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2012-04-05 第180回国会 衆議院 憲法審査会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十四年四月五日(木曜日) 午前十時
開議
出席委員
会長
大畠
章宏君
幹事
小沢 鋭仁君
幹事
逢坂 誠二君
幹事
宮島 大典君
幹事
山花 郁夫君
幹事
鷲尾英一郎
君
幹事
中谷 元君
幹事
保利
耕輔君
幹事
赤松
正雄
君
阿知波吉信
君 網屋 信介君
磯谷香代子
君 稲見 哲男君 今井 雅人君
緒方林太郎
君
大泉ひろこ
君 川越 孝洋君
川村秀三郎
君 木村たけつか君 篠原 孝君 辻 惠君
辻元
清美君
中屋
大介
君
橋本
勉君
鳩山由紀夫
君 浜本 宏君
村越
祐民
君
山尾志桜里
君 山崎 摩耶君
吉川
政重
君 笠 浩史君 井上 信治君 石破 茂君 木村
太郎
君
近藤三津枝
君 柴山 昌彦君 田村
憲久
君 棚橋 泰文君 中川 秀直君 野田 毅君 平沢 勝栄君 古屋
圭司
君 大口 善徳君
笠井
亮君
渡辺浩一郎
君 照屋
寛徳
君
柿澤
未途君 …………………………………
衆議院法制局法制企画調整部長
橘
幸信
君
衆議院憲法審査会事務局長
窪田 勝弘君
—————————————
委員
の異動 四月五日
辞任
補欠選任
岡本
充功
君
橋本
勉君
楠田
大蔵
君
中屋
大介
君
近藤
昭一
君
吉川
政重
君
中野
寛成
君
村越
祐民
君 同日
辞任
補欠選任
中屋
大介
君
楠田
大蔵
君
橋本
勉君
岡本
充功
君
村越
祐民
君
中野
寛成
君
吉川
政重
君
近藤
昭一
君
—————————————
四月五日
憲法
九条を守ることに関する
請願
(
笠井亮
君
紹介
)(第八〇五号)
憲法
九条の
改悪反対
に関する
請願
(
阿部知子
君
紹介
)(第八八二号) は本
憲法審査会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する
基本法制
に関する件(
憲法改正
問題についての
国民投票制度等
) ————◇—————
大畠章宏
1
○
大畠会長
これより
会議
を開きます。
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する
基本法制
に関する件、特に
憲法改正
問題についての
国民投票制度等
について
調査
を進めます。 本日の議事の順序について申し上げます。 まず、
衆議院法制局当局
から
説明
を聴取し、その後、
自由討議
に入ることといたします。 それでは、
衆議院法制局当局
から
説明
を聴取いたします。
衆議院法制局法制企画調整部長橘幸信
君。
橘幸信
2
○
橘法制局参事
衆議院法制局
の橘でございます。 本日は、
幹事会
での御協議に基づきます
大畠会長
からの御指示に従いまして、
憲法改正国民投票法附則
第十二条に定める
憲法改正
問題についての
国民投票制度等
をめぐる諸問題につきまして、御
報告
させていただくことになりました。 もとより、拙い御
報告
にすぎませんが、
衆議院憲法調査会設置
以降十年余りにわたりまして、与野党の多くの
先生方
から御教示をいただいてまいりました。そのようなことを思い起こしながら、
衆議院
の
憲法調査会
及び
憲法調査特別委員会
の
議論
の経過と
概要
を中心に、本日の
先生方
の
自由討議
の素材を御提供申し上げる
観点
から御
報告
をさせていただきたいと存じます。 早速ですが、お
手元配付
の
資料
を含めまして、
内容
に入らせていただきたいと存じます。 我が
日本国憲法
は、その前文の第一項第一文の末尾で、「ここに
主権
が
国民
に存することを宣言し、」と述べ、また、第一条の天皇の地位に関する条項におきましても、「この地位は、
主権
の存する
日本国民
の総意に基く。」と規定して、この
憲法
が
国民主権
の原理に基づくことを明確にしております。 この
国民主権
の意味するところにつきましては、
憲法学説
上大いなる御
議論
があるところではありますけれども、その最大公約数的なところを申し上げるとするならば、国家の
政治
のあり方を最終的に決める力、すなわち権力あるいは権威が
国民
にあることを意味するものと理解されているところでございます。 ただ、そのような力を
国民
がどのような形で行使することができるのかについては
議論
がございます。すなわち、
憲法
第十五条において保障されている
成年者
による
普通選挙
のもとでの
選挙権
の行使、すなわち、
国民代表
でいらっしゃる
先生方
、
国会議員
を通じての
国政参加
の方法以外に
日本国憲法
が明文で認めているのは、第七十九条に定める
最高裁判所裁判官
の
国民審査
、第九十五条に定める
地方自治特別立法
における
住民投票
、そして第九十六条の
憲法改正国民投票
の
三つ
であるというふうに言われております。 これら以外の場面において、
国民主権
の原理に基づいて、
法律
でもって
国民投票
のような直接
民主制
を創設することができるのか、できるとすれば、それはどのような条件のもとにおいてであるのかといった問題が本日の
テーマ
の基底にある問題であるかと存じます。 と申しますのも、前文第一項の冒頭におきまして、「正当に
選挙
された
国会
における
代表者
を通じて行動し、」とあることや、
憲法
第四十一条の、
国会
は、国の唯一の
立法機関
であるとの規定から導かれます
国会単独立法
の
原則
、すなわち、
法律
の制定については
国会
のみが関与し得るとの
原則
でありますけれども、これに鑑みますれば、
日本国憲法
は、
代表民主制
、
間接民主制
の
原則
を採用しているのだ、そういう解釈が一般的になされているところだからであります。 ところで、このような
現行憲法下
における一般的な
国民投票制度
をめぐる問題は、実に古くて新しい問題であると言っても過言ではないと存じます。 例えば、新
憲法施行
の息吹がまだ残っておりました昭和三十年代に内閣に設置されました
憲法調査会
でも、この
論点
につきまして活発な御
議論
がなされており、その
報告書
においては、わざわざ「
国民投票制度
」と題する独立した一節が設けられて、
賛否両論
の
概要
がまとめられておるのでございます。 お
手元配付
の
資料
一に若干詳細な引用を参考につけておきましたけれども、そこでは、
特定
の問題に対する
国民投票制度
について、次のような両論があったことを紹介しております。 すなわち、一方では、
代議制
ないし
議会政治
のもとにおいては、
国民
の
意見
は
国会議員
の
選挙
という形式においてのみ表明されるほかないのであるが、
選挙権
の行使という方法とは別に、
特定
の問題に対して、直接に
国民
の
意見
を表明するための
国民投票制度
を拡充すべきであり、それによって重大な
政治
問題を
国民自身
が決定することができるとともに、また
議会政治
を補完することができるとする
積極論
でございました。ちなみに、この
見解
を強力に主張しておられたのは、若かりしころの
中曽根康弘先生
でございました。
他方
では、
特定
の問題に対する
国民投票制度
は
民主主義
に反するものであるとし、または
国民投票制度
には種々の欠陥があり、むしろ
議会政治
、
議院内閣制
の育成を図るべきであるとし、したがって、新たに
国民投票制度
を設けるべきではないとする
見解
も述べられております。 そこでは、
国民投票制度
は決して
民主主義
的なものではないとし、その理由として、
デモクラシー
とは、合意を目指しての努力としての討論や説得の
過程
にこそその
本質
があるのだ、だから、みずから
討議
、審議をなし得ない多人数の
国民
に、単にイエスかノーの結論だけを問うという
国民投票制度
は決して
デモクラシー
とは言えないのだ、そういう趣旨のことが述べられております。 なお、
内閣憲法調査会
においては、この後者の
消極論
が大多数の
意見
であったと総括されておりました。 以上の先行する
議論
を踏まえまして、
衆議院
の
憲法調査会
におきましても、この
論点
に関して活発な御
議論
が繰り広げられました。
最終報告書
においては、「直接
民主制
」と題する独立した項目が設けられ、その中の一項目として、この
国民投票制度
に関する
論点
が取り上げられております。お
手元配付
の
資料
二にその
部分
を抜粋してまいりました。 そこでは、積極、消極の両論が併記されておりまして、いずれの
見解
も多数
意見
となるには至らなかったとされております。 すなわち、一般的な
国民投票制度
を導入すべきであるとする
積極論
の
立場
からは、
価値観
が多様化する中で、さまざまな
国民ニーズ
や
意見
を反映させていくべきこと、あるいは
議会政治
の補完の
必要性
ということが述べられる一方で、これを導入することに慎重な
立場
からは、
民主主義
の
本質
は
討議
の
過程
にあるのに、政策の是非を判断する手段を必ずしも有しない
国民
に対して、直接にその
意思
を問うことは危険であるとか、
議会制民主主義
を健全に機能させていくことこそがまずは重要であるといった
意見
が述べられております。
参考人
の
意見陳述
におきましても、大東文化大学の
井口秀作先生
や
京都大学
の
大石真先生
のように、直接
民主制
の
導入自体
は、
憲法前文
の「
代表者
を通じて行動し、」という文言と必ずしも矛盾するものではないとか、
民主主義
にとっては、人を選ぶことも重要だが、それ以外に、我々のことは我々で決めるという要素を取り入れることも重要であるとする積極的な御
意見
もあった一方で、東京大学の
森田朗先生
のように、
国民
の要望を的確に酌み上げて政策に結びつけていくのは、基本的には
国会議員
の仕事であるとする慎重な御
意見
もございました。
憲法調査会
が
最終報告書
を取りまとめてその
調査活動
を終了した後、
平成
十七年、二〇〇五年の八月のいわゆる
郵政解散
・総
選挙
後に召集されました第百六十三回
特別国会
におきまして、
憲法改正国民投票法制
の整備のために設置されましたのが
衆議院
の
憲法調査特別委員会
でございました。この
特別委員会
において、今御紹介申し上げましたようなそれまでの御
議論
を踏まえつつ、いよいよ
国会
の場で本格的に
国民投票制度
に関する御
議論
が開始されたのでございました。 同
特別委員会
におきましては、
国民投票法制
の
制度設計
をするに際して、網羅的な
論点整理
をまずは行うべきという
観点
から、諸外国の
国民投票法制
を含めた広範な
調査
を行うこととされました。 お手元に、
資料
三として、二度にわたります
欧州各国
の
国民投票法制
に関する
調査
のうち、本日の
テーマ
でございます
国民投票
の
対象範囲
に関する
部分
を抜粋した
資料
を配付してございますので、御参照いただければと存じます。それぞれの
各国
のより詳細な
内容
は、
衆議院
の
憲法審査会事務局
におきまして整理していただきました、お
手元配付
の
衆憲資
第七十五号の二十六ページ以下にも整理されておりますので、あわせてごらんいただければ幸いでございます。 これらの
資料
の
概要
を、誤解を恐れずに大ざっぱにまとめてみますと、まず、
調査対象
となった国々におきましては、基本的に、
憲法改正
以外の
事項
についても
国民投票
の
対象
としている、まずこのことを指摘できるかと存じます。もちろん、そのような諸外国においては、そのような
