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2012-03-27 第180回国会 衆議院 財務金融委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十四年三月二十七日(火曜日) 午前九時
開議
出席委員
委員長
海江田万里
君
理事
網屋 信介君
理事
泉 健太君
理事
糸川 正晃君
理事
岡田
康裕
君
理事
岸本 周平君
理事
竹下 亘君
理事
山口 俊一君
理事
竹内 譲君
五十嵐文彦
君 江端 貴子君
小野塚勝俊
君
緒方林太郎
君
大串
博志
君
大山
昌宏
君
川村秀三郎
君 木内
孝胤
君 楠田 大蔵君
小室
寿明
君 近藤
和也
君 菅川 洋君
鈴木
克昌
君
中塚
一宏
君
中林美恵子
君
橋本
博明
君 平岡 秀夫君
藤田
憲彦君
古本伸一郎
君
三谷
光男
君 三村
和也
君
森本
和義君
湯原
俊二
君 齋藤 健君 竹本 直一君 丹羽 秀樹君
西村
康稔
君 野田 毅君
三ッ矢憲生
君 村田
吉隆
君 山本 幸三君 斉藤 鉄夫君
佐々木憲昭
君
豊田潤多郎
君 田中 康夫君 …………………………………
国務大臣
(
金融担当
) 自見
庄三郎
君
内閣
府副
大臣
中塚
一宏
君
財務
副
大臣
五十嵐文彦
君
内閣
府
大臣政務官
大串
博志
君
財務大臣政務官
三谷
光男
君
厚生労働大臣政務官
藤田
一枝君
政府参考人
(
金融庁総務企画局長
)
森本
学君
政府参考人
(
金融庁監督局長
)
細溝
清史
君
政府参考人
(
金融庁証券取引等監視委員会事務局長
)
岳野万里夫君
参考人
(
一般社団法人信託協会会長
) 野中 隆史君
参考人
(
日本証券業協会会長
) 前 哲夫君
参考人
(
AIJ投資顧問株式会社代表取締役
)
浅川
和彦君
参考人
(
アイティーエム証券株式会社代表取締役
)
西村
秀昭君
参考人
(
株式会社東京年金経済研究所代表取締役
) 石山 勲君
財務金融委員会専門員
北村
治則
君
—————————————
委員
の異動 三月二十七日
辞任
補欠選任
小山
展弘
君
川村秀三郎
君
鈴木
克昌
君
大山
昌宏
君
三谷
光男
君
橋本
博明
君 同日
辞任
補欠選任
大山
昌宏
君
鈴木
克昌
君
川村秀三郎
君
小室
寿明
君
橋本
博明
君
三谷
光男
君 同日
辞任
補欠選任
小室
寿明
君
湯原
俊二
君 同日
辞任
補欠選任
湯原
俊二
君
小山
展弘
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
金融
に関する件 ————◇—————
海江田万里
1
○
海江田委員長
これより
会議
を開きます。
金融
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
AIJ投資顧問
への
対応
について
政府
から
報告
を聴取いたします。
金融担当大臣
自見
庄三郎
君。
自見庄三郎
2
○自見
国務大臣
おはようございます。
AIJ投資顧問
への
対応
について、御許可をいただきまして発言をさせていただきます。 今般の
AIJ投資顧問株式会社
が引き起こした問題については、まことに遺憾でございます。 本日は、
行政処分
に至る、これまでの
金融庁
、
証券取引等監視委員会
の
対応
について、改めて
時系列
に沿って御
説明
申し上げます。 まず、
証券取引等監視委員会
では、本年一月より、
AIJ投資顧問株式会社
及び
アイティーエム証券株式会社
に対する
検査
を開始いたしましたが、
検査
の過程で、
AIJ
が
投資一任契約
に基づいて行う
顧客資産
の
運用状況
について疑義が生じたことから、二月の十七日金曜日に、
金融庁
に対し、その旨の
連絡
がございました。 この
連絡
を受け、
金融庁
では、
検査期間
中の異例の
対応
ではございましたが、急遽、同日中、二月十七日の金曜日に、
AIJ
に対して
報告徴求命令
を発出し、二月二十三日木曜日に、
AIJ
より、
投資一任契約
に基づいて行う
顧客資産
の
運用状況
について、現時点で
毀損額
、
毀損原因
について精査中であるものの、
投資家
に
説明
できない
状況
にある旨の
報告
を受けました。 このため、直ちに二月の二十四日金曜日付で、
AIJ
に対し、
業務停止命令
一カ月及び
業務改善命令
を発出いたしました。 その後、三月二十二日に、
証券取引等監視委員会
の
検査
において、
AIJ
及び
アイティーエム証券
について、
虚偽告知等
の
法令違反
が認められたとして、
両社
に対し
行政処分
を行うよう
勧告
が行われました。 この
勧告
を受けて、
金融庁
では、三月二十三日金曜日、
AIJ
の
登録取り消し
、及び、
アイティーエム証券
に対し
業務停止命令
六カ月を発出するとともに、
両社
に対し、
顧客資産
の保全が円滑に進むよう
業務改善命令
を発出したところであります。 また、同日、三月二十三日金曜日には、
証券取引等監視委員会
による
強制調査
が、
犯則調査
でございますが、開始されており、その中でさらなる事実解明が行われれば、
金融庁
といたしましても、厳正に対処してまいりたいと
考え
ております。 一方、今回の
事案
の
重要性
に鑑み、他の全ての
投資一任業者
についても、
AIJ
に対する
業務停止命令
を発出した二月の二十四日金曜日に、一斉
調査
を実施することを急遽、表明いたしました。 まずは第一次
調査
として、全ての
投資一任業者
に対し、二月二十九日水曜日付で
報告徴求命令
を発出した後、三月十四日までに、全社から
報告書
を受領したところであります。 ただいま、
金融庁事務方
において、提出された
報告書
を精査し、
記載事項
について補正や訂正の指示を行っているところであります。 今後、できる限り速やかに、第二次
調査
の
対象
となる
業者
を絞り込んで第二次
調査
を開始するとともに、第一次
調査
の取りまとめ結果の
概要
を公表できるよう、最大限の
努力
を続けてまいりたいと存じております。 最後に、本
事案
の
再発防止策
について一言申し上げます。 本
事案
が露見することなく拡大した
原因
といたしましては、まず、
投資一任業者
が、
虚偽
の
運用報告
を、
一定期間
にわたり気づかれることなく行っていたこと、また、
投資一任契約
の勧誘に関し、
虚偽
の
説明
を行っていたこと、さらに、
当該投資一任業者
が運用していた
海外ファンド
については、
受託会社
からの
報告書
の改ざんなどがあったため、第三者によるチェックの機能が妨げられたことなどがあるものと理解をいたしております。 これらの問題に対して、
年金基金等
の
運用受託
に関する
信頼性
を確保する
観点
から、
金融実務
を踏まえて、
実効性
のある
再発防止策
を幅広く
検討
する必要があると
考え
ております。 また、
投資一任業者
に対する規制や
検査監督
のあり方についても虚心坦懐に見直していくべきものと
考え
ております。 今後、
証券取引等監視委員会
によるさらなる
調査
や
投資一任業者
に対する一斉
調査
の結果も踏まえつつ、これらの課題について、
関係者
の意見を踏まえながら、早急に
検討
を進め、成案が得られたものから実施してまいりたいと
考え
ております。 以上、
AIJ投資顧問
問題への
対応
について、
金融担当大臣
として御
説明
を申し上げましたが、引き続き、あらゆる選択肢を排除することなく、
関係省庁
とも密接に連携しながら、
金融庁
、
証券取引等監視委員会総力
を挙げて
再発防止
に努めてまいりたいと
考え
ております。
委員長
を初め
委員各位
におかれましては、より一層御指導、御鞭撻を賜りますように、心からお願い申し上げる次第でございます。 以上です。
海江田万里
3
○
海江田委員長
これにて
報告
は終わりました。
—————————————
海江田万里
4
○
海江田委員長
この際、お諮りいたします。
本件調査
のため、本日、
政府参考人
として
金融庁総務企画局長森本学
君、
監督局長細溝清史
君、
証券取引等監視委員会事務局長岳野万里夫君
の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
海江田万里
5
○
海江田委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
海江田万里
6
○
海江田委員長
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
小野塚勝俊
君。
小野塚勝俊
7
○
小野塚委員
おはようございます。民主党の
小野塚勝俊
でございます。
質問
の機会をいただきまして、
委員長
、
理事
、
委員
の皆様、ありがとうございます。 これまでも申し上げておりますとおり、国会での
委員会質疑
は、特別な場合を除きまして、副
大臣
以下で行うべきであると私は
考え
ておりますので、本日もそのような形でお願い申し上げます。 限られた時間でございますので、本日は、
AIJ投資顧問
問題について、特に
再発防止
の
観点
から
質問
をいたします。 今回の問題、なぜこのようなことが起こったのかといろいろ
考え
ますと、もちろん、今回、
行政処分
、
強制調査
の
対象
となっております
AIJ投資顧問
、また
アイティーエム証券
の問題は大きいものがあると思います。 しかし、今回のこの問題にかかわった
方々
というのは、本日お配りした
概要図
、
資料
の一ページにもございますが、たくさんのプレーヤーがいらっしゃいます。ここをごらんいただきますと、
AIJ投資顧問
、また
アイティーエム証券
ほか、
信託銀行
、
ファンド
の
受託銀行
、
監査事務所
、そして
顧客
たる
厚生年金基金
、そして、この図にはございませんが、
行政
たる
金融庁
、
証券取引等監視委員会
、
厚生労働省
などございます。 今回の問題に
関係
した
方々
が積極的であったかどうか、また
不作為
であったかは、それはまちまちであるとは思いますが、何らかの
関係
でかかわり合いながら、今回このような問題が起こったように私は思えてなりません。 その中で、本日、後半
パート
では、
AIJ投資顧問
の
浅川社長
を初め
関係
した
方々
が
参考人
として
お越し
になりますが、この前半の
パート
では、
行政
の問題、
制度面
における問題について、積極的であったかどうかは別といたしまして、少なくとも、
不作為
の点で問題はなかったのかという
観点
で、その
問題意識
で
議論
を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 本日は、
厚生労働省
の
藤田大臣政務官
に当
委員会
に
お越し
をいただいておりますので、最初にそのことから
質問
をさせていただきます。
厚生年金基金
における
予定利率
というのは、現在、五百八十一
年金基金
がありますが、八七%に当たる五百七の
基金
が五・五%としています。 この五・五%、なぜかというと、
平成
九年当時の
厚生年金本体
の
予定利率
というのが五・五%であったわけです。当時の公定歩合は既に〇・五%でありましたので、この
予定利率
五・五%自体も、当時といたしましても大変高い
金利
であったわけですが、この
厚生年金本体
の
予定利率
と同じ
利率
を
厚生年金基金
でも当時において使っていたわけです。 現在、この
厚生年金本体
の方は、実質でいいますと一・六%の
金利
で運用しているという状態です。その一方で、
厚生年金基金
は、先ほど申し上げましたとおり、九割近くのところが五・五%のままとなっています。 なぜこのようなことが起こっているのか。それは、
予定利率
を
厚生年金基金
が引き下げますと、
給付
の金額を
減額
しなければならない、
減額
をしない場合は掛金を引き上げなければいけないということが起こるからであります。
企業
や団体、特に
中小企業
においては、
景気状況
が大変厳しい中において、これまで以上に
基金
に
お金
を積むというのは
現状
としてなかなか難しい。かといって、
給付
の
減額
をするとなるとどういうことが必要となるかというと、そのためには
受給者
の三分の二以上の
同意
がないと
減額
ができないというふうになっています。
厚生年金基金
は
確定拠出
ではなく
確定給付
でありますので、
受給者
が
減額
するということをなかなかよしとは思えないというのが
実態
だと思います。ゆえに、三分の二以上の
方々
の
同意
を得るというのはなかなか難しい。
企業
も
お金
も出せない、
給付
は
減額
できないとなりますと、
現実
の問題に目をつぶり、
現状
において、あえて
運用利率
を五・五%のまま変えないでいるというのが
実態
。それがゆえに、
基金
の何と八七%に当たるところが五・五%のままになっているというのが
実態
であります。 このような五・五%運用してくれるところはないのかと探した結果、今回問題となっている、高利で運用してくれる
AIJ投資顧問
に頼ったというのがいわゆる
実態
ではないのかと思うのであります。 このような大きな問題、このような
実態
について、
行政サイド
もわかっていたはずだと思います。
予定利率
は各
基金
がみずから決めることゆえ、
行政
としては関与できないということなのかもしれません。しかし、このような
現状
、どうにかして
行政サイド
で
対策
は打てなかったものなのでしょうか。
給付
の
減額
を決めるために
受給者
の三分の二以上という件、これは、実は
厚生労働省
の
省令
と
通達
で決められているものです。これを、例えば三分の二以上ではなくて二分の一以上などとする変更ができるならば、
給付減額
を行うハードルは下がります。
実態
に合わない
現状
を、
受給者
の
方々
だって、
皆さん
いいとは思っていないのではないでしょうか。まして、その負担は、
受給者
の
方々
がかつて働いていた
会社
や組織の
後輩たち
に行くわけであります。
受給
の
減額
を認める方も半分ぐらいはいらっしゃってもおかしくないかもしれません。 そのような
観点
から、この三分の二以上という
厚生労働省
の
省令
、
通達
を変更するというお
考え
はありませんでしょうか、お伺いいたします。
藤田一枝
8
○
藤田大臣政務官
おはようございます。 今、
委員
の方から、いわゆる
給付水準引き下げ
の
ルール
の緩和ということでお尋ねをいただきました。
現行
、非常に高い利回りを追求したということによって、こういったいろいろな問題が出てきているということについて、
問題意識
を
厚労省
も十分持っているところでございます。 ただ、この
現行
の
ルール
というもの、
局長通達
あるいは
法律
で定められている
要件
というものについては、過去いろいろな
議論
がございまして、
労使双方
の
代表
の
皆さん
も参加する
審議会
や
研究会
で、三年間かけて
議論
を行ってきた。そして、
平成
九年に策定をしたという経緯がございます。そして、またその後、司法においても、この条件というのは妥当であるという最高裁の判決も下されているということで、
受給権保護
ということについて非常に手厚くなっているというところでございます。 そういった
意味
では、この
要件
というものを緩和していくということについては、
受給権保護
の
観点
から十分に、そして慎重に
考え
なければならない、このように
考え
ているところでございますけれども、しかし、今日さまざまな問題が出てきていることも事実でございますので、四月に
有識者会議
を立ち上げる
予定
でございますので、その場において
検討
をしてまいりたい、このように
考え
ております。
小野塚勝俊
9
○
小野塚委員
ありがとうございます。 難しい面もあるという
お話
だと思いますが、ぜひ、今回大きな問題となっておりますので、
現実
の問題に
不作為
とならず、解決に向けて御
努力
をいただければと思います。
藤田大臣政務官
、ありがとうございました、これで結構です。 続きまして、
金融庁
及び
証券取引等監視委員会
に伺います。 今回お配りいたしました
資料
の三ページ目をごらんいただきますと、この中で、
監査事務所
、これはグラント・ソントンのケイマンと言われていますが、この
監査報告書
を
AIA
と
アイティーエム証券
に送付をしています。
ファンド
の
運用状況
をそれぞれに
報告
しているわけなんですが、しかし、この
AIA
と
アイティーエム証券
、これは
AIJ投資顧問
と大変深い
関係
にある
企業
です。
AIA
は
AIJ投資顧問
の一〇〇%出資、ダイレクターも
AIJ投資顧問
の
浅川
氏でいらっしゃいます。また、
アイティーエム証券
も、
AIJ投資顧問
が実質的に支配している
投資事業組合
が出資している
会社
です。
アイティーエム証券
については、
監査報告書
も確認せず、そのまま
AIJ投資顧問
に渡していたという話も聞かれます。 そもそも、この
監査報告書
、誰が何の趣旨でつくったのでしょうか、
法律
的な
根拠
というものはあったのでしょうか、お伺いいたします。
岳野万里夫
10
○
岳野政府参考人
先生
の御
指摘
いただいている
資料
の三ページ目、
監査報告書作成
についてでございますが、ここで、
先生
御
指摘
の
海外
の
監査事務所
が行いました
監査
につきましては、我が国の
金融商品取引法等
による
法令
上の必要があって作成されたものではございません。基本的には、このストラクチャーの中では、
AIMグローバルファンド
を運営しております
ファンド
の
管理会社
でございます
AIA
が
監査法人
に
監査
を依頼したというふうに承知しております。
小野塚勝俊
11
○
小野塚委員
ありがとうございます。 いわゆる
法律
的な
根拠
がなくつくられていたわけですね。この
監査報告書
は、結局、本来一番見たいと思っている、その
情報
を知りたいと思っている
顧客
である
厚生年金基金
の
方々
は見ることができなかったわけであります。また
法律
的にも、今事務局長おっしゃっていただきましたように、
AIJ投資顧問
は、
監査報告書
を
顧客
であります
厚生年金基金
に、
法律
的な
根拠
がないわけですから、
開示
する
義務
はなかったわけであります。 今回の問題、
基金
の
自己責任
という話はよくあります。確かにそういった面はあると思いますが、
基金
において、先日当
委員会
でも
話題
となりました、日経がつくっている
日経BPマーケティング
、
格付投資情報センター
の「
年金情報
」というもの、これを見ますと、
購読料
が年間十二万六千円なんですね。しかし、ここまでの高額のものを払って
情報
を得ようとすると、そこには、二〇〇八年、
平成
二十年には
年金顧客評価調査
で
AIJ投資顧問
は
総合首位
になっています。
監査報告書
という正規なものが見られないのであれば、このような市販のものに頼らざるを得なかったというのも、
基金
の
方々
、わかる気がいたします。
監査報告書
に含まれる
ファンド
の
運用報告書
の
開示
を
厚生年金基金
が
要求
をしたときには、これを
AIJ投資顧問
は、
開示
を拒絶したとあります。また、
開示
を求める
顧客
には、知人の
公認会計士
に偽造を依頼し、
虚偽
の
報告書
を提出し、
運用成績
が上がっていたように装っていたという話も聞きます。 いずれにいたしましても、
監査事務所
が作成した正規の
監査報告書
を
顧客
である
年金基金
が見ることができない。私は、
監査報告書
を
基金
が見ることができていれば、今回、
AIJ
の件についても問題の発覚は早かったでしょうし、今後の
再発防止
という
観点
からも有益だったと思います。
厚生年金基金
が
監査報告書
を見られるようにするため、
法律
的な担保なども含め、
金融庁
として何らかの
改善策
をお
考え
ではないかということについてお伺いいたします。
中塚一宏
12
○
中塚
副
大臣
一月から
調査
、
検査
に入りまして、三月の二十三日のところでまず一区切りをつけまして、もちろん、まだ
調査
と
検査
は継続中であります。そこまでのところでわかった範囲の中で、いろいろと
対策
を打たなければならぬなという
ポイント
も出てきている、そういうふうに思っております。 今
お話
がございました、
監査報告書
を
基金
がちゃんと見られるようにということなんでありますが、今御
指摘
になられた
報告書
の
開示義務
あるいは
記載内容
の充実というようなことにつきましては、これは本当に重要な
観点
、論点だ、そういうふうに思っております。 では、そういった
制度
で、この
問題点
を
議論
していく際になんですけれども、今度は、
監査
、
外部監査
の
義務
づけをするときに、では、どういった中身を
監査
の
対象
にしていくのかということ。例えば、
投資ファンド
の
財務
諸表、これはもちろんのことなんだと思いますけれども、あと、
運用会社
の
内部統制
