○伊吹
委員 憲法に書いてあるように、主権者は
国民なんです。
日本の主人公は
国民です。そして、
国民が国を決める権限を委ねるのが
選挙ですね。これが
代表民主制と言われる制度です。
多くの場合は、権力を握るのは、近代までは、人を殺して、無辜の民を集めてけんかをさせて血を流させて、そして権力を手に入れたんですよ。これは、NHKがやっている平家物語がまさに今そういう
状況ですよね。だけれども、近代国家においては、もうそれはやめようじゃないか。
日本では、明治維新、このときも、しかし、戊辰戦争まで多くの血が流れました。そして、
日本の立憲民主主義を安定させるために、西郷隆盛さんは不満を一身に背負ってああいう死に方をされたんじゃないかと私は思います。佐賀の乱もありましたね。その後は、ああいうことを経ずに、投票によって
国民の民意を背負った者が権力を握ってやっていく。このプロセスが正当に動いたかどうかというのが今は一番の問題なんですよ。
ここで、今、
パネルを出しておりますから、どうぞごらんください。
主権者は
国民であります。
選挙で主権を
国民が委ねます。
与党、
野党が決まります。今回は
皆さんが勝たれたから、
皆さんが
衆議院の
与党になられたんです。
だから、参議院のときにどう言ったとか、
野田総理は時々、
代表選挙のときに私は税と
社会保障のことをきっぱりと党内で申し上げたとか、そんなことは
民主党内のことですよ。
国民と何の関係もありませんよ。
国民との接点は総
選挙なんですよ。総
選挙のときに
皆さんが勝った。勝ったから、
皆さんは
総理大臣を指名した。そして、
総理大臣が
内閣を組織した。そして、
内閣は行
政権を掌握して行使する。この行
政権を動かすための
一つの手段として、ぜひこの
法案を通してくれというのが、今回
提出されたことですよ。
そして、あえて、
石原さんもせっかく質問していたからフォローすると、問責の議決は四月二十日なんですよ。この法律は三月三十日、一元化
法案は四月十三日に
閣議決定をしておられます。だから、問責を受ける前の
大臣が、連帯して
責任を負うために花押しているんです。だから我々は、参議院が問責をしても大人の
対応をして、
衆議院のこの
委員会ではこれをやっているんですよ。だけれども、憲法上の
議論からいえば、四月二十日以降に問責二
大臣が
閣議決定に花押したものについて、参議院が受け入れるか受け入れないかは、あなたの決断にかかっているんですよ。
憲法は、
総理大臣が
国務大臣を指名し、
内閣を構成すると書いてあります。その点はぜひ御留意になって、今後の国政に当たっていただきたい。ここは人事権のことですから、これ以上詰めません。
そこで、次の
パネルを見てください。
もうこれは何度も何度も申し上げて、
皆さん嫌だと思っていると思うんですが、これは私の愛読書、
民主党のマニフェスト。これをごらんになると、この左側に、二十二年度に何をやります、二十三年度に何をやります、二十四年度に何をやります、二十五年度に何をやりますということをずっと書いてあるんですよ。そして、その財源は、二十五年度にどうやって調達するかというのは右側に書いてあるんです。
これは、今さらごらんにならなくたって、このマニフェストの傘の下で
皆さん当選してきたんだよ。だから、これがほとんどできていなかったとかどうだとかということを言われる、今までさんざん
皆さんやられてきた。
問題は、左側ができなかったのは、結局、その右側の財源がうまくできなかったんですよ。
野田総理は、このことを問われると、
リーマン・
ショックがあったり三・一一の地震があって税収が大幅に落ち込んだからという答弁をよくされますが、これはいただけませんよ。
というのは、
リーマン・
ショックは、二十年の後半の麻生
内閣のときに、既に麻生さんはそのことに対する対策をしているんですよ。二十一年の八月に総
選挙があって、このマニフェストが出ているんですよ。だから、
リーマン・
ショックというのは織り込み済みでつくらなかったら、
政権担当能力はありませんよ。
それから、三月十一日、三・一一というのは、二十二年度予算と二十三年度予算の編成後に起こっているんですよ。そうでしょう。そうしたら、二十二年度と二十三年度はきっちりできておりました、だけれども二十四年度は三・一一の問題がありましたからできませんというんならいいけれども、東北の人に私は非常に失礼だと思う、東
日本の人にね。
やはり、ちまちましたことを言わずに、時々おっしゃる財源の見通しが甘かったとか、そういうことをはっきり認めて、無理なことを言って
国民から票をとってしまったということをしっかりお認めにならないといかぬです。
それで、かつて、言ったように、みんな血を流して権力をとったけれども、過去において、人類の歴史において、御承知のように、
国民が
選挙によって
代表を選んで動いていたときが一時あるんですね。これはローマ時代ですよ。