一般的国民投票
ができるという旨の
根拠規定
は、
憲法
の中に明文であるわけであります。 次に、
国民投票
の
対象
とされている
事項
につきまして、
国民投票
を行うことが義務的か任意的か、あるいはその
国民投票
の結果に、
議会
や政府を拘束する、そういう
法的拘束力
を持たせているのかいないのかといった
論点
は、
制度設計
上大変重要であると存じますが、
国民投票
の
対象範囲
を考察されます本日の
先生方
の
テーマ
に照らして示唆的であると思われるのは、一つ、
国民投票
に付するかどうか及びその
案件
を誰が決めるのかといった
発案権
の所在、
二つ
、
国民投票
に付してはいけない
案件
というようなものをあらかじめ想定しているのかどうかといった
論点
も大変重要であるかと存じます。 例えば、前者の
発案権
、
発案者
に関する
論点
につきましては、いずれの国も、大体におきまして、
議会
が
発案
の
イニシアチブ
をとることを基本としているように存じます。しかし、
一覧表
で見ていただきますとおわかりになられますように、スペインや
フランス
のように、
政府提案
を認めている国もございます。さらには、
イタリア
や
スイス
、
スロバキア
、さらには、一定の
限定つき
ではございますけれども、二〇〇八年
憲法改正
後の
フランス
などのように、
一定数
以上の署名をもってすれば
国民
に
発案
の
イニシアチブ
を認めている、そういう国もございます。 また、後者の
国民投票
の
付議禁止事項
に関する
論点
につきましては、
イタリア
、エストニア、オーストリア、
スロバキア
、デンマークのように、租税や予算などを
対象外
とする国が少なくございません。 また、そのほか、特に
調査派遣団
の
先生方
を驚かせたのは、
スロバキア憲法
におきまして、最も
憲法事項
であります
基本的人権
に関する
事項
、これが
国民投票
の
対象外
とされていることが大変注目され、目につきました。 そのような背景として考えられることは、租税や予算などにつきましては、
特定
の利害を離れた全
国民的見地
から、
議会制民主主義
の
過程
の中で
国会議員
の
先生方
こそが決められるべき
事項
であるといった思想が、また、
基本的人権
につきましては、
基本的人権
の
本質
は
少数者
の
人権保障
、いわば異端の自由にあるといったことに鑑みれば、そもそも多数決で決めるべき
事項
ではないといったような思想がそれぞれ読み取れるように存じます。 なお、
イタリア
において、
憲法改正
以外の
国民投票
の
対象
は、
法律
などの廃止であって
法律
などの制定ではないとされることにつきましても、
海外調査
の中では、あくまでも、一旦
議会制民主主義
のルートに乗せた上で、その行き過ぎを補正するのが直接
民主制
である、だから、
法律
の廃止のみが
国民投票
の
対象
なのだといった
ヒアリング
の
調査
を頂戴してございます。 この
海外調査
におきましては、
法制度面
のみならず、その実際の運用における課題や
問題点
につきましてもさまざまな
ヒアリング調査
を行っておられますけれども、例えば
スイス
、これは世界でも最も
国民投票
について豊富な
経験
を持つ国でございますが、その背景には、民族や言語のみによっては
国民統合
を図ることは困難である、そのため、
国民投票
の頻繁な実施によって、これが
国民
を統合する作用を果たしているという面もあるのではないのか、そのような指摘もございました。 以上のような
調査
を踏まえまして、
平成
十八年の四月に至りまして、
憲法改正国民投票法制
に関する
論点一覧表
が取りまとめられました。そして、これに基づきまして、全
会派参加
のもと、
理事懇談会
の形で行われました
実務者協議
の場で、七回、合計十時間にわたる活発な御
議論
がなされました。そこでの御
議論
のうち、
国民投票法案
の
対象範囲
に関する
部分
を抜粋したものが、お
手元配付
の
資料
四でございます。 そこでも、一方では、一般的な
案件
に関する
国民投票制度
の構築は、
憲法改正
にかかわる大きな問題である、現時点においては、やはり
憲法改正国民投票
に
限定
した
議論
をすべきである、あるいは、
欧州各国
の
調査
でもたびたび指摘されていたように、
国民投票
は、往々にして、その時々の政府に対する信任、不信任を問うものとなってしまう
危険性
があるといった
見解
が述べられました。
他方
では、
欧州各国
の
調査
によれば、
各国
は、
憲法改正
の場合以外にも直接
民主制
の手法を、
限定
的にではあるけれども採用しているではないかとして、
我が国
も、
間接民主制
を補完するものとして、また、
憲法
四十一条の、
国会
が唯一の
立法機関
であることに反しない形での諮問的な
国民投票制度
としてこれを導入すべきである、あるいは、
国民投票
の
経験
がない
我が国
においては、まずは一般的な
政治課題
について
諮問的国民投票
を行い、その
経験
を踏まえて、国の
最高法規
である
憲法
についての
国民投票
を行う、そういうプロセスを踏まなければ、
民主主義
の誤作動につながりかねない
危険性
を感じるといった
意見
も述べられたところでございました。 以上のような、約八カ月に及ぶ
調査
を踏まえまして、
一般的国民投票制度
に関する消極、積極それぞれの考え方から立案、
提出
されたのが、第百六十四回
通常国会
の会期末近くの同年、
平成
十八年五月二十六日に
提出
されました
自民
、公明両党の
日本国憲法
の
改正手続
に関する
法律案
と、
民主党
の
日本国憲法
の
改正
及び
国政
における重要な問題に係る
案件
の
発議手続
及び
国民投票
に関する
法律案
でありました。 すなわち、両
法案
の題名に端的にあらわれておりますように、
自民
・
公明案
は
憲法改正国民投票
だけを
対象
とする一方、
民主党案
は、
憲法改正国民投票
に加えて、
国会自身
が発議をし、かつ、その結果に拘束されないという
制度設計
のもとに、
国政
における重要問題に係る
案件
につきましても
国民投票
を行うことができるものとしておりました。 両
法案
は、
提出
直後の六月一日に、大変珍しいことではございますけれども、
議員立法
両案が本
会議
で
趣旨説明
、質疑が行われました後、同年九月召集の第百六十五回
臨時国会
におきまして、両
法案審査
のための小
委員会
が設けられ、そこで活発な
議論
及び一本化を目指した
修正協議
が行われました。 以下につきましては、
衆憲資
第七十五号の四ページに非常に的確にまとめていただきました「
法案
・
修正案
の推移」の表がございますので、あわせ御参照いただければと存じます。 一見、対極にあるように見えます両
法案
でありましたけれども、
議論
の
過程
では、双方から柔軟な
意見
が述べられておりました。 特に、
民主党側
からは当初より、
国政
における重要問題に係る
案件
として想定しているのは、
皇室典範
のように
憲法
問題に準ずる
事項
、自衛隊の
イラク派遣
のように国家全体の運命に関する
事項
、
安楽死
などの
国民
の
死生観
、
生命倫理
に関する
事項
などであるとした上で、もし、
国民投票
に付すべき
案件
について明確に
限定
をかけておく必要があるというのであれば、今後の
議論
の中で、これを
法律
上
限定
することも含めて柔軟に
検討
、対処していきたい旨の御
発言
が、
提出者
のお一人でもありました
鈴木克昌先生
から明確に述べられておりました。
他方
、
保岡興治先生
初め
自民
・
公明案
の
提出者
からも、
一般的国民投票制度
の中でも、
憲法改正
に関連する問題に限った諮問的、
予備的国民投票制度
を念頭に置くのであれば、それは
検討
に値する、そういう旨の御
発言
がたびたびなされておりました。 ちなみに、ここで言う諮問的というのは、
国民投票
の結果に
法的拘束力
がないことをいうもので、
特段
の御
説明
を要しないかもしれませんが、予備的というのは少々わかりにくいかもしれませんので、一言御
説明
を加えておきたいと存じます。 この
予備的国民投票制度
の
発案者
は、私の記憶では、現在も
委員
でいらっしゃり、ここにもおられる
赤松正雄先生
だったと存じます。その
赤松先生
の前で私が解説するのは、何か非常に面映ゆいのですけれども、間違ったら後で御指摘いただくとして、
赤松先生
は次のように言っておられました。
国会
で詳細な
憲法改正原案
を作成していきなり
国民投票
に付するというのでは、いささか
国民
の間に戸惑いもあるだろうし、また、その
憲法改正
の
テーマ
の選び方や
内容
に
国民
の
意思
が十分に反映しない場合もあるかもしれない、こうされた上で、むしろ、あらかじめ
国民
の
意思
を推しはかるという意味で、まずは予備的にアンケート
調査
的な
国民投票
を行い、しかる後に、
国会
は、その全体的な
国民
の
意思
を踏まえた
憲法改正原案
の立案に着手する、それで詳細な条文をつくる、その後に、
憲法
第九十六条で要求されている正式の
国民投票
を行うといった慎重な手続が有効な場合もあるのではないのかということを述べられていたと記憶してございます。 以上のような両
法案
のそれぞれの
立場
からの歩み寄りが頂点に達したのが、
平成
十八年十二月十四日、その
年最後
の
憲法調査特別委員会
での、双方の
提出者
から示されました
修正要綱
とこれに基づく
修正発言
でございました。 まず、
自民
・
公明案
の
提出者
を代表して船田元
先生
からは、
憲法改正
を要する問題及び
憲法改正
の
対象
となり得る問題についての
国民投票制度
に関し、その意義及び
必要性
の有無について、
日本国憲法
の採用する
間接民主制
との
整合性
の確保その他の
観点
から
検討
を加え、必要な措置を講ずる旨の
検討条項
を設けたいとの御
発言
がございました。
他方
、
民主党案
の
提出者
を代表して
枝野幸男先生
からは、
国政
における重要問題に係る
案件
というだけでは確かに広過ぎるかもしれないということを念頭に置かれつつ、
憲法改正
以外のこのような
国政
問題に係る
国民投票
については、現在、修文を
検討
中であるとされて、次の
三つ
の案が提示されたのでございました。 すなわち、
A案
、
国政
問題に係る
案件
について一定の
限定
を付する、B案、その
限定
については、
船田修正発言
のとおり、
憲法改正
を要する問題及び
憲法改正
の
対象
となり得る問題に
限定
する、C案、
憲法改正
以外の
国民投票法制
の是非とその
具体的制度設計
については急がない、
船田修正発言
のとおり、
検討条項
とすることも考える、そのような三案でございました。 ここに至って、両
法案
の最大の
相違点
について
合意点
が見えてきたのではないかという期待が一気に高まったのでございました。 しかし、年が明けました
平成
十九年以降、さまざまな
政治
的あるいは政局的な環境の変化があり、両
法案
の一本化に関する合意に至らなかったことについては、昨年十一月十七日の本
審査会
における
中山太郎先生
の御
報告
で言及されているとおりでございます。 しかし、このような両
法案
の
提出者
から述べられたそれぞれの
修正発言
は、誠実にその後
法案
化され、まず、
自民
、
公明提出
の
併合修正案
では、今ほど述べました
船田先生
の
修正発言どおり
の
検討条項
が設けられました。これが、現在の
附則
十二条そのものでございます。
