○白石
委員 確認させていただきました。ありがとうございます。
そして、質問要旨の一に戻らせていただきます。私、
年金の仕事に携わらせていただいて、ここが一番問題だと思っているところなんです。それをちょっと
皆さんと共有させていただきたいなと。
お手元に資料があると思うんですけれども、基本的に、日本の社会というのは自由経済であって、そして、
社会保障というのはそれを包み込むものだと思うんです。自由経済を尊重しながら、そこからどうしてもはみ出てしまう、あるいは、それを後押ししなければならないものというのはあると思うんですね。それは、若い
世代であれば子育てである、
高齢者であれば、それは医療、介護、そして
年金だと思うんですけれども、自助でどうしても生活が成り立たない場合はどうするか、それもやはり、自由経済、自助からはみ出たところだと思うんですけれども、そこは
高齢者の貧困の問題だと思うんです。
高齢者の貧困あるいは生活を支える
制度というのは日本に二つあって、一つは老齢
年金というもの、そしてもう一つは生活保護の半分。生活保護でも、きょう問題提起されていましたけれども、働ける
世代と、そして、六十五歳以上を超えたら、個人差はあるんですけれども、なかなか働くことが難しい、自助を求めるのは酷だという部分がある。ですから、生活保護の半分と言いましたけれども、人数でいったら四割は
高齢者の生活を支える
制度だと思うんです。
一番最初のところでありますけれども、六十五歳以上の生活保護受給者というのが、被保護人員百六十七万人、これはちょっと古いんですけれども、その中で、全体の四割は
高齢者、六十九万人、まあ、七十万人おられる。そのうち
年金を受給していない方というのは三十七万人であります。
低
所得者加算あるいは今回
法案に出しているもののもう一つ、これは受給資格期間の短縮、十年にするということなんですけれども、このことによって、無
年金者、四十二万人いたものが十七万人救われるということでありますけれども、無
年金者のほとんどが生活保護を受けているということだと思うんです。この無
年金者、四十二万人と三十七万人の間の五万人というのは、何とかほかの方法で生活されているということだと思うんです。
この
高齢者の割合、人数がふえています。
平成二十四年二月、ことしの二月になると二百九万人にふえるということで、
高齢者の割合が一定と仮定すると八十三万人になるわけであります。
生活保護には、四つぐらいで構成されていまして、生活扶助と住宅扶助、それから医療扶助、介護扶助とあるわけであります。それで、生活扶助というのが生活の基本的なものを支えていくということになると思うんですけれども、その予算が一兆二千九百三十億円であって、そこで四割ですから五千三百億円であります。生活保護全体でいうと、さっきと同じ計算式で、全体で三兆七千億で、そこの四割ですから一兆四千八百億になるわけですね。
これのサイズ、大きさですけれども、さっき言った、
年金五十兆円を毎年支払う、うち十兆円というのが公費なわけであります。一方、同じ
高齢者の生活を支える
制度である生活保護の
高齢者向け生活保護費というのが一兆五千まで来ているわけですね。これは非常に大きなことだと思うんです。つまり、
年金の生活保障の機能は低下していると言わざるを得ないなというふうに思うわけであります。
そもそも
年金というのは国の大きなおせっかいであって、得られた収入を使うのは自由でありますけれども、やはり、その中からある程度
保険料を義務的に払ってもらって、長生きリスク、老後の生活に備えさせる、強制的にさせるというものだと思うんですね。
そのあるべき
年金というのは、まず第一に生活の
最低保障機能、これが一番大事なことだと思うんです。二つ目に働き方に中立であって、そして三番目に
財政的に信頼性が置かれる、こういうことだと思うんです。その一番大切なところがぐらついているんじゃないかということです。
次のチャートなんですけれども、もう少し人数とかを頭に入れながら進めたいんですけれども、これは公的
年金受給者の推移でありまして、毎年毎年ふえております。払うときは一つの
制度なんですけれども、受けるときは転職とかいろいろあって重複して受けるので、ここは延べの数なんですけれども、今話題にしていることからして、一番下の斜線の人数が一番ぴったりくるんだと思うんです。