とか、そういったものも
対象
になっていくかもわかりません。 今回は、実は、
投資ファンド
に対してはちゃんと
外部監査
が行われていたわけなんですけれども、その
報告書
がちゃんと
基金
の方には伝わっていなかった。
基金
の中には、見せてくれといった
要求
をしたところがあるというふうにも聞いておりますけれども、そういったことをきっちりと
法律
で担保していく等々が改正の
ポイント
になってくるであろう、そういうふうに思っています。 今、一斉
調査
も行っておりますので、そういった
調査
の結果も踏まえまして適切に
対応
してまいりたいと思いますし、党やまたこの
委員会
でも御
議論
いただければ、そう思っております。
小野塚勝俊
13
○
小野塚委員
ありがとうございます。 今回の
AIJ投資顧問
の問題、
金融庁
におかれても、
投資顧問
という
会社
に問題が多かったということはよく御存じだったと思います。 それが証拠に、
証券取引等監視委員会
と各
財務
局では、二〇〇九年、
平成
二十一年の三月から約二年間かけて、
投資助言
・
代理業者
の
法令遵守状況
に
重点
を置いた
検査
を集中的に実施なされています。この
投資助言
・
代理業者
というのが
投資顧問会社
のことでありまして、昨年の二月、この
検査
結果というものが取りまとめられておりまして、そのペーパーの
冒頭部分
に、このように書いてあるわけですね。申し上げます。
投資助言
・
代理業者
に対する過去の
検査
において、その
役職員
の
法令遵守意識
の
欠如等
を
原因
とする重大な
法令違反等
が多数認められたことを踏まえ、
投資助言
・
代理業者
の
法令遵守状況
に
重点
を置いた
検査
を集中的に実施してきた。 つまり、問題が多い業界であるということは
金融庁
さん御自身も御認識をされて、このような
検査
をかつて行っていたわけです。 さらに、その
検査
結果を見ましても、二〇〇九年三月から二〇一一年一月まで約二年間にわたりまして、七十四の
投資顧問
などに対して
検査
を行い、十一の
会社
に対して重大な
法令違反
などが見つかり、
登録抹消
や
業務停止
などの
勧告処分
も行っていらっしゃいます。 しかしながら、この
検査対象
に
AIJ
は入っていませんでした。
話題
となっております、先ほども申し上げました「
年金情報
」、ここには、二〇〇九年一月五日号というところには、
AIJ
に関して、このように書いてあります。 ただ、
採用先
の
年金基金
の間ではヘッジ
ファンド
である同社の
運用成績
に満足する声が多い一方、
運用成績
の
根拠
や
開示内容
に関する不透明さを
指摘
する声もある、中には不透明さを認識しつつも、
運用成績
のよさからあえて問題視しないという
基金
もあるという
記事
であったり、この前も当
委員会
で
話題
になりましたが、
AIJ投資顧問
を想定して、
日本版マドフ
の影という
記事
が掲載されたのは、二〇〇九年二月十六日の
記事
でございました。
投資顧問会社
への
問題意識
は持っていたにもかかわらず、
AIJ
については、この
検査
のときも漏れていた。今回、この問題を深めますと、このときの
検査
に入っていなかったというのは大変に残念なことだと私は思います。 この件につきまして、
金融庁
さんとしてはどのようにお
考え
でしょうか。
海江田万里
14
○
海江田委員長
申し合わせの時間になっておりますので、手短にお願い申し上げます。
岳野万里夫
15
○
岳野政府参考人
恐れ入ります。
先生
から御
指摘
いただきましたとおり、
平成
二十一年から二年間かけまして、
投資助言
・
代理業者
に対する集中的な
検査
を行っております。私どもといたしましては、この業態に着目した集中的な
検査
でございました。 ただ、
AIJ投資顧問
は、広い
意味
で
投資顧問
でございますけれども、
投資一任業
を営んでおりまして、
投資助言
・
代理業
とは別の
業務
でございます。
投資助言
・
代理業
の
登録
はしておりませんでしたので、
本件
の集中的な
検査
の
問題意識
、すなわち
個人投資家
を中心とした
保護
の要請、そういった
問題意識
からは外れていたということでございまして、今回の
投資助言
・
代理業者
に対する集中的な
検査
では、その
対象
とならなかったという次第でございます。
海江田万里
16
○
海江田委員長
小野塚勝俊
君、まとめてください。
小野塚勝俊
17
○
小野塚委員
ありがとうございます。 今回起こった問題を踏まえ、難しい面は多々あるのかもしれませんが、
行政
が、ぜひとも
現実
の問題に
不作為
にならず、解決に向けて御
努力
をいただきたいと思います。 これで終わらせていただきます。
海江田万里
18
○
海江田委員長
次に、竹本直一君。
竹本直一
19
○竹本
委員
自民党の竹本直一でございます。 きょうは、この問題についての
質問
の時間をいただいたわけですが、限られた時間でございますので、できるだけ核心に触れた
質問
をいたしたいと思っております。 まず、
大臣
、私は、今回の事件は、今
お話
あったマドフ事件と全く同じ巨額詐欺事件だと思うんです。もうそれ以外ないとさえ私は思っております。こういう問題を起こしたことは、政治家としてどういう責任を感じておられるのか。先ほどの経過
報告
とそれに続いての
考え
の陳述を見ましても、余り責任感を感じておられるように見えないんですよね。本当にこれは大きい問題だということです。 要するに、監督官庁が
検査
に入っていながら全然見抜けなかった、こんなとんでもない
虚偽
報告書
がどんどん世の中に出回っている、それが日本の経済だ、こう思われると、日本に投資する人がますますいなくなりますよ。日本に対する直接投資が非常に少ないということで、この国は経済大国であるにもかかわらず、不思議な国だと思われているわけです。そういう悪い評価に、さらに加速度的にそういう信用失墜行為に類するようなことが起こってしまったわけであります。 結局、よく国の評価をするときにカントリーリスクとかいいますけれども、これはまさにクレディビリティーリスクですよ。信用リスクですよ。この信用がない国に誰が投資するのかということを
考え
ますと、日本の経済を活性化するためには、もっと外資も呼び込んで、どんどん経済活動を活発化しなきゃいけないこのさなかに、こんな事件を起こした。これについて、
金融担当大臣
としてどういう責任を感じておられるのか、ぜひ陳述をお願いしたいと思います。
自見庄三郎
20
○自見
国務大臣
AIJ投資顧問
会社
が引き起こした問題につきましては、極めて遺憾であるというふうに思っておりまして、さまざまな御批判を、いろいろなこういった
委員会
の場でもまたいろいろ受けておりますが、これは真摯に受けとめつつ、
金融庁
あるいは証券等監視
委員会
、しっかり、あらゆる選択肢を排除することなく、まず、
実態
の解明が今進行中でございますから、
実態
の解明をし、そしてきちっとこの
原因
を突きとめ、そして、一部もうわかってきておりますけれども、
再発防止
にきちっと努めていくことが、まず今の時点では責任であるというふうに私は思っております。
竹本直一
21
○竹本
委員
再発防止
に努めるのは当たり前のことでありますが、こういうことを起こされると本当に大変だ。
政府
の方では、今消費税を値上げしようといって、消費税を値上げしなければ日本の経済構造に対する信頼が失墜するんだ、だから値上げしなきゃいけないと言う人もいるぐらいですが、それほどあらゆる面において、日本のクレディビリティーについての疑念の念がいっぱい世界じゅうで巻き起こっているわけです。 ですから、ぜひ
大臣
、そういう全体を見て、やはりこういうことが二度と起こらないように徹底するのは当たり前でありますけれども、日本の
情報
は信用できるのだと。ある国は全然信用できない、こんな国は
海外
にたくさんありますが、それと同類にされては話にならないということを私は冒頭申し上げたいと思います。 具体的な
質問
をさせていただきます。 二〇〇五年以降、格付
会社
などから約四件の
情報
提供が、要するに、
AIJ
ですね、何かおかしいぞという
情報
提供があったようですけれども、それにもかかわらず、
検査
を行っていないんです。これはなぜか。まず、そこから答えてください。
岳野万里夫
22
○
岳野政府参考人
ただいま
先生
から御
指摘
いただきましたが、
平成
十七年度以降、今回の一月の立入
検査
に入るまでの間、
証券取引等監視委員会
の
情報
受付窓口に、
AIJ
の
関係
での
情報
提供は全部で四件入っております。 個別の
情報
提供に対しましてどのように
行政
対応
を行ったかということの詳細は、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、私ども、外部から寄せられた
情報
の活用につきましては、その内容を
検討
いたしまして、その
情報
の
重要性
、有用性の程度に応じて必要な
対応
を行うことといたしております。 外部から寄せられる
情報
につきましては、監視
委員会
の分だけで年間六、七千件ございますけれども、その中で、その内容とか
情報
提供者はさまざまでございまして、
検査対象
先の優先度を判断する際の
重要性
、有用性の程度にも差があることが実情でございます。 私どもとしては、
検査
実施の
観点
から、こうした
情報
の有用性、
重要性
を評価した上で、必要と認められる場合にはヒアリング等を行い、さらに必要と認められる場合に
検査
を実施することとしている次第でございます。 そうした取り組みの結果、結果としてでございますが、
AIJ投資顧問
に対する立入
検査
が本年の一月になったということでございます。
竹本直一
23
○竹本
委員
事務局長、岳野さん、あなたは専門家ですから、しかも、責任ある地位にある。そうすると、数字がいっぱいある、六千件の
情報
がある、だけれども、やはり仕事をやっておって、肌感覚というのがあるはずですよ。その肌感覚を感じないようでは困るんです。絶対あったはずですよ。 もう一回答弁してください。そういうことは全然感じなかったか。
岳野万里夫
24
○
岳野政府参考人
先生
には従来からいろいろ御指導いただいているところ、まことに厳しい御
質問
かと思います。 ただ、私、先ほど年間六千件と申し上げて、数が少ないから重要視しなかったということではございません。一つ一つの
情報
を拝見いたしまして、繰り返しになりますけれども、その
重要性
、有用性を判断しているわけでございます。 私どものまさに肌感覚を率直に申し上げさせていただきますれば、こういった
情報
の有用性というのは、業態とかその
会社
の規模その他の特性によっても異なるわけでございますけれども、例えば、具体的な証拠
資料
が添付されていて、
業者
の違法行為の疑いを示しているような
情報
、あるいは、
情報
提供者がまさに
業者
の
関係者
、例えば実際に取引をされている
顧客
とか内部者でございまして、当該
関係者
でしか知り得ないような
情報
、そういったものの場合には、まさに肌感覚と申し上げますが、非常にテンションが高くなるわけでございます。 そういったことで、一般的には、そういう中で
情報
を選別し、
検査
に結びつけていくということをしているということでございまして、これが率直な偽らざる心境でございます。
竹本直一
25
○竹本
委員
この問題にばかりかかわっておられないんですが、要は、七千件の
情報
を全部あなたに読みなさいと言っているわけではなくて、やはり、いろいろな会話の中、
会議
の中、いろいろなうわさの中、あるいはいろいろな業界の人との接触の中で、何かそういう感ずるものがあるはずですよ。そういう感覚が本来なきゃいけませんよということを申し上げているわけです。この問題はこれで終わります。 さて、
証券取引等監視委員会
のスタッフの数と
投資顧問会社
の数を比べますと、日米で、圧倒的に日本の数が少ない、こういう話は聞いております。アメリカが全部で四千人ぐらいスタッフがいるのに日本は七百人ぐらいだ、だから目が届かないんだという言いわけをする人もおりますけれども、結果として、
証券取引等監視委員会
の
検査
は平均二十年に一回あるだけだと。そうしますと、
対象
会社
を二十年に一回しか回らない。一体、何年だと全部回るんですか。
岳野万里夫
26
○
岳野政府参考人
恐れ入ります。
先生
の御
質問
の趣旨が、投資運用
業者
の数に対しまして年間の
検査
実施件数を見ていくと、そういったところから割り算をすると、大体二十年に一回しか回れないではないかという御
質問
であるといたしますと、仮に機械的に回れば、全部回るのに二十年はかかるということになってしまうわけでございますが、私どもの場合は、そういう機械的、形式的にというよりはリスクベースで
考え
てまいりまして、問題となる
業者
を選別して
検査
に入っていくという
考え
方をとっております。 ちょっと
質問
の御趣旨を取り違えているかもしれませんが……(竹本
委員
「では、私が言いましょう。要は、二十年に一回しか見ていないという……」と呼ぶ)
海江田万里
27
○
海江田委員長
ちょっと待って。竹本さん、指名をしますから、それから。 竹本直一君。
竹本直一
28
○竹本
委員
私の
質問
は、二十年に一回しか順番が来ないわけですよ、税務署でも三年に一回来るといううわさがあるぐらいですが、二十年に一回だったら、そんな、一世代かわってしまうじゃないですか、それでいいとあなたは思っているのかということを聞いているわけですよ。二十年に一回しか
検査
しないのでいいのかということです。
岳野万里夫
29
○
岳野政府参考人
事務方といたしましての御
説明
をさせていただくことになるかとは存じますが、御案内のとおり、投資運用
業者
も含めまして、金商
業者
は現在、
登録
業者
で約四千、届け出
業者
を入れて八千程度となっているわけでございます。 そういう中で、監視
委員会
の証券
検査
の体制もこれまで拡充させていただいてはおりますけれども、
現状
で、先ほど
先生
がおっしゃいました、監視
委員会
全体で七百人、証券
検査
で、地方も合わせて大体三百人弱でございます。 そういう中でいきますと、実際の
検査
にかかる人日を
考え
てまいりますと、全部一巡するということについては、機械的に計算すれば相当の年数がかかってしまうわけでございます。 私どもとしては、そういう中で、こういう限られた人的資源を的確かつ有効に活用しながら、効率的かつ効果的な
検査
を実施することが必要だということでございまして、必ずしも全部回らなくても、重要なところ、問題があるところを発掘して
検査
に入っていく
努力
をしていく、これが私どもの務めではないかと。
竹本直一
30
○竹本
委員
いや、もうそんなことはわかっているんですよ。 では、
大臣
に問います。 二十年に一回しか回ってこないような
検査
でいいと思っておられますか。副
大臣
でもいいです。
中塚一宏
31
○
中塚
副
大臣
先生
御
指摘
のクレディビリティーリスクということについては本当に重く受けとめなきゃいかぬ、そういうふうに思っております。 今、岳野事務局長から御答弁申し上げました。
現状
においては、機械的に計算をすると十九年に一度ということでありますが、その中でも、いろいろな
情報
等に基づき、またリスクベースで優先度をつけて
検査
をしているということであります。 ただ、これほどまでの事態が起こってしまったということを
考え
たときに、やはり政治の場にある者として、このままでいいというふうにはとてもではないけれども言えない、私自身はそういうふうに思っております。 ですので、今本当に行財政事情が厳しい折ではありますけれども、人的な面の充実ということも含めてしっかりと
対応
してまいりたい、そう
考え
ております。
竹本直一
32
○竹本
委員
二千億円の年金資産を運用する一方で、
金融
派生商品などの取引高は延べ五十七兆円、これは二〇一〇年の数字ですけれども、きょう買ってきょう売る、朝買って午後に売る、これを繰り返しても、二千億円の
ファンド
ですと、月に市場が開いている二十日間で十二カ月運用して四十八兆円になります。余りにも多いわけであります。このような、受託資産の規模に対して余りにも取引が多い。さらに、資産
管理会社
も、
浅川
氏が務めているところなど、身内でもあるわけであります。 さらに、運用報酬。この運用報酬についてちょっと
質問
をしたいんですけれども、これは
実態
を見ますと、非常にかたいパッシブ運用でも普通〇・三%ぐらいで、
AIJ
のような積極的なアクティブ運用なら〇・七%は取ると言われております。運用資産は二千億円ですから、運用報酬額がそれに対して七千九百万となっておりますが、〇・七%で、本来の世間相場で換算すると十四億円なんです。本来なら、普通なら十四億円ぐらいもらっていなきゃいけないのに七千九百万しかもらっていない。そんな数字を見ただけでも何か、何があるのかなと思うのが普通ではないかと私は思います。 ちなみに、
AIJ
の販売
資料
に記載された運用報酬は一・五%であります。うまく回っているならもっと成功報酬もあるはずだ。この数字を見ても、これは何かおかしいぞと思うのが普通だと私は思うんですが、これは監視
委員会
の方ですかね、お願いします。
岳野万里夫
33
○
岳野政府参考人
ただいま
先生
から御
指摘
いただきました点につきましては、それぞれごもっともな点であろうかというふうに思っております。 こういった点に着目し、こうした、今
先生
がおっしゃられたような数字が出てまいりましたのは最近でございまして、そういったことも踏まえ、また、先ほども申し上げましたような外部からの
情報
などの分析をした結果、今回、
AIJ投資顧問
と
アイティーエム証券
会社
に対して同時に
検査
に入る、こういう判断をした次第でございます。
竹本直一
34
○竹本
委員
証券取引等監視委員会
は、二〇〇六年と二〇〇九年、
AIJ
の営業を担当する
関係
会社
の
アイティーエム証券
、本体にじゃなくて
アイティーエム証券
に対して定期
検査
に入っておりますけれども、二〇〇九年といいますと、
格付投資情報センター
が
AIJ
の社名を伏せてニュースレターで警告した年であります。
金融
当局に対しても
AIJ
の懸念について
報告
していたわけです。それでも
検査
で問題を把握できなかった。これはどうしてなのか、そして、追加
検査
は行ったのか行わなかったのか、それを答えてください。
岳野万里夫
35
○
岳野政府参考人
先生
の御
質問
は、
アイティーエム証券
につきまして、
検査
にこれまで入っていた、特に二〇〇九年の春にも
検査
に入っていたということで、そのときになぜこの問題が発見できなかったのかということとお受けいたします。 今の時点から振り返ってみますれば、その時点で今回の不正の端緒などを得られなかったことにつきましては、結果的には、事務方といたしましても大変遺憾に思っているところでございます。 ただ、当時は、当時の
検査
といたしましては、
アイティーエム証券
に対し行った証券
検査
でございまして、一般論として申し上げますと、内部管理体制、
法令
等遵守体制及び
財務
の健全性等について検証したわけでございますが、結果的にその時点で
問題点
が発見できなかったということでございます。 追加
検査
をしたのかということでございますが、
アイティーエム証券
につきましては、この二〇〇九年の
検査
の後は、今回の
検査
まで
検査
は行っておりません。
竹本直一
36
○竹本
委員
オリンパス事件もそうですけれども、タックスヘイブンを活用して、租税回避地を活用してこういう
虚偽
の
報告書
を出し、いろいろ悪いことをするというのはいっぱいあるんですけれども、今回の問題はやはり同じことで、どういうことが行われたかが非常に見えにくくなっております。 日本は、IOSCO、証券監督者国際機構などを活用して租税回避地における
金融
取引の透明性を高めるような工夫をすべきだと思いますが、いかがですか。
自見庄三郎
37
○自見
国務大臣
竹本
先生
の意見に私も基本的に全く賛成でございまして、
金融庁
及び
証券取引等監視委員会
は、証券市場の公平性、透明性を確保するために、ケイマン諸島にかかわらず、
海外
の証券規制当局間に、今
先生
IOSCOという名前を挙げられましたけれども、必要に応じて、多国間あるいは二国間の
情報
交換枠組み等につき密接な協力
関係
を構築しているところでございまして、
金融庁
、
証券取引等監視委員会
においては、こうした協力のもとで、
AIJ投資顧問
における
海外
の
投資ファンド
等を通じた違法行為の
実態
解明に全力を挙げてまいりたいと思っております。 それから、もう
先生
御存じのように、これはオバマ大統領が、リーマン・ショックの後に大統領になられましたので、これは直接
関係
がないといえば
関係
ないです、租税回避行動に対する主な取り組みというもの、オバマ大統領も大変こういったところに
問題意識
