○橘
法制局参事
衆議院法制局の橘でございます。
中谷先生の方から、一点、今のままの
法整備でよろしいのかという御指摘をいただきましたので、
国民投票法案の立案をお助けした、お手伝いさせていただいた
立場から情報提供を申し上げます。
今のままで、二十でできるのかという点につきましては、
田口選挙部長が御答弁されたように、私もお手伝いさせていただきました
国民投票法の二十条で、投票人名簿は市町村の選管がつくる、投票人名簿は、
政令で定めるところにより、磁気ディスク等として調製することができると。この
政令が、先ほど
選挙部長がおっしゃられた
施行令が二十二年の五月十八日に
施行されていたところでございます。その意味での
法整備は全く完璧にできていると言うことができるかと思います。
ただ、
国民投票法の
附則三条二項の
解釈についてお手伝いさせていただきました
立場からすれば、先般の参議院の
憲法審査会で、提出者の一人でいらっしゃいました船田先生が御答弁されましたように、
附則三条二項は、「前項の
法制上の
措置が講ぜられ、」十八歳
選挙権が実現すること等となるようというふうに書いておられます。すなわち、
法制上の
措置が講ぜられた後、つまりこれが始期、始点でございます。そして、実際にそれが
施行されて十八歳
投票権ができるまでの間というふうに、終期だけではなくて始期から終期まで、この間にのみ十八歳を二十というふうに読みかえるんだというふうに船田先生は御答弁されています。
その趣旨というのは何かというと、三年間の間に
法整備がなされないということは、提出者の先生方におかれては全く
考えておられなかった、それが与野党共通の御認識であったということでございます。
そうすると、船田先生は、今現在何歳でやればいいのかとなると、
附則三条二項が働かない以上は、本則の十八歳に戻るしかないんでしょうかとまで御答弁されたわけであります。しかし、十八歳でやれるということを船田先生はおっしゃりたかったのではなくて、そのように
附則三条二項が不完全な状態にならざるを得ないということであります。
私が申し上げ、船田先生がおっしゃられたことは、いわゆる条文
解釈における文理
解釈、条文を字義どおり
解釈し、立法者の意思による
解釈をするということであります。また、私ども
法律の立案をお手伝いする場合には、先生方の御政策が
法律の文言に正確に翻訳されているように、お手伝いしている
立場からは
解釈せざるを得ません。
しかし、立法者が
考えられた
状況と違う
状況が今生じております。この場面において、
田口部長が先ほどおっしゃられたように、その趣旨、あるいは立法者が本当に
考えられていた目的に従って拡張
解釈、趣旨
解釈せざるを得ない、それが法所管省庁としてのお
立場だとまで先ほど言われたと思います。
その点からすると、文理とは離れますけれども、
附則三条二項は、「前項の
法制上の
措置が講ぜられ、」という
部分を空文化し、十八歳
選挙権が実現することになるまでというふうに幅広く
解釈するのだ、そのような体制でも、
政府におかれては準備可能だというふうになっているんだと思います。
船田先生の
立場から、あえて、生意気ですが申し上げさせていただくと、根幹となる
年齢条項がこのような
状況のままで本当に
国民投票を実施していいんでしょうか、一刻も早く十八歳
選挙権等の
法整備をなさるべきではないでしょうかというのが、船田先生初め法提出者の先生方のお
考えであった。
そういう意味では、ちょっと生意気になりますが、中谷先生の御
質問に対してお答えするならば、
法律上論理的に必要か立法政策上必要かは別として、十八歳
選挙権等の
法整備は
国民投票を実現するためには必要だという
見解にもつながるのかもしれません。
以上、生意気ですが御
説明申し上げました。