他方
、
民主党提出
の全部
修正案
におきましても、
枝野先生
の
修正発言
の
A案
の線に即して、
国民投票
の
対象範囲
が
限定
されることになりました。 すなわち、
国政
における重要な問題のうち、一つ、
憲法改正
の
対象
となり得る問題。例えば女性天皇問題などは、
法律
的には
皇室典範
の
改正
でも済むわけでございますけれども、これは
憲法改正
の
対象
ともなり得る問題である、そういうものでございます。
二つ
、
統治機構
に関する問題。例えば、これにつきましても、一院制の問題などは、むしろ
国会議員
の
先生方
からの発議を必ずしも期待し得ないのではないのか、そのような問題について、まず
国民
の
意思
、意向を聞くことが必要なのではないのか、そのようなことが想定されたものと推察されます。
三つ
、
生命倫理
に関する問題。このような問題は、
政党政治
を超えた、
国会議員
、
国民
の皆さんの
死生観
、
倫理観
に関する問題であり、まずは
国民
の意向を伺うべきではないのかといったことが考慮されたものであると推察されます。 この
三つ
を例示した上で、そのより具体的な
内容
については、
国民投票
の
対象
とするにふさわしい問題として別に
法律
で定めるというふうに、別法の
検討
に委ねられたのでございました。 したがって、現在の
附則
十二条が直接に規定している
検討対象範囲
よりも、この
民主党
の全部
修正案
の想定されていた
一般的国民投票
の
対象範囲
の方がやや広い、あるいはやや広いかもしれないということになっているように存じます。 なお、現在の
附則
第十二条の
検討
には、
選挙権年齢
などの十八歳への引き下げや公務員の
政治的行為
の制限に関する
法制
上の
整備条項
、いわゆる
二つ
の
宿題
のような
特段
の期限は付されておりません。この
三つ目
の
宿題
については、
特段
の期限は付されておりません。 しかし、
民主党
の最終的に御
提出
されました全部
修正案
におきましては、今申し述べました具体的な
国民投票
の
対象範囲
について別に定める
法律
、これも、
二つ
の
宿題
と同様に、
本法施行
までに整備するもの、そのように規定されておりましたことを最後に付言申し上げます。 以上、拙い御
報告
ではございましたが、本日の
先生方
の
自由討議
の素材を御提供させていただきました。 御清聴ありがとうございました。
大畠章宏
3
○
大畠会長
以上で
衆議院法制局当局
からの
説明
聴取は終わりました。
—————————————
大畠章宏
4
○
大畠会長
これより
自由討議
を行います。 この際、
委員
各位に申し上げます。
発言
を希望される
委員
は、お
手元
にあるネームプレートをお立ていただき、
会長
の指名を受けた後に
発言
をお願いします。
発言
が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。
発言
は自席から着席のままで結構でございます。また、
発言
の際には、所属会派及び氏名をお述べいただきますようにお願いいたします。 なお、
幹事会
の
協議
によりまして、一回当たりの持ち時間は五分以内といたしたく存じます。
委員
各位の御協力をお願いいたします。
照屋寛徳
5
○照屋
委員
社会
民主党
の照屋
寛徳
です。 本日の
テーマ
、いわゆる
三つ
の
宿題
の
一つ
である
憲法改正
問題についての
国民投票制度
に関する
検討
について、若干の質問と私の
意見
を表明いたします。 私は、現行
憲法
が
国会
を
唯一
の
立法機関
と定め、
基本
的に、
議会制民主主義
と呼ばれる
間接民主制
を採用しているとの前提に立っても、
諮問的国民投票
と呼ばれる
一般的国民投票制度
の導入を認めるべきだと考えます。 参議院
憲法調査特別委員会
では、
一般的国民投票
は、日本の統治
原理
である
議会制民主主義
そのものを崩壊、形骸化させることにつながるとの
参考人
の
意見
表明もあったようですが、私はそのようには思いません。むしろ、
一般的国民投票制度
は、
間接民主制
と呼ばれる
議会制民主主義
のもとで、幅広く多様な
国民
意思
を
政治
と
国会
に反映させるものだと考えます。 特に、
衆議院
における現行小
選挙
区制度にあっては、各党の得票数と議席占有率の著しい乖離もあり、その結果として
国民
意思
と
国会
意思
との乖離も生じているだけに、
間接民主制
を補完する役割を担うものと思います。 配付
資料
、
衆憲資
第七十五号によりますと、参議院
憲法調査特別委員会
では、私と同じ
意見
の
参考人
陳述も多かったと理解をしております。 質問の第一点は、
自民
党、
公明
党の
憲法改正
手続
法提案者が、
諮問的国民投票
制度について、
憲法
九十六条の周辺に位置するものと考えられると述べております。一方で、配付
資料
、
衆憲資
第七十五号の九ページによりますと、
自民
党保岡興治議員は、「
憲法
問題に限った諮問的、
予備的国民投票制度
というのは、
憲法改正
事項
に直接
民主制
を取り入れた
憲法
九十六条そのものの
趣旨
からすると、
憲法
の許容するぎりぎりの範囲内とも考えられる」と述べております。その点について、
議論
の経緯、詳細をお教えください。 質問の二点目は、
日本国憲法
の
改正手続
に関する
法律
附則
第十二条では、国は、必要な措置を講ずるものとするとなっております。
憲法改正
問題についての
国民投票制度
に関する
検討
主体は、国なのか、それとも
憲法審査会
なのか、参議院における附帯決議一との関連を含めて伺います。 以上です。
橘幸信
6
○
橘法制局参事
照屋
先生
、御質問ありがとうございます。 二問頂戴いたしました。 一問目は、
憲法
予備的
国民投票
に関する御
議論
であったかと存じます。
自民
・
公明案
の
提出者
の
先生方
が
基本
的に考慮されましたのは、先ほど御
報告
申し上げました、
日本国憲法
は
間接民主制
を
基本
的に採用しているということでございました。 例えば、
憲法
学者の宮沢俊義
先生
のコンメンタールによりますと、「正当に
選挙
された
国会
における
代表者
を通じて行動し、」とは、
憲法
は、
主権
を有する
日本国民
が直接にみずから
国政
に参与するという
原則
を採用せずに、
国民
によって正当に
選挙
された
国会議員
を通じて、いわば間接的に
国政
に参加、参与することを
原則
とする、すなわち、
代表民主制
または
間接民主制
の
原則
を採用することを意味する、
国民
が直接に
国政
に参与する場合として、
憲法
は、
憲法改正
の場合の
国民投票
を認め、また、公務員の選任に参与する場合として、
国会議員
の
選挙
のほかに
最高裁判所裁判官
の
国民審査
などを認めているけれども、しかし、
原則
としてはどこまでも
代表民主制
をとり、
国会
をもって国権の最高機関としているのだというような、もちろん別の学説はございますけれども、このような一般的な学説を
念頭
に置かれたものと考えております。 その上で、
自民
、
公明
の
法案
の提案者の
先生方
が、
対象
を広く、
民主党案
のように
国政
上の重要問題とするのは、このような
憲法
の採用する
間接民主制
に反するおそれがあるけれども、しかし、
憲法改正
については九十六条があるので、これに関連する、そういう範囲内であればぎりぎり許されるのではないのかというふうに言われたものと存じます。それが、個別の
憲法
問題、
憲法
関連問題に
限定
し、かつ諮問的で、あるいは予備的なものであれば、
憲法
上許容されると。冒頭、
先生
引用されました、九十六条の周辺に位置する、これは、このようなことを比喩的に述べられたものであろうかというふうに拝察いたします。 あともう一点、
附則
十二条の
検討条項
の主体が「国は、」となっている点でございます。 これは、
先生方
からたびたび
議員立法
で御指示をいただいてまいります際に、数々の
検討条項
を私どもお手伝いさせていただきました。
検討条項
には一般に、国はという主語で書く場合と
政府
はと書く場合とがあり、また、主体を書かずに受け身で書く場合などがありますけれども、一般に、国はと書く場合には、これは国の統治権を有する
三つ
の機関、
国会
、
政府
、あと裁判所を観念的には含むわけですが、ただ、裁判所が意味
内容
上主体になることはありませんので、国はと書く場合には、通常、
政府
と立法府である
国会
を指すことは自明であります。 ただ、この
附則
十二条に関しては、
制定
時の
議論
では、
政府
に
検討
を命じたり
法案
提出
を求めることは全く想定されていませんでした。あくまでも、この
検討
の主体は
国会
であるということがたびたび、当時の与党案、
自民
・
公明案
の御
提出者
からも
民主党案
の御
提出者
からも言われておりました。 例えば、最も端的なのが、両案の当初の
法案
から最終的に修正されたそれぞれの案で、実はこの
憲法審査会
の権限が変えられているのです。当初の案では次のようになっておりました。この
憲法審査会
の権限は、
憲法改正原案
の審査権と
日本国憲法
の
改正手続
に係る
法律案
の審査権というふうになっていたんですが、実は、修正の最終局面でして現在の
国会
法ですが、
憲法改正原案
の審査権のほか、
日本国憲法
に係る
改正
の
発議
または
国民投票
に関する
法律案
の審査権というふうに変えられているわけです。 この
趣旨
につきましては、
船田
元
先生
は、予備的
国民投票
の
検討
もここでできるようにする、こういうことを取り込んだ形で修正したのだというふうに、
憲法改正
に限らない
国民投票制度
の
制度設計
もこの
憲法審査会
の権限なのだというふうに言われていますし、
他方
、
枝野幸男先生
の御
発言
でも、
憲法審査会
の権限についてでございますが、先ほど来、
一般的国民投票
などについての
議論
も行っていこうという与党からの御提起もございまして、私どもの
一般的国民投票
についての
法案
を可決していただいた場合であっても、これについて、今後、
改正
等を行う審査機関が必要でございます、すなわち、それは個別の、例えば
内閣
委員会
とかそういうことよりも、むしろ
憲法
のところであろうということで、今私が申し述べたような、そういう条文にさせていただきたい、そんなことをおっしゃっておられるところでございます。
先生
が御指摘いただきました参議院の
憲法調査特別委員会
での附帯決議におきましても、「
国民投票
の
対象
・範囲については、
憲法審査会
において、その意義及び
必要性
の有無等について十分な
検討
を加え、適切な措置を講じるように努める」というふうに、主体の国の中身は
国会
そのものであるということが明確になっているかと存じます。 冗長で申しわけございませんが、
最後
に付言するならば、それであれば、この
検討条項
の主語を国はじゃなくて
国会
はと書けばよかったじゃないかと。ただ、私どもがお手伝いしている限り、
検討条項
の主語を
国会
はとした立法例は、少なくとも私の記憶の中では見当たりません。何でだろうかというのはちょっと不思議なところもありますが、
先生方
がつくられる
法律
において、自分たちはこう
検討
しろというのは少しおかしいのではないかという、そういうのがあるからかもしれません。 以上でございます。
柴山昌彦
7
○柴山
委員
私は、現時点では、
自民
、
公明
の
附則
十二条の案を中心として、緩和をするにしてもぜひ
検討