を持っておりますし、これは税でございますけれども、国際的な租税回避行動を防ぐための立法化、あるいは税の抜け穴を塞ぐということで、二〇一〇年に外国口座税務コンプライアンス法の成立を図っているわけでございます。 やはり今は、全世界、我々としてもいろいろG8、G20の
報告
を聞きますと、大きくこういった租税回避地域、これは
先生
御存じのように、英領バージン諸島だとかバミューダ諸島だとかケイマン諸島だとか、今度もありました、オランダの植民地ですね、なんかにも当然こういうのがございまして、むしろずっと以前はこんなところを、タックスヘイブンのエリアを上手に活用してより利益を極大化するというふうなことは、
金融
工学では非常に一時大変流行したわけでございますが、果たしてそれでいいのかどうかという
問題意識
を、我々は今のリーマン・ショックの後の政治家として、しっかりそういう認識を持つべきだというふうに私は思っております。
竹本直一
38
○竹本
委員
時間がそろそろなくなってまいりました。最後に、
厚労省
に
質問
いたしたいと思います。 先ほど、小野塚さんの
質問
でも
話題
になっていましたけれども、厚生年金、本体が一・六%運用でいい、ところが厚年
基金
の方は五・五%運用、えらい差があるんですよね。 なぜそういうことをやりたがるかというと、大
企業
は、
確定拠出
年金とか
給付
年金なんかの方で十分優遇されますからいいんですけれども、本体が一・六%運用でも。しかしながら、
中小企業
はそういうことができない。だから、自分たちだけで運用させてくれ、余計配当が多い方がいいんだということで五・五%にしているんだと思いますが、余りにも差が大き過ぎるのではないか。本来できないことをできるようにしなきゃだめだというようなことで、こんな仕組みになっている。 要するに、仕組みにそもそも無理があるのではないかと思いますが、いかがですか。
藤田一枝
39
○
藤田大臣政務官
委員
の方から今御
指摘
がございましたように、五・五%の
予定利率
で運用している、これは、
基金
全体の八七%が五・五%という水準で現在もやっているということでございます。 これについては、いろいろな問題があるということ、御
指摘
をいただいておりまして、やはり見直しを、
予定利率
の引き下げ等も含めてきちっと指導をしていかなければいけない、この規制のあり方について
検討
しなければいけないというふうに
考え
ておりまして、四月に
有識者会議
を立ち上げまして、現在実施している各
基金
の運用体制に関する
実態
調査
なども踏まえまして、今後の
対応
ということについて
検討
をし、六月ぐらいまでに結論を出したい、このように
考え
ております。
竹本直一
40
○竹本
委員
こういう事件が起こると、一斉
調査
をする、先ほど
金融庁
の方も同じようなことを言っていましたけれども、それは、一斉
調査
できるのなら事前にずっとやっておけばいいと私は
金融庁
の方にも思いますよ。 最後に、この
質問
をもう一回させていただきたいと思います。 要は、今回の問題、年金問題を契機として起こりましたけれども、問題は、資産運用の安全性の問題だと思うんです。かつては、投資をするときに、どの分野、株が幾ら、国内株が幾ら、外国株が幾らだ、こういうふうにやっていました。それを数年前に撤廃いたしました。結局、自由にやれるようになったんですよね。だけれども、こういう事件が起こってみると、果たしてそれでいいのかな、ある程度枠をはめておいた方がいいんじゃないかと。ハイリスク・ハイリターンというのは、文字どおりハイリスクがあるわけでありますから、全資産をそこに放り込んだら大変なことになる。そして、困るのは
中小企業
の従業員だ。 こういうことを
考え
ますと、やはり
政府
としても政治責任上、一定の枠をはめながら、がちがちじゃ困るでしょうけれども、運用できないでしょうけれども、やはり一定の枠をはめながらやるというような指導をすべきではないか、もう一度見直す必要があるんじゃないかと思いますが、
金融担当大臣
、いかがですか。
自見庄三郎
41
○自見
国務大臣
竹本
先生
に今お答えをいたします。
先生
が言われたのは、以前は、実は年金の受託は、一九九〇年までは
信託銀行
と生命保険
会社
しか受託できませんでした。ところが、一九八七年だったと思いますが、
投資顧問
業という
法律
ができまして、一九九〇年に
投資顧問
業も実は年金受託に参入してまいりました。 私、この前も申しましたけれども、たまたま私は社会労働
委員会
の副部会長でございまして、非常に唐突に、にわかに
投資顧問
業というのが入ってきたということを今でも鮮烈に覚えております。それから、もう御存じのように、今
先生
が言いましたが、前はこういったものについては五・三・三・二という規制がございましたが、これも
金融
緩和の中で外せということで、大きな、ビッグバンの流れの中でこの規制も外したわけでございます。それから、今さっき言いましたように、
投資顧問会社
も、一任勘定は、その以前は認可制でございましたが届け出制に、これも規制緩和、小泉
内閣
のときにいたしました。 できるだけ
金融
というのは自由にした方が、結局、富がふえて、回り回って国民のためになるんだよという大きな思想があったわけでございますけれども、やはり私は、リーマン・ショックというのは、この席でも申しましたように、コペルニクス的変化があったと。アメリカだってドッド・フランク法とかボルカー・
ルール
をつくって、規制するところは規制するということでございまして、今ごろは国際
会議
に行きましても、
金融
規制をどうするのかということが大きなテーマになりますから、やはりそういった時代の流れも
考え
つつ、一人一人の国民の、特にこれは年金でございますから、まさに、非常に貴重なものでございますから……
海江田万里
42
○
海江田委員長
自見
大臣
、申し合わせの時間が来ましたので、まとめてください。
自見庄三郎
43
○自見
国務大臣
はい。 完全に規制しますと、これはまた鶏の卵を殺してしまいますし、しかし、規制をしなければやはりこういったことが起こるわけでございますから、そこら辺は本当に難しい、バランスの問題だ、こう思っておりますけれども、今までのままでは、私はやはり、時代の流れにも、また利用者の
保護
の
観点
からも、少しいかがなものかなという感じを率直に言って感じております。
竹本直一
44
○竹本
委員
金融
緩和の裏には厳しい事後チェックが前提になっておりまして、その厳しい事後チェックに
努力
を欠いていたのではないかというのが私の印象であります。 ぜひ、クレディビリティーの回復にしっかりと頑張っていただくことを最後に残しまして、私の
質問
を終わります。
海江田万里
45
○
海江田委員長
次に、竹内譲君。
竹内譲
46
○竹内
委員
おはようございます。公明党の竹内譲です。 きょうは、まず、
金融担当大臣
を初め
金融庁
の
皆さん
にお聞きしたいのは、大体、
AIJ
が集めた資金は約千五百億円、そのうちデリバティブ取引の損失が約千百億円だと
報告
されています。 問題は、これらの損失額が本当に損失なのかどうか。損失と見せかけて、どこかに資産を移して隠し持っているのではないか、こういうことが一番怖いんですよ。これがもし、そういうことがあったとしたら、本当に巨額の詐欺事件ですよね。 この辺についてはどのようなチェックをかけましたか。
岳野万里夫
47
○
岳野政府参考人
ただいま
先生
から御
指摘
いただいたような疑い、可能性につきましては、私どもも当然念頭に置きまして、これまで
検査
、
調査
を行ってきております。
検査
で確認できたところといたしましては、ただいま
先生
がおっしゃられたような取引でございますね、実際に、大阪証券取引所での日経二二五先物・オプション取引、東証、東京証券取引所におきます日本国債の先物オプション取引で運用していて、今御
指摘
いただいたような数字の損失を出した、出したのではないかということにつきましては、一定の取引記録がございまして、その照合、あるいは、先ほど
質疑
の中でも出ましたけれども、
海外
の
監査法人
が
ファンド
を
監査
した
監査報告書
、そういったものを突き合わせていきますと、
先生
おっしゃいましたように、九年間で一千四百五十八億円の資金を
AIMグローバルファンド
で受け入れ、先ほど申し上げましたような取引を中心として一千百億程度の損失を計上したということ自体は、一応そういうことはあったのかなというふうには、
検査
では見ております。 したがいまして、
AIMグローバルファンド
で集めた千五百億円の大宗なり丸ごと運用もせずに、運用を失敗したとうそを言ってどこかに隠しているといったようなことは、
現状
では、そういうことではないんじゃないかというふうには思っております。 ただ、膨大な
お金
の流れ、特に国境をまたいでいろいろ
お金
が動いておりますものですから、そういった
お金
の流れを
現状
で全て解明し終わっているわけではございません。 現在、
証券取引等監視委員会
では、証券
検査
は先週二十三日で終了いたしましたけれども、引き続き
犯則調査
は進めておりまして、二十三日からは
強制調査
の段階に入ってきております。 今後、この
AIJ投資顧問
等に対する
犯則調査
の過程でも引き続き
実態
の解明を進めまして、仮に
先生
が御
指摘
のような疑いが生じた場合には、捜査当局とも連携して厳正に
対応
してまいる
考え
でございます。
竹内譲
48
○竹内
委員
絶えずそういう疑いを持って、しっかりと
調査
を進めていただきたいというふうに思います。 それで、
報告書
によりますと、管理報酬などが四十五億円というふうになっておるんですけれども、これは
AIA
の成功報酬とか、それからその他の管理報酬とかというふうに伺っております。恐らくその中から
浅川
氏などの役員報酬が支払われたというふうに見ておるんですが、この管理報酬の中身について、大体どういう構成になっているか、お聞きしたいと思います。
岳野万里夫
49
○
岳野政府参考人
私どもが
検査
で確認いたしましたところでは、
先生
おっしゃいますように、
AIMグローバルファンド
から管理報酬等が九年間で四十五億円支払われております。この内訳でございますが、管理報酬として約三十六億円、成功報酬として約九億円、合計四十五億ということでございます。 この管理報酬等につきましては、
ファンド
のスキーム上、
AIMグローバルファンド
から
AIA
という
ファンド
管理会社
に支払われております。その後、先ほどから御
指摘
いただいておりますけれども、日本にあります
投資顧問
業者
である
AIJ投資顧問
、あるいは販売を担当しております
アイティーエム証券
、これが実質的にはグループで一体でございますので、その中でこれらの四十五億円が配分されていっているということでございます。その配分の先が、さまざまな経費、あるいは従業員の給与、さまざまな営業経費、あるいは役員報酬といったものに充てられている、あるいは
会社
の内部留保に充てられるというふうに見ているところでございます。
竹内譲
50
○竹内
委員
今のお答えは四十五億全体ですね、成功報酬と管理報酬を合わせたものですね。 この成功報酬九億とあるんですけれども、大半損失を出しておるのに、成功報酬九億というのは何だと、これはちょっと疑問に思うんですよね。この点と、それから、
浅川
氏などの役員報酬は大体幾らぐらいだったのか、この二点について、わかりますか。
岳野万里夫
51
○
岳野政府参考人
まず、御
質問
の第一の成功報酬につきましてでございますが、九年間の運用の中で、初期のころには収益を上げた時期もあるといったこともございまして、そういった
関係
もあろうかと思っておりますが、いずれにいたしましても、詳細のきちっとした解明は必要であろうと思っております。 それから、二番目の役員報酬につきましてでございますが、
浅川社長
が
AIJ投資顧問
の社長として役員報酬をどのくらい受け取っているかという点につきましては、個人の報酬に関するものでございますので、当局からは御
説明
は差し控えさせていただければと存じます。
竹内譲
52
○竹内
委員
これはまた後ほど詰めたいと思います。 それから、
金融
ブローカーとか
海外ファンド
などへの委託手数料が六十一億円、こうなっておるんですね。これは適正なものなのかどうか。私が心配しているのは、彼らが
浅川
氏らとぐるになっていないのか、六十一億円を自分たちの懐に入れている可能性はないのか、こういう点についてはいかがですか。
岳野万里夫
53
○
岳野政府参考人
ただいま、
金融
ブローカー等への委託手数料についての御
質問
でございますが、先ほど申し上げましたように、一応、デリバティブ取引などでの実際の取引が行われていたことは確認できておりまして、それに対する手数料として支払われた部分があり、また、一応、
海外
の
監査法人
の
監査
の
対象
としてチェックをされ、確認されているところでございますので、はなから、何といいましょうか、共謀して不当な手数料を取っているというところまでは
検査
では認定できておりません。 ただ、先ほども申し上げましたように、国境を越えた
お金
の流れを全て現時点で解明できているわけではございませんので、今後の
犯則調査
の過程におきまして、もし問題があれば、先ほどの問題と同じように厳正に
対応
していきたいというふうに
考え
ております。
竹内譲
54
○竹内
委員
それから、
投資事業組合
への出資が百八十一億円となっているわけですが、そのうち三十二億円は現預金として掌握している。しかし、その他の中身については一体どうなっているのか、この点についてはいかがですか。
岳野万里夫
55
○
岳野政府参考人
AIMグローバルファンド
の運用先のうち、
投資事業組合
への出資分が百八十一億円ほどあるということでございまして、これのうち、私どもといたしまして、
検査
の過程で、その内容、内訳がどうなっているのか、できる限り
調査
をいたしまして確認いたしましたところでは、現預金が三十二億円、これは国内の銀行にあるということは確認できております。 その他の
投資事業組合
への出資の中身でございますが、
AIMグローバルファンド
の持ち分そのもの、すなわち、
年金基金
から
お金
を集めた
AIMグローバルファンド
から
投資事業組合
に出資をして、またそこで
AIMグローバルファンド
を購入しているといったような形になっております。そういった
AIMグローバルファンド
の出資持ち分が大宗でございます。 そういうことで、現預金以外の資産につきましては、その正確な内訳と時価につきましては、現時点では御
説明
できるところには至っておりません。
竹内譲
56
○竹内
委員
これは大事な点なんですよね。これが全くなくなっているのか、どこへ持っていったのか、百五十億近くの
お金
が解明できていないということは非常に残念なことだというふうに思いますし、これは、ぜひ、
強制調査
等で絶対に解明をしていただきたいというふうに思います。 それで、
AIJ
は、解約を申し出た
顧客
の
年金基金
に対して、ほかの
顧客
から預かった資産を流用して払い戻しに充てていたという事実がありますね。これは特に二〇〇九年ぐらいから顕著だというふうに言われているわけですが、それは大体どのぐらいの金額、総額であったのか、これについては掌握していますか。
岳野万里夫
57
○
岳野政府参考人
先生
御
指摘
の、解約を申し出た
基金
に対して、
ファンド
の資金を解約して払い戻すということをせずに、新規の
顧客
を勧誘してきて、いわば転売、有価証券の持ち主を変更するといいましょうか、
AIMグローバルファンド
の持ち主を変更する転売スキームで
対応
していたということが確認できております。 ただ、実際に転売された額が幾らかということにつきましては、
検査
の過程で相当力を入れて検証いたしたわけでございますが、若干、その取引の記録の保存に難がございまして、現時点で、
検査
の結果として幾らであるということが御
報告
できる
状況
ではございません。
竹内譲
58
○竹内
委員
しかし、この転売スキームを実行したことは事実だと。 ということは、これは明らかに、運用の意思なく、偽計によって、つまり人を欺いて金を集めて流用していた、金品を不法領得したというのと同じですよね。つまり、詐欺罪に該当するのではないかなというふうに思うんですが、この点についてはいかがですか。
岳野万里夫
59
○
岳野政府参考人
まさに、そういった
先生
の御
指摘
の
問題意識
、すなわち、転売によって、かつ、その転売の際に
実態
と異なる価格で転売をしていたといったようなことがございまして、そういったことを踏まえまして、私ども監視
委員会
としては、三月二十三日の金曜日に、
金融
商品取引法の
投資一任契約
の締結に係る偽計、法第三十八条の二第一号の嫌疑で
強制調査
を実施したところでございます。
先生
の御
質問
は、さらにそれが刑法に定める詐欺ではないのかという点でございますが、刑法上の詐欺につきましては、証券監視
委員会
における
犯則調査
の
対象
外となっておりまして、捜査当局が捜査なさる事項でございます。 したがいまして、証券監視
委員会
自身が詐欺罪で告発をするとか詐欺罪での
犯則調査
を行うことはございませんが、通常、先ほどの金商法の、私どもの嫌疑でございます
投資一任契約
の締結に係る偽計の
調査
と詐欺罪の捜査というのは、まさに
先生
がおっしゃっておられましたような点でオーバーラップしてまいるわけでございます。 そういう場合には、私どもの金商法違反事件の
調査
と捜査当局における詐欺罪での捜査というのは連携して進め得るものでございますので、今後、捜査当局と緊密に連携をとって、
事案
の解明と厳正な
対応
に取り組んでいきたいと思っております。
竹内譲
60
○竹内
委員
しっかりやっていただきたいと思います。 それから、
AIJ
が預かり資産の運用
業務
を始めた二〇〇二年から二〇〇三年当初に、実は、
AIJ
はまだ事業認可を正式には得ておらず、買収
予定
であったアメリカの保険
会社
、シグナ・インターナショナル・インベストメント・アドバイザーズの名義で営業していた疑いがあると言われているわけです。 これは事実ですか。もし事実であるとすれば、これは名義貸しに当たるんじゃないか、このように思いますが、いかがですか。
細溝清史
61
○
細溝
政府参考人
お答え申し上げます。 御
指摘
の報道があったということを私ども承知しておりますが、
行政
文書を確認しましたところ、
投資一任業
務の認可申請書は三十年の保存
義務
がありますが、それ以外の文書は最長五年が保存期間でございまして、文書が存在しておりません。したがいまして、この報道のような事実について確認できていないということでございます。
竹内譲
62
○竹内
委員
これも今後の
強制調査
の中でやはりきちっと調べていただく必要があるというふうに思います。 それから、最後になりますが、
AIJ
は、本年一月下旬に
証券取引等監視委員会
が
検査
に乗り出してからも、
顧客
に対して委託金の増額を求めるなどの営業活動をしていたという疑いも持たれています。これは事実でしょうか。
細溝清史
63
○
細溝
政府参考人
お答え申し上げます。 まず一般論を申し上げれば、監視
委員会
の
検査
中でありましても、金商
業者
は通常と同様に営業することができます。したがいまして、
AIJ投資顧問
が
検査
中に営業を継続していたことをもって金商法上の問題が直ちに生じるものではございません。 なお、事実として申し上げると、
AIJ投資顧問
について、監視
委員会
の
検査
の着手から
業務停止命令
を発出するまでの一カ月の間、新規の一任契約の締結あるいは既存契約の増額は行われていないということを確認しております。
竹内譲
64
○竹内
委員
強制調査
が始まっていますが、今
指摘
した点をしっかりと
調査
して、やはり国民の不安を少しでも取り除いていただきたい、このように要望して、
質問
を終わります。 ありがとうございました。
海江田万里
65
○
海江田委員長
次に、
佐々木憲昭
君。
佐々木憲昭
66
○佐々木(憲)
委員
日本共産党の
佐々木憲昭
でございます。 まず自見
大臣
にお聞きしますけれども、監視
委員会
はこの
AIJ
問題をなぜ見抜けなかったのかという点でありますが、例えば二〇〇九年、
証券取引等監視委員会
は
アイティーエム証券
に
検査
に入っております。報道によりますと、
浅川社長
は、その際、私も事情聴取を受けた、変なうわさをされて頭にきた、何もなかったので安心してください、
基金
側にこういう
説明
をしているというんですよ。 監視
委員会
は、
浅川
氏から直接事情を聞いた事実はあるんでしょうか。既にこのとき、うその
報告書
を出していたわけで、それを見抜けなかったことが、逆に利用されていると言わざるを得ない。この点、どう思いますか。
岳野万里夫
67
○
岳野政府参考人
先生
御
指摘
いただきましたように、
アイティーエム証券
に対しましては、二〇〇九年の二月に
検査
に入っております。 なお、
AIJ投資顧問
の
浅川社長
は、
アイティーエム証券
の当時
役職員
