
皆様の立場にすれば、
社会保障の関連五
法案があるから
社会保障と税の
一体改革だと強弁をされるんでしょうが、
国民の誰一人として、この
法案が通れば
医療や
年金が将来にわたって安心だと思っておられる方はいらっしゃらないと思いますよ。
ですから、我々は、これは
社会保障と税の
一体改革ではそもそもありませんというふうに申し上げてきたわけでございます。
さて、きょうは、そうはいってももう最終局面になりまして、テレビも入っておりますから、我が党の立場を、もう一回、おさらいの
意味でしっかりお訴えをしたいと思います。
その後に、ぜひ
野田総理、御自身のお言葉で、何か感想や反論があれば言ってください。もう大体私は聞き飽きましたので、
財務省のペーパーを読み上げるのではなくて、
野田総理も
国民の
理解を求めるとおっしゃっているんですから、わかりやすい言葉で、御自身のお言葉でお答えをいただきたいんですね。
ちょっとパネルを出していただきたいんですが、これは
皆さんもう見飽きたと言われるかもしれません。先ほども
阿部委員が別の形で出されておられましたが、要は、これが歴史の真実ですと。デフレで景気が悪いときに増税をしても、国税の収入は下がります。
皆さんがもくろんでおられる、
消費税を五%増税したら十三・五兆円も増収がある、そんなことが本当に実現できれば世話はありませんよと。私の言葉で言えば、とらぬタヌキの皮算用だ、絵に描いた餅だと申し上げているわけですね。
ここにはっきり出ているように、
消費税を三から五に上げた年は五十三・九兆円の税収がありました。今や、もう四十二兆円。十兆円以上減収をしているわけですね。
さっき
議論に出ていましたが、二〇〇七年に確かに五十一兆円まで税収は上がっているんですよ。これは、教訓としてとるとすれば、この二〇〇四年から二〇〇七年の間に名目で一%平均の
経済成長があったから税収は伸びている。まさに我々みんなの党が言っているように、
経済成長なくして
財政再建なし、これをまさに証明しているというところで捉えるべきだというふうに思います。
次のパネルももう見飽きたとおっしゃる方が多いと思うんですが、これは
財務省のホームページ、今でも載っております。
野田総理はよく、今、国の借金は一千兆円で、GDPの二倍で、大変だ大変だ、累積債務はどんどんふえているんだから、もう増税待ったなしだというふうにおっしゃるんですけれども、これは前にも私申し上げましたとおり、債務のGDP比率が何%になったから発散して
財政が破綻するという理論は、それは
財政学でも
経済学でもありません。だからこそ、この借金の
中身、質をよく見なきゃいけませんよと私は申し上げてきたわけです。
例えば、過去の例でいうと、二〇〇〇年前後にロシアやアルゼンチンやエクアドルが破綻しましたけれども、そのときの債務のGDP比率は、例えばアルゼンチンは六三・一%、エクアドルは一〇一・二%、ロシアは七五・四%でした。
我が国は二〇〇%ですけれども、例えば戦後すぐのアメリカでは一二一・九%、イギリスでは二七五・四%もありました。しかし、アメリカやイギリスは破綻をしていない。
一方で、
日本より債務比率が非常に低かったアルゼンチン、エクアドル、ロシア、最近ではギリシャが破綻をしているということですから、私が申し上げたいことは、単なるGDP比率だけで一概には言えません、その債務、借金の
中身を見ましょうと言っているわけで、それが、例えばこのホームページの一端を見るとうかがえるんですね。
ここで
財務省は、これは三行目です、
日本の国債はほとんど国内、九五%で、極めて低金利で安定的に消化をされていると。確かに
日本は借金が多いんですけれども、それはほとんど
国民が買っている、外国人は五%である。
ですから、確かに
政府から見れば一千兆円は借金だけれども、
国民から見れば逆に資産が立っている、これがバランスシートの
考え方で、当たり前の話だということも申し上げましたね。これはまさに、私だけが言っているわけじゃなくて、
財務省がまさに言っている。
ちなみに、エクアドルやアルゼンチンがなぜ破綻をしたかと見ますと、やはり外国人の買っている比率が非常に多かった、もう半分以上だ。要するに、いざちょっと悪くなると外国人が売り抜けちゃって、やはり国債が暴落して、金利が急上昇して、
財政破綻する、こういうパターンで、ギリシャも、七割以上のギリシャ国債は外国人が買っている。ここで基本的に質的な差がある、借金の
中身に質的な差があるということは、まさに
財務省が
指摘していることであります。
それから、もう
一つ補強すれば、そういった一千兆円になんなんとする借金をしっかり支えられるだけの
経済や
財政のファンダメンタルズがあるかどうかというものを見るために、まさに
財務省が出している数値がここなんですね、二行目を見てください。
日本は世界最大の貯蓄超過国であります、だからこそ低金利で国債は売れているんですと
財務省は言っています。それを今の数字で直すと、千四百八十八兆円の個人金融資産があります。
それから、最後の行を見てください。
日本は世界最大の経常黒字国。今、二〇一〇年時点で十七兆円。昨年は震災の影響とか燃料費調達の増大で下がっておりますけれども、今後も十兆円以上の規模で続くと思います。債権国、これは、
日本の海外純資産の額は世界一でありまして、二〇一〇年の段階で二百五十二兆円。そして外貨準備は中国に次いで二番目、百兆円もあるということで、これがまさに
財務省のホームページに載っていることでございます。
そう言うと、