をしてほしいというように思っております。 直接
民主制
については、今の御
報告
の中にはなかった視点として、リコールですとかあるいはカウンティー、シティーマネジャー、そういった形で、直接
民主制
を広く導入している地方の
案件
と国の
案件
を同一に扱ってよいのかという問題意識も必要ではないかなというように思っております。やはり
国民
は、自分から遠い、国の、特に、さっきイラクの問題についても言及がありましたけれども、専門的かつ非常に継続的に
検討
を加えなければいけない
案件
について、どうしても判断が十分できないのではないかという懸念が私としては拭い切れません。 先ほど照屋
委員
の方からは、
国会
を
唯一
の
立法機関
とし、また
代表民主制
を導入している現在の
憲法
の中でも、こういった補完的な
国民投票
の意義を積極的に評価するというような御
発言
があったのですが、私は、やはり国レベルの問題については、
代表民主制
をとっているということをむしろ積極的に評価するものであります。 そういう意味では、従前、伝統的に言われております
国民主権
、人民
主権
、ボロンテ・ゼネラルなどの、かねてから
検討
されていたさまざまな論争については、現代社会にあっては、やはり
間接民主制
というものにより積極的に評価をする、国レベルの問題では評価をするというような形で
検討
を開始するべきだというように思っております。 欧州では確かに、橘さんから御指摘いただいたようなさまざまな任意的な
国民投票
の仕組みもあるんですけれども、思い返してみれば、昨年十一月のギリシャにおける歳出削減等について、これを
国民投票
にするということを
検討
した瞬間に非常に大きな危機が顕在化しかねない状況だったように、やはり運用の実態というものを精査する必要がこれらの国々においてもあるのかなというように私は思います。
法制
局においては、最近実施された
国民投票
が諸
外国
においてどのようなものであり、そしてその結果、どういういろいろな反応というものが出てきたのかということをぜひお伺いしたいなというように思っております。 それと、イラクの派遣については、先ほど申し上げたように、これを例えばさまざまな外交、防衛についての専門的な知見なく、裸の形で
国民投票
に付することによって、それが、政権交代の後、普天間の問題もいろいろありましたけれども、あるいは給油支援の問題もありましたけれども、本当にしっかりとした責任を持った結論というものが導き出せるのかということについて、やはり不安に思う
部分
があります。 それから、
最後
になりますけれども、迷惑施設について、これを例えば
住民投票
や
国民投票
に付した場合に、結局、ロケーションの設定ということについて、最終的に決まらないことによって非常に大きな損失というものが生じてしまいかねないのではないかということも、これは先ほど申し上げた外交、防衛の問題とはちょっと異質の問題ではありますけれども、付言をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。 質問については、ぜひ御答弁をお願いします。
橘幸信
8
○
橘法制局参事
御質問ありがとうございます。 諸
外国
の
国民投票
の実施例については必ずしもつまびらかにはいたしませんけれども、
先生方
、お
手元配付
の
衆憲資
七十五号でございますと、事例は決して網羅的ではございませんが、二十六ページ以下のところに若干の最近の
国民投票
の実施例も載っております。 世間の耳目を集めましたものでございますと、例えば、
イタリア
におけます新たな原子力発電所の計画、建設の
廃止
に関する
国民投票
、これは三十ページでありますが、昨年の六月に実施されたということが
一つ
載ってございます。 あと、少し旧聞に属することになりますが、
スイス
の、
スイス
は年に四回定期的に
国民投票
をやっているという国でございますけれども、日本でも大変問題になりましたのは、三十六ページに掲げてありますような、二〇〇九年十一月に、
国民
の
イニシアチブ
、
国民
発案
で
国民投票
に付され、当時、
スイス
の
政府
は、
政府
としては反対だ、反対投票を投じてくれというふうに言ったにもかかわらず賛成されてしまったというような、ミナレット、イスラム教寺院の塔の建設禁止、これが
憲法
に
規定
されるというような事例もあったかと存じます。
憲法調査特別委員会
におけます
海外調査
で専ら
議論
になったのは、
先生
には釈迦に説法でございますが、EU
憲法
に関する
国民投票
の事例を
中山太郎先生
から大変御教示いただきながら、
フランス
やオランダなどでのEU
憲法改正
に係る
国民投票
、否決に至るそういう
過程
については、
先生方
と一緒に勉強してまいりました。 以上でございます。
緒方林太郎
9
○緒方
委員
民主党
の
緒方林太郎
でございます。
一般的国民投票制度
について、諸
外国
、いろいろなケースがあるわけですけれども、よく、きょうも
スイス
の例が取り上げられておりますが、
スイス
は非常に、歴史的にも国の成り立ちにしても特殊なところがあるので、余り
スイス
の、
国民投票制度
が日本にそのまま導入できるかどうかとか、
スイス
でやっているからというのは
議論
の前提として成り立たないのではないかというふうに思います。 私は
フランス
憲法
を勉強したことがあるんですけれども、
フランス
においては、この
国民投票制度
、
憲法事項
と
法律
事項
がありますけれども、これは何かというと、あの国においては
議会
不信がそもそも根底にあるツールであります。今の
憲法
、シャルル・ドゴール大統領のときにできたものでありますけれども、
議会
がごたごたしているときに、うるさいとやって、直接
国民
に聞くんだということで、
議会
不信のツールとしてこの
国民投票制度
が存在する国があるということについては、私、強調させていただきたいというふうに思います。 そういうときにどういうふうに使われるかというと、統治のあり方として、君主的統治を行うときのツールとしてまさにこの
国民投票制度
がある。
議会
との関係がうまくいかない、なかなか
法律
が通らない、そういうときに、もういい、
国民
に直接聞くんだということで、そういうふうに使われるということがある。ここは国によって、
政治
文化によってそれぞれ適用の仕方が違うと思いますけれども、
念頭
に置くべきかと思います。 そして、これをもう少し
政治
的文脈に置きかえてみると、
一般的国民投票制度
といいますけれども、これは恐らく、政権が満を持して
提出
した
案件
で否決されたときには、最低でも
内閣
総辞職だと思います、日本の制度においては。さすがにその状態で解散・総
選挙
に出ることはないと思いますけれども、それすらあり得る。いずれにせよ、政権が崩壊することに直結する可能性が非常に高い
案件
、考え方によっては解散・総
選挙
と非常に似たような制度として運用されることがあり得る政権信任のツールであるということも考える必要があると思います。
フランス
においては、これまで二回否決されたことがあります。シャルル・ドゴール大統領のとき、一九六九年、上院改革をしようとして否決された。このときは、シャルル・ドゴール大統領は
辞任
をしています。そして二〇〇四年、まさに先ほど橘部長からもありました、欧州の条約が否決をされた。このときは首相が
辞任
をしています。
フランス
は大統領と首相で
政治
的権力を分有しているので、どっちがやめるかというのはそのときの
政治
情勢によって違うわけですけれども、日本みたいな制度で
政治
的権力が分有されていないケースにおいては、間違いなく総理に責任が全部来て、
内閣
総辞職、場合によっては解散・総
選挙
というふうになるということについては、これはよく考える必要がある。
政治
的文脈に置きかえたときによく考える必要があるだろう。 そして、さらに言うと、私は首相公選制というのは日本ではなかなかうまくいかないのではないかと思いますけれども、仮に首相公選制を導入してこの
一般的国民投票制度
を合わせたときに何が起こるかというと、首相を選んでいる勢力と
議会
の多数派が異なるとき、
法律
が一本も通らない。私がそのときの総理大臣であれば、ばんばん
国民投票
を打つと思います。もう
議会
に諮るのが面倒くさいから。そういうふうなツールとしてもあり得るということ、これも強調させていただきたい。
最後
に
一つ
。この問題、
国民投票
をやるときにもう
一つ
考えなきゃいけないのは投票率との問題でありまして、実は、例えば、国にとって重要な
案件
だけれども
特定
の集団または
特定
の地域に非常に利害が集中するような
案件
である場合、このときは投票率が上がらない可能性があるんですね。
フランス
でも一回こういうことがありました。一九八八年、ニューカレドニアの独立の問題について、
国民投票
を一回打ったことがあります。本土からすると地球の真裏にある話、全く投票率が伸びなかった。可決はされたけれども投票率が全く伸びないと、何となくその
案件
自体が、その
案件
そのものが不信任を受けたような感じがあって、可決はされたけれども敗北感が漂うみたいな話が出てくるかもしれない。こういうことも問題として提起をさせていただきたいと思います。
最後
に、これをまとめて申し上げさせていただきますと、仮にやるとしても、仮にこの
一般的国民投票制度
というか、やるとしても、
テーマ
を絞る。そして、できれば
政府提案
は避けた方がいいと思います。先ほどありました、
議会
が提案する国が多いということでしたが、
政府提案
を避ける。そして、
最後
は、投票率の問題についてまとめる。この三点を強調させていただきまして、
発言
を終わります。 ありがとうございました。
近藤三津枝
10
○
近藤
(三)
委員
発言
の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
国民投票
法は、
憲法改正
に
限定
した
法律
です。本日議題の
国民投票
法
附則
第十二条は、
憲法改正
問題についての
諮問的国民投票
として、次の二点について速やかに
検討
するように定められています。 その第一が、
憲法改正
を要する問題についての
国民投票
です。これは、
憲法改正
についての予備的な民意の動向を探るための
国民投票
であるというふうに言われています。 私が伺いたいのは二点目について。
衆議院法制局
の橘部長に伺わせていただきます。 お伺いしたい二点目の
国民投票
は、
憲法改正
の
対象
となり得る問題に関する
国民投票
について。この
憲法改正
の
対象
となり得る問題とは、具体的にどのような
事項
、事柄などを想定しているのか、どのような
国民投票
なのかということ。これまでの
国会
での
議論
、
憲法
の論文などを使ってお答えいただけないでしょうか。橘部長、よろしくお願いします。
橘幸信
11
○
橘法制局参事
御質問ありがとうございます。
先生
から頂戴した御質問は、
憲法改正
の
対象
となり得る問題とはどのような問題を具体的に想定されていたのかということでございます。 提案者の
先生方
におかれましては、一言で言いますれば、
憲法改正
は必要ではないけれども、しかし
憲法
に明記することもできるような問題ということを想定されていたと思います。先ほどは、
皇室典範
の
改正
でも対応することができるけれども、諸
外国
の
憲法
典に考えれば
憲法
で明記することもあり得る、例えば女性天皇といった問題を挙げました。
提出者
の
先生
のお一人でいらっしゃいます
船田
元
先生
