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吉井議員 質疑時間の中で意見も表明してくれという話なんで、今から意見を申し上げておきたいと思います。
昨年の三・一一福島第一
原発事故は、全電源喪失によるメルトダウンとその後の水素爆発によって大量の放射性物質を大気中に飛散させ、汚染水を海洋に流出させるなど、チェルノブイリに並ぶ史上最悪の
原発事故となりました。
あれだけ大きな
被害を受け、今も約十六万人の人々が
避難生活を強いられているときに、
事故の深い原因究明と責任、教訓を明らかにして、本来、特別
委員会を
設置して各党が十分な議論を尽くしてよい
法律をつくるべきであるのに、
環境委員会という一つの常任
委員会での審議で、しかも、三党修正協議がきょう出てきていきなり質疑、採決というやり方は、議会制民主主義に反する暴挙であり、民主、自民、公明三党修正協議と
法案審議のあり方そのものについて、まず強く抗議をしておきたいと思います。
その上で私は、
原子力規制委員会設置法案に対し、反対の意見を述べます。
このような事態を招いた
政府と東京電力の責任は極めて重大です。
事故を完全に収束させ、放射能汚染の
被害から
国民の
生命と暮らしを守り、二度とこのような
事故を起こすことのないように
事故原因の徹底究明が不可欠であり、本
法案の大前提となるものです。
ところが、
政府や
国会の
事故調の
事故原因の究明が途上であるにもかかわらず、加害者である東京電力は、想定外の津波が原因で、人災でないと責任回避を続けております。野田政権もまた、津波、浸水が
事故原因で、地震の
影響はなかったという驚くべき断定を行いました。
これは、再び新しい安全神話を復活させ、大飯三、四号機を初め、原発再稼働に進み、原発輸出戦略の条件づくりであり、断じて容認できません。
この点でまた、
事故の
被害を拡大した当時の官邸の混乱のみを菅リスクと過大に問題にすることは、事態を一面的に描くものです。
これと同時に、三・一一以前の歴代
自民党政権の
原子力行政のゆがみを徹底的に検証しなければなりません。
反対理由の第一は、昨年の三・一一福島第一原発の
事故原因と教訓を全面的に踏まえた
法案となっていないからであります。
特に、
原子炉等規制法で根拠も実証試験もなく、老朽原発の四十年、例外六十年
制限としたところ、本
法案ではさらに事実上青天井とし、半永久的稼働を容認したことは、
政府案を一層改悪するものであり、認められません。
第二に、
原子力規制組織をいわゆる
三条委員会としていますが、推進と
規制の分離、
独立性を
確保すべき
原子力委員会を
環境省のもとに置くとしていることは容認できません。
環境省は、歴史的にも基本政策の上でも原発推進の一翼を担ってきた
官庁であり、今
国会に
提出している地球温暖化
対策基本
法案で、温室効果ガスの排出抑制のため原発推進を条文上も明記したままです。これの削除と根本的な反省なしに真の独立は担保されません。当然、電促税を財源とする財源面でも問題であります。
第三に、
原子力基本法を改め、
原子力利用の
目的について「
我が国の
安全保障に資する」としたことは、いわゆる
原子力平和利用三原則にも抵触するものです。
また、国際的動向を踏まえた放射線
対策と称して、内外の批判の強いICRP、国際放射線防護
委員会の線量基準などを持ち込もうとしていることも認められません。
最後に、
我が国の原発政策の根幹をなす日米
原子力協定と電源三法のもとで、原発安全神話をつくり上げ、地域住民の反対を押し切って原発を推進してきた歴代
自民党政権の、政財官学の癒着した一体構造そのものにメスを入れる必要があります。
地域独占体制と総括原価方式に守られた、電力会社を中心とする、原発メーカー、鉄鋼、セメント、ゼネコン、銀行など財界中枢で構成する原発利益共同体ともいうべき利益構造を解体することと、そして、再生可能エネルギーの爆発的普及とその仕事を地域経済の再生に結びつけ、エネルギーでも地域経済でも原発に依存しない日本社会への発展の道こそ、政治的
決断をするべきものであります。
以上申し述べて、私の
発言を終わります。