皆さんが必ず言うことは、これは十年前の話でありますということなんですね。十年前と今、日にちの経過で、それは確かに、通用しない理論もあれば通用する理論もある。
しかし、まず申し上げたいことは、今、これは現時点の数字を入れましたけれども、例えば経常黒字については、十年前は十四兆円だったのが十七兆円。それから、債権国、二百五十二兆円の数字は、十年前は百七十五兆円ぐらいだったのが二百五十二兆円にふえております。外貨準備は、五十兆円以下でしたが、今、百兆円を超えておりますね。個人の金融資産、貯蓄超過も、当時は千四百兆少々だったのが千四百八十八兆となっているということで、データは、よくなりこそすれ、一切悪くなっておりません。
しかも、これは
財政理論ですから、これは時の経過によって変わらないんですけれども、一番冒頭に書いておりますように、これは
財務省自身が言っているんですけれども、
日本やアメリカなどの先進国、自国通貨建て国債のデフォルト、債務不履行は考えられないと。これは十年の日にちの経過で変わるような理論ではありませんから、これはまさに、
財務省は十年前、外国格付会社に対して、
日本の国債の格付が下げられたときに、正しいことを主張したということだと私は思います。
それからもう
一つ、
皆様がよくおっしゃっているのが、国の一般歳出は九十兆円を超えているのに、税収は四十兆そこそこしかありませんと。そして二つ目に、新規国債発行高は四十四兆円にも上って、借金の元利払いは二十兆円を超えております、とてもこれはもつわけないでしょう、これをおっしゃる。
これに対しては、この前もちょっと舌足らずだったので申し上げますと、もうこれで終わりますから、
野田総理、もうちょっと我慢してくださいね。
まず
一つ。要は、一般歳出は確かに、今回、交付国債で例の
年金部分を、今度はちゃんと粉飾じゃなくて計上されるとなると、一般歳出はことし九十三兆円ですね。つい五年前の二〇〇七年、自民党政権時代の一般歳出の額が八十二兆円です。何と、十一兆円、この五年間で伸びている。
それから二つ目。確かに新規国債は四十四兆円ですね。しかし、
皆さん、小泉政権時代を覚えておられると思いますが、小泉
総理が訴えておられたのは、新規国債発行枠三十兆円枠を守るんだとずっとおっしゃっていたとおり、小泉政権時代は三十兆円だったのが、もう四十四兆円にふえているわけですね。
そして、税収。税収は確かに四十二兆円ですよ。しかし、これは二十年前は六十兆円あった。
さらに、元利払い。確かにこれは、元本と利息払いで二十兆円超の借金費を一般会計に計上しているんですけれども、これは私が何度もこの場で取り上げてきた、減債
制度というか、国債
整理基金に機械的に繰り入れている。
我々みんなの党も、利払いをやるなというんじゃないんですね。利払いをやめちゃうとまた雪だるま式に借金がふえますから、利払いの十兆円はしっかりと措置すべきだ。しかし、将来償還をすると称して元本に繰り入れている十兆円超のお金は、この際、国難なんですから。過去十一回使ってきたんですから。
それから、そもそも、十兆円以上振り込んでいるという国債の六十年償還ルール、六十年で償還するから、一〇〇%割る六十で一・六%ずつ単純に機械的に繰り入れているというこのルールがもう破綻をしているんですから、この期に及んで、律儀に、一円でもお金が要るようなときに、わざわざ、毎年毎年十兆円超のお金を繰り入れて引き当てる必要はないでしょう。
現に、十兆円超のお金がここに余っているんですから、国債
整理基金の中に余っているんですから、この際、このお金は、震災の復旧復興でも
財政再建でも、いろいろな
意味で、
経済成長戦略にも使っていきましょうというのが我々の立場ですから、この立場を踏襲すると、今年度
予算の新規国債発行額は、その繰入額分だけ、十兆円超だけ減って、四十四兆円が三十四兆円か三十三兆円になる。それから、それだけ分、累積債務も減る。
ですから、
皆さん、
財政再建とおっしゃるのなら、わざわざ借金までして、利子まで払って積み立てるよりも、とにかく十兆円以上のお金が基金に今まで繰り入れて余っているんですから、それを元本分に充てればことしはその十兆円以上が余るから、そのお金を復旧復興や
経済成長対策のために使っていきましょうというのが我々の
考え方なんですね。
ですから、まとめて言えば、増税の前にやるべきことがあるだろう。これは、みんなの党が、結党以来一貫して訴えてきたところでございます。
最近、御党のあるグループが、一言一句違わない、増税の前にやるべきことがあるというのぼり旗まで立ててやっているのは、非常に私にとっては不愉快なことですね。もう著作権侵害で訴えたいぐらいですよ。見ていただければね。
民主党の
マニフェスト、今回読ませていただきましたけれども、増税の前にやるべきことがあるという文言なんて一言もないんですよ。我がみんなの党の二〇〇九の
マニフェスト冒頭に、増税の前にやるべきことがあると書いてあるわけですから。この話は後でやりますね、時間がありましたら。
そして、その増税の前に、まず、デフレで景気が悪いんですから景気をよくしていきましょう、復旧復興を含めて
経済を
成長させていく、しっかりと戦略を立てて実行に移していきましょうと。それから、額的には、これで全部
財政再建ができる、
社会保障の確立ができるとは申し上げませんが、やはり隗より始めよ、
国会議員、役人が身を切るべきだということをまず
政策の一番の優先課題としてやっていきましょう。これが我が党の、よく我慢してお聞きいただきましてありがとうございました、何か
総理、御反論があれば、安住さんはもう十分やりましたから、
総理、ぜひ自分のお言葉でどうぞ。