とはなっておりませんでした。 一般論で申し上げますと、証券
会社
に対する
検査
は、当該証券
会社
の内部管理体制あるいは
法令
等遵守体制、
財務
の健全性等に対して行うものでございまして、必要かつ適当と認められる場合には取引先などの
関係者
に対してもヒアリング等を行うこともございますが、基本的には、
業務
の
状況
等について当該証券
会社
の
役職員
にヒアリング等を行うことが中心となるわけでございます。 なお、この二〇〇九年の
アイティーエム証券
の
検査
の際にどのような者にヒアリング等を行ったかにつきましては、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
佐々木憲昭
68
○佐々木(憲)
委員
それは後で事実を確認したいと思います。 次に、本気でだまそうとしてくると見抜くのは難しいと監視
委員会
の方が言ったという報道がありますが、例えば、ケイマン諸島の
AIMグローバルファンド
、これを
監査
しているケイマンの
監査法人
の
監査報告書
というのがあるわけですね。これは
AIJ
にあったはずであります。それを手に入れなかったというのはなぜなんでしょうか。現在手元にあるようですけれども、早目に手に入れていればこの改ざんは見抜けたはずだと思いますが、これはいかがでしょうか。
岳野万里夫
69
○
岳野政府参考人
先生
が御
指摘
されますように、本日のこの
委員会
での
質疑
での経過からいたしますと、まさに、この
監査報告書
が
AIJ投資顧問
のところでとまっていた、それを早く見ることができればということは、御
指摘
のとおりだと思っております。 私どもの場合につきましては、今回、
検査
、立ち入りをして、これまで
検査
は入っていなかったということ自体がどうかという御批判は御批判といたしまして、今回の立入
検査
でそういったものまで把握をしてこういう
行政処分
勧告
をした、するに至った、その端緒となっている、こういうことでございます。
佐々木憲昭
70
○佐々木(憲)
委員
二〇〇六年一月に、厚生年金資産の運用を手がける都内のコンサルタント
会社
が、
ファンド
スキームが不明であるということで、監視
委員会
のホームページから
AIJ
グループの
調査
を求める通報をしていたようでありますが、この
会社
が
AIJ
からセールスを受けたのは二〇〇三年だったと報道されております。
資料
には利回りの運用実績の記載があったけれども、
基金
が預けた
お金
が
信託銀行
を通じて、
AIJ
が実質支配する
アイティーエム証券
に流れた後、最終的にどこに行ってしまったのか不透明だった、
説明
を求めたけれども
情報
は
開示
されなかった、そこで、こういう
調査
を求める通報をしたそうであります。いつか
金融
当局が動くと思っていたが、その気配はなく、
AIJ
の受託額がふえていった、通報は警告だった、もっと早く調べていれば、この問題はこれまで大きくならなかったはずだ、こういうふうに言われているわけです。 この
情報
はキャッチしていたのかどうか。それから、四件という先ほど
説明
がありましたが、その中にこれは入っているのか、それともそれ以外の
情報
として扱われているのか、
説明
していただきたい。
岳野万里夫
71
○
岳野政府参考人
御
質問
の
情報
提供の件につきましては、さる雑誌に掲載された報道をもとにされているのではないかというふうに拝察いたします。 個別の
情報
提供につきまして、その
情報
が監視
委員会
の窓口に入っていたのか、あるいはその
情報
に対して個別にどのように
対応
したのかにつきましては、恐縮でございますが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。 いずれにいたしましても、私どもは、先ほど来御
説明
申し上げておりますが、
AIJ投資顧問
に関する
情報
につきましては、監視
委員会
の受付窓口にこれまで四件ございました。また、さまざまな、先ほど来
議論
になっております事業
報告書
の
情報
その他、あるいは、ここでも何度も
議論
になっておりますある業界の専門誌、そういったような
情報
については承知をしていたわけでございますけれども、結果的に、立入
検査
を実施いたしましたのがことしの一月ということになった、結果的にはそういうことでございます。
佐々木憲昭
72
○佐々木(憲)
委員
こういう
情報
に的確に
対応
していれば、今のような事態にならなかったはずであります。 二〇〇七年に、金商法の改正が行われて、それが施行され、許可制から
登録
制に変わりましたね。そのために、
投資顧問
業を
登録
する
業者
が急増しております。
投資一任業者
は現在二百六十五社ということでありますが、年金運用に関する
投資一任契約
の件数も、当時、
平成
六年には四百件程度あったんですけれども、現在五千二百件を超えております。これだけ
対象
がふえれば、当然、監視
委員会
としては、まともに
対応
するのが非常に難しくなってくると思うんですね。 これを監視、監督する職員の数、現在何人いるのか、それから、二〇一〇年度、一一年度に実施した
検査
件数、これは何件か、お答えいただきたいと思います。
岳野万里夫
73
○
岳野政府参考人
まず、
検査
の職員の
関係
でございますが、
証券取引等監視委員会
の事務局及び地方の
財務
局の監視官部門を合わせまして、二十三年度の定員は七百四名でございます。そのうち、証券
検査
を担当する職員は二百九十三名となっております。 また、投資運用
業者
に対する
検査
の実績でございますけれども、二十一年度十八件、二十二年度十五件となっております。
佐々木憲昭
74
○佐々木(憲)
委員
これは、体制としては非常に不十分だと思うんですね。それから、
検査
の件数も年間数件あるいは十数件という程度であります。 自見
大臣
、こういう体制で果たして
対応
できるのかどうか、見解を聞かせていただきたい。
自見庄三郎
75
○自見
国務大臣
今、岳野
参考人
が言われましたように、
平成
十九年だったと思いますが、
金融
商品取引法の施行によりまして、今
先生
が申し上げましたように認可制から
登録
業務
になったわけでございまして、このときも、
先生
御存じと思いますが、実は、全体では大きく規制緩和をしたわけでございますが、それまで野放しであった不動産信託受益権の運用
業者
も百近く、金商法の中で横串ということで規制がかかったわけでございます。 そういった中で、確かに、人間が少なかったと言ったらお叱りいただくのは事実でございますけれども、そういった事情もこれあったということも御理解をいただければありがたいなというふうに思っております。 不動産信託受益権の運用
業者
を新たに金商法の中に加えたものですから、大変な反発、反対があったのでございますけれども、そういったことを乗り越えて認可制から
登録
制にさせていただいたという経緯も御理解いただければありがたいなというふうに思っております。
佐々木憲昭
76
○佐々木(憲)
委員
そういう規制緩和が全体としてこの監視活動を後退させていく、そういうものと合わさって今のような事態を招いているわけであります。根本的にこの点を見直す必要があると私は思います。 最後に、
浅川社長
と
アイティーエム証券
の
西村
社長が
企業
年金の担当者と面会して、残った資産の返還に向けて協議したと伝えられていますが、これを
金融庁
が呼びかけて協議の機会を用意したという報道がありますが、これは事実でしょうか。また、話し合いはどういう内容なんでしょうか。
細溝清史
77
○
細溝
政府参考人
お答え申し上げます。
顧客資産
の保全につきましては、基本的には当事者間で協議すべき事項ではございます。ただ、当局といたしましても、
顧客資産
の保全が円滑に進むように三月二十三日に
業務改善命令
を
両社
に対して発出しております。 そこで、
厚生労働省
の協力も得まして、
AIJ
の
浅川社長
、同社の代理人弁護士、それから
アイティーエム証券
の
西村
社長及び同社の代理人弁護士と
年金基金等
の
顧客
の代理人弁護士との間で資産保全について話し合いを行う、そういう場、機会を設けたところでございます。
佐々木憲昭
78
○佐々木(憲)
委員
今回、
虚偽
によって年金資産を失った
基金
の加入者、それから
受給者
等、八十八万人が不利益をこうむっているわけであります。場合によっては、中小零細
企業
が年金倒産に至るというおそれもある、こういう重大な事態でありますので、これは今後、被害者に対する十分な補償、これをどのようにやっていくのか、それから、二度とこういうことが起こらないように、その体制をどのようにつくるのか、この点について最後に
大臣
の見解をお聞きしたいと思います。
自見庄三郎
79
○自見
国務大臣
今回の一連の事件において、
厚生年金基金
、あるいはいわゆる厚生年金、上乗せ三階分と申しますし、あるいは個人年金と申しますけれども、ここが結果として大きな被害を受ける可能性が非常に強いわけでございますが、今、
先生
、大変言いにくい話でございますけれども、やはり基本的にこれは
自己責任
、管理責任がございまして、民民でやっていくというのは時代の大きな流れでございまして、そういったことで、それが原則でございますが、しかしながら、我々は政治家ですから、いろいろ
原因
を究明、今事実解明をやっておりますし、
原因
をはっきりさせる、あるいは
再発防止
の中で、しっかり、この
委員会
を初め
皆さん
方の御意見をいただきながら解決策を見出していきたいというふうに思っております。
佐々木憲昭
80
○佐々木(憲)
委員
新自由主義に基づくこういう規制緩和には反対であるというふうに今まで叫んでいた
大臣
にしては、随分その
対応
が甘いのじゃないかと思います。 厳しく
対応
するように求めて、
質問
を終わりたいと思います。
海江田万里
81
○
海江田委員長
次に、
豊田潤多郎
君。
豊田潤多郎
82
○豊田
委員
新党きづなの
豊田潤多郎
でございます。 私の持ち時間は十分ということでございますので、簡潔に進めていきたいと思っておりますが、
質疑
に入る前に、今回の
AIJ
に関する国会の審議ということにつきまして、基本的なあり方を整理しておきたいと思っております。 私は、今回の
AIJ
の件は間違いなく司直の手に委ねられるであろうと思っておりますし、刑事責任は司法の場において徹底的に究明されるべきであります。しかし、国会における審議のあり方は、刑事責任を追及する司法の場とは異なります。国会においては、今回のように公的な資金を毀損するような事犯について、その発生をいかに防ぐかという
観点
から審議が行われるべきであります。すなわち、次の三つの点が精査、
検討
される必要があると思っております。 第一に、なぜ今回このような事犯が起きたのか、逆から言えば、なぜ今回このような事犯の発生を防ぐことができなかったのか、この
原因
、理由を解明すること。第二に、この第一の
原因
、理由の解明に基づいて
関係者
の責任の所在を明確にすること。それから第三番目が、今回の、今後の防止策として、第一点、第二点を踏まえて、立法措置を含め、具体的な手だてを早急に講じていくこと。これが国会で
議論
されるべきことであると
考え
ております。 そこで、第一点、第二点のことに関して言いますと、私は、監督官庁としての
金融庁
に大変大きな責任があるのではないかと思っております。 当初、この会の冒頭に
大臣
が挨拶をされました。そのときに、
再発防止策
のところに、本
事案
が露見することなく拡大した
原因
といたしましてはというくだりがございますが、これを私聞いておりまして、まるで人ごとのように、他人事のように何かおっしゃっているような気がしたわけであります。
金融庁
がまず監督官庁として、あるいは
証券取引等監視委員会
も同じく監督官庁の一角にあると思いますけれども、再三いろいろな
委員
から
指摘
がありましたけれども、二〇〇八年以降、
AIJ
については、資金洗浄の疑いがある、いわゆるマネーロンダリングですね、そういう疑いがあるとか、運用実績が不自然だ、特にリーマン・ショック以降のあの運用実績というのは本当におかしいと思いますけれども、そういう
情報
が、
海外
の当局、あるいは国内の
金融
機関や専門家、そういうところから寄せられていたのに、なぜ手を打ってこなかったのか。これは、私は、本当に監督官庁として大変な責任があると思っております。 何らかの手を打っていれば今回のことが全面的に防げたというのは難しいかもしれませんが、少なくともここまで大きな問題にならずに影響を食いとめることができたのではないかという気もいたします。 まず、
大臣
、あるいは副
大臣
、どちらでも結構です。
中塚一宏
83
○
中塚
副
大臣
まず最初に、このような事態に立ち至ったことは本当に遺憾で残念に思っております。 そして、今、豊田
先生
から御
指摘
がありました。数々
情報
が寄せられていた、早く
検査
、
調査
に着手をしておれば被害を拡大することはなかったのではないかという御
指摘
でございます。 先ほど来、私どもの
証券取引等監視委員会
からも御答弁申し上げております。厳しい行財政事情の中で、限られた人員で、いろいろな
情報
に基づき、またリスクベースで
検査
を行っているということなんでありますけれども、
現実
問題、
実態
といたしましては、
検査
に入るということ、たくさんの
情報
の中から、それでも
検査
に入るという場合には、例えば、具体的な証拠書類が添付をされておって、
金融
商品取引
業者
の違法行為の疑いを示している、そういう具体的な
情報
とか、あるいは当該
関係者
しか知り得ないと
考え
られる
情報
、さらに同じ時期にたくさんの方から今申し上げたような具体的な
情報
が寄せられているという場合には
検査
、
調査
を行っているというのが実情でございます。 そういう
意味
で、
実態
はそういうことなんですけれども、こういった事態に立ち至った経緯、そしてその
原因
を
考え
ますときに、改善すべき点は本当にたくさんある、そういうふうに思っております。まさに人員の面もそうであります。また、
情報
をお寄せをいただく、具体的な
情報
ということであれば、やはりそういった
投資家
の意識も変えていっていただかなきゃいかぬという点もあると思っています。
豊田潤多郎
84
○豊田
委員
今の答弁もわからなくはないんですが、大変受け身というか、もう少し
行政
は
情報
にいろいろと、私も役所の経験がありますが、
金融
のことも、
検査
もやっておりましたし、また国税もやっておりました。大体怪しいというようなところは目星をつけて逆に内偵していくというのが役所のやはり積極的な
対応
姿勢ではないかと思っています。今後、またこれは折につけて追及していきたいと思います。 時間がありません。次の、第三点の今後の防止策の中で、次の
話題
でありますが、今、
金融庁
が
外部監査
の
義務
づけを
検討
されているということを聞いています。これは大いに進めるべきで、結構な話ではないかと思っていますが、今回の問題の中で、非常に私は、
信託銀行
の役割というのが、責任が大きいのではないかというふうに
考え
ています。 今回の
AIJ
のような投資運用
業者
が
運用受託
しましても、実際の財産管理は
信託銀行
が行うということになっておりますし、
信託銀行
が受託を受けた
基金
の財産管理
状況
についてその当該
基金
に
報告書
を出す、提出するということになっている、こういう仕組みです。
信託銀行
というのは、
投資顧問
業者
とは異なりまして、極めて大きな社会的信用力があります。さらに、マーケットやマーケットに参加している
業者
についても的確に
情報
を入手する、そういう
調査
能力を持っている、大きな信用力のあるところであります。
信託銀行
がもっとチェックを厳しく行っていれば、この
AIJ
や
アイティーエム証券
の不自然さ、あるいはおかしな取引というのに気がついたのではないかと私は思います。 残念なことに、信託協会の会長は、後から来られますが、私、
質問
するつもりですけれども、三月十五日の記者会見で、
信託銀行
として見抜くことは不可能、こう言い切っておられる。しかも、その信託協会の会長は、当事者としてのみずほ
信託銀行
の社長でもある。 私は、
信託銀行
の責任というのは今回非常に大きいものがあると思いますが、監督官庁としてどのように
考え
ますか。
中塚一宏
85
○
中塚
副
大臣
今回の事例でありますと、
信託銀行
自身は投資判断を行う立場にはなかったということがまず第一点目でありますし、さらには、今
お話
しの
監査報告書
でありますが、これが改ざんをされていたということも監視
委員会
から聞いているところであります。 いずれにいたしましても、そういったことを踏まえ、今後、こういった
事案
に関しまして
信託銀行
がどのような役割を果たしていくべきかということについてはちゃんと
検討
していきたい、そう思っております。
豊田潤多郎
86
○豊田
委員
最後に、
大臣
にお聞きしたいんですけれども、感想で結構でございますが、私は今の副
大臣
の答弁には納得いたしません。
信託銀行
というのは、財産を預かっていて、善管注意
義務
がありますし、今申し上げたように、マーケットやマーケットの参加者に対する
調査
能力というのは抜群のものがあるわけです。それを
信託銀行
がもう少し責任をきちっと務めていれば、この問題は、私は、逆に言うと、
金融庁
よりも早く
情報
を入手して、
対応
を的確にとれていたんじゃないかと思っていますし、今、
金融庁
や
証券取引等監視委員会
の人員だけでは大変手が届かないというのはわかっています。だからこそ、
信託銀行
や、あるいは場合によっては全銀協やそういう
金融
機関、信用力のあるところの協力も得て、官民一体でこういう問題の防止策をとっていく、これが大事なことではないかと思いますが、最後に
大臣
の答弁を求めて、終わります。
海江田万里
87
○
海江田委員長
大臣
、
質疑
時間が終了しておりますので、ごく手短にお願い申し上げます。
自見庄三郎
88
○自見
国務大臣
先生
の御
指摘
の問題でございますが、
年金基金等
の運用管理に関する
信頼性
を確保する
観点
から、
金融実務
を踏まえた
実効性
のある、今
先生
からも御提案がございましたが、
実効性
ある
再発防止策
を、
先生
方と、あるいは
関係省庁
とも連携しつつ、幅広くきちっと
検討
し、実現させていただきたいというふうに思っております。
豊田潤多郎
89
○豊田
委員
終わります。
—————————————
海江田万里
90
○
海江田委員長
引き続き、
金融
に関する件について
調査
を進めます。 本日は、
参考人
として、
一般社団法人信託協会会長
野中隆史君、
日本証券業協会会長
前哲夫君、
AIJ投資顧問株式会社代表取締役
浅川
和彦君、
アイティーエム証券株式会社代表取締役
西村
秀昭君、
株式会社東京年金経済研究所代表取締役
石山勲君、以上五名の
方々
に御
出席
をいただいております。
参考人
各位におかれましては、本
委員会
に御
出席
を賜りまして、まことにありがとうございます。 今般の
AIJ
問題に関し、
参考人
各位から御意見をお述べいただき、
調査
の参考にいたしたいと存じます。 なお、
参考人
として本日
出席
を求めておりました
AIJ投資顧問株式会社
取締役高橋成子君から、体調不良のため
出席
できないとの申し出がありましたので、御
報告
いたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
参考人
各位からそれぞれ三分以内で御意見をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度
委員長
の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、
参考人
は
委員
に対し
質疑
をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。 それでは、まず野中
参考人
にお願いいたします。
野中隆史
91
○野中
参考人
信託協会の会長をしております、みずほ
信託銀行
の野中でございます。 本日は、このような場で意見を述べさせていただく機会を頂戴いたしまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。 今回の
AIJ投資顧問
にかかわる事件でございますが、これは、年金
制度
そのものを揺るがしかねない大きな社会問題になっており、年金
制度
の一役を担います立場である信託業界においても大変遺憾であると
考え
ております。委託者である
基金
の
方々
の御苦労、
受給者
の
方々
の御不安はいかばかりのものかと感じております。 私ども信託協会は、創立以来、年金
制度
の普及や健全な発展のために、さまざまな活動を行っております。
信託銀行
は、不動産、年金、証券代行など、広く信託
業務
を展開しておりますが、中でも年金
業務