斜線のところは、これは
国民年金とありますけれども、これは一号、二号、三号、そして障害者、遺族
年金を受け取っている人、ですからほぼ全てですね。加えて、その一つ上が
厚生年金保険なんですけれども、二階部分だけ受けている人が、今は支給開始年齢の移行期間中ですから、六十歳から六十五歳までの方は、
国民年金、基礎
年金は受け取っていないんだけれども、二階部分は受け取っている人がいるので、多いことになっております。
それはさておき、この一番下のところなんですけれども、毎年毎年、百万人ずつふえていっているわけですね。百万人ずつ六十五歳になって、
年金を受け取っているということであります。ただし、その中には低
年金者の方もおられるということであります。
次のチャートでありますけれども、老齢基礎
年金の
年金月額の分布であります。
これの総数で、赤丸をしましたけれども、合計二千五百万人と、さっきの
国民年金とほぼ平仄は合うわけですね。さっきの
国民年金というのは、障害者
年金、遺族
年金を受け取っている人も含んでいますから、それを差し引けば大体平仄は合います。
その
方々の老齢基礎
年金の平均の金額というのは五万四千円であります。しかし、この中の多くの方は二階部分を受け取っている。
この内数として、右側に行って、基礎のみの方、この
方々は八百五十五万人いて、それらの方の平均は四万八千九百円であります。五万円を切っているわけですね。
年金受給者の
方々は、その六割が
年金でしか生活していないという統計が出ております。六割の方が
年金でしか生活していない。もしその
年金が五万円を切っていて、しかも単身者だったらどうなりますかということなんです。これをまたるる申し上げますので。
その内訳として、また男子、女子と分かれております。男子は二百万人、女子は六百五十万人となっています。この基礎
年金のみの中には三号の方も含まれております。一号、二号、三号がちょっとわからない方、一号は自営業者中心で、二号というのはサラリーマンあるいは公務員ですね。三号というのは被扶養配偶者。これからは、モデルケースということで専業主婦を念頭に申し上げさせてもらいますけれども、専業主婦の三号が含まれている。ですから、この女子の六百五十万人のうち、三号が相当含まれております。
三号の方は、御主人が御存命であれば、御主人の一階、二階、人によって、公務員であれば三階も含めて
年金がありますから、そう困らない。もし御主人が亡くなっても、遺族
年金で二階部分の四分の三相当金額がもらえるから、まあいいでしょうということなんですけれども、でも、やはり女性は長生きします。そういった御主人じゃない方もこの中にたくさんおられると思うんですね。
次のページ、三番目のチャートでありますけれども、
年金の金額をヒストグラムにしたものであります。
基礎のみだけ見てみますと、右側のチャートですけれども、平均は四・九万円、五万円を切っているということなんですけれども、この中でやはり人数が一番多いのは三万円から四万円のところであります。ですから、平均は五万円近くあっても、実際人数が多いのは三万円から四万円。上の方は三号の方であるでしょうから、一号の方のここへの集中というのは非常に大きいんじゃないかというふうに思うわけであります。
そして、次のチャート、四番目のチャートですけれども、男性と女性に分けて見たものであります。
男性は五万四千円と、五万円を上回っているんですけれども、女性の方は四万七千円であります。三号とおぼしき上位のところを除けば、三万円から四万円のこの山は一号の方だと思います。また再度、女性は長生きされますから、これでやっていくのは非常に厳しいということです。
そして、五枚目であります。五枚目が
高齢者のいる世帯の所得分布であります。
右側は単身世帯以外ということで、ここはいいでしょう、問題もありますけれども。
問題は、左側の単身世帯であります。非常に低いところに寄り添っている、固まっているということなんですね。基礎
年金の満額をもらって年収七十八万円、八十万円程度です。ですから、この五十から百のところに、ここに集まっていて、
プラスアルファがおられる方もいますけれども、やはりそれでも、年収百五十万円あるいは二百万円以下でやってくれといったら相当厳しいんだと思います。
