○宮崎
委員 ありがとうございました。
いずれにしても、この
労働契約法、ある
意味で、これまでの
労働政策を
転換させ、
有期の
労働者を
無期の勤務、
雇用形態に
転換させていくという
意味で、大変社会的意義も大きいものであると考えます。ますますこういう形で
雇用の安定というのを図っていただきたいというふうに思います。
続いて、ちょっと別の問題について御
質問をさせていただければと思います。
医療費の無料化等を各自治体が行っておりますが、こういうことをやると、国保の国庫負担分が減額をされるという
措置が今行われております。これについて伺えればというふうに思います。
私は群馬県の出身なんですけれども、群馬県では子供医療費の無料化に取り組んでおりまして、以前は一部の自治体、前橋市とかそういうところだけで行われていたんですが、二〇〇九年十月からは、群馬県全域で、中学の卒業まで医療費が無料化をされております。また、それ以前から、福祉医療
制度ということで、一九七三年、私が三歳のときですけれども、このときから、乳幼児と重度心身障害者、翌年には母子世帯等の医療費が無料になったりということがされております。
県民生活には大きなプラスになるということなんですけれども、こういう無料化を例えば県や市町村の費用で行った場合、これが過剰受診や安易な受診を招いてしまうということで、一種のペナルティーとして国民健康保険の国庫負担金が削減をされているということです。
この減額というのは一九八四年から始まったというふうに聞いておりまして、乳幼児等だったら一五%も削減をされてしまうことがあるというふうに聞いております。患者が医療機関に払った後で還付をされる償還払いの場合は削減されないということなんですけれども、医療機関の窓口で、例えば、一円も払わなくていいとか、あるいはそれが割引になるとか、そういった
制度、現物給付の場合のみ削減をされるということで聞いております。
群馬県の場合、二〇一〇年度で、子供の医療費のところで二億五千万円削減されて、重度心身障害者のところで七億七千万円、それから母子家庭等で一億五千万円、計十一億七千万円にその減額分が達する。これは、群馬の話だけ申し上げましたけれども、群馬に限らず、全国で八割を超える三十九都道府県で何らかのこういう減額が行われているという現状があるんですね。
しかし、例えば早目に受診をするということで、むしろ重症化が防がれて医療費が減る、抑制されるという考え方もありまして、実際、インフルエンザの流行などの際には、これを導入していたことで早期の受診が図られて、結果的には小児科の受診を減らせたというようなケースもあるようでございます。
こういったことを考える中で、自己負担が減ると安易な受診がふえるという現象を、どういう統計的な根拠で削減しているのかということを調べますと、戦前の旧内務省に、数理の技官、数学屋さんですね、保険のそういう計算をしたりという、長瀬恒蔵さんがいらっしゃいまして、この人が考えた、自己負担を減らすと受診がふえますよとか、どれぐらいふえますよというのを長瀬効果、あるいはその計算式を長瀬式、長瀬指数等と呼びまして、これに基づいて、安易な受診がふえるから削減してしまえということでやっているそうなんです。
ちょっと長くなりましたが、これが実態とかけ離れているんじゃないかという
指摘があるんです。日本医師会のシンクタンクで日医総研というのがありまして、かつて自民党の山本幸三先生が、厚労の部会長か何かやっていらっしゃったんでしょうか、その後、日医総研の方に提案をして、長瀬式というものの検証をやってもらったんですね。
検証をやった人は、当時阪大の助教授であった鈴木亘先生という方なんですけれども、結果でいいますと、この長瀬式というのは甚だ実態から離れていて、実用にたえ得るものではないのではないか、そういう研究になっているわけなんです。
その鈴木先生が書かれたペーパーに何と書いてあるかといいますと、「この理論的な背景もない素朴な関係式」というふうに書いているんですね。それで、四つの問題点を
指摘されている。「1統計的に推定されたものではなく信頼性が低い(評価不能である)、2集計データを用いた当てはめであるため、様々な効果が混在してしまっている、3実際、医療経済学者が行ってきた数多くの推定結果と大幅に異なる弾力性である、4推定
期間の選択等で恣意的に数値が操作可能である、」こういう、甚だ現代には適さない。
長瀬式は戦前に出されたもので、数年前の厚労省の
会議でも、一九三五年、昭和十年にその長瀬さんが書いた本の統計のコピーがそのまま載っていたりというような
状況で、もちろん、自己負担を減らせば、過剰受診も、安易な受診も起こらないとは言いませんけれども、その計算の方法が甚だ実態とかけ離れているんじゃないかというふうな
指摘があるわけであります。
例えば重症心身障害者というと、日常的にやはり医療を必要としていますから、無料にしたから過剰受診とか、それを窓口で払わずに後で還付を受ければ過剰受診がないとかという話でもないんだと思うんですよ。また、子供ですよね。子供を医者に連れていくというのは大変なことで、値段が安いから過剰受診ということはあり得ない。
群馬県の方でいろいろ調査したけれども、余り過剰受診になっていないんじゃないかと。そもそも、群馬が十五歳まで入院、通院とも無料化ということをやっていますけれども、一人当たりの医療費を見ると、別に他の都道府県より高いわけでもない、むしろ低いということであります。
長瀬式は私は実態に合っていないんだと思っていまして、これをこれまでどういうふうに
見直してきたのか、また、今後十分な検証を行って見直すべきだと考えますが、これについていかがお考えか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。