は、長い歴史があり、社会のインフラとして提供する機能として、最も重要な
業務
の一つに位置づけられると思っております。
信託銀行
が取り扱う年金
業務
でありますが、大きく分けて二つの種類がございます。 一つは、いわゆる年金信託と言われるもので、
年金基金
からお預かりした資産につきまして、
信託銀行
みずから運用の方法を決定するものでございます。預かり資産の保管、管理などについてもあわせて行いますが、
信託銀行
みずからが運用の裁量を有している、この点が大きな特徴となります。 もう一つは、年金特定信託と呼ばれるものでございまして、
年金基金
から運用を一任されました
投資顧問会社
が運用の方法を決定するものでございます。 今回の
事案
は、この年金特定信託スキームに当たります。
信託銀行
は、
投資顧問会社
が決定した運用方法に基づきまして、お預かりする資産の保管や管理などの機能を提供することになります。 これら二つのスキームの違いを御確認いただいた上で、次のページの、今回の
事案
に照らしたスキームの
資料
をごらんいただければと思います。 先日、三月二十三日に、
証券取引等監視委員会
の
検査
結果が公表されました。そこで判明いたしました事実
関係
も踏まえまして、スキーム
関係者
を改めて整理する形で記載したものでございます。 今回の
事案
を受けまして、信託協会では、今まで
信託銀行
が担っていた
業務
範囲にこだわらず、どういった仕組みであれば今回のような事件を未然に防ぐことができるのか、その仕組みが有効に機能するためにはいかなる措置が必要なのか等々につきまして
検討
を始めております。例えば、
海外ファンド
などにおける時価
情報
の伝達に
信託銀行
がもっと関与できるようにするなど、今回のような偽装行為から
基金
を守るための仕組みなどにつきまして
検討
を進めているところでございます。 今後、信託協会といたしましては、スキーム
関係者
や
関係省庁
と協議をさせていただき、御協力を仰ぎながら、
基金
を初めとする皆様の年金
制度
に対する不安を払拭し、よりよいものにしていくために、引き続き
努力
を重ねていきたいと
考え
ております。 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
海江田万里
92
○
海江田委員長
ありがとうございました。 次に、前
参考人
にお願いをいたします。
前哲夫
93
○前
参考人
日本証券業協会会長
の前と申します。 諸
先生
方におかれましては、常日ごろ、証券市場、証券界に対しまして御理解と御支援を賜り、まことにありがとうございます。この場をおかりし、厚く御礼申し上げます。 年金は、国民に老後の所得として安心を提供するものであり、その年金の資金が失われた今回の事件は、国民の皆様への影響も極めて大きく、また、投資に対する不信感を国民の皆様に与えかねない重大な事件であります。悪質な行為を行った
業者
に対しては、
法令
や規則に照らし厳正な処分が行われるべきだと
考え
ております。 今回、本協会の会員である
アイティーエム証券
が
金融庁
から
行政処分
を受けましたが、大変遺憾に思っております。また、
AIJ投資顧問
においても、かつて証券
会社
に在籍していた者が主導して不正を働いていたとのことであり、こうした問題で証券界が注目されることは大変不本意であります。 本日は、せっかくの機会をいただきましたので、今回の事件について私の見解を述べさせていただきます。 今回の事件は、国民の皆様の大切な年金を運用している
年金基金
に対し、
運用成績
が好調であるように偽って勧誘することにより多大なる被害を与えたものであり、年金
制度
や投資そのものに対する不信感を国民の皆様に与えたという点でも、非常に問題の大きい事件であると
考え
ております。 本協会の会員である
アイティーエム証券
が、
虚偽
の内容に基づいて
年金基金
に勧誘行為を行い、被害を拡大させたということでありますので、
顧客
に対して誠実かつ公正に
業務
を遂行しなければならない証券
会社
にとって、極めて悪質な行為であると
考え
ております。 本協会といたしましても、
アイティーエム証券
に対し、事実と
ルール
に則し厳正に対処する所存であります。 加えて、
証券取引等監視委員会
から出された処分
勧告
や、
金融庁
による
行政処分
の内容を十分に
検討
し、
再発防止
に向け、自主規制機関としてどのような
対策
をとれるのか、早急に
検討
に着手いたします。 最後に一言申し添えます。 今後、
政府
においても、事件の
再発防止策
として、現在の規制のあり方について、その強化も含めて
検討
されるものと想像いたします。 国民の皆様に安心を提供する年金の運用で、今後、断じてこのような事件が発生してはならないものと
考え
ておりますし、証券界として見直す点があれば、その点については迅速かつ適切に
対応
してまいります。 しかしながら、規制の強化を
検討
するに当たっては、
金融
イノベーションの発展とのバランスや、国際的な競争力の確保といったさまざまな点を考慮していただきたいと存じます。 以上、私の意見を申し述べさせていただきましたが、私どもも、証券界といたしましても、多くの国民の皆様が安心して投資を行うことができる環境整備を行ってまいりたいと存じますので、引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げ、私の冒頭陳述とさせていただきます。 ありがとうございました。
海江田万里
94
○
海江田委員長
ありがとうございました。 次に、
浅川
参考人
にお願いをいたします。
浅川和彦
95
○
浅川
参考人
AIJ投資顧問
の
浅川
でございます。 前回の
財務
金融
委員会
に
出席
できなかったことを、まずもっておわびしたいと思います。 一月の二十三日、それから二月の証券等監視
委員会
の
検査
、二月の二十四日の
業務停止
及び
業務改善命令
があり、三月の二十三日の
検査
結果通知書及び
登録
免許の取り消しといったことの中で、約二カ月間にわたる
検査
の中で、時間もかかり、全然出ないでいたこともおわびしたいと思います。 まず、時間がかかったことに対する
説明
と謝罪がなかったということで、この場をかりまして、おわびしたいと思います。 今回、私どもの
ファンド
に関して、信頼して買っていただいた全受益者の皆様に対しても、この場をかりておわびしたいと思います。 特に、
年金基金
の皆様、
受給者
の皆様、それから加入者の皆様、さらには一般
投資家
の皆様も買っていただいております。その
方々
全員に対しても、おわびしたいと思います。 さらには、私どもの
ファンド
の
受託銀行
、それから同じ
投資顧問
業界の同業他社の
皆さん
、さらには他の
金融
機関様、きょうお見えになっている
信託銀行
様、あるいは証券業協会様にも多大なる御迷惑をおかけしたということを、本当に心からおわびしたいと思います。 私どもの全受託者の皆様に、本来ならば、一軒一軒行って、
説明
して、謝罪をしていかなきゃいけないところですが、なかなかこれができなかったということもありまして、今後、私も時間があれば一軒一軒回って謝罪に参りたいと思います。
年金基金
という資金性の、資金の重さから、私も何度も、その都度、水増しの価格というものを使うつもりはなかったんですが、どうしても損した形ではお返ししたくなかった、また、取り戻せる自信もあったわけでございます。これが結果としてこのような形になって、非常に私の責任を痛切に感じている次第でございます。 今、私がこの場でできることは、今後できることは何かと
考え
てみますと、運用財産の、平等かつ公正に、お客様に、受益者の
方々
にお返しすることが私の残された唯一のものではないかと思っております。受益者の
方々
で、返還していくという動きもありますので、真摯に、精いっぱい協力していきたいと思っていますし、真に受けとめてまいりたいと思います。 きょうは、実は、謝罪の場になってしまいましたが、内容等につきましては、また後日、改めてあればと思います。内容につきまして、この約二カ月間、私も内容がわからなくて解明等をしてきましたが、そういう場がまたあれば、またしたいと思います。 本当に申しわけありませんでした。
海江田万里
96
○
海江田委員長
次に、
西村
参考人
にお願いをいたします。
西村秀昭
97
○
西村
参考人
アイティーエム証券
の
代表
取締役をやっております
西村
秀昭です。 全国の
基金
加入者の皆様に大変な御迷惑をかけていることを、まずおわび申し上げます。 日経新聞に、二月二十四日、
AIJ投資顧問
の問題が報道されて以来、我々
アイティーエム証券
は、社員、そして私で、全国のお客様におわびと
状況
の御
説明
をして回りました。いかんせん、
AIJ投資顧問
からの
情報
がほとんどない中で、新聞報道を頼りに回ったわけですけれども、実際に行ってみると、お客様にお会いしますと、事の大きさがますます大きく感じられ、横で泣きじゃくる営業マンとともに、一生懸命御
説明
してきた次第です。 迷惑をかけた皆様にとっては、どのように
お金
が返ってきて、幾らあるか、そして早く返ってこられるか、それが一番の関心事ではありますが、これから当局と協力しながら、それを速やかにやっていけるように、当社としても全社員で
努力
するつもりでおります。
検査
まではマスコミの方にも
お話
しできないと言い続けてきたわけですけれども、このような機会を与えていただきまして、できるだけのことをきょう
お話
しできればというふうに思っております。どうかよろしくお願いします。
海江田万里
98
○
海江田委員長
次に、石山
参考人
にお願いいたします。
石山勲
99
○石山
参考人
東京年金経済研究所の
代表
をしております石山でございます。 一言申し上げれば、一刻も早く事実を知りたい、それに今尽きるところでございます。 通常、
年金基金
は、運用商品の
説明
を受けるときに、その
説明
される
資料
あるいは口頭で
説明
されることについて、まさかうそ偽りがあると思って聞いているわけではございません。正しいものという前提に立って聞いて、それをもとにして判断をしていくわけであります。 今度の
AIJ
の
ファンド
について申し上げれば、価格変動リスクをきちんととっているので株式や債券との相関が非常に低いというふうに
説明
を受けております。株式や債券との相関が低いということは、市場の影響から、できるだけ悪い影響から逃れるという、そういう役目を果たすことになるわけでして、資産の分散というのは、投資する資産、株式なり債券なりそういうものの分散のほかに、運用戦略の分散というものがあって、これらを相まってポートフォリオ全体のリスクを低減していくということになるわけです。その一角を担うはずであった
AIJ
の
ファンド
が、まさかこのようになろうとはゆめゆめ思っておりませんでした。 一方、
現実
の問題として、年金資金の管理をしております
信託銀行
においても、この
虚偽
を見つけられなかったといいますか、見つけられそうもなかったという
現実
もございまして、私初め
年金基金
で、これまでの間に不正が行われてきたということについては、見抜くことはできませんでした。 先ほど申しましたように、
年金基金
の方も、とにかく事実を知りたい、早く知りたいということのほかに、もう一つ、資金をできるだけ早く返してほしいという非常に強い要請がございます。その辺を十分に、早急にできるように対処していただければというふうに思っております。 以上、陳述とさせていただきます。ありがとうございました。
海江田万里
100
○
海江田委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
の意見の開陳は終わりました。
—————————————
海江田万里
101
○
海江田委員長
これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。近藤
和也
君。
近藤和也
102
○近藤(和)
委員
民主党・無所属クラブ、石川三区の近藤
和也
でございます。 きょうは、社会的に非常に大きな問題でございます。テレビカメラも随分と入っております。全国民が、年金、
関係
のある問題でございます。全国民から今注目をされているということ、そして、その自覚を持って
参考人
の皆様にはお答えをいただければと思います。 きょうは、時間がございませんので、野中
参考人
、前
参考人
には
質問
を伺いません。そういった中では、今お二人がそれぞれおっしゃいました、
金融
、年金、社会のインフラ、そして、証券界として不本意である、そういう気持ち、私も全く同感でございます。何とか問題解決に向けて図っていきたいと思います。 そして、
西村
参考人
、石山
参考人
、それぞれにもお伺いをしたいことがたくさんございます。ただ、時間が余りありません。時間があればしっかりと伺いたいと思います。 特に、石山
参考人
、今
お話
を伺っていますと、何となく、私は無
関係者
だ、被害者だというようなことをおっしゃられていたのは、私はいかがかというふうに思っていますが、その部分も何とか時間をつくって聞いていきたいというふうに思います。 それでは、
浅川
参考人
に伺います。 今回の
AIJ
問題、事件と言ってもいいです。第二の消えた年金問題、もしくは、日本の
金融
市場最大の、最大級の詐欺事件だと言ってもいいかと思います。 その中で、さまざまな
関係者
に今おわびの言葉がございました。実際には、
関係者
、たくさんございます。年金だけでも、
基金
だけでも八十四と言われていますし、八十八万人の加入者、
受給者
、もしくは厚生年金にかかわる
方々
も不安に思っている。今、社会保障と税の一体改革でも、年金が不安だ、全国民的な関心事でございます。 そして、さらには、加入をしている
企業
の皆様、こういったところから、自分たちの
お金
がどうなるのか、早く返してくれ、そういった怒りの声が渦巻いています。このことについて今改めてどう感じるか、お願いいたします。怒りの声についてどのように受けとめていらっしゃるか、
参考人
、お願いいたします。
浅川和彦
103
○
浅川
参考人
大変申しわけなく思っております。
近藤和也
104
○近藤(和)
委員
申しわけなく思っているというのは先ほどもおっしゃってはいただいたんですけれども、では、そこからどうするかということなんです。 今、一千百億、損失が出ています。この部分について、どのようにしておわびをしていくのか、返す見込みがあるのか、そのあたりのことを教えてください。
浅川和彦
105
○
浅川
参考人
私どもの
ファンド
につきましては、分別管理されていますから、お客様にお返しする
お金
というのは
ファンド
の中での範囲でお返しするということになります。 それをあとどうするのかという、責任については痛切に感じておりますが、そのほかどうするかこうするかということについてはちょっと今答えられないというような
状況
でございます。
近藤和也
106
○近藤(和)
委員
今答えられないというのは、
受給者
、加入者の
皆さん
にとってみるとふざけるなということだと思います。いま一度ちょっと誠意を、どこまでできるのか。 そして、分別管理という言葉をおっしゃっていましたが、もう分別管理の世界じゃありません。あなたはたくさんの報酬を得ていたという話がございます。 あなたは、御自身が受け取っていたその報酬部分についても私は全面的に返していく責務があると思いますが、そのことについて思いを聞かせてください。
浅川和彦
107
○
浅川
参考人
済みません、報酬部分というのが私ちょっと、いろいろ一部報道で、きょうも朝、百六億円という数字が出ておりましたが、実は、私どもがいただいている管理報酬というのは、HSBCが、真正のNAVに基づいていただいている報酬でございます。九年間でいただいた報酬というのは約四十五億円でございます。 さらに、その四十五億円から
アイティーエム証券
にお支払いした金額が、私どもが水増ししたNAVの〇・五%ということでございまして、約四年間、二〇〇七年四月から二〇〇七年十一月の間に、二十七億円支払っております。 したがいまして、私どもが九年間でいただいた
お金
は実は十八億円でございます。それと、それ以外に私どもに入る余地というのは全くありません。 結局、私どもの
AIJ投資顧問
に入ってきた金というのは十八億円。それと、この九年間で募集した手数料というのが、二〇一一年の三月までで約九億二千万でございます。トータル二十六億二千万から二十七億弱だと思います。基本的には報酬の内容を申し上げました。済みません。
近藤和也
108
○近藤(和)
委員
それでは、
浅川
参考人
個人として受け取っていた部分は幾らでしょうか。
浅川和彦
109
○
浅川
参考人
年収で七千万前後だと思います。
近藤和也
110
○近藤(和)
委員
恐らくは、その成功報酬の十八億部分から今
お話
をしていたかと思うんですけれども、管理報酬等で払っていたこの二十七億部分も何らかの形で
浅川
参考人
個人にかかわるところに
お金
が行っていたかというふうに思われるんですが、その部分について、いかがでしょうか。
浅川和彦
111
○
浅川
参考人
そんなことは一切ありません。
近藤和也
112
○近藤(和)
委員
今後さまざまな場で追及が出てくると思います。そういった形でしっかりと答えていけるのかどうか。 そして、私としては、いえ、もう全国民としては、全てをさらけ出して返してほしい、一円でも返してほしいという痛烈な声があるということをしっかりと認識してください。 それでは、そもそものところから聞きたいと思います。 〇二年から
ファンド
が設立をされました。いつの時点からだまそうという行動を起こしたのか、教えてください。
浅川和彦
113
○
浅川
参考人
はっきり申しまして、だます気は全くありません。
近藤和也
114
○近藤(和)
委員
私、同じ
会社
にいたんですよ。本当に悔しいんですよ。頭にきています、正直言って。うそをついて、
金融
業界、今お二人もいらっしゃいますけれども、私だって古巣をばかにされたような気持ちなんですよ。うそをつかないでください。信用なくして取引なんてできないでしょう。 そういった時点で、二〇〇二年からずっともう、こちら、表に出ているでしょう。これだけの損をして、取り返せないというのはわかるじゃないですか。常識でしょう、はっきり言って。損を取り返そうと思ったらもっと損をするというのは当たり前のことですよ。そのことについて、自分はだますつもりがなかったと。本当ですか。もう一回お答えください。
浅川和彦
115
○
浅川
参考人
はっきり申しまして、最初からだますつもりは全くありません。
近藤和也
116
○近藤(和)
委員
皆さん
には三ページを見ていただければと思います。
ファンド
受託銀行
の部分、こちらが純粋な資産額、下段、三段目になります。そして、二段目が表の金額になります。その時点でやはり顕著な差が生まれたというのが
平成
十七年三月期から
平成
十八年の三月期というところ。また、リーマン・ショックが出てきた
平成
二十一年の三月期の部分とその一年前、この部分で財産が随分ふえている。そして、表面上の、うその純資産額もふえている。 この中で特に注目されるのが、マドフ氏が二〇〇八年の冬に逮捕をされました。そのときに、あなたは自分でまずいと思いませんでしたか。
浅川和彦
117
○
浅川
参考人
まずいという
意味
がちょっとわからないですけれども。マドフと似ているという報道があった、私どもの
会社
だといううわさは聞きました。
近藤和也
118
○近藤(和)
委員
実際には、マドフ氏に関する事件が出て、「
年金情報
」の雑誌で
AIJ
をほのめかす
記事
が出ました。この時点から解約の申し出が出てきたということを聞いています。これは事実でしょうか。
浅川和彦
119
○
浅川
参考人
事実でございます。
近藤和也
120
○近藤(和)
委員
それでは、この中で解約に対して
お金
はどの程度応えたんでしょうか。
浅川和彦
121
○
浅川
参考人
この当時は、実は、二〇〇九年の二月だと思いますが、特に二〇〇八年の九月のリーマン・ショック、実は
皆さん
、リーマン・ショックのときに私どもは損したと
皆さん
思っているんですが、このときは本当に損していません。九月、十月、十一月、一月、二月はもうかっておりました。九年の四月以降が損しているという認識があります。二〇〇九年の四月以降、翌年の、一〇年の三月までは、逆に上に上がっていってやられた、むしろ下がっているときには逆に私どもはプラスだったわけでございます。逆にプラスだったということで、結局、解約があっても十分
対応
できたというふうに思っている次第でございます。
近藤和也
122
○近藤(和)
委員
きょうは
参考人
質疑
でございます。証人喚問ではございません。うそをついても偽証罪ということにはなりませんけれども、正直に答えていただきたいと思います。 それでは、今、
浅川
参考人
が言われた解約の申込金額に対して全面的にしっかりと返していった、新規加入の部分についてはしっかりと運用に使っていったということでよろしいですか。