もちろん、扶養家族、今話題になっております三親等の方は扶養しないといけない、仕送りしないといけない、お小遣いを上げないといけない、そういう義務はあるにせよ、単身で暮らしていたらなかなかそうはいかない。むしろ、孫を連れてきて小遣いをせびられるというふうに言っていましたけれども、今の御時世、なかなか子供が親を扶養するというわけにはいかないのが
現実だと思います。加えて、また再び、
年金のみで暮らしていらっしゃる方は
高齢者の六割であります。
ですから、そのことを考えれば、単身世帯というのは非常に厳しい
状況にあるという現状であります。
六ページ目ですけれども、これまでは現在でした、これから将来について考えてみたいんですね。
年金というのは非常に足の長い
制度ですので、将来どうなるかということをやはり考えながら、
制度を
改善するなり、つくっていかないといけないと思うんです。
それで、この年齢別人口なんですけれども、これは二〇〇九年ですから三年前、一番下の年齢に三を足さないと今の年齢にならないんですけれども、それでも、大体、今までは六十五歳以上の方というのは非常に山としてはなだらかだったということだと思うんです。それでも、世界一の長寿国、
高齢者が二三%を超えているということなんですけれども、今まさに団塊の
世代の
方々が六十五歳の一つの区切りを超えていっているということだと思うんです。
団塊の
世代の一番のピークは一九四九年に生まれた方で、その学年、その一年に生まれた方は二百七十万人だったわけです。そして、今その
方々が二百三十万人ぐらいですから、八割の方は六十五歳まで生きられて、
高齢者としての生活を迎えるということになっています。ここをまず一つどうするか、量的に非常に拡大していくわけですね。
それから、五十代になったら大分ピークは落ちてきて、人数的にも百数十万人になってきているわけでありますけれども、ただ、今五十代の
方々というのは、社会人になったときに一九八〇年代で、そのころから雇用均等法も同時に
施行されましたけれども、そのころから派遣という職種というか働き方ができて、当初はホワイトカラーのみでしたけれども、ですから、いわゆるパートの、少し時間が長い場合に派遣などが使われたのかもしれませんけれども、それがだんだん本格化して、一家の大黒柱が派遣になってくる、製造業派遣が解禁されてからなお一層だと思うんです。そういった
方々ですから、ここの
方々も正社員として待遇を受けていない方がたくさんおられるんじゃないかということであります。それから、就職氷河期、そして団塊の
世代ジュニア、こう続くわけであります。
ですから、まずは、量的に
高齢者の方が非常に伸びて、その後、質的にも非常に格差を感じる
世代が入ってくるということだと思うわけであります。
そして、七ページ目なんですけれども、高齢世帯数及び一般世帯総数の推移なんですけれども、一般世帯総数というのは五千万戸ぐらいで大体平準化しているということなんですけれども、これから伸びが見込まれるのは
高齢者単身世帯、ここでは単独ということで、一番下のグリーンの斜線であります。これでいうと非常にふえているということがわかると思うんです。
これを
数字で見たものが、次の八ページ目のところであります。
二〇一〇年、現在は
高齢者の単独世帯というのが四百六十六万人であります。そのような
方々が二〇三〇年には七百十七万人ということになる。ほぼ一・五倍になるわけですね。二百五十一万人増加するということであります。最近出た人口調査によると、今、
高齢者の方というのは二千九百万人でありますが、それが二〇四二年には三千九百万人と一千万人ふえるわけですね。一千万人
高齢者がふえるうち、二百五十一万人は単独、単身世帯であるということであります。
そして、次のページが一号被保険者について就業
状況について見たものであります。
一番下のところ、
平成二十年調査は、一号被保険者というのは、そもそも自営業主とその家族従業員、大体お父さんと経理等を手伝うお母さんを想定していたわけでありますけれども、その想定の
方々というのは一五・九%と一〇・三%で二五%程度しかいない。一方、常用雇用あるいは臨時・パートの
方々が四割なわけであります。それは、この九年間で非常な伸び、九年前は二五%だったのが四〇%になっている。一方、典型的な
パターンは三五%から二五%に下がっているということなわけですね。
加えて、無職のところも無視できない人数がおられると思います。三割であります。一号被保険者というのが今