の参議院での御答弁を引きますれば、例えば次のように述べられています。 今御指摘の点につきましては、
統治機構
に関する問題、それから
生命倫理
に関する問題というものも、これは、私個人の考えからしますと、当然に
憲法改正
を要する問題でなくても、
憲法改正
の
対象
となり得る問題という中には含まれる、こういうふうに述べられています。そうなりますと、結局は、
民主党
が言われていた事柄と近づいているのかなと思います。 あと、
先生
、諸
外国
の事例あるいは
憲法
に関する論文でもそのようなことは言われているのかということを、質問を頂戴してございますが、大変不勉強で、諸
外国
で、
改正
の
対象
となり得るとか、あと、
憲法
の論文におきまして、
憲法改正
の
対象
となり得る問題はこういうものだといった文献を直接参照してはおりません。当時、
立案
のお手伝いをした場合も、こういうことが
国民投票
の
対象
として考えられるのではないのかということを、まさしく
国会議員
の
先生方
がこの場で考案した概念であって、それを、まさしくこの
憲法審査会
で
検討
してほしいということであったかと存じます。 後段の御質問にお答えできなかったものですから、
先生
がおっしゃいました前段について、生意気ですが一点御
報告
させていただきますと、
憲法
予備的
国民投票
については、予備的の意味については
赤松先生
から御教示いただいたことを先ほど御
紹介
申し上げましたが、具体的にどういう問題かということについては、必ずしも
先生方
の中でイメージが共有されていたのではないようにも思われます。 ただ、余りに具体的な、例えば個別の
法案
についての賛否を予備的
国民投票
で問うのだということは、これは違うというふうには、例えば
枝野先生
の御答弁などでは言っておられました。個別の
法案
についての賛否は、これは
国会議員
の仕事だ、その前に至るもう少し抽象的なものだと。ただ、抽象的であればいいのかというと、では、今の
憲法
の
改正
に賛成ですか反対ですかということを聞く、これは抽象的で余り意味のない事柄だと。 当時の
先生方
で最大公約数的に想定されていたのは、例えば、具体的に
国会
答弁の中に残っているわけではありませんが、
先生方
から私どもが
立案
の
過程
で御教示いただきましたのは、多分次のようなことであったかと存じます。 例えば、早急に
憲法改正
の
対象
とすべき問題はどういう問題ですか、一、九条
改正
、二、環境権創設、三、
憲法
裁判所創設。
国民
の皆さん、どれに興味がございますかといって、そこで例えば、環境権だ、当面環境権でやってくれということになると、では、環境権については、環境の権利として
規定
するのか、それとも国または
国家
の環境保全の責務として
規定
するのか、それを
国会
で
制度設計
を詰めて、いよいよもって最終的に九十六条で
発議
していく、そんなイメージなのだということであったと拝察いたします。
大畠章宏
12
○
大畠会長
赤松
委員
のお名前も出ていましたが、何か付言することがございましたらと思いますが、いかがでしょうか。
赤松正雄
13
○
赤松
(正)
委員
先ほどから聞いておりましたら、何か
発言
しなくちゃいけないなという気分にはなっておりました。 先ほど橘部長の方から私の
発言
等の引用がありましたが、幾つかの点があるんですけれども、
一つ
は、
憲法改正
をめぐる
議論
というのが、やはり戦後長きにわたって
特定
の政党の間でかなり細かくいろいろな
議論
がされてきたという経緯はありますけれども、それに対して、
国民
全体における個々の具体的なことに対する空気といいますか傾向というものは大体余り出てこない。世論
調査
というふうな格好で出るにせよ、余り明確に出てこないということがあります。 そういう状況の中で、
憲法改正
という形で
発議
をされて、三分の二という条件がありますけれども、九十六条に基づいて
発議
をするということでは、
国民
のふだん考えていることとの大きな乖離が出てくる可能性がある。そういう意味で、那辺に
国民
の関心があるのかということについて、予備的に、政党が考える
憲法改正
の方向性と大きな乖離がないように事前にそういうことをキャッチする必要があるんじゃないか、そういう点が
一つ
あります。 もう
一つ
は、三分の二という壁はなかなか大きいものがあるわけで、ある意味、逆の
観点
かもしれませんけれども、
国民
の
意見
を聞くということによって、その非常に高い壁というものが、ある意味で実質的に壁を下げられるんじゃないかという思い、つまり、
国民
の要望が強ければ、いわゆる政党間の差異というか、そういうものを超えて
合意
をつくっていくことに寄与できるんじゃないか。そういうことも含めて、今の、ある種、
憲法
をめぐる硬直したというか逼塞した状況を打破していくためにも、
国民
の皆さんの考えるところをあらかじめ予備的に聞いておくということはあっていいんじゃないか、こういうふうな考え方で、先ほど引用していただいたような
発言
につながっていった、こんなふうに今思い起こしているところでございます。
柿澤未途
14
○
柿澤
委員
柿澤
未途でございます。御指名をいただきまして、ありがとうございます。 私たちみんなの党は、首相を
国民
が直接選ぶことを求める声が世論
調査
で七五%に上がっている、こういうことも踏まえて、
憲法改正
によらずに諮問的な
国民投票
で総理大臣に誰がふさわしいかということを
国民
に推薦をしていただく、
内閣
総理大臣の指名に係る
国民投票制度
の創設にかかわる
法案
を今
立案
中でございまして、今
国会
に
提出
をする、こういう方針でございます。
国民投票
の結果を
国会議員
が
参考
にし、あるいは尊重して投票行動を行う、こういうたてつけであれば、
国会
を
唯一
の
立法機関
としている現行
憲法
には矛盾をしない、こういうふうな理解をしております。 ましてや、先ほど橘部長からもお話がありましたとおり、この
国家
は
国民主権
であって、
国会議員
が
主権
者であるわけではないわけですから、ある意味では、
国民
の
意見
を直接聞いて、そして
国会議員
がそれを取り入れて立法を行っていくということについては何らの問題、阻害をするに当たらない、こういうふうな理解をしております。 そうした
観点
から、一点御質問を申し上げたい
基本
中の
基本
でありますけれども、そもそも、
諮問的国民投票
、あるいは、今、
赤松先生
がおっしゃられた予備的
国民投票
でも結構ですけれども、いずれにしても、この諮問的な
国民投票
というものを制限する根拠があるとすれば、それは一体何なのか。これまでの
議論
の経過を踏まえたある種の立法
政策
ということであるのか、あるいは、そもそも
法律
的な根拠を持ってこの
諮問的国民投票
を制限しなければいけない、こういう認識であるのかどうか、この点をお尋ね申し上げたいというふうに思います。 私たちの理解では、これは立法
政策
の問題であって、
憲法
周りならよくて、そのほかではだめだということではないのではないか、こういうふうに思いますが、その理解でよいのかどうか、あわせて、これまでの経過も踏まえて橘部長から
見解
をお示しいただきたい、こういうふうに思います。 以上です。
橘幸信
15
○
橘法制局参事
先生
、御質問ありがとうございます。 まさしく、
現行憲法下
でも、
一般的国民投票制度
を諮問的という形で位置づければ当然
憲法
問題はクリアできるというのが
一つ
の御見識であり、現に
立案
され
国会
に上程された
民主党案
でございました。その意味では、
先生
がおっしゃられた問題は、これは立法
政策
の枠内だと。 これに対する反論として
国会
でなされたのは、次のようなことでございました。
一般的国民投票制度
は、仮にその効果が諮問的なものであるとしても、事実上の拘束力があり得ることは否定できない、
国民
がこうだというふうに言ったことについて、幾ら
国家
機関が拘束されないといっても、これに事実上の拘束力がある、これを大変に当時の
自民
、
公明
両党の提案者は重く捉えられ、この点、現行
憲法
が定める
議会制民主主義
の根幹にかかわる重要な問題であるというふうに指摘されていたところかと存じます。
他方
、
民主党
の御
提出者
でいらっしゃいました
枝野幸男先生
も、最終
修正案
で、
国政
における重要問題というものを
限定
されました。
限定
されたときも、事実上の拘束力があるという指摘を受けたので
限定
したのだという御答弁をされているように思います。 もちろん、これは
先生方
のそれぞれのお
立場
からする解釈でございますので、それ自身が立法
政策
、
憲法
解釈問題なのだとは存じます。
橋本勉
16
○
橋本
(勉)
委員
衆議院
議員の
橋本
勉でございます。 この
テーマ
について、ちょっと一言述べさせていただきたいのと、質問も
一つ
させていただきたいと思っております。 私は、個人的な
見解
としまして、もっともっとこの
国民投票
法というものを積極的に導入してもいいんじゃないかなと思っています。ここに、
一般的国民投票
に
規定
すべき、諮問的、一般的
国民
制度が書いてありますが、もう
一つ
上のランクとして、もっともっと積極的に導入していただきたいと思っております。 というのは、いろいろと直接
民主制
ということで慎重な
意見
というのは、
民主主義
の
本質
は
討議
の
過程
にあるのに、
政策
の
是非
を判断する手段を必ずしも有しない
国民
に対して直接問うことは危険であるというふうなことで反論がありますけれども、現実どうなのかということですね。 今、
一つ
は、我々も
国会
に所属して、
国会
というものをいつも見ております。一期生として私もいつも眺めておりますけれども、現実は、本当に自由な
意見
を言える場所になっているかどうか、これが問題だと思います。
間接民主制
というのは、少し限界にあるんじゃないかなと思っているんですね。 というのは、本当にセレモニックな
国会
になっているということとか、あと、党議拘束に縛られたり、支援団体に縛られた利権が、
選挙
を意識した代表が、どうしてもここでゆがめられてしまう、
政策
がゆがめられてしまう。こういうことが本当に、
間接民主制
が限界を持ってきているんじゃないか、そういうことを私は思わざるを得ません。 そういう意味で、
憲法
論上のもう
一つ
の理由として、ただこういうテクニカルな
間接民主制
か直接
民主制
かといって、それ以上に大切なのは、
国民主権
そしてまた
基本的人権
の尊重であり、平和主義である、それが
憲法
の大切な主張であると思います。そういったものが逆にゆがめられてしまうような事態になれば、むしろ私は、
間接民主制
というのは非常にまた疑問としなければならないと思います。 そういう意味で、今ここの、もっともっと直接
民主制
的なシステムというのを導入した方がいいんじゃないかと思います。いろいろな
テーマ
についてヨーロッパも導入してきていると思いますので、しっかりとこの辺は積極的な導入を考えていただきたいと思います。 ただし、
一つ
論点
として上がってきていないものがあるんじゃないかなと思っております。それは何かというと、コストであります。コストというのは何かというと、例えば、聞くところによると、一人当たり大体八百円から千円かかる。これが一億人にかかるとなると八百億円から千億円かかると通常言われておりますので、それだけのコストをかけなければならないかどうかということについてちょっと質問をしたいということと、ヨーロッパの場合、インターネットとかそういったものがあればもっともっと安い投票ができるんじゃないかなと思っておりますので、その辺についての質問をさせていただきたいと思っております。 総合的に言うと、すべからくもし重大な