浅川和彦
123
○
浅川
参考人
運用に使っているとか使っていないという
意味
がよくわからないんですが、基本的には、お客様の解約については逆に受けておりましたし、その分は、また今まで使っていた分は別に運用として全部使っておりますから、それについてはどう答えていいかちょっとわからないんですが、使っていたと思っております。運用していると思っています。
近藤和也
124
○近藤(和)
委員
使っていたと思いますというのは極めて曖昧だと思いますが、もう一度、本当に全部使っていたんですか。新規のお客様もしくは既存のお客様からの増額部分をあなたの助言によって運用資産に回していた、これは事実ということでよろしいんですか。
浅川和彦
125
○
浅川
参考人
解約があった分、それから新規に買う分を含めて増減がなければ全く変わりませんし、逆に、減ればそれだけの運用額が減る、こういうことでございます。
近藤和也
126
○近藤(和)
委員
では、ちょっと角度を変えます。 解約金額というのは、この二〇〇九年の二月以降では幾らなんでしょうか。
浅川和彦
127
○
浅川
参考人
正確にはちょっと把握しておりませんが、当時は百二十億ぐらいだったと思いますけれども、これはちょっとまだ正確じゃありません。ちょっと確かめないと、今現在手元に全く
資料
がなくて、強制捜査が入って全部なくなって、私の記憶だけなので非常にちょっと曖昧でございますので、今の数字については、申しわけありませんが、私の感覚でございます。済みません。
近藤和也
128
○近藤(和)
委員
それでは、曖昧な形で、百二十億程度は解約に応じたという認識でいさせてもらいます。 済みません、残りが五分なので、ちょっと私、余りきょう聞くつもりはなかったんですが、
西村
さん、石山氏、二人、それでは簡単に答えていただけたらと思います。 まず、
西村
氏、あなたは今回の
AIJ
事件に関して加害者だったと思いますか、もしくは被害者だと思いますか。
西村秀昭
129
○
西村
参考人
どちらかというと被害者だと思っています。(発言する者あり)いいですか、もう一回。(近藤(和)
委員
「
委員長
」と呼ぶ)
海江田万里
130
○
海江田委員長
いや、ちょっと待ってください。 まだ続けますか。
西村秀昭
131
○
西村
参考人
ええ。 ただ、運用に関しては我々は全く知りませんでしたけれども、販売に関してはかなりの責任があります。そういった
意味
では、私どもも加害者であると。 どちらか一方という形ではお答えしづらいということを御理解ください。
近藤和也
132
○近藤(和)
委員
それでは、同じ
質問
を石山
参考人
にいたします。 石山
参考人
、あなたは加害者ですか、被害者ですか。
石山勲
133
○石山
参考人
被害者であります。 理由は、先ほど、冒頭申し上げましたように、ヘッジをしているという
説明
を聞いて、それから、
年金基金
としては運用戦略の一つにこれは組み入れられるというふうに判断したので、
年金基金
にいろいろお伝えする中の一つとして、
情報
の一つとしてお伝えしていたわけですが、結果がこういうことになってしまいまして、何とも
基金
さんに対してはおわびのしようもないといいますか、冒頭言いましたように、真実を知らないと、私がそもそもとってきたことのどこに瑕疵があったのか、自分でも今わからない状態であります。 以上です。
近藤和也
134
○近藤(和)
委員
石山
参考人
に聞きます。 あなたは年金運用についてのプロなんでしょうか、その自覚はどうなんですか、教えてください。
石山勲
135
○石山
参考人
運用に直接携わっているわけではございませんので、そういう
意味
ではプロではありませんけれども、
年金基金
での役割というのは、どれが絶対かと選ぶのではなくて、いろいろなものの中から、例えば株式のいろいろな戦略の中から相対的にどれが自分の
基金
にとってふさわしいかという選び方をしますので、いわゆる運用のプロということではありません。
近藤和也
136
○近藤(和)
委員
それでは、再度、
浅川
参考人
に聞きます。 先ほど二人の
参考人
は、どちらかといえば被害者だというような言い方をしていました。そのことについて、あなたはどう思いますか。
浅川和彦
137
○
浅川
参考人
第三者に関することなので、私は、申しわけありませんが、控えさせていただきたいと思います。
近藤和也
138
○近藤(和)
委員
非常に大事な部分なんですよ。一千百億失って、どうやって返していくか、誰に責任があるかということをしっかりと追及していかなきゃいけないんです。 そういった時点で二人三脚もしくは三人四脚でやってきたんでしょう。足取りを見ればそうじゃないですか。もう一度この点について、
浅川
参考人
、お願いします。
浅川和彦
139
○
浅川
参考人
これにつきまして、二人三脚というよりも、むしろ私が全て主導してきていますので、彼らに対して僕がコメントする立場じゃないと思っております。 それぞれが感じることでありますし、これをどうこう言うということは、基本的に、今
強制調査
を受けている身ですから、第三者に関することはどうしても私はコメントしたくないと思っております。
近藤和也
140
○近藤(和)
委員
皆さん
からしてみれば、もう第三者じゃないんですよ。もう被害者の方はたくさんいらっしゃるわけなんですよ。その点についてこの場でお答えしたくないというのは余りにも無責任、極めて強い怒りを覚えています。 もう時間がありませんので終わらせていただきますが、私たちは絶対に、少なくとも
浅川
氏、
参考人
、許さない、とことんまで追い込んでいく、追い詰めていく、返せるものを全部返してほしい、それを最後に言わせていただきまして、
質疑
を終わらせていただきます。 以上です。
海江田万里
141
○
海江田委員長
次に、竹本直一君。
竹本直一
142
○竹本
委員
自民党の衆議院議員、竹本直一でございます。 きょうは、
参考人
の
皆さん
にきちっと、私が疑問に思っていることをお聞きしたいと思います。 まず、
浅川
参考人
にお聞きします。 あなたが
AIJ投資顧問
の
代表
取締役に就任した二〇〇四年以降、現在まで、デリバティブ取引の損益が
虚偽
の
報告
となっておりますけれども、当初から
顧客
をだます目的だったのではないか、私はそう
考え
るわけです。 なぜそういうことを言うかといいますと、ちょっと
資料
としてはお示しできなかったんですが、デリバティブ取引損益及び純資産額の推移というこの
資料
によりますと、
平成
十五年三月から始まっているんですが、そのときはプラマイ・ゼロでありましたけれども、十六年から
平成
二十三年までずっとマイナスであります。デリバティブの損失総額は一千億を超えております。 そして、対外的にその資産
状況
を
報告
するのに、実際の純資産額と
虚偽
の数字で当然違うわけですけれども、当初、
平成
十五年には、ともに純資産額は六十三億、そして
虚偽
の
報告
も、
虚偽
とは言えませんが六十三億、こうであったんですが、翌年からもう、
平成
十六年から、純資産が百二億であるにもかかわらず、対外的に公表しているのは百二十九億となっています。それがずっと続きまして、
平成
二十三年には、純資産が二百五十一億であるにもかかわらず、二千九十億円の資産があると
報告
しております。うそばっかりなんですね。 当初は、最初は善意でやった、こういうふうに、しかし、損失が出たから埋めるためにというような、言いわけのような話をあちこちのところで聞きますけれども、どうもこの数字を見ると、最初から、そういう仕組みを
考え
ればもうかると
考え
たか、うまくいくと
考え
たんじゃないか。何か最初からだます目的があったというふうに思うんですが、いかがですか。
浅川和彦
143
○
浅川
参考人
先ほども申しましたが、最初からだます目的で運用をしてきたつもりはありません。
竹本直一
144
○竹本
委員
年金基金
は、
中小企業
の従業員のために設立されているものであります。あなたがこの運用を任されて運用するときに、
中小企業
の社員の顔が頭に浮かびましたか。
浅川和彦
145
○
浅川
参考人
全国の年金、今九十四
基金
、私どもに入っていると思いますが、
理事
長さん及び常務
理事
さん及び従業員の方たちも見ております。全部浮かびます。
竹本直一
146
○竹本
委員
AIJ
では、
予定利率
を幾らで想定していたのか、聞きたいと思います。 基本的には、日経二二五や国債の先物の逆張りを行っていたと聞いておりますけれども、実際はどのような運用を行っていたのか。なぜそのようなむちゃな運用をしていたのか。
中小企業
の社員の貴重な
お金
を運用するとなると、そんなばくちのようなことはできないはずでありますが、なぜそういうことをしたのか。ばくちに自信があったんですか。
浅川和彦
147
○
浅川
参考人
基本はヘッジというのを使っていますが、ばくちをしたという覚えは全くありません。
竹本直一
148
○竹本
委員
貴重な資産を、先の見通しもないにもかかわらずそのようなむちゃな運用をすることに対して責任を感じているのかいないのかということを聞きたかったわけであります。 さらに、給与の点を見ましても、私が調べたところでは月収六百万円ぐらいもらっているということでありましたけれども、うそのことを
報告
しながら、そしてこれだけの報酬をもらっていることに、どういう感じ、申しわけないという気持ちなのか、当たり前だという気持ちなのか、どちらですか。
浅川和彦
149
○
浅川
参考人
今となっては申しわけないという気持ちでいっぱいです。
竹本直一
150
○竹本
委員
お客さんにうその
報告
をして、その時点では申しわけないと思っていなかった。では、当たり前だと思っていたんですか。もう一度答えてください。
浅川和彦
151
○
浅川
参考人
当たり前だとは思っておりません。
竹本直一
152
○竹本
委員
先ほどの
質問
にもありましたけれども、二〇〇九年以降、新たに契約して集めた資産を運用していたわけですけれども、その資金は何に使いましたか。結局、損失を埋めるために、あらかじめ投資をしていたその年金に返す資金として使っていたのではないかと思いますが、いかがですか。
浅川和彦
153
○
浅川
参考人
申しわけありませんが、そこのところをもう一度
説明
していただけますでしょうか。済みません。
竹本直一
154
○竹本
委員
二〇〇九年以降、新たに勧誘した、そして
基金
を預けられるわけですけれども、その
お金
を払い戻す人たちに左から右へ回していたのではないかというのが私の疑問であります。そういうことをしていたかどうかということです。
浅川和彦
155
○
浅川
参考人
私どもの
ファンド
は募集枠を決めていましたから、権利が変わるだけですから、それを埋めるというよりも、売る人もおり、買う人もいますから、全体の運用の枠は基本変わらないわけでございます。だから、それを埋めているとは、そういう認識はないわけでございます。
竹本直一
156
○竹本
委員
東京年金経済研究所の石山氏のことは、社保庁OBですけれども、この人は、いつ時点で知り合いになったのか、あるいはそもそも知らなかった人なのか。どちらですか。
浅川和彦
157
○
浅川
参考人
二〇〇三年の五月に初めて
年金基金
さん、東日本文具というところで買っていただいたわけですけれども、そのときの常務
理事
をやっていたのが今の石山さんでございます。 実は、知り合ったのは二〇〇二年の暮れぐらい、今ここにいる
西村
社長の紹介でお会いしたというのが実情でございます。
竹本直一
158
○竹本
委員
石山氏とコンサルタント契約を結んでいますけれども、結んだ理由は何ですか。石山氏の何に期待をしてコンサルタント契約を結んだんですか。
浅川和彦
159
○
浅川
参考人
石山社長が東日本文具をやめるときに、年金のコンサルタントをしてみたいというので、私も共鳴しまして、それで
会社
を一緒につくったということでございまして、当初、
会社
をやるのにある程度資金がないと厳しいというので、コンサル料を私どもが払うという方法をとりました。
竹本直一
160
○竹本
委員
石山氏から
年金基金
の担当者を紹介されましたか。紹介された
年金基金
担当者は社保庁のOBでしたか。
浅川和彦
161
○
浅川
参考人
直接の紹介というのは一切ありません。東京年金経済研究所で開くセミナー、そこに四社か五社あるうちの一人、一つとして紹介されております。
竹本直一
162
○竹本
委員
四社、五社というような、そんな少数ですか。もう一度答えてください。
浅川和彦
163
○
浅川
参考人
説明
する側が四社、五社で、聞くお客様は十社とか十二社と、そんな大きなセミナーではなかったと思います。
竹本直一
164
○竹本
委員
石山氏が契約を取りつけてくるようなことはありましたか。
浅川和彦
165
○
浅川
参考人
それは一切ありません。
竹本直一
166
○竹本
委員
そもそも
浅川
氏は、野村証券時代は営業畑にいましたけれども、営業畑のあなたに資金運用ができる能力があると
考え
ていますか。営業と資金運用の違いを言っております。
浅川和彦
167
○
浅川
参考人
資金運用と営業とは全く違うと思っております。 私が能力があるかどうかというのは、野村証券をやめてちょうどもう二十年、今十八年になりますが、いろいろ経験しました。私一人で運用しているわけではありませんが、私どもの
ファンド
マネジャー等の意見を聞きながら運用してきたというのが
実態
でございます。
竹本直一
168
○竹本
委員
あなたの能力がどの程度かは別といたしまして、石山氏とコンサルタント契約をした背景には、石山氏が社保庁OBであり、そして、その人脈をフルに活用すれば、たくさんの
基金
から寄託をされ、そして、この仕事がうまくいくと
考え
たのではないかと私は思うが、いかがですか。
浅川和彦
169
○
浅川
参考人
そういう動機で石山氏とおつき合いしたわけではございません。結果としてなったわけであって、むしろ逆に、金額がふえて私どもの方が困ったという
状況
でございます。 ですから、
年金基金
をとるために石山氏とつき合ったというわけではございません。
竹本直一
170
○竹本
委員
顧客
から、
AIJ
の
監査報告書
が含まれております
ファンド
運用報告書
の
開示
請求があったと思いますけれども、この場合、なぜあなたは
開示
を拒否したんですか。
海江田万里
171
○
海江田委員長
なぜ
開示
拒否をしたのかと。
浅川和彦
172
○
浅川
参考人
どこから
開示
、あったかと、請求というのは。済みません。
竹本直一
173
○竹本
委員
顧客
からです。
海江田万里
174
○
海江田委員長
顧客
からということです。
浅川和彦
175
○
浅川
参考人
はい、わかりました。 お客様から
開示
請求されたのは、一社だけでございました。 あとは、
監査報告書
じゃなくて
運用報告書
ということで、昨年の十月の
金融庁
のヒアリング、関東
財務
局のヒアリングでもって、二〇一〇年の三月期のもの、それで急遽昨年の十一月に二〇一一年の三月期の
運用報告書
、ですから、
監査報告書
じゃありません、
運用報告書
を急遽出したという
状況
でございます。
竹本直一
176
○竹本
委員
知人の
公認会計士
に
監査報告書
の改ざんを依頼したと聞いておりますが、その理由は何ですか。
浅川和彦
177
○
浅川
参考人
監査報告書
じゃなくて
運用報告書
でございます。 ですから、
運用報告書
の改ざんというのは、私が今現在の水増しのNAVの数字を渡して、それで、このようにつくってくれないかということで、数字も全部出して、それでもってつくっていただいたということでございます。(発言する者あり)いや、これはあくまでも、だますということじゃなくて、水増ししたNAVを継続して今の状態を維持したいということで言っているわけです。
竹本直一
178
○竹本
委員
まさにうそを
公認会計士
に、いわゆる半ば公的存在ですよね、こういう人に言ってみれば公文書として記載させるという、まさに詐欺もいいところじゃないですか。そういう認識はどうしてないのか。うそを書かせるわけですから、それを信用させて、そのとおりの書類をつくるんですから、それで何の罪も感じないんですか。
浅川和彦
179
○
浅川
参考人
運用報告書
については、任意でつくっているところでもありまして、実は何とか今の形を維持したいということもありましてやりました。これは詐欺というつもりは全くありませんでした。
竹本直一
180
○竹本
委員
うその数字を書かせて、だましたつもりはないというのは、何とも不思議な答弁だと私は思いますが、もう少し真面目に答えてください。 石山
参考人
に聞きます。 コンサルタント
会社
設立時に
AIJ
から資本金の三分の二の出資を受け、社員の派遣と給与の支払いもしてもらっております。さらに、コンサルタント
会社
は、二〇〇四年から五年九月まで出資した
AIJ
の
浅川社長
の
会社
と同じ場所に置かれ、役員のうち数人は
AIJ
の役員も兼務しておりますけれども、あなたと
浅川
氏の
関係
はどのようなものか、あなたの側から答えていただきたい。あなたたちは表裏一体じゃないのかと私は思いますが、いかがですか。
石山勲
181
○石山
参考人
会社
を設立する際に資本金を出していただいたのは、それは間違いございません。 それから、今、報道がありました社員の派遣を受けてというのは、これは全く事実と違います。これは、ある新聞社が配信した
記事
にそう書いてありましたので、直ちに私は抗議をして、訂正をしてくれというふうに言っていますが、まだきちんとした回答はありません。 それから、したがって、その報酬も払ってもらったということも、そもそもあり得ません。
竹本直一
182
○竹本
委員
先ほどちょっとコメントいたしましたけれども、社保庁人脈を使って全国の
基金
におる社保庁OBに
基金
運用セミナーへの参画を呼びかけたことがあるか、それをお答えください。
石山勲
183
○石山
参考人
ちょっと
説明
が長くなるかもしれませんが、私が
年金基金
の
方々
に
説明
する場合に、個別
基金
に行って、あるいは個別
基金
に呼ばれて
説明
する場合と、それから、みずから主催をして行う場合と、それから、
年金基金
の方、各県に協議会みたいなのがございますので、そこの勉強会に呼ばれる場合と、いろいろあります。 私が主催した場合には、基本的に府県単位でそういう
説明
会をやっていましたので、それぞれの府県の
基金
さんに、皆、御案内を出すわけです。集まっていただいた方の中には、大部分が社会保険との
関係
のある方です。それは、たまたま、私がそういう人たちだけに案内を出したということではなくて、それぞれの県の全体に案内を出すと、集まった
方々
が結果としてそうだったということでありまして、特に人脈をどうのこうのということではありません。 ある県においては、
企業
年金の
方々
も同時に集まっていただいたケースもありますので、意図的にそういうことをしたわけでは全くありません。
竹本直一
184
○竹本
委員
今までこのセミナーは何回開きましたか。
石山勲
185
○石山
参考人
確かには記憶しておりませんが、多分十五回前後ではないだろうかと思います。
竹本直一
186
○竹本
委員
AIJ
に年金資産の運用を委託していた七十四
基金
のうち、何と四十七
基金
に社保庁OBが天下りしております。これは事実です。
AIJ
が
厚生年金基金
に
説明
に訪れた際に、同席し、商品を勧めたことがありますか。
石山勲
187
○石山
参考人
私が
年金基金
に呼ばれる場合には、ただその商品の
説明
だけということは全くありませんで、その他の議題もあって、それで、おまえも出てこいということで行って、その日のうちに場合によっては
ファンド
の
説明
を聞くということはよくあるわけでして、そういう
意味
では一緒にいましたけれども、
AIJ
を特に言ってみれば引き合わせるというようなことはしたことはありません。
竹本直一
188
○竹本
委員
年金のプロであるあなたが
AIJ
の不正に気づいたのか気づいていないのか、これはぜひお聞きしたいと思います。もし気づいていたとすれば、いつごろ気づいたかということ。
石山勲
189
○石山
参考人
冒頭で御
説明
しましたように、
説明
される数字、あるいは
資料
として出される数字は、聞く方としては真正のもの、間違いのないものとして受けとめるのが前提でございまして、そういう
意味
からいうと、一方では、先ほども申し上げましたように、価格下落ヘッジをしているということですので、そのとおり行われていた結果だというふうに理解しております。 したがって、どの辺からおかしかったかというのは全く気がつきませんでした。
竹本直一
190
○竹本
委員
気づいたのはいつですか。
石山勲
191
○石山
参考人
気づいたというか、新聞報道を見て初めて知りました。
竹本直一
192
○竹本
委員
後でお渡ししてもいいですが、御存じだと思いますが、これはフューチャーズ・ジャパンという雑誌のコピーでありますけれども、二〇〇六年の号ですが、その中であなたが対談をしておりますけれども、ちょっとその一くだりを言います。 「〇四年四月にスタートした当初は」、おたくの