加入者が二千万人でありますから、六百万人が無職ということなんですね。これも無視できない。もちろん、学生とかおられますけれども。
そして、次の十ページ目が、就業
状況の中でも完納者。上の表ですけれども、完納者というのは、自営業主、家族従業者というのは六割程度であるのに対し、常用雇用、臨時・パート、いわゆる非正規雇用の
方々が四〇%、三四%と非常に低いということで、免除を受けて納めているということだと思うんです。それらの方の本人の所得も、下に見られるように、非常に低いということであります。
それで……(発言する者あり)もうちょっと済みません、最後の方に出てきますので。
十一ページ目では、被保護世帯数の推移ということなんです。
これは、一番最初に申し上げたことをなぞる部分もあるんですけれども、被保護世帯数というのが百二十七万戸あって、そのうち五十八万戸が
高齢者世帯であるということであります。その伸びたるや、この二十一
年度で見ると三万九千戸伸びているということなんです。もちろん、その他の世帯、つまり、この
方々の多くは、働ける
世代、年齢の
方々は、リーマン・ショックの後、急激に伸びている、四〇%伸びているということなんですけれども、ここは、
高齢者の世帯がふえていて、人数的にも、次の十二ページですけれども、大きく伸びているということであります。
それで、
高齢者の生活を支える
制度である生活保護、これについて、水準はどうなっているかというと、この十三ページのものでありまして、単身を見るのでいいと思うんです。単身の生活扶助、東京は八万円であります。ほかの、都市によって金額は違うのでありますが、二の一のところでいうと、松山市、地方の県庁所在地でありますが、そこは七万三千円。一方、地方の中堅都市である、西条、新居浜、四国中央市、この辺になると六万六千円。ここのところでちょうど基礎
年金の満額にあるわけですね。
水準的にも、生活保護の水準の方は生活扶助のレベルで高いし、生活保護世帯というのはほとんど家を持っていませんから、これに住宅扶助がつくわけですね。住宅扶助がついて、東京だったら五万円程度、八万円とそれに住宅扶助の五万円がついて、月額十三万円。そこに、
高齢者ですから、医療扶助がついていく、あるいは介護扶助がついていくということであります。
こういう現状があって、そして次のページが
国民年金の今後についてであります。
国民年金の今後を二十一年の
財政検証で、この
経済前提、非常に非
現実的であるということなんですけれども、
運用利回りだけではなくて、
物価上昇率が
賃金上昇率に比べて低いというところもあると思うんです。このことによって大きく助けられていると私は思うんです。
運用利回りだけじゃなくて、ここも非
現実的。
つまり、
年金というのは、裁定するときは
賃金で決めますけれども、その後のスライドは
物価スライドですから、
物価スライドであるならば、
物価上昇率が低い方が助かるわけですね。
保険料は
賃金上昇率で増収するのに対して、支払いというのは裁定後からは
物価スライドですから、助けられている。この非
現実的と言われている
前提であっても、
国民年金は
マクロ経済スライドを二十七年間やらないといけないということが出ているわけであります。加えて、特例水準もあって、意図せざる支出があるということなんです。
十五ページなんですけれども、
物価上昇率ゼロで
マクロ経済スライドを行うと仮定したらどうなるかということです。
特例水準の解消はどんな
状況でもやるんですけれども、その後、
デフレ下の
マクロ経済スライド、これをやったと仮定したら、二十七年後、二〇四一年、ちょうど
高齢者の数がピークになるときに基礎
年金の満額の金額は五万七十二円であります。
このことを考えたら、今まで、
高齢者がふえてくる、量的にふえてくる、これからは、質的に格差のある方がふえてくる、単身世帯が占める割合、構成がふえてくるということであります。生活保護にどんどん今入ってきている
状況に、これから三十年間、この
国民年金の生活保障機能低下を何とかしなければならないと思うわけであります。
これで、質問なんですけれども、
小宮山大臣、ちょっと
法案のことはもうできませんでした。この社会の流れに対して、どのような政策の
方向性で対処されようとしていますか。よろしくお願いします。