テーマ
で
衆議院
の解散をしなければいけないとかいうことになってしまうと、もっと大きなコストがかかってしまって、
国民
の皆様に対して大きな御迷惑をおかけするならば、こういう
国民投票
法で、拡大することによって直接
民主制
を補っていくようなシステムこそ、むしろ我々は望むべきところではないかなと思っております。 参議院は解散というのがないのでありますので、そういった意味でも、ぜひともこの拡大路線というものを主張しながら、コストの面で制約条件が若干あるんじゃないかということで質問させていただきたいと思っております。 以上です。
大畠章宏
17
○
大畠会長
なかなか難しい
課題
でもありますし、きょうは中山
太郎
前
調査
会長
も傍聴されておりますが、橘部長として答えられる範囲内で率直に御
発言
をいただきたいと思います。
橘幸信
18
○
橘法制局参事
会長
、御配慮ありがとうございます。
先生
、御質問ありがとうございます。お答えできる範囲内でお答えさせていただきます。
自民
・
公明
両党案の
国民投票法案
に付された経費文書は八百五十億円でございました。
民主党案
の
国民投票法案
に付されました経費文書は八百五十二億円でございました。二億円の差は何かといいますと、
民主党案
におきましては当初から十八歳投票権でございましたので、この二歳分の投票事務費等として二億円をオンしたものでございます。 ほとんどの八百五十億円につきましては中央
選挙
管理会などが使うわけですけれども、しかし、
国民
に対する周知広報は
国会
に設けられます
国民投票
広報協
議会
、つまり
先生方
が
国会
の事務局を使って全
国民
に全て周知広報するのだ、テレビでも新聞でもそうやって周知広報する、そのような費用として八百五十億円余が積算されたものと承知しております。
橋本勉
19
○
橋本
(勉)
委員
ちょっと追加で、ヨーロッパの、例えばインターネット投票とか
国民投票
とか、そういった手段のデータというのはあるんですか、それによってコストがどれぐらいかかるかとか。今の
国民投票
の八百五十億円程度というのは、これは通常八百円とかいう想定で出したものじゃないかなと思うんですね。いわゆる全部投票用紙を配って、インターネット投票というのを全く考えない想定の数字じゃないかなと思いますので、その辺はどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
橘幸信
20
○
橘法制局参事
失礼いたしました。おっしゃるとおりでございます。 諸
外国
で
調査
をしたときには、
中山太郎先生
からも御教示いただきましたように
政府
がホームページで公表したり、インターネット投票まではちょっと記憶にありませんが、さまざまなツールは利用されておりました。 先ほどの積算にはそのようなことは
念頭
に置いてございません。
山花郁夫
21
○山花
委員
民主党
・無所属クラブの山花でございます。 きょう傍聴にお越しになっています中山
太郎
前
会長
と、ルクセンブルクで
国民投票
が行われたときに一緒に視察に行ったという
経験
がありまして、そのときに、例えばカフェとかレストランなどでもその
是非
についてルクセンブルクの
国民
の方々が語り合っていたりとか、学生さんが授業が終わった後集まってそれについて語り合っていたりというような状況が起こっておりまして、先ほど柴山
委員
から、本当に判断能力あるのかみたいな御懸念が示されましたけれども、実際やると、そういったことというのは起こってくるのではないかというふうに思っております。 また、事実上の拘束力ということについては、私、以前、
参考人
の
立場
で
意見
を申し上げたことがありますが、法的な効果がある
国民
の直接
民主制
を取り入れた制度というのは
三つ
、この
国民投票
と裁判官の
国民審査
、あと地方自治特別法ということになりますけれども、諮問的なものであればその
三つ
以外にもできるんだろうというのがもともと当初のプランでありました。 例えば、法的な拘束力を伴うのか事実上のものかというのは、
法律
論としては極めて大きな違いでありまして、以前
参考人
として述べさせていただいたのは、例えば、判例の先例拘束性というのがあると言われているけれども、それはあくまでも事実上の拘束力であって法的なものではない。これはかなり大きな違いですし、また、法的効果を伴うという意味で申し上げると、
衆議院
で
内閣
の不信任案が議決をされると解散または
内閣
の総辞職という法的な効果を伴いますが、法的な効果を伴わない問責決議というのが参議院で事実上行われていることからも、法的な拘束力があるものだけ
憲法
に定められているので、それしかやっちゃいけないということには直ちにはならないでしょうということを申し上げたいと思います。 また、そうはいっても、何でもかんでもやっていいのかというのは、これはまた話が別でありますし、どういった
テーマ
がふさわしいかということについては、よくよく
国会
の方で判断をしてということだと思います。 先ほど橘部長からもいろいろ御
説明
いただきましたし、私も以前から主張していたことなのでかぶってしまいますけれども、例えば、以前、小泉
内閣
のころに、女性の天皇を認めるかどうかのような
議論
が報道で出たことがございました。皇位継承順位というのは
皇室典範
という
法律
でありまして、
憲法
ではありませんから、
国会
で議決をしてしまえばそれで決まるということになるんですけれども、
日本国民
統合の象徴とされている天皇の
地位
にかかわることについて、本当に
国会
だけで定めていいんでしょうか。
国民
が、恐らく確認的なことになるのではないかと推測をいたしますけれども、そういった
憲法
典ではない
事項
についても必要ではないかということを従前から提起させていただいております。 また、先ほど
生命倫理
にかかわることという話が出ました。長きにわたりまして、人の死というのは三徴候、自発的呼吸の停止、心臓の不可逆的停止、瞳孔の拡散というこの
三つ
をもって死とするというのが恐らく
国民
の多くの方の意識だったのではないかと思いますが、例えば、人の死かどうかということを、脳死ということをもって人の死とするかどうかというのは、これは単純に
法律
だけで決めて本当にいいんでしょうか。やはり
死生観
にかかわることでありますし、あえて
憲法
上のものということでいうと、生命、自由及び幸福の追求の権利というのが
憲法
上認められておりますので、いわばその権利の享有主体としての終期をいつにするかという話でありますので、こういったことも
対象
となり得るのではないかというふうに考えているところであります。 でき得れば、どういった
テーマ
がふさわしいのか、
法律
上の
限定
をつけるということであれば考慮しましょうということを我が党としてもこれまで言ってまいりましたので、ぜひこの点について
議論
を深めていただければと思います。 なお、従前も
発言
をさせていただいたことがありますけれども、
国民投票
についても、衆参三分の二で、かつ
議会
の側で
発議
をするということを想定しておりますので、何か解散に結びつくとか
政府
の責任になるというようなことは我々としては想定をしていないということを付言させていただきます。
小沢鋭仁
22
○小沢(鋭)
委員
民主党
の小沢鋭仁です。 皆さん方から大変有益な
議論
を承って、先ほど来、いろいろな考え方があるんだな、こう思って聞かせていただいておりました。
幹事
の
立場
でありますので、若干進行めいた話を一点提案させていただきたい、こういうことでございます。 もちろん、これは
幹事会
でやるべきことでありますが、全体の皆さん方にも申し上げておいた方がいいと思うものですから、
発言
をするわけでございます。 まず、きょうで、いわゆる
三つ
の
宿題
というそれぞれの
テーマ
については扱わせていただきました。きょうの
議論
もそうでございますが、先ほど橘部長からお話もあったとおり、この
国民投票
法に関しても、ほぼ与野党で当時
合意
ができていた、できつつあった、こういう話でございますし、現に今
法律
ができておりまして、その
法律
の
附則
のところで、これは
自民
党、
公明
党さんがおつくりになった案でありますけれども、先ほど
近藤
さんがお話があったような
内容
を決める、こういう話になってきているわけであります。
民主党
の方は、御案内のとおり
三つ
の例示を申し上げて、さらに加えて、別の
法律
で定める、こういう話を提案として申し上げてきているわけでありまして、そろそろ、やはりそういったこれまでの
調査
会で、約十年、経過からすると十年を超える、こういうことでしょうか、それを積み上げてきた、そういった成果あるいはまた
見解
、そういったものに基づいて、我々はそろそろ話を詰めていく段階になっているのではないか、こういうふうに思います。 先ほど来、中山前
会長
のお話がありますが、十年、ずっと頑張ってやってきていただいて、ここまで来たわけで、後は、ここは話をそろそろ詰めていかなければいけない。そして、詰める段階においては、もちろん皆さん方の御
意見
を本当に最大限尊重するのですが、これまでの経緯というものを踏まえた上で話を進めていかないと、なかなか建設的な話にならない、こういうことだろうと思っておりまして、
幹事会
ではそういった
議論
をさせていただきたいと思いますので、ぜひ
委員
の皆さん方にもそういったことを踏まえていただいて、御協力をいただきたいな、こういうふうに思います。 以上です。
大畠章宏
23
○
大畠会長
ただいまの
発言
は
幹事会
の中でもよく論議をさせていただきたいと思います。
柴山昌彦
24
○柴山
委員
二度目の
発言
ということでお許しをいただき、ありがとうございます。 先ほど山花
委員
からお話がございましたルクセンブルクの事例ですけれども、
スイス
のお話もあったんですが、私はやはり、冒頭の
発言
で申し上げたとおり、地方における
国民投票
と、それから大きな国のレベルでの
国民投票
というものは、必然的にその求められる度合いというものが違ってくるのではないかというように思っております。 やはり、サイズが小さくて、みずからの生活に身近なさまざまな事柄を扱う
部分
の判断というのは比較的容易にできるのではないかというように思いますし、ルクセンブルク、あるいは、先ほどお話があったように、さまざまな特殊な歴史を持つ
スイス
と日本との間で、国レベルの
国民投票
が求められる度合いというのは違っているのではないかなというように私は思うのが一点目です。 そして、二点目なんですけれども、先ほど
橋本
委員
の方から御党の中でのいろいろな悩みについて率直な吐露がありまして、共感できる
部分
が多々あるんですけれども、
議会制民主主義
が機能しないということをそれで率直に結論づけてしまってよいのかなという疑問があります。 むしろ、そういった事柄については、政党のガバナンス、場合によっては政党法の策定による党内
民主主義
の確立、そういったことも踏まえてやっていくべきだと思いますし、ねじれ
国会
が機能しないことについては、それこそ、それに即応した形でのさまざまな
議論
というものもなされるべきだと思いますので、今の現状で、物事が前に進まないから、では
国民投票
かということは、私はちょっと、一歩
議論
が飛躍をしてしまいかねないというような懸念を持っております。 そして、三点目なんですけれども、確かに、先ほどお話があったように、