会社
ですね、「オルタナティブに限定したコンサルタントを
考え
ていました。」「オルタナティブの資金と伝統的資産の資金は別々ではなくて、一緒にあるわけですから、その一部をオルタナティブに移すとなると、伝統的資産の方にも手を付けなければならない。」こう言っています。 要は、例えば国債を買うとか、低利運用だと魅力がないから、ばくちといって、ばくちじゃないと言っていましたけれども、要するにむちゃくちゃな逆張りをやって大変なリスクをかける、そういうことを専門にやればトータルとしてもうかるだろうというのが当初の、この
会社
、あなたが起こした
会社
の目的だったのではないかというふうに思いますが、そうではないんですか。
石山勲
193
○石山
参考人
私が
厚生年金基金
で仕事をしていた時分、既に株式だとか債券では
予定利率
を達成することが極めて困難な
状況
になっておりました。つまり、それは市場全体が弱くなってきたということもある一方、債券の
金利
がどんどんどんどん低くなりつつある最中でございまして、年金資産の
予定利率
を達成することは極めて困難な
状況
にありました。 そうすると、リスクをできるだけ抑えながら少しずつでも収益を積み上げようとすると、いわゆる絶対収益型と言われるオルタナティブに目を向けていったのは極めて自然なことだと思っておりますし、単に収益の追求だけではなくて、資産全体のリスクの抑制という
意味
合いもありますので、そういうことでオルタナティブというものを推奨しておりましたし、それを専門にやろう、こういうふうに思っておりました。
竹本直一
194
○竹本
委員
リスクの抑制じゃなくて
ファンド
を成長させようとしたのが本当の動機だと思いますが、いかがですか。
石山勲
195
○石山
参考人
オルタナティブというのは、種類が物すごくたくさんあります。それで、
年金基金
としては、どれを選ぶかというのは、それ自体がなかなか大変な作業なんですね。だから、どこかの
ファンド
に資金を積み上げてやろうとか、そんな意図ではこの仕事はできません。
竹本直一
196
○竹本
委員
今回の事件は、先ほど、あなたも被害者と言われたし、証券
会社
の社長も被害者だと言われた。そして
浅川
氏本人は、何とも言えない、こういうことでありますけれども、そもそもこの
情報
を、信託
会社
が
関係
する立場にあったわけですけれども、そういったところに知られていたのではないか、あるいは信託
会社
が知っていたのではないかと思いますが、これは
浅川
参考人
に答えてもらいたいと思いますが、いかがですか。
浅川和彦
197
○
浅川
参考人
知っていたかどうかは、私どもはちょっと判断しかねると思います。
竹本直一
198
○竹本
委員
野中
参考人
、いかがですか。
野中隆史
199
○野中
参考人
先ほどの我々が示しましたスキームでありますように、このスキームでおきますと、大変残念ではありますけれども、我々はわかりませんでした。
竹本直一
200
○竹本
委員
野中
参考人
にもう一回聞きます。
金融庁
は、今回の問題を受けまして、
企業
年金を運用する
投資顧問
が過度なリスクをとっている場合や不透明な運用をしている場合に
信託銀行
に警告させることを
検討
し、警告後も改善が見られない場合には契約解除を
検討
するように求め、
信託銀行
がこうした責任を果たさない場合には
業務改善命令
などの
行政処分
を課す、規制の強化策を
考え
ております。 ただ、
運用状況
の公表
義務
のある公募型の
ファンド
を用いれば今回の強化策は有用であると
考え
るが、
AIJ
のように、出資者が
AIJ
の
顧客
に限られる私募型
ファンド
には
運用状況
の公表
義務
がなく、
金融庁
の
考え
る強化策では、今までどおり
信託銀行
としては私募型
ファンド
の
報告
を信ずるしかないと
考え
られますが、いかがですか。
野中隆史
201
○野中
参考人
御
指摘
のとおり、私募型
ファンド
の場合は、
現行
の仕組みでは
ファンド
の
報告
を信じざるを得ない、そういう局面があります。 ただ、我々、こうした年金特定信託という
業務
を営んでいるわけでございますので、さらに商品性を改善いたしまして、
基金
の判断に資するような
報告
精緻化を進めていきたい。そういう
意味
で、協会内にワーキンググループを三月二日につくりまして、今
議論
を重ねているところでございます。
竹本直一
202
○竹本
委員
自主規制か、あるいは規制の強化か、いろいろ方法はあると思いますが、しっかりとした
対応
を
考え
てもらいたいと思います。 これで終わりますけれども、いずれにしろ、ほとんど核心の問題には
浅川
参考人
以下答えていないわけであります。ですから、私は、この問題解決のためには、
浅川
参考人
、それから、きょうは
出席
しておりませんが高橋氏、それから
アイティーエム証券
の
西村
氏の証人喚問を行う必要があることを
指摘
いたしまして、
質問
を終わりたいと思います。 以上です。
海江田万里
203
○
海江田委員長
次に、竹内譲君。
竹内譲
204
○竹内
委員
公明党の竹内譲です。 最初に
浅川
参考人
に申し上げたいと思いますが、
浅川
参考人
の罪は深いと思うんですね。約千五百億円もの
お金
を、うそ偽り、でたらめのデータを
顧客
に見せて集めて、その後も運用の失敗を続けてそのほとんどを消失させた。八十八万人の加入者、
受給者
を絶望に陥れただけでなくて、多くの中小零細
企業
の
皆さん
が倒産の不安におびえている。しかも、年金
制度
そのものの信頼を失わせかねない重大事件であるということをまず申し上げておきたいと思います。 先ほどからもありますように、今回は証人喚問ではありませんけれども、ここで
虚偽
の答弁をされると大変なことになるということは申し上げておきたいと思います。 その上で、この
証券取引等監視委員会
の
報告
によりますと、あなたは、二〇〇四年三月期から
運用成績
を改ざんしてきた。その後も、二〇一一年三月期に至るまで、デリバティブ取引で巨額の損失を出していたにもかかわらず、純資産額を大幅に水増ししてきた。これは事実です。 この改ざんは、
浅川
参考人
と高橋取締役のお二人でされたんですか。
浅川和彦
205
○
浅川
参考人
私が指示し、つくり、高橋取締役が
アイティーエム証券
及び私どもの担当者に回して、書面で渡したという流れでございます。
竹内譲
206
○竹内
委員
ということは、改ざんは全て
浅川
参考人
の指示であったと。しかし、高橋取締役を相当信頼されていたんだなというふうに我々は思うんですね。 それでは、
アイティーエム証券
の
西村
参考人
にお聞きしますが、この改ざんの事実は御存じだったんじゃないですか、当初から。
西村秀昭
207
○
西村
参考人
お手元に監視
委員会
の
資料
がおありであれば、書いてあるとおり、当初一、二年については、運用の中心がデリバティブと未公開株というこの二本が柱でしたので、その未公開株の価格について私どもで評価を参考
資料
としてお渡しして、ネット・アセット・バリューの基礎データとしてお渡ししたという、当初一、二年の
状況
は、確かに監視
委員会
の
指摘
のとおりでございます。 ただ、その後については、ネット・アセット・バリュー、当社は一千四百億円ぐらいの
お金
を集めたわけですけれども、その間、HSBCから
報告
されるネット・アセット・バリューと
AIJ投資顧問
からいただくネット・アセット・バリューが一致しておりましたので、当社としてはそのまま信頼して販売を続けたということです。
虚偽
である認識というのは近々まで社員一同含めまして誰も持っていなかったということでございます。
竹内譲
208
○竹内
委員
二〇〇九年二月に、先ほどもございましたが、アメリカで発生した巨額
金融
詐欺事件を受けて
AIJ
の運用
実態
を警告する
記事
が掲載された、その後、各
年金基金
からの解約の申し出が相次いだとされています。
浅川
参考人
は、この
証券取引等監視委員会
の
報告
によりますと、やはり、いわゆる転売スキーム、新たに契約した受託資産の大部分について、運用しないまま解約に
対応
する払戻金に充当したとされているわけですね。これはこの
報告書
でも転売スキームでちゃんと書かれているわけですね。それは、
ファンド
に入った部分もあるけれども、アルファというようなちょっとわけのわからない
ファンド
に行った部分もあるけれども、直接新規
顧客
から解約の
顧客
に資金が流れているという
報告書
が出ているんですね。これはお認めになりますか。
浅川和彦
209
○
浅川
参考人
今、ベンチャーインベストメントアルファ
投資事業組合
のことを言っていると思いますが、今言っている
ファンド
は、ベンチャーインベストメントアルファで今までは買い、口数は決まっていますから、受けた、それから新規の客が逆に売った、買った、それで既存の客が売った、この部分はあると思います。
竹内譲
210
○竹内
委員
私が申し上げているのは、今のこのアルファという
投資事業組合
を通さずに新規
顧客
から預かった
お金
をそのまま解約
顧客
に回したという転売スキームがこの監視
委員会
の
報告
にきちんと記載されているんですね。とすれば、これはつまり、運用の意思がないままに新規
顧客
から資金を集めたことになるということになりますが、それはお認めになりますか。
浅川和彦
211
○
浅川
参考人
既存のお客様が入れかわるだけですから、運用はそのまま継続しておりますから、基本的には、それは使っていないということにはならないと思っております。
竹内譲
212
○竹内
委員
だめですよ、それは。この
証券取引等監視委員会
のスキームでは、
ファンド
には資金が回らずに直接新規
顧客
の
お金
が解約
顧客
に回ったという
報告
がなされているんですね。ですから、これはかなり、これは単なる
行政
法違反ではなくて詐欺罪に該当する可能性があるというふうに私どもは思います。 それから、本質的な
質問
に入りますが、あなたは、デリバティブ取引などの運用の失敗で、御承知のとおり、一千億円以上の損失を出されました。我々が恐れているのは、
海外
のどこかにこの資金を隠されているんじゃないか、一部を。みんなもそれを心配していると思うんですよ。デリバティブで損を出したと言っているけれども、実はどこか
海外
に隠しているんじゃないか、
皆さん
、そういう心配をされている方が多いと思いますが、いかがですか。
浅川和彦
213
○
浅川
参考人
実は、この
ファンド
の仕組みを理解していただきますとよくおわかりになると思いますが、どこかに隠すとか持っていくとかいうスキームになっておりません。これを御理解いただければと思っておる次第でございます。
竹内譲
214
○竹内
委員
ファンド
の仕組みはよく理解しているんですよ。私も、もともとは
金融
の世界に身を置いておりましたから、そのぐらいのことはわかっているわけですよ。
投資事業組合
への出資額が、監視
委員会
の
報告
によりますと百八十一億円とされておりまして、そのうち三十二億円は現預金で確認されている。しかし、その差額百四十九億円ですか、この資金は一体どこへ行ったんですか。
浅川和彦
215
○
浅川
参考人
これが、先ほど申しましたように、今の私どもの
ファンド
の買い受けになっている、こういうことでございます。
ファンド
の受け皿になっているということでございます。
海江田万里
216
○
海江田委員長
もう終わりですか。(
浅川
参考人
「はい」と呼ぶ)いいですか。
竹内譲
217
○竹内
委員
その資金が、ちょっともう一回、
意味
がよくわかりません。受け皿になっているとはどういう
意味
ですか。
浅川和彦
218
○
浅川
参考人
解約した資金の受け皿になっているということです。それが百四十三億円になっているわけでございます。ですから、私どもがそれをとったということとか、全く、どこかで飛ばしたとか、そういうことになっておりません。
竹内譲
219
○竹内
委員
では、つまり、この百四十三億円で解約資金に回したと。つまり、解約を申し出た
顧客
に、
投資事業組合
の出資でした百八十一億のうち百四十三億を、アルファですか、二号と含めて二つの組合に出資したと言っているけれども、実はそれは解約で払い戻してしまっている、こういうことですか。
浅川和彦
220
○
浅川
参考人
差っ引きで百四十三億円が残っているということです。ですから、
ファンド
としては、百四十三億円を、次募集できる口数が百四十三億円相当があったということで、もう一つは、
ファンド
としては、その他のものも投資していますから、トータルすると、百四十三億円プラス三十二億円プラスほかの投資物件がありますから、それだけの金額が残っている、こういうことでございます。
竹内譲
221
○竹内
委員
その
お金
はどこに残っているんですか。先ほど
金融庁
に聞いたら、この百四十九億ぐらいはどこに行っているか確認できていないと。三十二億円の現預金は確認できたけれども、この残りの、百八十一引く三十二の百四十九億円、これは確認できていないと言っているんですけれども、どこにあるんですか、これは。
浅川和彦
222
○
浅川
参考人
ですから、今、
ファンド
の解約分、ですから、
投資事業組合
として
ファンド
を持っているということでございます。私どもの
ファンド
を持っているということでございます。
竹内譲
223
○竹内
委員
言っている形式論理はわかりましたけれども、
実態
は全く解明されていないんですよ、これは。 先ほどありました、
浅川
参考人
の報酬は九年間で六億三千万、毎年七千万だということであります。これは、あなたは財産の全てを弁償に充てるべきではありませんか。
浅川和彦
224
○
浅川
参考人
弁償に充てるというよりも、私どもは、報酬に関しては水増ししたNAVでもらっているわけじゃありません。ですから、基本的に、報酬を多く取ったとか、どこかからだまし取ったとかいうつもりは全くありません。 もう一つ、誤解されていると思いますが、報酬というのは水増ししたNAVでもってもらっているわけじゃありません。すなわち、真正NAVに基づく報酬しかもらっていません。
竹内譲
225
○竹内
委員
いや、それは通用しませんよ。偽計によって金を集めているんですからね。それで、偽計によって金を集めて、そこから六億三千万も金を取ったわけですから、そこはかなり悪質じゃないですか。正しい数字を見せてその
お金
を集めたんだったら、その報酬はいいでしょう。しかし、全くでたらめな数字を見せて
お金
を集めて、それで報酬だと、そんなばかな話はありませんよ、毎年七千万もね。みんなばかばかしくてやっていられないじゃないですか。こんなことは通用しませんよ、道理として。
海外ファンド
、シンガポール等のブローカー等に六十一億円委託手数料が渡っていますが、これらは我々も不透明だと思っています。 これらは、あなたもしくはあなたに近い人物に還流されているのではありませんか。
浅川和彦
226
○
浅川
参考人
オングファーストのことを言っていると思いますが、一切ありません。 それともう一つは、先ほどちょっと
質問
の中で、全部の
ファンド
が全てうそのNAVで買ったわけじゃありません。新規の発行部分については全て真正NAVで買っております。
竹内譲
227
○竹内
委員
容易に信じがたい今の答弁だと思います。
AIJ
が預かり資産の運用
業務
を始めた二〇〇二年から二〇〇三年当初、実はまだ事業認可を正式には得ておらず、買収
予定
であった米国の保険
会社
シグナ・インターナショナル・インベストメント・アドバイザーズの名義で営業をしていた疑いが持たれています。これは事実ですか。
浅川和彦
228
○
浅川
参考人
国内の投資一任ということでございましたが、当時私どもは助言
業務
をやっておりましたから、
ファンド
をやる場合には、シグナ・インターナショナルの一任を持った国内の
年金基金
と契約するためにはシグナの免許が必要だったわけです。私どもはその下に助言
業務
としてやってきたわけでございます。
竹内譲
229
○竹内
委員
このシグナさんの
方々
が営業に回られたという事実はないんですよね。
浅川和彦
230
○
浅川
参考人
当時は、シグナの担当者と私どもと一緒に回っております。ちなみに、
年金基金
さん向けの契約においては一緒に回っております。
竹内譲
231
○竹内
委員
これは今後の
調査
で追及をしていかれるべき問題だと思います。事実であれば名義貸しに該当します。 それで、時間が残り少なくなってまいりましたが、石山
参考人
に少しお伺いしたいと思います。 先ほどから、石山
参考人
は、全くこれらの事実を知らなかった、
資料
を信じていた、ゆめゆめこれを知らなかった、全く気がつかなかったとおっしゃっていたんですが、石山
参考人
は社保庁OBでいらっしゃいますが、最終役職は何でいらっしゃいましたですか。
石山勲
232
○石山
参考人
最終は、愛知県の方に出向しておりまして、愛知県民生部保険課長です。
竹内譲
233
○竹内
委員
AIJ
さんとコンサルタント契約を結ばれましたですよね。このコンサルタント契約料というのはお幾らですか。
石山勲
234
○石山
参考人
実のところ、経理の方は、私のところが手が足りないということもありまして、基本的に
AIJ
の方に管理を任せておりました。私がはっきりつかんでいるのは、私の給与が、毎月明細書が参りますのでそれはつかんでおりますけれども、全体のところは実はよく承知しておりません。
竹内譲
235
○竹内
委員
ということは、かなり、
AIJ
さんとほとんど一体ですよね。総務、給与、
AIJ
さんに管理されていると。 給料はちなみにどのぐらい受け取っておられましたか。
石山勲
236
○石山
参考人
ずっと通して見ますと、大体年に六百万程度だと承知しております。
竹内譲
237
○竹内
委員
我々から見ると、やはり社保庁OBの方の信頼度というのは世間的には非常に高いと思うんですよね。やはり各
年金基金
の
皆さん
が相当信用されたことは間違いないというふうに思います。 竹本
先生
から先ほど
質問
がありましたけれども、ちょっと角度を変えますが、
浅川
参考人
と同行して飲食を伴う営業をされたことはありますか。
石山勲
238
○石山
参考人
全くございません。
竹内譲
239
○竹内
委員
運用のプロではないと先ほどおっしゃっていましたけれども、しかし、コンサルタント契約を結ぶということは大変なものでありまして、各
年金基金
の
理事
さんにアドバイスをする立場ですからね。 やはり、さまざまな
情報
を集めて、本当に
AIJ
の投資が正しいのか知るのが、
情報
を入手するのが当たり前だと思うんですよ。ちょっと調べれば、五%から二〇%の物すごい高配当を出している、こんなことが過去十数年であるわけないわけでありまして、そういう感覚はお持ちじゃなかったですか。
石山勲
240
○石山
参考人
オプションを使った運用というのは、実は国内では当時、今はどうかわかりませんが、当時ほかになくて、比較のしようが実はありませんでした。 ただ、一般的に言いますと、当時、
海外
の
ファンド
では、続けて二桁を出しているような
ファンド
は幾つかございました。
竹内譲
241
○竹内
委員
最後に、
浅川
参考人
、もう一回だけお聞きしますが、きょう欠席されました高橋
参考人
の報酬額はお幾らですか。
浅川和彦
242
○
浅川
参考人
私も経理をやっていないですが、大体ですが、約三百万前後だと思います。(竹内
委員
「年収で」と呼ぶ)いや、年収じゃなくて……(竹内
委員
「月収で」と呼ぶ)月収で。だから、三千六百万円になりますね。
竹内譲
243
○竹内
委員
私の時間は終わりましたけれども、非常に不透明なところがますますあらわになったという感じがしております。さらにこの問題は事実解明をしなければいけない。 この問題がどういう構造になっているのか、これがやはり今後の
制度
改正をどうすべきかということに結びついていくと思いますので、私どもも、公明党としても、証人喚問の必要性があるということを申し上げて、終わります。
海江田万里
244
○
海江田委員長
次に、
佐々木憲昭
君。
佐々木憲昭
245
○佐々木(憲)
委員
日本共産党の
佐々木憲昭
でございます。 最初に、
浅川
参考人
にお伺いします。
虚偽
報告
で年金資産を失った
基金
の加入者、
受給者
等
関係
する人たちが八十八万人、損害を与え、場合によっては中小零細
企業
の倒産に至るという事態であります。
浅川
参考人
は、こういうやり方を途中でやめようというふうには思いませんでしたか。
浅川和彦
246
○
浅川
参考人
何度かやめたいと思っています。 それはなぜかと申しますと、例えばリーマン・ショックとかそういうときに、全部正直に出してやった方がいいなと思ったこともありました。 ただ、先ほど、冒頭に言いましたけれども、リーマン・ショックのときにはプラスになっちゃっていて、結局出し場がなくなっちゃって、それともう一つは、お客様に対して、やはり損したままでお返ししたくない、返してはならないという自分なりの責任を感じていたものですから、それがいまだに、今まで続いたというのが実情でございます。
