○坂口(力)
委員 これは薬事法の
改正だと
思いますから。
厚生科学審議会におきましても、最終提言を踏まえまして、医薬品等制度
改正検討部会を設置されました。その部会は、「薬事法等制度
改正についてのとりまとめ」を公表されております。その中でも第三者組織の設置が求められております。もう二重、三重に求められているわけであります。だから、これはぜひおやりをいただきたいというふうに
思います。
B型肝炎でありますとかC型肝炎でありますとか、その時代の医学水準からすれば、一般の
医療界では予防する能力があったのかどうかということの疑問もそれはありますけれども、しかし、裁判の結果は、そうした中にあっても、
厚生労働省には、先進的な知識とそして監視能力を持って行うべきだということが求められているというふうに
思います。
私も、実は、若いときにはそういうことを知らずにやっておりました医師の一人でございました。一人一人針をかえることもなしに予防注射をやってきました。あるいはまた、血液製剤を安易に使ってきたことも事実でありまして、
患者さん方の前に立ちましたときに、一体、
自分のやってきたことは大丈夫であったか、本当に身の引き締まる
思いと申しますか、戦慄を覚える
思いと申しますか、そんな
思いがするわけであります。
しかし、そういう時代であったとしても、現場の医師にはそこまでのことは求められなくても、しかし、それを
指導する立場にあります
厚生労働省には、やはりそこはきちっとやらなければならないということが求められている。これはやはり、私は当然といえば当然のことだというふうに
思います。
この問題に限らず、
厚生労働省の役所の
皆さん方の責任というのは非常に私は重いと
思います。責任だけではなくて、大きな権限をお持ちであります。お役人の
皆さん方の発言によって、例えば日本じゅうの
医療がどうなるかということ、これは大きく動くわけであります。一言一言で動く。日本の全体の中を動かすだけの権限が与えられている。
しかし、権限があるということは、また責任もついて回る。一般の
医療水準が、いかなる時代であれ、先見的な知識を持って、そして、それを監視していく、監督していく、それだけのことが求められているということであります。
だから、そこはやはり一人の人間でできるわけではありません。やはり、組織として、そういうことが監視ができる、新しい知識が集中的にわかるような体制をつくっていかないといけないと
思いますし、そういう組織の構造をつくり上げて、その中でやっていくということにせざるを得ない。そうしなければ、一人の人間ではそれはなかなかできないと私は
思います。
ヤコブ病のときにも問題になりまして、実は、あのときに、外国から輸入されます脳硬膜の審査をやっていた人がいるわけですが、
厚生労働省の中でそれをやっていた人は一人しかいなかった、いろいろの審査をやる人は一人しかいない。年間八百件を一人でやっていた。それはやはり能力を超えた話でありまして、世界の中でそうした病気と申しますか、いろいろの副作用が出るというようなことを勉強するいとまもなかったと私は
思います。その人一人を責めても仕方がない。それは、制度そのもの、人の数、あるいはまた全体の構造がそうなっていなかった、そこをやはり私
たちは回復させなきゃいけない、つくり直さなきゃならない、そのときにもそう思った次第でありますが、今回の肝炎の問題につきましても、やはり新しいそうしたことをきちっとしていかなきゃならない。それは、程度は違いますけれども、一人一人の医師にだってそうだと
思います。
実は、先日、私
ごとで恐縮ですが、私、新年会をやりましたら、そこに五十歳になる女性が一人あらわれまして、私は五歳のときに先生に額を三針縫ってもらいましたという人があらわれました。僕はがくっとしましたね。前髪を下げておりますし、ひょっとしたらその傷がうまく治っていないのではないか。その人の話を聞きましたら、母親に頭を押さえさせておいて、そして、その人いわく、麻酔を打つこともなく、出血が多かったけれども止血剤を使うこともなく、先生はずばっと三針縫ったそうです、それ以来、その話を聞いて、一度お会いしたいと思っていましたが、今日まで会う機会がございませんでした、ことしの新年会で四十五年ぶりにその女性に挨拶をされまして、私はそのときに思わずその人の前髪を上げました。これはひょっとして、前髪を下げておるというのは顔に傷が残っているためではないか、私は本当にそう
思いましたね。まだ上げ初めし前髪のじゃありませんけれども、前髪を上げました。しかし、見事に治っておりまして、傷は残っておりませんでした。
私は本当にほっとしましたけれども、しかし、治っておりましたら、それはその人の自然治癒力が治したんです。私の
治療方法がよかったんじゃない。その人の自然治癒力が治した。もし傷が残っていたら、それは坂口の
治療方法が悪かった、こうなるんですね。責任とそれから権限というのはそんなものだと私は
思います。
だから、話がうまくいっておるときには、それは
国民の皆がきちっとうまくやっているということなんですよ。一たび何かが起こったら、それは
厚生労働省の責任として常に問われる、これが世の中ですね。だから、ひとつそこはふだんからこういう組織をきちっとつくって、起こらないように、もう最大限の注意をしておくということに尽きるんですね。それ以外の方法はありません。
どうぞ、
大臣、大変でしょうけれども、残されたことしの日程の中で、ぜひともひとつこの法案をつくり上げて、
改正案をつくり上げていただきたいと心からお願いを申し上げておきます。
最後にもう一言ありましたらいただいて、次の問題に移ります。