国民投票
が必ずしも解散等に直結しないというような御
意見
、それはそのとおりかと思いますが、たとえ諮問的であっても
国民投票
が持つ
政治
的な意義というのは、私は、場合によっては非常に大きいものがあるというように思っております。たとえ諮問的な
国民投票
であっても、先ほどお話があるように、
政府
が行うということにはやはり相当の
政治
的な意味合いが強いということから、これは慎重に行うべきであろうというように思っております。 そして、
最後
なんですけれども、私は、
憲法
に準じる問題等については
国民投票
はなじむと思いますが、
生命倫理
にかかわる脳死等の問題、これは、
検討
の余地は十分あるかと思いますが、それこそ、先ほどお話が出たとおり、非常に微妙な問題であり、投票率の問題も結構考慮しなければいけないのではないかなというように思いますので、
生命倫理
等の問題については、もう少し
検討
を深めた上で採否を決定するべきではないかなというように思います。 以上でございます。
笠井亮
25
○
笠井
委員
きょうの
テーマ
については、先ほど橘部長からもお話があって、私自身も
憲法調査特別委員会
の時代のこと等含めていろいろと思い起こしながら伺っていたので、あえてきょうは
発言
、質問をするつもりがなかったんですが、先ほど小沢
民主党
筆頭
幹事
の方から
発言
があったものですから、あえて言わざるを得なくなったということでございます。 先ほど橘部長が
説明
されたとおり、
憲法改正
問題についての諮問的あるいは予備的
国民投票
について
検討
するとした
附則
十二条については、
憲法調査特別委員会
の審議の
過程
で、
自民
、
公明
両党とそれから
民主党
の間で妥協点を探るという状況があって、いわば最終盤の局面の中で盛り込まれたというか出てきたものだということで、その経過からも、
附則
十二条というのは
国民
の要求があって盛り込まれたものじゃないというのが私自身の認識でありますし、経過だったなというふうに思っております。 それで、前提として、先ほど小沢
幹事
の方から、
国民投票
法そのものについて言えば、ほぼ与野党で
合意
があるものであると言われたんですが、これはもう、違うということを言わざるを得なくて、野党の中には私たちもおりますし、それ以外にも
内容
的にも反対した会派があったはずでありますし、ほぼ
合意
というふうに言われた自公と民主の間でも、
最後
は
民主党
は反対をされたわけでありますから、そういう言われ方をすると、全然話が違ってくるということを言わなきゃいけないというふうに思うんです。 その上に立って、話し合いを詰めていく段階だということで
幹事会
でも
議論
するがということも言われたんですが、私自身、きょうの話というのは、
三つ目
の
宿題
と言われている問題について、橘部長からも
説明
を受け、話を聞いて、質疑ないし
討議
で
意見
を述べるという場で、それを踏まえて、
会長
も先ほど
幹事会
で言われたように、来週予定している
幹事
懇の中で今後どうするかということを
幹事
の間あるいはオブザーバーを含めて
議論
しようということになっていたわけです。 何かそれが、きょうまだ終わっていない段階で、詰める段階になっていますねということを与党の筆頭がここで言われて、やるということになると、ちょっと、この話し合いというか
協議
のルールからしても逸脱しているんじゃないかと。きょうはきょうで終わったところで次の
幹事会
でそういう話をしていただいて、それを踏まえてどうするかというのがルールであって、そういうやり方をされるんだったら、きょうも含めて、こんなやり方でやっていいのかというふうになってくるわけです。 だから、そこはきちっと、
幹事会
あるいは
幹事
懇そして
審査会
ということでやっているわけですから、そして仕切ってきたわけで、きょうの
幹事会
でもそういうことは一切小沢
幹事
も言われていないわけですから、そこはきちっと守っていただかないと、きちっと参加するということになっていかない、そして実りあるものにならないと思います。 以上です。
中谷元
26
○中谷
委員
まず、
民主党
の
国民投票
法についての
趣旨
の確認ですが、橘さん、もしくは
民主党
の
幹事
の方もおられますので、
発言
という形でお伺いしたいんです。 まず、
国会自身
が
発案
し、その結果に拘束されないものの
制度設計
というのは、これはアンケート的な拘束力のない
国民投票
と考えていいのか。先ほど山花
委員
が、問責決議のように、実質は法的効果があるもので拘束せざるを得ないというような
趣旨
だという御
発言
だったのか。 伺いたいのは、何を目的とする
国民投票
で、どういう意味を持つのか。ワンイシューを
国民投票
に付したら、結果は事実上拘束力があるものとして無視できないものになるのではないかという気がするんですが、この点はいかがかということと、
公明
党の予備的
国民投票
の
発案
でございますが、これはやはり、
憲法改正
のための予備
調査
、準備としての提案であって、原発とかイラクとか沖縄の個別
事項
の
意見
聴取のアンケートは含まないというふうに考えていいのか。その点をお話しいただければいいと思います。 それから、先ほど
国民投票
法の今後についての話がありましたが、早期に
国民
にこれを提案して、投票できる状態にしておく必要がありまして、この
三つ
の
課題
におきましては、先ほど
意見
聴取をいたしましたが、やはり、この
国会
の会期内においても、結論が出る
部分
においては結論を出して、
法律
の修正もしくは
改正
をいたしまして、十八歳の年齢の問題、公務員の問題につきましては、
合意
を得て処理ができるようにしておく必要があると私は思います。 そういう意味で、
幹事会
におきまして、今後、この問題を
協議
する場が必要でもありますし、各党の
意見
を集約するなら、
幹事会
の中で各党の
代表者
による筆頭協
議会
を設置して
協議
する必要があると私は思っておりまして、小沢
幹事
の提案に賛成をさせていただきます。
橘幸信
27
○
橘法制局参事
御質問ありがとうございます。
民主党案
の
立案
をお手伝いさせていただきました
立場
から、
民主党案
がどのように考えられていたのか、条文がどうなっているのかについて御
報告
申し上げます。 まず、
民主党
の
国民投票
が諮問的なものである、これを
法律案
の中に盛り込んだ
趣旨
について、
提出者
のお一人でいらっしゃいます
枝野幸男先生
は、次のように
衆議院
の本
会議
で述べておられます。 立憲主義にかかわる問題について、
国会
がみずからの
意思
に基づき、諮問的に
国民
の
意思
を問い、その
主権
者の
意思
を十分に考慮しながら権限
行使
することは、何ら
憲法
に反するものではなく、むしろその
趣旨
にかなうものです。こう考えると、法体系的には、
国会
が一般的に
国民
の
意思
を問う
諮問的国民投票
制度こそが
基本
にあり、特に、必要的で拘束力を持つ九十六条の
憲法改正国民投票
制度は、その特例的な制度として位置づけられます。一般法がないまま特例法を
制定
するのは不自然なことですと。 それで、条文の中には、第百三十三条として、「
国政
問題
国民投票
の結果は、国及びその機関を拘束しないものとする。」このような形で
憲法
問題はクリアされているのだというのが
民主党案
の
基本
的なお
立場
であったかと存じます。 以上です。
大畠章宏
28
○
大畠会長
あと、後段のことにつきましては、先ほど
笠井
委員
からもお話ありましたように、
幹事
懇談会の中で今後のことについては率直にいろいろと
意見
交換しながら進める、こういうことで引き取らせていただきたいと存じます。
赤松正雄
29
○
赤松
(正)
委員
先ほど、中谷
会長
代理からの御質問と、それから、私も小沢
幹事
からの
発言
に対して少し申し上げたいことがありますので、二点ほどについて。 まず、私どもが申し上げておりました諮問的、予備的云々という話につきましては、先ほども申し上げましたように、あくまで
憲法改正
にかかわる問題でございまして、原発問題を初めとする
政治
一般、全体的な
課題
ではない、そういうものを含むものではないということでございます。 それから、先ほどの小沢
幹事
の
発言
については、恐らくちょっと言葉足らずだったんじゃないのかと。要するに、詰める段階に来ている、もう十年やってきたんだから詰める段階だとおっしゃったのは、ちょっと違うと思います。私も、
笠井
委員
が言われたのと全く重なるわけじゃありませんが、例えば十年というのは
憲法調査会
も含んでしまうわけで、恐らく小沢
幹事
が言われたのは、この
三つ
の
宿題
をめぐる問題について詰めよう、こういうふうに言われたんだと思います。それなら全くそのとおりでありまして、ただ、聞いている限りにおいては誤解を呼ぶ
発言
だと。何か、
憲法
にまつわる問題全体を詰めよう、こういうふうに言われたように聞こえました。 それに付言して言うと、例えば、自由
民主党
、
公明
党と、それから
民主党
との考え方の違いを詰めるということに当たって、さっき中谷
会長
代理が言われたこととも若干絡むんですが、例えば一院制、二院制をどうするか。一院制云々なんという問題は、これは極めて、なかなか
国会議員
の方からは出しづらい。例えば、私どもの方でもそういう問題を党内で
議論
するとやはり、誤解もあるんですけれども、参議院側からの反発があるというふうなことがあるので、こういう問題は、
民主党
提案の中の
課題
は、大いに詰めるというかすり合わせをするというか、そういうものも取り入れるという可能性は十分にある、そんなふうにも思います。 あわせて、
三つ目
としては、これもここで言うのはまだ早いのかもしれませんが、先ほど小沢
幹事
が
幹事会
云々ということを言われたのであえて申し上げますと、こうした
三つ
の
宿題
の
議論
とあわせて、ぜひ、
憲法
全般をめぐって、
憲法改正
をする必要があるのか、いや、しなくてもいい、
法律
で対応できる、
改正
など必要ない、こういう
意見
と、いや、
改正
すべきだという
意見
をしっかりと両方対峙する格好で、この
憲法審査会
において、当初三年ぐらいかけてやろうと言っていた作業をやるべきである、こういうふうに申し上げさせていただきまして、私の
発言
とさせていただきます。
山花郁夫
30
○山花
委員
民主党
の山花郁夫でございます。 中谷
委員
から御質問いただきました。また、先ほど柴山
委員
からの御指摘がありましたルクセンブルクの話は、規模が小さいじゃないかという指摘は甘んじて受けますけれども、中身については、EU
憲法
の当否についての
国民投票
、これが本当に、町中でもいろいろなところでも
議論
をしているという姿が見受けられるような状況が出てくるんじゃないか、
日本国憲法
の場合も似たようなことがあるんじゃないかという、楽観論と言われるかもしれませんけれども、そういったことでございます。 また、
政府
の都合でこの問題についてやってみようみたいなことは我々も想定しておりませんで、あくまでも、要するに、衆参で三分の二の会派が、よし、これでいこうというようなことが条件であると思っております。 その上で、先ほどちょっと例えがわかりづらかったかもしれませんけれども、二段階に分けて考えていただきたいんです。 そもそも、一般的な
国民投票
ということが
憲法
上認められるかどうかという話であると、認められますよね、それは事実上の拘束力しかないからですという話であります。ただ、事実上の拘束力がインパクトが大きいのではないかという指摘は、全くもってそのとおりだと思っております。 ちょっと専門的な話になっちゃいますけれども、
