○
西田実
仁君 そういう曖昧なことでは困るんですよ。今パネルを出させていただきますけれども、
TPPということが
議論になっている今、この通商
政策のもう
一つの柱である通貨戦略についてきちんとした戦略を立てていただかなければ、
日本の
国益を大きく失うことにもう既になっている。(
資料提示)
この上を見ていただきますと、
TPPのGDP押し上げ
効果、今日もいろいろ
議論がありました。
内閣府の調べでは、十年間で関税が撤廃されるという場合には二・七兆円のGDP押し上げ
効果があるということであります。下の方を御覧いただきますと、この三年間、いわゆる超円高と言われる中にあって、
日本が失った輸出市場、これは私の
試算では七・八兆円あるんです。
それはなぜこういうふうに調べたかといいますと、その一番下のところに過去三年の
日本の輸出シェアというのがあります。二〇〇八年、年間平均の対
アジア、
アメリカ、
EUそれぞれに対する輸出シェア、それぞれの地域、国からしましたら
日本の、対日輸入シェアということになりますが、それがこの直近の本年一月から八月までの八か月間でシェアがどのぐらい下がっているのか。例えば、対
アジアに対しましては一一・四%が一〇%に下がっている、対米国に対しては六・六が五・四%、
EUに対しては四・八から四・三%に下がっているわけであります。このシェアの差額分を直近一年間の輸入額を掛け合わせて数字をはじき出して足し合わせていくと、七・八兆円というこの失った輸出市場の額というのがあるわけであります。
もちろん、
TPPのGDP押し上げ
効果はGDPの押し上げ
効果でありますし、下の方は輸出の失った額であります。しかも、円高だけで当然のことながら全てこれを失ったとは言いません。しかしながら、もうよく御存じのとおり、この三年間で円高が進めば進むほど、それぞれの地域、国の対日輸入シェア、
日本からすれば輸出シェアというのが下がっているというパラレルな
関係があることもこれまた事実であります。
総理、私は、この
TPPで二・七兆円GDPを押し上げるという
効果、これはいろいろ
議論ありますけれども、しかし一方で、通商
政策のもう
一つの柱である通貨戦略を取ってこなかったがゆえに既にこの三年で七・八兆円も輸出市場を削ってしまっている、なくしてしまっているという、これは大変に重い。
私は、この
TPP交渉をどうされるのか存じ上げませんけれども、これ以上の円高を防ぐための通貨協議というものを直ちに
日本は行わなければならないというふうに思っております。
アメリカも明確に通貨戦略は持っている、金融の大幅緩和によってドル安を放置する戦略。
中国もそうです。
中国は、対ドルに対しましては米中戦略対話の中で毎年五%ずつぐらい引き上げている。しかし、
日本円に対しては逆に人民元は切り下げてきているわけでありまして、
アメリカも
中国も明確な通貨戦略は持っている中で、
日本だけが何も通貨戦略がないものですから、なすがままに円無策の中でこういう失った市場があるわけであります。仮に日米間で円・ドルレートを安定させられれば、当然人民元は、ドルに対して今申し上げましたように切り上がっておりますので、人民元は対円に対しても自動的に切り上げられていくことになるわけであります。
〔
委員長退席、
理事川上義博君着席〕
そこで、
野田総理にお聞きします。あしたからの
APECでの個別会談等において、仮に
TPP交渉入りを宣言していくのであれば、同時にまず日米間で円・ドルレートの安定協議を開始するよう米国に迫るべきだと思いますけれども、いかがでありましょうか。
総理に聞いております。