ローマも、一番最初は、これは、権力を人を殺して奪い取った。しかし、そのうちに、だんだん話し合いの中で共和制というのができたんですよ。これは、一部の限られた人たちではあったけれども、その人たちの投票によって元老院というものが形成されて、そして、元老院の人たちの投票によって皇帝という、私はローマ皇帝という呼び名は間違いだと思いますよ、あれは、軍
司令官とそれから
内閣総理大臣を兼任している人を、一定の期間を通じて独裁権を与えるという、
国民から決められた行政統治官というんですかね、強力な大統領を選ぶことだったんですよ。
これが失敗したのが、これがずっとうまくなぜ続かなかったかというと、やはり民主主義に固有の欠点をローマの人たちがなぞっちゃったんですね。
一つは、多くの人たちの支持を得たい。だから、豊穣なエジプトのナイルのデルタからたくさん小麦を輸入して、そして、それをできるだけ安く、そのうちには福祉政策として
国民に与えちゃった。それから、人間同士を戦わせて人気をとって、これは一種の衆愚
政治ですよ。本来、
国民をそこまでばかにしちゃいけないんですよ。それをやりながら、人気を得るということをやったんですね。
そのために、にっちもさっちもいかなくなってきたということがまずあって、そして、そういうことをやっていると、今の
日本もそうだけれども、先進国がみんな今そういう状態になっているのは、多党化になって、ちまちました
意見を
お互いにやり合って、物事が決まらない。そこで、クーデターが起こるんですね。あるいは武力を使ってやる。
そして、統治官になった連中は、本人は立派でも、息子がどうしようもないぐず玉であるということもあるんですよ。権力を握ったときには立派な人であっても、権力を長く握っていると、本人の人間性が変わってくる人もいるんですよ。
そこで、ローマは結果的に滅びて、その後、中国も、そしてヨーロッパも、
日本も、権力を握るときは必ず流血ですよ。
残念ながら、私は、
民主党の
皆さんの、あの
選挙のとき、どうして
民主党に票が入ったんだろうなと。明らかに自民党の失敗が二つあります。これは、マニフェストで人をつっただけではありません。公平に言っておかなければなりません。
長い間
政権を持っておりましたから、我々以外にないという思いがあって、自信を持っていたのはいいんだけれども、自信が過信になって、過信がうぬぼれになって、
国民の目線と違ったというお叱りを受けた、これがまず
一つ。
それから、あえて言えば、私は、小泉
内閣の際に、あれだけ人気がある間に、今
野田総理がやるべきだとおっしゃっていた
消費税を引き上げておくべきだったと思う。
それは、その結果どういうことが起こったかというと、税を引き上げずに、そして一律にカットをかけましたね。これは、
総理大臣の前に
財務大臣をやっておられた、安住さんも
財務大臣、だから、内容がどういうことになっているかというと、これは後ほど
議論しますけれども、
社会保障費だけはどんどん上がっているんです。上がっているけれども、一人一人の
立場からすると、年金の給付額は落ちているんです、制限されているんです、自己負担が上がっているんです。保険料が上がっているんです。ただ、長寿者人口が圧倒的な勢いで毎年量がふえていくから、価額が下がっているにもかかわらず、価額と量とを掛けた
社会保障費はどんどんふえているけれども、不平不満が充満した。この二つですよ、自民党の大失敗は。
これでやはり自民党は反省をして、我々は、新しい綱領をつくり直して、党運営を透明化して、やり直そうという気持ちで今やっております。しかし、なかなか
国民の
皆さんに今それを御理解いただけないもどかしさがあります。
それからもう
一つ、あえて言えば、このマニフェストなんですよ。
私はいつも十時ごろ投票に行きますが、そのときには、いつもは誰もおりません。さっと投票所に入れます。今回は、子供を抱いている若い夫婦、乳母車を押している若い夫婦が行列をしておりましたよ。ああ、これはだめだな、これは
子ども手当だなと私は思いました。だから、ローマで民主主義が崩壊したのは、パンとサーカスということがよく言われるけれども、これと同じことを
皆さんがなぞられたということなんですよ。
だから、ここは、もう今さら済んだことをこれ以上追及して、ここは違うじゃないか、ああじゃないか、そんなことを言っていたって前へ進めないから、
野田総理、これはもう鳩山
内閣、
菅内閣は済んじゃって、あなたのときに勉強して、勉強した結果、やはり普天間ももとへ戻った、これも自民党
政権のときに
考えていることにもとへ戻った、八ツ場ダムも始めるんだ、そして新名神も再開するんだ。
与党というものになってみると、いろいろ現実を混乱させないためにはこれしかなかったんだということがわかりましたということを率直に認めて、そして、すぐに解散しろとかどうだとかという子供じみたことを言うんじゃないけれども、
国民の
皆さんに、やはり主人公なんだから、謙虚に御
意見を聞く機会をできるだけ早く持ちますということをおっしゃったらどうですか。