憲法
典というのは、授権規範であるとともに制限規範です。
国会
に立法権というのを
憲法
が与えていますが、これは授権規範としての側面ですけれども、国の
法律
は
国会
以外の機関がやってはいけないという意味では、制限規範という意味が
憲法
四十一条にはあります。 したがって、
制度設計
として、
国民投票
の結果に縛られる、これがなければ
法律
として成立しないというようなたてつけにするとすると、それは
憲法
違反になる可能性がありますので、諮問的なものでなければいけないという認識です。 ただ、
他方
、先ほど問責決議の例を出したのは、そうはいってもインパクトは大きいですよねと。つまり、問責決議が出されたとしても、
憲法
上は、総辞職しなきゃいけないとか解散しなきゃいけないとか当該大臣は
辞任
しなきゃいけないなんてどこにも
規定
されていませんけれども、そのインパクトが大変大きいものですから、これまでもその結果として
辞任
をされてきた方がいますよね。 同じように、拘束力がないとはいえ、
国民投票
で示された
意思
というのは、かなり
政治
的には重く受けとめる必要があるでしょうというような意味で先ほど申し上げました。 以上です。
照屋寛徳
31
○照屋
委員
私も、小沢
幹事
がおっしゃった先ほどの
発言
内容
には大きく違和感を持っておりますし、その点については、
笠井
委員
からありましたように、
会長
において、当
憲法審査会
の運営については、
幹事
懇談会、
幹事会
等の
議論
を踏まえて慎重にお運びをいただきたい。これは要望でございます。 あと一点は、私は書面でも
意見
書を出しましたが、いわゆる
三つ
の
宿題
についてもいまだ
議論
は不十分である、もっと
議論
を尽くすべきだ、こういうふうに言いましたので、中谷
先生
からありました
実務者協議
会、これも非常に拙速である、当
審査会
でもっともっと
三つ
の
宿題
などについても
議論
を深めるべきだという
意見
だけを申し上げておきます。
大畠章宏
32
○
大畠会長
きょうの
憲法審査会
は、一般的な
国民投票
についての題材のもとに、これまでの
調査
会の事実関係を含めて橘企画調整部長から
報告
を聞き、それについて
委員
の間で
議論
をしようというのが目的でございますので、今後のこの
審査会
の進め方については、先ほど数名の方から御指摘がありますように、
幹事
懇談会で皆さんのお話を聞きながら進める、こういうことにさせていただきたいと思います。 照屋
委員
からの御指摘は、私もそのとおりと受けとめておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
橋本勉
33
○
橋本
(勉)
委員
柴山
委員
から
間接民主制
のことで言われましたので、ちょっと反論させていただきたいと思います。
一つ
は、
間接民主制
そして直接
民主制
という分け方で、柴山
委員
は、
間接民主制
に今なっているからということだと思いますし、今ねじれているから、今の現状だけを直すには別の問題だとおっしゃいました。 私は、もともと
間接民主制
と直接
民主制
には根源的な問題があると思います。例えば、今、小
選挙
区制では、過半数をとる人が当選します。過半数をとった人が当選して、その中でまた過半数で決まっていくということは、二分の一掛ける二分の一で、要するに四分の一の民意があれば決まっちゃうんですね。それに対して、直接
民主制
というのは過半数ということで、もともと
間接民主制
に限界があるということを申し上げたいと思います。それを是としていくならば、これはどういうテクニック論で話してもこの溝は埋まらないということだと思います。 では、
選挙
区の
選挙
制の問題だから直したらいいんじゃないのということになるでしょうけれども、これも、過半数というのはなかなか直せない問題だと思いますので、それはどうしても
国民投票
法で補っていかなければならない問題が
本質
としてあるんじゃないかなと私は柴山議員に反論させていただきたい。 世の中には、ヨーロッパでも多くの国々で拘束力を持った
国民投票
制というものを既に持っているんですね。これによって、この
間接民主制
の限界を補っていく制度がもう既につくられているんです。日本だけが非常に出おくれて、この問題だけに何年もかかっているというのは非常に情けないと私は意識をさせていただいております。 そういう意味で、早目にもっと拘束力のある
国民投票
法を導入していただいて、ギャップができてしまっているものをしっかりと埋めていかないと大変なことになると思います。八〇%がこの
政策
を否定しているのに
国会
で決めてしまうということが本当に
民主主義
なのかどうか、ここはしっかりと考えていかなければいけない
本質
的な問題があると思います。 以上です。
大畠章宏
34
○
大畠会長
直接
民主主義
と間接
民主主義
に関しての御
発言
をいただきました。
一つ
の
課題
として受けとめさせていただきます。
山尾志桜里
35
○山尾
委員
発言
の機会をありがとうございます。
民主党
の
山尾志桜里
です。 お時間がまだあったので、済みませんが、
発言
をさせていただければと思います。 私の
立場
は、この
国民投票制度
については非常に慎重な
立場
をとっておりまして、ただ、必ずしも意義が全てにおいて見出せないというものでもないと思いますので、この
附則
十二条に沿って
議論
を進めていけばよいと思っております。 なぜ慎重かと申しますと、この
国民投票制度
というものも、その最終的な目的は、
国家
として決断をするに当たって意義を有するからだということになると思うんですが、
国家
としての決断をするに当たっては、もちろん、一方で多様な民意や
価値観
、
意見
を受けとめながら、最終的には大局に立った決断をすることが求められる。場合によっては、その大局に立った決断というのが民意の大勢とは一致しない場合もあり得るということだと私は思っております。
国民投票
を積極的に受けとめる御
意見
の中には、多様な民意を反映できるという言葉も出てくるんですけれども、恐らく、
特定
の
テーマ
の
是非
を問うような
国民投票
であれば、むしろ逆に、結果としての数の力で
国民
の
意見
の多様性というのは捨象されてしまう場合というのが非常に多いのではないかと私は感じております。 ましてや、
国民投票
で
是非
が問われれば、先ほどから御
意見
も出ていますように、実質的には、民意の大勢とは異なった大局に立った判断、決断をするということは、
政治
家にとっては、不可能とは言いませんが、非常に困難な状況になるというふうに思います。 意義として、そのほかに
国民
の
政治
参加ということが挙げられておりまして、私ももちろん、キャンパスで学生たちが自分の支持する政党やあるいはさまざまな
政策
について
議論
をし合うというような姿が日本にも見られるようになればいいなと思いますし、そうしていきたいと思いますけれども、その第一歩として、前回のこの
会議
でもお話になりましたように、十八歳に
選挙権
を広げる、あるいはその前提をつくるための学生に対する
政治
参加への教育を深めていくということがまず先にあろうかと思います。 もちろん、
国民投票
という制度ができれば、
政治
参加には資するとは私は思います。思いますが、ほかの手段もあるわけであって、この
政治
参加が
国民投票
を推進する大きな理由ということにはなかなかなりがたいのではないかなと私は感じております。 そろそろ
最後
にいたしますが、そういった意味合いで、私は非常に慎重な
立場
ではあるものの、例えば一院制の問題などのように、
憲法改正
にかかわる
テーマ
であって
国会議員
発議
の推進力が類型的に弱いと思われるような場合については、この
国民投票
の諮問的、予備的な
制度設計
というものも、もしかしたら高い意義が見出し得るかもしれない。
最後
は非常に曖昧で大変恐縮ですけれども、そういった意味で、
附則
十二条に沿って少し具体的な
議論
を進めていけばよいのではないかと思っております。 以上です。
近藤三津枝
36
○
近藤
(三)
委員
再び
発言
の機会をいただきます。 先ほど
幹事
の小沢
先生
の方から、本件に関しましては、先ほど、話があったような
内容
を決めると私が
発言
したというふうに小沢
幹事
がおっしゃいましたけれども、私はこのように申し上げました。本日議題の
国民投票
法
附則
第十二条は、
憲法改正
問題についての
諮問的国民投票
として、次の二点について速やかに
検討
するように定められていますというふうに申し上げただけで、速やかに定めていくという私の考えを申し上げたわけではございません。
附則
十二条はあくまでも
検討
を求める
条項
ですので、私としましては、この
審査会
で十分に
検討
、
議論
するべき
課題
だというふうに考えております。 以上です。
大畠章宏
37
○
大畠会長
事実関係についてはっきりとしたいということで御
発言
をいただきました。
棚橋泰文
38
○棚橋
委員
短くちょっと質問をさせていただきますが、事前に通告をしておりませんので、
法制
局の方、もしお答えになれればということで結構でございます。 私は、
憲法改正
規定
、これが衆参それぞれの院の総員の三分の二の賛同をもって
国民投票
というのは、もともと、時代の変化の中で非常に硬直的なものであり、これをまず
改正
する必要があるというふうに考えておりますし、多くの
委員
の方々もそうお考えではないかと思います。一方で、
憲法
を
制定
する
国民
の
主権
あるいは
国民
の
意思
からして、
憲法改正
規定
自体を、そういう形で
国会
が
発議
し
国民投票
にかけるということに対して、
憲法
の
制定
あるいは
憲法
制定
権者という
観点
から、何らかの
憲法
上の
問題点
があるという指摘があるかどうか。もし御記憶にあれば、その点だけ教えていただければありがたいと思います。
審査会
長、どうもありがとうございました。
橘幸信
39
○
橘法制局参事
先生
、御質問ありがとうございます。 浅薄な知識ではございますが、
先生
御指摘の、九十六条自体が
改正
の
対象
となり得るかという点については、
憲法学説
上、
両論
ございます。まさしく
改正
規定
はみずからの
改正
規定
によって
改正
され得ないのだというロジックでもって
改正
不能という論者もおられます。ただ、どちらかというと、私が判断するわけにはまいりませんが、多数あるいは通説と言われる学説からすると、もちろん九十六条も
憲法
の中の一
条項
であるから、これは、三分の二を例えば過半数、今、
先生方
が
検討
しておられるような、そういうことは可能だという
見解
も強くございます。 ただ、九十六条については、
先生
今おっしゃいましたように、
国民主権
の
原理
から基づく
憲法
制定
権力、
国民
が持っておられる
憲法
制定
権力というものがどのようなものであるのかという深遠な御
議論
があるかと存じます。九十六条はまさしく
憲法
典の中に制度化された
憲法
制定
権力なのだという御
議論
がその
賛否両論
の
背景
にあるものと存じます。 以上です。
大畠章宏
40
○
大畠会長
ほかに御
発言
を希望される方はおられますか。 他に御
発言
を希望される方がおられないようでありますので、これにて
自由討議
は終了いたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会