佐々木憲昭
247
○佐々木(憲)
委員
中小零細
企業
の集まりでありますこの総合型
年金基金
、そういう性格を承知しながら、
虚偽
報告
をして、事実上食い物にしてきたと言わざるを得ません。損失を隠し続け、自分たちの報酬は年金資産から受け取る。金もうけのために年金資産を利用したとしか言いようがないと私は思うんですね。 そこで、具体的に聞きますけれども、二〇〇九年に、
証券取引等監視委員会
の
アイティーエム証券
への
調査
、これを受けたときに、
浅川
参考人
は監視
委員会
に事情聴取をされたことはありますか。
浅川和彦
248
○
浅川
参考人
監視
委員会
からは事情聴取されておりません。
金融庁
からのヒアリングという形になっております。
佐々木憲昭
249
○佐々木(憲)
委員
あなたはこういう発言をされているというんですね。私自身も事情聴取を受けた、変なうわさをされて頭にきた、何もなかったので安心してください、こういうふうに言って
年金基金
の側に
説明
をした。そして、預けてくださいという売り込みをやったという事実はあるんでしょうか。
浅川和彦
250
○
浅川
参考人
私は、そういうような営業をしたことはありません。
佐々木憲昭
251
○佐々木(憲)
委員
では、あなたはこういうスキームを一体どういうところで
考え
ついたのか。国際活動はほとんどないようですけれども、タックスヘイブンを使って年金資金運用のスキームを
考え
たのはあなた自身なんでしょうか。
浅川和彦
252
○
浅川
参考人
この私募投信におけるスキームというのは、当時は一般的でございました。 日本の国内の
信託銀行
さんに関しては、金額を、例えば二億円から入れるということはなくて、やはり大きな金額じゃなきゃできなかったという事情がありまして、私募形式にして、当時、こういう形でのワンセットみたいな形が通常でございました。 これについては、当時、
アイティーエム証券
の方でつくっていただきました。
佐々木憲昭
253
○佐々木(憲)
委員
西村
参考人
にお伺いしますけれども、あなたは元山一証券マンで、運用のプロであります。九年に及ぶ運用利回りの
虚偽
に本当に気がつかなかったのか。全国の
基金
に
AIJ投資顧問
の運用手法を
説明
して歩いたのはあなたではなかったのか。この点、
説明
していただきたい。
西村秀昭
254
○
西村
参考人
全国の各
基金
に回っていたのは当社の営業マンたちです。 私、証券マンですので、オプションの運用についてのプロではありませんから、オプションや先物取引は、山一にいた十九年間、その後
アイティーエム証券
をつくってからの十数年間、一回もやったことがない
状況
です。
佐々木憲昭
255
○佐々木(憲)
委員
AIJ投資顧問
に資金援助をされて、あなたがケイマン諸島でスキームづくりに携わってきたという事実はありませんか。
西村秀昭
256
○
西村
参考人
当社で独立系の
投資顧問
に提供していたスキームは、ケイマンではなかったんですね。イギリスとフランスの間にあるチャネル諸島で、ガーンジーというところに当社の
運用会社
をつくっておりましたので、そこを使うのが普通だったんですけれども、ちょっと、随分前のことなので、当社のこの
ファンド
をつくった担当者がもう既にいませんので詳しいことはわかりませんけれども、
浅川社長
も以前から
ファンド
をお持ちでしたので、そういった中でケイマンというのが出てきたのではないかというふうに思います。 ちょっと、詳しい設立の経緯というのは記憶しておりません。
佐々木憲昭
257
○佐々木(憲)
委員
浅川社長
に聞きますけれども、
AIJ
は、二〇〇二年に、
顧客
から預かった年金資産を運用するために英領ケイマン諸島に
AIMグローバルファンド
を設立した。この
ファンド
に対して、イギリス系の大手
監査法人
が
監査
を行って、定期的に
監査
報告
を提出していたというふうに言われておりますが、この
監査法人
は何という
会社
ですか。
浅川和彦
258
○
浅川
参考人
つい直近まではグラント・ソントンで、今オーディーエーですかね、ちょっと今忘れましたけれども、つい直近が変わっているものですから。以前はずっとグラント・ソントンでやっておりました。
佐々木憲昭
259
○佐々木(憲)
委員
このグラント・ソントンが提出をした
監査報告書
は、バージン諸島にある
AIJ
関連
会社
エイム・インベストメント・アドバイザーズ、
AIA
ですか、そこに対してと、それからもう一つは
アイティーエム証券
に対して封書で送付されていたということが報道されていますが、事実でしょうか。
浅川和彦
260
○
浅川
参考人
事実だと思います。
佐々木憲昭
261
○佐々木(憲)
委員
浅川
参考人
は、二〇〇四年ごろから、
監査報告書
が届いたら開封せずに
AIJ
に渡しなさいということを
アイティーエム証券
に指示していたと言われていますが、これは事実でしょうか。なぜそのようなことを指示したんでしょうか。
浅川和彦
262
○
浅川
参考人
この件につきましては、現在
強制調査
中ということもあって、申しわけありませんが、微妙な
意味
を込めていますので、ちょっと発言は差し控えたいと思います。
佐々木憲昭
263
○佐々木(憲)
委員
これは極めて重要な事実でありまして、回答がないというのは私はおかしいと思うんですよ。
浅川社長
は、この
監査報告書
を一切隠して、その上で改ざんを行っていた。したがって、
虚偽
の
報告
を作成したわけであります。
アイティーエム証券
の社長に聞きますけれども、
浅川
氏から、
監査報告書
については開封せずに私のところへ届けなさい、こういうふうに言われていたんじゃありませんか。
西村秀昭
264
○
西村
参考人
監査報告書
については、当社で見ないで持ってくるようにというふうな形でずっと続いていました。最初の二年ぐらいは、先ほども
お話
ししましたように、当社で見ていた時期もありますけれども、それ以降については、見ないでそのまま
AIJ
に渡していたという
状況
です。
佐々木憲昭
265
○佐々木(憲)
委員
そういうふうに言われて、おかしいと思いませんでしたか。
西村秀昭
266
○
西村
参考人
先ほども申しましたように、それを渡している途中で、新規の募集をしているときには、ネット・アセット・バリュー、HSBCから送られてくるものと当社に
AIJ
から
報告
されるものが一致しておりましたので、これは信頼できるなという形でずっと続けてきていました。
佐々木憲昭
267
○佐々木(憲)
委員
この
監査報告書
を、あなたのところに
監査法人
から直接送られてくるわけです。ですから、宛先が
AIJ
じゃなくてあなたの証券
会社
に来たわけですから、なぜそれを開封できないんですか。開封しないというのは不思議だと我々は思うんですけれども。開封するなと言われて開封しないで渡した、それが異様な形になっているとは思わないんですか。
西村秀昭
268
○
西村
参考人
それについては、現在監視
委員会
で
調査
中ですので、いずれ明らかになると思いますけれども、ここで言わせてもらいますと、当社と
AIJ
との
関係
は、当時、九〇%以上の株を
AIJ
が握っているという親子
関係
にありましたので……(発言する者あり)命令と言われましたけれども、言われたらそのとおりにやるという
状況
でしたので、ほかのことで、先ほど言いましたように、ある程度安心できるような
状況
だったので、
監査報告書
は半年以上おくれて来ますので、そちらよりも日々のネット・アセット・バリューの方を信頼していたという
状況
です。
佐々木憲昭
269
○佐々木(憲)
委員
浅川
参考人
は、この
監査法人
の
報告書
を事実上握り潰して、それを知った上で、内容を知った上で、
公認会計士
に運用実績を改ざんした
虚偽
の
報告書
の作成を依頼していた、そういう事実はあったんでしょうか。
浅川和彦
270
○
浅川
参考人
運用報告書
につきましては、要するに、
アイティーエム証券
に流している
情報
と、それと一致させるために、今
虚偽
と言われましたが、水増しのNAVをつくるようには依頼しました。
佐々木憲昭
271
○佐々木(憲)
委員
これは、あなたは何か
虚偽
を、うそをついた覚えはないとか言って先ほど答弁をされていましたけれども、実際の運用実績、そして
監査
の結果、その
報告書
というものをあなたは表に出すということを一切させなかった。証券
会社
に来たものも、
アイティーエム証券
に来たものも、それを開封させず、自分のところに持ってこさせて、それを隠し、その上で、それと全く違う数字を、計算上つじつまが合うような形で
報告書
をつくって、それで
年金基金
の担当者に
お金
を預けるようにと、こういうセールスをして歩いた。 事実を偽ってそれを
報告
し、その上でみずからの利益を図ったわけですから、これは明らかに違法である、そういう認識はありませんか。
浅川和彦
272
○
浅川
参考人
運用報告書
につきましては、実は
金融庁
に出した二〇一〇年の三月期と二〇一一年の三月期だけでございます。それも昨年出しただけでございます。 お客様に出したのは、これを持ってお客さんのところに外交したわけじゃありません。お客様が買った後にどうしても連結決算で必要だということで、その一社のお客さんだけに出した、これが事実でございます。
佐々木憲昭
273
○佐々木(憲)
委員
大体、デリバティブ取引でずっと損を出していながら、それを隠してもうかっているかのように
報告書
をつくり、
年金基金
をだました、その罪は極めて大きいと言わざるを得ないと思います。 したがって、その徹底した
調査
を我々は求めますけれども、当
委員会
としても、証人喚問等、真実を明確にさせていく必要があるというふうに思っております。 以上で終わります。
海江田万里
274
○
海江田委員長
次に、
豊田潤多郎
君。
豊田潤多郎
275
○豊田
委員
新党きづなの
豊田潤多郎
でございます。 私の持ち時間は十分ということでございますので、あれこれ言っているうちにすぐ終わってしまいますから、私は個別的にいろいろ事実
関係
を問いただすことはこの場ではいたしません。 私は、自見
大臣
初め
金融庁
のところの、先ほどの
委員会
のところで申し上げたとおりですけれども、国会は司法とは違います。恐らく、
浅川
参考人
ほか何名かの方を含めて、これは司法の場に必ず移ると私は確信しておりますけれども、そこで明確に、誰がどういう責任があって、どういう経緯でどういうことをしたのかということを、事実
関係
と責任が明確になると思いますし、それに対するまた責任のとり方というのも明確になっていくと思います。 私は、その
関係
はそちらに任せるとして、なぜ国会できょうは
参考人
で来ていただいているかというと、国の大事な、国民の
皆さん
が掛けた年金の大事な部分を毀損して多大なる社会的な不安あるいは迷惑をかけている、あるいは迷惑どころか損害をかけている、その事実に対して国会としてとるべき措置をとるべきではないか、それと、一番大事なことは、こういうことが二度と起こらないように予防なり防止策をとる、これが大事な
ポイント
であるということで私は
質問
をさせていただいているわけですけれども、残り七、八分の中で、一言だけ、
浅川社長
、
浅川
参考人
、今回、これだけの
質疑
応答があった中で、あなたは振り返って、この一時間半余り、二時間近くになりますが、どのような感想を持っておられるか、最後、一言お聞きしたいと思います。
浅川和彦
276
○
浅川
参考人
冒頭申しましたように、全受益者の皆様には本当に申しわけないと思っております。この
委員会
を通じまして、私も、今現在
強制調査
中ですけれども、誠意を持って当たりたいと思っております。
豊田潤多郎
277
○豊田
委員
この
参考人
招致ということでは、これ以上、私は限界があると思っておりますので、必ずや、司直の手は司直の手として、事実の解明のために証人喚問を求めたい、このように思いますので、
委員長
、よろしくお諮りのほどをお願いいたします。
海江田万里
278
○
海江田委員長
先ほど来、幾つかの政党からそういう
お話
もありますので、これは
理事
会でよく協議をさせていただきます。
豊田潤多郎
279
○豊田
委員
お願いいたします。 私は、ちょっと視点を変えまして、今回の問題の中で、先ほども
金融庁
に申し上げましたが、
金融庁
を初めとする監督当局と、私は
信託銀行
の責任が極めて重い、このように思っております。 なぜならば、先ほどの、
金融庁
に対しての
質問
もいたしましたけれども、
信託銀行
というのは、今回、第三者ではなくて当事者でありまして、確かに、そのスキーム、先ほどちょっと御
説明
もされましたけれども、
投資顧問
業者
が投資運用
業者
として、
運用受託
機関として
基金
の財産を受け入れて運用する、それはそれでいいんですが、これは、あくまで財産の管理は
信託銀行
が行っているわけであります。
信託銀行
から、例えば具体的にAという
厚生年金基金
に、かれこれこうこうこういう形で資産を運用されていますと。その指図は、確かに
投資顧問
業者
からの指図を受けていますが、こういう形で運用をして管理をしておりますということを
信託銀行
が
基金
に
報告
を出している。これは、善管注意
義務
というのは当然ありますけれども、
信託銀行
と
投資顧問
業者
では世間の評価は全く違います。
投資顧問
業者
の人には悪いんですが、
信託銀行
というのは社会的に大きな、公共的な責任もあれば、信用力もあります。それから
調査
能力もあります。マーケットでどういうふうな今市況になって、例えばリーマン・ショック後どういうふうな株式市況、どういうふうな債券市況になっているのかということは、
信託銀行
の人の
調査
部門、すごく
調査
は行き届いているはずです。 しかも、そこにどういう人たちが参加してどういう取引をやっているかというのは百も御存じのはずですし、ましてや、年金を受託して
投資顧問
業者
から指図を受けているのであれば、
信託銀行
がもっと責任を持ってその辺の管理をすべき、あるいは注意を喚起するということがあってしかるべきではないかと思うんですが、まず、信託協会の会長という立場ももちろんですけれども、今回のみずほ
信託銀行
として具体的に当事者になっておられる野中
参考人
からお
考え
を聞きたいと思います。
野中隆史
280
○野中
参考人
我々が受けている、ある
意味
では事務受託でございます年金特定信託契約というのは、今
先生
がおっしゃったとおりでございまして、
投資顧問会社
が運用スキームを構築し、運用商品の設定も全て行う。これは、
基金
においてもそれは当然の、
投資一任契約
を
基金
と
投資顧問会社
の間で結んでおりますので、我々が、それがある
意味
で決定したところで
基金
と我々との間で年金の特定信託契約、すなわち資産管理という
意味
で契約を結ぶわけです。 その一番
ポイント
は、時価ないしはその財産が存在しているかということのチェックだと思うんですが、この場合、実はSECのレポートにもありますように、時価
情報
というのはある
意味
で証券
会社
からいただく、こういうスキームでございます。 そういうことで、大変残念ではありますけれども、我々は、証券
会社
からいただいた時価
情報
をもとに
基金
に対してマンスリーのレポートを提出したということでありまして、結果的にそれが間違えていたということになりますが、証券
会社
からの時価
情報
授受という点において、大変残念ではありますけれども、我々は見抜けなかったということであります。 ただ、我々として、今後のあるべき姿、年金の特定信託契約において、もっと
信託銀行
みずからが時価
情報
に近づけるようなスキームがないかということを今
検討
しているところでございます。 以上です。
豊田潤多郎
281
○豊田
委員
信託銀行
のそれだけの社会的信用を持って、しかもマーケットの
調査
能力のあるところの社長さんのお答えとは私はとても思えないんですが。 私も、旧大蔵省におりまして、銀行局にもおりましたし、銀行、証券も担当しておりました。正直言って、証券というのは営業がありますから、北の支店で言っていることと南の支店で言っていることで、北では売りだ、南では買いだと株を売ったりしている、こういう事実があって、証券
会社
の方はそれほど信用力がないというのは一般的に言われていることですけれども、銀行として、
信託銀行
は信託をやっておられるわけですけれども、
信託銀行
というのはそれなりにちゃんと社会的信用力もあれば、世間の人は、まさか間違いは起こさないと。 実際、間違いを起こされないということで来ていると思うんですが、今の会長、社長の答弁、証券の
報告
で、それをうのみにして右から左に回しているというふうに私は受けとめたんですが、もうちょっとそこで一工夫、チェックができたんじゃないでしょうか、証券市況なり、あるいは国際的なマーケットの
状況
を見て。その点はどうなんでしょう。
野中隆史
282
○野中
参考人
今回のスキームで特徴的だったのは、外国籍投信であったこと、私募形式であったことということだと思います。こうした
AIJ
スキームにおける外国籍投信の名義人は証券
会社
でございます。我々ではありません。ということで、名義人ではない
信託銀行
が、いわゆるフェア・マーケット・バリュー、公正価値、公正時価に近づくことというのはなかなか難しい。 今、信託協会のワーキンググループで
検討
をしておりますけれども、例えば、これは一つの
考え
方ではありますけれども、時価を把握するために、外国籍投信の場合の名義人を
信託銀行
にしたらどうかという一つの案があります。もちろん、それについてはいろいろな
関係
当局、
関係者
等々とも
議論
を進めていく必要があるかとは思いますけれども、何しろ我々としては、委託者が安心して時価を認識できるスキームが何とかできないかということを
検討
しているところでございます。
豊田潤多郎
283
○豊田
委員
それでは、さらにお聞きしますけれども、
AIJ
というところが二〇〇八年から、いろいろなところで
情報
として
信託銀行
さんもつかんでおられたと思うんですね。いろいろな
年金情報
とかというのは
調査
部門で調べておられると思います。
AIJ
がおかしなことをやっているんじゃないかと言われている、そこからの指図で
アイティーエム証券
が、外国のものであれ、あるいは、そういうもので手が届かないということであっても、そういうことについて何か運用上おかしいと思われるということはなかったんでしょうか。
野中隆史
284
○野中
参考人
まず、運用上のパフォーマンス、運用パフォーマンスの点と、スキームにおける時価
情報
の点と、二つあると思います。 一つはパフォーマンスの件でありますけれども、これはいろいろな年金のパフォーマンス評価
会社
のレポートにおいても、
AIJ
投信のハイパフォーマンスは注目されておりました。それは事実であります。 ただ、我々も、先ほど実は
信託銀行
というのは二つの信託契約があると申し上げました。一つは、我々自身が運用をする受託者となって、我々がパフォーマンスを上げていかなくちゃならない年金信託契約です。それからもう一つは、この
AIJ
のように、
投資顧問会社
が
基金
との間で一任契約を結んだ際の事務の受託である年金特定信託、この二つということで申し上げました。 後者の方のスキームの点における懐疑性については、実は、大変残念ではありますけれども、信託協会、それから単一銀行であるみずほ
信託銀行
においても、証券
会社
から時価
情報
をもらうとか等々について、大変残念ですけれども、懐疑の念は持ちませんでした。 以上です。
豊田潤多郎
285
○豊田
委員
時間が来ましたので、これ以上
質問
はいたしませんけれども、私は、
信託銀行
が今回果たすべき役割というのはもっとあったんじゃないかと思っています。 もう少し
信託銀行
のサイドで、年金あるいは年金の受託、それを運用する特に
投資顧問会社
、そういうところに対する気配り、目配り、注意が行き届いていれば、ここまで大きな問題にならなかったのではないかというふうに、私は
信託銀行
の今後の責任というのも追及していきたいと思っていますし、これまでも何とか工夫すれば、今までのスキームでもある程度は防げた。 しかし、よりよいものをつくって、もっと、こういうことが二度と起こらないようにやっていくという会長の前向きの姿勢は私は評価したいと思っています。 これで
質問
を終わります。以上です。
海江田万里
286
○
海江田委員長
これにて
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。
参考人
各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を
代表
いたしまして厚く御礼を申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十一分散会